Kijin nationにEmperorとして認められたVandalieuとその一行は、歓待を受けた。originally Vandalieuに疑問を抱いていたのはOniwakaと、ガンカク以外の『六角戦鬼衆』達で、他のKijin達は最初から肯定的だったらしい。
『Goddess of Life and Love』Vidaと『War-God of Fire and Destruction』Zantarkの間に産まれたKijin raceの始祖は、Majin Raceの始祖と双子の関係にある。
そして、後に産まれたVampireとGhoulの始祖の兄か姉に当たる。そのため、Kijin raceはMajin Raceを兄貴又は姉貴分として敬い、VampireやGhoulを弟Imouto分として親しむ傾向がある。Majin King GodwinがKijin nationで尊敬を集めている理由の一つもそれだ。
そしてHalf-Vampireであり、Ghouls鬼(Ghoul)の王であるVandalieuも、Kijin raceからすればbrothers分なのだった。
初日はあのまま歓迎の宴。その後酔いつぶれたTenma王を余所に、彼の妃であるYuraと側室達と実務的な相談を行った。
どうやら脳筋や戦闘狂が多いKijin nationでは、女衆がcivil official的な役割を熟す事が多いらしい。
「あの人とOniwakaには、本当にEmperor陛下の爪の垢を飲ませてやりたいぐらいです。特にOniwakaはまだ幼名が取れなくて……成人は何時になる事か」
そう悩ましげにため息をつくYura。何でもKijin nationでは、成人と認められない間はreal nameでは無く幼名で呼ばれるらしい。Oniwakaもその幼名で、real nameは別にあるのだとか。
そして成人と認められるには一人で、Kijin nationの周囲に在るBClass Dungeonでmonstersを一体討伐する事だという。
BClassのDungeonに出現するmonstersは、表層階でも弱くてRank6。素のconditionではRank4のKijin達でも、かなりの難易度である。
『それは……Kijin -san達でも成人できない人が出るのでは?』
幾ら戦闘に向いたraceであっても、中にはweak者もいる。race全員が強くある事は出来ない。Princess Leviaがそう聞くと、「まあ、偶に」と側室の一人が答えた。
「その場合は、大体他の国に移住する事になるわ。weakままこの国に居て、もしmonstersの大runawayが起こったら生き残れるか分からないから」
「それに、他の国なら……Noble Orc kingdomやRyuujin nation、Majin nation以外なら、十分戦力になれるし、Ghoul nationならbrothers分として歓迎されるのよ」
万が一の事態が起きた時、自分の身が守れなくては周囲の者も危険に晒す。故に国を出るのだという。
『中々厳しいね~。でも仕方ないのかな? ここ、Dungeon以外で出るmonstersも強いそうだし』
『それは分かったが……つまり、奥方衆も?』
そう言いながらnod Orbiaの横で、思わずYura達を凝視するKimberly。彼女達の言葉が正しければ、女衆でもRank6以上のmonstersを一人で狩る事が可能な力を持っているという事なので、その反応も無理は無い。
そしてKijin nationの総人口は約一万人。一応妊婦や幼子などの非戦闘員もいるが、それ以外は全員戦力になりうる。
『この国と戦争したら、Amid Empire滅びるんじゃぁ……まあ、Noble Orc kingdomやMajin nationでも似たような事を言った気がしますけど』
「いえ、そうでもないでしょう。戦争の勝敗には単純な強さ以外に-sama々な要素が関係すると、先のBugitas軍との戦いで分かりましたし」
Bellmondが言うように、実際に戦えばAmid EmpireがKijin nationに負ける事は無いだろう。Kijin nationはDungeonを管理する役目があるので戦力を全て投入する事が出来ない。それに、彼等もBugitas同-samaに戦争に必要な知識と技術……兵站の維持や伝令に関して隙が多い。
