不定期な目覚めと眠りを繰り返していた『Goddess of Life and Love』Vidaは、人としては大きすぎるsignが近づいた事で目を覚ました。
(このManaは、signは、Zakkart……あの子だ!)
かつて自らが選んだZakkartであり、ArkでありSolderであり、Hillwillowだった魂がreincarnationし、ここに来たのだ。
意識がAwakeningすると同時に彼女の子等である新raceやbeliever達からVandalieuに関する情報を集める。
RodcorteやAldaと異なり、彼に関する豊富な情報を手に入れたVidaは喜びと罪悪感を同時に覚えた。それらに比べれば、body partに残る傷や打ち込まれた杭の痛みなど気にならない程、大きく深いemotionsだった。
(彼を、ここへ!)
そのemotionsのまま、VidaはVandalieuを自身のDivine Realmに招いた。彼女の名が冠されたこの寝所は、『Evil God of Labyrinths』Gufadgarnが主に創り上げた特殊なDungeon。Mountain Rangeの外では、SClass Dungeonだと思われているらしい。
足を踏み入れた者をDivine Realmに招く事は、難しくは無かった。
(ああ……)
そして現れた魂の異形さに、Vidaは思わず胸が痛くなった。
人型はしているが頭部や四肢の長さや大きさがチグハグで、目や口、耳の位置や数に至っては滅茶苦茶だ。しかもそこかしこに【Demon King Fragment】が生え、絡まり合っている。
不器用なchildが創った粘土細工の人形に、狂った芸術家が名状しがたい細工を施した。そうたとえられても否定できない姿だ。
彼がanother worldからこのworldにreincarnationした時は、まだ人の形をしていた。異-samaなManaに包まれ、酷く傷んでいたがまだ人の形をしていたのに。
Vandalieuの魂はoriginally Demon Kingに砕かれた四人のChampion達のsoul fragmentを、Rodcorteが一つの魂に纏めた物だ。だから以前から潜在的には魂の形が異なっていたのだろう。
それがこれ程表に出た原因の一端は、Vidaにある。Vandalieuの魂をRodcorteのsystemから取り上げ、自らの子等の中にreincarnationさせた。その際、少しでも助けになるようにとZakkartの亡骸から彼の残留思念と、未だに流れ続ける彼女のbloodを……神のbloodを与えた。
そしてVandalieuはDhampirとして生を受け、これまで生きて来た。Vidaが干渉した結果、本来生きるはずだった人生とは何もかも変わり、その過程でMentalは狂い魂の形も異形に成り果ててしまった。
きっとこれからも普通の人生は歩めないだろう。
当人の意思を無視して生き方を変えてしまったという意味では、神のarroganceだろう。
だが同時に嬉しくもあった。
そのようなconditionであっても、彼は『お願い』を聞いてくれたのだから。
だから最初にするのは、謝罪では無い。
『まず、お礼を言わせて。私のお願いを聞いてくれて、ありがとう』
感謝を込めて手を伸ばすと、Vandalieuは暫く幾つもの目を瞬かせ首をぐるぐると回してから言葉を発した。
『……お願いとは?』
どうやら困惑していたらしい。魂の形はMububujengeやZozoganteより余程Evil God (M) Evil God (P)の類らしいのに、そうしたemotions表現はとても分かりやすい。
そんな発見にVidaは微笑を深くして、答えた。
『覚えていなくて当然だわ。あなたがこのworldにreincarnationして来る時、お願いしたのよ。このworldを愛してほしい。空を、風を、大地を、緑を、動物を、人々を、愛してほしいと。
あなたはその通り、このworldを愛してくれた。本当にありがとう』
そう言われたVandalieuの困惑はより深くなった。お礼を言われて悪い気はしないのだが、何故そんな当たり前の事を願われるのか分からない。
生まれ育った土地や周囲の環境に親しみを覚え、周囲の人々に愛着を持つのは至極当たり前の事だ。
少なくとも、Vandalieuにとってはそうだった。
EarthでもOriginでも、worldそのものを呪った事は無かった。Earthでは伯父familyの元から離れて独り立ちすれば幸福に成れると思うぐらいには、Originでだって自分と同じ実験動物扱いされていた後の『The 8th Guidance』を助けるぐらいには人々に期待し、親しんでいた。
