『Evil God of Labyrinths』Gufadgarnは『Trial of Zakkart』の最奥に座したまま、ただ静かにVandalieuの行動を見守っていた。
自身が創り出したDungeonに籠もる彼には、Rodcorteがこのworldを切り捨てようとした事も、そしてそれに失敗した事にも気がついていない。
だが彼のbody partは小刻みに震えていた。
『私が配置した全ての試練が、全て想定とは異なる方法で攻略されていく。生成したmonstersは為す術も無く蹂躙され、配置したTrapは全て踏み潰されている……!』
Vandalieuは自重しているつもりだったのだが、Gufadgarnから見れば既に十分やらかしていたらしい。
Boundary Mountain Rangeからの挑戦者は生かして帰しているため、上層の謎掛けは早い段階で完璧な回答を知っている挑戦者ばかりに成った。
中層の厳しい環境や、入った時は平和だが時限式のtrapを仕掛けたBeach等の階層では、数十年前から抜けて来る者が一定数出る-samaになった。
しかし上層の迷路代わりのBone wallを手懐けたり、monstersの出番が無い程自然を破壊したり、そんな方法で攻略した者はそういない。
厳しい筈の中層も、一日一層以上攻略している。Boundary Mountain Range内部の挑戦者だとしても、例年なら何人か脱落者が出る頃なのだが、それも無い。
それを可能にしているのは、Gufadgarnにとっても未知のskillやJobの効果に【Demon King Fragment】、それにあの馬車のUndeadだろう。
厳しい環境をものともしない居住性に、monstersの素材だけでは無く【Demon King Fragment】で生成した物を素材にするという驚異の行動。UndeadをTamerできる、常識を超えた力。
何より、際限が無いように見える強力な戦力。
それらを全てsealedでもしない限り、通常の挑戦者らしい攻略は不可能だろう。originally、Vandalieuは試練の対象として不適格なのだ。
陸に仕掛けたTrapで、大海を泳ぐサメを捕らえようとするような物だ。異なり過ぎていてどうしようもないのである。
それを認めつつも、衝動にthrust動かされるままGufadgarnは叫んだ。
『素晴らしい! それでこそ想定を越える行動でGreat Godすら翻弄したZakkartだ!』
もし彼が肉のbody partを持っていたら頬は紅潮し、目からは喜びの涙が迸っただろう。それほどGufadgarnはVandalieuの、Zakkartらしい行動に感動していた。
Gufadgarnも、最初から『Trial of Zakkart』の各階層を裏回答で攻略する存在を期待していた訳では無い。
これらの試練を越えられた者こそ、ZakkartのSuccessorに相応しい。そんな思いと共に創り上げたのだ。だから、模範解答でも最奥まで辿り着けばZakkartのSuccessorとして認めるつもりだった。
それが『God of Law and Life』をself-proclaimedするAldaや、Aldaに与するGodsの手の者であっても。まずは真実を告げ、翻心を促すつもりだった。そうでなければDemon King Armyの一員だった自分達に声をかけ、機会を与えたChampion Zakkartの使徒として相応しくない。
……それでも受け入れずGufadgarn本人や、彼自身よりも貴重なZakkartの遺産を傷つけようとするなら抹殺するしかないが。
しかしこの『Trial of Zakkart』を創り上げてから、百年。多くの挑戦者達は上層で敗退し、Boundary Mountain Rangeの挑戦者達も下層を越える者はいなかった。
約百年前にRicklentから受け取ったOracle、それをGufadgarnは『ZakkartのSuccessorが現れる』という預言だと解釈していたのだが、それが間違いなのではないかと思う事も多くなっていた。
そんな中、見込みがあると感じたのは二組。一組目は神の感覚では少し前に挑戦した四人組の一団。『Five-colored blades』と言う連中だった。
最初はAldaに祈りを捧げる、勘違い挑戦者だとしか思わなかった。しかし、あらゆる試練に間違いながらも力技だけで攻略していく姿は、ある意味では想定外だった。
