キドウマルを含めた『六角戦鬼衆』との戦いは激しいものだった。彼等はHuman社会がKijin raceに持つ、「magicが苦手で頭の中身までmuscleが詰まっている、Majin Raceの下位race」という認識が間違いだと、十分に教えてくれた。
二の角キドウマルは、『大金棒』secondary nameの由来だろう大金棒とfurの服と見た目こそHuman社会が持つimage通りだった。しかし彼は卓越した【Club Technique】の使い手で、ただの力自慢では無かった。
三の角、キドウマルとは逆にでっぷりと太った黒い肌の肥満体にまわしを締めた、『千手』のガスケ。彼は平手とtackleを主体にした、優れた【Unarmed Fighting Technique】の使い手だった。
四の角、細身の青い肌の女Kijin、『星shadow』のシャガラは【Light-Attribute Magic】で身を隠しながら襲い掛かって来る、恐ろしい【Kunoichi】だった。
五の角、『愚連隊長』ザンジョウはTamerし鍛え上げたOgre五匹を自らの手足の如くCommandingして戦う、名Commander。そして六の角、『不倒』のドワンは武者鎧を思わせるwhole body甲冑に身を包んだ恐ろしい盾職だった。
「敵わぬまでも、せめて一太刀!」
気迫の籠ったHalberdの一撃が、Vandalieuに迫る。しかし彼はそのHalberdの使い手の顔に向かって、tongueをSingle Flash!
「ぐぶっ!?」
tongueの平打ちを受けた使い手はbody partのbalanceを崩して転倒し、結局HalberdがVandalieuに届く事は無かった。
「ば、BAKANA……本当にtongueで攻撃するなんて……」
驚愕と衝撃は大きかったようだが、Damage自体は小さかったらしい。すぐに起き上がろうとするが、body partが思うように動かない事に気がついて愕然とする。
「tongueの麻痺毒が効いたか、脳が揺れたせいでしょう。少し経てば立てるようになりますよ、Oniwaka -san」
Vandalieuは『六角戦鬼衆』の頭であり、現Kijin nation王TenmaのFirst子であるOniwakaにそう告げた。
「やはりOniwaka -samaでは若すぎたか……」
「しかし一人? いや、まあ一人で『六角戦鬼衆』の五人と戦い、疲れ一つ見せぬとは凄まじい」
「ああ、まさかマラソンマッチを『六角戦鬼衆』に仕掛けるとは……恐れ入った」
ざわざわと勝負を見守っていたKijin達が囁く。
「そこまで! 勝負はVandalieu -donoの勝ちだ! 我等KijinはVandalieu -donoをEmperorにして、試練に挑む選ばれし勇士とここに認める! 良いな、皆の者!?」
御前試合が行われる宮-dono前の広間に、王であるTenmaの声が響き渡った。
キドウマルから始まった一連の戦いは、Emperorと認められるための試練だったのである。
集まった者達の「応!」という答えと歓声が響く中、Sam達はほっと胸を撫で下ろしていた。
『いや良かったですな、Bocchanが誰も殺さずに勝てて』
『殺さないだけでなく、誰にも重いinjureをさせずに終わったので一安心ですね』
『殺し合いや稽古とは、また違った難しさがありますからね』
SamやSalire、Ritaが心配していたのは、VandalieuがKijin達相手に死んでしまう事や、injureをする事では無い。彼がKijin達を殺すか重傷を負わせてしまう事を、そして何かの間違いで彼がloseしまう事を心配していたのだ。
何故ならキドウマル達『六角戦鬼衆』の五人は確かに強いが、この試練では全員が『Light Speed Sword』のRickertよりやや劣る程度の力しか発揮しなかったからだ。
だから本気の殺し合いになっても……殺し合いなら確実にVandalieuが勝利する。
「殺し合いならまず負けませんけど、殺し合い以外だと意外と負けますものね、Van -sama」
『ええ、Board Gameじゃないからmaybe大丈夫だと思っていたけど、少し心配だったのよね』
「Board Gameやgambling等、直接生死のかかっていない勝負では旦那-samaの勝率は高くありませんから」
Tareaや【Visualization】のmagicがかけられたままのDarcia、Bellmondが言うように、Vandalieuの強さは殺し合いにやや特化している。最近編み出した【Death Cannon】や【Death Flame Prison】等がそれを表している。
しかしこれは『習わし』、荒っぽいが試練だ。そのため、向かって来た『六角戦鬼衆』は戦意に満ちていたが、Vandalieuに対するKilling Intentは持ち合わせていなかった。
彼等が説明した訳ではないが、実際に戦ってみると腕試しの域から出ないよう、暗黙の了解が存在した。
