「久しぶりだな、Amamiya。まあ、body partが無い魂だけのconditionでなら一年前に顔を見ていると思うが」
そう苦笑いを浮かべる【Mage Masher】のAsagi・Minami。彼の後ろには【Ifritah】のShouko Akagi、そして【Clairvoyance】のTatsuya・Tendouが続いた。
二人はAsagiと違い、明らかに警戒した-sama子でLegionを意識していた。
「……うげぇ。どうしてあんた達がここにいるんですか? 事前の取り決めでは、あたし達が彼に接触している間は不干渉の筈ですよ」
reincarnationする前にRodcorteのDivine Realmで交わした約束では、VandalieuとReincarnatorが接触している間は結果が出るまで他のReincarnatorは関わらない事になっていた。
それを破るなんてどう言うつもりだと責められても、Asagiは気にした-sama子も無く答えた。
「元でもIdolが出していい声じゃないな。
その約束はMurakamiとしたもので、あいつ等から更に分離したお前等にまで気を遣ってやる必要は無い……なんて屁理屈を言うつもりはない。
Amamiyaに気がつかれていなかったら、お前等の用件が終わるまで口を挟むつもりは無かった」
「だったら、出て来ないでそのまま消えてくれても良かったのに」
「無理言うな。素直に出て行かなかったら、敵だと勘違いされて攻撃されていただろ。なあ、Amamiya?」
『当たり前だ! お前達の間のruleなんて我々は知らん! 知っていたとしても、それに合わせてやる理由は無いのだからな!』
LegionのValkyrieの言葉を聞いて、Kanakoはこの件でAsagiを追及するのは止めた。内心では結局屁理屈じゃないかとAsagiに文句を言いたかったが、Vandalieuの前で彼等と不毛な言い争いをしても自分達の印象まで悪くなるだけだと思ったからだ。
『それで、あなた達はどうしてここに来たの?』
「さっきはValkyrieで、今の声はPlutoか……。それはこいつ等がAmamiyaに取り入ろうとしているって知ったからだ。それで自分達にとって都合の良い情報を捏造して伝えたり【Venus】の力でAmamiyaを操ろうとしたりしないか、-sama子を見ていたんだ」
RodcorteのFamiliar SpiritになったAran達から、【Familiar Spirit Advent】を使用した時Kanakoの動向を知らされたAsagi達は、旧Scylla Autonomous Territoryまで向かい、そこからTendouの【Clairvoyance】で彼女達を探し出した。そして、彼女達を見張っていたのだ。
その際、Asagi達はAranから「絶対にVandalieuと戦ったりするな」と強く忠告されている。Asagiはoriginally彼を説得するつもりだったので気にはしなかった。何故そんなに念を押されるのか逆に首を傾げたぐらいだ。
ShoukoとTendouは忠告された時に嫌な予感を覚え、いざと成ったらAsagiを何としても止めようと今も彼とVandalieuの動向にnerveを尖らせている。
「そんなつもりはありませんでしたけど……疑われるのは自業自得ですしね」
一方Kanakoは口では殊勝な事を言ったが、内心では苦虫を噛み潰してしまったような気分だった。それぐらい彼女達にとってAsagi達がここに居合わせたのは不都合だったからだ。
自分達が『Origin』で裏切った相手であるし、彼等はKanako達が持っている情報を全て知っているからだ。
それどころか、こうしてreincarnationした後もFamiliar SpiritになったAran達から情報提供を受けられる彼等の方が、情報では優位に立っている。
『【Mage Masher】、私達がKanako達のAbilityに対する対策を立てないで来ると思ったの?』
Kanakoの【Venus】の本当の力がemotionsやMemoryのCopyと貼り付けである事を知らないVandalieu達だったが、Mentalにimpactを及ぼす類のAbilityである事は察しがついていた。だからそれらの効果を受けないVandalieuとLegionの二人で来たのだ。
更にKanakoと一緒にいるMelissaのBarrierを張る【Aegis】のAbilityも、BarrierをNullificationにする特性があるVandalieuの【Demon King Fragment】を使えば、破る事が出来るとconjectureできた。