このLambdaでも同じだ。いや、Earthで得られなかった力を振るう事が出来て、Originで得られなかった自由を得ているこのworldをより心地良く思うのは当然である。
……躊躇いなく「人を愛している」と言うには人を殺し過ぎている気がしないでもないが。だが一貫して出来るだけ人は殺さないようにしているから、Vidaから見ると許容範囲内なのかもしれない。Vandalieuはそう思った。
(だけど、Lambdaにreincarnationする時……Originで元『仲間』に殺されてRodcorteに呪われた直後か。あの時の俺のMental conditionから判断すると、worldをCurseそうに思えても無理はないかもしれない)
そう納得するVandalieuに、神であるが故に彼が何を考えているか分かるVidaは『そうじゃないのよ』と告げた。
『Vandalieu、あなたは遥か昔に私が招いたChampion、Zakkartだったのよ。同時に、ArkでありSolderであり、Hillwillowだったの』
『えっ?』
『彼等の魂はDemon King Guduranisに砕かれてしまったけれど、Rodcorteが彼等のsoul fragmentを纏めて一つの新たな魂を組み上げて、Circle of Reincarnationさせたのよ。……私達が彼等を蘇生させる事が出来ないようにするために』
『……成るほど。少し腑に落ちました』
自分が以前は四人のChampionだった事を知らされたVandalieuは、困惑がより大きくなると同時に自分がこのworldにreincarnationしてからの、VidaやRicklent達Godsの奇妙な行動の理由を理解する事が出来た。
TalosheimでUndeadと化していたNuazaや、ZanalpadnaのQueen Donanerisに(間接的だが)Oracleを下した。
特にNuazaにOracleを下したのは約百年前だ。VandalieuがOriginどころか、EarthでAmamiya Hirotoとして生を受ける前の事だ。
Vandalieuの存在を知り、行いを見てOracleを下したとは絶対に考えられない時期だ。
それにOriginで死んだMinuma Hitomiを含めた『The 8th Guidance』をLegionとしてreincarnationさせblessingsを与えた、RicklentとZuruwarn。
どんな経緯でそうなったのか謎だったが、VandalieuがZakkartやArkの生まれ変わりなら、ある程度納得できる。
『でも、俺にはChampionだった時のMemoryや力は無いですし、今も何かを思い出すような感覚は覚えないのですが』
今までEarthのAmamiya Hirotoの前世より前のMemoryを不意に思い出す事や、Flash Backを起こした事も無い。
OriginでDeath-Attribute Magicに目覚めた以前に、特殊な力やaptitudeを自覚した事も無い。
Goddessから直接それを告げられた今でも、実感は無い。彼女の隣で王座に安置されている亡骸……Zakkartの物だろうSkeletonに視線を向けても、同じだ。
Vidaから言われたのでなければ、とても信じる気になれない話だった。
……あと、自分がBoundary Mountain Range内部に間違った武士やNinjaの知識が蔓延る原因になったHillwillowだったとは、若干信じがたい。
『それは、無理も無いわ。貴方の魂がZakkart達のfragmentから創られたのは十万年以上前の事だし、私達がZakkartにあげた力はreincarnation後にimpactを与えるような性質のものでは無かったから。
ええっと、その辺りの説明はRicklentが上手いのだけど……』
『では、期待に応えよう』
前触れも無く新しい声が聞こえたと思うと、VidaのDivine Realmに三人の人物が現れた。老人と青年と少年、かと思えば何時の間にか三人のfemaleに姿を変える、一柱の神。
『Ricklent! Demon Kingから受けた傷から回復したのね、心配したのよ。本当に久しぶり……今思えば、あの時の予知はあなたが教えてくれたのね。またあなたに会えて嬉しいわ』
『Vida、我が姉にしてImoutoよ、我々からすると-kunの方が心配だ……Aldaも惨い事をする』
太い杭を四肢に打たれ、幾本もの刀剣がthrust刺さったままのVidaの姿をRicklentが痛ましげに見つめる。
それにVidaは『確かに、今は私の方が満身創痍ね』と小さく苦笑いを浮かべた。
『でも、どうしてここに? ここは、確かBarrierが張ってあってMountain Rangeの外からは入れないはずだけれど』
