鼻筋の通ったハンSamな青年が、緊張した面持ちで膝を突く。
その頭の先には職人が大急ぎで修復した『Goddess of Life and Love』VidaのIdol Statueと、Orbaum Elective Kingdomから派遣されたChurch of Vidaの大司教が柔和な笑みを浮かべている。
そして何人ものNobleやKnightが、歴史的瞬間を見逃すまいと注目していた。
「我、Rudel・Sauronはここに十二のMonarchの一人に加わり、我が剣を民の為に振るう事を誓う」
誓いの言葉を聞き届けた大司教は、「うむ」とnodとPriestから王冠を受け取ると、厳かに告げた。
「汝をSauron Dukeとここに認める。Goddessの祝福があらんことを」
そして王冠……Orbaum Elective KingdomではElected Kingへ立Candidateする権利を持つ十二のDukeのみが頂く事が出来る印を手に入れたRudelが立ち上がると、Noble達の歓声が上がった。
「Rudel・Sauron Duke万age! Sauron Duchy万age!」
「Rudel Duke閣下に栄光あれ!」
Rudelを讃える者、感極まって涙を流す者。その多くはAmid Empireの侵略を受けた時戦ったNobleやKnight、その縁の者達だ。
彼等はこの瞬間の為に何年も雌伏の時に耐えて来たのだ。このSauron領のVida Grand Templeで先代Dukeの遺児であるRudelの戴冠式は、彼等にとって侵略を受ける前の栄光を取り戻した印であり、戦争の終わりを象徴する一大eventなのだろう。
「皆にも今まで苦労を掛けたが、よく私を信じてついて来てくれた、これからも父同-sama私を支えてくれると期待しているぞ」
Rudelが鷹揚にnodと、Noble達は更に感極まった-sama子で更に歓声を上げRudelを讃える。Duke本人が今までの働きを評価し、これからも期待していると述べたのだ。自分達の復権とこれからの栄達が同時に保証されたのだから、無理も無い。
一方冷静さを保ち、浮かべているSmiling Faceも心からのものでは無く薄っぺらに見える者達もいる。
「おめでとうございます、Rudel閣下」
「ですがfrom hereが肝要ですぞ。Empireが荒らしに荒らしたこの地を治めて行かなければならないのですからな」
「certainly、我がmasterも援助は惜しまないとの言葉を預かっております」
「今後ともElective Kingdomの繁栄の為、力を合わせて参りましょう」
彼等はRudelを援助してきた他のDuchyやCenterのNoble達から、使者として遣わされた者達だ。
彼等も自分達が後ろ盾に成ったRudelが権力闘争を勝ち抜き、無事Sauron Dukeに就任した事を喜ぶ気持ちはある。しかし彼等と彼等の主-kunにとって重要なのはこれからだ。
Sauron領の復興事業や、新しい防衛計画での利益供与。young child達が仕官する際の優遇措置、交易などでの利権。
-sama々な見返りを期待しているのだ。
「certainlyです。若輩の身ですが、今後ともよろしくお願いしますとお伝えください」
そしてRudelにとっても、まだまだ彼等の主-kunの後ろ盾が必要だ。
復興に、新しい防衛設備に、Duke軍の再編成に、金は幾らあっても足りない。それにAmid Empireが引いたとはいえ、国境沿いの防衛を任せる将兵も足りない。
援助noneではとても立ち行かないのだ。
それらと比べるとまだ小さな問題だが、Rudelが権力闘争を勝ち抜く過程で信頼できる親類をほぼ喪った事も、後々響いてくるだろう。
父と伯父、長男である兄は戦争で死に、姉やImoutoは他のDuchyに嫁いだ。三男四男は蹴落としたし、特に最後まで争った五男との関係は最悪だ。
同じく蹴落とす事に成った末のImoutoは利用価値がそれなりにあるので、頼って来ればそれなりの家に嫁がせても良いのだが、妙なprideを発揮しているのかそのsignは無い。これだからIllegitimate Childは困るのだ。
(そう言えばもう一人Illegitimate Childのbrothersがいたが、あれも死んだのだったな。まあ、そんな事より暫くは励まなくてはならない訳か。
まさか、こんな形で父上を見習わなくてはならないとは……養子では効果が低いからな)
今は亡き『新生Sauron Duke軍』leader、Raymond Parisの事をすぐ忘れ去ったRudelは、自分の代で減った一族を増やさなくてはならないだろうと、内心苦々しく思っていた。
多すぎる親類brothers sistersはお家騒動の元だが、少なくても統治がstabilityしない。当主に何かあれば、それだけで折角取り戻した領地の支配体制が揺らいでしまう。