実際に戦争になったとしたら……Kijin nationが数千人を派遣してEmpireの属国を最初は蹂躙する。しかし兵站や情報伝達に隙が生じ、Empire軍や『Fifteen Evil-Breaking Swords』、AClass adventurerの反撃を受けて撤退を余儀なくされる。
だがEmpireもBoundary Mountain Rangeを越えてKijin nationに反撃する事は現実的では無いので、仕方なく戦争が終わる。
勝者も敗者も無い結果になる可能性が高いだろう。
……そもそも、Kijin nationもWarriorをAmid Empireに送るには天を突く-samaに高いBoundary Mountain Rangeを越えなくてはならないので、意味の無い仮定だが。
「Aldaを主神とするEmpire相手にそう言っていただけるのは、光栄ですね。OniwakaにもそのEmpireとの戦いで活躍できるWarriorに育ってほしいのですが……」
『いいえ、Oniwaka -sanも中々ですよ。Bocchanのtongueの一撃を受けて意識を保っていたんですから!』
『そうですよ、Bocchanはその気になればtongueだけでDragonも倒せるんですから!』
そう力説するRitaとSalireに、Samが『こらこら』と声をかける。
『Dragonを倒すには【Demon King's Proboscis】をActivateさせたconditionでないと無理だと、Bocchanが言っていたでしょう。話を盛り過ぎですぞ、二人とも。
ねぇ、Bocchan?』
Samがそう話しを振ると、VandalieuはTareaの膝枕とBellmondのtail布団でぐっすりと……ぐったりと横になっていた。時々ピクピクと痙攣している。
「Van -samaなら、まだあそこですわ」
Tareaが指差す先では、半透明なVandalieuの集団がKijin nationのcivil official担当者と忙しく書類のやり取りをしていた。
『この言葉の言い回しの意味は、合っていますか?』
「はい、問題ありません。ところでこの表現の意味は?」
『次の会談は『Trial of Zakkart』への挑戦が終わってからで構いませんか?』
「攻略して頂くDungeonですが、日程的にこの『Ogreの巣』が適当かと」
『Tareaのhome stay先はどうなったでしょうか?』
Vandalieuは会談では意見を交わす事無く、主に内容をrecordして書類を作成し、civil officialとして相手国のcivil officialと打ち合わせをする仕事に集中していた。
意見を言う暇が無かったというべきかもしれない。
何故こんな事をしているのかというと、Vandalieu達とKijin nationでは言葉の使い方がSlightly異なるからだ。
このworldではDemon Kingが滅びた後に広まったChampion達の言語、Japan語が広まっている。それはこのBoundary Mountain Range内でも同じなのだが、流石に十万年以上引き籠っていると外とは言葉の使い方に差異が生じてくる。
差異といっても方言のような物で、日常会話程度ならそれほど不自由は無い。しかしAという言葉をTalosheimではBという意味だと思っていたら、Kijin nationではCという意味だと認識していたなんて事があったら困る。
だからしっかり確認を取って来てくれと、VandalieuはKurtに何度も頼まれたのだった。
『ふぅ、終わりました。お疲れ-samaです』
「いえ、ご苦労-samaです」
「すみません、ちょっと眩暈が……」
お互い一礼するVandalieuとKijin達。civil official担当とは言えこの国のKijinである以上、同時にWarriorでもある彼女達だが、その顔色は悪かった。
宴席での奔放な会談の内容を纏めるのに疲れたのではなく、目の前でアメーバーの-samaに分裂する同じ顔を見続けたせいだろう。素面のまま向き合い続けるには、若干の慣れが必要とされる光景である。
『では宴もたけなわという事で……あれ? 何故俺のbody partがTareaとBellmondの所に? 確かBorkusに頼んだはずなのに』
TareaとBellmondの膝枕とtail布団で横になる自分のBodyに、遅ればせながら気がついたVandalieuが首を傾げる。
「それが、途中でBorkusが酔い潰れて……Undeadですのに」
そうTareaが指差す先では、ガンカクやキドウマルと同じtableに突っ伏して眠っているBorkusの姿があった。
