『Trial of Zakkart』の真の入り口は、表の看板がある入り口から入ってすぐのdome状のroomにあった。
そこにはこのworldのGreat God十一神を象徴する聖印が壁に描かれており、壁に文字が刻まれていた。
『True Championを選びし神に祈りを捧げよ』
それを見上げたVandalieuは呟いた。
「……外の人達は、ここでまずZakkartを選んだVidaじゃなくて、Bellwoodを選んだAldaに祈りを捧げたのでしょうね」
これは、このDungeonがZakkartのFirst使徒をself-proclaimedする『Evil God of Labyrinths』Gufadgarnが創ったと知っているBoundary Mountain Range内部の者達にとっては、見え見えのブービーtrapだ。
しかし、Boundary Mountain Rangeの外のHuman社会ではZakkartは『Fallen Champion』であり、邪悪なVampire達の片親として尊敬よりも畏怖の対象だ。
真のChampionと言われて思い浮かべる事はまず無いだろう。
「True Championとなると、Human社会ではどうしてもDemon Kingを倒したBellwood達が思い浮かぶはず。
しかも外のworldだとこのDungeonはBellwood's Successorを選ぶための試練とされていたので、大抵の挑戦者はAldaやBellwoodのbelieverでなくても、Aldaに祈りを捧げると思います」
Irisが言ったように、Human社会の挑戦者達は殆どの場合ここでAldaを選んできた。『Five-colored blades』のHeinz達も同じく。
「Farmounを選んだZantarkは?」
Bellwoodと同じくHeroic GodのFarmounはAdventurer’s GuildのFounderだ。挑戦者の多くを占めるadventurer達が彼に祈りを捧げる場合もあるのではないかと、Vandalieuは思った。
GufadgarnはFarmounがAlda派から離れた事をmaybe知らないだろうが、ZantarkがVida's Factionである事を知っている。だからShizarionやAldaに祈りを捧げるよりはマシなのではないだろうか?
「Zantarkは、外のworldのVida believerにすら邪悪な神とFusionして堕ちたとされているので……」
「なるほど。ではとりあえずVidaに祈りを捧げましょうか」
Irisの説明に頷き、Vidaの聖印に祈りを捧げるVandalieu。特に何時もと変わらない方法で手を合わせる。
「今の私はVida believerです、今の私はVida believerです」
「Hihiryushukakaのbelieverは止めました。本当です、本当です」
『私はVandalieu -samaの装備品のような物です、だから気にしないで』
ただ元Alda believerのIrisや、Vandalieuの体内から出てきた『Evil God of Joyful Life』Hihiryushukakaを奉じていたEvil God (M)派に属していたEleonoraとIslaは手を合わせて真剣に祈りを捧げていた。
特にIslaは、Vandalieuから態々出てきて祈りと同時にSelfの人格を放棄する発言までしている。
実際、GufadgarnからすればDemon King Army RemnantsもAlda派と同-samaに敵として認識しているだろうから、必死になる気持ちは分からなくもない。
「まあ、大丈夫だと思いますよ。VidaのDivine Realmに行った時も、何も言われませんでしたし」
だから少なくとも、Vida達はEleonoraやIslaの存在を問題視していないはずだと宥めるVandalieu。
「そうだったら良いのだけど……」
「坊や、儂は終わったのじゃが、もう少し時間をかけた方が良いかの?」
『Vandalieu、何時の間にか扉が出現したからもう祈るのは良いんじゃないかしら?』
そしてGiantな扉が出現した事で彼女達は祈りを終え、Vandalieu達は奥に進んだのだった。
『Evil God of Labyrinths』Gufadgarnは、自らが創り出した『Trial of Zakkart』の最奥で夢想していた。
在りし日の、最も輝き幸福だった日々の事を。
その夢想を中断させたのは、Dungeon内部に発生したsignだった。
『新たな挑戦者か』
Firstの選別の間でVidaに祈りを捧げたと言う事は、Boundary Mountain Range内部の者達だろう。外部の者達は、何故か揃って忌々しいAldaにばかり祈りを捧げる。
Godsの長を気取るAldaは、己のbeliever達にこのDungeonについて何と言ったのだろうか? 余程素質の無い者にOracleを託しでもしたのか。
尤も、Boundary Mountain Range外部ではVida's New Racesの者でもAldaに祈るのだが。
特に嘆かわしいのは、看板を設置しても一向に効果が無い事か。入口の前に選別の為の簡単な設問を設置したが、そのせいだろうか?
