Heinz達を鍛えるため、そして『Evil God of Sinful Chains』と相打ちになり今も眠り続けているHeroic God Bellwoodを目覚めさせるため、『God of Law and Life』Aldaはある物を造り上げる為の作業を取りかかっていた。
『RicklentやZuruwarnの力を借りる事が出来ていたら、これ程の時間はかからなかったろうに』
Light Attributeと生命attributeの管理を行いながらの大仕事、しかも Aldaにとって決して得意分野では無い作業は難航していた。
術に秀でた『Magic God of Time and Arts』Ricklentや、『God of Space and Creation』Zuruwarnの協力が得られれば、彼等が本調子でないとしても作業はずっと早く進んだはずだが……まだ眠りについている者に期待しても仕方がない。彼等が目覚めている事を知らないAldaは、そう思考を切り替えた。
『だが、何としても仕上げなけれ……ば?』
不意に、Aldaの視界が半ば紅く染まった。何事かと顔に手で触れた彼は、濡れた感触を覚えて驚愕した。
『私が、傷を負ったのか? Divine Realmに座する私が……!』
額から流れ出たのは、約十万年ぶりに見る自分自身のbloodであった。それを認識した途端、鈍い痛みが連続して起こる。
『Alda -samaっ!?』
『何者だ! Godsの長たるAlda -samaを傷つけるとは、許されざる大罪ぞ!』
彼のDivine Realmで作業にあたっていたFamiliar Spirit達が騒ぎ出すが、Aldaは『静まれ』と制した。
何故なら痛みがまだ続いているからだ。今この瞬間も何処かに居る何者かによって、傷が与えられている。
素早くAldaは自身が創り上げたArtifactのconditionを確認する。
『考えられるのは……』
神である彼にDamageを与えうる存在といえば、多くの者が思い浮かべるのはDemon King Army Remnantsだが、それは無さそうだ。同じく、Vida's FactionのGodsの攻撃でも無いだろう。
Aldaが受けたDamageは、Great Godにして現在最も多くのbelieverの祈りを受ける彼にとっては掠り傷に等しい。worldの維持管理にはcertainly impactは無く、今行っている作業に数分の遅れが出る程度の妨害でしかない。
その程度のDamageを負わせるために彼等が動くとは考え難い。
最も考えられる可能性は、VandalieuがAldaの創り出したArtifactやbelieverがAdventを願ったFamiliar Spiritを砕く事だ。しかし Aldaが確認した限りそう言った事も無いようだ。
『いや、現存する我がFamiliar Spiritの数が減っている。私が確認できない、私のArtifact……Divine Authority……Vidaか!』
Aldaの目が絶対に届かない場所に存在する、Aldaの力。それはBoundary Mountain Rangeで今も眠っているはずの『Goddess of Life and Love』Vidaに十万年前打ちこんだ杭に他ならなかった。
『CuratosとNiltarkのconditionを確認せよ!』
それに思い至ったAldaは、急いでFamiliar Spirit達を腹心である二柱の神の元へ向かわせた。VidaにはAldaのDivine Authorityである杭の他に、Bellwoodに授けたArtifactがthrustたてられている。その中にはAldaだけでは無く、『God of Records』Curatosや『God of Judgement』Niltarkが創り上げた物が含まれていた。
杭が何者かに破壊された以上、それ等も同じく破壊されたと考えられる。その予想は、戻ってきたFamiliar Spirit達の報告によって裏付けられた。
幸い、二柱とも受けたDamageの大きさそのものはたいしたことは無いようだが。
だがAldaと同時に彼等がDamageを受けた事は、事態が急変した事を意味する。
『Vidaが解放された。いったい何者が我がDivine Authorityを解いたのだ?』
AldaはLight Attributeの神であると同時に、God of Lawだ。故に間違いを犯した神を罰するためのDivine Authorityを振るう事が出来る。それがあの杭だ。
杭を打たれた神は力の回復が大きく阻害され、神としての活動に重大な制限を受ける。Lambda worldのGodsしか対象に出来ないためDemon King Armyとの戦いでは裏切り者以外には使えなかったが、極めて強力なDivine Authorityだ。
その性質上、Alda以外の神には解除はcertainly破壊する事も不可能なはずだ。だと言うのに、何故?