実際、権力闘争に負けた弟達はRudelの暗殺を狙っているかもしれない。Rudelにchildがいない今、もし彼に何かあれば自分達が公peerageに就ける可能性があるのだから。
「では陛下、民にそのお姿を」
そう大司教に促されたRudelは、内心の憂いを覆い隠したままバルコニーに向かって歩き出した。新しいSauron Dukeの姿を一目見ようと集まっている民に向かって、手を振って見せるために。
取り戻した城の、自分がmasterとなった執務室の椅子に深く腰掛けたRudelは、lungの中の空気を全て吐き出すような溜息をついた。
「冠や外套は煌びやかなせいか、見た目よりも重い物だな。肩が凝って仕方がない」
そう愚痴を零す彼に以外に、執務室には二人の人物がいた。
「なに、緊張で体が強張っているせいでそう感じるのですよ。半年もすれば慣れますとも」
一人は薄くなりつつある頭と深い笑皺を顔に刻んだ、見るからにおべっかが上手そうな男。強面の男や豪華なdressを着た女の横に居たら、太鼓持ちにしか見えない。
彼の名はFarzarick・Dolmad。Orbaum Elective KingdomのCenterの法衣Marquisにして、現Marshall本人である。
「私なんて慣れ過ぎて法衣や家紋付きのローブをすぐに忘れてしまうぐらいですからな」
「それはそれで不味いと思うがな。さっきもSoldierにただのcivil officialと間違えられただろうに」
じっとりとした口調で大物Noble二人の会話に加わったのは、Elfの男だ。しかし、繊細さや優美さ等Elfらしいimageからは見るからに程遠い。
顔は整っているが陰気で、背は長身だが椅子に座ったまま猫背気味なので中背程度に見える。髪は無造作に肩まで垂らし、chinには無精髭を生やしている。体つきは細いが鍛えられており、新人adventurerが使う-samaなleather Armorを着て、Weapon Equipment屋で纏め売りされていそうなknifeを何本かbeltに差している。
ピンと伸びた耳が無ければ、くたびれた中年mercenaryにしか見えない。少なくとも、この執務室の中に居る事が許される身分の人物か疑わしい格好だ。
それを棚に上げ、男は視線を応接用のtableに落したままDolmad Marshallに文句をつける。
「お前が表を歩くだけで、新Sauron Dukeの重要な支援者であるMarquis -samaを木端civil officialと間違える奴が出る。不敬罪でこの城のSoldierやServantを全員ぶち込むつもりか?」
「木端civil officialとは酷いですな。そう言うあなたも、それらしい格好があると思いますよ、『True』Randolph -dono」
特に気にした-sama子も無いDolmad Marshallにそう言い返されたElfの男……Orbaum Elective KingdomのSClass adventurerの一人、『True』Randolphは小さく鼻を鳴らした。
「Farzarick坊やも言うようになったな」
そう彼が言っただけで、Rudelにはroomの温度が急に下がったように感じられた。
(やはりこの男、只者では無い……)
Rudelは兄がAmid Empireに討たれなければ、Sauron Duke軍のGeneralに成る予定だった。だから普通のNobleよりも武芸には優れているし、ドロドロした権力闘争だけでは無く本物の戦場も経験している。
それなのにDolmad MarshallからRandolphをintroductionされた時は、彼の実力が全く分からなかった。
ただこの男は自分がどんなに抵抗しても、絶対に勝てない。そんな妄想めいた確信があるだけだった。
(百年以上前にSClassの称号を得て、誰もが「彼こそ真のadventurerだ」と称賛したというRandolph。同じSClassでも『Blue-flame Sword』のHeinzとは、役者が違うという事か)
Rudelが内心そう戦いている事に気がついているのか居ないのか、RandolphもDolmad同-sama気を悪くした訳では無かったらしい。何事も無かったように懐から出した酒の小瓶を開けて、中身を呷る。
「依頼を受ける前に確認したぞ。dressコードはnone、貸すのはnameだけ、万が一の事態が起きない限り俺はいるだけでいい。そうだったな?」
そしてそう雇い主であるDolmadに聞き返した。
実はRandolphはadventurerとしてはとっくに引退していた。accurateには、SClass adventurerとしては引退する事を宣言していた。
