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Chapter 168: 試練を待つ人達、一方挑む者達

 鉄筋をそのまま使って組んだような、大きくてrusticだが頑丈そうな四い入口。その横には表札のように『Trial of Zakkart』と刻まれた木製の看板が立てられている。

「……看板がかなり場違いですね」

『ギザン-donoによると、後から付け足された物のようですからな』


 Dark Elf nationの一画に出現した『Trial of Zakkart』の入り口。それを見上げてVandalieuは、それなりに感慨を覚えていた。

 この奥に母をrevivalさせるために役立つZakkartの遺産があるのだ。


『でも凄く危険らしいから、無理はしないでね。kaa-sanrevivalできない事よりもVandalieuが、それに皆が無理をする事の方が嫌なの』

 Darciaの霊が、そう言いながらVandalieu達を諌める。それは彼女の紛れもない本心であり、生き返りたくない訳ではないが、その為に息子やそのfamilyに等しい者達に傷ついて、ましてや死んでほしくは無い。


「大丈夫だよ、kaa-sanContinent南部では余程の事が無い限り死者は出ないそうだから」

『それは聞いているけど……Vandalieuって、平気な顔をして無茶をしそうなんだもの』

 Darciaの言葉に、その場にいるZadiris達が深く頷いた。


「一年前は、心lungを強制的に止められて自分でheartを動かして、金属の筒でlungに穴をあけて呼吸していましたわね」

「首を刎ねられたのは最近の事です、陛下」

 Ghoulの職能班の女班長Tareaと、SuccubusIrisがそう言うとVandalieuは視線を彷徨わせた。


『他にもありますけど……不可抗力の場合も多いですからね』

『後から考えると、あれで正解だったんだなーって思う事も少なくないです』

「だからVandalieu -sama、気にする事は無いけど出来るだけ注意してね」

 Living Armor sistersSalireRita、それにEleonoraがそうfollowすると「はい、善処します」と立ち直った。


『ところで、これからすぐ攻略するのか?』

 Borkusがそう聞くと、途端にfemale陣が声を上げた。

「大会はどうする? まだ誰がVandalieuを手にするのか、途中だったぞ」

『そうよ、まだ私はloseない!』

「あたしはダメかなー。結構頑張ったんだけど」


「確かに『賞品』と書いた席に座ってもらいましたが、そう言う趣旨の大会では無かったはずですが……」

 一同をここまで案内してきたDark Elf王のギザンは、Smiling Faceを引き攣らせた。彼としては、「入賞すると彼と一緒に『Trial of Zakkart』に挑戦できます」程度の意味だったようだ。


『『『首輪……』』』

Transform杖……欲しい』

「私は新しいmassageの体験権だって聞いたけど?」

 だが何時の間にか尾ひれがついていたらしい。冗談が過ぎたかもしれないと、ギザンは額に冷や汗を浮かべた。


「別に入賞しなくても作りますよ。massageは未だ思いついていませんし、首輪やTransform杖もすぐには創れませんけど。でも首輪じゃなくてチョーカーと言ってください」

『『『わぁい♪』』』

 Vandalieuが特に気にした-sama子も無くそう言った事で、選手達の不満は沈静化したのだった。お蔭でギザンも胸を撫で下ろした。彼は、もう迂闊な冗談はやめようと心に誓ったのだった。


「とりあえず、大会はもう中止して良いでしょう。originally優勝を競う大会では無かったですし、残っている選手の数は例年に比べれば多いですが……今回はEmperor陛下のtransportation Abilityが異常ですからね」

 そしてギザンは大会の中止を伝えた。


 例年なら数人から、多くても十人を少し超える程度まで大会で挑戦者を振るいにかける。

 それは挑戦者があまりにweakと危険だから、そしてあまりに大勢で押しかけても意味が薄いとBoundary Mountain Range内部の人々は考えているからだ。


 『Trial of Zakkart』はChampion ZakkartSuccessorを探す為のDungeon、いわゆる試練の儀式だ。それを数の力でゴリ押しして攻略しても意味は無い。それどころかDungeonCreation者であり、恐らく最奥で待っているであろう『Evil God of LabyrinthsGufadgarnの怒りを買いかねない。


