idiotで愚かでimmatureな息子共の断末魔の叫びを聞くまで、Bugoganは戦支度を終えていたが自身の玉座に腰を下ろしたままだった。
何故なら彼はReignする王だったからだ。戦場で働くのは王ではなく、手柄が欲しい息子共と配下、そしてSlave共の仕事だ。
だからBugoganは玉座に座り、不甲斐無い配下共を叱責し息子共にさっさと出撃するようにと命じるだけだった。
そして玉座の間に配下もSlaveも居なくなり、息子共の全滅に気が付いた。
その瞬間、Bugoganの怒りは限界を超えた。
「ブガアアアアアアアアアア!」
自慢のMagic Swordを抜き、玉座から立ち上がって走り出すと、そのまま他のOrcの住まいよりは手間がかかっているがやはり粗末な家の壁を破壊した。
砕け散る木片を弾き飛ばし、再び怒号を上げる。しかし、怒りは全く収まらない。
BAKANA Orc共をここまで増やすのにどれ程苦労したか。
idiotで愚かでimmatureだったとはいえ、息子共を作るのにどれ程時間がかかった事か。
Slave、女、Weapon Equipment、Defense Equipment、あれやこれやを揃えるのだって楽では無かった。
その苦労が一晩で無に帰そうとしている。
とてもenduranceならなかった。
襲撃してきたGhoul共め! 男は皆殺しにし、女は残らず捕え奴らが殺した数だけOrcを産ませてやる!
そう怒り狂うBugoganの視界に、恐ろしい勢いで飛んでくる何かが映った。
しかし、Bugoganはそれが自分の十meter程前で止まるまで風景の一部としか認識しなかった。
そしてその姿を確かに視認した今でも、こいつは何なのかと怒りも忘れて困惑した。
伸ばし放題の髪も肌も白い、bloodの色の右目と紫紺の左目をしたHumanのchildに見える。一瞬、白いGhoulの幼い雌かと思ったが、髪の間から僅かに見える耳は尖っている。Elfのbloodが混じっているのか?
そんな姿形よりBugoganを困惑させたのは、そのchildから何も感じなかった事だ。
signも、音も、臭いも、bloodthirstも敵意も怯えも、何も感じない。
これは幻覚ですと説明されたら、信じてしまいそうな程何も感じない。瞼を閉じたら、そのまま消えてなくなるのではないかとすら思える。
そしてそれは宙に浮いたまま、戸惑うBugoganの前に立ちはだかるように両腕を広げると、黒いManaを纏った。
ようやくBugoganは気が付いた。これは敵だと。
Noble Orc、Bugogan。Ghoul King、Vandalieu。二人の開戦の-sama子は、酷く間の抜けたものだった。
最初にVandalieuが黒いdeath attributeのManaを纏い、【Impact-Negating Barrier】と【Magic Absorption Barrier】をActivateさせるまで、Bugoganはぼんやりと彼を眺めていただけだったのだから。
「フゴ!」
術がActivateすると、Bugoganは短く呪文を唱えた。するとVandalieuの下から土の槍が突然生えた。そのまま足から串刺しにしようとするが、穂先が【Impact-Negating Barrier】に触れた途端ただの脆い土に戻ってしまう。
【Impact-Negating Barrier】と【Magic Absorption Barrier】は、あわせて使えばBarrierの外部からの攻撃からあらゆる力を奪う。電撃からは電気energyを、炎からは熱energyを、そしてmagicからはManaを奪う。
Bugoganのmagicも、あっさりとNullification化されてしまった。
「ブフ、ブガァ!」
それでBarrierの効果について悟ったのだろう。magicよりはphysical battleの方が効果ありと見て、BugoganはMagic Swordを構えた。
「ブガガ!」
そして、次の瞬間にはVandalieuを間合いに納めていた。三meterの横にも縦にもGiantな体からは想像できないSpeedで、Magic Swordを振り下ろす。
