移住の前に、自分達のVida's New Races化をVandalieuに提案したKanako。この瞬間の彼女には思惑は無く、ただ強いemotionsを覚え、それが正しいというIntuitionに従ってそのまま口にしただけだ。
だがこの発言は過去のKanakoが狡猾な意思で、力を巧みに使った結果によるものだった。
RodcorteのDivine Realmで知ったCircle of Reincarnation system。それに属する自分達が見聞きした事は、RodcorteやそのFamiliar SpiritであるAran達には自由に閲覧されてしまう。
当然だが、それはVandalieuへの合流を目的とするKanako達にとって厄介この上無かった。実際、そのせいでAsagi達に後を付けられる失態を犯している。
この自分の目と耳にspy用のcameraとマイクが仕掛けられているのと同じ状況を脱するには、Rodcorte式Circle of Reincarnation systemから抜けるしかない。
そのためには、何れかのVida's New Racesと化してVida式Circle of Reincarnation systemに入るのが、Kanakoの思いついた中では最も確実な方法だった。
raceはそのままでもVandalieuに導かれると言う方法もある。だが会ってすぐ導かれるか分からないし、彼が自分達に長い時間を使うとは思えなかったのだ。
しかし、Circle of Reincarnation systemに関するMemoryはDivine Realmから出て『Lambda』にreincarnationする際に消されてしまう。何かに書き残す事も、物品どころかBodyすら無いconditionなので不可能だ。
だからKanakoはRodcorteによって与えられたAbility、【Venus】を使った。
他の多くのReincarnator達には他人を魅了するAbilityだと説明していた【Venus】だが、実際には自身や他人のMemoryやemotionsをCopyし、自分を含めた対象に張り付ける事が出来る力だ。
そして努力と経験の結果、Kanakoは更に【Venus】のActivateに幾つか条件を付け加える事に成功していた。
例えば、前もってAbilityを仕掛けて置き、ある特定の人物と直接会うその時まで潜伏させActivateを遅らせるという風に。
KanakoはDivine Realmにいる間に、Rodcorteの注意が自分から逸れている時を見計らってそれを自分に施した。Vandalieuと直接会った時に、「Vida's New Races化」に対して大きな魅力を覚えるよう【Venus】を仕掛けたのである。
そして更に自分自身にAbilityを使ったrecordも【Venus】で完全に上書きして消した。
こうすればRodcorteやAranが、Kanakoについて注目して詳しく情報を調べない限りばれないだろうと考えて。
【Venus】で仕掛けたのがemotionsだけなのは、Circle of Reincarnation systemに関するMemoryを下手に混ぜるとreincarnationする際に一緒に消されてNullificationにされてしまうかもしれないと、警戒したからだ。
その分、自分がVandalieuにVida's New Races化を本当に希望するかは賭けだった。
条件を付ける方法は、それの数や複雑さが増すにしたがって【Venus】の成功率その物が下がるし、成功しても数字に出来ないemotionsの問題だ。
その時の状況次第で、感じても口に出さない可能性もある。
しかし過去のKanakoは自分ならこのemotionsを【Venus】によるものだと気がつくと信じて賭けた。
そして現在のKanakoは、見事賭けに勝利したのである。
「え、つまりVida's New Racesにもなれて、移住も出来るんですか!?」
尤も、VandalieuもVida's New Races化をdemandしてくるとは考えていなかったが。
「いや、だからなんでVida's New Racesにならないといけないのか、説明してくれないか?」
「Kanakoは理由を説明できないようだけど」
驚きと困惑でKanakoとVandalieuを交互に見つめるDougとMelissaに、Vandalieuは頷いて説明を始めた。
「俺がVida's New Races化をあなた達にdemandするのは、後戻りできないようにするためです。Amid Empireでも、そして遺憾ながらOrbaum Elective Kingdomの幾つかのDuchyでも、Vida's New Racesは肩身が狭い。特にVampireやMajin Race、Kijin、GhoulはHumanでは無くmonstersと認識されています」
「なるほど……そんなraceに変化した後じゃあ、何があってもお国の為に尽くすしかなくなる訳か。中々エグイな」
『Doug! 貴-samaが思っているよりもVandalieuがReignする国々は広く、そして快適だぞ! 少なくとも閉塞感を感じる事は無いと、このValkyrieが保証してやろう!』
