豪奢な、しかし bloodの臭いで満ちたroomで、Vandalieuは【Flight】のNo-Attribute Magicで浮かびながらどれにするかを考えていた。
このroomの主はアーlifeァミリーという、荒っぽい手段で最近急激に頭角を現した武闘派mafiaのボスだ。
そして今は、bloodの臭いの発生源でもある。
「King、言われた奴らは皆始末したぞ」
「言われていない奴らは、皆始末しなかったぞ」
「偉いか？ 偉いか？」
「はい、皆ありがとう。生きている人は、後で殺すかMemoryを消すか選別しましょう」
Bragaを頭にしたBlack Goblin ninja達が、口々に戦果を報告する。彼等によってtonightこの建物に居たアーlifeァミリーのボスと幹部、そしてその護衛は全員始末されていた。
それも何度も腹部を刺したり、斧で頭を割ったり、単純に頭を複数回殴られたり、まるで犯罪organization同士の抗争で殺されたかのような手口で。
「とりあえず、ここにこのPalpapek Earl 家の紋章付の指輪を嵌めた手を置いて……出ろ」
ボスの机の上にThomasの手首を置くと、Vandalieuは【Group Binding Technique】で体内に装備していた男を出した。
『……』
顔中に刃物の傷がある男の顔を見て、付いて来ていたDaltonが思わず声を出した。
「そいつは『八つ裂き』ボラモか？ mercenary上がりの殺し屋で、今まで何十人と殺しているヤバイ奴だぜ。生死問わずの賞金首でAdventurer’s Guildの掲示板で何度か手配書を見た事がある。この都に居たのか？」
「はい。俺が殺した中で一番nameが知られていて、如何にもこういう事をやりそうな奴です」
Legston Earl 家の説得の為に何度かこのMirg Shield Nationの王都に入り込んでいたVandalieuは、その度に集まってくる霊から自分を殺した犯罪者の情報を得ていた。
しかし Legston Earl 家の亡命が終わるまで騒ぎを起こす訳にはいかなかったので、始末するのは個人で動いていた殺し屋や、犯罪者だけにしていた。
そして殺した犯罪者の内、殺しを商売にしている連中の死体をLucilianoにLife-deadにしてもらって、連れて来たのだ。
「このボラモをここで、アーlifeァミリーの用心棒が使っていた剣で改めて殺します」
剣を何度か雑に振り降ろしてLife-deadとなったボラモを殺すVandalieu。roomのbloodの臭いが、更に濃くなる。
「これでThomas Palpapekの暗殺を依頼したアーlifeァミリーと、依頼されたボラモ達殺し屋が何らかの原因で殺し合ったらしい状況が出来ます。
他の場所にもボラモ以外の殺し屋のLife-deadを改めて殺して配置し、後は如何にもボスを裏切りそうな幹部の死体を俺達が持ち帰れば、大丈夫でしょう。偽装工作の完成です」
「ちょっと待ってくれ。maybeお前-sanにとっちゃそれほど手間じゃなかったんだろうが、何だってこんな偽装工作をするんだ？
そもそも誰に対しての偽装工作なんだ、これ？」
持ち帰る死体を選んでいるVandalieuに、Daltonが声をかけた。彼には一連の偽装工作をする意味が理解できなかったらしい。
Thomas Palpapek Marshallが姿を消した。mansionに詰めていたKnight達は全員faintedし、毒物によってMemory障害を起こして犯人の事を覚えていない。roomには大量のblood痕とMarshallの愛剣が残されており、しかも彼に最後に会った家令はMarshallから遺言状を預けられている。
ここまで揃ったら、Amid Empire Emperor MashkzarとPure-breed Vampire Birkyneが犯人として思い浮かべるのは、Vandalieuしかいないだろう。
Vandalieuが犯人である事を示す物的証拠はないが、逆にそれが彼等に真犯人が誰かを教える手がかりになっているのだ。
こんな事を出来るのも、するのも、奴しかいないと。
だと言うのに、Vandalieuが今行っている偽装工作はDaltonの目から見ると、大掛かりな割に粗の目立つ杜撰な物だった。
確かにアーlifeァミリーは武闘派で粗っぽく、悪辣な手口で頭角を現した新興の犯罪organizationだ。だが、所詮はただの犯罪organization。背後で大物Nobleや他の国の諜報機関、Pure-breed Vampire等の何者かが糸を引いている訳でも無い。
そのアーlifeァミリーが直接的な利害関係も怨恨も無い、国の大物Nobleの当主本人の殺害を何故実行したのか。
失敗すれば国家反逆罪で全員斬首。成功しても、何を得ると言う訳でも無い。しかも、後々事が露見すれば、やはり国家反逆罪だ。
そして実行犯役の『八つ裂き』ボラモや他の殺し屋にしても、Daltonから見るとMarshall殺しには小者過ぎる-samaに思えた。流石に生きている当人には会っていないのでaccurateな実力は分からないが、彼等にPalpapek Earl 家に仕えているKnight十数人を殺さずに、一瞬で意識を奪う技量があったかは疑問だ。