DougのMental Power【Hecatoncheir】も、彼が認識できないDisease原菌を【Disease Demon】のJob効果と【Hell King Magic】で作れば問題無い。
そしてletterにnameのあった三人以外の者が隠れ潜んでいた場合に備えて、『King Slayer』のSleygarを始めとした戦力を用意している。周囲と、Vandalieuの体内に。
なので余計な御世話だとLegionの声に混じる険が強くなるが、それを誤解したのかKanako達がやや慌てて口を開いた。
「念のために言っておきますけど、こいつ等と手を組んであなたを嘘のletterで誘き出したとか、そんなつもりはありませんから」
「本当よ。確かに、結果的にはあいつ等を連れて来た事になるけど……その点は謝るわ」
しかし、VandalieuとLegionは「それは分かっています」と彼女達の言葉に頷いた。
「そんな-sama子は在りませんでしたからね」
『あたし達は、あの三人が隠れている事に最初から気がついていたさ』
『だから暫く話して-sama子を見たが、組んでいる訳では無さそうだと思った』
Kanako達に話しかける前に、Asagi達三人が彼女達を見張るように隠れている事にもVandalieu達は気がついていた。
その上で、もしもTrapだった場合も考えて準備してから話しかけたのだ。
『改めて警告だ、妙な事はするな。お前達の周りには、噂になっているNeck-Hunting Demon以外にもcountlessの戦力が配置されている。二度も首を落とされたくは無いだろう?』
Legionから順に発せられたBaba YagaやEreshkigal、そしてGhost、自分達が前世で殺し合った相手の声に、Asagi達三人はそれぞれ表情に苦さや怒りを滲ませたり、顔色を青くしたり、それぞれ反応を露わにした。
『妙な事の中には、あなた達がお互いに争う事も含まれているからそのつもりで。Vandalieuは、話を聞くつもりでここに来たのよ。それを邪魔する者は排除するわ。
それでKanako達の用件はもう聞いたけど、【Mage Masher】の用件は彼女達を見張るだけなの?』
Plutoに促されたAsagiは、「certainly他にもある」と言ってVandalieuに向き直った。
「Amamiya、俺はお前を止めに――」
「違います」
だがその彼の声を、Vandalieuは遮った。
「違うって何がだ、Amamiya? 俺はお前を本当に止めに来たんだぞ」
「俺はAmamiya Hirotoではありません。今の俺は、Vandalieu Zakkartです」
それまでAsagiに視線を合わせず、話しかけられても答えなかったVandalieuは、観念して彼にそう告げた。出来ればこれくらい言わなくても察して欲しいと思っていたのだが。
「何を言っているんだ、お前は俺達の仲間のAmamiya Hirotoだ。そうだろう?」
怪訝そうな顔でそう聞き返すAsagiに、Vandalieuは肩を落とした。
「確かに俺は『Amamiya Hiroto』でした。しかしそれは三十年以上前の事ですし、もうそのnameに愛着はありません。以後、俺の事はVandalieuと呼んでください。
あと、俺はお前達の仲間ではありません」
今のVandalieuにとって「Amamiya Hiroto」のnameは、既に自分のnameだと思えない程思い入れの無いものだった。
過去を否定するつもりは無いし、無理に忘れ去ろうとも思わない。しかしそのnameで呼ばれる事に、違和感を覚えてどうしようもないのだ。
「お前……本気で言ってるのか? another worldにreincarnationしたからって、お前が『Earth』でAmamiyaだった事は――」
「Asagi、彼はVandalieuだ。それで良いだろ」
「あたし達はreincarnationしても殆どnameが変わらなかったけど、彼は違う。色々あるんだよ、きっと」
怒鳴りかけたAsagiを、TendouとShoukoが宥めて冷静になるよう促す。それでとりあえずは納得したのか、一端黙って呼吸を整えてから、再度口を開いた。
「分かった。Vandalieu、で良いんだな? 何で姓がZakkartなのか気にはなるが……それは一先ず置いておく。