『しかし、主を探し出す為にはどんなに小さな可能性でも否定はできない。それに、我が真意があからさまに成るのも拙い』
何かの間違いで主がAldaのbelieverとなっている可能性も、極小ながら存在するはずだ。Gufadgarnの真意が広がり、試練の攻略では無くGufadgarnの討伐が目的となっても困る。
in any case、新しい挑戦者に意識を集中させる。Zakkartの、貴き主のMikoに連なるVampire達はcertainly、Vidaに祈りを捧げる者達を無暗に死なせる訳にはいかないからだ。
そうして『視えて』来たものの中に、Gufadgarnの意識に鮮烈に訴えかけるものがあった。
『……この思念! 我が主、Zakkartのsignを……そしてVida’s Divine Protectionを感じる』
驚愕しながらもGufadgarnは扉を開けて進むVandalieuの姿を映しだした。
見た限り、彼が主と仰ぐChampion Zakkartとはfragmentも似ていない。だが、彼にとって重要なのはappearanceでは無い。
問題はこのDhampirの少年が、本当にRicklentからのOracleにあったZakkartと彼と志を同じくしたChampion達のreincarnationした人物なのかどうかだ。
それは未だ確実では無い。しかし Gufadgarnは胸が高鳴るのを止める事が出来なかった。
『おお、永劫に想えた虚しき時が終わるのか。少年よ……願わくば、我が虚ろを満たしたまえ』
扉を進むと、そこは薄暗いspaceが延々と広がっていた。見た限り壁も、そして天井すら無い。
simple過ぎて妙なDungeonだなとVandalieu達が思っていると、不意に扉が音を立てて締まりそのまま消えてしまった。
『気を付けて! 聞いた話通りなら、大量のmonstersが現れるわ!』
Darciaがそう警告するのと同時に、何も無かったはずの階層に数え切れない程のmonstersが出現した。
Giantな鉄人形のIron Golem、穢れたManaに汚染されて力とInsanityを手に入れた炎のAnima Madサラマンダー、Light AttributeのmagicをPseudo-的に行使するmonsters化したLuminescenceガスの塊プリズムstalker。
他にも多種多-samaな、弱くてもRank6のmonstersが数十匹、一斉に襲い掛かって来た
これが『Trial of Zakkart』に有象無象を幾人送り込んでも無駄に終わる理由だ。最初の階層で、出口も無いままcountlessのmonstersと戦わなければならない。そのため挑戦者にBClass Dungeonで余裕を持って攻略できる実力が無いと、瞬殺されてしまうのだ。
「確かに、父-san達から聞いていた通りだ」
だが既に試練の挑戦経験がある者達から話を聞いていたIrisや、他の者達に動揺は無かった。
「やっと新装備が試せるというものじゃ。Transform!」
Transform杖を掲げたZadirisがHaoriっていたローブを脱ぎ捨て、コマンドワードを唱える。するとHell Copper製のTransform杖の装飾部分が瞬時に液体化し、彼女のbody partに降りかかって肢体を這い回る。
そして数秒とかからずHell CopperはZadirisの衣服と一体化して形を変え、彼女の手には変形杖のmain bodyであるDeath Iron製の柄が残った。
「【輝烈刃:乱舞】!」
skirt状の装飾を翻してZadirisが唱えた高位のLight-Attribute Magicの乱れ射ちが、殺到しようとしていたmonsters達を切り裂いた。
「続けて受けよ! 【Roaring Lightning】!」
それでもまだ動いていたIron Golem等のmonstersに、高位のWind-Attribute Magicを叩きつける。
【Chant Revocation】skillによる連続magic攻撃。このZadirisの大活躍で、出現したmonstersは殆ど狩り尽くされてしまった。
「うむっ! 素晴らしい使い心地じゃ。呪文の行使の補助とAttack Powerへの補正は期待以上で、しかも殆ど重さを感じんし動きやすい!」