『Vidaに従う邪悪なGods共の力か? いや、あれ等も神である以上我がDivine Authorityを解除する事は不可能であるはず。もし可能なら、とっくにやっているはずだ。
まさか、Vandalieuか? 奴が、我がDivine Authorityを砕く程に力を高めているというのか!?』
Boundary Mountain Rangeの内側に張り巡らされたBarrierの中で眠りについていたVida。そのContinent南部にVandalieuは巣くっている。
彼がYupeonのSpirit Cloneを砕いた事は知っていたが、まさか既にGreat Godである自らのDivine Authorityを砕く程力を高めているとは想像を超えていた。
『Aldaよ、如何します? このままではいくらHeinzを含めたHumanのHero達を鍛え上げても、かの者を倒すには至らないのでは?』
『それどころか、これからVidaの力は徐々に回復するはず。完全回復には早くても数千年の時が必要でしょうが、御身と違い、今あのGoddessはworldの管理に関わっておりません。Barrierの中であれば、より自由に動く事が出来る』
緊急事態に集まってくるSubordinate God達の意見を聞きながらも、Aldaは首を横に振った。
『皆よ、既に事態は引き返す事が出来ない段階にある。このworldの存続を願うなら、『Demon King』Vandalieuとの対決は避けられん。
かの者を放置すれば、worldはいずれChaosの渦に呑まれ全ての秩序は破壊される。あの者こそGuduranisを超えるTrue敵である』
確信を持って断言するAldaの言葉に、まだ何処かVandalieuを甘く見ていた……Godsが動けば確実に討伐できる程度の存在であるという認識の有ったSubordinate God達は息を飲んだ。
『我が姉にしてImoutoたるBotinとPeriaがsleeps地を見張るのだ。Vandalieuが先んじてsealedを解き、力を取り戻していない彼女達を害そうとする可能性が高い。Vidaが少しでも正気ならば許-sanだろうが……過度の期待は出来ない』
『御意!』
額からの出bloodを止めたAldaの命を受けたGodsは、次々に彼のDivine Realmから退出して行った。
《【Automatic Mana Recovery】、【God Devourer】、【Soul Devour】のlevelが上がりました!》
《【Hostility】skillが【Divine Enemy】skillにAwakeningしました!》
《【Vida’s Divine Protection】が表示される-samaになりました!》
《【Mana Recovery Rate Increase】、【Earth’s Hell Gods’ Divine Protection】を獲得しました!》
そんな脳内アナウンスを聞いたと思った瞬間、Vandalieuは意識を失った。魂だけのconditionで過剰にManaを使用した反動にbody partが耐えられなかったようだ。
普段ならfaintedする前に【Out-of-body Experience】くらいするのだが、今回は予期せぬ事態だったためそれも間に合わなかった。
次に目覚めたのは、『Vida’s Resting Ground』の中にある休憩室であった。
「Pure-breed Vampireの皆-samaが時折目覚める事があり、ここはその時に過ごされるroomの一つです」
「まさか最初にここをご案内するとは思いませんでしたが」
Noble-born Vampireと、制服である黒ローブを着たDark Elf nationの長ギザンが口々に言う。彼等がVandalieuをここに運び込んだのだ。
『しかも、何時の間にか手に赤いjewelを握っていましたし。何があったんですか、Bocchan?』
『Kühlが固まった物じゃないですよね?』
Deep Blood SlimeのKühlの体色を連想させる、つまりblood液の色をした握り拳ほどのjewelをVandalieuは握っていた。
RitaとSalireは不思議に思いつつも、そのまま彼を運んできたそうだ。彼女達の父親のSamは、建物内を馬車で進む訳にはいかないと寝所の入り口近くに残っている。
「因みに、Darcia -sama達もSamと一緒に待っています。どうやら霊であるDarcia -samaやAstral系のmonstersであるPrincess Levia達はこの寝所内では思うように活動出来ないようです」
『万が一の事態を考え護衛に残ろうと思ったのですが、Vampire達が引き受けてくれました』
服の乱れを整えているBellmondと、Bone Manがそう説明するとギザンは申し訳なさそうに頭を下げた。