 それに、『Trial of Zakkart』の内部には数十人も纏まって動くには狭い階層が幾つもある。そう言った理由でギザン達は一度に挑戦する人数を数人から十数人程度に制限していた。


 ただ『Trial of Zakkart』を攻略すれば、それだけでChampion Bellwood's Successorと認められると考えられているBoundary Mountain Range外部のHuman社会ではその限りではなかったが。

 過去に何度か百人以上のKnightadventurerを動員して攻略を試みたRoyal Nobilityや、中には攻略では無く領地内にDungeonを止めるために毎日のようにSlaveを内部に送り込み続けた国が存在した。


 結果は、今現在も『Trial of Zakkart』が彷徨っている事からconjectureすれば言うまでもないだろう。


 しかしVandalieuの場合【Group Binding Technique】で大勢のUndeadや蟲や植物型のmonstersを装備していく事が出来る。そしてVandalieuが、Gufadgarnが探し求めているZakkartSuccessorの最有力Candidateだ。

 Champion達のsoul fragmentから創られた魂を持つ存在だから、通常の意味のSuccessorでは無い。しかし Gufadgarnが突如目覚めて『Trial of Zakkart』を創り出した時期からconjectureすれば、Vandalieuを指している事は明らかだ。


 だから多少の無茶は大目に見て貰えるだろうというのが、ギザン達の認識だった。


「なので、今回は一定以上の力を持つ……BClass Dungeonで余裕を持って生き残る事が出来る選手の内、希望者全員で良いでしょう」

 そのため、例年にない判定に成った。


「残念だな……せめて後一年か……もっと俺にMuscular Strengthが在れば」

 KijinTenmaの娘、Oniwakaはそう言って悔しがった。Kijin nationVandalieuと腕試しをした後、改めて自身を鍛え直している彼女だが、流石にまだ時間が足りなかったようだ。


「いや、Muscular Strengthは十分だと思いますが。寧ろ、問題はどちらかというと技量や経験ではないかと……」

 しかし OniwakaMuscular Strength、つまりWeapon Equipmentを振り回して鎧を纏って走り回る力だけなら既に十分な水準に達している。大会での彼女の-sama子を見ていたギザンがそう助言を発する。


Oniwaka -san、まだまだ戦いの機会はあります。その時まで弛まぬ努力を続ければ、十分なMuscular Strengthがつくはずです」

「そうだな。Vandalieu、来年のBodybuilding大会ではcertainly、次に戦う機会では必ず活躍して見せるからな!」

 Vandalieuの発した言葉に掻き消され、Oniwakaの耳に入っていても頭にまでは届かなかったようだ。


「後、Muscular Strength以外にもテクニックを磨けば完璧です」

「そうだな! Warriorたる者高みを目指さないとな!」

 そしてMuscular Strength以外も高めるようにと促すのも忘れないVandalieuだった。咄嗟の判断力を培う経験は、それらを高めるために研鑽を積んでいれば、自然と積む事が出来るだろう。


KatiaBildeも、Mikhail達と一緒にTalosheimをよろしくお願いします」

 元adventurerの女GhoulKatia。それにZadirisと同じ集落出身の若いGhoulBildeも実力不足の為に留守番組である。


「仕方ないわよね。やっとGhoul Amazoness WarriorRank upしたけど、まだRank8以上のmonstersの相手は一人じゃきついし。

 Bildeを手伝って、VahbiJadalの相手でもしてるわよ」


「ああ、よろしく頼む」

 娘のJadalを預ける時は彼女達に頼む事が多いBasdiaがそう頼む。

「最近は頼むばかりで心苦しいが……」

「良いって。ところで、どれくらいかかりそうなの?」


「とりあえず、一ヶ月以上はかかりそうです。何階層あるか分からないですから」

 『Trial of Zakkart』は、確認されているだけで五十階層以上ある。KijinTenmaleaderにした挑戦者たちが五十階層を越えて進んだが、それでもまだ終わりが見えなかったそうだ。