Vandalieu、俺達はお前を止めに来たんだ。death attributeのmagicを使うのを止めるんだ、出来れば今すぐにでも」
「無理です。他に用件はありますか?」
「……俺は、真剣に言っているんだ。もっとよく考えてくれ」
「……もっとよく考えてから言ってくれ、っと俺はあんたに言いたいです」
何かに耐えるように肩を震わせるAsagiと、その後ろで「やっぱりな」と言いたげな顔をしている二人。それを見るVandalieuも、見た目は無表情で泰然としているようにしか見えないが、実際は苛立ちとpsychological Fatigue感に耐えていた。
内心このまま戦った方が楽なのではないかと思うが、それをするとまだ『Origin』で生きているReincarnator達がこの『Lambda』に生まれ変わって来る時に、面倒な事になりかねない。
まだ話し合いの形が保たれているし、AsagiとVandalieuはただ意見と価値観が対立しているだけだ。
それだけの理由でVandalieuがAsagiを排除しようとすれば、彼の方が悪者に成ってしまう。
そのためVandalieuがstressに耐えている間、Asagiもそれなりに考えたらしい。「もしかして」と呟いた後、彼に向かって頭を下げた。
「『Origin』で助けられなかった事、気がついてやれなかった事を恨んでいるならすまなかった。今更何を言っても言い訳になるが……俺達は本当にお前がreincarnationしていると知らなかったんだ」
どうやら、Vandalieuの自分に対する態度の原因が前世の因縁に在ると考えたようだ。
「そうだ、まず謝るべきだった」
「本当にすまない。もっと早く気がついていれば、あんな事には成らなかったのに」
「すみません。必死だったので謝罪が遅れました」
「ああ、すまない」
それで気がついたのか、ShoukoとTendou、それまで-sama子を見ていたKanako達まで頭を下げて謝罪の言葉を述べる。
その彼等に、Vandalieuはゆるゆると首を横に振った。
「前世の俺の事はどうでもいいです。面倒なので、忘れてください」
そう告げると、頭を下げたAsagi達は頭を上げ、驚いた顔を彼に見せた。
「どうでもいいって、あんなに恨んでたんじゃないのか? 俺達の事を殺してやるって」
思わずそう尋ねるDougから、Vandalieuは反射的に視線を逸らした。
「『Origin』で死んだ直後、Rodcorteの前で喚いた事を言っているのなら本当に忘れてください。
あれは、Mentalが高ぶって半ば以上正気を失ったconditionで口走った恨み言なので」
冷静さを取り戻した後改めて考えてみると、最も悪いのはVandalieuに何も与えずreincarnationさせたRodcorteであって、Reincarnator達では無かったと分かった。
certainly、だからと言ってReincarnator達に対して恨みが無いわけではないが……しかしあれから十年以上経っている。その間-sama々な出来事があり、Vandalieuの立場も大きく変化している。
そのためReincarnator達が前世の自分を助けず、殺した事はVandalieuの中では大きな事では無くなっていた。単に、Reincarnator達を積極的に探し出して殺して回るほど暇では無いという理由が最も強いが。
「そう、だったのか? いや、そう言ってもらえると助かるけど」
似たような事は大分前に【Gungnir】のKaidou Kanataに対しても言ったはずだが、彼等に伝わっていなかったのか、それともKanataを油断させるために言った嘘だと解釈したのか、Dougは驚きと戸惑いが混じった表情で首を傾げる。
「そうなのですよ。あ、もしかしてあなた達に話すと他のReincarnatorにも伝わったりします? もしもし、俺を殺した事やあなた達の存在自体も、どうでもいいとしか思っていませんからねー。態々謝りに来られる方が迷惑ですからねー」
「うお!? 近いっ、近いって!」
『Vandalieu、落ち着いて。彼の目はcameraのレンズじゃないわ』
【Flight】で飛んで、他のReincarnatorに伝えるためにDougに迫るVandalieuと、間近に迫る死んだ魚のような瞳に怯えて仰け反るDoug、そして諌めるLegion。一見してコミカルなやり取りだが、それを聞いているKanakoやTendouはとても笑う事は出来なかった。
(存在自体どうでもいいって……許した訳じゃなくて、単に無関心なだけですよね!?)