Vidaは大地を隆起させてBoundary Mountain Rangeを創り上げた直後眠りについたので、その後の経緯には疎い。
しかし、不定期に眠りが浅くなるため今ではある程度の状況を把握できるようになっていた。
それによればAldaによる干渉からBoundary Mountain Range内部を守るために、神が外部から直接Adventする事はcertainly、Familiar Spiritを派遣したり、人々に語りかけたりする事が出来ないようBarrierが張られているはずだった。
そしてそのBarrierの中心点が、この『Vida’s Resting Ground』だ。
いくら自分と同じGreat Godだとしても、その中でも最も術に秀でたRicklentであってもBarrierの中に入って来る事は出来ないはずだった。
『これは私のmain bodyでは無い。鏡に映る虚像のような物だ。彼の国で我々を信仰する-samaになった事で、虚像を送りつける程度は可能になったのだ。
我々の意を汲んでくれた事、改めて礼を述べよう』
Ricklentの虚像は、Vandalieuに向き直ると目を閉じ、小さく頭を下げた。それに応じてVandalieuも、ぐにゃりと姿を歪ませて頭を深く下げる。
『いえ、俺の元にLegionを送り届けてくれたようでしたから』
『……あの形は不慮の事故のような物だった。だから、彼女達に詫びていたと伝えてほしい』
RicklentとZuruwarnは、Vandalieuへの援助としてanother worldで彼を信奉するPluto達『The 8th Guidance』をLambdaにreincarnationさせる事を考えついた。
本来ならOriginで生きていた時と同じ別々の人としてreincarnationさせるはずが、Rodcorteの妨害があったため結局あの集合体の姿になってしまっている。
『本人達はあまり気にしていない-sama子でしたけど』
しかし Pluto達本人はあまり深く気にしている-sama子は無かった。彼女達は意外と前向きな性格をしているようだ。……ただ常識とは異なる方向で前向きなため、Originでは「どうせHELLのような未来しかないならやりたい事(復讐)をやって死のう」という常軌を逸した行動に走ったようだが。
『本人達が気にしていなくても、私にとっては遺憾な結果であるのに違いは無い』
『御免なさいね、Ricklentは昔からこういう事を気にするTypeなの』
『曖昧に私の性質を解説するのは止めて、それよりもVandalieuのconditionを診てはどうだ、我がImoutoよ。意識がはっきりしている今の内になら可能なはずだ、我が姉よ』
『はいはい。少し触れるわね』
温かな手が、Vandalieuの魂に触れる。それだけでVidaは彼の魂のconditionを診察出来るらしい。
『その間に、かつてChampionであり現世でもChampionであるVandalieuよ。-kunの疑問に私が答えよう。ZakkartやArkだった頃の力やMemoryが今の汝に無いのは、無理からぬこと……当然の結果なのだ』
Ricklent達Godsは人々にblessingsや力を与えるが、魂はCircle of Reincarnationを繰り返している。そのためGodsが与えた恩恵が来世にまで有効だった場合、大きな問題に成る。
前世で善人だった者が現世でも善人になるとは限らないからだ。悪人が生まれ変わっても悪人になるとは限らないように。
多くの場合Godsは人の人格やこれまでの行いを見て相応しいと判断した者のみに、blessingsなどの恩恵を与える。
しかし生まれ変わると評価基準である人格や行いがリセットされてしまうのだ。前世のMemoryや人格をそのまま受け継ぐReincarnatorのような極々少数の例外以外。
前世では高潔なSageだった人物が、現世では幼少期に経験した悲劇のせいで人格が歪み、下劣な暴-kunと化すなんて事も考えられる。
……そもそも、来世が人でない可能性も十分ある。前世はWar God 's Divine Protectionを受けたWarriorだったが、現世では牛に生まれ変わる事もあるし、そうなったら屠畜の際死人が出る事になる。
それに生まれつき特定の神's Divine Protection等を持っていると、その生き方を縛る事になりかねない。
故にGodsはblessingsを与える時『現世でのみ有効であり、生まれ変わるとNullificationに成る』ようにするのだ。
ZakkartやArk、Bellwood達Championに対しても同じように力を与えた。