 そのため一日に二階層以上進むとしても一ヶ月程かかると考えるべきだとVandalieuは思っていた。

「なので一旦帰ってしっかり準備を整えましょう」

 くるりと身を翻すVandalieu


『そうですな、荷物を揃えるのも必要ですし』

Talosheimを一ヶ月以上空けるから、調整も必要だものね」

Dungeonを前にして、一旦帰るってのも締まらねぇが、仕方ねぇか』

 それに続く一同。


 一ヶ月以上Dungeonに潜るという事は、各種装備や食料などの物資を準備する必要がある。食料はある程度『Trial of Zakkart』の中で調達できるようだが、中には氷原が何階層も続く場所や、食用に適さないmonstersばかりが出現する石造りの迷路の階層等もある。


 『Trial of Zakkart』は一ヶ月間は同じ場所に在り続けるし、内部に挑戦者が居る限り【Teleportation】しない。なので、焦る必要は無いのだった。

 歴代の挑戦者も、Dungeonが現れた後すぐには入らず十分に準備をしてから挑戦していたそうだ。


「後、Jobの問題もありますからね。皆は大丈夫ですか? もう少しで100levelに到達するなら、半月ぐらいは待てますけど」

 それにDonaneris Queenにも確認されたが、Jobの問題もある。Rank upは条件さえ満たせば自動的に行われるが、Job changeは通称Job change roomCenterに設置された水晶に触れて行わなければならない。


『そう言えば、Job change roomを持ち歩く事は出来ないのかい? あの水晶を持って行けば、簡単に出来そうだけど』

 Legionの人格の一つ、Baba Yagaがそう尋ねる。Jobskill等が無い『Origin』からreincarnationして一年程の彼女達には、まだ奇妙に思える事も多いようだ。


『それは出来ない。accurateには、可能だが現実的では無いという意味だけれど』

 Undead Transformationする前の年月も加えれば約三万ageIslaが、首輪に繋がる鎖に指を絡めながら説明した。

 Job changeroomに設置されている水晶だけを持ち運びすれば、何処でも出来るというものでは無い。水晶を含めたroom全体がJob changeを行うための儀式場であるため、水晶だけでは意味が無いからだ。


 しかもこのJob change room、ある程度しっかりした壁や天井を建てる必要がある。簡単に設置と撤去が可能なテントでは代用できない。

『数千年に一回ぐらいの周期で、DungeonroomJob change roomに改造しようとしたり、遠征先にroomを建設するための職人と材料を軍で運んだりと、色々と試みる奇特なHumanが出る。だけれどmonstersや敵に壊されて短い間しか使えず、結局かかった費用と手間の割に合わないとその度に判断するらしい』


 そのため多くの場合、砦などの常設の防衛拠点やDungeonの入り口や、Devil Nestsのすぐ外側にJob change roomを作るのが精々であるようだ。


『なるほどねぇ。別にgameみたいな理由って訳じゃないのか』

『待て、ならroomごと持ち歩けば解決ではないか!』

 Baba Yagaはそう言って納得したが、Valkyrieがそんな事を言い出した。


Valkyrie、だからそれは無理だと……room全体をGolemにしても、Vandalieu -samaGolemを体内に装備できないのよ」

roomの形のまま移動させる事は出来ますが、『Trial of Zakkart』の内部にroomより狭い個所があるとtransportationに手間がかかりますからね。monstersTrapで壊れるかもしれませんし」


 Eleonoraと、そしてVandalieu本人がそう説明するが、ValkyrieはサッとSamcountlessの腕で指し示して言った。

Samcarriageの一部に設置すれば問題無い!』


『私のcarriageに? space的な余裕はありますが、可能なのですか?』

 Samが自分のcarriageを振り返りながら尋ねる。Sammain bodyであるcarriageは三頭立ての幌付き馬車で、とてもしっかりした作りのroomを運べるようには思えない。しかし、【Space Expansionskillの効果によって内部の容量はappearanceの十倍を軽く超える。

 一roomどころか、一戸建てだって積む事が可能だ。


 そして色々考えたVandalieuは、呆然とした-sama子で「可能です」と言った。

「正直、その発想はありませんでした……Valkyrie、凄い閃きです」

 UndeadであるSamならVandalieuは【Group Binding Technique】で装備できる。carriageの中にJob change roomが設置されていても問題無い。