『あんまりはしゃぐ……まあ、良かったんじゃないかい?』
「あ、ああ、凄いな」
残った数匹のmonstersも、LegionとIrisが容易く屠った。
Dungeonに入ったらすぐ退路を断たれ、次の瞬間襲い掛かって来る最低でもRank6のmonstersの群れ。DClass以下のadventurerや並のKnightやSoldierでは瞬殺、CClassでも数人程度ではまず生き残れない。最低でもBClass以上の実力が無ければ、この襲撃で命を落とすだろう。
そんな難問も、元からBClass Dungeonでも余裕で活動出来る事を最低条件にしたVandalieu達の前では、どうと言う事も無い。
Zadirisの新装備、Transform杖の性能testに丁度良いぐらいだ。
「とりあえず、Transform杖は上手く出来たようですね。……戦闘中に長々とコマンドワードを唱えたり、ポーズを取るのは危険なので省略したのが良かったようです」
Transform杖のモChiefはEarthの女の子向けアニメのitemだが、流石にそのまま採用する訳にはいかなかった。ロマンの為に使用者を危険に晒しては本末転倒だからだ。
そのため杖の装飾部分のHell Copperが形を変え、使用者が着ている服を取り込む形で衣服になる方式を取った。
「坊や、これは中々の品じゃ! 皆にも同じ物を作れば、戦力が格段にincreaseすること間違いなしじゃぞ!」
余程使い心地が良いらしいZadirisが瞳を輝かせてそう言うが、彼女の後方から「無理だ!」と言う声が即座に響いた。
「私には、無理だと思う……その、Zadirisには似合っていると思うが」
「そうだな、我も勘弁して欲しいぞ」
Irisと、そしてZadirisのTransformに呆然自失conditionだったVigaroが首を横に振る。
『……将来Originで生きていた時と同じ姿に成る事が出来たとしても、それだけは勘弁だよ』
『右に同じく。何でもするからそれだけは許して欲しい』
『そう? Baba YagaもEnmaも似合うと思うけど。ValkyrieはFrillsが嫌みたいね』
「私はkaa-san程magicが得意じゃないからな。でなければ試してみたいが……私より先にZandiaやPrivelに勧めてはどうだろうか?」
Legionは個人毎に意見が異なり、Basdiaが問題にしているのは自分のmagicの技量だけの-samaだ。
その時に成ってはしゃいでいたZadirisは冷静になって、自分の格好を確認した。
「【投shadow】……む、むむむ!」
Light-Attribute Magicで自分の姿を目の前に映し出したZadirisは、想像と異なる自分の姿に呻き声を漏らした。
ローブの下に着ていたBikini状の服をベースに、Hell Copperが極細の繊維となってFrillsやRibbonを形作り、脚と手はhi-socksと長手袋に成って覆っている。更に、背中にはマントが揺れている。
そして色は、Light Attributeの白を中心にdesignされていた。
一見すると白いdressを纏っているように見える、しかしよく見るとLeotardにdress状の装飾が付け足された露出度の高い格好になっていた。
それを知ったZadirisは、キッとVandalieuを睨みつけた。
「坊やっ、大人っぽくと言ったのにRibbonやFrillsが多すぎじゃっ! これではchildの格好じゃぞ!?」
「いや、childでも問題があると思うが……そうでもないのだろうか」
Irisが冷静に指摘しようとして、最近常識が揺らいでいるため言葉を濁して黙り込んだ。
一方クレームを受けたVandalieuは、そのZadirisの反応を予想していたらしくすらすらと反論を口にした。
「この装飾には、技術的な理由があります。このHell Copper製のボディSuitにはAlchemyで小さな呪文を刻むことで対物理、対magic防御が向上され、さらに各種magicが付与されていますが、その為には一定以上の表面積が必要です」
「ひょ、表面積?」
「はい、文字を小さくするにも限界がありますから」
RibbonやFrills、skirt状の装飾はただ可愛らしさを演出するための物ではない。編み上がってそれらを構成する液体金属の極細繊維には、杖formとcostume formに変化する機能を含めた、幾つもの効果を発揮するための呪文が複雑なprogramのように刻まれているのだ。
