<- Previous | TOC | Next ->
Special thanks to MBA and the Users from the LBN #spoilers Discord. Without them this would not be possible.

Chapter 154: 絶たれた絆

 何かが、鼻息を荒くさせながら人気の無い森を進んでいた。

「「「ふぅ~っ! ふぅ~っ! ぱふぉ~っ!」」」

 何かの臭いを求めているのか周囲の空気を激しく吸い、そして吐き、鼻をラッパのように鳴らす。


「「「ふがふごふぶぐっ!」」」

 それでも探している臭いが見つからなかったのか、何かは鼻を伸ばしてそこら中の物に押し付け始めた。

 木に、地面の土に、石に、手当たり次第だ。


 そんな事が出来る存在は、certainly Humanでは無い。

「に、にほおィ……ほ……ぃ……」

 accurateには、以前はHumanだったが今はHumanでは無い存在に変化してしまった存在だ。


 額や頬に傷痕が残る、見るからに人相の悪い男の顔がある。その顔の目や鼻の形や数に異常はない。傷跡以外は、普通のHumanの男の物だ。

 だが、その顔がある場所が異常だった。Giantな、Giant raceの成人maleが両腕を限界まで広げても抱えきれない程Giantな、Humanの鼻。その鼻の頭に顔が張り付いているのだ。


「ニオイィィィ!」

 鼻のmonsterとしか評せない存在は金切り声を上げながら、苛立った-sama子で移動を再開する。Giantな鼻の根元に当たる部分には、手足の代わりに何本もの太いtentacleが……いや、鼻が生えていた。一見tentacleに見えるが、それは全て象の物と似たような形をした鼻だったのだ。


 常人が直視したらhorrorと異-samaさに言葉を無くすだろう鼻のmonsterが、生き物のsignがしない森を進む。本来森に居るはずの動物やmonstersは、このmonsterが発する禍々しい存在感を恐れて既に逃げ散ったらしい。


 その時、冷たく澄んだ冬のsignを孕んだ秋の風が吹いた。

「「「っ!」」」

 その瞬間、鼻のmonsterwhole bodyを硬直させた。そのまま、静かに風の臭いを吸う。

「アアァ……」

 男の顔が、喜色に歪む。遂に求めていた臭いを嗅ぎつけたのだ。


 鼻のmonsterはその場で方向転換し、猛然と北に向かって進みだした。邪魔な木や岩を鼻で薙ぎ払い、求めていた臭いに少しずつでも近づく事が出来る喜びに鼻を鳴らしながら。

「そこまでだ!」

 だが、森を抜けた所でmonsterの前に立ちはだかる存在が居た。


「森からただならぬ破壊音と何かの鳴き声が聞こえたから駆けつけたら、大当たりだったな。fragmentに飲み込まれた奴はidiotで助かるけど、scout職の意味が無いから嫌いだぜ」

Edgar、軽口は後にしてくれ。……self-proclaimed Treasure Hunterのベガだな? 私の言葉は分かるか?」

 SClass adventurer Heinz率いる【Five-colored blades】が鼻のmonster、ベガの成れの果ての前に立ちはだかった。


 ベガと言うTreasure Hunter気取りのコソ泥が、既に探索し尽くされたと思われていた遺跡にお宝が眠っていると信じて一人探索に向かった。その数時間後、monsterになって出て来たと彼の泥棒仲間からの警備隊に通報があった。

 それを聞いた警備隊は、自分達が対処できる問題では無いとAdventurer’s Guildに依頼を出そうとし、話を聞いたGuild Masterが、もしかしたら【Demon King Fragment】と関係があるかもしれないとIntuitionし、偶々に滞在していたHeinz達に指名依頼を出したのだ。


 そしてそれは、どうやら当たっていたようだ。

Heinz、確実に理解していないと思うけど」

Terneciaの時とは違って、人としての原形も残ってないよ」

 女Dwarfの盾職、Delizahと、Humanの女格闘家 Jenniferが口々に言う。彼女達の後ろの『Goddess of SleepMillGoddess官、ElfDaianaは何も言わなかったが、それは呪文の詠唱をしているからだった。