(好きの反対は無関心って言うが、正にそれだな)
Vandalieuの言葉が寛容からでは無く、無関心からだと気がついたからだ。
「Asagi、やっぱり諦めた方がいい。このまま引き上げよう」
TendouはそうAsagiに耳打ちした。しかし、彼はそれで納得するような男では無かった。
「いや、『Origin』の時とは状況が違う。俺は今度こそあいつを、言葉で止める」
Tendouの忠告に耳を貸さず、AsagiはDougとじゃれているように見えるVandalieuに話しかけ、強引に説得を再開した。
「Vandalieu、聞いてくれ! 状況はお前が考えているよりも悪くなっている! このままだとお前のせいで、このworldが大変な事になる!」
「……まあ、そうでしょうね」
「気がついていたのか!?」
「俺が今まで何をして、何と戦って倒して来たと思っているんですか」
平坦な声からでも感じられるほど、怠そうな-sama子でVandalieuは答えた。
滅ぼされていたTalosheimの復興に、この旧Scylla Autonomous Territoryの占領。そして何より『God of Law and Life』AldaのDivine Authorityで封じられていた『Goddess of Life and Love』Vidaの解放。そして『Trial of Zakkart』攻略によるChampion Zakkartの姓を継承。
倒した相手もAlda believerのGordan High Priestに、Amid Empireの『Fifteen Evil-Breaking Swords』を四名。Orbaum Elective Kingdom側ではHartner DuchyのKnight団と、Sauron Duchyを取り返そうと戦っていたResistance organizationを一つ。
GodsではTerneciaとGubamonのPure-breed Vampire二柱に、『Evil god of release』Ravovifard。後、nameも知らない神を一柱程食べているらしい。
Boundary Mountain Rangeの外部にまでimpactが出ているだろう事をざっと上げただけで、この数である。流石のVandalieuも、これで大変な事にならないと思う程暢気では無かった。
尤も、Asagi達Reincarnatorは全てを知っている訳ではない。Vidaのrevivalや『Trial of Zakkart』攻略等は、まだ察しているかも怪しい。
「分かっているなら、何で止めない!? このままだと冗談抜きでお前はworldを敵に回す事になる! このworldの神と人々はUndeadを創り出し操るお前を認めないぞ!」
Asagiが危機感を覚え、訴えるのは彼が一年と数か月Orbaum Elective Kingdomで、このworldのHuman社会で過ごした経験からconjectureした事だ。
このworldで最も多くのHumanが信仰する『God of Law and Life』Aldaを頂点としたAlda教はcertainly、少数派のVida believer達もUndeadの存在は許容していない。それどころか、私欲からUndeadを創り出し操り死者を冒涜する行為は、どのtempleでも邪悪な行いだと教えている。
VandalieuのDeath-Attribute Magicがどれ程有用でも、Undeadを僕に使っている限り人々は彼を受け入れる事は無い。
そしてこのconjectureは、意外な事にそう的外れでは無い。Amid EmpireのEmperor Mashkzarも、Vandalieuの今後について、近いconjectureをしているからだ。
AsagiのconjectureはUndeadに対する人々の心情的な要因に基づいており、MashkzarのconjectureはVandalieuのこれまでの行動と、Human社会の国々との相性の悪さに基づいているなどの違いはあるが。
「幾らお前が桁外れなManaを持っていたとしても、world中を敵に回したら絶対に勝てないぞ! お前がfragmentを取り込んでいるDemon Kingだって、それで負けたんだ!」
実際、今のVandalieuよりも強大な力を持っていたはずのDemon King Guduranisは、十一柱のGreat Godの内四柱を滅ぼし、Continent一つを汚染し尽くし、Championの内四人を砕き、人類を絶滅寸前まで追い込んだが、残ったChampion三人に討ちとられたのだ。