「寝所内に霊やAstral系のmonstersが入った事は今まで無い事だったので、気がつきませんでした。申し訳ない」
「いえ、お気になさらず。別にSpirit FormにDamageを受けた訳でも、浄化された訳でも無いのですし」
本格的にDarcia達の害になるなら、【Danger Sense: Death】に反応があるはずだ。それが無いということは、それほど有害なものでは無いのだろう。
そう考えながらVandalieuが室内を見回すと、壁や天井にweakがManaの反応があった。どうやら寝所内にはZakkartの亡骸に不浄な存在が手出ししないようにweak魔除けが施されているらしい。
強すぎるとVampireやZakkartの亡骸その物にも害となるので、精々動きにくくなるとか、眠くなる程度の効果だろう。
「驚かせてすみません、特にBellmond。お蔭ですぐ目が覚めました」
Manaがほとんど残っていなかったVandalieuが一時間と経たず目を覚ましたのは、Bellmondがbloodを飲ませたからだった。
【Offering】のUnique skillを持つBellmondは、その効果でbloodを与えた相手のManaを急速に回復させる事が出来る。
「いえ、これも私の務めですので……ただ、目を覚ました後も吸い続けるのは少々驚きました」
『よっぽどManaが減っていたんですね。暫くBellmond -sanから口を離しませんでしたよ、Bocchan』
「すみません……見苦しい所を見せました」
「「いえ、眼福でした」」
頭を下げるVandalieuに、声を揃えてBellmondに手を合わせて礼をするギザンとNoble-born Vampire。Bellmondは二人の存在を無視しつつ、首筋に残ったbloodをハンカチで拭きとる。
「それで旦那-sama、いったい何があったのですか?」
「はい、実はですね――」
VandalieuがVidaのDivine Realmであった事を説明すると、Bellmond達は大いに驚いた。
『主よ、そっちだったのですか!? てっきりVampireのTrue Ancestorの方の生まれ変わりかと思っていましたぞ!』
『Nuaza -san、外しましたね~』
『まあ、Bocchanは前から否定していましたけどね』
TalosheimのChurch of Vidaに務めるGiant raceのLichのNuaza。彼はVidaから受けたOracleと、VampireのTrue Ancestorが最期に『必ず戻ってくる』と言い残したlegendを組み合わせて、Vandalieuを『Vida's Miko』でVampireのTrue Ancestorの生まれ変わりに違いないと予言していた。
そしてその予言は、Vandalieuが思っていたよりも広く信じられていたらしい。
「そっちで驚かれる事に、逆に驚きました」
「旦那-samaがChampionの、それも四人の生まれかわりとは、どう驚けばいいのか。まともな……いえ、並の来歴の方では無いとは知っていましたが」
「そう言うBellmondは、Zakkart達について聞いたことはありませんか? 前の上司は、直接面識があったはずですし」
「……ここではノーコメントで通させていただけますか。具体的に彼女がどんな誹謗中傷を口にしたのかここで口にすると、Divine Punishmentが下りそうなので」
既にVandalieuがanother worldからのReincarnatorである事を知っており、神のSpirit Cloneを砕いた事を知っているmemberにとっては、今回の出来事も彼の異常な来歴に新たな一頁が加わったとしか認識でき無いようだ。
『それがVidaのbloodですか……きれいですね。これを使うとDarcia -samaのrevivalの助けになるんですね』
Vandalieuが目覚めた時に手にしていたjewel。それはVandalieuがDivine Realmから離れる際Vidaに与えられた彼女のbloodだった。
「はい、どう使うのかはまだわかりませんが、凄まじい力を宿しているのは確かです」
傷ついていたとはいえVidaのbloodだ。そこに宿るVitalityやManaの大きさは、並のMagic Stoneとは比べ物にならない。確実にDarciaのrevivalに役立つはずだ。
『ところでお二人とも随分静かですが……主、ギザン-donoが喜びのあまり立ったまま失神しています』
「俺の代わりに寝かせてあげましょう」
ギザンは、Vidaが完全revivalには程遠いがAldaのCurseから解き放たれたと聞いて、立ったまま失神していた。
そして彼の横に立っているNoble-born Vampireは、声も無く感動の涙を流している。顔を皺くちゃにして歯を食いしばりながら。
思わずVandalieuとBone Manが視線を逸らしたのも無理は無い。
