六十八階層の試練。攻略者が二手に分かれて進むと、それぞれのroomにRank13のDemonの形をしたGolem、Orichalcum Devil Statueが一体出現する。
それを誤差十秒以内、つまりほぼ同じtimingで倒さなければならない試練。失敗すれば、Orichalcum Golemは無限に再生し続ける。
『Goddess of Water and Knowledge』PeriaからChampion Solderが受け取った力の一つ、『自分と仲間の意識や知識、経験を同調させ共有する』Abilityを参考にした試練だと思われる。この力をSolderは知識と経験を共有して技術開発に役立てるだけでは無く、実際の戦闘Commandingでも役立てていたと『Vida’s Resting Ground』のrecordにはあった。
certainly、Solderと同じ力が無くても……それぞれのroomでOrichalcum Devil Statueを何度でも延々倒し続ける事が出来れば、何時かtimingが合い試練を通過する事が出来るだろう。
『ついに来たOrichalcum製Golemとの戦い! いつかの借りを返してやらぁぁぁ!』
『おおおおおおおん!』
『ヂュオオオオオオ!』
「一応言っておくけど、それは別像よ!」
Talosheimの王城地下でVidaの遺産を守っていたOrichalcum製のDragon Golemに苦戦したBorkusやKnochen、Bone ManがEleonoraのツッコミを受けつつ猛然とOrichalcum Devil Statueに襲い掛かる。
Goddess謹製のGolemより数段劣るため、Orichalcum Devil StatueはKnochenのboneに纏わりつかれて動きが鈍くなったところに、Bone Manの刃にBorkusやEleonoraのDemon King Fragment製のMagic Swordによって切断されバラバラにされてしまった。
Orichalcum Devil Statueが完全に機能を停止する前に、後方で戦況を見守っていたVandalieuのCloneとBodyは言った。
『今です』
「十秒以内に止めを刺してください」
『マジ、カル!』
「足止めはお任せを」
『『『ラララ~♪』』』
「いつかの借りを返してやる!」
Bellmondが『Demon King's Fur』で紡いだ糸でOrichalcum Devil Statueの動きを牽制し、そこにYamataの音波攻撃とRapiéçageのDeath Ironを纏った拳の一撃、そしてDeath Iron製の新しい斧を構えたVigaroが特攻を敢行する。
Vigaroの斧は液体に戻り、一瞬で四振りに分裂し、それぞれの手に握られた。
「【死烈斧刃】!」
【Death Lion Axe Technique】のMartial ArtsをActivateさせて、一気に畳みかける。
『ウオォォォォ……』
spaceを埋め尽くす激しい斬撃に耐えきれず、Orichalcum Devil Statueはバラバラになって機能を停止した。
「再生は、しないな?」
『ウオオオオ! 勝ったぜ!』
それぞれのroomで歓声を上げる仲間達に、BodyとSpirit FormそれぞれのVandalieuがnod。
『では、Orichalcumを回収して先に進みましょうか』
「確か、このroomの先の通路で合流できるはずです」
VandalieuとSpirit FormのCloneは、常にMemoryと意思を共有している。そのため、timingを合わせる事は難しくなかったのだった。
次の六十九階層の試練では、Mental力が試される。全ての壁や天井、床には見ただけで脳に錯覚を生じさせ方向感覚を狂わせる装飾が施され、何処からともなくhorror心や苛立ちを煽る耳障りな音が響き、空気にすらMentalを苛む臭いが漂っている。
しかも、階層全体が迷路になっている上にMentalの無いGolem系のmonstersが行く手を遮る。
『Magic God of Time and Arts』RicklentからChampion Arkが受け取ったAbilityの一つ、『幻術や毒物を含めた外部からのpsychological効果を受けない』を参考にした試練だろう。
この試練も、psychological resistance skillやmagic item等を活用すれば同じAbilityが無くても攻略する事が可能だ。
『迷路が面倒です。一直線に進めませんか?』
『Golemもウザイ~。後変な臭い~。Bocchan、何とかなりません?』
「壁を【Labyrinth Creation】skillで退ける事は出来ますけど、この階層の何処に出口があるのか分からないのであまり意味がありません。どうやら、俺達がある程度進まないと出口が出現しない仕組みのようです。