彼等はnameこそ知られているが、Daltonから見ると二流……殺しの対象は商人等の一般人や、いいとこＤClass adventurerまでだ。
とても現Marshallを殺すなんて大それたことをするとは思えない連中である。
そんな偽装工作でMashkzarやBirkyneの目がVandalieuから逸れるとは、到底考えられなかった。
「言っちゃあ悪いが、これじゃEmperorやPure-breed Vampireは騙せねぇ。騙されるのはお前の事を何も知らない衛士隊や関係者が精々だと思うぜ」
「それなら十分やった意味があります。これは何も知らない人達向けの偽装工作ですから」
「元からそっちが目的なのか！？ いや、でも余計に何でだ！？ 何も知らない奴らがこの事件でお前の事に気がつく可能性はほぼ無いだろ。万が一気づかれたとしても、別に平気だろうが！？」
Vandalieuの本拠地はBoundary Mountain Rangeの向こう側だ。万が一優秀な衛士や忠実なKnight、そしてThomasの妻子が真犯人に気がついたとしても、追っ手をかけられる相手でも場所でも無い。
世論は軍を上げての討伐まで動くかもしれないが、Mountain Rangeを安全に抜けられるtunnelは塞がっている。そもそも立ち上がる軍を揃えるのに後十年……Thomasが不在となった今、もっとかかるかもしれないconditionだ。
余計に分からんと目を剥くDaltonに、何故分からないのだろうと首を傾げるBlack Goblin達。
「Kurt達のため、Legston Earl 家のためだぞ」
「クル……？ Legston Earl 家？ 何でそのnameが今出て来るんだ？」
「ＳClassなのに知らないのか、お前？」
「……お前、ＳClass adventurer partyだからって何でも知っていると思うんじゃねぇぞ！？ あと、今更だがなんでHumanの言葉が喋れるんだ！？」
ＳClass adventurerパーティの『Storm of Tyranny』は独自の情報機関を持っている訳では無く、更に既に落ちぶれつつあるLegston Earl 家に対しては興味や警戒が薄かった。そのため、Legston Earl 家の-sama子がおかしい事に気がついてはいなかったらしい。
「建物に入るまで内密な話は出来ませんでしたからねー。まあ、掻い摘んで説明するとLegston Earl 家をHead hunting……いや、物理的に首を取った訳では無くて、寝返らせてうちの国に亡命して貰いました」
ざっと説明するVandalieu。そして偽装工作の訳も、同じく簡単に説明する。
「これは、この国に残るLegston Earl 家と縁のある人達の為の物です」
Legstonの姓を名乗る者や、それと近しい者で亡命を希望するだろうServantやKnight、そのfamilyはTalosheimに亡命した。しかし、Legston Earl 家に関わりがある者達は未だ多くこの国に残っている。
現当主アルサードや前当主セシルの妻の実家。セシルの姉やImoutoが嫁いだNoble 家。Knight達の妻の実家や、Servantたちの親類。懇意にしていたNoble等々。とても声をかけきれない数だ。
「そしてLegston Earl 家が何処かへ消えた同じnightに、Thomas Palpapek Earlが消えました。こうなると、何も知らない人達はLegston Earl 家を疑うでしょう？」
尋ねられたDaltonは、「確かに」とnod。
「前Marshallと現Marshallで、傍から見ると片方は国家的大失態の結果辞任後落ちぶれて、もう片方は国の立役者に大出世しているように見えるからな。怨恨の線で疑われてもおかしくねぇな」
実際には、Thomasの立場はそこまでおめでたいものでは無かったが、何も知らず傍から見ている限りはそうだ。
「そして真実に察しがついている人達は、それを黙認するでしょう？」
「まあ、国の重要人物が姿を消して謎のままじゃMirg Shield Nationも格好がつかないだろうし、迂闊にお前の事を漏らすと国中panicに陥りかねないし、それを考えると丁度良いスケープゴートなんじゃねぇかな？」
「いや、国中panicは言い過ぎでは？ 精々Marshallの敵討ちの為に無謀な第二次遠征を企てるぐらいではないかと」
「……それはin any caseとして、話は分かったが何で偽装工作に繋がるんだ？ もしかして、Legston Earl 家の縁者が捕まっていわれのない罪で処罰されないようにって事か？」
「はい。まあ、ついで程度なのですけどね。後、どっち道こいつ等は殺していたでしょうし」
別にLegston Earl 家の縁者達にまで思い入れは無いVandalieuだが、この後にもしそう言う事があって、Kurt達がそれを聞いたら嫌な思いをするだろうなとは思った。
思ったのと同じ時期に、霊達から聞いたアーlifeァミリーや『八つ裂き』達の所業にKilling Intentが湧いた。
なので、ついでにこの拙い偽装工作を行ったのだ。
目の前でハンカチを落した人に「落しましたよ」と声をかけるのと、同じ程度の気軽さで。
certainly MashkzarやBirkyne等はDaltonの言うように真実に気がつくだろうが、それを態々表沙汰にはしないだろう。Legston Earl 家の縁者から、アーlifeァミリーと殺し屋たちにスケープゴート役が変わるだけの話だ。