 Heinz自身も望みが薄い事は分っている。

「かもしれない。だが、まだ彼の意識が残っているなら助けられる可能性があるはずだ。ベガ、自分のnameが分かるか? クリフが心配していたぞ!」

 しかし諦めず、ベガのコソ泥仲間のnameを出した。


「グ……ク……」

 そのnameを聞いたからか、ベガの顔がlipsを痙攣させながら小さく何かを呟く。Heinzの顔に淡い期待が浮かんだ。

「クソガァァァァ! ドケェエエエエ!」

 だが期待に反して、ベガの口から出たのは耳にthrust刺さるような甲高い罵声だった。


 求めていた臭いの元へ続く道を邪魔されたAngerに顔を歪め、足代わりに使っていた象の鼻を鞭のように振り回してHeinz達に襲い掛かった。


「やはりダメか!」

「ああ、早く楽にしてやろう!」

 Heinz達は約二年前、【Demon King's Horn】をActivateさせたPure-breed Vampire Terneciaを相手にした時はそれまで追いつめていた戦況を一瞬で覆され、防戦に追い込まれてしまった。


 その時と同じ【Demon King Fragment】が相手だ。しかしHeinz達五人の顔に悲壮感は無かった。

 何故ならあの時とは違うからだ。


「我が神Millよ、我等を守りたまえ! 【大活性】!」

「【真Iron Wall】、【真Iron Form】!」

「【Guillotine Slash】!」

 Daianaが仲間達のbody part Abilityを活性化させる【Life-Attribute Magic】をActivateし、Delizahが象鼻の鞭を盾で受け止め、Edgarknifeで他の象鼻を切断する。


「「「バボオオオオオ!」」」

「【千穂thrust】!」

 その後も続く象鼻の攻撃を、JenniferHigh-Speedで繰り出される鋭い抜き手が弾き、逆に傷つけていく。

 そして出来た隙を、Heinzがこじ開けた。


「【Familiar Spirit Advent】! 許せっ、【瞬輝Single Flash】!」

 Heinzの放った一撃が、ベガの顔を真一文字に断ち割った。


 Heinz達は二年前と比べて更に腕を上げ、それぞれ神's Divine Protectionを得た。【Guider】系Jobの【Holy Guider】に就いたHeinzと、彼の仲間達の成長は著しく、今では全員がSClass adventurerの名に相応しい実力を手にしている。

 更に二年前の装備はMythrilAdamantiteだったが、今は【Demon King Fragment】に対抗する事が出来るOrichalcum製のArtifactをそれぞれ装備している。


「ギエエエエエ!」

 そして相手も二年前とは違う。【Demon King's Horn】を高い【Throwing Techniqueskill等で巧みに操り、Martial Artsを使用したPure-breed Vampire Terneciaでは無い。

 【Demon King Encroachment】が限界までincreaseし、完全に【Demon King's Nose】に乗っ取られたコソ泥だ。既にこの段階に至っては宿主の素質は殆ど関係無いのかもしれないが、Martial Artsmagicも使わないのであればbody part Ability頼みの獣と変わらない。


「よし、このまま押しきるぞ!」

 勝てる! そう確信したHeinzが叫び、Jennifer達が士気を上げる。

「待てっ、-sama子が変だ!」

 だがそれにEdgarが待ったをかけた。彼はベガの割れた顔が上げる絶叫以外にも、鼻を啜る汚らしい音がする事に気がついたのだ。


 Edgarの制止に応じて間合いを取ったHeinz達の前で、【Demon King's Nose】がぐるんと後ろにGiant鼻を倒す。一瞬杞憂だったかと思ったが、大人の頭でもすっぽり入るGiantな鼻の穴が自分達に向いた瞬間、敵の意図を理解した。


「皆っ、私の後ろに!」

 Delizahがそう言って前に出るのと、Giantな鼻の穴から赤い液体が噴射されたのは同時だった。

 高圧で噴射された鉄臭い液体を盾で凌ぎ、Delizahは顔を顰めた。


「こいつっ、鼻bloodを飛び道具に使うなんて何を考えてるの!?」

 【Demon King's Nose】は、象が鼻で水を吸い上げる-samaに自分のbloodを吸い上げ、更に高圧をかけて噴射したのだ。Waterカッターならぬ、ノーズBloodカッターだ。