臭いの方は【Deodorization】しても、またすぐ臭いが発生するようなのでやっぱり無駄かなと」
ただHumanと異なるfive sensesを持つLiving Armor系のUndeadであるRitaとSalireや、Mental構造がHumanと異なる【Grotesque Mind】skillの持ち主であるVandalieuにとっては、Golemが出現するだけの迷路でしかない。
迷路もそう大きく無かったので、左手で壁に触れながら進む事で一時間もかからず出口に辿り着く事が出来た。
七十階層の試練は、何と図画工作だった。
roomに入ると壁に【Light-Attribute Magic】を利用したと思われる映像が映し出される。その映像では職人らしい人物がProduction related skillを使って石像を彫り、粘土を捏ねて壺を作り、穴の空いた鍋を修理している。
その映像と同じ事をそれぞれのroomに置かれている材料で行わなければならない。失敗すると上の補給所に強制Teleportationさせられて虚像の試練からやり直しである。
これは『Mother God of the Earth and Craftsmanship』BotinからChampion Hillwillowが受け取った力の一つ、『目にしたProduction related skillを一日Copyする事が出来る』というAbilityを参考にした試練だ。
この試練もAbilityが無くても、Production related skillを高いlevelで持つ者が複数いればclearする事ができる。
「じゃあ、次の階層に進みましょうか」
「意外と大した事ありませんでしたわね」
そしてVandalieuは【Golem Creation】skillにintegrationされているが、Production related skillを複数持っている。普段はSamのcarriageで待機しているTareaも、この階層では大活躍だった。
七十一階層、この階層の試練は何とFarmingである。
一抱えほどの大きさの壺一杯に詰まった穀物の種子を地面に植え、収穫を得なくてはならない。
種子の中にはVitalityの強弱や、期待出来る収穫量が違う品種の種子が混ざっている。それを知識やIntuition、Life-Attribute Magicで見抜いて選別し、更に何らかの方法で成長を促進させなければならない。
これは『Goddess of Life and Love』VidaからChampion Zakkartが受け取ったblessings、five sensesのEnhanced (1)や高いLife-Attribute Magicへの適性を参考にした試練である。
これは六十八層から今までの試練で最も簡単だ。Life-Attribute Magicの達人か、Time-Attribute Magicの超達人がいればすぐclearできる。……ZakkartのSuccessorを選ぶためのDungeonに挑戦する以上、Life-Attribute Magicの達人をmemberに加えるのは、当たり前の事だ。
Vandalieuの場合、種子の中から【Detect Life】で反応が比較的強そうな種子を幾つか選んで飲み込み、【Group Binding Technique】にintegrationされた【Plant Binding Technique】skillの効果で急速成長させれば良い。
「……この穀物、米のPure-bornかな? ちょっと持って帰りましょう」
資料的に貴重だったのと、Scyllaの居住地で栽培している米の品種改良に役立つかもしれないので幾つかは体内に取り込んだまま進むVandalieuだった。
そして進んだ七十二層。Boundary Mountain Range外で挑戦しDungeon内で死亡した挑戦者達らしい像が、飾られている階層だ。
Giantで艶やかに研磨された石造りの門には、「価値無きHeroを選びし神に祈りし者達よ、ここまで進んだ見返りに先達の末路を焼きつけよ」と刻まれている。
その言葉通り門の周りにはcountlessの石像が立ち並んでいる。そして門や壁にreliefのように、胸像や頭部や手足だけの像が飾られている。
そのどれもが精巧に作られている。頭部を観察すれば耳の穴や、口内のtongueや歯までしっかり作られている。何よりその表情が、horrorや苦痛に歪んだ顔がただの創作物とは思えない迫力を放っている。
まるで生命を失った直後の死者を、そのままのconditionで石化させたかのようだ。
「恐らく、勘違いしてここまで進んできたAlda believerの心を圧し折ろうと言う、Gufadgarnの演出なのだろうね」
そんな長時間見ているとMentalをDiseaseみそうな石像群を観察し、スケッチしながらLucilianoは評した。