岩でも紙のようにBisectionしそうな一撃は、だが【Impact-Negating Barrier】に阻まれVandalieuに爪の先程の傷もつけられなかった。Bugoganの思惑に反して、【Impact-Negating Barrier】はManaだけでは無く物体に込められた運動energyまでAbsorptionしてしまうのだ。
運動energyとは、物体が動くための力だ。十キログラムのダンベルを動かすには、十キログラムのenergyが必要になる。その力も【Impact-Negating Barrier】はAbsorptionできるため、BugoganのMagic SwordはBarrierの内側に在るVandalieuに届く事は無い。
柔らかい壁に阻まれたような妙な手応えに、Bugoganは顔を歪める。
顔の手前で止まったMagic Swordの向こうのBugoganを、全く表情を動かさないまま見ながらVandalieuは思った。
(やばい、死ぬ)
見た目にはVandalieuはIron Wallの守りに包まれているように見える。しかし、そのIron Wallは何時までも持つわけではない。
(今の、Martial Artsも使っていない小手調べ程度の一撃を防ぐためにManaが五千は持って行かれた)
VandalieuのManaは戦いが始まってから乱発しているため、既に五割を切っている。それでも五千万以上あるのだが……Martial Artsを使ったBugoganの攻撃を一回防ぐのに数万……最悪数百万のManaを持って行かれるかもしれない。
certainly Martial Artsは使い手のManaを消費するため無限に放てるものではない。しかし Bugoganはmagicも使えるので、奴の息子達よりずっとMana量が多いはず。そしてStaminaはそれ以上だろう。
Manaが切れ、Barrierが消えたらVandalieuにBugoganの攻撃から逃れる術は無い。
(俺はweakから)
お前は強いか? そう聞かれたらVandalieuは「いいえ、weakです」と答える。
自分しか使えないDeath-Attribute Magicが使える。
一億を超えるManaを持っている。
Dhampirだから二ageにして成人maleを超えるbody part Abilityを持っている。
でもweakのだ。
このLambda worldに存在する全ての者を強いかweakかで分けた場合、間違いなくVandalieuはweak方に分類される。
Death-Attribute Magicは他のattribute magicと比べてとても限定的で、出来る事が限られる。【炎槍】や【土斧】、【Air Attack】のような直接相手にDamageを与えるmagicが殆ど無い。防御は見ての通りだが、攻撃に転じられないのではいつか負ける。
そしてManaが一億あろうが二億あろうが、Vitalityが無くなれば死ぬ。
平均的な成人maleを超える程度しかないbody part Abilityが、目の前の竜種に匹敵するmonsterにどれほども通用する訳がない。
だからweakのだ。
どんな状況でも通じる、不変の強さをVandalieuは持っていない。
しかしだから諦めて死ぬという選択肢も無い。
「起きろ」
まず、Bugoganの足元の地面をGolemにして、足場を崩そうと試みた。動きを封じてBasdia達が来たら遠距離から延々死ぬまで攻撃してもらうtacticsだ。
「ブッ!」
しかし、Bugoganは動き始めたEARTH Golem達をあっさりと踏み潰した。Unarmed Fighting TechniqueのMartial Arts、【Kicking Strike】を込めた踏みつけで、一度に複数のGolemを砕いたのだ。
時間稼ぎにしても、数万のManaを使って数秒しか稼げないとは予想外だ。
次にVandalieuが放ったのは、No-Attribute Magicの【Mana Bullet】だ。これはManaを球状に固め対象にぶつけるというsimpleで、しかし無attributeであるためどんな敵にも確実にある程度の効果を期待できる術だ。
Manaを一万程つぎ込んだ自分の身長程の【Mana Bullet】を狙いとtimingをずらして連発し、そして止めに十万のManaをつぎ込んだ特大の【Mana Bullet】を放つ。