 もし受け止めたのがDelizahでなければ、彼女が構えているのが普通の鉄や鋼鉄の盾だったら、body partBisectionされていただろう。


「ドケッ、ドケェ! オレハ行ク! 我ノ元ヘ!」

 勝ち誇ったようにベガの顔が叫ぶが、Delizahはそれに怒りでは無く哀れさを覚えた。

「でも、ここまでだね」


 Delizahの言った通り、【Demon King's Nose】の抵抗もここまでだった。鼻bloodを噴射するBloodカッターのAttack Powerは驚異的だった。しかし、燃料がbloodである以上自分の身を削っているのと同じだ。

 次第に鼻bloodの勢いは衰え、そこをHeinz達の反撃を受けると、【Demon King's Nose】はあっけなく倒れたのだった。


「オ、オオォ、ほんた……」

 新たな宿主にInfestするため、ボコボコと不気味な変形を始める【Demon King's Nose】に、HeinzAlda templeから託された剣を鞘から引き抜いた。


「お前は、何処にも行けない。ここまでだ」

 そして剣を【Demon King's Nose】にthrust立てた。

「っ!」

 それだけで【Demon King's Nose】の動きが、変形が止った。ベガの顔に、はっきりと分かるhorrorが浮かぶ。


「嫌ダ、俺ハ我ニ! 我ハ俺ニ! main bodyニ合流スル! main bodyニィィィィ!」

 必死に叫び少しでも逃げようと足掻く【Demon King's Nose】だったが、その姿は黒く溶けだし液体状に成ると、thrust立てられた剣に吸われるように消えていった。

 後に残ったのは、ベガだったものの残骸だけだ。


「本……体ィ……」

 その残骸も、小さな呟きを漏らしたのを最後に動くのを止めた。

「助けられなくて済まない。せめて、安らかに眠ってくれ」

 Heinzは剣を鞘に収めると、動かなくなったベガの瞼を閉じさせた。


sealedはどうですか?」

 Daianaが心配そうに見つめる剣は、Alda templeに保管されていたDemon King FragmentsealedするためのArtifactだった。既に宿主にInfestしているconditionでは効果は無いが、死を前にした宿主から分離しようとしている、若しくは分離した【fragment】にthrust立てる事で、sealedする事が出来る。

 Bellwood由来の品である。


「そんな小さな剣で本当にあのmonstersealedできるのかい? 何かの拍子に鞘から抜けたらまた飛び出して来るんじゃないの?」

 疑わしげなJenniferに、Heinzは暫く剣の具合を見てから答えた。

「問題無いと思う。fragmentsealedすると剣と鞘がFusionするようだから、間違って抜ける事は無いみたいだ」


「それに見た目は地味だけど、Orichalcum製だから簡単には壊れないよ。後はtempleが管理する聖域に安置して貰えば、一安心さ」

「少なくとも、Orbaum Elective Kingdomが健在である内は、ですけどね」


 このworldでは、国は長くても千年程で滅びと建国を繰り返してきた。templeは建前では世俗の権威とは関係の無いorganizationだが、実際にはそれほど無縁でも無い。

 虐げられた貧民の怒りがtempleに及ぶことも珍しくないし、戦争や革命のごたごたに乗じてtempleに納められたArtifactや【Demon King Fragment】のsealedを盗み出そうとする者達も存在してきた。


 長命なElfであるDaianaはそれを案じているのだ。

「だからと言って、今のElfにこのsealedを管理できるのかい?」

 Jenniferにそう言いかえされたDaianaは苦笑いを浮かべて答えた。

「確かに、難しいですね。Peria -samaは姿を隠し、Shizarion -sama亡き今となっては、私達ElfAge of Gods Era-samaな力は有りませんから。

 Amid Empireにある大集落なら、あるいは……」


「だけどfrom here Empireまでsealedを運ぶよりも、最寄りのtempleの方が安全だろ? Sauron領も暫くの間はゴタゴタしているだろうし、現実的に行こうぜ」