ある時懇意にしていたAdventurer’s Guild branchのGuild Masterに、「これからは依頼を受けず、勝手にDevil Nestsに入って喰うのに困らない程度にmonstersを狩って生きていく」と告げ、guild Cardを返そうとしたのだ。
adventurerを止めればmonstersの討伐証明を含めた素材や、Devil NestsやDungeonの産物もguildでは買い取ってもらえず、その度に個人で商人に売り込むか、自分自身で売りさばかなくてはならない。
しかし、元とはいえRandolphはSClass adventurer。adventurerの資格と身分の保証は失われたとしても、彼が身につけた実力や経験はそのままだ。そうである以上、どんな商人でもRandolphと取引したがるだろう。
それにRandolphは普段からluxuryに興味の無い男だった。しかも Elfらしく森で暮らす術に長けており、町に入らなくても自活できる。
適当な獲物を狩って、草木や獣の毛から繊維を採って服を仕立て、果物から酒を造り、それで満足してしまう男だ。
一応、当時彼はElective KingdomのHonorary Noble位を得ていたが、それすら「要らん、年金も必要無い」と言い捨てた。
それを聞いて慌てたのはGuild Masterだけではなく、当時のOrbaum Elective Kingdom上層部まで震撼する事態となった。
国を代表するadventurerであるRandolphが、その力を持ったまま引退する。もしAmid Empire側にHead huntingでもされたら一大事だ。
何より問題だったのがそれを止める方法が無い事だった。そこでRandolphに頼み込んで、最大限彼の要望を取り入れつつも、『True』RandolphはFirst線を退いただけで健在であるという事にしてもらった。
その彼を雇う条件が、先程口にした物だ。
「分かっていますとも。そして今のところ、万が一の事態は無い。どうやら、貴方のnameが効いたようです」
撤退したAmid Empire軍はMirg Shield Nationの国境越しにこちらを観察しているだけで、大人しくしている。領内に潜伏しているEmpireのSpyが、何か事件を起こす兆しも無い。
順調そのものだと、Dolmad Marshallは事態を楽観していた。
それはRudelも同-samaで、寧ろ彼の警戒心は他のDuke、そしてここにいるDolmadとの政治闘争に向けられていた。彼等は大切な支援者だが、だからと言って彼等の傀儡に堕ちるつもりはないからだ。
しかし Randolphの意見は違うらしい。
「Farzarickの坊や、Resistanceの連中の事はいいのか? あとそこの若いの、旧Scylla領はどうするつもりだ?」
若いの呼ばわりされたRudelの頬が若干引き攣ったが、Dolmadは柔和な笑みを浮かべて答えた。
「何の心配も要りませんよ。十分対処できます」
DolmadとRudelはElective Kingdomの情報網を使って以前からSauron領にSpyを複数潜入させて情報を収集していた。
集めた情報の中には『Light Speed Sword』のRickertが討ち取られた日に観測された、砕かれる光の柱や激しい爆発音の報告も含まれる。
そしてMarme Duke軍の混乱と、Empireが発表した情報。そしてその後のResistanceの動き…それらを分析した結果Dolmad、そしてRudelはこの時点でResistance organization『Sauron Liberation Front』はほぼ壊滅conditionにあり、僅かな生き残りが自分達の実家を通じて連絡を取って来ているconditionだと判断していた。
いや、Dolmadは以前から『Sauron Liberation Front』の存在そのものに疑問を持っていた。
彼等のleaderである『Liberating Princess Knight』が、恐らくBearheart Knight爵家の一人娘、Irisである事は調べがついていた。しかし、ある時期から『Liberating Princess Knight』を含めたorganization全てが変わり過ぎている。
それは『新生Sauron Duke軍』のRemnantsをAbsorptionした程度では、説明が出来ないものだった。
まず、以前と比べて戦果を急激に挙げるようになった。それも、高度な情報戦や戦略での勝利では無く、単純な戦闘Abilityでの勝利を重ねている。短期間の間に、まるで別人のように強くなっているのだ。
更に、同時期から物資の消費量が明らかに減っている。Resistanceの支援者とされる者達の周辺や、占領軍が受けた被害や奪われた物資を調べて分析したが、明らかだ。
potionを含めた医薬品や武具、そして食料の援助をIrisがいるResistance本隊は殆ど求めていないのだ。
