抵抗もせずOrcに降伏した女adventurerは、縄代わりの太い蔓を打たれて連行された。
ニヤニヤと下卑た笑いを浮かべた若いNoble Orcが、飼い犬でも扱うかのように蔓の端を握っている。それに従うmonsters達も、一-samaに嗤っていた。
この女がmasterの嬲りものになっている間、masterの機嫌は維持されるのが嬉しいのだろう。
そして女adventurerはNoble Orcに引っ立てられて、彼の父親が築いたOrcのKingdomに連れて行かれた。
これから死ぬまでmonstersの仔を産まされ続ける事になるかもしれないというのに、女adventurerは無表情のままだった。しかし、それにNoble Orcも含めて誰も気がつかなかった。
monstersにHumanの細かい表情を読むのは無理な話だし、Noble Orcには女の表情なんてどうでも良かったからだ。
椅子に深く腰掛け、眠っているように目を閉じていた面長の男はパッと瞼を開くと、素早く口元をハンカチで押さえた。
「おぉ、なんて汚らわしい……」
生臭いOrcの息、Goblinの嗤い、小賢しいKobold。極め付きは、自分が高貴だと思い込んでいる豚共。そしてそれらに殺してもらう事も出来ず、家畜同然の扱いを受けている女達。
それらを見る事は覚悟していたし、そういう依頼だと知って受けた。しかし、それでも男は吐き気を堪えるのに苦労した。
「大丈夫ですか、Luciliano -dono」
「も、問題無い。うぇ……それよりButler -dono、Viscountを呼んでください。御報告がございます」
「畏まりました、旦那-samaを呼んでまいります。申し訳ございませんがその間、Luciliano -donoは少々お待ちください」
たまたま-sama子を見に来ていたらしいButlerが、香り高い紅茶を一杯淹れてから退室する。masterが来るまでに、この紅茶を飲んで吐き気から立ち直るようにとの気遣いだろう。
素晴らしい紅茶の香りに、Lucilianoは脳裏に焼きついた悍ましい光景が薄れて行くのを感じた。いや、仕事だから忘れてはいかんのだが。
「偵察は成功したのか!?」
そう極秘依頼について喚きながらカイゼル髭が入って来た。いや、カイゼル髭を生やしたNobleが入って来た。カップを素早く置いて、LucilianoはNobleに一礼して出迎えた。
「ご報告申し上げます、Berno Balchesse Viscount」
このNoble、Berno Balchesse Viscountはこの辺り一帯の領主であり、そしてLucilianoの依頼主だった。
見た目は壮年の割にスマートな、そして立派なカイゼル髭を生やしている事以外特徴の無いNobleだが、無能では無い。平均的なNobleだ。
「私のLife-deadは、Orcの集落に無事潜入する事に成功いたしました」
Life-dead。それは生命attributeのmagicで作られる特殊なUndead……Undeadに分類されている存在だ。
鼓動も呼吸も止めた新鮮な死体に、magicを施し生命活動を再開させた死体だ。
heartやlungが動いているが魂は無いためUndeadに分類されているが、見た目は生者と区別がつかない。触れても体温があり、magicで生命反応まで探知できる。無表情で口調が平坦な人にしか見えないのだ。
欠点はbody partをmagicで生かしているため、食事や睡眠を必要とする事くらいだ。後、生粋のUndeadと違って毒が効くし、diseaseにもかかる。
LucilianoはそのLife-deadを使い魔として使い、そのfive sensesを借りてある噂の真偽を確かめるようにとBalchesse Viscountに雇われた。
adventurer達の間で流れている噂……町から遠い方の密林に似たDevil Nestsに、強力なmonstersが巣食っているという噂だ。
暫く前から、密林に似たDevil Nestsに向かったadventurer達のpartyが帰って来ない事が多くなった。最初は腕の無いadventurerの泣き言だと思われていたが、ソロで活動しているThiefが恐ろしい物を目撃した。OrcやGoblin、Koboldを率いる、Noble Orcだ。
Orcの上位raceであり、高い知能を持つNoble Orcはmonstersの群れをorganizationする事が多く、その数は数百に及ぶ。