 Edgarがそう言い、Daianaも「それもそうですね」と答えた。神やlegendChampionが施したsealedでも、永遠にはなり得ないのだから、実際に取れる方法で最上の物で納得するしかないのだ。


「だけど、不思議ね。Demon Kingっていったいどんな姿をしてたの? あの【Demon King's Nose】がそのまま顔にくっついていたとは思えないけど」

 に向かって戻りながら、Delizahがそんな事を呟いた。それをきっかけにDaianaEdgarも、Demon King Guduranis本来の姿を想像しようとして、出来なかった。


「形がHumanそっくりなのはいいとして、あの大きさは?」

「それに、あの象の鼻はどうなっていたのでしょう?」

 【Demon King's Nose】が足代わりに使っていたcountlessの象鼻。あれは【Demon King's Nose】が本来あるべき場所、顔に張り付いていた時には必要のない器官だ。


 攻撃手段としても四肢や、それこそ【Demon King's Horn】のように他にもっと有用な器官がある筈。それともあの象鼻には、何が他の用途があったのだろうか?

「これは昔の記述だけれど、【Demon King Fragment】はそのままDemon King Guduranisの部位に相当している訳では無いらしい」

 すると、Heinzが以前Alda templeで目にした古文書の記述を思い出して、そう口にした。


「それって、どう言う事?」

「ある複数の【Demon King Fragment】をsealedした、昔のHeroが残した古文書の記述には――」

 legendChampion Bellwood達がDemon King Guduranisと戦い、その身を千々に切り裂き、その邪悪な魂をGodsが封じた。

 だがcountlessfragmentに分かれたDemon King's Bodyに宿るおぞましいVitalityは、魂をsealedされても衰える事は無かった。


 再び集まり再生しようとするDemon King Fragmentを滅ぼす事は出来ないと悟ったBellwood達は、fragmentを一つ一つバラバラにsealedした。

 しかし sealedされてもfragmentは活動を止めず、それぞれが別々の器官に変化し、一つに戻る機会を虎視眈々と狙っているのだという。


sealedの大部分は中にどんなfragmentsealedされているかrecordされていないのは、その為らしい。sealedされた後変化したから、誰にもわからない。Gods、特にDemon Kingと同じworldから来た邪悪なGodsには中身がどんなfragmentなのか分かるらしいけれど」

 Heinzの説明にDelizah達は顔を顰めた。


「つまり開けてみないと中身が分からないと……嫌なくじ引きね。今回のベガは財宝か何かと思い込んで手にしたようだけど、そんな物を望んで欲しがる奴の気がしれないわ」

「確かに。幾ら力が欲しくても、【Demon Kingの胸毛】なんてfragmentが当たるかもしれないだろ? あたしだったら御免だね」

「鼻でもあれだけ強かったのですから、仮にその【Demon Kingの胸毛】が当たったとしても、力は手に入ると思いますけどね」


 そう口々に言うfemale陣に、Heinzは「そうだな」と頷いた後、ふと北の方に目を向けた。

main body、か。北に他の【Demon King Fragment】の所有者がいるのか? もしかしたら――」

Sauron Duchyに現れた、HeroResistanceMarme Duke軍を壊滅させた謎のmonstersがそうじゃないかって?」

「……Edgar、心配のし過ぎだと思うか?」

 Sauron領で起きた事はOrbaum Elective Kingdomにも、そしてElective KingdomHonorary Nobleであり国の問題にも関わるSClass adventurerであるHeinzの耳にも、僅かだが入っていた。


 Amid EmpireHero、『Fifteen Evil-Breaking Swords』の一人『Light Speed Sword』のRickertAmid DukeResistance討伐のmissionに派遣された彼が、連絡を絶った。

 Marme Dukeは彼の派遣をEmperorに願った自らの責任を感じ、Duke軍の精鋭を集めた一大隊でResistanceが支配するFormer Scylla Autonomous Territoryに捜索にでたが、そこで恐ろしいmonsters達に遭遇したらしい。