「しかし、どんな理由で石化しているのだろうか? 【Petrifying Magic Eye】は生物にしか効果が無い筈であるし、やはりCurseかEarth-Attribute Magicか? それともこれは単に死体のappearanceそっくりに作られただけの石像なのか?」
「Lucilianoには怖がらせる効果は無いみたいだね」
腹部が破れて内臓が露出した惨いconditionの石像をスケッチしながら独り言を呟くLucilianoの後頭部を見下ろしながら、Pauvinaはそう言った。
『皆、怖がってな゛あぃ、よ』
しかし死体の石像にhorrorを覚えていないのはLucilianoだけではなく、ほぼ全員だった。Vandalieuの仲間をしていれば死体には慣れる、そもそも自分自身や仲間がUndeadだ。直ぐに動揺しなくなる。
「ちょっと可哀そうかな~とは思うかな。それに、顔が半分潰れている-samaなのは、流石にきついよ」
「……HumanやElfの死体を見ると、どうしても『無力な民に犠牲が出た』ように見えてしまうな」
流石にそこまで慣れていないPrivelや、HumanとElf、Dwarfは基本的に非戦闘員であるBoundary Mountain Range内部で育ったGizaniaは、顔色が優れないが。
「それで旦那-sama、どうですか?」
本当に死体が石化した物なのか、調べていたVandalieuに声をかけるBellmond。蟹にtailを挟まれると驚いてscreechを上げる彼女だが、石像群には何も感じ無いようだ。
「九割がた、死体が石化した物だと思います」
【Spirit Form Transformation】でSpirit Formにした腕を使って石像の内部を探ったVandalieuは、そう答えた。
「傷口だけでは無く、無事な部分の内側の作りも人体を精巧に再現しています。boneや脳、blood vesselまで。magicで作った精巧な複製の可能性もありますが、そこまでして偽物を作る理由は無いでしょうし。……俺の【Golem Creation】skillでも毛細blood vesselまで再現するのは至難の業ですからね」
「流石にそれは考え過ぎかと。他に、九割しか確信が持てない理由はございますか?」
「この石像が死体だったとしたら、漂っているはずの霊が一人も存在しないからです」
石像を見ると、DungeonのmonstersやTrapによって惨たらしく命を奪われている。だとしたら、どれくらい生前のMemoryや人格を保っているかはin any case、霊が漂っていないのは不自然だ。
『そうか? 坊主の周りに蚊柱みたいに漂ってるじゃねぇか』
『Borkus -sanの言うように、『Trial of Zakkart』に入った時からずっとVandalieuの周りには霊の皆が沢山憑いているわ』
「Borkus、kaa-san、それはDungeonに入る前から俺に憑いている霊です」
UndeadであるBorkusや霊のDarciaには、霊の姿が見える。ただVandalieuの周囲には、常に数え切れない程の霊が漂っているので、石像にされた死体の霊かそうでないか見分けがつかなかったようだ。
Vandalieuに言われて思い返すと、確かにとBorkusが呟く。
『言われてみれば、確かに坊主の周り以外で霊を見てねェな』
『そうですか? monstersの霊ならそこそこ見た覚えがありますけど』
『姉-san、それは私達が倒したmonstersの霊ですよ。新しい階層に入ったばかりでmonstersとまだ戦っていない時は、一匹も見ていません』
『でもRita、それはDungeonじゃ普通の事じゃない』
『Trial of Zakkart』以外のDungeonでも、各階層では多くのmonstersが配置されている。それらは増え過ぎるとお互いに殺し合いを始めるのだが、monstersはHumanのように強い怨念や生への未練を残しにくいのですぐにReincarnationの輪に還ってしまう。Mental支配を受けているDungeonのmonstersなら、尚更だ。
だから先に他の攻略者がいるか、通り過ぎた直後でもない限り霊が一匹も漂っていない事も珍しくは無い。
「Salire、でもこれだけ多くの挑戦者が死んでいるのですから、その霊が漂っていてもおかしくないと思うのですよ」
石像は数え切れない程在り、また五体がバラバラになっている者も多いのでaccurateな数は分からない。しかし千人分程は有りそうだ。
Humanの霊はmonstersと違い強い怨念や未練を残しやすいため、数百年以上Reincarnationの輪に還らず現世に留まる事がある。挑戦者達のように志半ばで命を奪われたのなら、その未練は軽く無い筈だ。
『でもVandalieu -sama、一撃で頭部を破壊されるか不意を打たれて一撃で致命傷を負った場合は、その限りでは無いのでは?』
「あ、その可能性もありますね」