「だから、それは分かっています。俺はworld全体を敵に回さないようにしていますよ」
そう言うVandalieuがAsagiを、話し合いの姿勢が崩れない間は彼を攻撃しないのはそのためだ。
自分と意見が異なる、価値観が違う、宗教や宗派が別。たったそれだけの理由で他者を殺すような危険人物が、もしworld有数の強大な力の持ち主だったら。
world中の人々は危険人物を排除するために必死になるだろう。
しかし強大な力の持ち主でも、話し合いが成立する相手ならそうはならないはずだ。どうしても分かり合えない者もいるだろうが、それでも争いにまでdevelopmentする事は少ない筈だ。
Vandalieuはそう考えているのである。……その結果が今のworld情勢なのが、微妙なところだが。
「それじゃあ足りないんだ。death attributeは確かに便利かもしれない、『Origin』では大勢の人がそれで助かった。だが、死人を弄ぶような真似を認める奴は――」
『Asagi -kun、あなたが思っているより認める人はいるわよ』
しかし Legionからそれを真っ向から否定する発言がなされた。
「……Vandalieuを狂信しているお前達の言葉は信用できない。それにこれは、Earthから『reincarnation』してきた者同士の話しだ。悪いが、少し黙って――」
「ちょっと待って!」
Asagiが口を挟んだLegionに黙るように言ったのを、Melissaが遮った。邪魔されて苛立ちを覚えた-sama子のAsagiだったが、続く彼女の言葉でそれどころではなくなった。
「その声、もしかして瞳? 【Gazer】のMinuma Hitomiなの!?」
『そうよ、Melissa。今まで皆に任せて黙っていたけど、私も最初からここにいて話はずっと聞いていたわ。
Asagi -kun、私も話しに加わって良いわよね。私も『Earth』からreincarnationしてきたんだし』
そうhoodの奥から自分に向けて発せられた言葉に、Asagiは驚いた表情のまま「ああ」と頷いた。どうやら彼等は、『The 8th Guidance』のmemberばかり発言していたので、Legionの中に瞳が含まれている事に気がつかなかったらしい。
『じゃあ、続けるけれど……Asagi -kun、Vandalieuのしている事を認めているKami-samaも結構いるのよ』
「Kami-samaが!? Undeadを創り操る事をか!?」
『そうよ。有名どころだと、VidaとかRicklentとかZuruwarnとか……基本的にVidaの派閥にいるKami-samaは、皆Vandalieuのallyだと思って良いわ』
「……大物ばかりだな。でも何でそこまで断言できるんだ? Kami-samaの意思なんて、実際に会いでもしないと分からないだろ」
『私は会っていないけど、Vandalieuは会ったのよ。ね?』
「はい、会いました。そして直接質問して確認しました」
瞳とVandalieuがBoundary Mountain Range内部では既に知れ渡っている事実を伝えると、Asagi達は驚きで目を丸くした。
God of ReincarnationであるRodcorteのDivine Realmで彼と何度も会って言葉を交わしている彼等だが、それは例外で基本的にGodsとは会いたくても会えるものでは無い。そんな認識があったようだ。
そしてその認識は概ね正しい。このworldでは『Earth』よりも神の存在が近いが、選ばれたClergymanでもGodsの声をOracleの形で一方的に聞くだけだ。直接会って言葉を交わす機会など、自身が死後Familiar SpiritやHeroic spiritにでも昇華しないかぎりあるものではない。それが常識だ。
だがVandalieuはその常識に当てはまらないのだ。
「Pluto達の魂をZuruwarnとRicklentがRodcorteに渡さなかった時点で、Kami-samaの幾柱かは俺達を認めていると察せられると思うけれど……まあ、Rodcorteが全てを教えるとは限らないだろうから、責めないでおきましょうか。
俺も、Godsの事情を全て知っている訳じゃ無いですし」
「いや、でも今まで俺が話を聞いたChurch of Vidaじゃそんな事一言も……」