 数少ない情報に寄ればそのmonstersGiant raceUndeadらしく、顔の半分が白bone化しGiantな黒い剣を振り回す恐ろしいSwordsmanなのだとか。

 剣を一振りするだけでKnightも木々も木の葉のように吹き飛ばされるそうだ。


 恐らくBoundary Mountain Rangeを越えて現れたmonstersで、そのmonstersRickertResistance organizationSauron Liberation Front』もやられたのだろう。


「その黒い剣……もしかしたら、何かのfragmentかもしれないと、【Demon King's Nose】がベガに言わせた言葉を聞いて思ったんだ」

「やっぱり、今からでも受ける? 軍のSauron Duchy奪還tacticsへの協力要請」


 Resistanceが失われたのは痛いが、Marme Duke軍とEmpireの混乱に乗じた軍事tacticsが近々決行される。それに協力して欲しいと、Heinz達はAdventurer’s Guildを通じてElective Kingdomの現MarshallDolmad Marquisから打診されていた。

 しかし、既に一度断っている。


「いや、止めておこう。Empireには他にHeroがいるし、『TrueRandolphが秘密裏に参加しているって噂もある。

  私達は『Trial of Zakkart』と、Elective Kingdom内の問題に集中しよう」


 Heinzはそう言って、しかしやはり気がかりなのか北を遠い眼差しで見つめた。

「思い過ごしなら良いが……」




 Vandalieuはふと、胸が締め付けられるような感覚を覚え、反射的に南を見つめた。

Bocchanっ、どうしたんですか? 急に胸を押さえて』

 傍に控えていたSalireRitaが、master-sama子がおかしい事に気がついて声をかける。しかし、かけられたVandalieuもこの感覚を何故覚えたのか分からない。


 【Out-of-body Experience】してSpirit Formの頭を増やして考えてみてもMemoryを探ってみても、body partに不調が無いかSelf診断しても、原因は見つからなかった。

「よく解りませんが、急に切なさを覚えました」

 そう言って再び南に視線を向けるが、そっちには木々が茂る斜面があるだけで、何も見えない。だが、そのずっと向こう、遠い何処かで何かが起こった。そんな確信があった。


Bocchan……分かります。ブルーな気分なんですね』

『父-sanが人生の節目には、急に不安になって落ち込む事があると言っていました』

『結婚とか、妊娠とか、出産とか』

「俺の人生には、そのどの出来事もまだ起きていませんが。あと、念のために聞きますが、俺が将来結婚する人の妊娠とか、出産って意味ですよね?」


 sistersでしみじみとそう言いながら手で肩に触れる二人に、Vandalieuはそう聞き返した。しかし、二人は答える代わりにSmiling Faceになると、腕をVandalieubody partに回して左右から抱きしめた。

『でも大丈夫です! 何も心配する事はありません』

『こういう時は安心させるのが大事だって聞きましたから、安心してくださいBocchan!』


 ぎゅっと、装飾が増えても相変わらず露出度が高いBikini ArmorHigh-leg ArmorRitaSalireは、恥ずかしげも無くVandalieuを挟んで埋める-samaに抱きしめる。

 本来二人のmain bodyは鎧その物であり、それ以外の部分は【Spirit Formskillで作った部分であるため、「露出度が高い」と評すのもおかしいのかもしれないが。


