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Chapter 172: worldからは逃げられない!

『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁっ!?』

 今まで感じた事の無い大きく深い痛みに、RodcorteInstinct的に察した。このままでは、自らの身に致命的なDamageが残ると。


『ちゅ、中止! systemの切断を中止する!』

 そしてCircle of Reincarnation systemを『Lambda』から切断するための作業を、慌てて中止した。その瞬間、嘘のように激痛は消えた。


『かは~っ……い、今、何が……私の身に何が起こったのだ?』

 痛みが消えた事に安堵したRodcorteは、戸惑って自分の身と周囲に異変が無いか伺った。

 しかし、確認できる限り激痛にscreechを上げる前と何も変わっていない。


『まさか、何者かの攻撃を受けたのか!?』

 はっとしてDivine Realm内をcheckしたが、RodcorteDivine Realmに存在するのは彼自身と三柱のFamiliar Spiritのみだ。そしてFamiliar Spirit達は、彼自身の命によって今も身動きが取れずじっとしている。


『言っておくけど、私達は何もしていないわ。それに何も見ていない』

『我々に分かるのは、あなたが突然叫び作業を中断した事だけだ』

 Shimada IzumiEndou Kouyaが自分達に視線が向けられた事に気がついて、口々に答える。三人の顔にも、困惑が浮かんでいる。


『では、何故あれほどの痛みが私を襲ったのだ……』

Vandalieuに攻撃されたって可能性は?』

 RodcorteCircle of Reincarnation systemから『Lambda』を切り離す。それを何らかの方法で感知したVandalieuが、何らかの方法でRodcorteに攻撃を行ったのではないかとEndou Kouyaは指摘した。


 Circle of Reincarnation systemから『Lambda』が切り離されたら、『Origin』のReincarnatorreincarnationして来ず、God of Law and Life Alda達のbelieverの魂はreincarnationできず、Human達は百年もすれば激減する。

 残るのはVidaCircle of Reincarnation systemCircle of ReincarnationするVida's New Racesと、Vandalieuimpact下にあるHuman達。そしてDemon KingCircle of Reincarnation systemに属するmonstersだ。


 worldVandalieuVida's Factionの天下となるだろう。

 そう考えると、今だけはVandalieuRodcorteを攻撃して作業の妨害を行う事は無いように思える。だが、彼は利害関係を無視して行動する事が多い。

 それに、神であるRodcorteDivine Realmの外から攻撃できそうな存在にKouyaVandalieu以外の心当たりが無かった。


Kouya、それって【Oracle】で聞いた答えか?』

『いいや、無駄だから聞いていないよ。Godsの事を知っているHumanなんていないだろうからね』

 RodcorteCircle of Reincarnation systemに属するHumanの魂をdataベース代わりに使う【Oracle】でも、神やDivine Realmで起こった物事についての質問は意味を成さない。


『だったらそれは無いと思うぜ。確かにあいつはDivine Realmに居る【Death Scythe】の魂を砕いたが、それは天道の【Clairvoyance】を経由して【Death Scythe】自身があいつに攻撃を仕掛けたからだし』

『それもそうか。彼ならやれそうな気がしたんだが』

『幾らなんでも考え過ぎよ』


 Vandalieuなら出来そうだと言う根拠ですら無い思い込みを基にしたconjecture……想像は当然外れだった。


 では一体何故と改めて考え直したRodcorteは、激痛を覚える前に執り行った作業に原因があるのではないかと思い至った。

『まさかCircle of Reincarnation systemから『Lambda』を切り離そうとした事が、原因だと言うのか』

 思い至ったが、Rodcorteにとってそれは信じがたいconjectureだった。


『ほら、不具合が起きたんだ! だから止めておこうぜ、もっと別の良い方法があるって』

 ここぞとばかりにAranがそう言うが、Rodcorteは『ただの不具合の筈がない』と言い返した。


 確かにAranが言うように『Lambda』を切り離す事でsystem全体に-sama々な不具合や障害が発生する事は、想定していた。しかし、その中に自分が激痛に苦しむ事は含まれていなかった。

 そもそもRodcorteCircle of Reincarnation systemは、一蓮托生ではあっても一心同体では無い。Circle of Reincarnationを司る神である彼にとってsystemは、なくてはならない物だ。だが、systemに重篤な問題が起こったとしてもそれでRodcorteが即座にDamageを受ける訳では無い。


