Lucilianoは真剣な顔で、幾つものケージの中の実験動物達……Breeding活動に励む小動物を観察していた。
mouseやウサギ、小鳥やカエル、ヘビや昆虫等、その種類は-sama々だ。頭に角の生えたHorn Rabbitや、中型犬と同じ大きさのBigフロッグ等、Rank1までだがmonstersまで含まれている。
ここまでなら研究者の観察と実験の対象としては、珍しくないだろう。だが、その組み合わせが異-samaだった。
mouseと昆虫、ウサギとヘビ、Horn RabbitとBigフロッグ……実験動物たちは、野生では絶対に交配しない異種と交配しているのだ。
だが、更に異-samaなのは実験動物が全て普通の意味で生きていない事だった。
これは、Undead Transformationした動物の異種交配実験なのだ。
「経過は順調……なのだろうかね? 交尾はしているし」
そんな異-samaな、Alda believerじゃなくても「生命への冒涜だ!」と叫びそうな実験recordを付けながら、Lucilianoはそう呟いた。
「それは喜ばしい。また一歩、Vandalieuは生命の神秘に近づいた」
そう彼に返したのは、ElfのBishoujoに見える憑代に宿ったEvil God (M)、Gufadgarnである。彼女は、彼女が信奉するVandalieuと同じくらい無表情だが意外と饒tongueだ。瞳も、狂信の光が炯々と輝いている。
「Vandalieuが創りだした新たな物質、life goldを移植したUndeadの交配による次世代の誕生……この実験が成功すれば、歴史にまた一つVandalieuの名が刻まれる事でしょう」
ただ、口にするのはVandalieuに関する事が殆どだが。
それはともかく、Lucilianoがrecordを付けているこの実験はUndeadの交配実験だった。
通常、生前どんな生物だったとしてもUndead TransformationするとBreeding活動を行う事は出来ないし、その欲求も薄れる。
特定の異性に対する執着や愛情を抱えたままUndead Transformationした場合はその限りでは無いが……それでもEnergyを吸う事が目的になっていたり、libidoがそのままappetiteに変化していたりする。
Body的に死んでいる以上子孫が作れないのは至極当然の事……なのだが、それをVandalieuは克服しようと試みている。
death attributeのManaを浴びた金や銀が変化する事で作られる魔導金属「life gold」や「spirit silver」を実験用Undeadの内臓に移植し、「交尾しなさい」と命令して。
そしてこの実験は、実は既にある程度の成果を収めていた。生前同種、若しくは近い種だったUndead同士の場合のBreedingに成功したのだ。
今は産まれた第二世代が正常に成長できるのか、そして生前異種だったUndead同士での交配実験を行っている。
「しかし、まだまだ先は長い。師Artisanは最終的には、Bodyの無いAstral系UndeadのGhostや、Living Armorも子孫を残せるようにしたいらしい。
Undead同士だけでは無く、Undeadと生者の組み合わせでも可能にするのが当座の目標だが……生きている実験動物は、師Artisanの命令だけで交尾してくれないのが問題だがね」
この実験の目標は、Undead同士の交配を繰り返す事で最強のUndeadを創り出す事や、死体を利用せずとも新たな僕をCreationできるようにする事では無い。
BorkusやRitaやSalire、Princess Levia等TalosheimのUndead達がchildを得られるようにするためだ。そのため、目標設定が高いのも当然である。
「Boundary Mountain Rangeの外で、mountain bandit等を生け捕りにすれば解決するのでは?」
「……そうなのだろうが、流石に彼らの生殖活動を観察するのは気が進まないね。私は」
「では、その役目を代わりましょう。Vandalieuの偉業達成の為に」
「それは-kunのappearanceだと辞めておいた方が良いと思うのだが……ところで、-kunが大好きな師Artisanの所に行かなくて良いのかね?」
この交配実験も城の地下にあるVandalieuの工房で行われているのだが、頻繁に遊びに来るPauvina達年少組の情操教育に悪いという事で、壁を建てられて隔離されていた。
そして今、ここにVandalieuは居ない。
「そのVandalieuの言葉に従って、私はここに居る。親子の極めて繊細な話し合いが行われているらしく、その間離れていてほしいと」
Gufadgarnの言葉から、Lucilianoはこのroomの外で誰が何について話し合っているのか、すぐに察した。