武力に優れたBoundary Mountain Rangeの挑戦者達でも、あれほど頭を使わず、若しくは間違った方向に使いながら挑戦し続けた者は彼等しかいない。Boundary Mountain Range外の、Alda believerの挑戦者では最も深くまで攻略したのも驚嘆に値する。
その戦闘Abilityは……戦闘Abilityだけは確かだった。
だが結局は中層で引き返し、雪山の階層で一人喪って撤退して行った。しかし生きて外に出たBoundary Mountain Range外の挑戦者は彼等が初めてだったので、鮮明にMemoryに残っている。
しかし Gufadgarnはその『Five-colored blades』よりも二組目のVandalieu一行に期待をかけていた。
『彼等に比べれば奴等は石ころに過ぎない。ああ……Zakkartよ』
Gufadgarnにとって、VandalieuがUndeadを操り【Demon King Fragment】を自在に使う事は問題では無かった。
彼がZakkartであるかもしれない。それだけで、あらゆる物事がどうでもよくなる。
今すぐにでも彼の元に参じたい。そう思うが、まだ早い。Zakkart曰く、「作った物は最後まで慎重に試さなければならない」のだ。この『Trial of Zakkart』を作った以上、最後まで慎重に挑戦者を試さなければならない。
だがもうすぐVandalieu達は下層に到達する。Zakkart達が神から与えられたAbilityや思想、成した事に直接かかわる問題を設置した階層に。
その前に設置した補給場所は彼等にはあまり意味は無いかもしれないが、Zakkartの後継ならば必ずや何かしら活かすだろう。
『おおZakkartよ、この愚かなる使徒に全てを与えたまえ……』
恐らく下層だと思われる階層の入り口で、Vandalieuは腕を組んで唸っていた。
「うーん、ここって情報では『補給所』だったはずですよね?」
「そのはずだが……これは一体?」
挑戦者達から聞いた情報を纏めた書類を手に持ったIrisは、目の前の光景と『補給所』という言葉が結びつかずに首とtailの先端を傾げていた。
「まるで、店主のいない安売り市ね」
『それも、掘り出し物があらかた売れた後っぽい感じっすねぇ』
EleonoraとKimberlyがそう評すのも納得なほど、補給所は残念な品揃えだった。
『補給所』には一見すると店主のいない市場のようなspaceに、明らかに中古品と思われる傷だらけの武具やmagic itemが陳列されている。
他にも中途半端に膨らんだ水袋や、半分くらい齧られた干し肉、誰の物なのか不明だがbloodで染まったbread等もある。
それらをざっと見回してSamは言った。
『どうやら、このDungeonの落とし物や死んだ挑戦者達が持っていた装備品や物資のようですな』
DungeonではmonstersやTrap以外にも、-sama々な物資が生成される。山や森、湖等の内装を形作るための自然物や、Treasure Chestに入っている武具や財宝などだ。
しかし、当たり前だが中古品を生成する事は出来ない。番人であるmonstersに持たせる事で、挑戦者が手にする時には結果的に中古品になっている事はあるが。
なので、基本的にDungeonで手に入る中古品は他の挑戦者の持ち物だった物に成る。
「『Trial of Zakkart』は百年前からworldを転々としてきたDungeonで、Boundary Mountain Range外で挑戦した者達は基本的には死んでいるのですから、その遺品は膨大になる訳ですか。
しかし、役立ちそうな物はほとんど残っていない-samaに見えますが」
Bellmondが並べられている剣の中から、適当に一振り手に取って見てみる。
肉厚で見るからに重そうな剣身だが、どうやら柔軟性に優れたダマスカス鋼で作られているらしい。重さは見た目通りだが、振ると剣が伸びるような効果を持っているMagic Swordなのかもしれない。
……その剣身が半ばで切断されているので、本来の機能を発揮できそうにない。しかも、切っ先の方が見当たらない為Vandalieuでも修理できそうにない。
これらの中古品の前の持ち主は『Trial of Zakkart』の激戦を戦い、夢半ばで命を落とした者達だ。よって、装備品や物資は相応に傷んでいる。
Bellmondが手に取った剣のように半ばで折れているのはまだ良い方で、柄しかない短剣や穂先しかない槍、破片しか残っていない盾か鎧の残骸等もある。
「しかも過去の挑戦者が持って行ったのか、価値のある物はほとんど残っていませんわね」