『だけど他に思い当たる事が無いのなら、それしか原因は考えられないはずよね。何か見落としているのよ、きっと』

『だから性急な手段は止めて、もっと冷静に対処すべきだ』

 『Lambda』を含めたworldの切り離しを阻止したいFamiliar Spirit達が口々にそう言うのに取り合わず、RodcorteCircle of Reincarnation systemを精査した。


 結果は、やはり異常noneRodcorteDamageを与える-samaな想定外の障害は起きていなかった。

 では切り離し作業とあの激痛は関係無く、他に原因があるのだろうか?

 そう考えた時、それまでMemoryに埋没していたある出来事をRodcorteは思い出した。


 【Clairvoyance】の天道達也に『Lambda』の映像を見せたあの時の事だ。あの時、普段よりも『Lambda』の映像を映し易かったような、そんな違和感を覚えていたのだ。

 それに気がついた時、Rodcorteはゾッとするような寒気を覚えた。


『だが……いや、まさか……』

 再び-sama子の変ったRodcorte-sama子にFamiliar Spirit達が距離を取ったのが分かるが、それを無視して彼はTalosheimに居る、また辛うじて導かれていない者達のrecordを調べた。

 そして、恐ろしい予感が的中してしまった事を確信した。


『何と、何と言う事だ……!』

 恐れ戦き、Humanのように震えだすRodcorte。彼はVandalieuの正体に気がついた時を上回る深刻な、致命的な事態を招きかねない事態が、既に手遅れな時点まで進んでいる事に気がついたのだ。


『『Lambda』で私は認知されてしまっているというのか!? 最早、離れる事が叶わない程に!』


 Rodcorteが今まで、どれほどVandalieuが厄介でZuruwarn達『Lambda』のGodsにも敵対されても冷静さを保つ余裕があったのは、いざとなれば『Lambda』を切り離す事が出来ると考えていたからだ。


 systemから『Lambda』を切り離してしまえば、『Lambda』で生きるVandalieuがどれ程Humanの魂を砕いてもsystemには何の負荷もかからない。

 それに『Lambda』のGodsがどれ程策を巡らせても、worldと接続されていなければ対処するのは容易い筈だった。worldの垣根を越える事が出来るのはspace attributeGreat Godであり『Transgressor』であるZuruwarnだけであり、彼だけではRodcorteに対して力不足だからだ。


 Demon King Guduranisが『Lambda』を侵略しようとした当時でも、Rodcorteは自分の身に直接危険が及ぶ事までは考えなかった。『Lambda』が侵略されても複数のworldCircle of Reincarnationも司るRodcorteにとっては、痛手ではあっても耐えられる程度だ。


 それに意外だがDemon KingChampionや一部のHero以外の、ただのHumanの魂は砕かなかった。情けをかけた訳では無く、単にそこまでする必要性を感じなかっただけであろうが。そのため結果的にはsystemにかかる負荷はそれ程では無かった。


 それにDemon King Guduranisが魂を砕いてGodsを滅ぼせるとしても、『Lambda』に存在していない自分だけは万が一にも滅ぼされないと考えていた。

 いよいよとなれば、systemを『Lambda』から切り離して見捨てれば、自分は助かる。そんな逃げ道を確保していたからだ。


『だがVandalieuが私の名を、存在をTalosheimで、Boundary Mountain Range内部で話して広めた! 私はどのworldにも属さず存在しない神から、『Lambda』に属す神になってしまった!』

 だがその逃げ道は塞がれてしまった。


 systemを切り離して各worldを遮断する事が出来るのは、Rodcorteがそのworldで認知されていない事が前提だ。

 believercertainlyMythlegendに彼の存在が記されておらず、知的生命体に知られていない事が必要なのだ。


『いや、お前の事は俺達には知られているし、もうVandalieu以外にも『Lambda』にreincarnationしているのが何人もいるじゃないか』

『百や千は誤差でしかない! もっと多くの数が私の事を知る事態に成らなければ、問題は起きないはずだったのだ!』


 Aranの言う通りReincarnatorRodcorteの事を知っているが、百人程度ならimpactは無い筈だった。

 そしてReincarnator達が自身の事を言いふらす事は無いと考えていた。信じて貰えないだろうと判断し、「自分はRodcorteという名の神によってanother worldからのreincarnationしてきた」と吹聴するような真似はしないだろうと。