「移動するJob change roomですか。我々も思いつきませんでしたね」

『凄ぇな。Humanが千年単位で失敗を繰り返している事を、一言で解決しちまいやがった』

『ハッハッハッハ! もっと褒めてくれてもいいのだぞ!?』

 ギザンとBorkusに褒められ、Legionの表面で上半身を逸らして有頂天に成るValkyrie


『まあ、SamVandalieuが居るからこその閃きだけれどね』

「でも、一percentの閃きが無ければ九十九percentの努力は無駄に成るとも言いますし。とりあえず、戻ったら早速建設しましょう」

 よしよしとValkyrieを撫でながら、Vandalieuがふと思い出した偉人の言葉を引用した。


 実際、Job change roomについて固定観念に捕らわれていたVandalieuではいくら考えても思いつく事は出来なかっただろう。

 これでDungeon攻略中にlevelが100に到達しても、Job changeが可能に成る。Vandalieuも、この前出た新Jobの【Fragment Bestower】等に就く選択肢が生まれる。


『父-sanreformですか。どんどん普通の馬車からかけ離れていきますね』

Rita、便利に成るって言いなさい!』


『おおん?』

 自分は? と変形可能なcountlessboneで出来たKnochenが主張する。

Knochenは移動する時boneの結合が崩れるし、【Space Expansionskillが無いので物理的な大きさは変わりませんからちょっと厳しいです」


『おおぉん……』

Knochen、お互い得手不得手があるのですから気を落さないでください。あなたは城塞であって倉庫では無いのですし』

KnochenJob change roomよりも、『Trial of Zakkart』内部での拠点として活躍してください」

『おおぉぉぉんっ!』

 SamVandalieuの言葉に、落ち込んだ-sama子だったKnochenが元気を取り戻す。


SamJob change roomを増設するのもそうですが、他にもいろいろ持ってこないと。試練をclearした後、どう言うconditionZakkartの遺産を受け取るか分りませんからね。

 kaa-sanの新しいbody partの素材になりそうな物が、俺の工房に保存されたままですし」


 Vidaから受け取ったbloodcrystalDarciaremainsと一緒に持ち歩いているが、Orichalcumで作ったwhole body bone格や【Demon King Fragment】製の各種人工parts、高Rankmonstersの素材は流石に地下工房に置かれている。

 それを取りに行かなければならない。


『あのー、Vandalieu? 女Kami-samabloodだけでも十分な気がするのだけど……全部使ったら、私一体何になっちゃうのかしら?』

「想像もできませんが、成るようになります。何か……新しく翼やtailが生えても、きっと」

Irisfollowのつもりならもっと別の言葉があると思いますよ。Eleonora、同類を見るような瞳をDarcia -samaに向けてはいけません」


 revived時自分がDark Elfなのか若干不安を覚えるDarciaに、Vandalieuによってraceが変化した者達は言葉をかけ、親近感を覚えるのだった。




 Orbaum Elective Kingdomに十二あるDuchyの中でも、海運とFishingで栄えるDuke Farzon領。

 そのDuke Farzon領の海辺から離れた内陸部、Devil Nestsと化している谷に数名の男女が集まっていた。


「ここか。次に『Trial of Zakkart』が出現する場所は」

 谷を見回してSClass adventurer partyFive-colored blades』のleader、『Blue-flame Sword』のHeinzは感慨深そうに言った。既に二十代後半の彼だが流石SClass adventurerと言うべきか、中年を前にした弛みなどは無く実ageよりも若く見える。

 その手には彼等の社会的信用で借り受けたmapと、三つの方位磁石を組み合わせた-samamagic itemがあった。


「やっと『Trial of Zakkart』への再挑戦か……本当に長かったな」

 こちらは三十路に入りage相応の渋さを顔に刻んでいるscout職のEdgarが、そう言いながら遠い目をする。

JenniferDaianaが仲間に入って、Selenと出会って何時の間にかAlda Reconciliation Factionの旗頭になって、Honorary Nobleになって――」


「本当に長かったよ」

 Edgarの言葉に、Unarmed FighterJenniferが溜め息の混じった口調で同意する。

「このまま一生お目にかかれないまま老衰で死ぬんじゃないかと思った」

 Jenniferが『Five-colored blades』に加入したのは、Heinz達がOrbaum Elective Kingdomに活動拠点を移し、『Trial of Zakkart』に挑戦した後だ。