「あんたが嘘を言うとは思わないが……国々?」
Vandalieuの説明に顔を引き攣らせたDougに、Valkyrieがそう言って保証する。しかし彼のinfluenceがTalosheim以外にも及んでいる事を知らないDougは、胡乱気な顔をする。
それを無視してVandalieuは話を進めた。
「他にも理由はありますが……話すのはVida's New Racesになった後にしましょう。それで、どうします? 本当にVida's New Racesになるなら事前に簡単なguidanceを実施して、なった後も色々followしますけど」
raceが変わると言う事は、生態が大きく変化すると言う事だ。Vampireの場合はAbyss種になればSunlightを浴びても平気だし、姿形も瞳の色が変化しfangsが生えるぐらいで最もhurdleが低い。
だがそれでもBloodsucking衝動と生涯付き合う事になるし、対Vampire用のArtifact、Nemesis Bell等の脅威もある。そしてVampire化した時のageのまま永い年月を生きなければならないUnaging不死は、人によってはCurseでしかない。
……それに元Evil God (M)派のEleonoraやMilesによると、親に当たるPure-bornやNoble-bornや他のVampireとのHuman関係や、新米故にVampire社会での立場の低さに耐えなければならない等、-sama々な問題が起こり得るらしい。
そしてVampire以外のrace、Majin RaceやKijin、GhoulやLamiaやArachne等の場合は姿も変化する。
それまでの人生と大きく変わってしまう。軽い気持ちで勧めて良いものでは無い。
「Vampire、か。まあ、それほど悪い事じゃないだろうが……」
「そうね、ちょっと」
自分でも提案したKanakoはin any case、MelissaとDougは躊躇いを覚えたようだ。
「この先永遠に十代のガキの見た目のままって言うのは、抵抗があるな。舐められる事も多いし」
「最初からdemandされると知っていたら、もっと大人のbody partにするようRodcorteにdemandしたんだけど」
HumanとElf、raceは違うが約一年前に十代半ばに見える少年ShoujoのBodyでreincarnationしたため、Kanako達三人はまだ幼さが残る姿をしている。
この『Lambda』worldの多くの国や地域では十五ageで成人として扱われるので、Adventurer’s Guildへの出入りはcertainly、酒も賭け事も歓楽街への出入りも、やろうと思えば自由だ。
しかし、現代Japanで二十ageの青年が社会的にまだまだ半人前、若造として扱われる事が少なくないのと同じで、『Lambda』でも多くの場合一人前だと見なされない事が多い。
それをDougは「見た目で舐められている」と感じるようだ。
Melissaの場合は単純にappearanceの事を問題にしているようだが。
「……問題はルックスですか」
『まあまあ、すぐEmotionalにimpactが出る事に気がつくのは無理よ。まずappearanceやUnaging不死に目が行くのは仕方ないわ』
『Evil God (M)派のPure-breed Vampireも、VampireにするCandidateがある程度成長するまで待つらしいよ。Eleonoraが言ってた』
かくりと肩を落とすVandalieuに、瞳とJackはそうfollowした。
「う~ん、確かに今のbody partより前世の二十代前半くらいの時の方が、styleは良かった-samaな……でも、Elfでそこまで待つには何十年もかかるし、そもそもBodyのraceが別なんですから、同じstyleに成長すると決まっている訳でもない訳ですし、十代のままの方が長続きするかも」
そしてDoug達の言葉にimpactされたのか、Kanakoまで悩み始めた。
『Vandalieu、そろそろ考えておいたプランBについて説明したらどうかな?』
「プランB? Enma、そんなのがあるのか?」
『ああ、実際には別の選択肢じゃなくて、Vida's New Races化を行うまでの間に時間がかかる場合に行う処置だけど。
Vida's New Races化の儀式は、raceによっては用意に時間がかかるからね。僕達は-kun達のletterに気がついてからすぐに来たから、-kun達が選ぶraceによっては、暫く待ってもらう事になる』
それに、儀式を行うraceの側の問題もある。
Kanako達がVida's New Racesになれば、彼女達が選んだraceの者は彼女達の親と言う事になる。それには養子縁組以上の意味がVida's New Racesにはあるので、同意を取り付けた訳では無いのに勝手に話を進める事は出来ないのだ。
元Resistance organizationのleader、『Liberating Princess Knight』のIris BearheartのMajin化をGodwinに頼んだ時は緊急事態だったし、彼女は一年以上Vandalieuと同盟を組んでいたので彼も「人格は保証します」と言う事が出来た。