certainly Legston Earl 家が姿を消した事は騒がれるだろうし、事件と結び付けて考える者もいるだろう。しかし Earl 家の縁者もNobleやKnight、御用商人等社会的な立場が強い者達だ。疑いがあるだけで無体な事は出来ないだろう。
それでも痛くない腹を探られる人達は出て来るだろうが、それは仕方のない事だ。
全てをそつなくこなす事は無理なのだから。
「……まあ、そう言うもんだろうな。普通なら信じられない事に気軽に手を出してやり遂げる奴に、俺も心当たりがあるし」
DaltonはVandalieuの行動に、Schneiderを思い起こしていた。あれも、常人なら簡単に出来ない事を、気軽にやり遂げてしまう事がある。
大通りで、childのSlaveを殺したNobleを殴り殺した時もそうだ。あれも普通の奴ならしない。
まあ、本人の弁によると高度な計算に裏打ちされた行動らしいが……現場にいたDaltonの目には、ただ激高しているだけに見えた。
「んー、ダメですかね？」
「そんな事は言ってねぇ。大いに結構、どんどんやっちまえ」
そう言ってVandalieuの頭を叩くDaltonは、別にVandalieuのやっている事を正義だと思っている訳じゃ無い。復讐なんてしないで済むならそれに越した事はないとも思っている。
だがDaltonは裏でVida's New Racesの保護を行うSchneiderの仲間で、Dark Elfである事を隠してadventurer活動を行っている。Amid EmpireでもMirg Shield Nationでも、犯罪者。悪と罵られる立場の者だ。
彼もSchneiderも、罪を憎んで人を憎まずなんて考えた事が無い。自分達は自分達の優先する正義を守っているだけだと、常々認識している。
そのDaltonから見ると、Vandalieuがやった事は特に問題があるとは思わなかった。
気軽にやった結果犯罪organizationが一つ潰れて、数十人の死人が出たようだが……捕まれば犯罪Slaveに堕ちるか処刑されるかしかない連中だ。寧ろ、彼等を殺した事で守られた命があると考えるべきだろう。
「ところで、この偽装工作をするって事はあのMarshallが国賊だってことを隠すって事だから、Marshallの社会的な名声は保たれ、maybe Earl 家はあいつのchildの内誰かが継ぐ事になるが、それは別にどうでもいいんだな？」
「はあ、まあ別に。どうでもいいですし」
Vandalieuがfamilyや部下は無関係だと言ったThomasに返した、「知った事では無い」と言う言葉の真意は、無関心だった。
彼等がThomasの死後、どんな目に遭っても別に構わない。国賊のfamilyである事が明らかになって断頭台の露と消えようが、偉人の遺族として国中から同情が寄せられようが、ThomasのchildがEarl 家を継いで「立派な父だった」と言おうが、関心が無い。勝手にすればいい。
だから自分からは何もしないし、関わらない。
「はははっ！ ageの割に本当に落ち着いてるな！ 復讐を遂げた後の復讐鬼ってのは落ち込むもんだが。
ところで、まだ話したい事があるんだ。何処か落ち着ける場所は無いか？」
「じゃあ、都の外まで出ましょうか。
ところでDalton -san、後一仕事残っていまして。そのついでに、お腹が減ったのでちょっと飲んできて良いですか？」
「おう、構わないぜ。俺も喉が渇いたし、一杯ぐらい飲んで行くか」
「お前、飲むのか！？」
驚いて目を剥くBragaに、Daltonは何故彼等がそんなに驚くのか分からなかったが、深く考えずに答えた。
「おう、俺の里のDark Elfは飲むぜ。その中でも俺は呑兵衛で知られた男よ！」
「そ、そんなに……」
「外のDark Elf、すげえ……」
やはり何故か戦慄するBlack Goblin達に、こいつ等全員race的な理由で下戸なのか？ と思いつつDaltonはVandalieuの後をついていった。
その後裏路地で、霊から聞いた犯罪者の中で常習性が特に高そうな二人組を屠ったVandalieuは片方のbloodを吸い、もう一人をDaltonに差し出して「一応聞きますが、飲みます？」と聞いたのだった。
Daltonが里のDark Elf達のHonoraryの為にも、「悪い、酒と勘違いしてた」と首を横に振ったのは当然であった。
このnight、Mirg Shield NationからLegston Earl 家の面々がServantやKnight達ごと姿を消し、Thomas Palpapekが行方不明となった。
後者に関する調査でアーlifeァミリーのhideoutからボスや幹部達の死体と共に、Palpapek Earl 家の紋章が刻まれた指輪をした手首が確認され、犯人はアーlifeァミリーとそれに雇われた殺し屋と言う事に表向きはされたのだった。
これにより、Mirg Shield Nation軍の建て直しはさらに遅れる事になる。
彼が最近繰り返し自問していた問題、どこで自分は間違ったのか。その答えは、「自分の方が兄よりも少し優れている。たったそれだけの理由でEvil God (M)派のVampireの誘いに誑かされ、兄を謀殺した事」だった。