 その目的は、adventurerの中では夢物語に等しいとされていた『Trial of Zakkart』の攻略を果たし、生きるlegendとなる事である。

 なのだが……『Five-colored blades』に加入後、色々な事があったが『Trial of Zakkart』に挑戦した事は今まで一度も無かった。


「色々引っ張り回す事になってすまないな。だが、この『Trial Seeker』が指し示す場所に間違いは無いはずだ」

「別に愚痴を言っている訳でも責めている訳でも、疑っている訳でもないよ、Heinz。ただ、長かったなって思っただけさ。この数年で強くなる事も出来たし、Selenにも会えたし、無駄だったとも思ってない」


「私は早かったと思いますよ。『Trial of Zakkart』は約一か月ごとにworld中をTeleportationして回る、彷徨うDungeon。離れた場所や、人里から遠く離れた秘境に現れれば次の場所に移動するまでに辿り着ける可能性は多くありません。recordによれば、 Bahn Gaia continent以外の場所に出現する事も珍しくないそうですし」

 originallyJenniferと二人組でadventurerをしていた『Goddess of SleepMillClericである、ElfDaianaが言う。Elfとしてはまだ若い筈の彼女だが、partyの中で最も落ち着いて見える。


「そりゃあ、ElfDaianaからすればそうだろうけど」

「でも、【Five-colored blades】に参加してからの年月は信じられない程濃いものです。私、正直に言うとこの数年で百年分の大Adventureをしたような気がしているのですよ?」


Pure-breed Vampireと戦ったり、この前もDemon King Fragmentsealedしたり、色々あったからね。百年分は言い過ぎだと思うけど」

 そうDaianaに同意するのは盾職の女DwarfDelizahだ。

「でも『Trial of Zakkart』の入り口を眺める事が目的じゃないんだ。皆、気を引き締めて……とは言っても、『Trial Seeker』でもDungeonが何時出現するかまでは分からないのよね?」


 『Trial of Zakkart』が出現するようになった頃に挑戦はしなかったがその特異性に注目した、高名なSpace-Attribute Mageがいた。

 彼はDungeonが一ヶ月ごとに別の場所にTeleportationするのは高度なSpace-Attribute Magicか、そうでなければspace attributeを司る神かEvil God (M) Evil God (P)が創りあげたからではないかとconjectureし、研究に打ち込んだ。


 『Trial of Zakkart』は、Undead Transformationした『Fallen ChampionZakkartを倒したChampion Bellwood's Successorとなるための試練であると解釈し、唱える者が多い中では異端の考えである。

 そのため表舞台に立つ事は無かったが、彼の研究は実を結び「次に『Trial of Zakkart』が出現するaccurateな場所を、幾つかの条件が揃えば指し示す事が出来る」という効果のmagic item、『Trial Seeker』を発明した。


 そしてそれを当時既にSClass adventurerとして名が知られていた『TrueRandolphに渡したのだ。

 だが、渡されたRandolphは受け取っただけで一度も『Trial of Zakkart』に挑戦しないまま、『Trial Seeker』を死蔵していた。それをHeinz達が譲り受けたのである。


「残念ながら、分かるのは次に出現する場所だけだ。だがそれだけでも、十分苦労した甲斐はある」

 Heinz達は【Demon King's Nose】をsealedした後、『Trial Seeker』を製作したSpace-Attribute Mageの手記からその存在に気がつき、Randolphがそれを所有している事を調べ上げた。そして今は偽名で活動している彼を探し出し、貸してくれるよう頼み込んだ。

 そんな彼らにRandolphは深々とため息を吐き、『Trial Seeker』を惜しげも無く渡した。


 命を賭けて無駄boneを折りに行きたいならくれてやる。だが二度と俺に構うな。


 Randolphはそう言って『Trial Seeker』を渡した後、Heinz達の前から忽然と姿を消した。去り際の言葉の意味を尋ねる声にも答えなかった。


「確かに苦労したな、Randolphを探し出すのに。Terneciaの隠れを探し出した時より苦労した気がするぜ。しかもmagic itemの使い方を調べて貰うのにまたMage guildを巡らなけりゃあならなかった。