Islaが指摘する通り、気がつく間も無く死ぬと怨念や未練を持つ前にReincarnationに還る事がある。石像を見てみると一撃で即死したらしい像も少なくない。
「でも補給所に並んでいた物品にあれだけ怨念が残っていたのですから、全てがそうとも考えられませんし。まあ、身に着けていた物品に全ての怨念を込めた後、霊main bodyは軽やかにReincarnationの輪に還った可能性もありますけど」
『……そんな霊はちょっと嫌ね』
『検死出来れば、一撃で即死したのかそうじゃないのか分かるんだけど、石化していては難しいわね』
LegionのIsisが石像の一つを撫でながら、こう続けた。
『だとしても、全く無いのは不自然じゃない? 今迄は殺された場所じゃなくて、死体が保管されている場所にいるのかと思ったけれど、ここには虫の霊すらいないし』
『それなら、Gufadgarn -sanが霊だけ別の場所に集めているのか、それとも勝手にUndead Transformationされたら試練の邪魔だから浄化しているのかもしれないわね。
とりあえず、いないものは仕方ないわ』
そしてDarciaがそう結んだ。確かに、いないものは仕方ない。
『それでBocchan、どうします? Martinaと言う女Elfの石像を探しますか?』
Samがそう本題に話を戻した。Vandalieuが挑戦者達の死体が保存されている場所に興味があったのは、『Five-colored blades』のmemberだったElfの女Spirit User、Martinaの死体を利用したかったからだ。そしてここには死体が変化したと思われる石像が、千人分ぐらいある。
「……個人的な意見じゃが、見つかる可能性は低そうじゃぞ? 首から上が無い石像も少なくないしの」
しかし Zadirisが言うように、ざっと見ても頭部の損傷のせいでHumanなのかElfなのかすぐには見分けられない石像も多い。
比率的にはElfで女のadventurerと言うのは少数派であるし、DwarfやBeast raceとは明確に見分ける事が出来る。Humanとも、解剖して詳しく調べれば首から下しか無くても判別できる。
特に、ここにある石像の比率はHumanやDwarf、Beast raceの男の順で多いようだ。数を十数体まで絞る事は難しくないだろう。
「そうですね、難しそうだからここでの回収は諦めましょうか」
しかし、十数体まで数を絞った後が問題だ。それ以上選別する判断基準が殆ど無いのである。
『確か陛下-kun、声は聞いた事があるけど顔は知らないんだよね?』
そう、VandalieuはMartinaらしい女の声を虫Undead越しに聞いた事が一度あるだけで、顔を直接見た事が無かったのだ!
「はい。伝聞でどんな顔をしているかは聞いた事がありますけど……黄金を溶かしたような髪、宝石のような青い瞳とか、白磁のような肌とか、ほっそりとした肢体とか、豊満な体つきとか」
『伝聞、特にRoyal NobilityとHeroの類の伝聞は当てに成らないからね~。手足が細くて体つきが豊満って、本当だったら怖いし』
Zandiaが言うように、伝聞はやはり参考に成らない。その中で唯一当てにできそうなのは髪と瞳の色だ。
「金髪と青い瞳というのも、参考にはならないな。今は全て石色だ」
だが石化している今は当てに出来ないと、バスティアが嘆く。
『所持品でも見分けるのは無理だよね。首から下げているguildの登録証も石化して肌に張り付いているし』
Orbiaがそう言いながら、半裸に近い格好で石化している女Elfの石像を見て肩を落とす。
……上に挑戦者達の所持品らしい物品を集めた補給場があった事からも明らかだが、ここの石像は全ての武具や装身具、荷物を外されたconditionだった。
石像たちは流石に全裸では無く、鎧の下に着る薄着や下着は身に付けている。
Gufadgarnも全裸に剥くのは気が引けたのか、それともmagic itemでも無い他人の下着を補給所に並べるのは躊躇いがあったのか、ただ面倒だったのかは定かではない。
ただ下着にnameでも刺繍されていない限り、見分けるのは不可能だろう。
一応adventurer時代にMirg Shield Nationで活動していたLucilianoに皆の視線が集中するが、彼は眉を顰めて首を横に振った。彼も直接Martinaを見た事は無いらしい。
「じゃあ、最後に一応試しましょうか」
適当な石像に手を伸ばしたVandalieuは、【Hell King Magic】で石化を解除して元の死体に戻せないかと試してみる。すると、彼が触れている部分から徐々に冷たく硬い石像が、冷たいけど人体の柔らかさに戻って行く。
仲間達が「おおっ!?」と目を見張るが、ある程度の範囲が人体に戻ったところで進んでいた解除が止まり、再び石に成ってしまった。
「むー、どうやら石化されるCurseが常にかかっているようです。whole bodyを死体に戻してもCurseが解けるかもわかりませんし、諦めましょう」