「ああ、ZadirisとBasdiaか」
GhoulのRankとraceについて深く関わる話題の筈なので、彼女達の話し合いに興味が無い訳では無い。しかし自分がその場に居たら不用意な発言をして、Ironクローか何かを食らう事に成りそうなので止めた方が良いだろう。
「後で、師Artisanに聞く事にしよう」
果汁を炭酸水で割ったjuiceを人数分用意したVandalieuは、緊張感を漂わせたBasdiaとZadirisの間に座っていた。
「kaa-sanには今まで言えなかったのだが、実は私も『Trial of Zakkart』でRank upした」
思いつめた-sama子でそう告白するBasdiaに、Zadirisは「そうか」と力無く微笑を返した。
「儂に言えなかったと言う事は……そういう事なのじゃな? Rank upして変化したrace名は……」
「ああ、Queenだ。Ghoul Amazoness Queen、それが新しい私のrace名だ。Statusにも、そう表示されている」
Ghoul Amazoness Queen。
Rank10の、ほぼlegend上の存在とされているGhoul Amazoness達を統率するQueen。Rank upしたBasdiaは、そのraceに変化していた。
「Basdia、確認なのじゃが……Queenになる前はPrincessだったりはしなかったのじゃな? Ghoul Amazoness Princessになってから、Ghoul Amazoness Queenになった訳では無く」
「そうだ。Ghoul Amazoness Chiefから、Princessを経ずにGhoul Amazoness QueenにRank upした」
「そうか……」
沈痛な表情で、暫し黙り込む母娘。cupの中の氷が動いて、からんと音を立てた。
「すまない、kaa-san。kaa-sanの夢というか、希望を否定する事になってしまって」
「いや、気にする事は無い、Basdia。Rank upすれば、Princessから自然とQueenに変化する。そんな儂の考えの方が、浅はかだったのじゃ」
現在Rank11のGhoul Wizard High PrincessであるZadirisは、来年三百ageを迎え娘どころか孫もいるのにと、race名にPrincessが付く事を気にしていた。
彼女はrace的な特性によってappearanceこそ十代前半のShoujoで成長が止まっているが、以前は百名のGhoulを率いる族長であり、Talosheimに移住した今でもGhoul達から一目置かれるmagicの達人である。
それがPrincess、姫とは微妙なのではないかと。
そのため、race名にQueenとあるGehenna Absolute Queen BeeのQuinnや、女帝であるSkogsrå EmpressのEisenに相談を持ちかけて困らせたり、彼女なりに姫からQueenにRank upするための努力をしてみたり、Transform杖でTransformする時のcostumeを一部変更するようVandalieuに頼み込んだりしていた。
「寧ろ、謝るのは儂の方じゃな。気を遣わせてしまったようじゃが、Basdiaよ。お前がRank upした事は素直に嬉しいと思う。
それに、race名だけではなく実際にGhoulの代表者になっている事も、とても誇らしい」
「最近Basdiaは、Sauron領から移住してきたGhoul達に講習会を開いたり、武術の指導をしたり、色々していますからね。立派だと思いますよ」
「kaa-san、Vanまで……私は、kaa-sanやVigaroやTareaが忙しいから、代わりにやっているだけのつもりだったのだが」
照れながらそう言うBasdiaに、Zadirisは苦笑いを浮かべて、この場に居ない二人の分も頭を下げた。
「うむ、いや本当にすまん」
本来はGhoul達の中でも年長者で中心的な立場のZadiris達三人がするべき事なのだが、それぞれ自分の事にかまけていた為、若いBasdiaがその役目を担っていた。
Vigaroは武術の鍛錬に熱中していて、Tareaはあれで職人であるため工房での武具作りや同じ職能班の者達を指導する事が本分だ。そしてZadirisは、Queenを目指すのに夢中になっていたのだ。
certainly、既にTalosheimという国の一員になった今、Zadiris達がGhoul達を治める義務は無いのだが。形としてZadiris達は宮廷Mageだったり武官だったりするが、業務を割り振られている訳でもなく、逆に俸給を受け取ってもいないのだから。
しかしそれ等諸々の事情を抜きに考えても、丁度良い頃合いかもしれないとZadirisは思った。