他にも、ResistanceのmemberにVidaの聖印を持つ者が増えたとか、『Liberating Princess Knight』が以前は口にしていたAldaの格言を言わなくなった等、奇妙な点は探せば幾らでも出てきた。
この事から、Dolmadは『Sauron Liberation Front』の中心memberは「別人に入れ替わり、物資の援助や鹵獲が必要無いconditionにある」のではないかとconjectureした。
つまり、『新生Sauron Duke軍』と同時期に『Sauron Liberation Front』もAmid Empireの占領軍の手によって壊滅させられ、偽者にすり替わっているのではないかと考えたのだ。
恐らくSauron領内部の反乱分子を探り、一か所に纏めるための偽装部隊だったのだろう。実際は占領軍から補給を受けていたので、物資も必要無かったのだ。
恐らく、Autonomous TerritoryのScylla達も占領軍によって殺されたか、更にBoundary Mountain Rangeの奥へ追いやられてしまったのだろう。
そんな大規模な偽装を行い、最終的にはOrbaum Elective Kingdom軍をTrapに嵌めようと企んだ。『Fifteen Evil-Breaking Swords』を派遣したのも、何らかのtacticsに違いない。
しかし絶妙なtimingでBoundary Mountain Rangeを越えて現れた強力なUndeadによって、自分達も壊滅の憂き目にあったのだろう。
「まだ連絡があるようですが、それこそ運良く数人が生き残っているだけ。勢力としてはとるに足らない。今そのルートを逆に辿り、彼等を捕える段取りをつけています。
表向きには死んだ事にして、何も知らない末端のmemberをHeroだと持ち上げて町や村の名士やKnightに取りたてれば、それで終わりでしょう」
「随分都合良く……薄汚く物事を考えられるな。奴らの言葉通りだとは考えられないのか?」
鼻で笑うRandolphに、Dolmadは即答した。
「考えられませんな。AClass adventurerに匹敵する猛者揃いの『Fifteen Evil-Breaking Swords』を倒した強力なUndeadとの戦闘に巻き込まれて、Resistanceだけ無傷だったとは思えません」
その時恐ろしい爆発音と麓からも分かるほど激しいFlashが二度も起きたとの情報を手に入れている。Scylla Autonomous Territoryはそれなりに広いが、偽Resistanceが巻き込まれずに済むとは思えない。
「そういう事を聞いたんじゃない。Resistanceが潔白だったらどうするのだと聞いている」
「Randolph -dono、それは貴-donoが嫌いな政治の話だ。遠慮して頂こう」
尚もRandolphはDolmadに問い続けたが、顔を強張らせたRudelがそれを遮った。
EleonoraやMilesがconjectureした通り、Rudelが支援者のyoung childや尽力してくれた家臣にHonoraryと領地を振る舞う事は決まっていた。そして、同時にIris達は将来自分の治世の障害になる可能性が高いとRudelは考えていた。
Irisを妻に迎えて見せれば大衆の支持は集まるだろうが、彼女が他のmemberが蔑にされるのを納得するとは思えない。
そうである以上、このまま死んで利用可能なHeroに成ってもらった方が良いのだ。
Randolphには話していないが、Resistance memberが実家に送ったletterの筆跡から、何人かは本人であると確認が取れている。その者が真にResistanceなのか、それとも占領軍に寝返った裏切り者なのかは関係無い。
誘き出して捕え、締め上げて情報を吐かせた後消えて貰う算段は付いている。後は実行するだけのconditionだ。それが済んでから、Scylla Autonomous Territoryの調査を行う予定になっている。
Resistanceの支援者や末端のmemberも、五月蠅いようなら相応の対応を執る予定である。
「成るほど。全てはOrbaum Elective Kingdomの盾であり矛である、Sauron Duchyのstabilityの為、Elective Kingdomの繁栄の為か」
だが、察したのだろう。Randolphはそう言うと、もう一度酒を呷ってから席を立った。
「どちらへ?」
「何処かへ、だ。暫くはこの町の中に居てやるから心配するな。お前の曾祖母には、それぐらいの恩を受けたからな」
「何でしたら、ご自分で確かめてみますか? 現在旧Scylla領は閉鎖していますが、貴方が赴くのなら話は別ですよ」