『そうですか。幾つか私のcarriageに乗せますか?』
数十体分までしか数を絞れなくても、Samのcarriageに乗せて運ぶ事は出来る。
「それもやめましょう。重いし嵩張るし、面倒ですし。帰りに余裕があったら運びましょう」
しかし、時間がかかりそうだったので止めて門を開けて進んだのだった。
そしてこの階層では、霧の中でHumanのhorrorを抱かせるオーラを常に纏うPhobia Demonやその上位種と戦いながら進まなければならないと言う試練だったのだが……Vandalieu達によって瞬く間に殲滅されたのだった。
HumanのMental構造をしていないVandalieuや、UndeadにはAura of Fearは殆ど効果が無い。それどころか【Aura of Fear】skillをActivateさせる事で、逆にsignを鮮明にしてしまい霧の向こうから「俺はここにいるぞ!」と叫ぶようなものであるため、格好の的でしかなかった。
Duke Farzon領にあるDevil Nestsの一つで、Heinz達『Five-colored blades』は『Trial of Zakkart』を待っていた。
既に準備は整え終わっている。
ほぼ無限に荷物を収納できるitemボックスには食料や生活必需品、予備の武具やpotionに魔晶石、Dungeon内の厳しい環境に対して有効な防寒着やmagic itemが揃えられている。
特に食料と水は一年分ほどあり、前回のようにDungeon内部で苦労する心配は無い。
certainly、『Trial of Zakkart』を攻略するための実力も、そして前回よりも深い階層の試練を攻略するための知識とwisdomも蓄えてきた。
当時四人だったHeinz達はMartinaを喪い三人になったが、頼りに成る仲間を増やして五人。それも、runawayした【Demon King Fragment】をsealedできる力を持っている。
もしPure-breed Vampire Terneciaと今再び戦ったとしたら、今度は勝つ事が出来るだろう。そう確信している。
知識とwisdomも、Mage guildやAlda temple、そしてElective Kingdomの書庫でDemon Kingを倒したBellwood達、三Championだけでは無くあまりlegendや伝承が残っていないArkやSolder、Hillwillow等のChampionに関する事も調べた。
monstersの加工法を自らが創立したAdventurer’s Guildで広めたFarmoun Goldだが、その大元はArk達四人のachievementだった等、意外な真実を知る事が出来た。
ただ、『Fallen Champion』と恐れられるZakkartに関するlegendや伝承、そのachievementは殆ど残されていなかった。Bellwood's SuccessorとなるためにZakkartに挑む。そんな趣旨だろうと『Trial of Zakkart』に関して考えているHeinz達としては、何よりも彼について詳しく調べたかったのだが。
「準備は万端整った……はずだが、どうしたものかな」
熱い夏の太陽の下、Heinzはそう言いながらため息をついた。そのまま視線を手の中の『Trial of Zakkart』が次に出現する場所を探知する事が出来るmagic item、『Trial Seeker』へ向ける。
それは、相変わらず谷の壁面を指していた。
約二カ月前、まだ初夏だった頃からずっと変化が無い。
「どうしたもこうしたも、待つしかないじゃないか。腕が鈍らないように気を付けながら」
Heinzの背中にUnarmed FighterのJenniferが声をかけた。
「まさか、待ちくたびれたから止めるなんて言わないだろ?」
「当たり前だ」
そう言いながら振り返ると、Jenniferの顔と彼女の後ろに広がる即席のキャンプ村が視界に入った。
「ここまで引っ張り回しておいて、そんな理由で止めるなんて言ったら-kunに殴られそうだ」
「殴りはしないよ、蹴り上げはするけど。
その『Trial Seeker』が壊れている訳じゃ無いんだろう?」
「ああ、この二カ月の間に何度か調べてもらった。正常に動いているよ」
「なら後は昨日までと同じように、『Trial of Zakkart』が現れるまで待つだけですね」
そう言いながらElfのGoddess官、Daianaが濡れた髪を拭きながら現れた。
「夏の沐浴は良いものですよ、Heinzも汗を流して来たら如何ですか? 今はDelizahとSelenが使っているので、その次になりますけど」
「……沐浴場まで作ったのか。後一カ月もあれば、Devil Nestsを開拓して本格的な建設工事が始まりそうだな」