『このworldでもKami-samaは、全てのtempleのClericと何時でもaccurateに意思疎通が図れる訳じゃ無いの。Church of Vidaが変わるとしても、もう少し時間がかかると思うわ』
「そ、それもそう、なのか?」
『Asagi -kun……【Mage Masher】、これでVandalieuがworld全てを敵に回す事は無いって分かってくれた? 信じられないならそれで構わないけど』
そう言われたAsagiは、正直に言えば半信半疑だった。出来ればどのような経緯でGodsに会い、そして具体的にどんな話をしたのか聞きたかったが……。
「あたし達は信じます! っと、言う訳で改めて亡命をお願いしたいんですが」
「亡命と言うか、この場合移住ですよね。それには一つ提案があるのですが、聞いてもらえます?」
だが、Kanako達は少しでも隙があると割って入って話を変えようとし、しかも Vandalieuまで彼女達に対応しようするため、詳しく話を聞きだす余裕は無かった。
「分かった、とりあえず信じる。だが、神だって判断を間違う事もある。このままworldにとって異物であるdeath attributeのManaを使い続けたら、取り返しがつかない事が起こるかもしれない。
あまみ……Vandalieu、お前だってUndeadだけのKingdomでworldを征服しようとか、そんな事は考えてないんだろ?」
「はあ、それはcertainlyそうですけど」
Vandalieuはそう答えながら、Asagiが何故death attributeを無くすことに拘るのか考えていた。
そしてconjectureした結果、彼の中の常識と宗教観がUndeadの存在を認める事が出来ず、それがdeath attributeへの嫌悪に繋がっているのではないか。そして嫌悪から、death attributeを大量殺戮兵器のような危険なものと同一視しているからではないかと思った。
(だとしたら、厄介だな。前半はどうしようもない話だし、後半も間違っている訳じゃ無い。ただ、俺のManaの量なら、使えるmagicがdeath attribute以外のattributeだったとしても、危険度は変わらなかったと思うけど)
今のVandalieuのManaは五十億を超える。これだけあればFire-Attributeなら地上に小さな太陽を創る事が出来ただろうし、水なら南国を氷原で覆い、Wind-Attributeなら雷で空を満たし、土attributeなら地殻変動を起こす事も可能だっただろう。光や生命だったとしても、危険度は同じようなものだったはずだ。
そして無attributeのmagicでもspaceを穿つ事が出来る。
つまりAsagiの危惧は、VandalieuがDeath-Attribute Magicを使うのを止めても消えないのだ。
(説明しても理解してくれるか怪しいので、しませんけど。後、Undeadの交配実験の事は黙っておこう)
「言っておきますが、death attributeのmagicを使うのを止めろと言うのは無理です。俺個人だけではなく、俺が治める国に破綻しろと言うのと一緒ですから」
Talosheimのインフラや-sama々な産業は、VandalieuのDeath-Attribute Magicに頼っている。
Talosheimを守る城壁やArchitecture物、そして工場で動いているのは全てGolemだ。城壁で外敵に備えているcrossbowはCursed Weapons化している。
倉庫の食料が腐らず鮮度を維持しているのも、-sama々な発酵食品を製造しているのも、衛生conditionを維持するためのDisinfect液を作っているのも、街灯代わりのDemon Fireも、全てdeath attributeのManaで動くmagic itemだ。
それらが全て動かなくなれば、国家運営に大きな支障が出る。特にGhoulの場合、生殖Abilityと胎児の生存率を向上させるmagic itemが機能を停止すれば、raceを維持する事がまた難しくなってしまう。
Asagiがdemandしている中に既存のUndeadの排除も含まれている場合は、人口まで激減してしまう。
そんな事をdemandされても応えられるはずが無く、どうしてもと迫られれば戦争か殺し合いにdevelopmentするしかない。
「そもそも、death attributeを止めろと言いますが、具体的にどうしろと?」