『もうすぐQuinnが蛹からgrown wingsするかもと話していましたし、Sauron領の奪還tacticsの準備も進んでいますし』

『何よりDarcia -samarevivalが目に見えてきましたからね。人生の節目です! ですから私達と遠慮無くskinshipして安心してください』


 二人の間でVandalieuは最近の出来事を顧みると、「確かに節目と言えるかもしれません」と頷いた。

 そのせいで情緒不stabilityになっているのかもしれない。

「それに、もうすぐ俺も思春期ですからねー」

来年の初夏には十ageになる。早ければそろそろ思春期を迎えて、いわゆる「難しい年頃」になる頃だ。早くもそのimpactを受けているのかもしれない。


 一度目と二度目の人生で迎えた思春期はどうだったろうかとMemoryを探るが、自分自身の心理conditionはあまりMemoryに残っていなかった。

『おや、どうしましたBocchan?』

『おぉぉん?』

 そこにSammain bodyである馬車のcarriageの後ろに、Knochenから分離したboneが組み合わさって出来たbone馬車を牽引してやって来た。


『父-sanBocchanがブルーな気分みたいです』

『なるほど、人生の節目ですからな。無理も無い事です……私も毎日寝食を共にした愛槍をMikhail -donoに返す前日は、気分が落ち込んだものです』

 うんうんと、娘達の間から頭だけ出しているVandalieuに頷きかけるSam。そう言いながらも、彼は滞りなく仕事を進めていた。


『おぉ~ん』

 牽引してきた馬車のcarriageに積まれた中身……元Scylla Autonomous Territoryに侵入し、VandalieuUndead達に討ち取られたMarme Duke軍を含めた占領軍のSoldierKnightscout兵の死体やその装備を地面に描かれたGiantmagic陣の中に捨てていく。


 今『Sauron Liberation Front』のhideoutがあるこの旧Scylla Autonomous Territoryには、RitaSalireBorkusを含めたUndead達が配置され日々侵入してくる占領軍やその依頼を受けたmercenaryを退けていた。

 外周部には「これ以上侵入するな」と警告文を刻んだ石碑や立札を建て、それらの説得力を増すために既に討ち取った将兵の兜を設置してあり、それを無視した者達をBorkus達が皆殺しにしているのだ。


 しかし数百人以上の軍団を成して攻め込んでくる相手はin any case、数人程度の小隊でこっそりとstealth込んでくるscoutに対応するには、この旧Scylla Autonomous Territoryは広すぎる。

 そこで十分な防衛戦力を得るためにVandalieuが設置したのが、この『自動Undead Transformation magic陣』である。


 【Zombie MakerJobの効果を【Alchemyskillで付与したmagic陣で、染料には【Demon Kingの墨】を使用し、中心には【Demon King's Blood】で満たされた壺の中に【Demon King's Eyeballs】を浮かべてある。動力はmagic陣の近くに設置したGiant魔晶石だ。


 このmagic陣の周囲に漂う霊はmagic陣から発せられるVandalieuManaに惹かれて集まり、magic陣内に転がる生前の自分のBodyや、鎧、武具などに宿って自動的にUndead Transformationする。

 ZombieCursed WeaponsLiving ArmorManaの続く限り自動生成される便利な施設だ。


『ところでManaの方はどうです?』

「中々チャージが追いつきませんね」

 そしてVandalieuが何をしているのかというと、Giant魔晶石に施設の動力であるManaを充填しているのである。


 このGiant魔晶石、Talosheim周辺や『Borkus’s Sub-Dragon Savannah』で大量に狩る事が出来る恐竜系monstersMagic Stoneを、Vandalieuが【Golem Creationskillで一つに合成した物で、大きさはちょっとした住宅程もある。

 しかし込められるManaの総量は一億程と、Vandalieuにとってはそれ程でもない。その充填が終わらないのは、magic陣の近くにVandalieuがいるせいで、この旧Scylla Autonomous Territoryに漂う霊が殺到して次から次にUndead Transformationしているからだ。


 こうしている今も続々とmagic陣から新たなUndeadが誕生し、宿る物が無くなった霊達が追加を待ちきれず、Ghost化している。

『ゲギャァ!』

『待てぇっ! それは俺のWeapon Equipmentと鎧ぃっ!』

 紛れ込んだらしいGoblinの魂が宿ったLiving Armorと、それに武具を取られたSoldierGhostなんてものまで出来ているし。


「俺がいなくても戦力を補充できるようにと設置しましたが、逆に離れられなくなりそうです」

Bocchan、そろそろ戦力は十分なんじゃないでしょうか?』

「……それもそうですねー」

『でもBocchan、以前と比べて最初から強いUndeadも作れるようになりましたね』


 以前はRank1のLiving BoneLiving-Dead、それらの十倍程Manaを使ってRank3のLiving Armorが作れる程度だったVandalieuだが、今は違う。

 以前の三分の一程のManaRank2のZombieや、材料の霊とBodyの素質次第ではRank3のZombie Soldierや、Rank4のHeavy Armorを作る事が出来るようになっている。