「じゃが、Vigaroは別として儂やTareaもageじゃからな。そろそろ潮時かもしれん」
「何っ!? Vanっ、kaa-sanを【Youth Transformation】だ!」
「はい、では早速横になってください」
「別に老け込んだ訳ではないわい、ただ世代交代の時が来たと思っただけじゃ!」
ZadirisのAgingが一気に進んだのかと慌てるBasdiaとVandalieuを制止すると、彼女は再びしみじみとした口調で話しだした。
「坊やのお蔭で若返りはしたが、儂が何時までも大きな顔をしていたら若い者のやる事が無くなるからの。
それに……今の儂が何かやろうとすると、Magical Girl関連の説明会や講習会になりかねんし」
「Jadal達に人気ですもんね、Magical Girl Zadiris」
Vandalieuの言葉に、Zadirisの視線が遠くなる。液体金属製で、合言葉を叫ぶとcostumeに変形するTransform杖と、それを使用した彼女のimpactは衝撃的で一気にTalosheimのchild達、そして若年層に広がっていた。
どれくらいかというと、『Magical Girl』のsecondary nameが付くくらい。
「kaa-sanは、Jadal達だけでは無く若い女のMage達の注目の的だぞ。やはりTransformするのと、強くなれるのが重要らしい」
worldは違っても、やはりTransform願望は誰もが持っているらしい。しかも Vandalieuが作るTransform杖は、appearanceだけでは無く機能的にも優れているmagic itemだ。
見た目はヒラヒラした薄い布だがDefense Powerは並の甲冑を遥かに越え、magicの行使を補助し、Ability Valuesを底上げする等-sama々な効果がある。
その実戦で通用する高い機能性のためか、小さいchildだけでは無く若いfemale達も「私もMagical Girlになりたい」と注目していた。
もっとも、Transform杖がどんなに高機能でもあくまでも補助的なitemに過ぎない。そのため装着者が普通の人の場合、Magical Girl costumeを着ているDefense Powerが高いだけの普通の人にしかなれなかったりするのだが。
「『Magical Girl』扱いも多少は慣れたし、一度や二度のRank upでPrincessから他のrace名に変わる事も無さそうじゃしな。観念して十年ぐらいは地道にやってみるつもりじゃが……あまり目立つとMagical Girlの元祖と歴史に名が残り、永遠にMagical Girlから抜け出せなくなるかもしれん。
そういう訳じゃから、後十年ぐらい頼むぞ、娘よ」
「分かった。集落を率いていたkaa-sanの頃よりはずっと楽なのだろうし、十年や二十年くらいでいいのならやってみよう」
寿命が三百年のGhoulにとっては、それ程長い時間では無い。
「ただ、忙しい時はJadalの相手をしてやってほしい」
「うむ、任せておけ。可愛い孫じゃからな……じゃが、外でのTransformは勘弁して欲しいのじゃが」
Zadirisとしては戦闘でもないのにTransformするのは気が進まないのだが、可愛い孫にお願いされると断り辛いようだ。
「二人とも、解決したと言う事で一息入れましょう」
頷き合ってjuiceを飲む三人。果汁を使った健康的な炭酸juiceは、専門のFood Stallが出来る程人気の品である。『Earth』や『Origin』の人々にとっては、やや甘さが物足りないかもしれないが。
炭酸水までは再現できても、Cola等は流石にVandalieuやLegion達もrecipeを知らなかったので再現できないでいる。
『陛下、一息入れたところで報告です。おletterが来ているみたいですよ』
Memoryの中のColaの味を思い出していると、Fire-AttributeのGhostになった旧TalosheimのFirst Princess、Leviaが姿を現した。どうやらVandalieuに憑いたまま、timingを見計らっていたらしい。
「letter、ですか?」
Majin King GodwinやZanalpadnaのQueen Donaneris等、Boundary Mountain Range内部の国々で指導的な立場に就いている者達には例外無くGoblin通信機を配ってある。
そのため短い内容ならletterでは無く、Goblinの干し首を加工して作る通信機で伝えて来る。通信機に込められるMana量の関係で通話時間に限界があるが、込み入った内容の場合でもまずはVandalieuに来るよう頼んでくる事が多い。
【Labyrinth Creation】skillで最寄りのDungeonにTeleportationする事で、時間さえあれば即日訪問する事が可能だからだ。