『True』Randolphなら『Fifteen Evil-Breaking Swords』を倒すような強力な個体を含む、数百数千のUndeadの群れが待ち受けていても成果を上げるだろうと確信しての言葉だったが、彼はその気は無いと背中越しに手を振った。
「目立った働きをするつもりはない。お前等がどうする気なのかも、聞かないでおいてやる。精々Dhampirに気を付けろ」
そう言ってroomから出て行ってしまった。
「……気難しい人だ。それに、存外青い」
「こういう事に慣れる事が出来ないから、彼はadventurerを辞めようとしたのだと曾祖母が漏らしていたと、祖父から聞いた事がありますよ。
だというのに、政治のworldとは無縁でいられない程の強さを身につけてしまった。aptitudeというのは、持ち主を幸福にするとは限りませんな」
くたびれ諦めきった-sama子なのに、時たま口を挟んでくる。RudelにはResistanceやBoundary Mountain Rangeを越えて現れたUndeadよりも、Randolphの方が危険な存在のように思えた。
そして緊張を誤魔化すようにDolmadに話しかけた。
「彼が言った、Dhampirとは何の事です? 私は『Blue-flame Sword』のHeinzに保護されているSelenというShoujo以外にDhampirが存在したとは知らなかったのだが」
「ははは、Empireの流した偽装情報ですよ。恐らく、冗談のつもりでしょう」
DolmadはRudelと違い、Mirg Shield NationでSubordinate VampireとDark Elfの間にDhampirが産まれたらしい事は知っていた。Hartner DuchyのNiarkiの町に現れた事も。
Amid Empireが、そのDhampirがBoundary Mountain Rangeから出てくるところを見逃すまいとしていた事も耳に入っている。
だが、DolmadはそのDhampirの経歴を疑っていた。Dhampirとは言え、三ageに満たない幼さでGhoul数百匹を率いてBoundary Mountain Rangeを越え、Mirg Shield Nationの遠征軍をUndeadにして返したなんて、どうやって信じられるのか。
そもそも情報があまりに不自然だ。
Ghoulを率いているようだったという情報はadventurer一人の目撃証言でしか無く、その後Ghoulを率いてBoundary Mountain Rangeを越えたらしいという情報も、それらしい痕跡が見つかったという報告があっただけで目撃された訳ではない。
Mirg Shield Nationの遠征軍が撃退されたというのは、ただのconjectureでしかない。生存者どころか、目撃者すらいない。
Dolmadはそれらintegratedして考えた結果、Mirg Shield NationにDhampirが発生し、それが約二年前Hartner Duchyに現れたのは事実だ。しかし、Ghoulを率いてBoundary Mountain Rangeを越えたDhampirは存在しないとconjectureした。
Amid Empireが-sama々な工作の為に創り出したのだと考えたのだ。
Empire内の獅子身中の虫である悪徳Nobleや、独立を企む属国の軍事力を削り、Orbaum Elective Kingdomの情報部を惑わすための。
そう説明すると、Rudelは「なるほど」と納得しつつも、「しかし」と続けた。
「しかし、あのEmpireがそんなidiotげた事をするだろうか? 正直、太陽が西から昇って東に沈んだと言われた方が、まだ信じられると私は思うのだが。偽情報にしても、もっと説得力のある話をでっち上げるのでは?」
「だからこそですよ、Rudel -dono。idiotげた話をEmpireが存在するかのように工作する事により、もしかしたらと考えさせる。それが狙いです」
そうだと、Dolmadは思い込んでいた。
Mirg Shield NationのThomas Palpapek Earlは宗主国との関係が良くないと噂される人物だ。だが、そう噂されているが実は裏で繋がっているなんて事は、政治のworldでは珍しくない。
adventurerやSpyに偽の証言をさせるくらい、Marshallの地位と権力があれば簡単な事だっただろう。
現Hartner DukeのLucasもDhampirを警戒しているとの情報が入っているが、あれはEmpireの偽情報を利用して、領内で起こった数々の失態や事件の責任を有耶無耶にするための偽装工作に違いない。賊に奪われたという【Demon King Fragment】のsealedの行方も、怪しいものだ。
もしかしたら独自に『Demon KingのEquipment』を創り出そうとして失敗した結果城が傾くような事態になり、それを隠すためのでっちあげかもしれない。