 実際、『Origin』ではその通りになった。今ここにいるAranも、Amemiya Hirotoも、そして当時のVandalieuでさえRodcorteの存在をReincarnator以外の誰かに打ち明ける事は無かった。

 『Lambda』でも同じだろうとRodcorteは楽観視していた。それにVandalieuが自分のbelieverを増やすような事は無いだろうと。


 『Lambda』のGodsも、Mythの時代からAlda派とVida's Factionに関わらずRodcorteの存在をHuman達に明かさなかった。何故なら、する意味を見いだせなかったのだ。

 Demon King Guduranisとの戦いでは、他人事のようにしているRodcorteに対して腹を立てていたGodsだったが、当時はRodcorteの存在を広めている余裕は無く……そしてDemon Kingが倒された後はRodcorteを『Lambda』から逃げられなくするmeritが無くなったのだ。


 もしRodcorteが『Lambda』に認知されて逃げられなくなっても、彼の人格や役割が大きく変わる事は無い。どうせCircle of Reincarnationに関しての事しかせず、だからと言って注文を付ける事は止めないだろうと。

 Alda派のGodsは、なら現状維持の方がまだ良いだろうと考えた。態々自分達がbelieverを増やしてやる理由も無いと。


 一方Vida's Factionでは、やる意味が無かった。そもそもVidaVidaCircle of Reincarnation systemを創り上げたのは『LambdaworldCircle of Reincarnationを自分達Lambda worldGodsで管理する為だ。

 だから最終目標は、『Lambda』からRodcortesystemを切り離す事にある。だと言うのにRodcorteの逃げ道を塞いでは、その目標に逆行してしまう。


 だからRodcorteは今まで野放しにされていたのだ。

 まさかGodsも、God of Reincarnationが自発的にその役目を放棄して……Demon King以上に悪辣で無責任な方法でworldを滅亡の危機に瀕させようとは、想像もしなかったのだろう。


 だがVandalieuは自らがReincarnatorである事と合わせて、Rodcorteに関する事までTalosheimで広めてしまった。

 Godsが……RicklentZuruwarnが気づいた時は既に多くの者に知られており、今更口止めしても無駄だろうからと、今度はVandalieuRodcorteの存在を広める事が放置されていたのだ。それにRodcorteは今気がついた。


『そしてあんたは『Lambda』の神の一柱として認知されたのか。じゃあ、もうsystemを切り離す事は出来ないのか?』

 Endou Kouyaが、狼狽え続けているRodcorteに問いかける。


『……そうだ。worldに属する神は、そのworldから離れられない。入念な準備が在れば別だが、それにはどんなに急いでも千年はかかる。

 Demon Kingとその配下達のようにbelieverの数が誤差に等しい程激減したconditionでなら、若しくは認知している存在と共に移動するなら別だが』


 つまり今現在Rodcorteを認知しているTalosheimを含めた、Boundary Mountain RangeVida's New Races達を数百人まで減らす……殺すか、『Lambda』から連れ出さなければならない。


『それは私の【Oracle】やAranの【Calculation】を使うまでも無く不可能だな』

 当然だ。Vandalieu一人殺すだけでも厳しいのに、他にもBoundary Mountain Range人々を数十万も……Majin King GodwinBudarion、『Divine Spear of Ice』のMikhail等の妨害を受けながら殺さなくてはならないなんて、どう考えても不可能だ。

 例え、Braversが全員揃っていても。


 『Lambda』から連れ出すのは、考えるまでも無い。


『つまり、今から入念な準備を始めても千年は大丈夫って事か。いや~、助かった。それだけあれば、『Earth』も『Origin』もどうにかできるかもしれないし、皆の三度目の人生もとっくに終わるだろうし』

 とりあえず、Firstと第二の故郷が滅亡する事は暫く無さそうだと安堵するAranしかし泉は緊張を保ったまま、安心するのは早いと警告する。


『そう上手くはいかないと思うけれどね。どうせ何かしらの例外があるだろうから』

 泉が言うように、例外的にworldを移動する事が可能なDivinityは存在する。Zuruwarnのような、領域を侵犯するGodsだ。

 だが、幸か不幸かRodcorteはそれに含まれていない。Circle of Reincarnationというそれぞれのworldにとって重要な仕組みを司る神が、そんな自由に行き来できる権能を持てるはずがないのだ。本来なら。