Kanako達の場合も、Legionは前世で数年以上行動を共にし、非合法活動を行っていた訳だが……。
(人格を保証するとは、流石に言えない)
利用し合う仮の同盟者としては【Marionette】や【Death Scythe】よりも頼もしかったが、この場合はとても推薦出来ない。
「つまりVida's New Races化の儀式を受ける事は前提ですが、その儀式までの間に受けるのがプランBと言う事ですね。
分かりました。とりあえずそのプランBで行きましょう」
Kanakoがそう言うと、今度はDougとMelissaも頷いた。それを確認してからVandalieuは、懐から三つの布袋を取り出した。
「じゃあ、数日一緒に生活しましょうか。隔離された生活環境で、俺の話を聞いたり、Cookingを食べたり、levellingするだけで、難しい事は何もありません。そういう訳で、袋を被ってください」
目を丸くするKanako達に、Vandalieuは布袋を頭に被るよう促すのだった。
後にKanako Tsuchiyaは、当時の事を振り返ってこう言った。
「分かってはいましたけど、『Earth』の頃とは完全に別人ですね。appearanceだけじゃなくて、内面が。
もし当時からこんな人だったら、学校中の人のMemoryに残っていますよ」
布袋で視覚を遮られたKanako達は、LegionのJackの【Teleportation】によってどことも知れぬ場所に連れて行かれた。
そこは何処かの草原のような場所で、明らかに急造と分かる小屋の近くには井戸と、何故かDungeonの入口らしい階段があった。
そこでKanako達は、毎日何処からか【Teleportation】でやって来るVandalieuからVidaの教義やVida's Factionから見た歴史の講義を受け、Dungeonに潜って訓練をし、Vandalieuが作ったCookingを食べる生活を一週間ほど過ごした。
「Vandalieu sensei、本当にこれはプランBなんだよな? 普通に町の宿より良い暮らしをしながら簡単な講義と、数は異-samaに多いがそれほど強くないmonstersと戦いながら、美味いものを食べるだけの毎日なんだけど」
小屋の作りは『Earth』や『Origin』ならプレハブの-samaな出来だが、清潔でしかも入浴施設がある時点で宿屋でも中の上に値する。
「そんなにluxuryをさせているつもりはありませんが、本当にプランBなのですよ。それはin any case、大人しくこの謎の特製juiceを飲みなさい。材料は、今は言えません」
「……このjuice? 美味しいけど色が赤黒いのは何で?」
「二人とも、見た目の事は良いじゃないですか。久しぶりの甘味ですし、他にも揚げ物や味噌汁まであるんですよ! いやぁ、Murakamiを裏切った甲斐があるってものですよ!」
「確かに、食事は豪華だよな。このworldで一年以上暮らしてみて、『Earth』や『Origin』での生活が恵まれていたって、しみじみと分かったぜ」
そう言いながらDougはデミglass sauceのかかったハンバーグを口に運んだ。
『Lambda』の多くの国や地域で、食事を含めた生活の諸々が前世と前々世で生きた国より悪い事を自身も知っているVandalieuだが、Dougの言い方には首を傾げた。
「あなた達は大人のbody partでreincarnationしたのですから、食事も含めて色々工夫出来たのでは? それにこのworldでも予算次第で『Earth』や『Origin』並、部分的にはそれ以上の生活が出来るはずですよ。デミglass sauceがあるかは知りませんが」
金さえあれば『Lambda』でも広いmansionに優秀なServantを雇い、家電代わりのmagic itemを揃えて快適な生活を過ごす事が出来る。
特に食事ではそうだ。確かに存在しない食べ物や調味料、Cookingも多い、だが高Class食材であるmonstersを使用したCookingは、『Earth』や『Origin』では絶対に食べる事が出来ない極上の美味だ。
HELLの沙汰も金次第という言葉もあるのだから、another worldでも大体の問題は金で解決できるはずだ。
そう主張するVandalieuに対して、Doug達は揃って微妙な顔をした。
「まあ、そうだな。金があればだけど」
「工夫も、中々出来なかったしね」
「あたし達の事情だと、そうそう目立つ事は出来なかったですから」
Doug達はVandalieuを狙うMurakami達のgroupから離反した。そのため、目立つ事が出来なかったためAdventurer’s Guildの等Classが上がらないよう、依頼の受領やmonstersの素材の売却量を抑えていたのだ。
Job changeは町から町へ移動しながら続けたので実力はAClassに匹敵するが、guildでの実際の等ClassはDClassだ。
「DClassが最も数が多くて、町から町に移動するpeddlerの護衛に雇われやすい。俺のageだとDClassは若干速いけど、いない訳じゃ無いしな」