 それら、Undead Transformation直後から並のSoldierと互以上、個体によっては圧倒できる戦力が大量に増えているのだから、これ以上無理に増やす必要はないかもしれない。

「そうですね、ここで作った粗製UndeadResistanceの皆の留守番役が揃えば十分ですし」

Sauron領奪還tacticsですね!』

『これはMikhail -donoの戦働きに期待しなければなりませんな。私が返した愛槍の分も』


 Amid Empireに非公式に宣戦布告したVandalieuは、さっさとSauron領を奪還する事にした。certainly、『Sauron Liberation Front』と、Orbaum Elective Kingdom主体で。Vandalieuが前面に出ては、Amid Empireは撃退できても結局Sauron領の民が付いてこないのは変わらないのだから。


 そのため『Sauron Liberation Front』にはOrbaum Elective Kingdomとの繋ぎを取ってもらい、Empireが浮足立っている間にtacticsを決行。対占領軍戦には、変装したBorkusMikhailRitaSalire達上Class Undeadや、BellmondAbyssVampire、そしてVandalieu本人もこっそり参加する。


 Rita達は少し変装すれば、近くでよく観察しなければUndeadだと分からないだろうし、Borkusも頭をすっぽり覆うHelmetを被れば問題無いだろう。

 多少おかしいと思われるかもしれないが、まさかUndeadorganization的な軍事活動を行うとは誰も思わないだろうから、真実に気がつかれる事も無いだろう。

 Bellmond達も、昼間にSunlightを浴びて見せれば誰もVampireとは思わない。


 そしてVandalieu自身は裏で皆を援護しつつ、『Fifteen Evil-Breaking Swords』の-samaな突出した戦力に備えて待機だ。


 このtacticsの為にResistanceの本拠地ががら空きになるので、その防衛部隊としても使うために粗製Undeadを量産していたのだ。

 材料はVandalieuMana以外は侵入してくる敵の霊とBody、そして武具であるため、環境にも優しい。


「唯一の懸念は、未だにElective Kingdomが『Sauron Liberation Front』に応えない事ですけど、待ち続けるにも限度がありますしね。Chezareblood vesselが切れてしまいます。

 こうして兵力も増えたので、防衛戦力が揃うまで待つという理由も無くなりましたし」


『そうですね。粗製Undeadの中には、使えそうな新人はいませんでしたけど』

「まあ、粗製ですからね」

 一体一体の質、特に将来性に関して若干疎かになるのは仕方がない。【Hell Demon Path】で多少は補正できるが。


MaidになりそうなLiving ArmorZombieGhostはいませんでした』

 それは【Hell Demon Path】でも補正できない。

「……Amid Empireって女SoldierFemale Knightは殆ど居ないみたいですからね。mercenaryも、ほぼ男の仕事でしょうし」

 Spyspyの中にはfemaleも相応に存在するが、野外でのscoutを行うscout兵は軍人であるため、やはりいなかった。


Bocchan、この際男の人にもMaidの門戸を広げませんか?』

「広げません。Rita、それは素直にButlerやホールボーイにしてください」

『女の子に見えるぐらい可愛かったらよくないですか?』

Salire、断固拒否します」


『二人とも、Bocchanを困らせてはいけません。それよりも折角 Rank upしたのだから、敵兵を一人でもblood祭りに上げる事を考えなさい』

『『はーい、父-san』』


 Samの父の威厳によってhorrorの計画が止った事にほっと胸を撫で下ろすVandalieu

 そこにBellmondが現れた。

「旦那-samamercenary団を囮に使ったscout兵が侵入して参りました。scout兵の方は私が始末しましたが、mercenary団の方はBone Man -donoが率いる部隊が相手をしています。如何しますか?」


mercenary団の中に突出した戦力はいなかったのですね? じゃあ。とりあえず放置で。mercenaryぐらいならBone Manの練習台になるのが精々でしょう。一応、【Demon King's Eyeballs】を持たせた蟲に-sama子を見に向かわせますけど」