 Randolphも説明書ぐらいつけてくれても罰は当たらない、そう思うよなぁ?」


Edgarmagic itemをただでくれただけでも感謝するべきだと思うよ。あたし達に訪ねられるだけでも迷惑なのに、金も何もdemandしないで渡してくれたんだから。……たしかに始終嫌そうな顔をしてたし、目があたし達をidiotにしてたけど」


JenniferEdgarも本気で言っている訳じゃ無いよ。単に姿を消して去ったRandolphsignを追えなかった事に、scout職としてのprideを傷つけられてひがんでいるだけよ」

「……まだ気にしてたのか。器が小さすぎ」

「仕方ありません、Humanmaleは三十を越えるとひがみっぽくなりますからね」


 Delizahfemale陣が向ける視線に、形勢不利と見たEdgarは「じゃあ、俺は野営に適した場所を探しに行ってくる」と言って離れる。

 Heinzはそれを「やれやれ」と見送ったが、野営地は確かに必要だった。


 『Trial Seeker』のお蔭でこうして次に『Trial of Zakkart』が出る場所は分かった。しかしDelizahに答えたように何時『Trial of Zakkart』がここに出現するのかは分からない。

「これの使い方を調べるためにMage guildalchemistを訪ね歩いていたお蔭で、偶然次の出現場所にすぐ駆けつける事が出来たが……肝心のDungeonは明日出現するかもしれないし、一ヶ月以上かかる可能性もある」


 『Trial of Zakkart』は一ヶ月が過ぎても、内部に挑戦者が残っている限り次の場所に移動する事は無い。


「……挑戦者が誰もいないような秘境に出現していると良いのだが。『Trial of Zakkart』を攻略し、Martinaの仇を取り、そしてChampion Bellwoodの偉業を引き継ぎAldaの声を聞く。

 出来れば、その役目は私達でありたい」


Alda Reconciliation Factionの旗頭としても、Selenの育ての親としても、そうありたいですね」

「マルティも、遺髪ぐらいは連れて帰ってやりたいしね。前は、それも出来なかったから」

 決意を滲ませるHeinzに、DaianaDelizahがそう同意する。


「それにしても、今は何処にあるんだろうね?」

 そしてJenniferは空を見上げた。

 彼女達は知らない。『Trial of Zakkart』が、彼女達にとって人跡未踏の地であるBoundary Mountain Range内部にあるDark Elf nationに存在している事を。


「もしかしたらDaianaの言ったように、このContinentの外なのかもしれないな」

 Heinz達は『Trial of Zakkart』の正しい意味と、もし仮に攻略したとしてもなれるのはBellwood's Successorでは無く、彼等が『Fallen Champion』と呼ぶZakkartSuccessorである事も知らない。

 何より、これからBoundary Mountain Range内部でVandalieuが『Trial of Zakkart』に挑戦しようとしている事を知らない。


 Heinz達『Five-colored blades』が再び『Trial of Zakkart』に挑戦できるのは、Vandalieu達が試練に敗れてDungeonの外に排出された場合だけだろう。




 そして数日後、準備を整えたVandalieu達は再度『Trial of Zakkart』の前に集まっていた。

「頑張って生き延びますわよ~っ!」

「おぉ~っ!」

「寧ろ置いて行ってくれても構わんのだがね!?」

 その中で元気良く拳をthrust上げるのはTareaPauvina、そして悲痛な声を上げているのがLucilianoだった。


「大丈夫だよ、Pauvina達が出来るだけ守るから、油断しちゃダメだけどあんまり不安にならないで!」

「ええ、Pauvinabarely大丈夫です」

 PauvinaPrivel達と通常のBClass Dungeonより難易度が高い、Vandalieuが創ったAClass Dungeonのなりそこないでlevellingを行っている。そのため、Vandalieuもギザンも彼女には『Trial of Zakkart』に挑戦する資格があると認めていた。


 そして資格があるならついて行くのが彼女である。しかし頼もしくOrichalcumの盾を掲げて見せるShoujoと、自らの師Artisanの言葉では、Lucilianoの顔に浮かんだ不安の色は全く薄れなかった。