「よがっだあっ! これで、これで皆-samaのっ、長年のごぐろうがっ……無念がっ! うおおおおおん!」
そして感極まった-sama子で叫ぶと、何処かへ走って行った。maybe、他のNoble-born Vampire達の元に報せに行ったのだろう。
「……長い事溜めこんでいたようですね」
「……戻って来るでしょうか、彼。この寝所の中の見取り図を頂いていないので、私達だけでは動けないのですが」
呆然として呟くVandalieuとBellmond。しかし Noble-born Vampireの男は帰って来ず、代わりに青白く輝くSpirit Formの男が現れた。
『失礼、Vandalieuだな? あいつ等は暫く使い物になりそうにないんで、代わりに俺がお前達を案内する事になった』
補修跡が幾つもある鎧を身につけた、オッドアイの男はfangsを見せて笑った。
『俺の名はVeld。生前はDhampirだったが、今はただの半Heroic spiritだ。元mercenaryなもんで、口の悪さは勘弁してくれ』
Veldと名乗った昔のDhampirの半Heroic spirit……生前はEvil God (M)派のVampireが牛耳る国を打倒して、新しい国を打ち立てMercenary Kingと呼ばれた事もあった男は、Vandalieu達にSelf introductionと寝所の各施設を解説しながら奥へと案内していく。
『資料室にあるChampionに関する資料は、全て十万年以上前の古代のLambda語で書かれているから、まず読めねぇ。Demon Kingと戦う前はDwarf語とかElf語とか、色々あったらしいからな。幾つかはChampionが直接記した物の写本で、Championのworldの言葉で書かれているが、お前が読めるかは分からないぜ。Championのworldにも色々言葉があるそうだし』
現在ではEarthのJapan語に近い言葉が共通の言葉として使われているLambdaだが、以前は独自の言葉が使われていた。現在では限られた人物しか読み書きできない失われた言葉である。
当然だが、Demon Kingとの戦いの後Vidaによって生み出されたnew-racesには、それらの言葉に関する知識は殆ど伝わっていない。
「Earthの外国語は殆ど……ですが、Originのドイツ語もどきと英語もどきなら、何とか読めるかも?」
解説を聞きながらVandalieuは、Originで覚えた言葉を思い出しながらそう首を傾げた。Earthの高校で習う英語はある程度出来た彼だが、日常会話が出来る程では無い。
しかし Originで使われている言葉を幾つか習得していた。彼が実験動物として飼育されていた研究所では、-sama々な国出身の研究者と、実験動物扱いの人々が居たからだ。
発音はOriginで死んでから約十年以上経っているのであまり自信は無いが、多少なら読めるかもしれない。
「Legionなら、もっとたく-san知っているかもしれませんが。
ところで、さっきから気になっていたのですが半Heroic spiritとはどういうconditionなのでしょう?」
Lambdaでは神に仕える存在としてFamiliar Spiritと、Heroic spiritが存在する。
Familiar SpiritとはEarthの宗教における天使に当たる。【Familiar Spirit Advent】skillでbelieverのbody partにAdventしてAbility Valuesを上げたり、神が創り上げた物品に宿りArtifactとなったり、他に普段からGodsに仕える存在である。
神がその力で創りだした使い魔的なFamiliar Spiritや、生前敬虔なbelieverだったHumanが死後召し上げられてFamiliar Spiritに成るpatternが存在する。
対してHeroic spiritは、Familiar Spiritより一段階上の存在だ。
生前believerだった事はcertainlyだが、生前のachievementが広く知れ渡っている存在しか至る事が出来ない。Bardの歌やtempleに伝わるlegendでは、迷えるHeroの前に現れて助言をもたらしたり、Heroが持つ武具に宿って力をかしたりと、重要な役目を果たす存在だ。
身も蓋も無く言えば神にとって、力と行動力を伴った広告塔である。
そうした知識をVandalieuはChurch of VidaのNuazaから教えられていた。しかし、VeldがSelf申告した半Heroic spiritという存在については知らなかった。
それに、見た限りVeldはそんなに凄そうには感じない。
通常の霊やAstral系の並のmonstersよりはずっと上の存在感を放っているが、Princess Levia達よりは劣る。その程度に見える。