だからletterでの連絡は珍しい。
「他の国か、『Vida’s Resting Ground』からか? Pure-breed Vampireや昔のMajin Raceが石化から目を覚ましたとか」
「坊やが連絡を待っている、『Storm of Tyranny』からかもしれんぞ」
考えられるのはBasdiaが言った、Boundary Mountain Range内部を『God of Law and Life』Alda's Factionから守るためのBarrierの中核であるためか通信機が使い辛い『Vida’s Resting Ground』か、Zadirisが口にしたAmid Empireで活動しているadventurer party、『Storm of Tyranny』ぐらいだ。
『そのどちらでも無くて、Sauron領で警備しているUndeadの人達からです。Reincarnatorっぽいnameの人達からletterが来ているって連絡があったそうです』
「……letterで連絡してくるpatternは普通過ぎて、逆に驚きました」
新しくSauron公peerageを継承したRudel・Sauronが治めるSauron領の、しかしその統治が及んでいないほぼDevil Nestsと化した森で三人のadventurerが野営をしていた。
ElfのShoujoが二人と浅黒い肌をしたHumanの少年が一人のやや珍しい構成の彼女達は、捌いたmonstersの肉を串に刺し、焚き火で焼きながらこれからの事を話し合っていた。
「とりあえず、紙代わりの布もありますし今月はletterを出し続けましょう。中々反応が返って来ませんけど、続ける事が大事ですからね」
「Kanako、その今月は残り半分切ったぞ。もしかして、冬まで続けるとか言わないよな?」
「Doug、十月の次は十一月でまだ秋よ」
「この辺りの十一月は、俺達の感覚で冬と同じくらい寒い。Melissa、この装備で野営を続けてUndeadの仲間入りするつもりか?」
そして三人のadventurerは、Vandalieu宛のletterを出したReincarnator達だった。
leader格らしいElfのShoujoは【Venus】のKanako Tsuchiya。もう片方のElfのShoujoは、【Aegis】のMelissa J Saotome。そして少年が【Hecatoncheir】のDoug Atlas。
『Origin』ではReincarnator達のorganization Braversから離反し、『Lambda』では更に自分達のleaderだった【Chronos】のMurakamiからも離反した三人組である。
「確かにそうね。magicで暖を取るのも限界があるし、本格的に冷える前に一度町に戻りましょう」
「う~ん、仕方ありませんね。町の人達に私達がしている事を気づかれる可能性は低くしたいですが、それで凍死したら意味ないですし。
冬支度をしっかり整えてから、再挑戦しましょう」
「やっぱり冬もやるのか?」
「certainlyです。彼から反応があるまで、ずっと続けますよ」
力強くnod Kanakoに、Dougは深いため息を吐いた。
「……無人島から空き瓶にletterを入れてrescueを待っているような気分だぜ」
「それよりはまだ返事がある可能性は高いと思う。来るのがrescueとは限らないけど」
Rodcorteの依頼を受けてVandalieuを殺そうとしているMurakami達のgroupから離れたKanako達の目的は、何とVandalieuが治めるTalosheimへの亡命だった。
前世の『Origin』でdeath attributeのManaのrunawayによって命を落とした彼女達三人は、Vandalieuに勝てるとはとても考えられなかった。
そうである以上、このworldで最も危険な場所はRodcorteの依頼通りVandalieuを殺す事を目的にしているMurakamiの傍。そして逆に最も安全な場所が、Vandalieuの側である。
そして両者のどちらからも離れて身を隠す選択は、逆に危険だと考えた。
何故なら、『Origin』で彼女達三人はVandalieuを信仰する『The 8th Guidance』に協力する振りをして近づき、裏切ったからだ。しかも、その後【Death Scythe】のKonoe MiyajiがVandalieuに攻撃した時に現場に居合わせてしまった。
既に敵だと認識されていても、おかしくない。
身を隠す事でVandalieu達の警戒心を刺激し、執拗なPursuitを受ける事になるかもしれない。
だったら、下手に隠れたりせず額を地面に擦りつけ足を舐める事になっても降伏を試みた方が、生き延びられる可能性は高いのではないか?