「出来るだけとか、barelyとか、聞いていると全く安心できないのだが!?」

 確かに、安心する方が間違っているかもしれない。


『私達と一緒にBClass Dungeonlevellingしたのを忘れたの、ルッチー? 最後の方は何時もSmiling Faceだったじゃない』

『そうだよ、今回も大丈夫だって。それに死にそうになったら外に強制Teleportationさせられて、Dark Elfの治療班がすぐに治してくれるって』


 以前LucilianoをBClass Dungeonに強制連行した『Saintess of HealingJeenaと、『Tiny GeniusZandiaがそう言うと、『だから自分を信じて』と言葉で纏める。

 だが、Lucilianoは自覚していた。あのlevellingで自分が浮かべていたSmiling Faceは、psychological問題でちょっと壊れていただけだと言う事を。


 確かに、あのlevellingLucilianolevelも大分上がってJob changeも経た。しかし、今まで何人ものBClassやAClassadventurerが中に入ったまま戻らなかった『Trial of Zakkart』で、通用する程強くなったとは思えなかった。


「無理だと言っているだろう!? それに私はBoundary Mountain Rangeの外からやって来たのだよ? GufadgarnBoundary Mountain Range内部の存在だと認識してくれるとは限らないのではないかね!?」

『むぅ~、確かに』


 自分と『Trial of Zakkart』が今何処にいるのかも把握していないGufadgarnが、Dungeon内部に入った挑戦者達の事を、どれくらい把握しているのかは不明だ。

 それに、Mountain Rangeを越えて『Trial of Zakkart』に挑んだ者は今まで存在しない。Lucilianoの指摘も尤もである。


「でもLucilianoにはkaa-sanの新しいbody partに使える素材の管理をして欲しいので、是非協力してください。それに、途中で見つかるかもしれない前の挑戦者の死体なんかも見て欲しいですし」

「そ、そう言えばそれがあった!」

 以前『Trial of Zakkart』に挑戦したGodwinBudarion達は、見覚えの無い者をモデルにした石や金属の像が-sama々な形で内部に保存されているのを見た事があった。


 恐らく、それが『Five-colored blades』のMartina達、Boundary Mountain Range外部の挑戦者の成れの果てなのだろう。

 普通ならまず触れる事の出来ない上位のadventurer達の貴重な死体に触れる、貴重な機会。それを思い出したLucilianoは、暫く考え込んだ後「分かった」と頷いた。


「ただ、私は戦闘には加わらないので、戦力としては期待しないでくれ」

「大丈夫です、最初から期待していませんから」

「うん、誰も期待してないよ!」

「そうか、なら安心だ!」


「少しは気にするべきだと我は思うぞ」

 即座に戦力としては最初から数えていないと言われて、晴れやかなSmiling Faceを浮かべるLuciliano。流石にそれはどうなのかとVigaroが言うが、気にした-sama子は無い。


「武具のmaintenanceのために私もついて行くのに、selfishnessを言い過ぎですわ」

 そう言うTareaも、出来るだけSamcarriageの中で待機している予定なのだが。


LucilianoTareaも、このTransform杖の-samaな新装備を坊やに作ってもらったらどうじゃ? 儂もまだ完成品は使った事が無いのじゃが、試した試作品のDefense Powerはなかなかのものじゃったぞ」

「……絶対に断る。それは、全て個人用のOrder-madeだから作るのに時間がかかると師Artisanが言っていただろうに」


「流用そのものは、まだ個人識別機能が無いので出来るそうですけど。でも、ZadirisSizeにぴったり合った服を私が着る-samaなものでしょう? とんでもないことになりそうだから私も遠慮しますわ」

「むう、それもそうじゃな。試作品では簡素なものじゃったが、完成品では装飾も多いと坊やも言っておったし」


 続け-samaに断られたZadirisTransform杖を下げる。


「では、そろそろ行きましょうか」

『皆、Vandalieu。くれぐれも無茶はしないでね』

 装備できる者達は全て装備したVandalieuが、VigaroZadirisLegionと共に『Trial of Zakkart』の中に入って行く。


 その後ろ姿を、仕事modeのギザン達Dark Elfが見送っていた。

「……これでやっと毎年一度の苦行が、終わるかもしれない」

 実は治療班の班長も兼務しているギザンだった。




Name: Levia

Rank:

Race: Satan Blood Blaze Ghost

Level: 85


Passive skills

Spirit Form:10Lv(UP!)