尋ねられたVeldは自嘲気味に笑った。
『ああ、俺は正式なHeroic spiritじゃないからさ。正式には未承認Heroic spiritって名乗るべきなのかもしれないが、印象が悪いだろう? だから半Heroic spiritって俺達は名乗っている』
「未承認Heroic spirit?」
『ほれ、お前-sanが起こしてくれるまでVidaがほとんど眠っていただろ。その上Aldaの杭を打たれて碌に力が使えないconditionだったから、俺達のような存在をHeroic spiritやFamiliar Spiritに出来なかったのさ』
Veldは生前Dhampirでありながらmercenary団を率いてEvil God (M)派のVampireが裏で牛耳っていた国を滅ぼし、国王にまでなった人物だ。その行いと実力は、間違いなくHeroと評されるべきだろう。
この十万年の間にはVeld以外にも徳の高いbelieverやHeroが誕生し、そして死に名を歴史に残している。
しかし、Vidaには彼等を召し上げHeroic spiritやFamiliar Spiritにするのに必要な力がなかった。
そのため多くの者がReincarnationの輪から出る事が叶わなかった。特にRodcorteのsystemで管理されるHuman等の場合は、問答無用でreincarnationさせられる。
DhampirであるVeldのように、Vida式Circle of Reincarnation systemに属する一定以上の力ある者の魂だけが、中途半端なconditionのままVida’s Resting Groundに留まっているのだ。
『これからはVidaのHeroic spiritやFamiliar Spirit、もしかしたらSubordinate Godも増やす事が出来るだろうけどな。他にも、believerに【Familiar Spirit Advent】skillのような奇跡を与える事も出来る。
やっとAldaに追いつけるってもんだ。俺が生きていた頃の外のworldじゃ、結構廃れていたからな』
Lambdaでは神の実在を疑う者は存在しない。なので、人々が祈る神を選ぶ際にその神の教義では無く力を基準にするのは当然の事だ。
Boundary Mountain Range外の社会では、Aldaのように力がありbelieverに優れたHeroが存在し、templeも大きい神にどうしても目が行く。
逆にnameは知られていてもMythではVampireやMajin Race等の生みの親とされてケチを付けられ、現在では殆どOracleや【Familiar Spirit Advent】skill等の恩恵を授けないVidaの信仰は、廃れる傾向にある。
敵国のAmid EmpireがAldaを国教としているため、Vidaを信仰しているOrbaum Elective KingdomでさえAlda believerの勢力が無視できない大きさになっているのは、そうした事情がある。
『ところで、俺に敬語は使わなくていいぜ。これからは変わるって言っても、Vidaの力が戻った訳じゃ無い。暫くの間は中途半端な身分のままだろうからな』
「そんなご謙遜を。偉大な先達は敬われるべきですよ」
『いや、それこそ謙遜だからな? 明らかにお前の方が偉大だからな? 死んだらHeroic spiritを飛び越えてSubordinate Godに抜擢されてもおかしくないくらいの大金星だからな?』
「いやいやそんな……でもなさそうですね」
Veldが真顔で言っているのに気がついて、Vandalieuは「そんな事無いですよ」と言うのを止めた。
後ろを振り返ると後ろに付いて来ているBellmond達がうんうんと頷いている。
「旦那-samaはまだ国を滅ぼした事は在りませんが、既に二人Evil God (M)派のPure-breed Vampireを滅ぼしています。更に、去年はEvil God (P)も一柱滅ぼしています」
『それにBocchanも国を興しているじゃないですか。滅びたKingdomを再建するのも、新しく建てるのも、偉大さでは変わりありませんよ』
『そしてついさっき、女Kami-samaに掛けられたCurseを解いたじゃないですか。失礼かもしれませんけど、Veld -sanの偉業を越えています』
『全然失礼じゃないぞ。この次期Emperorにもっと言ってやれ』
BellmondにSalire、Ritaに口々に言われ、Vandalieuは「そう言えばそうかも」と自覚した。
別に自分が行った事を、たいしたことは無いと思っていた訳ではない。しかし、死後にHeroic spiritや神に至るだろうと言われても実感がわかなかったのだ。
『まあ、それも大分先だろう。Humanの親との間に産まれた俺でも四百年程生きたからな。Dark Elfの間に産まれたお前なら、数千年は生きるだろう』