そう考えた方が常識的だ。いや、そう考えない者は正常な思考力を失っている。
「Rudel -donoも、常に冷静な判断と思考を手放してはなりませんよ。そうでなければ、idiotげた話に踊らされて後で後悔する事になります」
「な、なるほど。胆に銘じておきます」
DolmadがこうしてRudelに説明するのも、自分に対しての警戒心を緩ませるためだ。
「それでこそSauron Dukeです、Rudel -dono」
Farzarick・Dolmad。彼は猜疑心が強く、太陽が西から昇って東に沈むとは決して考えない常識的で、有能な政治家だった。
一枚のmapを囲んで見ている三人は、顔をthrust合わせて唸った後息を吐いた。
「これは……またMountain Rangeの内側に引っ込んだな」
「意外だわ。てっきりSauron領を武力で支配すると思っていたのに」
「まあ、あいつもそこまで事を荒立てるつもりはないって事だろ」
そう言い合いながら、宿屋の一室に集まった三人……【Clairvoyance】の天道達也、【Ifritah】の赤城晶子、【Mage Masher】のMinami Asagiはそれぞれの椅子に座り直した。
彼等はこのworldにreincarnationしてから数か月、Hartner領のある町でadventurerとして活動していた。
街道沿いの宿場町のAdventurer’s Guildで登録してJobに就き、そこから更に離れた町でEClassに昇格してまたJob change。そうして活動場所を短期間で変える事で、「妙な新人が異常な速さで昇Classしていく」と目を付けられない-samaにしていた。
この『Lambda』worldでは情報伝達の手段が発達してないため、ある程度離れた町まで移動を繰り返すだけで簡単な偽装が行える。guildも、数多い新人adventurerの情報を以前活動していた町まで問い合わせるような事はまずしないからだ。
ただ、流石にCClass adventurer以上に成れば「拠点を次々に変える妙な連中」と逆に目立つ事になるが。
それはin any case、宿屋のroomで彼等が行っているのは、Vandalieuの動向を探るためのtactics会議だった。
Reincarnator達には一定以上のdeath attributeのManaを持つ者の居場所を探知する【Target Radar】が、Unique skillとしてRodcorteから与えられている。
それによってVandalieuがいる方向と距離が分かる。
その反応とDivine Realmで見た Bahn Gaia continentの映像から書き起こしたmapを比較していたのだ。
……頼りのmapは、accurateさに疑問が残る出来だったが。しかし、人工Satellite等高所から地形を観測する手立ても無く、mapが軍事上の機密扱いをされているこのworldでは、個人が所有している物では十分すぎる物だった。
これ以上のaccurate性を求めるなら、何処かのDuke 家に盗みに入るしかない。
天道……reincarnationしてTatsuya・Tendouになった彼の【Clairvoyance】でも、生まれ変わった後では限界がある。
「Tendou、やっぱり透視で見るのは無理か?」
「無理だ。透視で何もかも見える訳じゃ無いのは、『Origin』に居た時と変わらない。それに、直接見たら【Death Scythe】の時みたいに、気づかれる可能性が高い」
「離れていれば気がつかれても問題無い、ってのも怪しいしね。あいつ、どうやらteleportまで出来るようだし」
【Target Radar】で居場所を探ると、不可解な事にVandalieuの反応が瞬間的に移動する事が多々ある。彼等はそれを瞬間移動だろうと考えていた。
今のところは、自由自在に移動できるわけでは無いらしいが、そう見せているだけかもしれない。
「だけど、これからどうするつもりだと思う? 大人しく引き下がるとは思えないけど」
赤城晶子……Shouko Akagiがそう言って首を傾げた。Lambdaにreincarnationする前のVandalieuを彼女は……彼女を含めたReincarnator全員が何も知らない。
しかし、reincarnationした後のVandalieuの情報は知っている。
それによると彼は、自分達が何かされた時、相手が誰であってもやり返している。それが国や、神であっても。
だというのに今回は大人しく引いているように見える。それがShoukoには奇妙だった。Tendouも同感だとnod。
「いや、あいつも守るものが増えて落ち着いて来たって事だろう。それにoriginally 悪い奴じゃないし、頭にbloodが上らなければ、穏便に事態を治めようとしても不思議はないだろ?」
しかし Asagi……Asagi・Minamiには異論があるようだ。そう言ったあと腕を組み、うんうんと一人頷いている。
