武の道を歩む事、約十年……思えば長い時間を費やしてきた。鼠に換算すると寿命五回分ぐらいか。
Bone Manはそう過去を顧みながらMountしているUndead Transformationした馬のbone、Skeletonホースを敵に向かって歩ませた。
「話に聞いていた通り、Undeadが出たぞ。黒い鎧のSkeleton Knightだ!」
「後ろにZombieやLiving Armorもいる、Generalかもしれねぇ! 油断するな!」
警告を無視し、masterであるVandalieuから守るよう命じられた陣地に踏み込んできたのは、統一されていない武具に身を包んだ、百人程のmercenaryらしい男達。
元Marme Duke軍のUndeadが言うには、mercenary guildでは怖いもの知らずで、十分な報酬が支払われればどんな戦場にも赴く猛者揃いと恐れられる『鉄錆兵団』というmercenary団らしい。多少数が多いが、三分の一から半分は臨時に加えられたmercenaryだろう。
団の名の由来は、数多の敵の返りbloodを浴びるため、戦場で遭遇するといつも鉄が錆びたような臭いがすると言われているからだそうだ。
『カカッ』
随分と大層な由来だ、name負けしているとしか言いようがない。mercenary達に彼等が殺したのだろう、一般人にしか見えない霊の姿を見たBone Manは、歯を鳴らして嘲笑った。
カカカ、ググッ、クケケ。彼が率いるUndead達にも、その笑いが伝播していく。
「こいつ等、哂っているのか?」
「いちいち取り合うな、高くてもRank4か5のUndeadだ! 俺達の腕と数の敵じゃねぇ!」
name負けしているとBone Manに笑われた『鉄錆兵団』のmercenaryだったが、nameが知られる程度には高い練度を持つmercenary団だ。
Adventurer’s Guildの等Classに換算すれば、全員がDClass以上、そして幹部以上の団員はCClass adventurer相当の実力者が揃っている。
何より集団戦を得意としており、その力を十全に活かせばEARTH Dragonぐらいなら討伐できる戦力を持っていた。
そして高い練度と士気、装備を保つために、平時においては名を隠してmountain banditとして稼ぐ集団であった。
だから高い金で「Resistanceに拉致されたMarme Dukeの奪還」という依頼を受けたのだ。自分達が本命のSpyやscoutが侵入するための囮、陽動として利用されている事を知りつつ。
大人しく囮として全滅するまで戦うつもりはない。依頼達成の条件が「Duke本人の身柄、若しくは有力な情報の入手」と適当だったので、適当に暴れてResistanceの数人も生け捕りにして連れ帰れば、それで十分。
所詮囮なのだから雇い主も大きな期待はしていないはずなので、面目が保てる程度の成果があれば五月蠅い事は言わないだろうとmercenary達は考えていた。
そして、それが出来る実力が自分達にはあるとも考えていた。
既にMarme Duke軍が精鋭を含め千を越える犠牲を出している事を、彼等は知っていた。他のmercenary団が幾つか壊滅している事も聞いている。
だがそれが何だ。
おNoble -samaに率いられた、本物の戦場を経験していない内地から遠征してきた弱卒の中の精鋭が何千人やられても、他の格下のmercenary団が幾つやられても、自分達真の猛者が同じようにやられるはずがない。
mercenary団にはadventurer並にmonstersを相手に稼いだ経験がある者も、対Undead用装備も揃えて来た。
負けるはずがない。
『盾構え、その場に待機』
そんな自信過剰なmercenary達を相手に、配下の粗製Undeadには防御を固めさせるが、Bone Man自身は一騎で近づいていく。
「射ろっ! Martial Artsはまだ使うなっ」
それをただの狂った故の無謀と解釈したmercenary達が、銀の矢を放つ。Undead用の矢を受けて倒れるBone Manの姿をmercenary達は予想した。
実際、Bone Manは崩れた。頭蓋bone、両の腕、肋boneに至るまで腰から上のbone全てが、鎧と共にバラバラに成ったのだ。
「はっ、ただの雑魚……か!?」
そう罵るmercenary団の頭だったが、Bone Manはバラバラになったまま地面に落ちず宙に留まった。
『ヂュオオオ!』
そして浮かんだboneが、突如Accelerationしてmercenary達に向かって襲い掛かった。
mercenary達は咄嗟に盾を構え、若しくはWeapon Equipmentで飛んでくるboneを叩き落そうとした。しかしそれらをBone Manのpartsは巧みに掻い潜り、尖ったboneでmercenary達の首や目を貫き、鎧による打撃で頭部や胸部を砕いて行く。
mercenary達もAdamantiteやMythril製程ではないが上質なDefense Equipmentを纏っているのだが、Bone Manのboneは彼が獲得したUnique skill、【Bone Blades】により鋼の武具より鋭い刃と切っ先を持つboneの武具に変化していた。
『私は悟った。Ravovifardに狂わされたあの時、異常に高まったKilling Intentと破壊衝動のまま、whole bodyのboneを分離して攻撃した。あれこそが私が至るべき武の境地だと!』