「ただ収入の面では御察しの通りでね。自力で美味しいmonstersを狩るっていう手段もあるけど……若いDClass adventurer三人だけで大きなDevil Nestsの奥深くや、高難易度のDungeonを出入りしたら目立つのよ。まあ、せいぜいOrcやImpaler Bullぐらいね」
「それにあたし達は短い期間で町から町に移動して拠点を変えますから、工夫も殆どできなかったんですよね」
三人もそれなりの知識や技術がある。『Earth』では普通の学生だったが、『Origin』では軍の訓練を受け、その後は『The 8th Guidance』に合流して非合法活動をしていたからだ。
しかし、流石に資金も限られる上に移動しながらではそれを生かせなかったようだ。
「mayonnaiseを作ろうにも、酢や油はまだしも新鮮な卵は高いですからね。それに、万が一あたし達が作った物が誰かの目に留まって噂になったりしたらMurakamiに居場所を教える-samaな物ですし……Bellwood Fundamentalism者なんて危険な連中が、まだいるかもしれないそうですし」
「Bellwood Fundamentalism者、ですか?」
初めて聞いた言葉にVandalieuが聞き返すと、Kanakoは「あたしも詳しくは知りませんけど」と前置きをしてから話しだした。
「Alda過激派から更に枝分かれした集団で、Fallen Champion Zakkartの遺産を利用しようとする者を罰する事を使命としているらしいです。
つまり、あたし達から見るとanother worldの知識や技術を使う人達を殺して回る連中ですね。尤も、歴史の上では異端認定されて当時のAlda templeが粛清したそうで、今は存在しない事になっていますけど」
「それまた何故?」
「何でも、活動が過激になり過ぎたそうです。米を栽培しているだけで村全体を焼き討ちにしたり、領地内の遺跡からChampionの遺物らしい物を偶然発見してしまっただけでそのNobleを暗殺したり、magicを用いない便利な道具を発明したSageとそのpupilsとfamilyを皆殺しにしたり」
「……Lunatic Dogですか、その連中は。特に最後の、another worldの知識と技術関係無さそうですし」
昔の出来事とはいえ、Vandalieuは思わずそう聞き返していた。聞いた限りでは、本当にZakkartの遺産が関係しているのか調べてさえいない。これではこのworld独自の進歩を妨害しているだけだ。
冷静に分析するなら、そのBellwood Fundamentalism者達もZakkartの遺物、つまりanother worldの知識や技術についてaccurateには知らなかったのだろう。それでも活動を始めた当初は残っていた伝承を基に判断していたのだろうが、時代を重ねるうちに活動が先鋭化し、過激な行動を繰り返すうちに歯止めが効かなくなったのだろう。
「当時のAlda templeもやり過ぎだと思ったみたいですね。それで当時の主だったmemberを拘束して異端として認定し、粛清したそうです。
そうなる前に、Kami-samaがOracleなりなんなり出して止めれば良いでしょうにねぇ」
「Aldaを弁護する気はありませんが、本来の信仰から離れているbeliever程、声が届かないのかもしれませんね。
それはin any case、それじゃあ今は居ないんですか、Bellwood Fundamentalism者」
「organizationとしては何万年も前に消滅していますけど、今もいるかもしれないと言われていますね。昔話でchildを攫いに来る悪い妖精みたいな扱いです」
どうやら、現在では確認されていないらしい。それなら何故警戒するのかとVandalieuが聞く前に、Melissaが口を開いた。
「私達はあなたの国に移住する事を目的に行動してきたからよ。念のために警戒するけど、Orbaum Elective Kingdomでの暮らしは仮の物だから、今も実在するか本格的に調べる程じゃ無かっただけ」
「だから暫くの間だけと辛抱してたんだ。移住できなかったか、最初からOrbaum Elective Kingdomで生きる事を決めていたら調べていたと思うぜ」
そう言う事らしい。AsagiやMurakamiならもっと詳しく調べているかもしれないが……そもそもAlda's Factionの神のbelieverである時点で警戒対象なのだし、今から詳しく調べなくても良いだろう。
そんな風に世間話をしながら暮らしていく内に、Kanako達の身に突然Ability Valuesが急increaseするという不思議な現象が起きた。
「こ、これは!? 力が漲って来る……これが俺の隠されたaptitudeなのか!?」
「ふっふっふ、どうやらあたし達は何かにAwakeningしたようですね」
「そうじゃなくて、maybeこれがプランBの効果だと思うけど」
「はい、あなた達は俺に導かれただけです」
プランBの正体。それは「一緒に過ごして導いてしまおう」という、言ってしまえば今までBoundary Mountain Rangeの外で出会った人々にしてきた事を、故意に引き起こそうとしているだけのものだった。