『……イビキをかいていますね』
「思い込みと気分で酔ったのでしょう。これだけ飲んだのだから、酔うはずだと」
『ああ、空気に酔うって奴ですね』
Undeadは基本的にalcoholでは酔わないのだが、酔い潰れるまで飲んだ経験があると思い込みだけで酔う事がある。
『Borkusは生前から頻繁に酔い潰れていましたからね……』
当時を思い出しているのか、しみじみとした-sama子で呟くPrincess Levia。
『私達も生きていた時に飲んでいれば、酔いって感覚が分かったかもしれませんね』
『姉-san、私達はお酒には酔えなくてもbloodに酔う事が出来ますよ!』
「……うちの人達も大概だけど、この子達も物騒な事を」
『Vandalieu、大人になっても酔い潰れるまで飲んじゃダメよ』
「はい、kaa-san。ところで心地良いのでこのまま眠って良いですか?」
「旦那-sama、body partに戻ったのなら一旦起きてください」
《【Enhanced Body Part (Hair, Claws, Tongue, Fangs)】、【Unarmed Fighting Technique】、【Parallel Thought Processing】、【Materialization】、【Coordination】、【High-speed Thought Processing】skillのlevelが上がりました!》
この『Lambda』では大都市に入るMirg Shield Nationの王都を、night空高く浮遊するそれは見下ろしていた。
rusticだが堅牢な城壁で周囲を囲い、物見の塔やバリスタ等の防衛施設も揃っている。見るからに籠城戦に強そうだ。恐らく、都市の中に地下水を汲み上げ蓄える仕組みも備えているのだろう。
『非常事態には城壁と都市の建造物の幾つかがmagic陣代わりになって、空にBarrierを張る仕組みか。これは正面から攻め込むのは少し難しそうだ』
『そうかい? Enmaが買い被っているだけだと思うけどね。あたし達が体当たりをかませばあんな城壁、砂糖細工みたいなもんだよ』
『砂糖細工、美味しいよね』
midairに浮かぶ肉人形を捏ねまわして球状に纏めたような生命体、Legion。彼又は彼女達は物騒な雑談をしながら、目的の建物を探していた。
『Baba Yaga、Jack、あなた達も手伝って。屋根の形だけで目標を探すのは大変なのよ?』
『Enmaは良いの?』
『僕は角度的にslumsしか見えないからね。目的地はUpper Class Noble Distructだろう?』
『没落してなければな!』
『Valkyrie、声を抑えろ』
『うーん、あれじゃないかしら? 近くで家紋を確認しないと確かな事は言えないけど』
何故Legionだけが敵国であるMirg Shield Nationの王都上空に居るのか。それは、Vandalieuからお使いを頼まれたからだ。
another world『Origin』でVandalieuの前世であるUndeadを崇拝する集団、『The 8th Guidance』だった彼女達にとって、彼から離れる事は本意では無い。しかし、彼から直接頼まれた事に否と言えるはずもなかった。
ただ、お使いをするご褒美に『Trial of Zakkart』に挑戦する際は必ず一緒に連れて行くと確約を貰ったが。
『私達は装備出来ないからねぇ。それぐらいのご褒美が無いと……』
『こうしている間にも、PrivelやGizania達は経験を積んでいるからね』
『そのご褒美をもらうために王都に入るわよ。今は非常時じゃないから、Barrierも張られていないでしょう』
『じゃあ、body partのcontrolを任せるよ、Ghost』
【Size Alteration】skillを使用して、限界までbody partを縮めるLegion。そして、大人なら一抱えに出来る程度の大きさになると、音も無く地面に降下する。
『任せろ』
body partのcontrolを任されたLegionの人格の一つ、Ghostは人気の無い裏路地に降りると、滑るように目的地に向かって進み始めた。
letterを届けるために。
Mirg Shield NationのLegston Earl 家の家長、アルサード・Legstonの元に生を受けた長男Sallua Legstonは、極普通の赤子だった。
産まれた時はやや早産で両親と周囲の大人を心配させたが、その後は順調に成長し、今年の春一ageの誕生日を迎える。