若い時にほんの少し優れていたとはいえ、十年後二十年後もそうだとは限らない。それにPalpapek Earl 家の家督を継げなくても、兄の家臣となってEarl 家と国を支える道や、他のNoble 家に婿入りして辣腕を振るう道もあった。
別にThomasがEarl 家の当主にならなくても、国が亡びたり大勢の犠牲が出たり、worldが滅びる訳でもないのだから。
だと言うのに優れている自分がEarl 家を継がなければならないと思い上がり、それらしい事を言って自身の野心を自分自身にも隠し、Pure-breed Vampire達に長年便宜を図り続けてしまった。
それこそがThomasが犯した最大の、そして消滅するまで気がつかなかった間違いだった。
VandalieuとDaltonはお互いの事情をざっと打ち明けた。
Boundary Mountain Rangeの向こう側の状況や、自分達の存在が神にも知られている事に彼は始終驚いていた。一番驚いたのは、Legionの姿だったが。
尤も、Vandalieuの方も『Storm of Tyranny』の他のmemberがEvil God (M)のReincarnated Bodyだったり、Pure-breed Vampireだったり、Amid Empire側に思ったよりも多くのVida's New Racesが保護されている事に驚かされたが。
特にZantarkに選ばれたChampionであり、十万年前Bellwoodと共にAlda側で戦ったHeroic God Farmoun GoldがVida側に寝返っているらしい事は、驚愕に値した。
「でも俺に百回殴られるのは嫌と。まあ、あまりするつもりも無いですけど」
「ああ、後にしてくれって。
さて、とりあえずTeleportationでぱっと移動できるのは分かったが、俺達は暫くそっちに行けねぇ。【Teleportation】で日帰りって訳にもいかねぇしな」
ＳClass adventurerパーティである以前に、『Storm of Tyranny』の面々はAmid EmpireのEmperor MashkzarやEvil God (M)派のPure-breed Vampire BirkyneにVida believerとVida's New Racesの集まりだと見抜かれている。
そのため通常の監視と、通常では考えられないmagic等特殊な手段での監視が付けられているらしい。
それでLegionの存在とBoundary Mountain Rangeの内外を【Teleportation】出来る事がばれたら、拙い事になるらしい。
『あのRickertってSwordsmanぐらいなら私達だけでもどうにかなるし、倒せなかったとしても【Teleportation】すれば逃げられると思うけれど』
「……『Light Speed Sword』倒したのはお嬢-sanかい。見るからに相性最悪じゃねぇか。あのbastardも哀れだな。
それはin any case、Space-Attribute Magicには【Teleportation】を妨害する術があんだよ。それに石化とか時間停止とか、行動を封じる方法なら幾らでもある。
油断はするなよ」
Legionを封じれば、Vandalieuは【Teleportation】で移動する事が出来なくなる。それが分かれば彼の敵がLegionを何としても排除しようとするのは明らかだ。
「確かに、もっと注意しないといけませんね」
Legionは尋常では無いVitalityとBisectionされてもすぐに回復する再生Abilityがあり、内臓やbone格等の急所に成り得る部位が存在しない。人格の一つであるEreshkigalの力である、【Counter】もある。
ある意味、Vandalieuよりも殺し難い存在だ。
しかし行動不能にする方法は殺すだけでは無い。-sama々な相手と戦ってきたDaltonの指摘に、それを思い出した。
『なるほど、確かにmagicやStatus Effectで封じられる危険性を考えるべきだった。このbody partになってから、危機感が薄くなっていたのは否定できない。
だけど、お嬢-sanとは呼ばないでほしい』
『EnmaやGhost、Jackもいるからね』
「……なあ、こいつ何て呼べば良いんだ？」
「俺はLegionと呼んでいますね」
「肉だけのsimpleな構造している割に、内面は難解な奴だな。分かった、気を付ける」
そうLegionに言うと、Daltonは不意に顔を引き締めた。
「実は、俺達『Storm of Tyranny』全員でお前に詫びなきゃならねぇ事がある。今この場には俺しかいないが、先に言っておくぜ」
そしてVandalieuに向き直り、目を瞬かせている彼に頭を下げた。
「VidaからのOracleを正しく受け取れず、お前と母親を助けられなくて悪かった」
Daltonのmohawk頭を見て、彼等もTalosheimのNuazaのように、VidaからのOracleを受け取ったのだと知った。
そしてOracleを守ろうと行動したが、自分達を助けるには至らなかったのだと言う事も。
「頭を上げてください、あなた達が悪い訳ではありません」
「いや、だがそれじゃあ俺の気が納まらねぇ。俺に出来る事だったら――」
「じゃあポージングとお触りで」