Tareaが残った中古品とガラクタを見回して、そう評価した。
敗れたとは言え、危険な難関として知られている『Trial of Zakkart』に挑んだ挑戦者達が身につけていた装備だ。貴重な材料を優れた技術で加工した上Classのmagic itemが少なくない。
ただ、そうした価値ある物は過去何度かここまで到達した挑戦者達が持ち出していた。Boundary Mountain Range内部の挑戦者でも中層を突破できる者は少ないのだが、ほとんど残っていない。
「そう言えば、傷物ばかりだが見た事も無い技法で作られているitemが補給所に在ったので、持ち出す事にしたと、何人か言っていたような……」
どうやら、この補給場はBoundary Mountain Range外の技術を手に入れるためにも役立っていたらしい。Gufadgarnがそこまで意図していたかは不明だが。
『じゃあ、持って行く物は何も無いのかしら?』
「そうだな、間に合わせの武具は必要ないし、他の物資もまだ十分な量がある。食料も……特別味が良い訳では無いようだし」
食べかけではないbreadを一口食べて味を確かめたBasdiaが、Darciaに答える。保存用に硬く焼かれたbreadは、見た目通り硬いbreadの味だった。
「た、食べましたの? 何時の物か、それこそ数十年前の物かもしれないのですわよ、それ?」
「ああ、カビていなかったからVanとは違うがmagicで保存していたのだろう。匂いも味も普通……ん? このbreadだけ少し美味い?」
「……Basdia -dono、それはbloodの味だと思うでござるよ」
in any case、食料も普通の保存食ばかりの-samaだ。新鮮な食料を持ちこんでいるVandalieu達には、必要は無い。
『じゃあ、折角だけどこのまま進もうかしら……あら? Vandalieu?』
「kaa-san、皆、結構掘り出し物が在りますよ」
そう言ってVandalieuが手に取っているのは、胴体部分に大穴があいた皮鎧だった。
「Vandalieu -sama、私には新人adventurerが身につけるような、安物の皮鎧の残骸に見えるけれど?」
Eleonoraの目には、ただのゴミにしか見えないようだったが、Vandalieuの目には違って見えた。
「いいえ、Eleonora。この皮鎧には持ち主の残留思念が、強い怨念となって残っています。この補給所に施された物品を保存する仕組みが、残留思念にも有効だったからでしょう。何年も何十年も損なわれる事無く、醸成された強い憎しみ、sorrow、恨み、despair……俺が少しManaを流すだけで、Curseのitemとして完成しそうな程です」
Vandalieuの言葉に、思わず補給所に並ぶ品から一歩離れる一同。いや、UndeadであるSalireやRita、Islaは平気な顔をしているが。
『つまりdeath attributeのmagic itemを作る時の触媒として役立つのね?』
『なるほど、じゃあ持って行きましょうか』
「そうですね、出来るだけ惨たらしく破壊されていて、出来ればbloodが付いている物を選んで持って行きましょう」
「Van、このbreadは大丈夫だろうか?」
「大丈夫です、カビは生えていません」
こうしてVandalieuは素材に成る品を幾つも回収し、仲間達を出来るだけ装備して先に進んだ。……次の試練では、人数は少なければ少ない程難易度が下がるからだ。
下層では再び上層と同じような謎掛けや試験が課せられる。それらはZakkart達がそれぞれの神に与えられた力や、成した偉業、それに思想を参考にした物だ。
その難易度は高く、中層を突破した猛者達も下層で次々に脱落していくのが今までの常だった。
特に補給所の奥、扉を越えた先にある最初の試練は難関で知られていた。
全てが鏡で構成されたroomで、Vandalieuは自分の虚像と向かい合っていた。
「初めまして、俺」
『こちらこそ初めまして、俺』
最初の試練、それは自分との対決である。
Zakkartの「人生とは自分との戦いである」や、Hillwillowの「人の中には天使の自分と悪魔の自分がいる」と言う言葉を参考にした試練だ。
挑戦者は虚像の自分自身と問答をした後戦い勝たなければならない。
虚像は挑戦者のMemoryと人格をCopyした存在であるため、問答では容赦無く心を抉り、そして挑戦者がpsychological Damageを受ける度にその戦闘Abilityはincreaseする。