「それを必要最低限に抑えれば装飾を大分減らせますが、その分余裕が無くなります。少しの損傷でただのHell Copper製の服に成ってしまうので、今のdesignに成りました」
決してWitchっ子のcostumeに似せるために、Zadirisをからかうために今の可愛らしいdesignにした訳ではないと、Vandalieuは主張する。
変に大人っぽくすると逆に似合わないとか、そんな思いが無かったとは言わないが。
腕を組んでVandalieuの言い分を聞いていたZadirisは暫く「むぅ~」と唸っていた。
「そう言う訳なら仕方あるまい。試作品の首から下に張り付いて覆う形だと、妙な動き難さがあったからの」
しかし、-chanとした理由があるならと納得してくれた。
IrisやVigaroは「納得するのか!?」と驚いていたが。
『それに、それほどchildっぽくは無いと思うわよ』
『そうなの、瞳-chan?』
『そうよ、Jack。『Earth』と『Origin』にだけど、もっと凄いのもあったから』
Legionの人格の一つとなっているReincarnatorのMinuma Hitomiが、another worldのWitchっ娘物のcostumeを思い出して感想を言う。
鮮やかな色とりどりのFrillsに、段が幾つもあるフレアskirt、大きすぎて明らかに邪魔になりそうなRibbon、歩くと足が痛くなりそうな靴。
それらと比べたら今のZadirisの格好は、大分大人しい。
「そうかそうか、まあ恰好だけ大人っぽくしても儂の顔や体つきが変わる訳では無いしの。それに最近nerve質になっていたが、FrillsやRibbonが殊更嫌いと言う訳でも無かったはずじゃしな、儂。
すまんな、坊や。年甲斐も無くselfishnessを言ったようじゃ」
それを聞いて彼女なりに整理を付けたのか、Zadirisがそう言いながら最近随分近くなったVandalieuの頭を撫でる。
「しかし、儂がRank upして大人っぽくなったら、大人っぽい見た目に作り直すのじゃぞ。約束じゃからな」
一転して据わった目つきでそうdemandするZadiris。別に吹っ切れた訳では無いらしい。
「分かりました。appearanceが大きく変わったら、costumeも合わせないと動きにくくなりますからね」
逆らわず約束を交わすVandalieu。実際、体形が大きく変わったらTransform杖の改良は必須なので、どうと言う事も無い。
「でも今のままでも可愛いと思いますが」
「坊や、年寄りをからかうものでは無い。そういう言葉は、自分と同じか年下の娘に言ってやるべきじゃ」
「……kaa-san、それだとVanの場合言う対象が少なすぎると思うぞ。Jadalを可愛がってくれるのなら大歓迎だが。
ところでVan、kaa-sanだと装飾を多くしなければならない理由は分かったが、body partの大きい私の場合はどうなるのだろうか?」
『……Basdiaだと、女幹部っぽくなりそう』
『Memoryは同じだから、落ち着いて考えるとヒトミ-chanが何を考えているのか分かるよ』
『ところで確認したい事があるからちょっといいかい、Jack?』
『分かったよ、Izanami』
雑談に興じていたLegion達の姿が不意に薄れ……そのまますぐに元通りに戻った。
『ダメだ、外に【Teleportation】出来ないよ』
今Jackは、『Trial of Zakkart』の内部に入ったまま外に【Teleportation】して行き来できるかどうか試したのだが、失敗してしまった。
『Vandalieuはどう? 【Labyrinth Creation】でDungeon内を行き来したり、壁やroomを作れる?』
「ん~……俺も外には出られないようです」
【Labyrinth Creation】skillでの【Teleportation】でも、外に出る事は出来ないようだ。
『Trial of Zakkart』のBoundary Mountain Rangeの内外の挑戦者の中には、Space-Attribute Magicの【Teleportation】で内外やDungeon内の各階層を行き来する事を目論んだ者がEven now存在した。しかし、それらの試みは全て失敗していた。