「何でもって、ポージングとお触りだあ！？」
本当にDalton達のせいではないので、一切責める気は無い。それどころか正体を隠しているとはいえ上Class adventurerが、一国の為政者ともタメ口を聞く事も許される立場の者が頭を下げたのだ。
好感を覚えるに値する。
「何でそうなるんだ！？ 俺にポーズを取らせた上に触ったところで何が楽しいんだよ！？」
「超楽しいです」
でも役得なのでこれぐらい頼んでも良いのではないだろうか？ そう思うVandalieuだった。
『逃げるんじゃないよぉ』
「大丈夫、痛くない」
「Kingの目当て、お前のBodyだけ」
『ヒヒヒ、なぁに、大人しくしていりゃあ、すぐに済みますぜ』
「うおお！？ 俺が言われる側になるとは夢にも思っていなかった言葉の数々が！？ って言うかちょっと待て、何か何時の間にか増えてる！？ その木っぽい女はさっきもいたが、こっちの蜂女とGhostは何だ！？」
「まあまあ、落ち着いて。あ、ちょっと肩が凝っていますね。ついでにmassageもしましょうか」
「は、放せえぇぇ――」
本気で抵抗する訳にもいかず、EisenやBragaに確保されVandalieu達の中に埋もれていくDaltonを、LegionとPrincess Levia、Orbiaは見送った。
『Vandalieuも相変わらずmuscleが好きね。肉の量なら私達が一番なのに』
『同じDark Elfでも、Mountain Rangeの外と中で違うのね。ギザン-sanよりもずっとムキムキだわ』
『アタシも生きていた時に『Storm of Tyranny』のDaltonのnameぐらいなら聞いた事あるけど……Dark Elfだったんだぁ。他にも女Dwarfと女Elf、後ちょっと前に加入した謎の新人adventurer兼Bartenderがいたけど、それがEvil God (M)とPure-breed Vampireかな？』
その後、whole bodyを弄ばれ……凝りを解されたDaltonは、LegionのTeleportation用のmarkerである小型Golemを受け取って、落ち合う時期を決めて去って行ったのだった。
VandalieuがThomas Palpapekを殺して、一月程が経った。Mirg Shield Nationではまだ国中大騒ぎだろう。そしてMashkzarも、渋面を浮かべている頃だ。
祖国の独立を目論み、恐らくEvil God (M)派のPure-breed Vampireと繋がっている危険な人物が手を汚さずに排除された事を喜ぶべきか、それともEmpireの盾であるMirg Shield Nationの軍の再編が遅れる事に頭を痛めるべきか、どちらなのかを決め兼ねて。
『Evil God of Joyful Life』Hihiryushukakaを信奉するPure-breed Vampire Birkyneは、有力な取引相手を失ったが既にorganization自体が半壊に等しいconditionであるため、実際に受けた被害はそれ程でも無かった。
そう言った事はin any case、Boundary Mountain Range内部ではAmid Empireが誇るＳClass adventurer partyにDark Elfや、Pure-breed Vampireまで含まれている事に驚きを持って受け止められた。
特に亡命した直後のセシル・Legstonとアルサード・Legstonは、「亡命を選ばなければ、亡国の瞬間に立ち会う事になっていたかもしれん」と、遠い目をしていた。
Farmoun Goldの件は、一旦Boundary Mountain Range内部のGodsや為政者達までに情報を留め置く事になった。
十万年の間Bellwoodと同-samaにNemesisとして語り継がれていた存在であるため、衝撃が大きすぎると判断されたためだ。
……実際には、『God of Battleflags』Xerxや『God of Warriors』Garess等が、Farmounが本当にallyになったのか信じられないと言う理由の方が大きそうだが。
やはり両者の溝は相当に深いようだ。
そして十ageになったVandalieuはこの日、Dark Elf nationで開催された武道大会に参加していた。
「この武道大会は、百年前『Evil God of Labyrinths』Gufadgarnが『Trial of Zakkart』を発生させた年から開かれる-samaになった、歴史は浅いが誉れある大会なのですよ」
大会の運営委員であるギザンが、そう説明しながら息を吐く。
「『Trial of Zakkart』に挑戦するに相応しいHero豪傑を選定する事が主旨なので、大会と言っても選ぶのは一人の優勝者では無く、数人から多くても十数人までの優秀な挑戦者達になります。
『Trial of Zakkart』はBoundary Mountain Rangeの外では異なるようですが、ここでは基本的に死者が出ないようにしてくれています。ですが、挑戦者があまりにweakとうっかり死んでしまう事が考えられるので」
聞けば、Boundary Mountain Range内に出現した『Trial of Zakkart』は、挑戦者のVitalityが著しくdecreaseする等して挑戦を続ける事が難しくなった場合、強制的に【Teleportation】させ外に弾き出すらしい。そして挑戦者が全員出て来るまで、Dungeonの外では治療班が待機するらしい。