magicを使わないだけなら簡単だが、attributeの適性は生理運動と同じだ。VandalieuにとってAsagiのdemandは、永遠に汗をかくなと言っているのに等しい。実現はとても不可能だ。
「幾つか方法がある。まず、Pseudo-的に死ぬ……仮死conditionになってRodcorteのDivine Realmに行って他のattributeの素質を――」
「あ、Rodcorteが関わる方法以外でお願いします」
「……やっぱりダメか」
Asagiは前もってRodcorteから幾つか聞きだしていた、Vandalieuからdeath attributeを封じる方法を説明しようとしたが、Vandalieuに拒否されてしまった。
似たnameの他人と間違える。そんなmissを犯したRodcorteを、Vandalieuが信用できるはずはない。そもそも自分を殺そうとしている神を警戒するのは、当然だろう。
「なら……今は仕方ないな」
AsagiはそんなVandalieuを、このworldにreincarnationした当初はRodcorteをもう一度だけ信じるよう説得するつもりだった。しかし、Aran達からKanakoの情報を聞いた時に教えられていたのだ。『Rodcorteを、絶対に信用するな』と、何度も。
RodcorteがVandalieuを警戒するあまりに、『Lambda』や『Origin』を含めた複数のworldをCircle of Reincarnationを運行するsystemから切り離そうとした一件。
その詳細はCircle of Reincarnationに関わる事であったため、Aran達は既にreincarnationして『Lambda』のHumanと成っているAsagi達に伝える事は出来なかった。
だが、それまでは口にした約束は守って来たRodcorteが本格的に信用できなくなった事だけは教えようとしたのだ。
そのAran達の忠告と、瞳からの情報。この二つからAsagiは自分の考えを強行する意思を失っていたのだ。
(Tendouの言う通り、ここは引き下がった方が良いな。このworldの事をもっと調べて、Rodcorteの力を借りないdeath attributeのsealed方法を探して、それから改めて説得しないと良い返事は貰えそうにない)
ただ、death attributeは存在してはならないという認識と、Vandalieuを説得すると言う目的を変化させてはいなかったが。
そんなAsagiの胸の内を見抜けないVandalieuは、彼があっさり引き下がった事に首を傾げたが、何も言わなかった。
「だが、忠告はさせて貰う。Vandalieu、こいつ等を仲間にするのは止めておいた方が良い、俺達『Bravers』はcertainly、Pluto達『The 8th Guidance』も裏切った奴等だ。きっとお前の事も裏切るぞ」
「なっ!? 今度はこっちの事に口出しですか!?」
「テメェっ、自分が上手くいかなかったからってこっちの邪魔をする気かよ!」
いきなり矛先を向けられたKanako達は反射的に言い返す。
『他人の足を引っ張ろうとするのは、みっともないわよ』
『大人としてどうなのかと思う』
「そうだそうだー」
そして、何とPlutoと瞳、そしてVandalieuもKanako達の尻馬に乗った。
まさか裏切られた張本人であるLegion達がそう出るとは思わなかったのか、Asagiはcertainly Kanako達も驚いて動きが止まる。
「ちょっと待ってくれ、何であんた達がそっちに着くの? そいつらにPlutoは裏切られたし、瞳は利用されたし、Vandalieuはどうでもいいって言っていたじゃないか」
口が動かないAsagiの代わりにShoukoがそう尋ねると、Legion達は順々に答えた。
『確かに形としては、私達『The 8th Guidance』は彼女達に裏切られたけど……別に恨んでないのよね』
『originally MurakamiやKanako達が我々を裏切る事は知っていたからな! 結果その通りになっただけだぞ!』
『寧ろ、あんた達を誘き出して殺すのにとても有用だったからねぇ。感謝しても良いぐらいさ』
『Pluto達の死体を持って行かれたのは悔しいけど、恨むって感じじゃないな。僕達が皆死んだ後の話だし』
『グウ゛ルゥルルル』
「ええぇ? 恨まれないのは好都合ですけど意外過ぎて戸惑うんですけど?」
Kanakoがそう口に出すくらい、Legion達は彼女達に対する恨み辛みは無かった。