『もっとも、blessingsを与えた者が命を終えた場合来世にreincarnationする前に自らの元に招いてFamiliar SpiritやHeroic spirit、より優れた者ならSubordinate Godに昇華させる事が多いが。Bellwoodや、Farmoun、NineroadはAldaによってそれぞれ神と成ったようだ。
この場合は、与えられた力がそのまま有効となる』
『だけど、魂を砕かれたZakkart達はそうならなかったのでNullificationになってしまったという事ですね?』
『その通りだ。Memoryの方もその際消えてしまった』
『まあ、そうなんでしょうね。普通、Memoryは来世に引き継げませんよね』
EarthからのMemoryを引き継いでいる今のVandalieuを含めたReincarnator達のconditionが例外……異常なのである。
『汝の魂は通常の経緯とは違う理由で創られ、形も変わっている。故に、数回程度なら何かが残っていたかもしれない。しかし十万年前から既に何百回、何千回とCircle of Reincarnationを繰り返している。今ではもう何も残っていないだろう』
特に、RodcorteのCircle of Reincarnation systemではHumanだけでは無く動植物に生まれ変わる場合も多い。幾ら何か名残が残っていても、獣や蟲では何もできないまま生を終える事になる。
もしreincarnation先が人だったとしても、十万年前では四大文明が興るずっと前だ。
そうして十万年、数百数千のReincarnationを繰り返してきたのだから名残すら摩耗して消えてしまっても無理は無い。
『理解できたか?』
『はい』
RodcorteのCircle of Reincarnation systemに関しては口にしなかったが、Ricklentの説明はVandalieuにとって十分理解できるものだった。
『全く実感はわきませんが』
Memoryも力も無いので、「Championの生まれ変わりだ」と言われても「そうなんですか」としか思えない。特にemotionsが沸き起こるような事も無く、かつて自分だったらしいZakkartの亡骸をVandalieuは眺めた。
やはりかつての自分自身、魂の約四分の一を構成する人物であると言う実感はわかない。
Vampireの始祖の父、自分にとって父であるSubordinate Vampire Valen 's ancestor先だという認識はあるので、何も感じないわけではないのだが。
そうなると、また疑問が浮かんできた。
『力やMemoryが無いのは分りましたが……では何故あなた方は俺に力を貸してくれたのですか?』
VandalieuにChampionだった時のMemoryも力も無いなら、今触れている手の主であるVidaも、会話しているRicklentにとってもただの他人同然の筈だ。
今はDhampirであるし、Vidaのbelieverで多くのVida's New Racesを助けている。しかし彼女達がVandalieuを助け始めたのは、彼がEarthで生まれるずっと前からの事だ。
成果もあげていないbelieverですら無いanother world人を、何故神が助けるのか。
それを問うと、Ricklentはやれやれと言うように首を横に振り、Vidaは苦笑いを浮かべた。
『かつて自らが選び、招き、希望を託し、悲劇に散った友達のsoul fragmentを受け継ぐ者に手を貸す事に、何の疑問があるだろうか』
『Ricklentに言いたい事を殆ど取られてしまったけど、そう言う事よ。Memoryや力の有無は、関係無いわ』
Champion達に対する、そして自分に対する二柱の神の深い想いにVandalieuの胸は震えた。
『我々、特にVidaはRodcorteやAldaに対して思うところが無いわけでは無い。それが汝に手を貸す一因になっていないとは言えない』
『Ricklent、そこは黙っていても良いところよ。確かにRodcorteはSelf保身しか頭にないし、Aldaは石頭の分からず屋だけど』
……これは、Godsなりの照れ隠しなのだろうか?
『そう言えば、何でこのworldのCircle of ReincarnationをRodcorteが司っているのですか? あいつのnameはこのworldのMythに全く出て来ていないのに』
Circle of Reincarnationを司ると言う事は、このworldに何かしらの生命が誕生すると同時か、その前からRodcorteは存在する事になる。しかし Mythにnameは残っていないし、Circle of Reincarnationを司る事になった経緯も記されていない。
その上、このworldのGodsとの関係も良好ではなさそうだ。
だと言うのに何故?