当たれば、幾らBugoganがGiantとはいえ集落の端まで吹っ飛ばせるだろう。
しかしそれをBugoganは全てMagic Swordを使って防ぎきってみせた。
「ブオオオオオオオオオオオオオオ!」
凄まじい速さでMagic Swordを操り、全ての【Mana Bullet】を弾いている。反応速度を上げるMartial Arts【Instant Response】の更に上位の【Super Instant Response】、そして剣でmagicを弾くための防御用Martial Arts【Magic Breaker】の連続使用を、Magic Swordの刃にManaを通してEnhanced (1)しながら行う。
一流を超える腕前のSwordsmanでも難しい事をやってのける姿に、Vandalieuは驚愕を覚えた。あの息子(Bubobio)の父親の癖に、何故ここまで強いのかと。
弾かれた【Mana Bullet】は込められたManaに比べて【Mana Control】skillのlevelが低いので、すぐにManaが拡散してしまうため、周りの地形が変わるような事は無い。何故かBugoganが出て来た家から【Detect Life】の術に動かない反応があるため、originally射線を考えて撃ってはいたのだが。
「ブオワ!!」
全ての【Mana Bullet】を弾くと、Bugoganは勢いそのままにぶおんとMagic Swordを振りかぶり、Martial Arts【Cross Cut】をActivate。ゴボンと【Impact-Negating Barrier】が奇妙な音を立てた。
Magic Swordに込められた破壊力をすぐにはAbsorptionしきれず、Barrierの半ばまでSlash込まれたのだ。
(これは気を抜けないな)
今ので決着を付けるつもりだったらしいBugoganの目が見開かれているのを見ながら、Vandalieuは【Impact-Negating Barrier】にManaを注ぎ修復し、更にEnhanced (1)する。
今の【Cross Cut】で、並のKnightやadventurerならbody partを四つに切り分けられて死んでいる。しかも【Cross Cut】は先程使った【Super Instant Response】より必要skill levelの低いMartial Artsだ。Bugoganは、まだまだAttack Powerの高いMartial Artsが使える。
(いきなり本気を出されたら死んでいたかも)
ほぼ全ての攻撃から身を守ってくれる【Impact-Negating Barrier】だが、破る方法はある。BarrierがAbsorptionしきれない大energyを一点に叩きこみ、一撃で術者を倒すという物語でprotagonistが敵役に対して行うゴリ押しだ。
そういうよく在る展開はEarthで生きていた時から大好きだが、問題はされる側なのが自分で、Bugoganにはそれが可能かもしれないという点である。
こんな所で、母の敵討ちもrevivalも果たさずNoble Orcの野望の礎になるなんて、真っ平だ。
何とか殺す手段を考えなくてはならない。ならばと、VandalieuはBugoganの背後にLemureを配置する。
そしてbloodthirstを放たせるのに一瞬遅らせて【Mana Bullet】を放つ。
「ブギィッ!?」
Lemureが弾け、Bugoganの背後に強烈なbloodthirstが発生する。それはたとえ目の前に敵がいたとしても無視できるものでは無い。bloodthirstに敏感で、Warriorとして優秀であればある程体が勝手に反応してしまう。
そこを【Mana Bullet】でハチの巣にするという単純で、効果的なtacticsの筈だったのだが……。
Bugoganは再び【Super Instant Response】を使用して反応速度をincrease、更に柔軟にして強靭な上半身をfull活用してShape-Shift自在の攻撃を行うMartial Arts、【Sword Dance】でLemureがbloodthirstを放った背後と、正面から迫る【Mana Bullet】の両方に攻撃を行う。