外と出入り出来れば損傷した武具に代わる新しい武具や、食料やpotion等の物資を補給できる。Dungeonの外にwisdom者や交代要員を待機させておけば、謎掛けや攻略を有利に進める事が出来る。
それでなくても、自分が使えるmagicが有効かどうか確かめるのは当然だろう。しかし『Trial of Zakkart』の内外をSpace-Attribute Magicで行き来する事は、誰も出来なかった。
これはCreation者であるGufadgarnが、space attributeに分類される性質を持つEvil God (M)である事が関係していると思われる。彼が意図的にDungeonの趣旨に反する攻略方法を禁じているのだろう。
Legionの【Limited Death-Attribute Magic】や、Vandalieuの【Labyrinth Creation】skillの【Teleportation】ならもしかしたらと思ったのだが、それも不可能なようだ。
「でも、こうして内装を弄る事も出来ます。Manaは普段より使いますけど」
しかし流石に全てを封じる事は出来ないらしい。Vandalieuが指差す先で床から四角い壁が音も無く生え、伸びていく。同じ要領で階段を作る事が出来るかまでは、まだ一階層目を攻略したばかりなので分からないが。
「この分なら攻略済みの階層になら【Teleportation】する事は出来そうですね。
Goblin通信機はどうですか?」
Vandalieuが作ったGoblinの干し首を利用した通信機を試していたIrisが、「残念ながら」と首を横に振った。
「……こちらはダメそうです。今までの挑戦者が試したのと同-samaに、通信が遮断されています」
「通じていればJadal達と話せたのだがな。仕方ない、出来るだけ早く攻略して戻ろう」
「そうですね」
外への通信や【Teleportation】は「maybe無理だろうけれど、もし出来たら便利」と思っていた程度なので無理でもVandalieu達はあまり気を落さず攻略を再開した。
……物資も人員も既に山ほど持ちこんでいるのだし。
因みに、Zadirisの脱ぎ捨てたローブはcertainly回収した。
『Trial of Zakkart』の二階層目からは、monstersと遭遇しないが複雑に入り組んだ迷路に成っていた。
『この迷路の階層は確か最初はmonstersが出ないけど、一時間の間に一定の距離を動かないと……どうなるんだったかしら?』
「壁が出てきて閉じ込められて、しかも monstersが十数匹現れるんだよ!」
「そのまま倒すまでどこにも行けないと言う階層じゃったな。しかも、迷路の構造が『Trial of Zakkart』が移動する度に変わるというおまけつきじゃ」
Darciaの説明にPauvinaとZadirisがそう付け足す。
この迷路はつまり、迷っても立ち止まらず歩き続ければ時間はかかっても安全に攻略できると言う代物だ。途中で休憩を取る事は出来ないが、その程度だ。
これはChampion Zakkartの「絶えず行動し、思考する」という行動や、「即断即決」でVidaを散々困らせた逸話が元になっているものと思われる。
……因みに、Champion Bellwoodは「時には立ち止まり、仲間達と話し合うのが大切だ」と言う言葉を残したとされる。本人がそれを実践していたかはin any case、この階層でそれを実践したHuman社会の挑戦者は大変な目にあった事だろう。
「まあ、俺は【Labyrinth Creation】skillのお蔭で階層の構造がすぐわかる訳ですが。こっちですよー」
ただVandalieuの前には迷路は何の意味も無い。落とし穴等のTrapも無いので、そのまますいすいとclearしてしまった。
『壁を動かしてゴール直通の道を作れば、もっと早くclearできるのでは?』
「あまり反則技を繰り返すとGufadgarnに怒られそうなので、安全にかかわらないなら普通にclearしましょう、Enma」
『なるほど、確かに心証を悪くして良い事は無いか』
試練をclearしても、Gufadgarnに認められなければ意味が無い。そのため気を使いながらVandalieuは迷路の階層を進んだのだった。