『Evil god of release』によって狂乱したBone Manは、whole bodyのboneを分離し、【Spirit Form】と【Long-distance Control】skillの効果を最大限発揮して、バラバラに成ったまま戦うというSkeletonにあるまじき攻撃方法を実行した。
その時はRavovifardを攪乱する事は出来たが、結局大きなDamageを与える前に頭蓋bone以外のboneを砕かれてしまった。
しかし Bone Manは戦いのあと、これこそ自分にとって最高の戦法だと開眼し、修練を重ねて来たのだ。
「狼狽えるな、叩き壊してバラバラにしてやれ!」
「idiot bastardっ! もうバラバラになってるだろうが!」
バラバラに成る事でSkeletonに本来有効な攻撃方法、関節を砕いて分解する等をNullification化する事が出来、敵を攪乱する事が出来る。
だがそれ以上に有効なのが、攻撃手段の多-sama化と同時に出来る攻撃数の増加だ。
『【四段thrust】、【五月雨Slash】、【疾風thrust】』
尖った肋boneによる連続した刺突によって、knifehandによる斬撃によって、右手が握ったままの剣の疾風の如きthrustによって、mercenary達が次々に倒れていく。
mercenary達が盾を構えていようが、対Undead用の装備や護符を身につけていようが、Bone Manにとってそれらは既に誤差でしかない。
『ヂュォォォ! 主に、貴-sama等の魂とflesh and bloodを捧げろぉ! 【Hollow Bone Swordsmanship】がMartial Arts、【散bone】!』
Rank10、Skeleton Bladeデュークに至ったBone Manが目覚めた【Sword Technique】のSuperior Skill、【Hollow Bone Swordsmanship】のMartial Artsによって放たれる、Bone Bladesの乱れthrustによって、『鉄錆兵団』のDelegation Leaderの頭部と胸部は砕け散り、boneとflesh and bloodを後ろに撒き散らした。
Bone Manにとって『鉄錆兵団』のmercenary達は雑魚ですら無かった。彼等は意味のある抵抗も出来ないまま、ただ狩られていくだけだ。
「て、撤退しろ! 撤退だ!」
聖水をかけられbody partから白煙を上げても、一切攻撃の勢いを緩めないBone Manにmercenary達はやっと格の違いを思い知ったようだ。
mercenary団のDelegation Leaderが倒されたと同時に、自分達の実力への自信も地に落したmercenary達が自分の命だけは救おうと我先にと逃げ出す。本来なら負け戦であっても、統制を維持したまま撤退する事が出来る練度を持つmercenary達だったが、自分達を蹂躙するBone Manへのhorrorの前に、それも掻き消えてしまったようだ。
そしてBone Manも、そんな彼等への興味を失った。雑魚でも向かって来るならin any case、背中を見せて逃げる者達では練習台にもならないからだ。
だが見過ごす訳では無い。
『掃討せよ』
Bone Manの号令に従って、それまで盾を構えて待機していた粗製Undead達が鬨の声を上げてmercenary達を追撃する。
Bone Manが率いてきた粗製Undeadは高くてもRank3程度だ。しかしその士気は高い。何故なら、彼等はこの旧Scylla自治領の防衛で手柄を上げると、晴れてTalosheimの国民と認められるからだ。
生前Marme Duke軍の弱卒だった者達も、今はbloodに飢えた猟犬の群れだ。敗走するmercenary達は彼等のExperience Pointに、そしてその肉と装備は新たな粗製Undeadと化すのだ。
『ヂュウ……Sauron領の民が我々Undeadを受け入れる度量があったのなら、主はとっくにこの地を手に入れていただろうに』
『いや、流石にそこまで求めるのは酷だと思いますよ』
嘆かわしいと言うBone Manに、一応死体を運びに来たSamが声をかける。
『Sam -dono、しかし来年に『Trial of Zakkart』を攻略する主には時間が限られている。早くこのSauron領をOrbaum Elective Kingdomに取り戻させ、我々の自治権を認めさせなければ、面倒な事になるのでは?』
『accurateには、『Sauron Liberation Front』のResistance達の自治ですな』
Orbaum Elective KingdomでもVampireやUndeadの存在は認められないだろう。そう思ったVandalieuやChezare、Resistance達との相談の結果、彼等はSauron領を取り戻した後、Orbaum Elective Kingdomと新しいSauron Dukeにachievementを認めさせて領地を貰う事にした。
求めるのは今Vandalieuが陣を敷くこの旧Scylla Autonomous Territory。そして、名目上の領主は『Sauron Liberation Front』に参加しているNobleのyoung childや養子達になる。彼等はSauron DuchyがAmid Empireに侵略された際、自分達の家に見捨てられた存在だ。しかし、書類上Nobleである事に変わりはない。