「先でなければ困ります。ところで、話している内に扉の前に着いたようですが?」
『おっと悪い。ここが寝所の最深部。GoddessとChampion、そして従者達の間だ』
Veldが重厚な扉をあけ放った向こうは、ローマのコロセウムを思わせるdome状のspaceになっていた。
「Divine Realmの風景と似ていますね」
扉から階段を下りた中心部は舞台を囲むOpen Plazaになっている。その舞台には玉座に座るVidaのIdol StatueとZakkartの亡骸が在る。Vandalieuの見たVidaのDivine Realmそっくりだ。
違うのは二人の玉座の間に、墓標がある事だ。あの墓標が二人の子であるVampireのTrue Ancestorを弔ったものなのだろう。
『いえ、Bocchan。周りも凄いですよ』
「これはこれは……Ternecia達がBoundary Mountain Rangeの向こうを恐れていたのも納得です」
コロセウムだったら観客席に当たる部分には、幾つもの像が鎮座していた。数え切れない程のMajin Race、それと比べるとずっと数は少ないがPure-breed Vampire、Kijin raceやNoble Orc、Dark ElfやRyuujinやMerfolkの像もある。
『この像はBoundary Mountain Rangeに張られたBarrierを維持するために自ら石化し、一時的にBodyから解き放たれたPure-breed Vampireや、Boundary Mountain Range内のVida's New Races達だ。生きたまま神の領域に片足を突っ込んだ、俺なんかよりもずっと偉大な先達達さ』
MythではVampireのTrue AncestorによってPure-breed Vampireと化したVida believerは約百名。その半数以上がAldaとの戦いで倒れるかsealedされてしまい、生き残りもEvil God (M)派に寝返った者が少なくなかった。そのEvil God (M)派のPure-breed Vampire、Birkyne達が恐れた今もVidaに従うPure-breed Vampire達が約二十名、ここで眠っていた。
Pure-breed Vampire以外にも、この十万年の間にBoundary Mountain Range内で力をつけRank13以上の龍やTrue giant等の神の領域に至ったVida's New Racesが此処に集まっている。
後で聞いた事だが、Majin King Godwinの親もここで石化しているらしい。何でも寿命が無いMajin Raceは生きるのに飽きてくると、ここで石化してAldaとの決戦の時を待つのだそうだ。
『ところで、よくPure-breed Vampireだって分かったな。石化しているとHumanやElfと見分けがつかないだろうに』
「Noble-born Vampire達が像の周りで喜びにむせび泣いていますので、気がつくなと言われても」
『それもそうか』
Pure-breed Vampire達が石化する前や、目覚めた束の間にbloodを分けられて生まれたNoble-born Vampire達は、Vidaのrevivalをそれぞれの親に報告していた。
しかし、Pure-breed Vampire達を含めた誰も石化から戻るsignは無い。
やはりVidaがrevivedと言っても、力が完全に戻った訳では無いからBarrierを維持し続けなければならないからだろう。
「やはりAlda側のGodsを警戒するためですか?」
『そうなるな。Divine Authorityを砕かれた事にはもう気がついた頃だろうが、Barrierがある間はMountain Rangeの内側に入って来る事は出来ない。
OracleでbelieverのHumanを物理的に差し向けて来る可能性もあるが……暫くは-sama子を見るはずだ』
Vandalieuだけでも十分脅威だが、Boundary Mountain Range内の戦力も無視できない。それが分からないconditionではAldaも簡単には動かないだろう。
まさかworldの管理を放り出して地上にAdventし、Mountain Rangeを駆け登って攻め込んで来るなんて事は無いだろうし。
『ところで、石化したPure-breed VampireやMajin Raceの中には『Demon King Fragment』のsealedを抱えたまま石化している奴もいるが……目覚めて石化を自主的に解くまでfragmentをAbsorptionするのは待ってやってくれ』
『石化を解いてからじゃないと、fragmentを取り出した後body partが割れちゃいそうですもんね』
「certainly待ちます。別に緊急性もありませんし」