誕生の際後光を放ったわけでも、偶然出産に立ち会ったClergymanが「この子は将来偉大な人物になるだろう」と予言する事も無く、特に成長が速い訳でも無く、特別聡い訳でも無い。
ただ将来は軍務系のNobleに相応しい武威を身につけるかもしれないし、従軍civil officialや、堅実なCommanderとして活躍するかもしれない。
そんな可能性を秘めているSalluaは、あるnight何かを目撃した。それは万が一にしか起こらない偶然か、彼のDestinyか。
『……』
特に理由も無くnight目覚めたSalluaは、roomに両親や見慣れた乳母達では決してない者が、彼が寝かされているroomに侵入してきたのに気付いた。
音も無く木戸を僅かに開け、そこから容器から絞り出された液体sauceのように、肉色の何かが入り込んでくる。
『明りがついている?』
『赤ん坊のroomだ。薄暗くしてあるのは、night泣きした時の為だろう』
『喋らないで、起きたらどうするの』
小さな話し声が幾つか聞こえた。侵入を果たした何かは、Salluaと同じくらいの大きさの球状に纏まると、彼に見られている事に気がつかないまま、音も無くドアから出て行った。
ただ、次の日になっても表面上何事も起きなかった。彼の両親や祖父母が奇妙な死を迎える事も無かったし、Servant達も昨日までと同じように過ごしていた。
Sallua以外の家の者は誰もあの奇妙な侵入者を目撃しなかったらしい。そして一ageを迎えていない彼が昨日より多少泣き喚いても、乳母達が彼の熱を測り、体調を診るだけだ。
Salluaがあの侵入者の目的と、誰の手の者だったのかを知ったのはその日の夕方だった。
昼寝から目覚めた彼は、乳母の代わりに現当主の父アルサードと先代当主である祖父セシルの二人がroomにいる事に気がついた。
「しかし親父、あのletterを信用するのか?」
「信用する以外に在るまい。ChezareとKurtしか知らない事が幾つも書かれていたのだぞ」
どうやら二人はSalluaの顔を見に来た-samaに見せかけて、このroomで密談をしているらしい。何故そうなったのか経緯は不明だが、まだ言葉を殆ど喋る事が出来ない赤子のroomが、この時のアルサードとセシルにとって最も都合が良かったのだろう。
二人はSalluaが目を覚ました事に気がつかないまま、話を続けた。
「それはそうだが……二人がTortureにかけられて無理矢理吐かされたのかもしれない」
「いや、それは無いだろう。letterの前半はChezareの、後半はKurtの字だ。間違いない」
「それは俺だって分かる。しかし、それだとPalpapek Earlは恐ろしいfake-believerという事に――」
まだ眠気にぼんやりとしたSalluaは、彼の理解が及ばない話を続ける二人を無視して再び眠りに落ちようとしていた。
どんなに重要な話題だとしても、理解できない以上子守唄と大差ない。
「DhampirのVandalieu……我がLegston 家とこの子の命運は、奴次第という事か」
その父の言葉に含まれたnameを聞いた瞬間、Salluaの意識とMemoryはAwakeningした。
(Vandalieuっ!? そうだ、僕は俺だった。僕は……Samejima Yuri、【Perseus】のSamejima Yuriだ!)
『Earth』と『Origin』での二つの人生と死、そしてRodcorteから打診されたAmamiya Hiroto……Vandalieuの抹殺。そのMemoryと、以前の人格を彼は取り戻した。
『Bravers』の一員でありながら数々の犯罪に手を染めた【Gungnir】のKaidou Kanata。彼が【Metamorph】のShihouin Mariに母の仇として殺された事で起きた騒動。それによって死んだ三人のReincarnatorの内一人。
それがSallua Legstonの前世だった。
それまで普通の赤子でしかなかったSalluaの意識やfive sensesは、前世以前のMemoryと人格が戻った事で急速に変化しつつあった。
それまで意味が分からない言葉として聞き流していた父と祖父の話も、大体理解する事が出来るようになった。
その話とRodcorteから与えられていた情報……【Gungnir】のKaidou KanataがHartner DuchyでVandalieuに滅ぼされた前後までに分かっていた事も繋ぎ合わせて、自分の状況を整理する。
(僕の三度目の人生……終わったかも……?)