そして旧Scylla族Autonomous Territoryは面積こそ広いが、多くはScyllaでなければ暮らすのに向かない湿地と、Scylla達でも持て余していた山地ばかりだ。
DungeonもDClassが一つで中は湿地や水辺が多い構造になっており、やはり攻略はScyllaでなければ難しい。
そしてScylla族が去った今、領民もいない。
とても採算が取れるとは思えない。
新しいSauron Dukeにとって、与えても惜しくない土地なのだ。『Sauron Liberation Front』のmember達の実家も、態々妨害してくることも無いだろう。
そしてVandalieu達はAmid Empireの勢力圏との間にOrbaum Elective Kingdomの勢力圏を挟む事が出来、更にElective Kingdomからも干渉されにくい土地を手に入れる事が出来る。しかも、仲間が書類上は正式なElective KingdomのNobleに成るので自分達からはElective Kingdom側に関わる事が可能だ。
将来は更にallyを増やし、社会的に排除できない程に存在感を高めてBoundary Mountain Range内部の国々を国家として認めさせ、交易などを行うところまで行ければ理想的である。
『ヂュオォ……しかし、我々Undeadの存在をElective Kingdomの者達が認める度量があれば、そんな回りくどい事をしなくても済むのです』
もしそうだったら、話はとても単純に成る。単にAmid Empireと戦い、国一つ分程逆侵攻してやればいいのだから。
そう訴えるBone Manの主張をSamも『確かに』と認めつつ、やはり首を横に振った。
『しかし、それがHumanです。Boundary Mountain Range内部の人々は例外だという事を忘れてはいけません』
Boundary Mountain Range内部の国々の人々は、簡単にBone ManやBorkusを含めたUndeadの存在を認めた。それは彼等Vandalieuに従うUndead達が、他の野良Undeadと違いcommunicationを取る事が可能だったからだ。
それにBoundary Mountain Range内部では、Noble OrcやHigh Goblinなどのmonstersでも「人」として認識する土台がoriginallyあった。何より大きかったのは『Vida's Miko』であり、Godsが認める『Champion』であるVandalieuの存在そのものだが。
そうした要因があった結果、BorkusやBone Man達TalosheimのUndeadもZanalpadnaやNoble Orc kingdomを含めた国々で人として認識されるに至ったのだ。
しかし Sauron領の人々に同じ事を期待するのは流石に無理だろう。歴史的にAldaよりVidaのbelieverが多い土地だが、同時にVida's New RacesであるScyllaをAutonomous Territoryに押し込めるなど距離を取って来た場所だ。
BeastmenやGiant raceまでならin any case、人型から大きく逸脱したappearanceのraceには慣れていない。Undeadを人として認めるなんてまず無理だろう。
【Guidance:Hell Demon Path】の効果も生きているHumanには効くかどうか個人差が大きいので、あまり期待できない。
実際、拉致したMarme Dukeやその家臣達はVandalieuと数日毎に顔を合わせていたが、生きている間に導かれる事は無かった。
『Resistanceの方々に間に入ってもらえば多少は可能性があると思いますが……』
『そこまでResistanceと関係が深い者は、一部でしかないという事ですな』
『Liberating Princess Knight』の名と『Sauron Liberation Front』の活躍も、Sauron領の十数万以上の人々にUndeadへの忌避感を克服させるほどではない。
やはり地道にやるしかないかと肩を落とすBone Manと、彼を励ますSam。とりあえず戻ってきた粗製Undead達やKnochenのCloneと死体や物資の回収とtransportationを始める。
『緊急事態、緊急事態! 至急陛下の元にお戻りください!』
そこに既にRank upを果たした元粗製Undeadがそう叫びながら駆け込んできた。
『一体何が起きた? また『Fifteen Evil-Breaking Swords』が来たのか?』
ただ事では無い-sama子にBone Manが聞き返すと、伝令に来た元粗製Undeadは予想外の事態が起きた事を告げた。
『Sauron領がOrbaum Elective Kingdomに奪還されたそうです!』
『……あれ?』
近いと思っていた奪還戦は、何時の間にか終わっていたのだった。
Amid Empireに侵略され、何年も占領されていたSauron領が今は亡き先代Sauron Dukeの遺児を旗頭に据えた、Orbaum Elective Kingdom軍によって奪還された。
『Sauron Liberation Front』のResistanceと、それを支持し活動を支えてきた支援者達にとって待ちに待った勝利の瞬間だ。
しかし、迷彩済みKnochen砦は葬式の喪中のような空気に包まれていた。
「誠にっ、誠に申し訳ない!」