『それに、全てはこいつ次第だと思うわ。自棄を起こして自殺覚悟で『Lambda』や他のworldsystemから切り離そうとするかもしれないし、systemを弄って『Lambda』のCircle of Reincarnationだけ止めるかもしれない』

『そ、それは確かに困るな。一番厄介なのは捨て鉢になった連中だし……』

『『The 8th Guidance』の事を言っているのなら……まあ、それはいいか。確かに、自棄に成られるのが一番困るな』


 自暴自棄になってとんでもない事をやらかすのでは無いかと警戒する三人だったが、Rodcorteにそのつもりは無かった。

 systemから『Lambda』を含めたworldの切り離し作業を強行する事は、可能だ。しかし腕を捻り捥がれるような激痛に耐え続けなければならないし、作業が終わった時Rodcorteが存在を保っていられる可能性は三割程度だ。

 泉が評すように、自殺覚悟でなければとても出来ない。


 systemを弄って『Lambda』のCircle of Reincarnationだけ止める事も可能だ。そうすればsystemから切り離した時と同じく、幾らVandalieuに魂を砕かれても問題無い。

 しかし、切り離した時とは違って安全ではない。


 believer達が滅亡の縁に立たされた事に気がついたAlda達が、RodcorteからCircle of Reincarnationの権能を奪うために攻め込んで来る可能性があるからだ。


 systemは動いていなくてもworldと繋がったままなので、不可能では無い。そしてAlda達の選択肢としては、Vida's Factionに協力を求めるよりも選びやすいはずだ。

 弱っているZuruwarnと違って、Aldaとその勢力の力は戦闘の経験も権能も無いRodcorteにとって脅威だ。


systemを止めた後『再開して欲しければVandalieuを殺せ』と『Lambda』のworld全体を脅迫する……なんて事はやるなよ。逆効果だから』

 何も言う事が出来ないでいるRodcorteに、Aranが警告する。それはsystemを止めるよりも、更に過激で性急な手だ。


『それぐらいは、分かっている。今の段階で既にAlda達は、Dhampirで教義的に相容れないVandalieuを殺そうとしているはずだ。脅迫したからと言って、劇的な効果が表れるとは考え難い。

 Human社会とAlda派のGodsが力を結集してVandalieuの勢力と戦う。そんな事は起きない。その場合Alda達が矛を向けるのは、私の方だ』


 Aldaから見ればRodcorteが狂ったようにしか思えないだろうし、demandに従ってもこの後同じ脅迫を繰り返さないと信じる事は出来ないはずだ。そのため、脅迫した瞬間RodcorteAldaにとってVandalieuを越えるworldの脅威になってしまう。


『分かっているなら良かった。じゃあ、お互い日常業務に戻るって事で良いよな?』

『……』

 systemを、自分自身を守るために取れる有効な手段を思いつけなかったRodcorteは、Aran達にかけていた自由の制限を解いた。


 Rodcortepsychological Damageから回復し、何かを決断するまでには多少の時間がかかるだろう。

 Aran達はその時間を使って少しでも彼のCircle of Reincarnation systemへの理解を深める事を考えていた。仲間の事もfollowしながら、再び『Earth』や『Origin』が切り捨てられそうになったら、どうにか出来るようになるために。


(そのためには、他の神の協力がいる)

 三人はそう考えながら、Rodcorteを裏切るための準備を進める事にした。

 その思考をRodcorteは読んでいたが、最初から彼等が忠実であるなどとは考えていない。だから自分の身に起きた問題と比べれば、たいした事では無かった。




 極寒の氷原の階層を越えたVandalieu達は、渦潮がcountlessに乱立する海の階層を越え、険しいMountain Rangeの階層を越え、『Trial of Zakkart』の中層から下層へと向かいつつあった。


 そして今は、常夏の階層で休んでいた。

『ここ、Dungeonの中だよね?』

『そうだ、よ』

 微妙な顔つきで透き通った青い空を見上げるZandiaに、Rapiéçageが同意する。


 彼女達の目の前には白い砂浜とコバルトブルーの海が広がり、後ろにはヤシの木が生えた散歩に丁度良さそうな草原がある。

 気温も水温も海水浴に丁度良く、monstersは一匹も存在しない。いるのはBeachを歩くカニや、穏やかな海を泳ぐ色とりどりの魚、そして穏やかに空を飛ぶカモメ等だ。