『遺憾だが、気がついたらそうなっていたからだ』
……理由も何も無かったらしい。
『本当に気がついたらあいつが司る事になっていたのよ。あいつ、私達より前に存在しているから……きっと、DiachmellとArazanがぶつかり合っていた時から目を付けていたんでしょうね』
このLambda worldとVida達Godsの基になった、『Black Great God』Diachmellと『White Great God』Arazanの戦い。Rodcorteはそれに気がつき、新しいworldが誕生する事を予想して目を付けていたのだろう。
『……確かに、EarthのCircle of Reincarnationを司っている事からconjectureすれば、数十万年前どころじゃない太古から存在している事になりますね、あいつは』
VandalieuはRodcorteのCircle of Reincarnation systemが動植物まで対象に含めている事を知らないが、Humanだけに限っても十万年以上前から存在している。
そのHumanをクロマニョン人からか、それともアウストラロピテクスからか、もっと以前の猿からか、どの段階で定義するかにもよるが……Lambda worldが誕生するよりも前である事に変わりは無さそうだ。
『Guduranisが現れる前は、極偶に遠くから口を出してくる以外何の不都合も感じなかったのだけど……まあ、あいつの事は置いて……診察終わったわ。Vandalieu、あなたの魂はとても奇妙だけど正常よ。Demon King Fragmentを幾ら取り込んでも大丈夫!』
『Vida、我が姉よ、十全のconditionでないのは分かっているが、言葉を惜しんではならない』
『惜しむなって言われても……うーん、まあ貴方の魂と同化している【Demon King Fragment】なのだけど、完全にあなたの一部になっているの』
Vandalieuの魂から生えている【Demon King Fragment】を指でつつきながらVidaはそう言う。
『魂と同化しているとは自覚していませんでした』
『それでね、もしこの先あなたが死ぬような事があってもあなたと同化した【Demon King Fragment】はもう本来の【Demon King Fragment】では無いから、runawayする事は無いと思うわ。
Demon King Guduranisのfragmentから、Demon King Vandalieu's Fragmentに変質している、って感じかしら』
Vandalieuの小さな驚きを流してVidaが続けた説明によって、更に驚きが大きくなって行く。
どうやらVandalieuはfragmentを取り込む毎に、sealedされているGuduranisからbody partの一部を奪っていたらしい。
『だからDemon King Fragmentを全て取り込めば、Demon King GuduranisはrevivalするどころかBodyを完全にLostする事になるわ』
『成るほど、では頑張って集めますね』
【Demon King Fragment】を集めれば力が手に入り、物品の作成に使える素材が増え、Demon King revivalの芽も摘む事が出来る。一石三鳥である。
Goddessにまで『Demon King』の呼称を使われた事が、Slightly引っかかるが。……もう開き直ろうか。
『ええ、よろしくね』
同時にそれはVandalieuに力が集まる事になるが、Vida達にとって不都合では無い。
寧ろ望ましい展開だ。
『私達も協力するから。……って言っても、私はこんなだから何もできないと思うけれど。RodcorteのCurseも解けそうにないし。
Ricklentはどうにかできない?』
『不可能だ。本来の力と位を取り戻しても……Circle of Reincarnationの合間にDestinyや祝福、Curseを与えるのはRodcorteの権能だ。私にそれを解く権能は無い。
Vandalieu、汝自身にも不可能だろう。【Demon King Fragment】同-samaに、Curseは汝の魂と同化している』
Ricklentの説明によると、RodcorteのCurseもVandalieuの魂に同化してしまっているらしい。
何とも嫌な情報に顔を顰めるが、神でも解けないのなら仕方ないだろう。
『じゃあ、貴方の創ったJobとskill systemで力を貸してあげられない? 未発見のJobを増やすとか』
『それをしてもらえたら助かりますけど……無理そうですね』
Ricklentの複数の顔が全て顰められているのを見て、Vandalieuはそう言った。
『我がImoutoよ、私はDemon King Guduranisの軍とmonstersとの戦いに際して、Zuruwarnからwisdomを得て人々をEnhanced (1)するJobやskill systemを創り上げた。
同時にsystemの管理を補佐させるためにFamiliar SpiritからJob、skill、Statusの担当者を選び、Subordinate Godへと昇華させた』
Manaで作り上げた人格の無いFamiliar Spiritを神にして、それに管理させているらしい。Earthの文明で例えると人工知能や、サーバーに当たるのかもしれない。