「ブガガガガガガガガガ!」
月明かりを反射して煌めくMagic Swordが、四方八方に閃き黒い球体を切り裂く-samaは美しいといえた。事実、Vandalieuの目には星が煌めいているようにしか見えなかった。
そして死の予感。咄嗟に【Impact-Negating Barrier】を厚くする。
「ガガア!」
そしてBugoganはそのままMagic Swordの切っ先をVandalieuに向け、【Piercing Thrust】を放つ。後数ミリで冷たい剣が触れるところだった。【Danger Sense: Death】が無ければ、Vandalieuには反応できない速さだった。
まさかLemureのbloodthirstと【Mana Bullet】に対処した上更に攻撃まで仕掛けて来るとは、Bugoganの戦闘AbilityはVandalieuの予想を超えている。
(こうなると、俺に出来る殺害手段は――)
空気中に【Incurable Disease】で作ったDisease原菌をばら撒く? 却下。diseaseに感染して発Diseaseするまでには時間がかかる。その前にVandalieuのManaが切れる。
【Deadly Poison】で毒を作り、盛る? どうやって? 何らかの方法で傷つけて傷口に塗るのが一番簡単だが、そもそも傷つけるのが難しい。
Golemで攪乱? やってみよう。
clicking tongueしてMagic Swordを引き戻すBugoganが再び攻撃を仕掛けて来る前に、Vandalieuは【Flight】を駆使して後ろに下がりながら、「起きろ」と呟いた。
『オオオオオオオオオン!』
『ギシイィィィィィィィィィ!』
背後からEARTH Golemが、周囲に散乱した瓦礫からWood Golemが、ついでに近くに落ちていたGoblinやKoboldの死体で作ったLiving-Deadが動き出した。
そして同時にBugoganの足元の地面もEARTH Golemにして足場を崩そうと試み、更に【Mana Bullet】とLemureのbloodthirstも放つ。
「ブガアァ!!」
そんなVandalieuをBugoganは追ってくる。
【Sword Dance】でGolemも【Mana Bullet】も切り裂いて、足元のGolemを【Kicking Strike】で踏み潰しながら。
Bugoganは【Kicking Strike】を一歩踏み出す度に放っている。地面を崩される事を警戒しているのだろうが、Bugoganが地面を踏みつける度にズドンズドンと地面が本当に揺れる。
これはどちらが先にEnduranceとManaを使い果たすかの勝負になるかとVandalieuが思った時、「撃て!」『Bocchan!』と仲間達の声が聞こえた。
途端Bugoganに殺到する矢や槍、毒のBreath、Spirit Formのfeather、炎や石の矢、氷や風の塊。
Zadiris達が来てくれたようだ。
「ガアアアアア!」
豪奢な鎧や強靭なmuscle、そしてMagic Swordを使ってBugoganはZadiris達の援護攻撃を弾く。なんと毒のBreathやmagicまでMagic SwordでSlash散らし、無傷ではないが掠り傷程度のDamageしか負っていない。
(拙い……拙い状況だ)
決定打を与える方法が無いまま、皆が集まってきてしまった。Bugoganは何故かVandalieuを殺す事に拘っているが、逃げに転じたら追えるか? いや、最悪なのはBugoganがVandalieu以外に狙いを変える事だ。
狙われた者は、まず生き残る事は出来ない。
(皆が殺されるのはダメだ)
Darciaのように霊として地上にとどめる事は出来るかもしれない。Sam達Undeadも、魂さえ無事なら容れ物を修理すれば大丈夫かもしれない。
しかし、あのMagic SwordにSpirit Formを傷つける機能があればどうだろうか?
それはダメだ、絶対にダメだ。とても許容できない、許せない。
その前にこいつを殺さなくてはならない。
だが、どうやって殺す? どうすればこいつの異常な守りを突破して、致命的な傷を負わせられる?