武具はObsidian Iron製だが本物。本気で戦う。しかし、Martial Artsは使用不可。magicは使用可だが、建造物を大きく壊すような事は禁止。倒れた相手を攻撃してはならず、相手がそのまま立ち上がれないようなら、それで勝負は終わり。
『六角戦鬼衆』の五人やOniwakaは常にその暗黙の了解の中で勝負を挑んできた。
Vandalieuも、大した疑問も持たずその暗黙の了解に従った。いや、更に厳しいruleを自分に課していたようだった。
Martial Artsを使わないのはcertainly、【Danger Sense: Death】や【Flight】、【Out-of-body Experience】以外のmagicを使わず、【Demon King Fragment】も使わず、戦ったのである。
「……何故magicや、【Demon King Fragment】を使わなかった。tongueを伸ばすのと同-samaに、使うと聞いている」
倒れたままのOniwakaにそう問われて、Vandalieuは「使わない方が良いと思ったので」と答えた。
「下手すると町が壊れますし、magicでの手加減は苦手なんです」
VandalieuのManaは膨大である。そのため、彼の感覚で「ほんのちょっと」しかManaが込められていない【Mana Bullet】が直撃すると、並のmonstersは肉片になる。
Princess Levia達を使う【Dead Spirit Magic】や、【Death Bullet】なんて使ったらどうなるか、考えるまでも無い。
毒やdiseaseを作る手もあるが、この試練にはそぐわない気がしたので止めておいた。尤も、Ghoul等生まれつき毒を持つraceもBoundary Mountain Range内には居るので、skillでの毒は使ったけれど。
「fragmentを使わなかったのは、皆-san本物のWeapon Equipmentを使っていましたが全てObsidian Iron製だったでしょう。それに合わせました」
Vandalieuが使う【Demon King Fragment】は彼が手加減したとしても、最低でもMythrilやAdamantiteでなければ打ち合いにならない。
『六角戦鬼衆』やOniwakaも本来ならObsidian Ironよりも上質で強力な武具を使っているのだろうが、町中でそれを振り回す訳にも行かなかったのだろう。Mythril製のmagic itemは下手な攻撃magicよりも強力なManaを宿しているし、Adamantiteの業物は石を豆腐のように切断するからだ。
だからVandalieuもそれに合わせたのだ。
そこまで合わせてよく勝てたなと思うかもしれないが、彼はキドウマル達に対して【Out-of-body Experience】後にSpirit Formを分裂させ、【Materialization】skillで創ったCloneとCoordinationする方法で戦って勝ったのだ。
そのためキドウマル達は一対一の戦いの筈が多対一の戦いを強いられ、Ogre Tamerの『愚連隊長』ザンジョウのみ、多対多の戦いになったのである。
如何にキドウマル達が優れたWarriorだったとしても、Enduranceに限界はある。対して、VandalieuのCloneには際限が無い。
戦いは、やはり数である。
「後、色々な相手と戦って経験を積むのは俺の為にもなります。お蔭で、良い経験を積めました。
手を貸しましょう」
そう言ってOniwakaに手を伸ばすVandalieu。しかし、Oniwakaは差し出された手を悔しげに見つめると、手を取ろうとはせず、そっぽを向いた。
「Oniwaka -samaっ、だから申したでしょう。とても勝てる相手では無いと」
そこに現れたのが、Bugitas軍との戦いで一人代表として派遣された『六角戦鬼衆』一の角、ガンカクだ。彼はOniwakaを助け起こし、手を差し出した姿勢のままのVandalieuに「いや、すまん」と小さく頭を下げた。
「貴-donoの強さはTenma -samaや皆に説明したのだが、俺の弁が立たんせいでOniwaka -samaを説得しきれなんだ。それに『お前も直には見ていないではないか』と言われると、返す言葉が無くてな」
「……どう言う事です?」
何事も無かったように姿勢を戻したVandalieuが尋ねると、ガンカクでは無くTenma王が問いに答えた。
「各国ではGodsが王を選ぶのがこの地の習わしだが、神は我々よりも深く物を見る。故に、我々の理解が及ばない選択をされる事が往々にあるのだ。
そのため、新たに王となる者に不満がある際は一度だけ挑戦する事が出来ると言う決まりがある。その決まりをOniwakaがEmperorにも採用するべきだと言い出してこの騒ぎとなったのだ」
どうやら、ガンカクは不満が無かったので……明らかに負けると分かっていたので、一人だけ立ち塞がらなかったらしい。
いや、もしかしたら『六角戦鬼衆』の他の面々も本当はVandalieuがEmperorになる事に不満という程の不満は無かったのかもしれない。