Gufadgarnが創り上げた『Trial of Zakkart』の各階層で挑戦者に出される謎掛けは、Zakkartを先頭にProduction related Champion達への賛美と、God of Law and Life AldaとBellwood達戦闘系Champion達への悪意と皮肉に満ちていた。
例えば、迷路の階層を抜けた五層目からは壁が石では無く、Undead Transformationしたboneの壁Bone wallで構成された階層に変化する。
このbone迷路の階層では、最初に配置されているmonstersはBone wallだけだ。挑戦者はただboneの壁で出来た迷路を進み、少し注意して見れば分かる簡単な隠し扉を見つけて、その向こうの階段に到達すればいい。それだけだ。
しかし、一回でもBone wallを傷つけDamageを与えると迷路を構成する全てのBone wallが、Rank6から8までのSkeleton系のmonstersに変化し、挑戦者に殺到してくるのだ。
Undeadを絶対的な討伐対象としているAlda believer、特にUndead TransformationしたZakkartを倒したBellwood's Successor足らんとする者は、大抵Bone wallを攻撃するか、浄化しようとしてDamageを与えて数百から千体程の上Class Skeletonの群れと延々戦う事になる。
Skeletonを倒し続ければ迷路も無くなるのでclearする事が出来るのだが、難易度は明らかにAClass Dungeon並である。
「あ、どうもどうも」
『お~おぉぉん』
しかし、Vandalieuの場合は彼が先頭に居るだけでBone wallが自主的に退いてくれるので簡単に進む事が出来た。
Knochenが同系統のUndeadの出現に喜んだぐらいだ。
階段に辿り着いた時には、若干Knochenが大きくなっていた。boneを分けて貰ったらしい。
bone迷路の階層を抜けた六層目からは緑豊かな明るい森、清らかな湖、爽やかな高原等美しい自然をそのまま再現した階層が続く。
挑戦者が足を踏み入れて暫くするとその自然を壊す、森の木々を喰らうHuge Gluttony wormや、毒をwhole bodyから分泌して水を汚すGiantな毒蛙のmonstersアグリィVenomフロッグ、空気を汚染する毒"scale powder"を撒くアッシャーBigモス等が現れる。
自然環境を守る事に拘っていたChampion Bellwood、そして彼の意見に最初に賛成していたNineroadに倣って、そのmonstersを攻撃すると、Status Effectを引き起こす毒や胞子を持つmonstersが次々に出現する。そして激闘の結果荒れ果てた森や高原のCenterに、次の階層へ続く階段が出現するのだ。
「正解はmonstersを放置するか、自然破壊を手伝う事なんだよね。……別にZakkartも自然破壊が好きだった訳じゃ無いと思うんだけどなぁ」
「拙者達もそう思うが、この階層はBellwood's Successorに成りたい者達へのTrapだと思う」
PrivelとGizaniaがそう言いながら、次々にDeforestationされたり引き倒されたり、砕かれる森を若干哀しそうに見つめる。
「今こそ我の【Deforestation】skillが活きる時!」
『フハハハハ! 木々がまるでボーリングのピンの-samaだ!』
『おおおおおおおおん!』
「……もう少し落ち着いてできませんか?」
斧を振り回してDeforestation作業を繰り返すVigaroと、【Size Alteration】でGrowして森を回転しながら走り回るLegion、Giantなbulldozerの-samaなformに成って大地を削りながら進むKnochen。そして特製の糸で木々を輪切りにするBellmond。
この分では森が丸裸にされるまで数分もかからないだろう。自然が破壊される光景は、やはりどこか悲しい。
仕事を奪われたHuge Gluttony wormも、寂しげに倒木の葉を食べている。
「材木が勿体ないですけど、流石にSamでも全部運ぶのは無理ですしね。あ、PrivelとGizaniaもマンモス汁食べます?」