ただBoundary Mountain Range外部に出現した時に中に入った挑戦者は、確認されている限り『Blue-flame Sword』のHeinz率いる『Five-colored blades』のmemberの内三名以外は戻らなかったそうだが。恐らく、Dungeonが意図的に外に出す挑戦者と出さない挑戦者を選別しているのだろう。
「そう言えば、何時の頃からかDungeonの入り口に『Trial of Zakkart』と看板が掛けられましたね。あれは何故だろうと不思議だったのですが……Mountain Rangeの外で『迷宮を攻略するとBellwood's Successorに成れる』なんてデマが流れているせいだったのですね。まあ、Dungeon内部にはChampionやGodsのlegend等が描かれた石碑や、それに関係する謎かけなどもあるので、誤解されるのも分かるのですが」
「Gufadgarnとしては不本意だったでしょうね。まさか看板を掛けても勘違いが解けないなんて」
Dungeonを製作した意図と異なり、Alda's Factionのbeliever達が次々に入って来たのだ。さぞ不愉快だったに違いない。
「Gufadgarnも大変ですね……百年前、突然Dungeonの挑戦者の選定を任される事になった我々も大変でしたけど。本当に……急に仕事が増えるんですから」
ギザンを見上げたVandalieuの目に映ったのは、自分よりEnergyの無い瞳だった。どうやら、この大会の運営はDark Elf達にとって大変な事業らしい。
「……お疲れ-samaです。肩でも揉みます？」
Vandalieuが上Class adventurerにも認められたmassageの腕を振るおうと提案するが、彼は曖昧な笑みを浮かべて首を横に振った。
「まだ仕事中ですから。因みに、このDungeonは一度挑戦した者は二度目の挑戦は出来にくい仕組みになっているのですよ。二度目以上の挑戦者だけだと、何階層か下ったところで下に降りる階段が消えるのです」
「フンッ、Dungeonの趣旨がZakkartのSuccessorを探すと言うものだからな。一度挑戦させて違うと分かった者に、用は無いと言う事だ。
お蔭で儂はとんだ無駄boneだったわい」
そう言うのは、オオlizardの丸焼きにTalosheimから輸入したketchupをかけて齧っているMajin King Godwinだ。どうやら彼が二度目の挑戦者は受け付けない事を確かめたらしい。
「accurateには違うのじゃがな。挑戦者の中に一人でも初挑戦の者がいる間は、二度目の者が何人いても先に進む事が出来る。じゃが、初挑戦の者が居なくなると二度目の者は途端に先に進めなくなるのじゃ。妾の時もそうであった」
同じく観戦しているZanalpadnaのDonaneris Queenがmonsters化した鴨、魔鴨の卵で作ったクレープを抓みながら補足する。彼女も二度以上試練に挑戦したようだ。
「しかも、この大会にも出られん。全く、bloodが騒ぐのに鎮められんとは悔しい！」
「それは仕方あるまい。試練への挑戦者を選ぶための大会に、既に挑戦権を失っている貴-donoが出ても意味が無いだろう」
「寧ろ、本来選ばれるはずだった挑戦者が可哀そうだろ」
嘆くGodwinに、Kijin raceの王TenmaやCentaur王Silvariがだから自重しろと口々に言う。
「勝手な事を！ Tenmaはこの大会に二回、Silvariなんぞ五回も出場しておいて！ ずるいぞ！」
「何だと！？ それは貴-samaが一回戦目で儂を昏倒させたからだろうが！」
「……Emperorよ、儂は四回も負けたからと言ってweak訳では無いぞ。相手が悪かったのだ」
Continent南部中の強者が試練に挑戦しようと集まるので、大会では一時期各国の王同士で対戦する事も度々あったようだ。
「それはin any case、何故俺はこんな所に居るのでしょうか？」
そしてVandalieuは、「賞品」と書かれた席に座らされていた。彼は大会に出場する気満々だったのだが、ギザン達に有無を言わさずこの席に連行されたのである。
Vandalieuの問いに、彼の横で観戦しているDarciaが答える。
『だってVandalieuの実力なら、絶対挑戦者に選ばれるもの。態々競わなくても良いと思うのよ』
ちょっと聞いただけではただの親idiotだが、彼女の言葉にその場にいたVandalieu以外の全員が頷いた。
「Emperor、あなたの力はこのBoundary Mountain Range内部で有数……個人で【Demon King Fragment】を使わず、【Hell King Magic】を自粛すれば分かりませんが……それでも十分試練に挑戦できる実力をお持ちです」
「余も挑戦した事があるが、Emperorなら少なくとも力で試練に敗れる事は無いだろう」
「なので、私の仕事を少しでも減らす事にご協力ください」
Budarionの保証と、何よりもギザンの切実な訴えにVandalieuはnod以外に無かった。