頭から湯気が出るほど思考していると、はっと気が付いた。Bugoganが回避も防御もしない、そんな方法を思いついた。
簡単な事だった。特別な事では無い。
自分が致命傷を負えば、それで良かったのだ。
意図的に薄くした【Impact-Negating Barrier】を破って、BugoganのMagic SwordがVandalieuの胴体を袈裟懸けに切り裂いた。
Vandalieuは気が付いていなかったが、一見攻め続けているBugoganにも余裕は無かった。寧ろ、Bugoganの主観では追い詰められていたのは、彼の方だった。
目の前にいるのは正体不明の敵でsignが全く無く、しかも bloodthirstを放たずに致命的な一撃を連続で放ってくる。
Vandalieuが気軽に放つ【Mana Bullet】に込められたManaは、最低でも一流のMageがwhole body全霊をかけて放つmagicに等しい。Manaのcontrolが甘いせいでAttack Powerが落ちているが、それでも直撃すればBugoganのboneを砕き内臓を幾つか破裂させるぐらいのAttack Powerがある。
実際、Magic Swordで弾く度にBugoganの腕には受け流しきれない衝撃が伝わり、無視できない負荷が手首にかかっている。それに後どれくらい耐え続ける事が出来るか。
しかも姿が見えないが強烈なbloodthirstを放つ正体不明の敵に、突然動き出す地面や瓦礫、Undead Transformationする死体。magicで対処しようにも、自分の身を覆うこの妙な黒い何かのせいでManaを体外に出す事が出来ず術が使えない。
仕方なくMartial Artsを連発してManaとEndurance、そして何よりも気力とMental力を振り絞って対処しながら攻撃しているところに、敵の増援だ。
ふざけるなと叫びたくなるほど希望の見えない状況。
certainly Vandalieu以外の敵を狙う事や、逃げに転じるのは論外だ。
目の前の敵を視界から外したら、あの【Mana Bullet】をどうやって防げというのだ。視覚に収めていても見失いかねない、このsignを完全に殺している敵から。
背中を向けたら最後、【Mana Bullet】の直撃を喰らって死ぬ。
Bugoganが何より恐ろしく思ったのは、Vandalieuの『表情』だった。じっと、自分を見つめる瞳。それはとても無機質で、何のemotionsも浮かんでいない。
Fatigueも、horrorも、焦りも、何も無い。
そのVandalieuの-sama子を、Bugoganは余裕だと解釈していた。こいつはあと一時間でも一日でも、戦いを続ける事が出来るのではないか、今のまま有効打を打てずにいれば自分は力尽き、殺されるのではないか。
敗北と死がBugoganの目には見えていた。
「ブガアアア!」
自分だけが一方的に追い詰められていると思い込んだBugoganは、生き残るには何とかVandalieuを殺しその後残っているEnduranceでGhoul達を蹴散らして逃走するしかないと思った。
そして何度目かの一撃が、Vandalieuのbody partに届いた。胴体をBisectionする程深くは無かったが、手応えで肋boneや胸boneを断ち内臓に刃が届いている事を確信したBugoganは、思わず口の端を釣り上げる。
「Van!?」
「坊やっ!」
Ghoul達のscreechを聞きながら、Bugoganは自分の勝利を確信した。
大分EnduranceもManaも消費したが、まだ四分の一は残っている。格下どもを蹴散らすのには十分だ。出来れば皆殺しにしてやりたいが、それは後だ。自分が生き残る事さえできれば、またKingdomを築く事が出来る。配下とSlaveを集め、息子を作り、今度こそ最強のKingdomをつくるのだ。
顔に飛び散った、存外温かい返りbloodをぺろりと舐めて……ガクンとBugoganは膝を突いた。
(上手くいった。いい具合にbloodが飛び散ってくれて助かった)
地面に落ちたVandalieuは、lungが斬られて呼吸できないため黙ったまま傷を治しながら膝を突いたBugoganを眺めていた。
斬られた瞬間heartや脊椎を【Spirit Form Transformation】でSpirit Formにして、背中から逃がしたため手足は動く。出blood量が多いのでやや厳しいが、窒息しない内は死なない。
傷口を治すためのNo-Attribute Magicの【Fortify Regeneration】にManaを数十万つぎ込み、lungを最優先に修復。Bugoganの得物が切れ味の鋭いMagic Swordで本当に良かった。切り口が綺麗なお蔭で傷を楽に修復できる。
「ゴフッ!」
「坊や、動くなっ! いま手当てする!」
「ウオオオオ! この豚が、Vandalieuの仇だ!」