「畏まりました」

 一礼して身を翻し戻ろうとするBellmond。その背に、RitaSalireが声をかけた。


Bellmond -sanBocchanがブルーな気分なんです』

『慰めるのを手伝ってください! masterを慰めるのもButlerの仕事ですよ』

「ええっ!? とてもそのようには見えませんが……」


 驚いたBellmondが改めて視線をVandalieuに向けると、彼はRitaSalireの間で何時も通り無表情のままのんびりしているように見える。一応今も【Demon King's Eyeballs】を【Long-distance Controlskillで操っているはずだが。

 基本的に彼女のmasterであるVandalieuは、誰かと一緒に過ごしている間は機嫌が良いので、今も上機嫌だと思っていたのだが。


「超ブルーです」

「……本当ですか?」

「すみません、嘘です」

 やはり落ち込んでいる訳では無かったらしい。


「でも何か切ない事が起きたらしいのですよ。それが何かは分かりませんが」

「それは本当らしいですね。……仕方ありません、ちょっとだけですよ」

 暫く葛藤した後、BellmondはふさふさとしたtailVandalieuに差し出すのだった。


『では、私とKnochenmercenary団とやらの死体と遺品を回収して参りますので』

『おおぉーん』

 mercenary団の誰かの物だろう断末魔の絶叫が響く美しい夕暮れを眺めながら、SamKnochenは来た道を戻るのだった。




Name: Salire

Rank:

Race: living Killer Maid Armor

Level: 28


Passive skills

Special Five Senses

Physical Ability Enhancement:9Lv(UP!)

Water-Attribute Resistance:9Lv(UP!)

Physical Attack Resistance:8Lv(UP!)

Self-Enhancement: Subordinate:7Lv

Self-Reinforcement: Murder:6Lv(NEW!)

Murder Healing:5Lv(NEW!)


Active skills

Housework:4Lv

Halberd Technique:9Lv(UP!)

Coordination:6Lv(UP!)

Archery:6Lv(UP!)

Spirit Form:9Lv(UP!)

Long-distance Control:9Lv(UP!)

Armor Technique:8Lv(UP!)

Aura of Fear:2Lv(NEW!)

No-Attribute Magic:1Lv(NEW!)

Mana Control:2Lv(NEW!)

Water-Attribute Magic:1Lv(NEW!)




Name: Rita

Rank:

Race: living Killer Maid Armor

Level: 29


Passive skills

Special Five Senses

Physical Ability Enhancement:9Lv(UP!)

Fire-Atribute Resistance:9Lv(UP!)

Physical Attack Resistance:8Lv(UP!)

Self-Enhancement: Subordinate:7Lv

Self-Reinforcement: Murder:5Lv(NEW!)

Murder Healing:6Lv(NEW!)


Active skills

Housework:4Lv(UP!)

Naginata Technique:9Lv(UP!)

Coordination:6Lv(UP!)

Archery:6Lv(UP!)

Throwing Technique:8Lv(UP!)

Spirit Form:8Lv(UP!)

Long-distance Control:8Lv(UP!)

Armor Technique:8Lv(UP!)

Aura of Fear:3Lv(NEW!)

No-Attribute Magic:1Lv(NEW!)

Mana Control:1Lv(NEW!)

Fire-Attribute Magic:2Lv(NEW!)




Monster explanation:living Killer Maid Armor


 Maid Armorが命を奪い続けてRank8のマーダーMaid ArmorRank upした個体が、更にHumanを含めた-sama々な命を刈り取った末にRank upを果たしたmonsters

 戦闘時には敵のMentalを直接攻撃する【Aura of Fear】を纏い、更に他者を傷つけ殺す度に一定時間Ability ValuesEnhanced (1)され、Vitalityが回復する【Self-Reinforcement: Murder】と【Murder Healingskillを持つ。


 Lambda worldHuman社会ではまだ認知されていないmonstersだが、存在を知られたらまず災害指定種とされ討伐依頼が出されるだろう。


 SalireRitaの場合最近magicの研鑽も始めたため、まだ更に成長するものと思われる。


<- Previous | TOC | Next ->
Special thanks to MBA and the Users from the LBN #spoilers Discord. Without them this would not be possible.