「むぅ、すまん。ガンカクが言う事があまりに信じ難かったので……いや、あの話の十分の一でも真実ならと思ったのだが」
最初に戦って負けたので、動けるようになったキドウマルがそう頭を掻きながら釈明する。
彼の言葉に、Princess Levia達は『無理も無い』と頷いた。
「儂はガンカクの話はin any case、Budarionと何よりGodwin -donoが認める鬼ならば認めるつもりだったのだが……我が子が無礼を働いたな。若気の至りと思って、許してやってくれ」
一方、Tenma王はそう言って謝罪した。Budarionはin any case、GodwinもこのKijin nationでは人望に厚いようだ。
「父上っ! 俺はこのような奴がEmperorの座に就くのは認められません!」
だが、Oniwakaはまだ納得していないらしい。ガンカクに支えられながら、整った顔立ちに不満を露わにして叫ぶ。
そうしているとoriginally赤鬼であるのに更に顔が赤くなったように見えた。
「Oniwaka! 貴-samaという奴は一度の挑戦をloseおいて何を言うか! 何を持って認めぬとほざくか!?」
我が子の訴えに怒り出すTenma王。fangsを剥き出しに顔で怒鳴り出す彼に、Vandalieuが反射的に防御姿勢を取る。
しかし Oniwakaは即座に言い返した。
「こんなmuscleも無い奴をEmperorとは、認められませぬ!」
Tenmaを真っ直ぐ睨み返したOniwakaが、ビシッとVandalieuを指差して宣言する。その指の先で、Vandalieuは声も無く崩れ落ちていた。
「ええいっ! 貴-samaは昔からいつもそれだ! muscle muscleと、昔から儂では無くガンカクやキドウマルにばかり懐きおって!」
そう怒鳴る、鍛えられているが引き締まった細身のbody partのTenma王。
「俺はGodwin -donoのmuscleも昔から好きです!」
「うむ、Godwin -donoなら良い!」
そう親子が叫び合っている間、Darcia達は慌ててVandalieuを起こしていた。
『Oniwaka -san、お願いだから図星を突かないで! Vandalieuが一番気にしているの!』
『おお、糸が切れた操り人形のように崩れ落ちたBocchanが、Darcia -samaの言葉で蠢いている』
『父-sanっ、それは痙攣しているだけだから!』
『坊主、元気出せ、お前のageでムキムキだったら不自然だろうが』
『そうです、主よ。Human、boneが肝心ですぞ』
『くおおおん』
「なんて言うか、Tenma -samaとOniwaka -samaがすまん」
「Oniwaka -sama、昔からmachoに憧れていて、な。今回の試練にまだ若いOniwaka -samaが加わったのも、それが原因で……」
Vandalieuがそう慰められ、キドウマルや他のKijin達から謝られている間も、親子の喧嘩は続いていた。
「そもそも、Muscular Strengthだけで物事が解決する時代では無いのだ! magicや奇怪な技、そして『Demon King Fragment』を制御し自在に操る他にない力こそが必要なのだ!
現に、先の戦いで我等Kijin nationはガンカク一人を送り出すだけで手一杯だったではないか!」
このKijin nationは西側のBoundary Mountain RangeのStone Wallに存在する。それは古くからAldaのbeliever達がMountain Rangeを越えて来た時に押しとどめる役目と、周囲に存在する五つのBClass DungeonやmidairのDevil NestsであるDemon's Skyから襲い掛かってくるmonstersから他の国を守る役目を背負っているからだ。
故にKijin nationのKijin達は、武と強さを尊ぶ。元からの気性や、Patron Godが『God of Warriors』Garessである事もimpactしているが、その力で役目を全うする事を誇りとしてきたのだ。
originally Kijin raceはBody的な力に優れた、Warriorのraceだ。magic的な素質を持つ者もいるが、全体からみると少ない。
故にKijin nationではまずWarriorを鍛え、その上でmagic的な素質を持つ者を選抜してMageとしても鍛える。そんなpolicyを取って来た。
そして起きたのが先の戦いだ。『Evil god of release』Ravovifardは強靭なKijin nationを抑えるために、周囲のDungeonに生息するmonstersの闘争Instinctや殺傷欲、appetiteを解放して、強引に大runawayを引き起こした。全て同時に。
三つ程度までならDungeonからmonstersが溢れても対応できるだけの戦力を常に有していたKijin nationだが、全て同時に溢れられては手が足りない。