大きな声を出しているのは、壮年のmaleだ。彼の名はキューバス。Resistanceのmemberではないが、Iris達が『Sauron Liberation Front』を結成する前から彼女達を援助してきた村の村長だ。彼と彼の村はIrisの父Georgeには何度も世話になったという、限りなくmemberに近い支援者である。
そのため彼はIris達がVandalieuの支援を受け、hideoutを旧Scylla Autonomous Territoryに移した後も中心member同-samaにResistance活動に関わって来た。
当然Vandalieuの事も、GeorgeがCursed Weapons化した事も、IrisがMajin Race化した事まで知っている。
そのキューバス村長がSauron領に起きた信じがたい出来事を教えてくれたのだ。
その彼の横には声を殺して悔し泣きしているResistance memberが何人か。Borkusは呆けたように地面に膝をthrust、Bone Manはchinのboneを地面に落したまま拾おうともしない。
尚、Bellmondが頬を赤くしてキューバス達から顔を背けて肩を震わせているのは、怒りや悔しさに打ち震えているからでは無く、Vandalieuのbrushingを執拗に受けていたからである。
「えーっと……とりあえず、Sauron領がOrbaum Elective Kingdomに戻ったのは、良い事ですよね? 後キューバス-san、とりあえず立ちましょう」
「そうね、とりあえず良い事の筈だし。この人には何の責任も無いのだし、そうよね?」
「まあ……そうだと思いますぜ」
「そのはず、ッスよね?」
VandalieuとEleonoraに問われたDavisとHajも、呆然としたままnod。
「何年もこの時を夢見て来たのに……まさか、こんな事に成るとは情けない。だがキューバス、陛下やEleonoraの言う通り頭を下げるのは止めてくれ」
『キューバス……お前に責は無い』
Irisはそうキューバスを慰めるが、彼女の肩は落ちtailはだらりと垂れ下がっていた。彼女はMajin RaceのSuccubusと化したため直接奪還戦に前線で参加する事は出来ない。だからせめて裏方として手伝おうとしたのだが……それだけに本当に情けなく思っているのだろう。
「ううっ、ですがGeorge -sama、お嬢-sama、儂は情けなくて悔しくて……」
『まあまあ、とりあえず状況を整理しましょうよ』
『お茶も入りましたし』
SalireとRitaに促され、今のSauron領都と自分達が置かれた状況の整理をVandalieu達は始めた。
事の起こりは、Orbaum Elective KingdomがMarme Duke軍の混乱等を察知して、素早くSauron領の奪還tacticsを実行した事だ。動きが速すぎるので、恐らく前々から準備はしていたのだろう。それを『Sauron Liberation Front』に漏らさなかっただけで。
そして、協力してSauron領を取り戻そうという『Sauron Liberation Front』の提案を無視したままSauron領に攻め入り、そのままAmid Empireの占領軍を攻め落としてしまったのだ。
そして今は亡き前Sauron Dukeの遺児の一人、現Elected Kingや多くのDuke達の支援を受けた次男のRudel・SauronがSauron公peerageに就いた。
彼はAmid Empireとの戦いに散った亡き父とKnight達、そして圧政に最期まで立ち向かった『Liberating Princess Knight』に代わって取り戻したSauron Duchyを治め守る事を誓い、Sauron領の人々の支持を集めている。戴冠式も、数日後に問題無く行われるだろう。
そう、Rudel・Sauronと彼を支援するElective Kingdomでは、『Liberating Princess Knight』が死んだ事になっているのだ。
そして旧Scylla Autonomous Territoryは『Light Speed Sword』のRickertやResistanceを壊滅させた謎のmonstersがうろつき、危険なUndeadが大量発生しているDevil Nestsと認定し、調査が終わるまではadventurerでも立ち入りを禁じられてしまった。
「一体何故Elective Kingdomはこのような事をしたのでしょうか? 訳が分かりません」
頬の火照りが治まったBellmondが、tailをくねらせて訝しむ。一万年の人生の九割を前のmasterの隠れ家の番をして過ごしていた彼女は、見た目に反して世間知らずなのだ。Elective Kingdom側が何故こんな仕打ちをするのか、理解できないのだろう。
「まず、Resistanceがこれまで上げた手柄と、これから上げる手柄に褒賞を渡さなくて済むようにするためでしょうね」
『新しいDukeがSauron Duchyを支配する体制作りと、Dukeの家臣に配る褒美の量を減らしたくないからですぜ、きっと』
Vampireとしては百年も生きていない小娘だが工作員として働いた事のあるEleonora、そして生前Amid Empireのscout兵だったKimberlyはそう説明した。
その説明はこの場に居る大体の者が既に察している事だ。
しかし BellmondやPrincess Levia、Orbia、そしてVandalieuはまだ納得できなかったようだ。