『待って、気管に入ったbloodを吐いただけだから。後数分で呼吸できるようになるから。あとVigaro、俺は死んでない』
『Bocchan、思念での会話は私たちにしか届きませんよ』
『それは知ってるけど』
「Samっ、Vanはなんて言っているんだ!?」
『あー、皆-san大丈夫です。Bocchanの傷はもう少しで治ります』
Vandalieuが実行したtacticsは、自力で何とか治せる程度に深い傷を負い、その傷口から噴き出る大量のblood液を【Deadly Poison】で毒物と化し、Bugoganにかけるという策だった。
Bugoganも敵の返りbloodが毒になっているとは思わず、skinから浸透する強力な毒と化しているVandalieuのblood液を顔面に浴び、更にはベロリとtongueで舐め取って飲んでしまった。
手足の痙攣、意識障害、視界の混濁、止めにheart発作。これでもかと強力にした毒のblood液の効果で、BugoganはMagic Swordを持っている事すらできず、膝を突いたまま立ち上がれず、ついには倒れる。
『まずはあのNoble Orcに止めを。後、Bocchanのbloodに触れないよう気を付けて――』
「がはぁぁぁ……」
「Vigaroーっ!?」
『む、毒が効かない我々がするべきでした。では、僭越ながら』
Samが倒れ伏したBugoganの首をゴリっと車輪で轢く。こうして野望に身を焦がしたNoble Orc、BugoganはHonoraryも誇りも無い最期を遂げたのだった。
Ghoul KingとNoble Orcのお互いにお互いを過大評価し合った戦いは、こうして無-samaに終わったのだった。
終わったのだったが、まだ仕事は残っていた。
「そういえば、戦争は終わった後の方が大変だと誰かが言っていました」
いわゆる終戦処理である。
最初にしたのはcertainly Vigaroに【Detoxification】の術をかけて毒を消す事だったが。
大量のbloodの匂いに誘われたmonstersが集落跡に入って来ないように、比較的Enduranceが残っているGhoulが見張りを担当。女Ghoul達を中心に、囚われていた女Ghoul達のケア。
更に無事な建物の中を探索してRemnantsがいないか調べる。そしてtonight寝る寝床の準備。
目が回るような忙しさだ。
Bone BirdをGhoulの集落へ伝令に出したVandalieuだって、EnduranceもManaも残り二割程だったが休んでいない。
「まったりとコクがあり、それでいて何時までも喉に絡みつくような後味のしつこい味でした」
幸い、食料は新鮮な物が幾らでも転がっている。blood抜きのついでにOrcのbloodを飲んでEnduranceとManaを回復させて、動いていた。
Vandalieuも明日には、破壊されただの木に戻って転がっているEnt製の外壁を再度Golemにする仕事が待っている。……それよりもキツイ事も待っていたが。
「坊や……今は忙しいから後回しじゃが、言いたい事がある」
「私もだ」
『恐らく、Darcia -samaからもお話があるかと。今回の事を黙っている事は、流石に出来ませんので』
「……はい」
肉も臓腑もboneも切らせて相手に毒を盛るtacticsを実行した事は、結果的に成功したもののZadiris達を怒らせてしまったのだった。
『正直、怒られるのは怖いから嫌いなんだけど……』
そう思いながらも、Vigaroはtacticsを知っても怒るどころか「Vandalieuは勇気があるな、それでこそ男だ」と褒めてくれたので、まだマシかもしれないと自分を慰める。
「Vandalieu、説教は明日にするとしてHumanの女達はどうすればいいか相談したいのじゃが」
「口止めした後町の近くで解放して終わり……には出来ないconditionなんですね」
「ふーむ……町の近くで解放しても、そのままそこで死ぬまで座り込んでいそうなconditionじゃ」
「なるほど」
悪い monstersを倒したら、誰も彼もが幸せになってハッピーエンドとは行かないようだ。
・Name: Bugogan
・Rank: 7
・Race: Noble Orc Leader
・Level: 100
・Passive skills
Mysterious Strength:4Lv
Peerless Vigor:3Lv
Inferior Race Domination:3Lv
・Active skills
Sword Technique:6Lv
Unarmed Fighting Technique:4Lv
Armor Technique:5Lv
Earth-Attribute Magic:4Lv
Fire-Attribute Magic:3Lv
No-Attribute Magic:2Lv
Mana Control:3Lv