『そう言えば、Dungeonの外も今頃はもう夏ね』

 Darciaも夏の海を眺め、波の音色を楽しんでいる。


『二人とも今の内に食べておきなよ。果物でも何でも取り放題だよ』

『おう、ヤシの実の中には水の代わりに酒が入っているから飲み放題だぜ!』

 そしてJeenaBorkusが言うように、食料も好きなだけ手に入る。木々には南国のfruitsがたわわに実っており、ヤシの実の中には美味い酒が満ちている。


 それらは簡単に手に入れる事が出来た。危険なTrapや、難解な謎掛けも一切無い。


 何時の間にか安全な観光地に来てしまったのではないか。思わずそう思ってしまう。


『二人とも、今の内に楽しんでおかないと損ですよ』

『陛下-kunは……すごい味わっているね』

 会話を【Out-of-body Experience】で作ったCloneに任せて、冬眠前のリスか何かのように果物を食べまくるVandalieuを見て、Zandiaは頬を引き攣らせた。accurateには、その背後に広がるmonsters達の饗宴にだが。


 ヴヴヴヴヴヴヴヴ

「ギシャアアアアア!」

「BUOOOOOO!」

 Vandalieuの背後では、蟲型のmonstersが果物や花の蜜、植物を貪っていた。PeteHuge Gluttony worm等、草原を丸裸にする勢いだ。


『おたべよぅ……』

 ……植物型のmonstersは、Eisenが時々南国のfruitsに自分の実を混ぜる以外は、やや離れた位置で平和的にSunlight浴中である。


『今の内に食い貯めておこうと思いまして。そうすれば、Pete達は暫く持ちます。時々視線を感じますけど、もう慣れましたし』

『視線って、やっぱりGufadgarn -san……-samaかしら?』

maybe? 考えてみると、Gufadgarnの顔も知らないんですよね、俺』

 Darciaに尋ねられても、Gufadgarnの姿を知らないVandalieuは【Abyssskillで見つめ返しても誰だか分からないのだった。


 一応Dark Elf nationで祭られているGufadgarnIdol Statueは見たのだが、見た目がかなり簡略化されていたのであまり参考に成らなかった。

 Evil God (M) Evil God (P)accurateな姿を石像や絵図にすると、目にした者のMentalimpactを与える場合が多いので、仕方のない措置である。


『まあ、じっと見つめて来るだけで何も言ってこないから大丈夫でしょう。とりあえず今は各種栄養を食い貯めておかないと』

『ええっと、そんなに急がなくてもいいんじゃない?』

『いえ、約半日後に階層全体を襲う大津波が発生するそうですから』


 実はこの観光地じみた階層全てが、挑戦者に対するTrapであった。

 苦しい試練を乗り越えた挑戦者達を誘惑し、まだ続く厳しい試練に挑む意欲を無くした者達を陥れる為の階層なのだ。


しかも、ここの食べ物って全て傷みやすいんですよ。酒も含めて。俺は【Preservation】のmagicがあるので関係ありませんが』

 その上、補給物資としては無いよりマシだが短期間しか保たないと言う、念の入り用だ。


「……父-san達は初めての挑戦ではここでretireしたそうです。津波にやられて」

「まあ、仕方ないんじゃないかしら。ギザン達も、前情報なしでの攻略に心身共に疲れ果てていたでしょうし」

 海で泳ぐよりも砂浜を掘り返して貝を集めているIrisEleonoraが、そう言いながら当時のGodwin達に思いを馳せる。


「あと陛下、父-sanがお土産に酒ヤシの実その物か、栽培方法をGufadgarnから聞いて来て欲しいと言っていましたが……無視しても構いません」

「いえ、面白い植物なので持って帰りはしますけど……これ栽培できるのでしょうか?」


 そう言いながら酒ヤシの実をつつくVandalieuの視線の先では、IslaBellmondが岩場で釣りをしていた。このBeachは磯釣りも出来るのだ。

「きゃあああああ!?」

『ちょっ!? 落ち着きなさい! tailを振り回さないで!』


 どうやら、釣りに集中して気を抜いていたBellmondの長いtailを、大きな蟹がscissorで挟んだらしい。驚いたBellmondが絹の裂けるようなscreechを上げながらtailを振り回し、蟹と岩場に深刻なDamageを与えている。