Ability Valuesのincreaseは、【Guidance: Dark Demon Creator Path】の効果である。
ただKanako達はElfとHumanで、別に死を望んでいる訳では無いので【Hell Demon Creator Path Enticement】の効果が無い。また、「これをすれば絶対導ける」という確実な手段も思い至らなかったので、時間をかけて何となく導いているっぽい事をしたり、Vandalieuのblood液が原材料のBlood potionをjuiceと偽って飲ませたりしてきたのである。
「なるほど……Dungeonでも自分は後ろで指示するだけだったのも、その一環か」
「いえ、あれは念のために俺が戦っているところを見せないためですけど」
「あ~、そうか」
「では気を取り直して、Statusを確認してください。Rodcorte’s Divine ProtectionやFortuneは消えていますか?」
Rodcorte’s Divine ProtectionやFortuneは、Vandalieu以外のReincarnator達全員に『Origin』に居る時からついている物だとVandalieuとLegionの瞳はconjectureしていた。
しかし、ReincarnatorであるMinuma Hitomiの魂を含んでいるLegionのStatusには【Rodcorte’s Divine Protection】もFortuneも表示されていない。
そこからVandalieu達は、「Rodcorteのimpact下から外れると、blessingsやFortuneが表示されなくなるのではないか」という仮説を思いついた。
それでとりあえず、Kanako達を導けないか一週間ほど試してみたのである。
「【Status】……あ、消えてる」
「俺もだ。ついでに、【Target Radar】も消えたな。だけど【Hecatoncheir】はそのままだ」
「あたしも、【Venus】は残っていますね。便利だから良いんですけど」
そして三人's Divine ProtectionやFortuneも、ついでに【Target Radar】という一億以上のdeath attributeのManaを感知するUnique skillも消えたらしい。
「これで俺達の移住は認めて貰える……の……気のせいか、あんたが輝いて見える……」
「そう、良かった。私だけじゃないのね」
「Doug、Melissa、それは一時的な症状です。そのうち慣れます」
そしてGuidanceの効果で、彼等はVandalieuからcharisma性を感じる-samaになったようだ。
「今まで無表情だったから気がつきませんでしたけど……結構美少年ですよね」
「……あなたの前に居るのは『Earth』でモブだった、あなたと同じ年月を生きている人物です。冷静になってください、元Idol -san」
Kanakoがblood迷いかけたその時、家の扉が激しい音と共に蹴破られた。
「新入り共っ、Vandalieu -samaを一週間も独占していたんだから、これからはenduranceしなさい! blood迷うなんて言語道断!」
そして入って来たEleonoraによって、事態は鎮圧されたのだった。
実はこの家がある草原も、Vandalieuの地下工房に創られた実験用Dungeonの内部だった。Dungeonをより安全に居住spaceや娯楽施設として活用できないか、指定した階層にmonstersが生成されないように出来ないか実験する為に創った物を、流用したのである。
近くに在るDoug達が訓練をするのに使っていたDungeonの入り口は、入口に見えるように偽装した下層へ続く階段だった。
そう、Kanako達は既にTalosheimに移住していたのだ。
VandalieuのGuidanceの効果でRodcorteから切り離されただろうKanako達は、その後他のReincarnator達の情報を改めて提供した後、Talosheimの国民になるための本格的なguidance……法律やUndeadや他のraceとの付き合い方等の講義を受けた後、Vida's New Races化の儀式を受けるまでの間Legionの部下として配属された。
「監視の意味もあるだろうから、それは分かるんだが……結局あんた達はどんなconditionなんだ?」
相変わらずhoodを目深にかぶったローブ姿のLegionに、Dougは胡乱気な顔をして言った。
「相変わらずsignが変ですし、複数の声が一度に聞こえますし……確認しても良いですか?」
『そうね、これから一応私達の部下って事になるんだし』
『我々としても、ずっとこの姿で居るのは窮屈だしな!』
『bone格があるHumanの動きを真似するのは、今のあたし等には怠いからね』
『じゃあ、これから俺達本来の形状を見せよう。『Origin』のhorror映画やgameに出て来るクリーチャーを思い出して、気を強く持って。無理だったら諦めて』
『念のために物陰からVandalieuも見守っているから安心して。すぐ色々投与して貰えるから』