『しかし、Demon Kingにsystemを利用されてしまった。monstersはJobの代わりにRankを手に入れ、skillの恩恵を受ける-samaになり、Rank upを行う事でDemon Kingやその配下のGodsの力を消費する事無く独自に上位の存在に至る事が可能に成ってしまった。
私はその失敗を繰り返さないために、systemを隔離する事にした』
『隔離と言いますと?』
『担当者達に全権を預けた後、Zuruwarnの協力を得て彼等を別のspaceに隔離した。同時に、私を含めたあらゆる存在の意思を受け付けず、何が起ころうと粛々とsystemの運営と維持を行えと命令した』
中々極端な手段を取ったようだ。Vidaも聞いていなかったのか、目を丸くしている。
『何もそこまでしなくても……』
『Guduranisとの戦いで私が正気を失う可能性を無視できなかった。当時すでにDemon King Armyに降るGodsもいたのだ、私がそうならないとは限らない。
それに私が『Giant God』Zerno達のようにGuduranisに敗れた後、奴にsystemを乗っ取られたらChampionを含めた全ての人々がJobやskillの恩恵を失い、monstersのみが恩恵を受け続ける事態に陥る可能性もZeroでは無かった』
Demon King GuduranisはRicklentにそれ程の危機感を覚えさせる存在だったらしい。単純な強さだけでは無く、術者としても規格外の存在だったのだろう。
『その後、Demon Kingとの戦いであなたもZuruwarnも眠りについたのですよね。では、今もsystemは隔離されたままなのですか?』
『そうだ。Zuruwarn共々こうして目覚めてはいるが……我々がallyではない事を知ったら、Aldaがどんな行動をとるか分からない。今の我が兄にして弟は、以前の彼を知る私には正気を保っているのか疑わしく思える。
……その点では、-kunも随分思い切った決断を下したようだが』
Ricklent達が眠っている間に、Alda達と決別して独自にCircle of Reincarnation systemを組んで新raceを産みだしたVidaは、エヘヘとGoddessらしくない笑いで誤魔化そうとする。
Ricklentは三つの姿で深々とため息をつくと、説明を再開した。
『力及ばず倒れ、worldの再建を二柱に任せる事になってしまった我々にも責任はあるのだろう。
それはさておき、systemに関しては事前に拡張性を持たせるなど私が不在のconditionが続いても問題は無いように調整を加えてあった。余程のirregularが起きなければ問題は起きないだろうと。
そして余程のirregularが起きた』
『irregular?』
『最たるものは、HumanのJobとmonstersのRankを両方持つ新raceの誕生』
Vidaが新raceを産みだした時、Ricklentは既に眠りについた後だ。当然だが、事前に相談の類を受けた事は無い。
Vidaが、すっと視線を逸らした。
しかし Ricklentもそれを咎めるつもりはないらしい。
『だが、それだけなら十分対応できる。しかし irregularは一つでは無かった。
私の十万年を越える不在、神ではなくHumanがHumanを治める政治formへの変化、HumanをSlaveとする制度、そしてHuman同士の大規模な殺し合い……今のworldの状況、sleeps前の私にとって全てがirregularだ』
『まあ、それは確かに。数万年や数千年ごとに目が少し覚める度に、私も驚いたもの』
VidaやRicklentを含めたGodsは、Demon Kingがanother worldから侵略戦争を仕掛けて来る前は直接人々を治めていた。そして、Demon Kingとの戦争やその後に起きたAldaとの戦争によって眠りについたのだ。
決して、『これからはHumanの時代だ』とか『人が人をGuiding時が来たのだ』と思って地上を離れた訳では無い。
『そして現在では私が想定していなかった数々のJobやskillが誕生した。KnightやSoldier、Slave……実際には殆ど違いは無いが、国や地方によっては別の名称で表記されるJobやskillも存在する。Knightに相当する身分の者が護民官と呼ばれる国では、【Knight】では無く【護民官】という名称のJobにしか就けないなどだ。
現在systemがどのように運営されているのか、私でもconjectureしか出来ない』
そのためVandalieuの為に未発見のJobや、有用なskillを設定する事は出来ないそうだ。
因みに、口にはしなかったがVandalieuを含めたReincarnatorをRodcorteが送り込んで来る事もirregularな事態である。
そのRodcorteは魂の専門家であるために、systemを完全に理解してはいないが利用してReincarnatorにskillを授け、存在しない車や航空機の運転、銃の扱い等の技術を他のskillに変化させる事が出来る。それはRicklentにとって屈辱的な事だった。
だがそのemotionsを意識の外に追いやってから、Ricklentは続ける。