「それに、明らかにGufadgarnが探しているZakkartのSuccessorって、陛下の事だろう。だから挑戦するのは決まっているだろうが」
「そう言うKurtは何故観客席に？」
「……俺が大会に出場したら、うっかりUndeadになるかもしれないからだ」
遠い目をKurtが向ける試合Venueでは、EleonoraがKijin raceのWarriorを薙ぎ払っているところだった。薙ぎ払われたKijin raceのWarriorよりも力で劣るKurtが大会に出れば、手加減されても事故死しかねない。
「そもそもこの大会、有力Candidateが陛下の関係者ばっかりだぞ。他は親御-san達を前にして言っちゃあ悪いが、実力不足の感が否めない。『六角戦鬼衆』やRyuujin族のSamuraiのRowenの姿も無いし、Majin RaceはIrisのお嬢-san以外の出場者が無いときたもんだ。
いいのか、これで？」
そうKurtが問いかけると、各国の王達は苦笑いを浮かべた。
「別にEmperorに配慮して出場を辞退した訳では無いのじゃ。それは勘違いせんでくれ」
Ryuujin nationから来た四老竜の一人が、そう口を開く。
「ただの……出場できる有力選手が限られていてな」
「限られる？」
「Kurt -donoよ、我々Vida's New Racesの多くの者は寿命が長い。そして当然、世代交代が行われるpaceも長い。そのため、我がRyuujin族やMajin Race、それにDark Elf等は既に大半の者が試練に挑戦済みなのじゃ。
他のContinent南部の強豪たちも、既に一通り挑戦した後じゃ」
「……なるほど」
大会の趣旨とrule上、既に試練に挑戦した者は出場する必要が無い。しかも、一度の大会で多い時は十人以上が選出される。そのため、この百年で大体の強豪はGodwinの-samaに出場資格を失ったのだろう。
「寿命の短いraceもいるが……余の愚弟が起こした戦乱の直後故な」
High Goblin nationやHigh Kobold nation、そしてNoble Orc Empireの大会出場Candidateは、Bugitasが起こした内乱によって倒されるか倒していた。
「それは、悪い事を聞いてしまった。申し訳ない」
頭を下げるKurtに、Budarionは気にする必要は無いと首を振った。
結果的に、今年の大会では試練に挑戦できそうな者はVandalieuの関係者ぐらいになっていた。
「Oniwakaや、Silvariの娘-sanは頑張っていると思いますよ」
「いえ、今年が最後の大会になるかもしれないと思い出場させましたが、まだまだでしょう。お心遣い感謝いたす」
「Irisっ、Irisも頑張っているぞ！ そう思わんか！？」
Tenmaが娘の健闘を褒められて、目を細める。そしてゴドヴィンが妙な対抗意識を燃やし始めた。
「親idiotは黙っておれ。ところでJob changeは済ませたのか？ 試練の攻略には数か月ほどかかるじゃろうから、levelが百に近いならJob changeをしておくに越した事は無い」
「はい、半月ぐらい前に済ませました。【Labyrinth Creator】に」
Donaneris QueenにVandalieuはJob changeをした事を告げた。
【Spirit Warrior】や他のGuider等迷ったのだが、Darciaをrevivalさせる事が出来る何かが最奥で眠っているDungeonに挑むのだ。最も役に立ちそうなJobを選ぶことにした。
「そうか、【Labyrinth Creator】とは聞いた事が無いがきっと試練の攻略に役立つじゃろう」
そうnod Donaneris Queen。大会のリングでは、今正に彼女の娘の一人であるGizaniaと、Zadirisが対戦を始めるところだった。
「Mageでも、手は抜かない！」
「抜く必要等無い事を、坊やとDataraが作ったこの新装備で見せてやろう」
一見装飾過多で振り回し難そうな杖をZadirisが掲げて、Gizaniaと対峙する。
「変し――！？」
その時、不意に地面が揺れ低い唸り声のような音が響いた。驚くZadiris達と対照的に、ギザン達は落ち着いて目を閉じ、祈るような仕草をして告げる。
「今、『Trial of Zakkart』が出現しました」
・Name: Vandalieu
・Race: Dhampir(Dark Elf)
・Age: １０age
・Title: 【Ghoul Emperor】 【Eclipse Emperor】 【Guardian of the Cultivation Villages】 【Vida's Miko】 【Scaled Emperor】 【Tentacle Emperor】 【Champion】 【Demon King】（ＮＥＷ！） 【Oni Emperor】（ＮＥＷ！）
・Job: Labyrinth Creator
・Level: ８
・Job History: Death-Attribute Mage Golem Transmuter Undead Tamer Soul Breaker Venom Fist User Insect User Tree Caster Demon Guider Archenemy Zombie Maker Golem Creator Corpse Demon Commander Demon King User Nether Guider