Heinzの視線の先にあるキャンプ村は、最初はHeinz達が『Trial of Zakkart』が出現するまで待つだけの小規模なものだった。
しかし二カ月もの間待ち続けている間に支援者達がHeinz達のSuportの為に滞在する-samaになり、SClass adventurerでHonorary Nobleの彼等と顔を繋ごうとpeddlerが来るようになり、次第にキャンプが広がって行った。
その規模は既に小規模な村を越えている。ここは一応monstersがうようよしている危険なDevil Nestsなのだが。
「それも良いかもね。originallyそんなに大きなDevil Nestsじゃないし、Dungeonも無いし」
「Jennifer達の暇つぶしで、monstersも大分少なくなりましたからね」
ずっと待ち続けている事に暇を持て余したHeinz達は何度か町に戻って過ごしていたのだが、長期間離れるのは落ち着かなかったし、このconditionで他の依頼を受けたりDungeonに潜る事は躊躇われた。
そのため暇つぶしにこのDevil Nestsのmonstersを狩っていたのだ。その結果このDevil Nestsの、最大でもRank5程度のmonstersがHeinz達に敵う訳も無いため、monstersは瞬く間に数を減らす事になった。
そのため、仮設キャンプ村はDevil Nestsの中なのに平和だった。それでも数日に一回はGoblin等の知能の低いmonstersが襲い掛かって来るが、Heinzの支持者や元Alda過激派の犯罪Slave達の手によって駆除されている。
「Duke Farzonはもう開拓計画を練っているか、既に準備段階に入っているのかもしれませんね」
「『Trial of Zakkart』から出て来たら、Devil Nestsじゃなくて完全な村になっているかもな」
「Heinz、その事ですが……」
「言われなくても分かっている。……今何処に『Trial of Zakkart』があるかは分からないが、私達以外の挑戦者がいる。しかも、最低でも一か月以上内部で生き残っている前の私達と同じか、それ以上の腕利きが」
『Trial of Zakkart』は、内部に挑戦者が存在しなければ出現してから一カ月ほどで別の場所に【Teleportation】する。
逆に言えば、内部に一人でも挑戦者が存在する限り何時までもその場所に留まり続ける。
次に『Trial of Zakkart』が【Teleportation】するだろうこの谷の壁面に、二カ月以上出現しないと言う事は誰かが挑戦中だという事だ。
「あたし達以外にも命知らずな奴がいたとはね。Heinz達が警告してから、他の挑戦者は殆ど居ないって聞いていたんだけどね」
「一体誰なのでしょうね。BClass以上のadventurerが動けば大体噂ぐらいには成りそうなのに」
「Daiana、BClassじゃ足りないさ。一カ月以上中にいるって事は、AClass以上の筈だ。そうだろ、Heinz」
「……だと思う。後、最低でも一か月以上だ」
長ければ二カ月以上、もしかしたら三カ月近く『Trial of Zakkart』内部で生き残っている……攻略を続けているのかもしれない。
それだけの時間生き延びているのなら、自分達が引き返す事になった四十二階の雪山の階層まで到達している頃だろうか。そう考えると、Heinzは複雑なemotionsに頭を悩ませた。
「……自分達で『Trial of Zakkart』を攻略したい。だが、今何処かで試練に挑んでいる挑戦者の失敗を……死を願いたくは無い」
Heinz達の前に『Trial of Zakkart』が現れるという事は、今内部に居るだろう挑戦者が居なくなった時。それは高い確率で死を意味する。
「気にするなよ、そいつ等だって覚悟あっての事だ。それにあんた達が生還したんだ、死ぬとは限らないだろ」
「それは、そうだが……そうだな。Aldaに祈ろう。彼等が生還する事を」
「そうですね。きっとAldaもそれを望んでいる事でしょう」
そう何処かに居る挑戦者達の生還を短く祈る三人だったが……祈られたAldaも挑戦者であるVandalieu達もそれを喜ばないだろうとは夢にも思わないのだった。
それどころかVandalieu達が既に雪山の階層よりもさらに下に在る氷原の階層を越え、下層に達しているとは完全に想定の外だった。
Heinz達は、今日も現れるかもしれない『Trial of Zakkart』を待ち続ける。
・Name: Rapiéçage
・Rank: 9
・Race: Lifeless Chimera Zombie
・Level: 0
・Passive skills
Dark Vision
Rapid Regeneration:9Lv(UP!)
Deadly Poison Secretion: Tail:9Lv(UP!)
Physical Resistance:8Lv(UP!)
Magic Resistance:7Lv(UP!)