『戸惑われても困るけど……前世でのあたし達の最終的な目的って、『手の込んだ自殺』だったからさ。出来るだけ心残りが無いように舞台を整えて、好きなだけ暴れて、あの世でまた会おうって。だから手伝ってくれたKanakoやMurakamiに恨みは無いのさ』
Baba Yagaの声でされる説明である程度理解できたのか、Melissaは「なるほど」と頷いた。
しかし、それなら何故『Bravers』だった自分達への対応に険があるのか。そんな疑問がTendouの顔に浮かんだのに、瞳は気がついた。
『それとShouko……【Ifritah】、【Clairvoyance】、私の未来を見る【Gazer】の力を利用したのは『Bravers』も同じだから。その後ドラッグに手を出したのは、私自身が弱かったせいだけど。
Kanako達がそんな私をsickroomから連れ出してくれたお蔭で、Plutoの治療も受けられたし、Jackにも会えたわ』
『だから瞳-chanとJackには、MurakamiやKanakoはキューピッドなんだよ。まあ、Vandalieuを殺そうとするなら許さないけどね!』
LegionのKanako達に対する好感度の微妙な高さは、そうした瞳とJackの心理が関係しているからのようだ。
因みにVandalieuの態度はLegion達にimpactされているのと、Asagiが『Earth』の頃から苦手なだけだ。
『それに、殺し合った理由が違う。こいつ等は欲からあたし等を利用して殺そうとしたけど、あんた達は正義だとかそんなもんからだろ?
欲なら利害が一致する事もあるだろうけど、あんたの正義はあたし等の正義と一致しないだろうからね』
Baba Yagaの声でそう説明されると、Asagiは肩を落として息を吐いた。
「……出来れば、二度もお前達と殺し合いはしたく無いしな。分かった、これ以上は口出しせずに引く事にする。
またな、Vandalieu」
そう一方的に言うと、Asagiは身を翻して歩き去る。
「【Death Scythe】がお前を殺そうとしたあの時、俺はあいつらに利用されただけで加担する意思はなかった。信じてもらえるかはわからないが……。
Asagiについては、出来るだけあんた達に関わらないよう説得してみるから、今は見逃してくれ。」
別れ際、Tendouはそう言ってから、Shoukoは無言のままついて行った。
暗くなってきた山道を遠ざかっていく三人は気がついていないだろうが、その背後をSleygar達が尾行している。
そしてしばらくたった後、Vandalieuは呟いた。
「あいつ、『またな』って言いましたよね? ……今からでも始末しちゃダメですかね?」
『それをやると、これからreincarnationしてくる『Bravers』の危機感を煽って団結して立ち向かってくる流れを促すだけじゃないかな?』
Cheat Abilityを持つReincarnator達は、一人や数人までならin any case、訓練された部隊を構成されると非常に厄介だ。今Asagi一人を倒しても、それで残りの数十人が対Vandalieuの為に個人の心情を超えて団結されるのは避けたい。
出来れば、『Origin』で揉めて分裂したままのconditionを維持してくれるのが、最も都合が良い。
「そうですね……じゃあ、移住の話に戻りますけど」
Enmaの言葉に同意したVandalieuが視線をKanakoに向けると、彼女は勢いよく手を上げた。
「その事で、是非提案したい事があります! 何故かは私にもわかりませんけど!」
「何でしょう?」
「あたし達をVida's New Races、Vampireとかにすると良いと思います!」
唐突なKanakoの提案に、目を瞬かせるVandalieu。
「聞いていないわよ、Kanako!?」
「おい、どう言う事だ!?」
そしてMelissaとDougの二人も、この提案について何も知らなかったのか、慌ててKanakoを問い詰めた。
「言っていませんでしたからね。ただ、この提案を受け入れてもらえると、あたし達は信用されやすくなる気がするんですよ。
詳しい訳は忘れましたけどね」
そう悪びれた-sama子も無く二人に、説明とも言えない説明を口にするKanako。
「驚きました。実は、俺達は同じ事をあなた達に提案し、それを移住の条件にするつもりでした。Vampireじゃなくても構いませんけどね」
『話がスムーズで助かるわ』
そしてVandalieu達の言葉を聞いて、再びMelissaとDougは驚くのだった。