『それだけの事でこんな事をするのでしょうか?』
『だよねぇ、アタシ達の力を借りた方がずっと良い筈なのに』
「世間知らずな俺達にも理解できるよう、もう少し詳しく説明してください」
「ええっと……そうね、私達が思っていた以上にElective Kingdomは『Sauron Liberation Front』が今までした活躍を評価していたのだと思うわ。少なくとも、求められたらleaderや幹部にpeerageや新しい領地を与えなくてはならないとは、考えていたと思うのよ」
何年もの間反体制活動を続け、占領軍を消耗させ混乱を招き、しかも 人々からの支持もある。これでResistanceの活動を評価しなければ、逆に新Sauron Dukeの支持が下がってしまう。
「まあ、確かに当初の予定でもこの旧Scylla Autonomous Territoryを領地にして、幾人かをNobleに取り立てて貰う予定ではありましたけど……」
『ボス、あっし等の狙いをElective Kingdomと新しいDuke閣下はまだ知りやせん。それにmemberにNoble出身者が、それも普通ならpeerageも領地も継げない程継承権が下だったり、政略結婚に利用するための養子だったりする人達が何人もいたのが、この場合災いしたのでしょう』
Humanは自分の物差しで他人を測るものだ。新Sauron DukeとElective Kingdomは自分達の物差しで測った結果、Resistanceのmemberが褒賞にpeerageと領地を求めると思い込んだのだ。
何せNoble 家に産まれたものの本来なら家も領地も継げなかった下のyoung childと、養子達が手柄を立てたのだ。当然Nobleに成る事を求めるだろうと考える。
そしてその場合彼等が求める領地は旧Scylla領のような価値の低い土地では無く、もっと豊かで統治しやすい土地だと思うに決まっている。
「実際、前の戦争で幾つかSauron DuchyのNoble 家が断絶しているしね。それに占領軍側に本気で寝返ったNobleを処断して家を潰せば、新しいNoble 家の十や二十簡単に興せるのよね。流石に全部領地持ちとは行かないでしょうけど。
それを狙っていると思われたんでしょうね」
そう吐き捨てるように言うMilesに、Princess Leviaが目を瞬かせて聞き返した。
『だとしても、無視した挙句死んだ事にするなんてするでしょうか? だって十や二十は簡単に興せるんですよね?』
「きっと、Elective Kingdom側で新しいpeerageと領地をどう分配するかもう決まってるのよ。アタシ、前はElective Kingdom側に居たから耳に挟んだ事があるんだけど、結構熾烈だったらしいのよ。Sauron Dukeの遺児、次男Rudelと五男Veedalの権力闘争」
『自分を支援してくれれば見返りを用意しますと、brothersでそれぞれ支援者集めをしたという訳ですな』
NobleのServantだったSamがそう補足する。
Elective Kingdomの他のDuchyのNoble達にとってSauron Duchyでの領地は、飛び地になるので直接手に入れる価値は無い。しかし、自分達の家の次男や三男をSauron DuchyのNobleにして治めさせるには良い話だ。自分達の一族の繁栄に繋がる。
そのため既に与えられるpeerageや領地の割り当てが決まっており、Resistanceのmemberに与える余裕が無かったのだろう。
だったらこの旧Scylla領をそのままくれれば良かったのにと思うが……それをするとHeroにこんな辺境を褒美として宛がうのかと、民草からの批判が殺到する可能性がある。
なので、いっそ死んだ事にした方が都合良いのだ。
そんな説明が一段落した時、悔し泣きをしているmemberの一人……Irisに変わって『Liberating Princess Knight』になるはずだったMarquis 家の養女だった女が口を開いた。
「それだけじゃないわ。きっとあいつ等気に食わないのよ、私達が自分達より手柄を立てられて評価されるのが怖いのよ!」
彼女の叫びにつられたように、他のBaronet 家の五男やEarl 家の末っ子も胸の内を吐きだし始める。
「俺達の実家の連中は、俺達が権力を持つのを邪魔したくて仕方がないのさ。Sauron Duchyから逃げ出す時に、見捨てた負い目があるから……」
「俺達が恨みに思って、Sauron Duchyに戻った後に何か仕掛けてくるかもしれないって。そんな事一言もletterには書かなかったのに、邪推しやがって!」
彼等はSauron領から脱出した自分達の実家を通じて、Elective KingdomとCoordinationを取ろうとしていたmemberだ。
『Liberating Princess Knight』と『Sauron Liberation Front』は健在であり、旧Scylla Autonomous Territoryの一部にUndeadが巣くうDevil Nestsと化しているが、それを利用して占領軍から身を守っている。そんな真実と虚偽を混ぜた情報を伝えて。
しかし結果的に実家を通じて占領軍が混乱しAmid Empireやその属国からの援軍もまだ無い等の情報を、Orbaum Elective Kingdomに提供する事になってしまったと悔しがっているのだ。