Mysterious Strength:10Lv(UP!)
Enhanced Body Part: Entire Body:3Lv(NEW!)
Strengthened Attribute Values: Creator:5Lv(NEW!)
・Active skills
Electrify:7Lv(UP!)
High-Speed Flight:5Lv(UP!)
Unarmed Fighting Technique:8Lv(UP!)
Whip Technique:4Lv(UP!)
-Surpass Limits-:10Lv(UP!)
Coordination:3Lv(UP!)
Long-distance Control:4Lv(NEW!)
Sewing:1Lv(NEW!)
Armor Technique:1Lv(NEW!)
・Unique skill
Corpse Infringiment(NEW!)
■ァ■■■■'s Divine Protection(NEW!)
・Monster explanation::Lifeless Chimera Zombie Luciliano著
Neo Patchwork ZombieからRank7のGreat Patchwork Zombie、Rank8のAbsolute Patchwork Zombieを経て更にRank9にRank upした事で誕生した存在。
race名は、生命無き死体を繋ぎ合わせて作られた合成獣Zombieという意味だと思われる。
単純に強くなっただけでは無くCreation者である師Artisanが近くにいたり、師Artisanの指示を聞いている間Ability Valuesが上がる【Strengthened Attribute Values: Creator】skillや、触れた死者を侵食し自分の一部として扱う事が出来る【Corpse Infringiment】のUnique skillを獲得している。
【Corpse Infringiment】skillの対象になるのは加工されていない(革製品や加工食品では無い)死体。Undeadやmonstersのboneや皮を加工した武具などは含まれないようだが、Rapiéçageに倒された者は即座に彼女の一部と化し【Long-distance Control】skillで操られるCloneと化すだろう。
ただMagical Girlに近づいているか、それとも遠のいているのかの判断は私にはつかない。
何か's Divine Protection、若しくは似たUnique skillを獲得したらしい。しかしどのDivinityから得たのかは、「よめ゛ない」と答えるばかりで、未だ不明である。
・Name: Yamata
・Rank: 9
・Race: Orochi
・Level: 0
・Passive skills
Dark Vision
Mysterious Strength:7Lv(UP!)
Deadly Venom Secretion (Fangs):10Lv(UP!)
Magic Resistance:4Lv(UP!)
Underwater Adaptation
Dragon Scale:7Lv(UP!)
Rapid Regeneration:10Lv(UP!)
Body Extension (Neck):5Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Creator:5Lv(NEW!)
・Active skills
Singing:4Lv(UP!)
Dancing:4Lv(UP!)
Parallel Thought Processing:7Lv(UP!)
Scream:7Lv(UP!)
Long-distance Control:6Lv(NEW!)
Unarmed Fighting Technique:4Lv(NEW!)
-Surpass Limits-:7Lv(NEW!)
Aura of Fear:5Lv(NEW!)
Mana Control:1Lv(NEW!)
No-Attribute Magic:2Lv(NEW!)
Multi-Cast:3Lv(NEW!)
・Unique skill
■■ン■■■'s Divine Protection(NEW!)
・Monster explanation::Orochi Luciliano著
Champion Hillwillowが残した資料にあった、YamataノOrochiの名を一部持つraceにRank upしたYamata。YamataノOrochiではなく、YamataがOrochi。
師ArtisanによるとEarthの伝承にあるYamataノOrochiとYamataは形状や首の数が異なっているらしい。まあ、Status関係のGodsがanother worldの伝承に詳しいとは思えないので、首の数や頭の形、そもそもUndeadである事等の差異は考慮していないのかもしれない。
九つの頭部で【Scream】skillの音波攻撃を発し、【Aura of Fear】で見た者のMentalを苛み、最近は【No-Attribute Magic】も唱えられるようになっている。更にRapiéçageと同じ【Strengthened Attribute Values: Creator】skillも獲得している。……最初に創ったのはPure-breed VampireのTerneciaなのだが、その後改造を施したので師ArtisanがCreatorという事になっているらしい。
単に、YamataがTerneciaの事を覚えていないだけかもしれないが。
一応magicが使える為、現在Transform杖を持つ者の中ではZadirisに次いでMagical Girlに近い存在なのかもしれない。しかし、Magical Girlとは一体どんな存在なのだろうか?
それと、彼女もRapiéçageのようにblessingsに似たUnique skillを獲得したらしいのだが……やはり読めないらしいのでそれがどんなDivinityから与えられたのかは不明である。