Tenma王や『六角戦鬼衆』、Oniwakaや他のWarrior達も勇猛果敢に戦ったが、国を守るのでやっとの状況が続いた。……Boundary Mountain Range外の、普通のHumanの国なら為す術も無く滅亡し、国民全員がmonstersの餌になっていてもおかしくない。そんな危機的状況で、国を守り通しただけでも十分歴史に残る大偉業に値する。
しかし Tenma王は、諸悪のRootであるRavovifardとその祭司であるBugitas討伐の戦いに、Warriorを一人しか派遣できなかった事を悔しく思っていた。
そして自分達が動けない間にEvil God (P)を討ち取ったのが、次代Emperorと認めていたBudarionでも、尊敬するGodwinでも無く、正体不明のDhampirであるという。
当然大きくshockを受けたが、Tenma王はそれを疑心や怒りでは無く、これまでの自国のpolicyを顧みる機会に変えた。
「Oniwakaよ、未だ幼名であるお前にもわかるであろう。これからはmagicと知の時代となる。我が国はこれからよりMageの数を揃え、質を上げねばならぬ。それこそが、この地を守るお役目に適う事となろう。
……それにお前は、どちらかというとMage寄りであろうが」
「それは……確かにEvil God (P)を討ったのはMageです。ですが、muscleの価値がそれで損なわれた訳ではありません!」
「そうだ、そうだー!」
「ええい、聞き分けのない……Vandalieu -dono!? 何故そこで貴-donoがOniwakaに賛同するのだ!?」
『うわっ、Bocchanが凄い勢いでOniwaka -sanに這い寄った!』
「戦いには使わなかった【Demon King's Jointed legs】で移動しましたのね」
這いよられたOniwakaが思わず「ひっ」と小さくscreechを上げて仰け反るが、Vandalieuはそれに気がつかないまま目を見開いているTenma王に向かって諭すように話しかけた。
「muscleの素晴らしさ、そして有用性は時代で左右される物ではありません。magicもまた重要ですが、戦いを重んじる以上muscleを疎かにしてはいけないと考えます」
Vandalieuの言葉には、平坦な口調からも感じ取れるほどmuscleへの賛美が込められていた。
そう、muscleは素晴らしい。magicは確かに強力ではあるが、使い手が生物である以上Body的なEnduranceやMuscular Strengthを無視する事は出来ない。
monstersを倒しにDungeonに潜る場合でも、戦場に赴く場合でも、Enduranceが無くて辿り着けなかったのではどんなに優秀なMageでも意味が無い。
「健全なMentalは健全なBodyに宿る」と一度も考えた事の無いVandalieuだが、殺し合いにはMuscular StrengthとEnduranceがあった方が望ましいとの考えを、疑った事は無い。
「お、お前もmuscleの素晴らしさを理解してくれていたのか?」
「certainlyです、同志よ」
そうVandalieuが頷きかけると、Oniwakaは感動に目を潤ませた。
「くぅっ……俺はお前をappearanceしか見ず、内面を見ていなかった。そんな俺を同志とまで!」
ぐわしとVandalieuの肩を掴む。どうやら、次期Kijin nation王有力Candidateとの関係は修復出来たらしい。
「まあ、初対面ですから仕方がくふー」
「許せっ! 心の友よ!」
そのままOniwakaの熱烈な抱擁を受けるVandalieu。Oniwakaはキドウマル達と比べると細い体つきをしている。しかし、Humanと比べれば十分逞しい。
抱擁されているVandalieuのlungから、空気が絞り出された。
『それに、magicを伸ばすpolicyにしても……俺みたいな戦い方はまず無理です』
lungに空気が無いので、【Out-of-body Experience】後に【Materialization】してそうTenma王に続けるVandalieu。
muscleへの賛美だけではなく、現実的な考えを忘れてはいなかった。それを告げられたTenma王も、はっとした-sama子で「確かに」と呟く。
「その通りだ。幾らmagicを極めたとしてもcountlessにCloneを作り続け、それを全て我が身の如く操る事や、tongueを伸ばして打撃に用いる等……ましてや【Demon King Fragment】を従わせる事は不可能。
どうやら儂もガンカクの話を聞いて乱心していたようだ。そのような奇怪な業をmagicで身に付けられると考えるとは」
「そ、そうですっ! その通りです父上!」
分かり合う親子。そして子の腕の中で地味に落ち込むVandalieu。
「我々Kijin raceはoriginally magicには向かない者が多い、ですがBody的に優れたrace。その特性を伸ばしていく事こそ、今後もお役目を果たす事に繋がるのです、父上」