結果、Salluaは自分の人生が危機的状況に置かれている事に気がついた。
Samejima Yuri……Salluaは、Rodcorteから報酬を提示されてもVandalieuと関わる事を拒絶した三人のReincarnatorの内一人だ。だから、Memoryと人格を取り戻してもVandalieuと関わるつもりは無かった。
自分はDhampirをmonsters、それを産んだ母親をWitchとして激しく迫害する国のNoble、しかも Vandalieuが治めるTalosheimに派遣された遠征軍の副Commanderの実家の長男。
そしてSalluaの叔父にあたるChezareはUndead Transformationした後、Kurtは生きたままVandalieuにLoyaltyを誓い、有力な家臣となっている。
そして昨night、叔父達からのletterが届けられた。そこには現MarshallのThomas PalpapekがEvil God (M)を奉じるVampireと通じているという糾弾と、Mirg Shield NationからTalosheimに寝返らないかという誘いが記されていた。
恐らくあの奇怪な侵入者が届けたのだろう。どうやらVandalieuの手は、Salluaが知っている情報にあるよりも長く伸びているらしい。
この時点で、Vandalieuと関わる事が避けられそうにない事が分かった。
父達が誘いに乗る場合は、Talosheimの関係者の息子で、有力家臣の甥。Vandalieu本人と会う事になるだろう。そして、何時かReincarnatorだと気がつかれる事になるだろう。
年相応のchildらしい態度を自然にとりながら、magicの素質を隠し、Cheat Abilityを使わず、そして自分をReincarnatorだと知っている他のReincarnatorに口止めをする……。
(無理だ。一日や二日ならin any case、ずっと失敗できない演技をしながら生きるなんて不可能だ。他のReincarnatorの口止めだって、出来る保証はない。いや、Braversの仲間でもnameも顔も変わっているだろうから、そう気がつかれる事は無いのか?
ダメだ! Rodcorteが『Sallua Legstonは【Perseus】のSamejima Yuriだ』ってみんなに教えたら、顔が変わっていても意味が無いじゃないか!)
何せAmid Empireの属国の、今は落ち目だが有力Nobleの跡取り長男だ。この情報伝達が未発達なworldでも、Full nameを知られただけで居場所を探し出されかねない。
(いや、待て。まだあの二人の-sama子からすると、誘いに乗る方に傾いてはいるがまだ決めた訳じゃなさそうだ。もしかしたら拒絶する可能性も――って、それ一番ダメじゃないか!?)
寝返りの誘いを断るという事はTalosheimにとって敵国の、それも軍に関わりが深いNobleのままでいると言う事だ。
その場合でも、Salluaが直接戦場でVandalieuと相対する事は無いだろう。成人して戦場で軍をCommandingするまで二十年から三十年の時間が必要だろうから。それまでに……この国は滅亡する可能性がある。
一度軍を派遣しているし、何と言ってもDhampirを含めたVida's New Racesを迫害する風潮は今でも変わっていないのだから。
そして確かこの国、Mirg Shield Nationの役目は宗主国の盾……防衛のはず。Vandalieuが治めるTalosheimとの和解なんて、まず無いだろう。
(まあ、実際には強力な秘密兵器が幾つもあって、TalosheimにEmpireが勝てる可能性があるのかもしれないけど……どちらにしても戦場になるのは地理的にこの国だよな)
その場合、結果がどうあれ自分とこの家のfamilyはどうなるか分からない。
Disease原菌をばら撒かれたら、巻き添えで死ぬ可能性も十分あり得る。
(こうなったらこの家を出奔……出来る訳無いよなー。一age未満の赤-chanが)
Salluaは前世から経験やCheat Abilityを引き継いでいるが、Dhampirに生まれついたVandalieuと違いbody partは普通のHumanのものだ。
同じ赤ん坊でも当時のVandalieuとは、body part AbilityとManaに雲泥の差がある。
一人Legston 家を出奔する等、まず不可能だ。出るだけなら何とかなるだろうが、緩慢な自殺と同じ結果になるだろう。
(出奔するにしても、社会的に生きて行けるageになるのは十五ageぐらいか? それまで時間的な猶予は無いよな。それに、その後何処に行くのかも問題だし……)
家を出てもMirg Shield Nation内に居たら、あまり意味は無い。やはり巻き添えになって、あっさり殺される可能性がある。
そうなるとBoundary Mountain Rangeから遠い他のEmpireの属国か、東のOrbaum Elective Kingdomに亡命するか、いっそContinentの外に出るかだが……どれも家を出奔して身分を隠した少年が辿り着くのは簡単では無い。
(いや、考えてみたらどっち道Rodcorteが皆に僕が俺の事を、正体を教えたら台noneじゃないか!? どうするかな……自殺するのは……無理だから、他に何か無いか?)