それだけに裏切られたという思いが強いのだろう。
「なるほど」
そして彼等の言葉はVandalieuにはとても理解しやすいものだった。自分も含めたHumanはemotionsだけで残酷に成れる生き物だという事を知っているからだ。
彼等の実家であるNoble達の存在は、Sauron Duchy奪還tacticsでは大義名分の関係で小さく無い筈だ。その実家が彼等の存在を無視しているのだ。やはり見捨てたchildや養子に手柄を立てさせたくない、権力を手にされたら政敵に成るに違いない、そう考えているのだろう。
違うのなら、最低でも「Princess Knightは死んだがお前は奇跡的に生き残ったという事にするから、Resistanceを抜け出してこちらに合流しろ」と連絡くらいするだろう。……連絡が来ても彼等がそうするかは別の話だが。
『ええと、Rickの奴らが連絡を取っていたElective KingdomのNobleとは違うんだよね? でもこの分だと次男も似たようなもんなのかな~』
Scylla族を占領軍と戦うための戦力に利用するために企てられた陰謀の犠牲になったOrbiaがそう言うと、Princess Leviaも納得したようだ。
『Elective KingdomのNobleは怖いですね。ここの皆-sanは違いますけど』
「確かに、ロクな奴がいない……」
考えてみると、『Sauron Liberation Front』に参加しているmemberを除くとOrbaum Elective KingdomのNobleは酷い奴しかいない気がする。Hartner Duke 家に、RaymondとRickの実家のParis Knight爵家に……。
Kurt LegstonやCuoco Ragdew達がいたAmid Empire側のNobleと大違いだ。
自分の中のOrbaum Elective Kingdomの株が下がって行くのをVandalieuは感じた。
「別にfollowしなくても良い気がするけど……一応言っておくと、もしかしたら本気でResistanceが壊滅したと思い込んでいる場合もあるわね。
『Fifteen Evil-Breaking Swords』が死んだのも、その後攻め込んできたDuke軍やmercenary団が殆ど生きて帰らないのも、Boundary Mountain Rangeを越えてやってきた強力なmonstersのせいだって事になっているらしいし」
「確かに、言われてみると……Resistanceが健在だと考えるよりも、極少数の生き残りが活動を続けていると考える方が自然かもしれませんね」
通常のResistanceの戦力では、とても出せない戦果だ。
『すまねぇ……俺が調子に乗ったせいだ……』
呆然自失conditionのBorkusが、そう言って崩れる-samaな仕草で頭を下げる。
彼はVandalieuが【Nether Guider】Jobに就いたimpactで更に増した力に調子に乗って、攻めてくるMarme Duke軍相手に大暴れした。その際彼が発した怒号や、放った斬撃が立てる轟音が旧Scylla Autonomous Territoryの外まで届いた。更に数人だが生き残りを出していたようで、Borkusの姿が占領軍に、そして更にElective Kingdom軍に伝わったらしい。
尋常では無いUndeadがhideoutにしていた旧Scylla Autonomous Territoryで暴れまわっている情報がある以上、Resistanceも壊滅したと考えても無理はないだろう。
「しかし、外周部には明らかに人の手で設置された立札があるはずですが?」
『maybe、それを立てた後に壊滅したとでも思われているのではないでしょうか? それにBellmond、これはElective Kingdom側の行動を好意的に解釈した場合のconjectureですし』
恐らく邪魔だからResistanceを死んだ事にしようという者達と、Resistanceがmonstersによって壊滅したと思い込んでいる者達、両方が新Sauron DukeとElective Kingdomには存在するのだろう。
「それはin any case、これからどうしましょうか?」
Vandalieu達としてはかなり不満が残る結果だが、Sauron領はOrbaum Elective Kingdomに奪還され、亡き先代Sauron Dukeの遺児が、Dukeの座に就いた。Sauron Duchyの大部分の人々にとっては、これでめでたしめでたしだ。
もうResistance活動は出来ない。何せ、侵略者がもういないのだから。
certainly、『Liberating Princess Knight』と『Sauron Liberation Front』は健在であると、新Sauron Dukeの宣言を否定し、人々に真実を訴える事も出来る。
「陛下……どうやら私の次の『Liberating Princess Knight』を立てる必要は無いようです。これ以上の活動も……仲間やキューバス達私達を支援してくれる者達を危険に晒すだけでしょう」
しかし Irisにはそのつもりは無いようだ。
「悔しくは有りますが、これ以上はResistanceでは無くただの反乱になってしまいますから」
「お嬢-samaっ! 儂達は構いません!」
『落ち着け、キューバス……気持ちは嬉しいが、民達も我々を支持しないだろう』
IrisとGeorgeの言う通り、大多数の民は真実を訴えても支持してはくれないだろう。