 Islaが慌てて首輪に着いた、Vandalieuが改造した事で伸縮自在になった鎖でBellmondを鎮圧しようとしている。


『平和ですねー』

「……この階層、津波が起きる前に壊滅するんじゃないかしら?」

「半日ももたないかも」

 前方で岩が砕け散る音が、後方からはPete達の食事の音が響くなか、目を細めるVandalieu


Van~、Job change終ったよー! 【Hell Armor Heavy Club Warrior】になったよ!」

 Pauvinaがそう言いながらSamcarriageから出てくる。

「おめでとう。でもPauvina、自分のJobを堂々と叫んじゃいけません」

「そっかっ。【Hell Armor Heavy Club Warrior】になったよ」

 Vandalieuの注意を受けて、口元を隠すような仕草をしてから言い直すPauvina。あまり声は抑えられていないが。


 しかし言い終わった後、Smiling Faceから一転してガッカリした-sama子で肩を落とす。

「でも、Magical GirlってJobが出なかった……」

 VandalieuからTransform杖の試作品を貰ったPauvinaは、Zadirisに続く二人目のMagical Girlに成る事を狙っていたらしい。


「まだmagicが使えませんからね」

 だがPauvinamagicが使えない。Transformはしてもやる事は物理で殴る事だけなので、Jobに出なくても仕方ないだろう。

 そのため、「Hell Copperの鎧を纏って戦う重装の棍棒使い」と言う特徴がピックupされて【Hell Armor Heavy Club Warrior】というJobが誕生したと思われる。


「坊や、儂はJobも【Wizard Princess】に成ったぞ!」

 続いてSamcarriageから出てきたZadirisがそう宣言して胸を張る。どうやら、『Jobの神』までMagical Girlを認める方向で考えているようだ。


「これで次のRank upQueen間違いなしじゃな!?」

『うんっ、そうだね!』

「そうですね……」

「ええ……応援しているわ」

Zadiris -san……私は信じる事は、尊い事だと思う」

 得意気なZadirisに元気良く同意したのはZombie PrincessZandiaだけで、VandalieuEleonoraは生温い、Irisに至っては切なげな視線を向ける。


「な、何じゃその反応は!? 冗談じゃとしても止めんかっ、ちょっと不安になるじゃろうが!」

「……ちょっとなんだ」

 


「じゃあ、俺もJob changeしてきますね」

「う、うむ」

 食事を中断して、今度はVandalieuSamcarriageに向かう。


Bocchanfrom here出たらJob change roomを増設しませんか? 一roomだけだと何かと不便なようですから』

 そうSamが提案する。先ほどまでPauvinaが選んでいる間、Zadirisが順番待ちをしていたからだろう。


 普通の規模なら、Job change roomは各guildと行政府に一つずつあれば十分回る。確かに順番待ちの列が出来る時期もあるが、使われない期間の方が長いからだ。

 一時期だけ偶発的に発生する列を解消するために、Job change以外で使えないroomを作るcostを皆嫌うのだろう。


「俺達も『Trial of Zakkart』から出たら、一度に何人もJob changeする事は無いと思いますが……もう一roomくらい予備にあっても良いかもしれませんね」

 そう答えながら、Job change roomに入って水晶に触れる。


「さて、とりあえずJobは――」


《選択可能Job 【Disease Demon】 【Spirit Warrior】 【Whip Tongue Calamity】 【Vengeful Berserker】 【Dead Spirit Mage】 【Hell Healer】 【Magic Cannoneer】 【Hell King Mage】 【Divine Enemy】 【Creation Guider】 【Fallen Musha】 【Insect Nin】 【Destruction Guider】 【Fragment Bestower】(NEW!) 【Dungeon Master】(NEW!) 【Demon King】(NEW!) 【Chaos Guider】(NEW!)》


「……他の二つはin any caseDemon Kingって」

 【Dungeon Master】は分かる。今就いているJobが【Labyrinth Creator】なのだから、その上位Jobだろう。

 【Chaos Guider】も、まあわからなくもない。ChaosGuidingとか、そんなものだろう。五つ目のGuiderJobだが、四つも五つも似たようなものだ。


 しかし、【Demon King】って。あれはJobで良いのだろうか?