それが三人の共通した認識である。
それに亡命が認められなくても、自分達に敵意が無い事を伝えれば降伏後に追われる事は無いだろうと言う考えもあった。
しかし、その伝える相手であるVandalieuと接触する事に三人は手こずっていた。
「なあ、やっぱりletterを立て札の外から投げるなんて当てにならない手段じゃなくて、他の手を考えないか?」
「考えません~。絶対に立て札の内側には入りませんからね」
自分の提案を即座に却下されたDougは顔をしかめたが、怒らずKanakoに「何でだ?」と説明を求めた。
「立て札の内側に入ると、Undead達に敵として認識されるからです。彼等が敵の言葉を彼に伝えてくれるか怪しいですし、残したletterを拾うかも分かりません。それに、噂だと正体不明のNeck-Hunting Demonもいるそうですし」
「逆に、立て札の外側で敵対的な行動をしない限りは安全だって話だったじゃない。忘れたの?」
Kanako達が話したのは、Vandalieuが旧Scylla Autonomous Territoryを占拠してからのSauron領のadventurer達の間に流れる有力情報だった。
今までMarme Duke軍を始めとした幾つもの集団が旧Scylla Autonomous Territoryの境界に建てられた立て札を越え、そして戻って来なかった。
しかし、立て札の向こうに踏み込まなかった者は全員無事に戻ってきているのだ。
この事から、ここは立て札を越えさえしなければweak monstersが出現するだけのDevil Nestsだとguildでは見なされていた。
ただDoug達はReincarnatorだ。Rodcorteの思惑に反した行動をとっている今もCheat Abilityはそのまま使えるし、blessingsやFortuneもそのままだ。
Adventurer’s GuildでJob changeをするようになってから一年以上経つため、実力も既にAClass adventurerに近づいている。
head-hunting demonが出て来なければ、Rank4や5のUndeadの相手ぐらいどうとでもなる。だがKanako達が恐れているのはUndeadとの戦闘では無い。
「最悪なのは、俺達が間違ってUndeadを倒した場合だろ。覚えてるよ、もしかしたらUndeadの敵討ちの為にVandalieuが俺達を殺しにくるかもしれないって事は」
Kanakoが最も恐れているのは、Dougが今言ったような状況になる事だ。世間一般では、Undeadの敵討ちなんてあり得ないと誰もが思うだろう。
いや、Undeadでなくてもそうだ。前線に配置した警備兵の敵討ちの為に、一国の為政者が飛び出して来る可能性を考えるなんて、正気の沙汰では無い。
しかし、短い間でもTalosheimの-sama子を見たKanako達にはあり得ないとは思えなかった。あの都市ではUndeadが生者と同じように笑い、同じtableを囲み、酒杯を掲げていた。
それに当時受け取ったRodcorteからの情報でも、VandalieuはUndeadと普通に会話し、仲間として信頼関係を築いている-sama子だった。
科学とmagicが存在する『Origin』でも、Undeadは極稀に発生していた。しかし、二つの例外を除いてUndeadは全ての生者をeating prey対象としか見ない獣か、無差別に恨みをぶつける狂人でしかない。
その例外の内一つが、Undead Transformationした後も自分と同じ実験動物扱いされていた者達を助けたCodename『Undead』……前世のVandalieu本人。
そして二つ目が、その『Undead』に助けられた『The 8th Guidance』のmember、Isisが製作しValkyrieがCommandingするZombie Soldier達だった。少なくともValkyrieのUnder Commandにある間は、Zombie Soldier達は獣ではなく高度なCoordinationを誇っていた。
二つだけしかない例外のどちらもdeath attributeと関連がある。なら、この『Lambda』でもdeath attributeと関連のあるUndead達は、その発生源共々例外だと考えるべきだろう。そう三人は認識していた。
「MurakamiとかAsagiは、それに気がついて無かったみたいだけど」