『Liberating Princess Knight』は正体を隠して活動してきたResistanceのsymbolなので、実は生きていると言い張っても民にはそれが本物なのか、それとも騙りなのか見分ける術が無い。
それに当然新Sauron Dukeを含めた体勢側は、「Princess Knightをself-proclaimedする犯罪者だ」と発表するだろう。
「キューバス、既に私達について口止めされているのではないか?」
そうIrisに問われたキューバスの顔を見ると、既にElective Kingdom軍の者によって口止めされているらしい。彼以外の支援者も、同-samaに口止めされていると考えるべきだろう。
『畜生! こうなったらその新しいSauron Dukeって奴を叩き斬ってやる!』
すると呆然としていたBorkusが突然立ち上がってそう声を上げた。
「そうだ、このまま黙ったままなんて納得できない!」
「俺達も行くぞ!」
『行きましょう、皆-san!』
「うおおおおっ! Kingに奴らの首を捧げるぞ!」
『この屈辱をRudel・Sauronのbloodと臓物と脳漿で清めるのだ!』
『おおぉぉん!』
Borkusの声をきっかけに、暴発したようにResistance memberの一部と、更にRitaとSalire、Sauron領のDevil Nestsに住んでいたGhoulの代表達、Bone Man、Knochen、そして粗製Undead達が鬨の声を上げる。
「すみません、それはnoneで!!」
久しぶりに【Scream】skillを使用したVandalieuの制止が無ければ、Sauron Duchyは凄惨なHELL絵図と化した事だろう。
『何でだ、坊主!?』
「それをすると、このSauron領を武力制圧して支配しないといけなくなるじゃないですか。Orbaum Elective Kingdomとの関係も決定的に悪化します。
Amid Empireに宣戦布告した今のconditionで、Orbaum Elective Kingdomとまで敵対したらやっていられません」
この場の戦力に加えて、Talosheimを含めたBoundary Mountain Range内部の国々の戦力を投入すれば、両大国を一度に相手取る事も不可能ではないだろう。
しかしそれでは自軍にも大きな犠牲が出てしまう。VandalieuはそこまでしてSauron領が欲しい訳では無い。
Iris達も、侵略者であるAmid Empireへの反抗と郷土愛からResistance活動をしてきたのであって、Sauron領を自分達で支配したい訳では無い。
それなのに残りの『Fifteen Evil-Breaking Swords』にそれに匹敵するOrbaum Elective Kingdomの秘密精鋭部隊、SClass adventurer『True』Randolphに、Heinz達『Five-colored blades』を一度に敵に回す手はVandalieuでも躊躇う。
Reincarnator達も絶対に関わって来るだろうし。
「そう言う訳です。『Trial of Zakkart』に集中できる環境を整えるという目的は結果的に果たせましたし、悔しいのは分かりますが、それは別の機会に返しましょう。
十二の内二つがダメになりましたが、まだ十残っているのですから、そこで挽回しましょう」
Orbaum Elective Kingdomには十二のDuchyがある。その内Hartner Duchyと、このSauron領の二つをVandalieuは見限る事にした。
他の十のDuchyからマシなのを選んで、そこと交流する事でTalosheimの国際的な存在感を増し、何れこの仕打ちを後悔させてやればいい。
そう考えて言ったVandalieuだが、キューバスには別の意味に聞こえたらしい。彼は真っ青になると再び額を地面に突けてしまった。
「ど、どうかっ、どうか村人を、儂等民草にご慈悲を!」
「……いや、別にダメになったって言っても、直接は何もしませんから」
一応Vandalieuと面識があるキューバスだが、流石に大量のUndeadを見た後だと不安に成るらしい。
『……俺達、どうなるんだ?』
『ゲギギィ……』
『てがらあ゛……』
そして手柄を、Rank upする程敵を倒せば国民として認められるはずだったのに、その機会が無くなってしまった粗製Undead達が、捨てられた子犬のような眼差しをVandalieuに(彼以外にはただの死人の瞳にしか見えない)を向ける。
『……私達の活躍の機会が』
『このtimingでお預けですかー』
『ヂュオォ……』
『まあまあ、まだ『Trial of Zakkart』がありますよ』
更に落ち込むSalire達。特にBone Manの落ち込み具合は酷かった。彼はSuperior SkillとUnique skillに目覚めたばかりで意気込んでいたのに、活躍の機会が先延ばしになってしまったからだ。
ついにchinだけでは無く、肩甲boneまで落ちてしまった。
「ResistanceはこのままSauron領に居ると危険だから、Talosheimに移住させた方が良いんじゃないかしら? キューバス達も生活し難くなるようだったら来てもらえば?」
「粗製Undeadはこの旧Scylla領の維持管理でもさせれば丁度良いわ。originally防衛戦力なんだし、ついでに棚田を放っておくのも勿体ないし」
「では旦那-sama、Rita達を慰めるのはお任せします」