「とりあえず、【Demon King】は止めておこう」

 Job change room内の物音はSamにも聞こえないのに、声に出して呟きながらVandalieuは次のJobを考える。


 【Dungeon Master】が順当だろうか? しかし、今の時点で外に【Teleportation】出来ない事以外は特別不便を感じてはいない。このJobに就いたところですぐにそれが可能に成る訳でもないだろうし、他から選んだ方が良いかもしれない。


 ならこれから挑む下層で役立ちそうな名称のJobにしよう。


「【Creation Guider】を選択」




《【Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue)】、【Enhanced Body Part(髪tongue fangs爪)】、【Thread Refining】、【Cooking】、【Golem Creation】、【Alchemy】、【Abyss】のlevelが上がりました!》

《【Guidance:創道】、【創道Enticementskillを獲得しました!》

《【Guidance:創道】が【GuidanceHell Demon Path】にintegrationされ、【Guidance: Dark Demon Creator Path】に変化しました!》

《【創道Enticement】が【冥Demon Path Enticement】にintegrationされ、【Hell Demon Creator Path Enticement】に変化しました!》

《【Labyrinth Creationskillが【Labyrinth CreationskillAwakeningしました!》




Name: Vandalieu

Race: Dhampir(Dark Elf)

Age: 10age

Title: Ghoul Emperor】 【Eclipse Emperor】 【Guardian of the Cultivation Villages】 【Vida's Miko】 【Scaled Emperor】 【Tentacle Emperor】 【Champion】 【Demon King】 【Oni Emperor

Job: Creation Guider

Level:

Job History: Death-Attribute Mage Golem Transmuter Undead Tamer Soul Breaker Venom Fist User Insect User Tree Caster Demon Guider Archenemy Zombie Maker Golem Creator Corpse Demon Commander Demon King User Nether Guider Labyrinth Creator


Ability Values

Vitality: 9,799

Mana: 2,321,253,359+(1,160,626,679)

Strength: 1,807

Agility :1,537

Endurance :1,938

Intelligence :4,023




Passive skills

Mysterious Strength:8Lv

Rapid Regeneration:3Lv

Hell King Magic:3Lv(UP!)

Abnormal Condition Resistance:10Lv

Magic Resistance:7Lv

Dark Vision

Hell Demon Creator Path Enticement:4Lv(UP!&冥Demon Path Enticementから変化!)

Chant Revocation:6Lv

Guidance: Dark Demon Creator Path:5Lv(GuidanceHell Demon Pathから変化!)

Automatic Mana Recovery:10Lv(UP!)

Strengthen Subordinates:8Lv

Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue):8Lv(UP!)

Enhanced Agility:5Lv

Body Expansion (Tongue):7Lv

Strengthened Attack Power while Unarmed: Large

Enhanced Body Part (Hair, Claws, Tongue, Fangs):8Lv(UP!)

Thread Refining:5Lv(UP!)

Mana Enlargement:5Lv

Mana Recovery Rate Increase:3Lv(UP!)


Active skills

Bloodwork:4Lv

-Transcend Limits-:2Lv(UP!)

Golem Creation:4Lv(UP!)

No-Attribute Magic:9Lv

Mana Control:8Lv

Spirit Form:10Lv

Cooking:7Lv(UP!)

Alchemy:9Lv(UP!)

Unarmed Fighting Technique:9Lv

Multi-Cast:8Lv

Long-distance Control:8Lv

Surgery:7Lv

Parallel Thought Processing:8Lv

Materialization:7Lv

Coordination:8Lv

High-speed Thought Processing:8Lv

Commanding:8Lv(UP!)

Thread-reeling:6Lv

Throwing Technique:6Lv

Scream:4Lv

Dead Spirit Magic:7Lv

Artillery Technique:8Lv

Armor Technique:4Lv

Shield Technique:4Lv

Group Binding Technique:3Lv(UP!)

Surpass Limits: Fragments:3Lv(UP!)



Unique skill

God Devourer:3Lv

Grotesque Mind:9Lv

Mind Encroachment:7Lv

Labyrinth Creation:1Lv(Labyrinth Creation awakened into!)