挑戦者が問答を乗り越えるpsychological強さを見せつければ虚像は逆に力を失い、後の戦いでたちまち破れ去るだろう。だがもし挑戦者の心が折れれば、最強の敵として立ち塞がる事になる。
『早速ですが、もっと真剣にMagic Eye対策を行うべきでは? Gubamonの『Magic Eye of Destruction』を受けた事を忘れた訳では無いでしょうに』
「うーん、Eleonoraの『Charming Magic Eyes』やBellmondに移植した『Petrifying Magic Eye』でResistanceをつけようとしているのですけど、上手く行かなくて。【Grotesque Mind】と【Abnormal Condition Resistance】で打ち消しちゃうみたいなのですよね。
俺なら知っているでしょうに」
『まあ、確かに知っていますけど。後は、幾ら切なげな目をしていたからって、Huge Gluttony wormをTamerしなくてもよかったのでは? あれで攻略の難易度が上がったじゃないですか』
「むぅ、あの目を俺が無視できると思いますか。俺よ?」
『まあ、無理でしょうね。俺だし』
何処か穏やかな、日向で昔からの知り合い同士交流を深めている-samaな空気を漂わせてVandalieuと虚像のVandalieuは、会話を続けていた。
この試練では多くの場合激しい口論にdevelopmentしたり、そうでなければ始終虚像を否定し拒絶したり、逆に涙を流しながら自分自身を許し受け入れたりと、普段どんなに冷静でも胸の内に秘めた情動が暴かれるのだが……。
『ところで、kaa-sanを生き返らせた後のプランに不安は無いのですか、俺よ?』
「とりあえず、Schneider -san達と一度会って、その後Demon continentに行ってZantarkに会ってFarmoun Goldに文句を言うつもりですが、不備がありますかね?」
『不備は無いですけど、Heinzはどうするんです? あれが信じるAldaは死者の蘇生を認めるimageが無いですよ。秩序を乱すーって』
「ですよねー。Earthでもそう言うのが多かったし。Aldaの教義が認めない以上、Heinz達も認めないでしょうし、やはり殺さないと。出来れば、暗殺か謀殺で」
『それが望ましいですね。ところで、そろそろ戦いますか?』
「もうですか? 以前の挑戦者が受けたような禅問答的な事を聞かれるかと思っていたのですが」
『必要無いでしょう。何を言っても変わらないのですし』
虚像は何と役目を放棄していた。何故なら意味が無い事だと分かっていたからである。
Vandalieuに人を殺す事の是非を尋ねても、「状況と相手に寄りけり」と答えるだろうし、正義とは何だと尋ねても、「不確かな物」としか答えない。そして、虚像が何を言っても「そういう場合もありますね」としか言わない。
復讐の是非については、虚像ですら肯定している。自分から奪った者を滅ぼす事で、これ以上奪われる可能性を零に出来る。幸福な人生を歩むために必要な、Production的な行為である。
Machida AranやShimada Izumi達他のReincarnatorが問題視する死者をUndeadにする事も、Vandalieuにとってはおかしい事では無い。死者はVandalieuのallyであり、そのallyを増やしているだけだ。
それに信仰対象であるVida達から間違っていないと保証されたので、気にDiseaseむ事では無い。
『でもまあ、一回くらいはやりましょうか。死とは?』
しかし、虚像も質問する価値がありそうな事を思いついたらしい。自らが使うattributeについての質問を投げかけた。もう一人の自分との問答に相応しいthemeだ。
それに対してVandalieuは少し考えた後答えた。
「生者から死者に変化する事。不可逆である事が正しいとされている、俺が司り、俺が覆すべき現象。
つまり、好きなようにやってやります」
Vandalieuにとって死は絶対でもSacredでもなんでもない。ただの現象である。
故にDarciaをrevivalさせる事に何の疑問も持ってはいない。
『やはり無駄でしたねー。じゃあ、やりますか』
そう言いながら、虚像のVandalieuは鏡から音も無く抜け出す。その姿はやはりVandalieuそっくりだ。
『でも問答では心は揺るがず、しかも俺の場合Copy出来ない物が多すぎて……正直、今の俺ってザコですよ』
「Death-Attribute Magicや【Demon King Fragment】は無理ですか?」