『Origin』で死んで『Lambda』にreincarnationする前、彼は自暴自棄になっていた。生きるのに疲れ、三度目の人生を再び生きなければならない事に、煩わしさを覚えていた。
しかし、こうして生まれ変わって生きていると自殺は出来ないと感じた。恐らくBodyがある事で、魂だけの時には無かった生存を望むInstinctが訴えるせいだろう。
(つまり、俺でもある僕が生き残るためにはfamilyが祖国からTalosheim側に寝返って、俺がVandalieuと和解しなくちゃならないのか。僕個人としては、そもそもあいつと争った覚えはないんだけど、あいつの主観としてはそうだろうし。そう言えば、他のReincarnatorは今頃何をやっているんだろうな)
自分と同時期に死んだ【Skanda】と【Urðr】は何処にreincarnationしたのか。自分達の後、死んだReincarnator達がいるのかいないのか。
(気になるけど、そう言えばあのKami-samaから追加情報を受け取る段取り、全然してなかったな。『Origin』の時みたいに、自然と再会するのか? ……うっ、気が遠くなってきた……)
そこまで考えて、Salluaは意識を失った。そして自分のStatusを確認する前に、wisdom熱を出して数日の間寝込む事になり、目覚めた時には前世のMemoryを再び忘れていた。
一age未満のbody partと脳が、突然のMemoryや人格のAwakeningに耐えきれなかったのだ。彼が次に前世のMemoryと人格を取り戻したのは、数か月後の事だった。
『Origin』で生前Bodyの主導権を奪われ、死後Undead Transformationした事で、魂とSpirit Formだけで思考する感覚が無自覚に身についていたVandalieuと違って。
宴席の翌日、Vandalieu達はKijin nationに程近い場所に在るDClass Dungeon、『Ogreの巣』を攻略する事になった。
次の会談や訪問、そして緊急時にVandalieuが、【Labyrinth Creation】skillのDungeon間TeleportationでKijin nationに駆けつけられるようにするためだ。
roomが一つだけしかない極小のDungeonを、【Labyrinth Creation】で新しく創った方が手間はかからない。しかし周りにDungeonが幾つもある環境で更にDungeonを増やすのは、Kijin nationの感覚としては遠慮したいそうだ。
「Goddessが我々の父祖を守るために隆起させたこのBoundary Mountain Rangeは、十万年前はManaの塊のようなconditionだったそうだ。certainly『Goddess of Life and Love』VidaのManaは幾らあっても土地をDevil Nestsにはしない。
だがGoddessを慕うGodsは違う」
originally monstersを創り出した存在である邪悪なGodsや、彼等に従うNoble Orc等のmonstersは、意思に関わらず存在するだけで徐々に周囲のManaを汚染してしまう。
そこで『Evil God of Labyrinths』Gufadgarnがその力で、あえてDungeonを一定の地に集めて創りだした。
『Evil God of Degenerate Corpulence』Mububujengeや『Evil God of the dark Forest』ZozoganteもDungeonを創る事が出来るが、Gufadgarn程上手く多種多-samaなDungeonを創る事が出来る神は居なかったからだ。
Boundary Mountain Range内の何処だかわからない場所に自然発生されるよりは、管理しやすい場所に創った方が良いと考えたのだろう。
「そして特に危険な三カ所……東側のMountain RangeのDungeonをRyuujin族が、Mountain Rangeの間の平地のAClass DungeonをMajin Raceが、そして俺達Kijin nationがこの西側のMountain Rangeの管理を任されたのだ。
どうだ、凄いだろう!」
自国がDungeonに囲まれている理由を得意気に説明するOniwakaに、Vandalieuは「凄いです」と同意した。