「はーい。ほら、物理的にchinと両肩を落してないでしゃんとしてください」
こうしてSauron DuchyはVandalieuに見限られたのだった。
Orbaum Elective KingdomのDuchy、残り十。
・Title explanation::Demon King
Godsによって付けられるsecondary name。『Second Coming of the Demon King』と『Monstrosity』の効果に加えて、従えているmonstersの成長や新しいmonstersのCreationに補正を得る。このsecondary nameを付けたGodsがAlda派の場合、そのmonstersにはVida's New Racesも含まれる。
また、Orichalcum製の武具を含めたArtifactでこのsecondary nameの所有者を攻撃する場合、与えるDamageがincreaseする。Championのsecondary nameを持っている場合、increase量は更に増える。
更にこのsecondary nameを付けたGods 's Divine Protectionを持つ者は、この存在と戦う時補正を得る事が出来る。
それら以外にAlda達Godsにとって予想外の効果として、Vandalieuと相対した事が無いDemon King Fragmentも彼をmain bodyだと認識するようになる。
ただ『Monstrosity』の効果は、既に名付けた対象からは十分注意を引いている上、裏社会で『Demon King』のnameで擦り寄って来る者は極少数(あまりにも現実感が無いので信じないか、人の形をした怪獣として認識されるため)だろう。
またStatus system的にVandalieuは「Human」に分類されるため、手下を作りやすくなる効果も発揮されない。
・Name: Bone Man
・Rank: 10
・Race: Skeleton Bladeデューク
・Level: 3
・Passive skills
Dark Vision
Mysterious Strength:8Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Loyalty:9Lv(UP!)
Spirit Form:7Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Mounted:3Lv(UP!)
・Active skills
Hollow Bone Swordsmanship:1Lv(Sword Technique awakened into!)
Shield Technique:7Lv(UP!)
Archery:6Lv
Silent Steps:3Lv
Coordination:5Lv(UP!)
Commanding:4Lv(UP!)
Armor Technique:6Lv(UP!)
Mount:4Lv(UP!)
Long-distance Control:5Lv(UP!)
Aura of Fear:2Lv(NEW!)
・Unique skill
Bone Blades(NEW!)
Xerx’s Divine Protection(NEW!)
・Monster explanation::Skeleton Bladeデューク
Rank9のSkeletonデュークのBone Manが、『Evil god of release』Ravovifardとの戦いで【Sword Technique】のSuperior SkillにAwakeningし、『God of Battleflags』Xerx’s Divine Protectionを得た事で更にRank upしたrace。
順当に進めばSkeleton Kingになるはずだったが、明らかに同RankのKingよりも強力な個体になっている。
本来ならmonstersは亜人型であっても【Monstrous Strength】の-samaなbody part Abilityに直接作用するskillを除いて、武術やmagic系のSuperior Skillに目覚める事は稀で殆ど無い。Noble OrcやHigh Goblinなど、Humanに近い知能を持つ一部のraceは例外である。
また、生前既にSuperior Skillを習得している存在がUndead Transformationした場合も、数少ない例外だ。
そのどちらでも無く、生前はmouseだった霊が人boneに宿り、Rank1のLiving BoneからSuperior Skillに目覚めRank10にまで至ったBone Manの希少性は、歴史に名が残るに相応しいものだろう。
・Skill explanation::Bone Blades
whole bodyのboneを刃が付いたWeapon Equipmentと同-samaに扱う事が出来るskill。実際に刺突斬撃を放てるだけでは無く、武術系skillの効果を受ける事が出来、Martial ArtsをActivateさせる事が可能。
更にBone Manの場合は【Long-distance Control】skillを使用し、boneをバラバラにして個別に操作して攻撃に使用している。
【Form Alteration】skillと同じbody partの形状を変化させるskillであり、刃に特化したskillである。