そう話しながら階段を下りていると、別の出入り口から続々とGodwinやNoble Orc kingdomの王に就任したBudarion、ZanalpadnaのDonaneris Queenが集まって来た。
「おぅい、さっきからVampire達が泣き続けているんだが、どうなっているのだ?」
「Miko -dono、また何かやったようだな」
これから、ここでEmperor就任の儀が執り行われるのだ。
通常はただ報告し、Vidaの代理人を務める半Heroic spirit達から有りがたい言葉を頂いてそれで終わりだが、今回は長くなりそうだ。
「ところで、就任後の話ですけど言葉を貰う所だけで良いので、寝所の入り口でもう一度してもらって良いですか? kaa-sanやSam達にも見て貰いたいので」
『……お前、俺より場慣れしてないか?』
だが基本的にVidaも含めて周囲にいるのは顔見知りの為、Vandalieuに緊張の色は無かった。Talosheimの国王就任の際よりもリラックスしているかもしれない。
《【Ghoul King】、【Eclipse King】、【Scale King】、【Tentacle King】のsecondary nameが、【Ghoul Emperor】、【Eclipse Emperor】、【Scaled Emperor】、【Tentacle Emperor】に変化しました!》
・Name: Myuze
・Age: 70
・Title: none
・Rank: 9
・Race: Crystal Empusa Kunoichi
・Level: 0
・Job: Illusionist
・Job Level: 12
・Job History: Apprentice Thief、Thief、Assassin、Dark Fighter、Kunoichi、Kunoichi Master
・Passive skills
Mysterious Strength:6Lv
Dark Vision(Night Visionから変化!)
Enhanced Agility:8Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Duty:5Lv
Enhanced Body Part (Carapace, sickles):9Lv
Ninja weapon equipped, then Attack Power Enhanced (1) : Medium(NEW!)
Crystal Body Purification:5Lv(NEW!)
Fire-Atribute Resistance:4Lv(NEW!)
・Active skills
Camouflage:5Lv
Unarmed Fighting Technique:9Lv(UP!)
Throwing Technique:6Lv(UP!)
Armor Technique:6Lv(UP!)
Silent Steps:8Lv
Lockpicking:3Lv(UP!)
Trap:4Lv(UP!)
-Surpass Limits-:7Lv(UP!)
Assassination Technique:6Lv(UP!)
No-Attribute Magic:1Lv
Mana Control:2Lv(UP!)
Wind-Attribute Magic:3Lv(UP!)
Luminescence:1Lv(NEW!)
・Unique skill
Zanalpadna’s Divine Blessing
Lioen 's Divine Protection(NEW!)
・race解説:Crystal Empusa (Luciliano著)
『Crystal Horned Dragon God』Lioenの水晶をVandalieuから夢で与えられた事で、Myuzeがblessingsを得た結果誕生したrace。exoskeletonや鎌がエメラルドを思わせる緑色のcrystal体に変化しており、全体的な強度や切れ味がincreaseしている。
当然ながら、Lambdaで初めて誕生したraceである。
whole bodyのcrystal体は割れる等しても新たに生成する事が出来、【Unarmed Fighting Technique】や【Armor Technique】の効果を受ける事が出来Martial ArtsをActivateさせる事が可能。更に【Luminescence】skillによって光らせる事が出来る。
Myuzeの場合Wind-Attribute Magicと合わせて使い、幻を映し出す事も将来的には可能。彼女が「ドロン!」と消えたり、Cloneの術を披露したりする時も近いだろう。
それで当人の望むように【Ninja】Jobに就く事が出来るかは不明であるが。maybe、その前に【ninja】に成る時の方が早いだろう。