「Dungeonは出現するTreasure Chestを含めて産物の宝庫ですが、それを手に入れるには相応の危険もあります。その管理を一部のWarrior階Classだけに押し付けず、国全体で十万年以上も続ける姿勢は立派だと思います」
Adventurer’s Guildに所属しているadventurerと違って、Kijin達はmonstersを討伐するだけでは報酬を手に出来ない。Oniwaka達は生活の為にも、Dungeonからmonstersから剥いだ素材を持ち帰らなくてはならないのだ。
いくら実力があっても、背負って持ち帰った素材の分しか生活の糧にならないのだから大変だろう。それなのに十万年もそのきつい生活を続けて来たのだ。他の国からの援助もあっただろうが、評価されるべき在り方だ。
「Hartner Duke 家の連中に見習わせたい」
【Demon King Fragment】のsealedを杜撰に扱っていたHartner Duke 家は、Kijin達の爪の垢を煎じて飲むべきだろう。
『陛下、彼等が管理をしっかりしていたら、私はここに居られませんよ』
「それもそうでしたね。では彼等の怠慢に感謝しましょう」
「昨日Borkusから聞いたが、外も大変なようだな。主に外のHumanの自業自得らしいが」
『元外のHumanとしては耳が痛てぇ』
『そう言えば、外のHumanでしたね、私達』
『Ogreの巣』を探索しているVandalieuとGhost達、transportation役のSam、案内と解説役のOniwakaを加えた面々は和やかな-sama子で会話しながら、Dungeon内の砂漠を進んでいた。
SamのcarriageにはQuinnも乗っているのだが、彼女は自分が産んだGehenna Beeの卵の世話で忙しい。
因みに、DarciaはYura達と昨日に続いて会談。BorkusやBellmond達はその護衛である。TareaはKijin nationのArms Artisan達と技術交流の為、今日から暫く別行動だ。
『しかし聞いてはいましたが、出て来るのがOgreばかりですね』
このDungeonはnameの通り、亜人系の中でも特にOgre系のmonstersが出現する。通常のOgreはRank4だが、Rank3の劣等種Lesser Ogreから、同じRank4だが砂漠や寒冷地に適応したdessert OgreやフロストOgre等のVariantまで、-sama々なOgreが出現する。
因みにDungeonボスは大体Ogre SoldierやOgre Grappler等、Rank upしたOgreである事が多いらしい。
OgreをTamerしたいOgre Tamerには、垂涎のDungeonである。……それ以外の者にとっては、難易度の割に手に入る素材が偏るので、微妙らしい。
「でも出現するmonstersの種類が偏るなら、攻略は楽ですね」
「ああ。このDungeonが選ばれたのは、十階までしかない事もあるが、それが主な理由だ。俺はin any case、『六角戦鬼衆』に勝ったお前なら、短時間で攻略できるだろうからな」
最初の態度とは変わって、打ち解けた-sama子でVandalieuと言葉を交わすOniwaka。【Labyrinth Creation】skillの効果で一歩踏み入れただけでその階層の構造を理解できる彼に、本来なら案内役は必要無い。
だが母であるYuraから「親睦を深めるために同行しなさい」と耳打ちされて、同行する事になったのだ。
別に言われなくても、Vandalieuを心の友と慕うOniwakaはついて行くつもりではあったのだが。
「ところで聞きたいのだが、俺達が挑戦した時にNo-Attribute Magicの【Flight】は使って、【Physical Ability Enhancement】は使わなかったのは何故だ? Manaが多いのは分かるが、同時に手加減が上手いお前なら程良く力をEnhanced (1)して、もっと早く俺達を倒せただろうに」
その親睦を深めるための何気ない雑談に、『そう言えば』と他の面々も呟いた。特に今居るmemberの中で最もVandalieuと付き合いが長いSamでも、彼が【Physical Ability Enhancement】を使ったところを見た事が無かったからだ。
「ど、どうした? 何か訳でもあるのか?」