『無理です。もっと言うと【Group Binding Technique】も【Dead Spirit Magic】も無理です。Copyできるのは、鏡に映った俺だけなので映っていない仲間は……TamerしたmonstersのようにこのDungeonに挑戦者と見なされない存在はCopyできません』
万能に見える虚像によるCopyだが、やはりGufadgarnの力によって創られた仕掛けによるものだ。限界は存在する。
尤も、通常は限界を越えるような事はまず無いのだが……Vandalieuの規格外さが分かるというものだ。
『そう言う訳で、止めをどうぞ。kaa-sanのrevival、頑張ってください』
そう言って手招きする虚像に向かってVandalieuはclawsを伸ばし、そこで動きを止めた。
「どうにもやる気が起きません。やはり俺自身だからでしょうか? 普通は、自分自身に会うと憎み合うと思いますけど」
『意外とナルシストの気があったのかもしれませんね。しかしどうします、幾ら俺が俺でも俺が存在する限り俺は先に進めませんよ?』
「困りましたね、俺が俺だけに俺自身を攻撃するようで気分が悪い」
暫く虚像と見つめ合い思案するVandalieuだが、やはりどうしても虚像を攻撃して進む気にはなれなかった。
「やはり俺自身だからか……俺は俺。俺のMemoryと人格がある故に俺である」
『俺にも俺のMemoryと人格がある。だけれど俺では無く虚像である』
「Memoryと人格が在るのなら、俺と言える。姿形も同じなのだから。虚実の違いに意味はあるのだろうか?」
『真実は虚像であり、虚像が真実である? あり得なくもない。俺が俺であり、俺が俺であるのだから』
「『俺が俺で――』」
「俺である」
そう言い終った時には、Vandalieuは一人になっていた。そしてやはり音も無く現れた扉を潜ると、そこは次の階層に向かうための階段だった。
《【Hell Demon Creator Path Enticement】、【Guidance: Dark Demon Creator Path】、【Long-distance Control】、【Materialization】、【Parallel Thought Processing】、【High-speed Thought Processing】、【Grotesque Mind】、【Mind Encroachment】のlevelが上がりました》
「終わりました」
鏡張りのroomを出て階段のdance場でそう言った途端、【Group Binding Technique】で体内に装備されていた者達が姿を現した。
『Vandalieuっ、大丈夫だった?』
「no problemです、kaa-san」
『本当に? あの試練はDonaneris Queen -sama達も苦戦したって言っていたから、心配したのよ?』
「いや、『でも陛下なら平気だろう』とDonaneris Queenも続けていたじゃないですか」
Vandalieuの常人とは異なるMental構造なら、この試練も簡単にclearしてしまう気がする。そう言っていたDonaneris Queenの勘は当たっていた。
「だけど、我々は本当に試練を受けなくて良かったのだろうか?」
parasitesをInfestさせてVandalieuに装備される事で、試練をスルーしたIrisが浮かない顔で呟く。真面目な性格の彼女は、不正を行ったような後ろめたさを覚えているのだろう。
「仕方ないだろう。自分との問答と戦いなんて、乗り越えられる保証が無いぞ」
Irisと同じように試練をスルーしたBasdiaは気にした-sama子も無かった。因みに、試験をスルーしたのは彼女達だけでは無くほぼ全員である。
補給場を通り過ぎる際、VandalieuはparasitesがInfestできないLegionを除いた全員を体内に装備し、Ghost達だけを連れて進んだからだ。
あの試練は、鏡に映る実態を持った存在しか対象に成らない。よって、Vandalieuの体内に装備されている者達は試練の対象に成らないのだ。
「……Basdiaもあっさりclearしそうだと思うよ」
「そうでもないぞ、これでも悩んだり不安になったりしている。Jadalは寂しがっていないだろうかとか」
「それは……どうなのだろうか?」
虚像の自分自身と子育てに付いて問答をした後、戦う。ChampionのSuccessorを決める試練として、それはいいのだろうか?