・Ability Values
Vitality: ９,５４７
Mana: １,９７１,１３８,１４０＋(９８５,５６９,０７０)
Strength: １,７０７
Agility ：１,４８４
Endurance ：１,７８８
Intelligence ：３,６７０
・Passive skills
Mysterious Strength：８Ｌｖ
Rapid Regeneration：３Ｌｖ
Hell King Magic：２Ｌｖ
Abnormal Condition Resistance：１０Ｌｖ
Magic Resistance：７Ｌｖ
Dark Vision
冥Demon Path Enticement：３Ｌｖ
Chant Revocation：６Ｌｖ
Guidance：Hell Demon Path：５Ｌv
Automatic Mana Recovery：９Ｌｖ
Strengthen Subordinates：８Ｌｖ
Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue)：７Ｌｖ
Enhanced Agility：５Ｌｖ
Body Expansion (Tongue)：７Ｌｖ
Strengthened Attack Power while Unarmed: Large
Enhanced Body Part (Hair, Claws, Tongue, Fangs)：７Ｌｖ(ＵＰ！)
Thread Refining：３Ｌｖ
Mana Enlargement：５Ｌｖ
Mana Recovery Rate Increase：２Ｌｖ(ＮＥＷ！)
・Active skills
Bloodwork：４Ｌｖ
-Transcend Limits-：１Ｌｖ
Golem Creation：３Ｌｖ
No-Attribute Magic：９Ｌｖ
Mana Control：８Ｌｖ
Spirit Form：１０Ｌｖ
Cooking：５Ｌｖ
Alchemy：７Ｌｖ
Unarmed Fighting Technique：９Ｌｖ(ＵＰ！)
Multi-Cast：８Ｌｖ
Long-distance Control：８Ｌｖ
Surgery：7Ｌｖ
Parallel Thought Processing：８Ｌｖ(ＵＰ！)
Materialization：７Ｌｖ(ＵＰ！)
Coordination：８Ｌｖ(ＵＰ！)
High-speed Thought Processing：８Ｌｖ(ＵＰ！)
Commanding：７Ｌv
Thread-reeling：６Ｌｖ
Throwing Technique：６Ｌｖ
Scream：４Ｌｖ
Dead Spirit Magic：７Ｌｖ
Artillery Technique：７Ｌｖ
Armor Technique：４Ｌｖ
Shield Technique：４Ｌｖ
Group Binding Technique：２Ｌｖ
Surpass Limits: Fragments：２Ｌｖ
・Unique skill
God Devourer：３Ｌｖ(ＵＰ！)
Grotesque Mind：９Ｌｖ
Mind Encroachment：７Ｌｖ
Labyrinth Creation：１０Ｌｖ(ＵＰ！)
Demon King Fusion：９Ｌｖ
Abyss：４Ｌｖ
Divine Enemy(Hostilityから変化！)
Soul Devour：３Ｌｖ(ＵＰ！)
Vida’s Divine Protection(ＮＥＷ！)
Earth’s Hell Gods’ Divine Protection(ＮＥＷ！)
・Demon King Fragment
blood、角、suction cups、ink sacs、carapace、scent gland、Luminescent organs、blubber、chin、eyeball、proboscis、fur、exoskeleton、Arthropod Legs、antenna
・Curse
Experience gained in previous life not carried over
Cannot learn existing jobs
Unable to gain experience independently
《Job change時、【Mana Recovery Rate Increase】、【Labyrinth Creation】のlevelが上がりました！》
・Job解説：Nether Guider
いずれ死ぬ者、そして既に死んだ者をGuiding者を表すJob。生と死の境界線を乱し、この世にあの世を創り出-sanとする者が就く事が出来る。
対象は当然霊やUndeadであり、またそれを望む生者。ただ既に【Demon Guider】Jobに就いていた事と【Earth’s Hell Gods’ Divine Protection】を獲得した事で本来対象外である存在にも、効果が及んでいる。
Ability Valuesの成長ではVitality、力、Enduranceのincrease率が低く、逆にMana、Intelligence、Agilityの順でincrease率が高い。