Mental Corruption:5Lv

Heat Manipulation:10Lv(UP!)

Flame Nullification

Materialization:9Lv(UP!)

Augmented Mana:6Lv(UP!)

Self-Enhancement: Subordinate:10Lv(UP!)

Self-Enhancement: Demon King’s Blood:5Lv(NEW!)



Active skills

Housework:5Lv

Projectile Fire:10Lv(UP!)

Possession:5Lv(UP!)

Silent Steps:2Lv

Long-distance Control:6Lv(NEW!)

Unarmed Fighting Technique:2Lv(NEW!)

Shield Technique:3Lv(NEW!)

-Surpass Limits-:3Lv(NEW!)

Aura of Fear:3Lv(NEW!)




Name: Orbia

Rank:

Race: Dark Broad Ghost

Level: 90


Passive skills

Spirit Form:9Lv(UP!)

Mental Corruption:6Lv

Water Attribute Nullification

Liquid Manipulation:8Lv(UP!)

Materialization:8Lv(UP!)

Augmented Mana:5Lv(UP!)

Earth-Attribute Resistance:5Lv(UP!)


Active skills

Unarmed Fighting Technique:3Lv(UP!)

Fishing:3Lv

Housework:2Lv

Dancing:4Lv

Projectile Fire:7Lv(UP!)

Long-distance Control:3Lv(NEW!)

No-Attribute Magic:1Lv(NEW!)

Water-Attribute Magic:4Lv(NEW!)

Earth-Attribute Magic:1Lv(NEW!)

Mana Control:2Lv(NEW!)



Unique skill

Merrebeveil’s Divine Protection




Name: Kimberly

Rank:

Race: Thunder bolt Ghost

Level: 67


Passive skills

Spirit Form:7Lv(UP!)

Mental Corruption:3Lv

Wind-Attribute Nullification

Lightning Manipulation:8Lv(UP!)

Materialization:5Lv(UP!)

Intuition:3Lv(UP!)

Mana Enlargement:3Lv(UP!)


Active skills

Silent Steps:6Lv

Trap:5Lv

Projectile Fire:5Lv(UP!)

Possession:5Lv(UP!)

Long-distance Control:4Lv(NEW)!

Archery:5Lv(NEW!)




Monster explanation:Satan Blood Blaze Ghost


 Deep Blood Blaze GhostRank upしたPrincess Leviaが、更にRank upした事で誕生したmonsters

 恐らく、Vandalieu謹製のBlood potionを飲み続けた事が原因だと思われる。

 Satan(Demon King)の名を持つだけあって威厳や高貴さすら感じさせる黒い炎を纏っている。そして【Demon King's Blood】で更にSelfEnhanced (1)する事が可能。因みに、このDemon King's Bloodとは『Demon King』のsecondary nameを持つ存在、つまりVandalieubloodを指す。


 更にOrbiaから【Materializationskillで自分の一部をMaterializationさせ、それを使った戦闘方法を教わって【Unarmed Fighting Technique】や【Shield Technique】を習得している。




Monster explanation:Dark Broad Ghost


 OrbiaDeep Broad GhostRank upした後、更にRank upした事で誕生したmonsterswhole bodyを形作る液体の色の濃さが増し、更に実体に近づいている。

 magicの修行も進んでおり、生前は苦手だったため覚えなかったmagic skillを身につけている。


 ただやはり苦手なのはそのままらしく、body partを動かして顔を覆って敵を窒息させるか、lungに入り込んで内部から攻撃する方が得意らしい。




Monster explanation:Thunder bolt Ghost


 Kimberlyhard Blitz GhostRank upした後、更にRank upした。LeviaOrbiaraceとは違い、Thunder bolt Ghostは極少数ながらEven now Lambdaで発生している。

 その事を実は若干気にしており、次のRank upこそはオンリーワンになるのだと決意を新たにしている。


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