Demon King Fusion:9Lv

Abyss:5Lv(UP!)

Divine Enemy

Soul Devour:3Lv

Vida’s Divine Protection

Earth’s Hell Gods’ Divine Protection



Demon King Fragment

bloodsuction cupsink sacscarapacescent glandLuminescent organsblubberchineyeballproboscisfurexoskeletonArthropod Legsantenna


Curse

 Experience gained in previous life not carried over

 Cannot learn existing jobs

 Unable to gain experience independently




 これから向かう『Trial of Zakkart』の下層には、Production related Championの特殊Abilityや過去に作った物に直接関係する試練や謎掛けが行われるらしい。そこで、名称からしてProductionCreation物に関するskillに補正がかかりそうな【Creation Guider】を選んだのだ。


 なので【Golem Creation】や【Cooking】、【Alchemy】等創る、若しくは作る事に関係するskilllevelが上がった事には驚かなかった。

 しかしThread Refining】や【Venom Secretionskilllevelも上がるとは思わなかった。body partから作る物にも補正がかかっているのかもしれない。

 【Abyss】が上がったのは……何故だろう? Gufadgarn(推定)からの視線を受け続けているからだろうか?


しかもLabyrinth Creation】……【Creation Guider】ってDungeon造りにも補正がかかるのだろうか?」

 試しに【Teleportation】してみようとするが、それは不可能だった。しかし、表に出たら今度こそAClass Dungeonを創る事が出来るかもしれない。


「とりあえず、皆に話しに行きましょうか」

 【Guidance】がまた物騒な字面に成ってしまったが、もう気にしない事にするVandalieuだった。




Job解説:Labyrinth Creator


 Dungeonを創り出す事が出来る者が就けるJob

 Ability ValuesDungeonを創り出すのに必要なManaincrease幅が最も高く、skill補正は【Labyrinth Creation】(及びそのSuperior Skill)や【Space-Attribute Magic】等のskillに得る事が出来る。


 他に、恐らく【Architecture】や【Engineering】、【Carpentry】等のProduction related skillも若干の補正がかかるものとconjectureされる。




Name: Pauvina

Race: Half-Noble Orc

Age: age

Title: none

Job: Hell Armor Heavy Club Warrior

Level:

Job History: Apprentice WarriorWarriorClub WarriorHeavyweight WarriorBeast WarriorGuardian Warrior



Passive skills

Night Vision

Mysterious Strength:7Lv(UP!)

Enhanced Vigor:1Lv

Physical Resistance:6Lv(UP!)

Blunt weapon equipped, then Attack Power Enhanced (1) : Medium(NEW!)

Strengthened Defensive Power while equipped with metal armor:中(NEW!)

Strengthened Defensive Power when equipped with a Shield: Medium(NEW!)

Mental Resistance:3Lv(NEW!)

Intuition:1Lv(NEW!)



Active skills

Club Technique:7Lv(UP!)

Throwing Technique:4Lv(UP!)

Armor Technique:6Lv(UP!)

Shield Technique : 5Lv(UP!)

-Surpass Limits-:4Lv(NEW!)

Housework:1Lv(NEW!)

Unarmed Fighting Technique:3Lv(NEW!)

Dismantling:2Lv(NEW!)



Unique skill

Garess’s Divine Protection(NEW!)

■■■■■ー's Divine Protection(NEW!)




 恐らくHell Copper製の鎧を身に着けて戦うClub WarriorMagic Club User等のJobの亜種に当たるJobであると思われるJob、【Hell Armor Heavy Club Warrior】のJobに就いた。

 body partSizeを無視してもVandalieuよりも年上に見える、Humanなら九age相当のShoujoskillは既にBClass adventurerに匹敵し、originally高い上に【Guidance: Dark Demon Creator Path】でさらにincreaseしたAbility Valuesを含めるとAClassへの昇Classが狙える段階にある戦闘Abilityを有する。


 夢でVandalieuから細長い物を渡され、『God of WarriorsGaressと何者か's Divine Protectionを得ている。正体不明's Divine Protectionに付いては、悪いものでは無いので気にせず活用している。

 何時の間にかpsychological効果に対するresistance skillを身に付けていたが、maybe日頃からVandalieu達と一緒にいるから自然に獲得したと思われる。


 目指せ、Magical Girl


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