『結果的にはこれで良かったのだろう。Aldaがsystemを操作できるようになっていたら、汝を含めた我が姉にしてImoutoの子等は全員Jobとskillの恩恵を失っていた可能性もあるのだから。その時は私も彼女と同じように杭を打たれ、対抗する手段も無くなっていただろう』
『それは恐ろしい可能性ですね……ところでVidaのbody partに打たれている杭や剣は、Damageを受けている事を表すimage的な象徴では無く、AldaのCurseか何かなのですか?』
Vidaの四肢に打たれた杭や背に刺さっている剣は、Divine Realmに入った事でimageを視覚化した事によるものだと思っていたVandalieuだが、Ricklentの言い方からconjectureすると違うらしい。
『この杭は『Pile of Law』よ。AldaはLight Attributeと同時にGod of Law、Godsを罰する役割も負っているの。これは間違いを犯した神を罰するためのDivine Authorityなのよ。……不本意だけど。
剣の方は、Bellwoodが使った神を傷つけるためのArtifactよ』
お蔭で力の回復が遅くなっているのと、Vidaは溜息をついた。
Vandalieuは暫く考えた後、『同化しているのでなければ、いけるかもしれない』と彼女に打たれた杭の一本に手を伸ばした。
『失礼します』
そして驚くVidaに構わず手を伸ばすと、杭に歪んだ手で触れた。
『待って、この杭を抜くのはあなたでも無理よ!』
『はい、Nemesis Bellと同じ……仮にSacred attributeと呼んでいますが、それだったら俺では杭やArtifactの効果は消せません。
しかし、杭やArtifact main bodyを『砕く』事は出来るはず。Orichalcum製でも、ここはDivine Realmですし』
物質が意味を持たないDivine Realmなら、杭やArtifactが何で出来ていても【Soul Break】を使えば砕けるはずだ。
実際、Manaをかなり使ったが杭はVandalieuが握るとそれだけで砕けて光の粒子となって消えた。
『嘘っ!? 抜くどころか砕いた!?』
『……なるほど。杭やArtifactは神を対象とする事に特化した力だ。神では無いVandalieuになら、容易く砕く事が出来ると言う事か。流石、Arkであった者』
『いや、容易くないですよ。かなりManaが減りますよ』
『『Great GodのDivine Authorityを人がManaを使うだけで砕くのだから、十分容易い範疇だ(よ)』』
言われてみればそうかもしれない。そう思いつつ、ポキポキと杭やArtifactを砕いて光の粒子にしていくVandalieu。一つ砕くごとに、AldaやBellwoodをCurseながら。
そうして半分程砕いた時、Vandalieuはふと遠くから何かが走って来ているのに気がついた。Giantな四脚獣のように見えるが、シルエットが妙だ。
頭部が四つあるように見える。
『あれは、Zuruwarnか』
『えっ? あれ虚像じゃないわよね。何でBarrierを越えてここに入って来られたのかしら? ここ、Gufadgarnが創ったSClass Dungeonだって外では言われるくらい堅牢な場所なのだけど』
『Barrierごとspaceを超えたのだろう』
『God of Space and Creation』Zuruwarnは猛Speedで走って近づいて来たかと思ったら、マイpaceに杭や剣を折り続けているVandalieuに向かって『受け取れぃっ!』と四つある口の一つで何かを投げつけた。
それは光る玉のような物で、Vandalieuに触れるとそのまま彼の中に音も無く入って行った。
そしてZuruwarnはそのまま転倒して横倒しになると、疲れ切った-sama子で四つ全ての口からtongueを垂らして動かなくなった。
『疲れた……寝る……』
『Zuruwarnっ! 久しぶりに会えたのは嬉しいけれど、本当に寝ないで! ここ私のDivine Realmだから!』
『Zuruwarn、神としてそれは如何なものか』
『あのー、何を賜ったのか聞いても良いですか?』
続けて声をかけられたZuruwarnは、『やれやれ』と言いながら起き上がると、欠伸をしてから佇まいを正した。
『Vandalieu、境界のTransgressorである汝に【Earth’s Hell Gods’ Divine Protection】を与える』
『……冥?』
『うむ、冥。死後のworldに関係する神や、HELLの悪魔、鬼、怪談の類、そう言った存在's Divine Protection。交渉するのにとても疲れたから、嫌な顔をしないで受け取って。頼むから』
不吉な存在's Divine Protectionを受け取ったと聞いて、「要らない」と思ったのが伝わったのか、Zuruwarnがそう続けた。
『だって、頑として汝にblessingsを与えたくないってDivinityも多くて……纏まるまで待っていたら後百年ぐらいかかりそうだったし』
『はぁ……』
何故Earthで死んでから約三十年経つ今になってEarthの神が、自分にblessingsを与えるのか。さっぱり分からない。寧ろ、Earthにも本当に神が存在したのかと若干驚いているぐらいだ。
しかし、それを説明する気はZuruwarnには無いらしい。
まあ、blessingsなら受け取って悪い事は無いだろうとVandalieuも気にしない事にした。