「あれはUndeadがどうこう以前に、Vandalieuや、『The 8th Guidance』の奴らの頭がおかしいんだって思っているからだろ。正直、俺もまだ半信半疑だ」
串を手に取り、丁度良い具合に焼けた肉を一口齧ってからDougは続ける。
「Zombie物の映画で、『ZombieはdiseaseにかかっただけのHumanだから、治療すれば元通り治る』だとか、『Zombieにも人権がある』とか騒ぐ奴らが出てくる事があるだろ。あいつ等には、Vandalieuがそういう連中と同じように見えているのさ。
VandalieuがUndeadを操作しているなら、人格があるように振る舞わせる事も出来るかもしれない。Valkyrieがしていた人形遊びと同じだろうって」
肉の串片手にそう語るDougを、MelissaとKanakoはマジマジと見つめて言った。
「Doug、前世より頭が良くなってない?」
「このworldの食料には頭に効く栄養素が含まれているのかも」
「……お前等が俺の事をどう思っているのか、よく分かった」
「いえいえ、中々興味深い意見でしたよ」
『人形遊びとは酷い言われようだな! 本当の事だが!』
すぐ近くから発せられた声に、Kanako達は思わず硬直した。そして何時の間にか自分達の近く、焚き火の明かりが届くbarelyの場所に、二人の人物が佇んでいる事に気がついた。
二人とも、ある意味では既知の人物だが、同時に初めて会うとも言える。
「て、letterは受け取ってもらえたみたいね。ええっと、『久しぶり』でいい?」
「はい。お久しぶりです、Tsuchiya Kanako -san。【Death Scythe】を滅ぼした時を除くと、十年ぶり? いや、前世の俺を殺した時に居なかったら、三十年ぶりくらいでしょうか?」
『我々とは、一年と数か月ぶりか! まあ、人によっては十分『久しぶり』ではあるな!』
『また会えて嬉しいわ……と言うのが社交儀礼よね』
衝撃から立ち直ったKanakoが何とか話しかけると、二人はまるで世間話でもしているかのように答えた。
「改めてSelf introductionをしますが、俺がVandalieuです。こっちの黒hoodにマントなのが『The 8th Guidance』だったLegionです。
あなたが【Venus】のKanako -sanで、そちらが【Aegis】のMelissa -san。彼が【Hecatoncheir】のDoug -sanですよね?」
旧Scylla Autonomous TerritoryにTeleportationしてKanako達が書いたらしいletterを見たVandalieuは、とりあえず彼女達と会って話を聞く事にした。
certainly、letterがTrapである可能性も考えていた。使い魔のLemureがKanako達の焚き火を見つけた後、準備してから話しかけている。
「因みに、この場所は既に仲間に伝えてあります。おかしな動きをすれば数百のUndeadがここに殺到するのであしからず」
「そりゃあ、それぐらい警戒しますよね。ところで、そっちの……Legion -san? からValkyrieとIsisっぽい声が聞こえるのは何で?」
『あなた達への気遣いよ。今の姿は、とても刺激的だから』
Legionが【Form Alteration】や【Size Alteration】skillでHuman大の大きさと形に変化した後、hoodとマントで姿を隠しているのはKanako達を驚かせないようにという、純粋な気遣いからだった。
一応話を聞くつもりで来ているのに、いきなりpanicに陥られたら困るのだ。
「それで、亡命を希望との事ですが……どう言う事でしょう?」
Vandalieuは『Earth』の頃とappearance age以外はすっかり変わった元classmate、Kanakoにそう問いかけた。特に親しかった訳ではないが、彼女が三人の中ではleaderのようだったし、他の二人は同じReincarnatorでも『Earth』の頃から接点が無かったからだ。
だが、彼女の内面は『Earth』で彼のclassmateだった頃と比べて大きく変化している筈だ。
「【Death Scythe】が仕掛けて来た時に、必死な-sama子で腕を組んでバッテンを出していたのは、見ましたけど」
あの仕草はかなりコミカルだったが、maybe変化しているはずだ。
「あ、気がついてくれたんですね! いや~、良かったです。実は、あたし達Murakamiとそのgroupとは縁を切ったんですよ」