「その通りだ、Oniwakaよ。父が間違っていた。しかし、今まで通りではこの前のような事が起きた時、どうすれば良いか……」
Oniwakaに頷きつつも、渋面を浮かべるTenma王。彼も自国のWarrior達の力を信じていた。だからこそ、この前の事件で防戦一方だった事のshockが大きかったのだろう。
そのため「今までの方法ではだめだ!」と考えてしまったのかもしれない。
Oniwakaやガンカク、キドウマルもTenma王の悩みに答えを出す事は出来なかった。Ravovifardのような存在がそう頻繁に現れる訳が無いのは誰もが理解している。
しかし Kijin nationは今まで約十万年の間役目を果たしてきた。そしてこれからVidaやZantarkが復権を果たす時まで、何万年でも役目を果たし続けなければならない。
MajinやVampireのように寿命が無いわけでもないが、Kijinも寿命が長いraceだ。それだけに、暫く大丈夫だからと先延ばしにして良い事では無いのだろう。
『あの~、だったらmagicが得意なrace出身の方を招けばいいのでは? 以前のTalosheimのように、孤立している訳では無いのですし』
重い空気が漂う中、Princess Leviaが手を上げてそう発言した。
「いや、確かに我々Kijin raceよりもElf等の方がmagic的に優れた素質を持つ者が多いのだが……」
「しかし、我が国には民がおらん」
Kijin nationは防人の国であるため、いざという時守らなければならない民は存在しなかった。国民は全てKijin raceで、いざとなれば誰もが戦う事が出来る体制を取って来た。
だから今からElfやHuman、DwarfをMageとして鍛えようにも難しい。
『そうじゃなくて、他の国からMajinやLamia、Noble OrcやGhoulを招いて人材交流すれば良いんじゃないかな~っと思うのですが……嫁入りや婿入りでは無く一年か数か月か、期限を決めて。あとcertainly、招く分この国からもWarriorの方をそれぞれの国に派遣して見るとか』
Princess Leviaがそう言うと、TenmaやOniwaka、周囲にいるKijin達は暫く硬直した後……思わず呟いた。
「「「思いつかなかった……!」」」
何故Princess Leviaがすぐ思いついた事を、TenmaやOniwaka達が思いつかなかったのか。それは昔からの固定観念の問題だった。
Boundary Mountain Range内の各raceは、それぞれが国を治めている。それはGodsがstabilityしてbelieverを確保できるように、各raceが平等に存在し続ける事が出来る-samaに等々-sama々な理由がある。そのどれもが、Aldaの勢力からBoundary Mountain Range内を守るのに必要な事だった。
その中に、各国を治める主導的なraceとその国で交わった場合生まれてくるのは、その主導的なraceのchildとなるというGodsが定めた仕組みがある。
例えばNoble OrcのBudarionと、ArachneのKurnelia姫がNoble Orc Empireで交われば、産まれてくる子は全てNoble Orcに。Zanalpadnaで交われば全てArachneになる。
因みに、男女どちらもその国の主導的なraceでない場合は、通常通り両親のraceのchildが半々の割合で生まれてくる。
ただBudarionがNoble Orcであるため、Kurnelia姫と第三国でchildを作ると生まれてくるchildは全てNoble Orcとして生まれてくる事になる。
それはin any case、その仕組みがあるので各国では個人単位の留学や婚姻等以上の規模での移住は避けられてきた。一つの国の主導的なraceが減る事は、その国の戦力が減るのと同じだからだ。
それに、今までは各国が持つ戦力だけで十分だった。
だから誰も思いつかなかったのである。このままではダメだと思ったTenma王が思い至らなかったのは、柔軟さに欠けるかもしれないが、自国の役目は自国で果たすという責任感の強さ故だろう。
しかし、Princess Leviaの言うように期限を決めて戦力を各国に派遣し合う方式ならどの国の戦力も減らない。それどころか総合的にはincreaseする。
certainly raceの違いから揉め事が増えるだろうし、効果的な運用が出来るまで時間もかかるだろう。しかし、慣れるまで百年はかからないだろう。
「感謝する。その妙案、早速とりかかろう。皆よ、良いな!?」
Tenma王の決定に、Kijin達は「応!」と拳を振り上げて賛成した。
『お役に立てたようで良かったです』
Smiling Faceで答え、炎を何時もより明るく輝かせるPrincess Levia。国が複数のDungeonに囲まれている状況は、利益も大きいが危険も伴う。旧TalosheimのFirst Princessとして、Kijin達の気持ちが分かるのだろう。
こうしてVandalieu一行の諸国歴訪の一国目は始まったのだった。