それにShoukoとTendouの二人は顔を見合わせると、微妙な苦笑いを浮かべた。
「確かに、originally 悪い奴じゃないとは思うが……」
Earthに居た頃は普通の学生だったし、咄嗟にclassmateの女子を助けて自分が代わりに死んでいる。Originでも、Undead Transformationした後に自分と同じ実験体だったPluto達を助けている。
当時のVandalieuは悪い奴どころか、善人に分類されるべき人物だったはずだ。
「でも『悪い奴じゃない』のなら六千人の軍、それも降伏しようとした奴も含めて皆殺しにして、Undead Transformationさせた後故郷で暴れさせたりはしないんじゃないか?」
「Asagi、あたし達が通っていたJapanの学校じゃ『捕虜は取るな』なんて教える授業は無かったはずだよ」
以前のMirg Shield Nationの遠征軍の、特に降伏を願い出たSoldier達にした仕打ちについてTendouとShoukoが言及すると、Asagiも顔を顰めた。
「あれは……あいつも精一杯だったんだ、きっと。今のあいつは、自分の仲間以外world中が敵だらけだと思い込んでいる。だから自由に成るUndeadやmonstersで周りを囲んでいるんだ。
でも本当はそれじゃいけないと思うから、生きている人達も助けている。そう思うだろう?」
そう力説するAsagiだが、二人は声を揃えて「分からない」と答えた。
「Earthから人格とMemoryをずっと引き継いでいる筈なのに、おおよそ行動が過激で奇抜で、あいつがどんなMental conditionにあるのかなんて、想像がつかないよ」
「寧ろ、場合によっては話が通じそうなのが逆に不自然だ。でも俺達の目的は、まず彼と話を付ける事だ。Murakami達以外-kunを殺すつもりはないって。
Asagi、-kunのその説得はその後にしてくれよ」
「何度も念を押すなよ。分かっているって。
とりあえずこの後はBoundary Mountain Range沿いのDuchyで活動して、あいつが出て来るのを待とう」
Asagi達は彼等がreincarnationした後に起きた事、『Fifteen Evil-Breaking Swords』がVandalieuに破れた一件も含めてSauron領で何が起きているのかをaccurateには知らない。
ただVandalieuが『Sauron Liberation Front』の『Liberating Princess Knight』、Iris Bearheartに肩入れしており、そうである以上彼女が死ぬはずがない。なのにOrbaum Elective Kingdom軍が彼女の死を発表した事から、Elective KingdomがVandalieuの不利益に成る事をしたのだろうと思っただけだ。
「あとはそうだな……timingを見て、Dungeonにでも行ってみるか。人気の無い階層……ボスのroomとかで【Familiar Spirit Advent】を使えば、誰にも知られる事は無いだろう」
RodcorteのDivine Realmに居るFamiliar Spiritになった仲間達からの情報も、まだ送られてきていない。
当初の予定では、【Familiar Spirit Advent】skillを使用して彼等か、彼等が情報を込めたFamiliar SpiritをAdventさせ、情報を受け取る手筈となっていた。
しかし、空から光の柱が降って来たら目立つという理由で、まだそれを実行していなかったからだ。【Familiar Spirit Advent】のskillは、本来新人adventurerが使えるものではないのだ。
「そうだな。何か分かるかもしれない。……この辺りに在るDungeonは、DClassで難易度が低くて人が多いのばかりだから、他を探すべきだろうけれど」
冷たい水と泥をものともせず、酷く痩せたFarmerが棚田の整備をしていた。
『カカカカ』
いや、痩せたFarmerではなかった。ボロボロの布を纏ったSkeletonだった。彼は崩れた棚田のあぜ道の補修を丁寧に行っている。
『お゛おぉ……稲を植えぇ』
『田を耕せぇ』
その近くを、田植え中のレイスの集団が通り過ぎる。
「まさかUndeadに畑仕事を教える事に成るとは……キューバス村長、儂等大丈夫かのぅ?」
「情けない声を出すな。Undeadが文句を言わずに働いてるのに、生きている儂らが見習わないでどうする!」
「幾らなんでもそりゃ無茶じゃよ。最近妙にGoblinやmonstersも増えている-samaじゃし、危なくないかの?」
「男が文句を言うんじゃないよ! 給金まで貰ってるんだ、黙って働きな!」
「婆-sanや、黙っていたら教えられんだろう」