一方、そうにこやかに話すKanakoもVandalieuが『Earth』のAmamiya Hirotoだった頃と比べて完全に別人である事を実感して、内心冷や汗をかいていた。
直接会ってこうして言葉を交わしてこそ分かる事だが、あの頃とはappearance以上に……存在そのものが変化している。
(一応軍事訓練まで受けて、修羅場も潜って来たあたし達が接近に気がつけなかったのはdeath attributeのmagicだとして……それを抜きにしても勝てる気がしませんね)
Kanako達も、軍隊式のUnarmed Fighting Techniqueを身に付けている。その彼女達の目を通して見ても、Vandalieuの雰囲気は異-samaだった。
ただ立っているだけなのに、恐ろしい程隙が無い。appearanceは今の自分達よりも若く……幼い筈なのにimmatureさが全く感じられないのだ。
(maybe、Ability Valuesやskillがあたし達よりずっと上なんでしょうね。格闘だけじゃなくて、色々と。まあ、このworldではずっとsenpaiだから当然ですけど……横にいるLegion? も、signが異-samaですし)
やはり、彼等と敵対するべきでは無い。Kanakoと、その横でVandalieuとLegionのsignに呑まれていたDougとMelissaは、その思いを新たにしたのだった。
そして『The 8th Guidance』が全滅した後自分達が死んだ経緯だけを、ざっと説明するKanako。裏で糸を引いていた【Avalon】のRokudou Hijiriの事など、幾つかは交渉が難航した際の切り札にするために黙っていたが。
『ふぅん。懲りずにdeath attributeの研究をしようとした連中を幾らか潰せたのなら、私が死を溜めこんだのも無駄じゃなかったわね。無差別テロみたいになったのは残念だけど、それは私達の意図した結果じゃないし』
「ええ、それであたし達三人は思ったんですよ、もう死にたくないから、あなた達の敵になるのは嫌だって!」
『KanakoとMelissaはともかく、Dougまでそう考えたっていうのは違和感を覚えるかな。-kun、戦闘狂だったよね?』
「……その声はShadeだな? 確かに俺は戦いが好きだ。でもあれはもう戦いじゃなくて災害みたいなものだったぞ。Hurricaneや地震と変わらない。
それに、戦闘は勝つためにやるものだ。勝ち目が無いのに戦おうとする程、俺はidiotじゃない」
Legion達は積極的にKanako達と会話を重ねた。彼女達の言い分に、嘘が無いか確かめるために。
数年の間Kanako達と行動を共にしたため、Legionは彼女達の事をよく知っていた。将来また敵になる事がお互いに分かっていたため、その分相手を観察していたのだ。
それはKanako達も同じだったが、彼女達の方は変装したLegionにやや困惑しているようだが。
複数の声が聞こえるのは気にしない事にしたようだが、その口調や態度に怒りや恨みが含まれていないからだ。
しかし、その訳をKanako達の方から確かめる事は躊躇われた。
「なるほど。あなた達の話は分かりました」
そして躊躇っている間に、Vandalieuが話題を変えてしまった。
「つまり、まだ隠れているそっちの三人とは関係無いのですね?」
「っ!? 誰かいるの!?」
驚いて振り返ったKanako達の目には何も見えなかったが……やがて観念したように木のshadowから自分達と同じ年頃の三人組が現れた。
「頃合いを見て出て行くつもりだったんだけどな。久しぶりだな、Amamiya」
三人組の一人……【Mage Masher】のAsagi・Minamiはそう言って苦笑いを浮かべた。
・Name: Basdia
・Rank: 10
・Race: Ghoul Amazoness Queen
・Level: 7
・Job: Demon Axe Blade
・Job Level: 65
・Job History: Apprentice Warrior、Warrior、Apprentice Mage、Mage、Magic Warrior、Wind-Attribute Mage、Magic Axe Warrior
・Age: appearance age27age(34)
・Passive skills
Dark Vision(Night Visionから変化!)