そしてVandalieuはマンモスの肉を豚汁風に煮込んだCookingを作っていた。この階層は休憩していてもmonstersが出ないので、息抜きと食事に丁度良いpointなのだ。
今回大勢の仲間を装備しているVandalieuは、装備している間仲間が必要とする分の栄養を摂取しなければいけないので食事のchanceは見逃せない。
「味噌仕立てで絶品でござるよ!」
「食べよう」
「そうだね」
VandalieuとMyuzeに誘われるままに、二人もマンモス汁を頂くのだった。
そして同じような要領で湖と高原の階層もclearした。
尚、本来なら自然破壊担当だったHuge Gluttony worm等はVandalieuにTamerされた。
他には、七人のChampionの像の足元に彼等のachievementが描かれた石板が乱雑に置かれており、それを正しく並べるpuzzle。法医学者を目指していたZakkartなら簡単に攻略できただろう、人体の構造を模した迷路の階層。更には複雑な構造と危険なmonstersとTrapに満ちた迷路だが、壁に模-samaに偽装された英語やドイツ語に似た言語で攻略法が記されている階層もあった。
Champion達のachievementをaccurateに知らないHuman社会出身の挑戦者にはpuzzleを正しく解く事が出来ず、医療知識が未発達であるため迷路の正しい出口に辿り着けず、更にアルファベットは伝わっていても外国語の知識は何も伝わっていないため危険な迷路を独力で攻略しなければならない。
Vandalieu達の場合は事前に『Vida’s Resting Ground』でChampion達のachievementや、ZakkartやArkが残した資料を見ていた。それに人体の構造については、【Surgery】skillを持つVandalieuやLegionにとっては簡単すぎる。
特に外国語に関しては、VandalieuとLegionは『Origin』で複数の言語を習得している。Vandalieuの場合は軍事国家の研究所で使われていた二か国語。Legionはworldを股にかけて活動する『The 8th Guidance』だった時に習得した複数の言語だ。
certainly『EARTH』の言語と『Origin』の言語は似てはいるがSlightly異なっている。しかし、壁に描かれていた攻略法は簡単な短文で書かれていたので、意味を間違う程では無かった。
『Gufadgarnとやら、良い趣味をしている』
Islaが感心した-sama子でそう評した。
「確かに凄くAldaやBellwood達のbelieverに対して厳しい作りをしていますね」
じゃらりと音を立てながらVandalieuが同意するが、Islaは『それだけでは無いわ』と言った。
『Vandalieu -sama、このDungeonは目的を誤解している挑戦者たちにとって厳しい上に、『これは正しい選択なのだ』と誤解するよう誘導するよう仕向けられているのよ』
「……どういう事なの?」
険のある口調でEleonoraに聞き返されたIslaは、優越感を滲ませた態度で応える。
『分からないの、小娘? 今までの謎掛けでは不正解の場合挑戦者は確かに危険な状況に追い込まれる。しかし、それを乗り越えれば、階段が現れ進む事が出来る。
だからAldaやBellwood believerの挑戦者達は、『これはBellwood's Successorに成るための試練で間違いない』と考え、次の謎掛けでも誤解したまま間違った選択を繰り返す。……そして何時か死ぬ』
不正解で与えられたpenaltyを、試練だと勘違いし続ける。他に解釈しようのない行き止まりという形で、自分達が根本的に間違っている事をthrustつけられないから。
AldaやBellwoodに対する信仰や尊敬が強い者ほど、試練では無くただのpenaltyである事に気がつくのは難しいだろう。
certainly途中でおかしいと思う者も多いだろうが、だからと言っていきなり考え方を百八十度変える事は出来ないだろう。
出来ても、突然Zakkart達Production related Championに関する正しい知識が生える訳でもない。
そしてIsla達には関係無いが、この『Trial of Zakkart』は攻略を辞めて自分の足で外に出ようとする者に対してmonstersを出現させ、逃亡を妨害する。