Legionの人格達から次々に声をかけられる度に、Kanako達の顔色が徐々に悪くなっていく。特に、ふと振り返ったMelissaは、本当に物陰からVandalieuが見守っている事に気がついて蒼白になった。
何故ならそれはVandalieuが見守らなければならないような事が、これから自分達の身に起こる事を意味しているからだ。
『最後に言っておくけれど、screechを上げて怖がっても私達は気にしないようにするから』
「いや、ちょっと段々遠慮したくなって来た気が――」
Dougの引き攣った声の途中で、ミヂミヂと何かが軋みながら膨張する音が響き、複数のscreechが迸ったのだった。
ただ意外とKanakoはすぐに衝撃から立ち直り、MelissaとDougもVandalieuの【Mind Encroachment】skillによるカウンセリングや、分泌した薬剤の世話になるような事にならなかったようだ。
そうして暫くKanako達にかかりきりになっていたVandalieuだが、事態は色々と動いていた。
彼女達が導かれてから暫く後、Vandalieuが定期的に訪れていた『Storm of Tyranny』との待ち合わせの場所に残されていた伝言から、Amid Empireで政変が起こる兆しがある事を初めて知った。
『God of Law and Life』Aldaが歴史上でもそう無い程、積極的にHuman社会に干渉している。そして、時期的にそれはVandalieu達に対しての動きであるとしか思えなかった。
ただEmperorの退位など、まだ表面には動きは出て来ていないようだ。
そして一方Vandalieuは何をしていたかと言うと、新年を迎えたばかりの冬の海で船を探していた。
「俺、結構Alda教的にも良い事をしている筈なんですけどねー。Demon King Army RemnantsのEvil God (P)とPure-breed Vampireを消滅させるなんて、大金星じゃないでしょうか?」
「でも、VanはAlda教の偉い人達に褒められても嬉しくないんだよね?」
「まあ、その通りなんですけどね」
七age、Humanに換算すると十ageと半年程になったPauvinaは、body partの大きさを無視してもVandalieuよりも年上に見えるようになっていた。
その彼女とVandalieuは、Nightmare Lord CarriageのSamのcarriageから顔を出して、外の景色を見ていた。
『いやはや、海は冬でも温かいですな』
「Boundary Mountain Range内部の海は、 Bahn Gaia continentの南にありますからね」
『陛下、あの船がいいんじゃないですか? 船首の飾りがカッコイイですよ』
「……Princess Levia、残念ながらあの船は前半分しか無いようだ」
南のコバルトブルーの海に、白い波を受ける岩礁、フジツボや貝類が張り付いた難破船に、『ア゛ア゛ァァ!』と絶叫を上げる船員のUndead達。
「うーん、でもどの難破船も似たり寄ったりのconditionですしね。Sizeの合う難破船の後ろ半分があったら、Undead Transformationする時にくっつけちゃいましょうか」
Vandalieu達は、『Storm of Tyranny』の伝言にあった略式の海図を使ってDemon continentへ行くための船を探していたのだった。
・Name: Kanako Tsuchiya
・Race: Elf
・Age: 1age(appearance age15age程)
・Title: 【Reincarnator】
・Job: Earth-Attribute Mage
・Level: 70
・Job History: Apprentice Thief、Mage、Archer、Thief
・Passive skills
Night Vision
Mental Corruption:2Lv
Intuition:6Lv
Detect Presence:5Lv
Death Attribute Resistance:5Lv
Enhanced Agility:1Lv
Increased Attack Power when equipped with a bow: Small
・Active skills
Earth-Attribute Magic:7Lv
Water-Attribute Magic:7Lv
Life-Attribute Magic:5Lv
Mana Control:6Lv
Singing:7Lv
Dancing:7Lv
Dagger Technique:4Lv
Unarmed Fighting Technique:3Lv
Archery:5Lv
Silent Steps:5Lv
Lockpicking:3Lv
Trap:3Lv
Throwing Technique:3Lv
・Unique skill
Venus:10Lv
Unique Skill Concealment (Lost!)
Target Radar (Lost!)
Rodcorte’s Divine Protection (Lost!)
God of Reincarnation’s fortune (Lost!)