Mysterious Strength:10Lv(UP!)
Pain Resistance:6Lv(UP!)
Paralyzing Venom Secretion (Claws):5Lv(UP!)
Magic Resistance:5Lv(UP!)
Intuition:6Lv(UP!)
Strengthened Attack Power when equipped with an axe: Large(UP!)
Mental Resistance:3Lv(NEW!)
Mana Enlargement:1Lv(NEW!)
Strengthened Attribute Values: Guidance:4Lv(NEW!)
Strengthen Follower:4Lv(NEW!)
Allure:1Lv(NEW!)
・Active skills
Axe Technique:10Lv(UP!)
Shield Technique:9Lv(UP!)
Archery:7Lv(UP!)
Throwing Technique:6Lv(UP!)
Silent Steps:3Lv
Coordination:9Lv(UP!)
No-Attribute Magic:3Lv
Wind-Attribute Magic:7Lv(UP!)
Water-Attribute Magic:6Lv(UP!)
Mana Control:5Lv(UP!)
Cooking:2Lv
Surpass Limits – Magic Axe:7Lv(UP!)
Armor Technique:3Lv(NEW!)
Magic Fighting Technique:3Lv(NEW!)
Dismantling:1Lv(NEW!)
・Unique skill
Zozogante’s Divine Protection(NEW!)
Garess’s Divine Protection(NEW!)
■■ンダ■■'s Divine Protection(NEW!)
・race解説:Ghoul Amazoness Queen Luciliano著
legendではfemaleだけのGhoulの群れ、Ghoul AmazonessをCommandingするQueenだと記されている。certainly、実際に見たという目撃情報はHuman社会には存在しない。Boundary Mountain Range内のGhoul nationでも、Ghoul Amazonessまでは何人かいるらしいが、Queenは未確認らしい。
appearance的特徴はGhoul AmazonessやGeronimo、Chief等と大きくは変わらないように見えるが……もしかすると、今現在唯一の個体であるBasdiaがoriginally百九十センチの長身で体が大きい為、Rank up時に変化しなかっただけかもしれない。
Basdia個人としての力は、Superior SkillにこそAwakeningしていないがAClass adventurerの域に在り、Demon King Fragment製の装備の性能を合わせると並のAClass adventurerにはまず負けないだろう。
Ghoulのfemaleに対してのみと効果範囲は狭いが【Strengthen Follower】skillを獲得しており、Commanderとしても将来有望である。
因みに、彼女が今就いている【Demon Axe Blade】というJobはHuman社会では未発見のものだが、Kijin nationでは既知のものだ。Kijin raceがKijin nationのPatron God『God of Warriors』Garess’s Divine Protectionを所有していて、【Axe Technique】skillを高levelで修めているfemaleが就く事が出来るJobなのだそうだ。
Vida's New Racesの「きふじん」は高貴さはともかく、嫋やかさとは無縁であるようだ。