疲弊して攻略を諦めたBoundary Mountain Range外部の挑戦者は、そうして倒れるのだ。
『そう言う事よ、分かった?』
説明を終えたIslaがEleonoraに視線を向けるが、彼女の顔に納得の文字は無かった。
「違うわっ、私は説明を求めたのではなくて何故あなたの鎖をVandalieu -samaが持っているのかと聞いているのよ!?」
Eleonoraが指差す先では、【Flight】で空に浮いているVandalieuがIslaの首輪に繋がる鎖を両手で持ちながら、何か作業をしていた。
『一体何が疑問なのか分からないわ。僕である私の鎖をmasterであるVandalieu -samaが司るのは当然の事よ! 悔しいのならあなたも鎖か紐を持ってもらえば良いのよ。ああ、あなたの首輪に鎖は付いていないのだったわね。なら仕方ないわ、残念ねぇ』
「くぅ~っ!」
胸を張ってこれ見よがしに首輪と鎖を見せつけるIslaに、Eleonoraが悔しげに指を噛む。
「いや、ただ鎖を【Alchemy】的に改造しているだけなんですが。決して散歩ではありません。後、Eleonoraの首に在るのはチョーカーです」
Death Iron製の鎖を改造しているVandalieuは、二人に対して冷静に指摘した。
その-sama子を横で眺めているDarciaは、Islaと鎖がSlightly短い為【Flight】しながら作業しているVandalieuを評してこう言った。
『そうしていると、まるでVandalieuが風船に成ったみたいね』
彼女には微笑ましい光景に見えているらしい。
「さっきのIslaのconjectureじゃが、あながち間違っているとは思えん。しかしそれだとある疑問が浮かんでくるのじゃ」
「疑問ですか?」
IslaとEleonoraが火花を散らしている後ろでは、ZadirisとIrisが真面目な話をしていた。
「うむ、これまでの謎掛けにはZakkart達に関する正しい知識があったとしても正解を選ぶことが難しいと思えるものが幾つもあった。
それを初期に挑戦したBoundary Mountain Range内部の者達はどうやってclearしたのじゃろうかと思ってな」
Vandalieu達は経験者の情報があったが、最初に挑戦した者達には事前の情報など何も無い筈。Gufadgarnがどんな趣旨でDungeonを創ったか知っていたとしても、全てに正解する事は不可能なのではないだろうか。
そう言うZadirisにIrisは第二の父であるGodwinや、挑戦経験のある他のMajin達の話を思い出して答えた。
「First回目の挑戦者にはDark Elf王であるギザン-donoや、普段は『Vida’s Resting Ground』に籠もっているNoble-born Vampireの方々等、多くの識者が参加していたそうです。それで殆どの謎掛けはclearする事が出来たそうで……不正解だった場合は、父-sanの他数名が腕力でどうにかしたと自慢していました」
「なるほど、Boundary Mountain Range内部でもChampion達に関しては専門家に等しい頭脳派と、最強の武闘派が集まった黄金teamだった訳か。それなら納得じゃな」
Islaも言った通り不正解でも現れるmonstersやActivateしたTrapを乗り越えれば先に進める。Godwin達なら嬉々としてmonstersの群れを駆逐し、Trapを平気な顔で粉砕した事だろう。
そうして手に入れた情報と経験を第二回以降の挑戦者達に伝えたのだろう。
「私はそれよりも、外の挑戦者で唯一生還したという『Five-colored blades』が気に成るな」
Basdiaがそう言って二人の会話に加わるが、それは流石にIrisでも知らなかった。
「さあ、彼等は『Trial of Zakkart』に関する詳しい話は明かさなかったそうなので……最低でも自分達に匹敵する力が無ければ無駄死にするだけだと語ったとだけ聞いています」
「そうか。まあ、VanならGufadgarnかDungeonで死んだ者の霊から聞きだしてくれる事だろう」
Basdiaがそう話し終わると同時に、次の階層に繋がる階段が見えてきた。
こうして彼女達は十日で約三十階層をclearしたのだった。