周りの空気が変わった事に気がついてOniwakaが狼狽える。
「いえ、そんな深い意味は無いのですよ」
しかし Vandalieuはそれまでと同じ-sama子で気軽に答えた。
「【Physical Ability Enhancement】を今まで使わなかったのは、単にManaの制御をmissすると死ぬからです」
「死ぬのかっ!?」
『ええーっ!? -kunが死ぬの!? 首を刎ねられても死ななかったのに!』
『そんな、heartを止められても死ななかったBocchanが!?』
Vandalieuの答えにOniwakaも驚いたが、それ以上に彼の不死身さを知っているOrbiaやSam達も驚いていた。
「そりゃあ死にますよ。Manaを一万【Physical Ability Enhancement】に使っただけでも、muscleとbone格をEnhanced (1)するbalanceをmissしたらbone折や内臓破裂を起こしますからね」
このworldで、Human社会ではMana量が一万もあればMageとしては一流と呼ばれる。
その一万のManaを、既に【No-Attribute Magic】のskill levelが9にまで到達しているVandalieuが、【Physical Ability Enhancement】だけに使用したらどれ程BodyがEnhanced (1)されるのか。
Bodyの限界を超え、一歩間違うと自滅しかねない。何せ、一流のMageが全Manaを振り絞ってBodyをEnhanced (1)するのと同じなのだ。
「俺、Mana以外はそれ程優れている訳じゃありませんからね。力でもAgilityさでもEnduranceでも、『六角戦鬼衆』の人達の方が上だったでしょう? 尤も、失敗しても今なら四肢が爆砕するぐらいで済むとは思いますが」
【Demon King's exoskeleton】や【Demon King's Blood】で補助すれば、より耐えられるだろう。
しかし、そうしたriskを背負いながらMental力を振り絞って【Physical Ability Enhancement】のmagicを制御しながら戦うよりも、使わない方が上手く戦える。
それがVandalieuの認識であった。
『じゃあ、Spirit Formの方で【Physical Ability Enhancement】を使えば良いんじゃないですかい?』
「Kimberly、【Physical Ability Enhancement】はBodyをEnhanced (1)するmagicなので、Spirit Formは【Materialization】してもEnhanced (1)出来ない」
「なるほど……何事も多ければ良いという訳ではないのか。muscleも付きすぎれば動きを阻害するのと同じで」
「そう、Manaもmuscleと同じなのです」
Mageが耳にしたら猛然と反論しただろう会話を続けながら、Vandalieu達は『Ogreの巣』を攻略したのだった。
因みにDungeonボスは、whole bodyのmuscleが発達し頭部に角を生やした猿のmonsters、Ogre gorillaだった。偶にはこんな事もあるらしい。
・Name: Sallua Legston
・Race: Human
・Age: 約一age四か月
・Title: none
・Job: none
・Level: 0
・Job History: none
・Ability Values
Vitality: 4
Mana: 10
力:1
Agility:1
Endurance:1
Intelligence:1
・Passive skills
Death Attribute Resistance:5Lv
Augmented Mana:6Lv
・Active skills
Space-Attribute Magic:8Lv
Mana Control:10Lv
Archery:5Lv
Dagger Technique:5Lv
Throwing Technique:3Lv
Unarmed Fighting Technique:6Lv
Coordination:5Lv
Survival:6Lv
Silent Steps:6Lv
-Surpass Limits-:3Lv
・Unique skill
Perseus:8Lv
God of Reincarnation’s fortune