「だが危険なのは本当だ。試練の間は挑戦者ごとに個別のspaceに隔離されるから、誰も助けには行けない。我もDungeon攻略の最中でなければ、自分自身との戦いに興味があったが……」
戦闘狂の気があるVigaroも、安全策を取って試験をスルーしていた。
『俺達は最初から対象じゃないから、気楽なものだけどな』
「ギシャア」
Giant race ZombieのBorkusやCentipedeのmonstersのPeteがそう言い合う。この虚像の試練の対象は、Vida's New Racesを含むHumanとBoundary Mountain Range内部で国を治めているNoble OrcやHigh Kobold等、一部のmonstersだけだった。
それ以外のmonstersやUndead等は鏡に映っても対象に成らない。
certainly Tamerの挑戦者がTamerしたmonstersを連れ込む事は今迄に何度もあったのだが、このDungeonはZakkartのSuccessorを見つけるための試練である。そのため、この虚像の試練の対象にはならないのだとconjectureされている。
『……終わった』
そこに、試練を終えたLegionが転がって現れた。何時に無くtensionが低いが、激戦を潜り抜けて来たようには見えない。
「お疲れ-samaです。何かありましたか?」
『試練は、思っていた以上につまらなかった』
『見た目はそっくりなのが出て来たけど、意味のある言葉を言わなかったんだよ。Jack達あんなに変じゃないよ』
『失礼な話さ。酔っ払ったPlutoだってあんなに変じゃなかったのにねぇ』
『あなたが飲み物にalcoholを混ぜたのよね、Baba Yaga……!』
『Izanami、昔の事を掘り起こすんじゃないよっ!』
どうやら、現れたLegionの虚像はBugを起こしてしまったようだ。
一つのbody partに幾つもの魂がFusionしているLegionのような存在に、Human用の試練が対応できるはずもない。Vandalieuの時も、正常に働いているとは言えないconditionであったのだし。
『まあ、簡単に倒せたからいいけど』
「そうですか、Gufadgarnにはあった時にもっと汎用性を持たせた方が良いと言いましょうか。じゃあ、先に進みましょう」
こうして下層での最初の試練をVandalieu達は突破したのだった。
・Name: Legion
・Age: 1
・Title: 【Holy Flesh-wife】
・Rank: 10(UP!)
・Race: Legion Star
・Level: 45
・Job: Assassin
・Job Level: 0
・Job History: Apprentice Mage、Mage、Apprentice Warrior、Warrior、Meat Sphere Warrior、Enormous Meat Sphere Warrior、No-Attribute Mage、Flesh Manipulator、Thief
・Passive skills
Mental Corruption:7Lv
Composite Soul
Magic Resistance:4Lv(UP!)
Special Five Senses
Physical Attack Resistance:7Lv(UP!)
Form Alteration:7Lv(UP!)
Super Rapid Regeneration:8Lv(UP!)
Mysterious Strength:8Lv(UP!)
Mana Enlargement:3Lv(UP!)
Vitality Enlargement:10Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Consumable Meat:6Lv(UP!)
Fire and Lightning Resistance:4Lv
・Active skills
Limited Death-Attribute Magic:10Lv
Size Alteration:7Lv(UP!)
Commanding:4Lv(UP!)
Surgery:7Lv(UP!
Unarmed Fighting Technique:8Lv(UP!)
Dagger Technique:5Lv(UP!)
Fusion:2Lv
Charge:8Lv(UP!)
Chant Revocation:4Lv(UP!)
Parallel Thought Processing:9Lv(UP!)
Long-distance Control:7Lv(UP!)
No-Attribute Magic:5Lv(UP!)
Mana Control:5Lv
-Surpass Limits-:4Lv(UP!)
High-Speed Running:6Lv(UP!)
Strengthened Regeneration: Consumable Meat:6Lv(UP!)
Throwing Technique:3Lv(UP!)
Cooking:1Lv
Assassination Technique:2Lv
Lockpicking:2Lv(NEW!)
Assassin Combat Technique:1Lv(NEW!)
Silent Steps:2Lv(NEW!)
Trap:1Lv(NEW!)
・Unique skill
God of Origin’s Divine Protection
Zuruwarn’s Divine Protection
Ricklent’s Divine Protection
Gazer:5Lv
Encroachment Fusion:1Lv
■■■ダ■■'s Divine Protection(NEW!)
人格の一つであるGhostのMemoryから彼の技術を学び直して、【Flesh Manipulator】から【Thief】、更に【Assassin】にJob changeした。Legston 家に亡命を促す際Ghostの力が役だったので、今後似たような事があった時により役に立てるようにと考えたかららしい。
『Trial of Zakkart』内ではJob changeとRank upを二度ずつ経験しており、光らないが星っぽいrace名になった。もしLuminescenceする-samaになったら、星と言うよりMirror Ballのようだなと思っている。
現在、全ての人格でVandalieuの意向に従いMagical Girlを目指すべきか、終わりの無い論争を繰り広げている。まずVandalieuの意向であると言う点から間違っているのだが、論争の場が彼女達のMental内であるため誰も忠告してくれない。
謎's Divine Protectionは虚像の試練をclearしたら何時の間にか獲得していた。何の神から受け取ったのかは分からないが。もしVandalieu’s Divine Protectionだったら大変栄誉な事だと考えている。