キューバスを含めた壮年から老年の男女が、Living ArmorやZombieに護衛されながら、UndeadにFarmingを教えていく。
旧Scylla領では、Marme Duke軍やmercenary団だった粗製Undead達に管理される事に成ったが、そこはやはり粗製。しかも、生前軍人やmercenaryをしていた者や、紛れ込んだGoblin等のmonstersだった者ばかりだ。
防衛に関してはプロだが、Farmingに関しては素人だ。
そして『Sauron Liberation Front』を解散してTalosheimに移住する前に、キューバスの村のような自分達に深くかかわった支援者を、このまま放っておくことは出来ないとIris達が主張した。
新Sauron DukeのKnight達からResistanceの事について口止めされていたキューバス達は、Sauron領ではこれから暮らしにくくなる事が確実だった。
それに加えて最悪の場合、何もせず姿を消したResistanceを不審に思ったRudel・Sauronやその家臣達に捕えられ、Tortureにかけられ、その後口封じのためにmountain banditの仕業に見せかけて皆殺しの目に遭うかもしれない。
そのためVandalieuは、Hartner Duchyでcultivation villageにしたように、村にResistanceのmemberと共に日参して医療支援等をしつつ、村人を説得したのだった。
村ぐるみでIris達に協力していたキューバスの村の人々は、originally新しいSauron Dukeに不信感を持っており、説得には数日しかかからなかった。
そして村人の働き口として、旧Scylla領でのFarming指導を斡旋したのである。
「お爺-sanお婆-san、足元に気を付けてね~」
彼等の世話にはここの住人だったScyllaに数人付いてもらい、護衛に水田での作業に向かないLiving Armorを中心としたUndead達を付けた。
そしてAutonomous Territory外円部には、修復したmonolithやStoneサークルGolem。棚田に収まりきらなかった粗製Undead約二千。元『Fifteen Evil-Breaking Swords』の一人、Undead Sleygarとその配下を配置してある。
自動Undead Transformation magic陣も、Manaが残っているので当分は動き続けるだろう。
近々Flight可能なWyvern等のmonstersのUndeadも配置して、航空戦力も揃える予定だ。
「しかし、真冬だって言うのに何でこの稲は育つんだ?」
「Devil Nestsに在る私達の新しいRice fieldsから持ってきた稲だからだよ、きっと。それにしても最近Goblinだけじゃなくて、他のmonstersも多いよね。私や護衛のUndeadから離れちゃダメだからね」
そしてこの時Vandalieuを含めて誰も気が付いて無いが、このScylla Autonomous Territory全体がDevil Nestsと化していた。
Devil Nestsとは、一般的に汚染されたManaに土地が侵されて出来るmonstersの巣窟だ。
設置されたmonolithやStoneサークル、激しい『Fifteen Evil-Breaking Swords』との戦い、その後の自動Undead Transformation magic陣の設置に、大量発生するUndead。
これだけManaが大盤振る舞いされれば、旧Scylla領がDevil Nestsと化すのは必然であった。
しかし Breeding力を増したUndead以外のGoblin等のmonstersは、そのままではcountlessの粗製Undeadに狩り尽くされてしまう。幾らmonstersにとってDevil Nestsの環境が好ましくても、生きていけないのでは意味が無い。
monsters達が生存するためAutonomous Territoryの外に向かうのも、必然であった。
そして連絡が取れなくなったResistanceや、人が消えたキューバスの村等奇妙な事が続けて起こったため、RudelやDolmadが予定より早く調査に乗り出そうとした時には、Scylla Autonomous Territoryに接している仮設砦でmonstersの被害が続発する事態にまで陥っていた。
こうしてRudel・SauronはScylla Autonomous Territoryだけでは無く、それに隣接した土地も統治できないconditionに陥ったのだった。
Sauron領全体の面積と比べれば、まだ微々たる被害である。ただ大本である旧Scylla Autonomous Territoryを攻略できない限り、monstersは溢れ続けDevil Nestsは徐々に広がる事だろう。