そして最後の剣を砕く。その瞬間、Vidaから流れ続けていたbloodが止まった。
『ありがとう、Vandalieu。我が子よ。今すぐ元通りとはいかないけれど、これからはあなたのお蔭で力を取り戻す事が出来るわ。
でも、今日はもうお別れみたい』
そう言われてVandalieuはふと自分の腕を見ると、何時の間にかくたりと地面に垂れていた。どうやら、魂だけのconditionでManaを使い過ぎたらしい。
徐々に感覚が薄らいでいく。
だが既に、十分な収穫があった。Vidaと謁見し、RicklentとZuruwarnがallyだと言う確証を得た。Godsから話を聞き、何故かEarth’s Hell Gods’ Divine Protectionも賜った。
だが、もう一つ聞いておきたい。
『最後に聞きたいのですが、俺はあなた達Godsから見て道を踏み違えてはいませんか?』
VandalieuはLambdaにreincarnationしてから、多くの人を殺してきた。それを後悔してはいないし、罪悪感も覚えていない。赤子の頃に考えた、「出来るだけ人を殺さない」、「出来るだけ人を助ける」のpolicyに則って生きて来たと自負がある。
policyに従ってMirg Shield Nationの遠征軍を皆殺しにして、Hartner DuchyやSauron Duchyで災いを振りまいたのだ。「出来るだけ人を助ける」ためにその障害を排除する。しかし「出来るだけ人を殺さない」ように殺す数を少なくして。
聖人-kun子になろうなどとは思っていない。仲間や自国民を守るためなら、敵国の軍人が幾ら死のうが知った事では無い。敵の屍々の上で平穏を得る事に抵抗感は無い。それで敵国民に恨まれるのは当然なので仕方ないから、備える。
certainly話し合いで済むならそうするが、その気が毛頭無い連中に優しく諭してやるつもりはない。
それを厭うのなら、さっさとRodcorteに勧められた通りsuicideしている。
だがそれが普通の価値観では無い事は自覚しているので、尋ねてみた。
否と答えられても、自分と仲間達の終わりに直結するので絶対に変わる事は出来ないが。しかし微調整ぐらいは可能だ。そう思って発した問いに、三柱のGreat Godは『今更か』と笑って答えた。
『生者と死者、善悪の境界を侵犯する汝に祝福を。構わんから、やっちまえ』
ZuruwarnはCreationの神であると同時に、その際発生する破壊の神でもある。Aldaの定めた秩序とRodcorteが定めたCircle of Reincarnationの破壊の先にある新たなCreationは、彼の歓迎するところだ。
彼自身が境界のTransgressor、トRickスターである以上その思考は善悪の外にある。
『是非もnone。もとより、私は善悪を論じるDivinityに在らず。現在が神治ではなく人治の時代だと言うのなら、善悪は人同士で決めるべきだろう』
Ricklentはtime attributeと術の神だ。人は何時か死ぬもの。故に、命に関してこの神は基本的にドライな考え方をする。
『それに、汝が使う新しい術は興味深い。制御もされている。なら不死者を創る事に何の不都合も無いだろう』
同時に術の神であるため、新しい術や開発や知識の研鑽を評価する。Vandalieuが創り、もしくはTamerするUndeadは制御されているので、咎める理由がRicklentには存在しないのだ。
『我が子Vandalieu……私のselfishnessを聞いてくれたあなたに、感謝する事は在っても咎める事は無いわ。好きにしなさい。少なくとも、あなたの道は私から見て間違っていないわ』
そして『Goddess of Life and Love』Vidaから見て、Vandalieuは好ましい存在であった。
彼女は愛を司る。故に現在のbeliever達の間では勘違いもされるが……彼女がphilanthropyのMentalを説いた事は一度も無かった。争いを厭う事も、傷つけあう事が悪い事だとも唱えない。隣人を無理に愛する事は無いと教えた事はあるが。
生命とは競争であり、生きるために他の生命を食べる事は当然で、日常的に行われている。
また愛する対象を守るための戦いは、決して悪では無い。
そもそも、もし彼女がphilanthropyや正しい生命を尊ぶならAlda達から離れて新raceを産みだし、Zakkartの亡骸をUndead Transformationさせて交わったりはしない。
『最後にこれを持って行きなさい。あなたの母、我が子Darciaのrevivalにきっと役立つから』
Vidaは流れ出た自らのbloodを手で集めると、それを球体の形に固めてVandalieuに手渡した。
『あと、この寝所を良く見て回るのよ。ここは私の寝所と呼ばれているけど、創ったGufadgarnにとってはZakkartの霊廟だから! 彼はFirst使徒をself-proclaimedするぐらいZakkartの事が大好きだったから、きっと『Trial of Zakkart』を攻略するためのヒントも――』
『Vida、彼はもうbody partに帰ったようだけど』
『何度か礼を言おうとしていたが、その度に-kunが話しだすからtimingが掴めなかったようだな』
『あっ! まだ言いたい事があったのに~っ!』