そのThiefが目撃したのは本当にNoble Orcなのか、本当だったらNoble Orcの群れは現在どれ程の数なのか調べる事。それがLucilianoの仕事だった。
「私の操るLife-deadをNoble Orc率いる中隊規模の群れが捕縛し、そのまま連中の集落に連れていかれました。場所は、Devil Nestsに入ってから三日程進んだ所ですか」
「それで、Noble Orcは何匹だ!? 群の規模は!?」
「確認できたNoble Orcの数は中隊のCommanderと、集落の王の二匹です。ですが、後一匹か二匹はいる-sama子でした。
monstersの総数は、四百から五百程かと」
「Noble Orcが三匹、monstersが五百……っ!」
Lucilianoの報告に今にも卒倒しそうになるBalchesse Viscount。Noble Orcは最低でもRank6のmonstersで、その中でも上位の個体はDragonをも屠るという。そんなのが少なくとも二匹、多くて四匹以上。更に五百匹のmonstersが従っているとなれば彼の領地が抱える総戦力……Knightから町の警備兵、活動しているadventurerまで総動員しても滅亡の二文字が見える。
「ですが、Noble Orc達は王も含めてそれほど優れた個体ではないかと。ああ、certainly Noble Orcとしてはですよ。私見を言わせてもらうなら、BClass adventurerを筆頭に、CClassやDClassを二百人程集めればどうにかなるかと」
「本当か!?」
途端、紙のようだった顔色にbloodの気が戻るBalchesse Viscount。しかし、すぐに溜め息をつく。
「だとしても大事だ。二百人のadventurerに、BClass以上の一流を呼び集めなければ。KnightやSoldierではmonsters相手の戦闘には対応力に不安が残る……これは私だけの手には余る。
Palpapek Marshallに相談しなければ」
自分では対応が難しい事態なら、上に助力を請うのも統治者としてのAbilityだ。prideの高さ故に独力で対応しようとしてmonstersの討伐に失敗すれば、失態どころか領地をmonstersに蹂躙されかねないのだから。
その点ではBalchesse Viscountはカイゼル髭に恥じないNobleだと言える。
「Noble Orcは夏には動くつもりだそうです。どうやらDevil Nestsで自分達に従わないmonstersのgroupがいるらしくて、その対応に追われているようです。maybe、Ghoulでしょう」
「なら、時間はあるか。
Luciliano、ご苦労だった。依頼料はAdventurer’s Guildに支払っておくが、今回の事はまだ内密に頼むぞ。民がpanicを起こすからな」
「ありがとうございます」
さて、これでようやく路銀が稼げたとLucilianoは安堵した。Alda教の勢力が強く、Undeadを使う事に制限がかかるAmid Empireとその属国から、彼は抜け出そうと前々から考えそのための旅費を貯めていたのだ。
とりあえず隣のOrbaum Elective Kingdomに行き、その後は居心地の良い町でも探すとしよう。
「では、引き続き指名依頼を受けてくれるな」
しかし、その予定はBalchesse Viscountの一言で延期になった。
二月になる頃、VandalieuはDevil Nestsに残っている無事なGhoul達を集め、対Noble Orc軍をorganizationしていた。
普通Kingは本拠地でどっしりと構えているものだが、Vandalieuの場合は直接使者に加わってGhoul達の下を訪ねて、協力するように説得していた。
それは【Death-Attribute Charm】の効果で、Ghoul達をスムーズに纏める為だったが……。
「Kingという名の雑用係なのだろうか、俺は」
「そんな事無いよ、King。ところで人数が増えたから新しい家を建ててくれよ、King」
「はいはい」
【Golem Transmutation】skillを使い、Wood Golem等の形を変えて竪穴式住居を作っていく。本格的な家はArchitectureの知識が無いので難しいが、一年以上滞在しているため竪穴式住居なら作れるのだ。
材料が自分から動いて命令通りの場所に移動し、命令通りの形に成ってくれるのでこのGolem Architectureはとても楽だ。材料さえあれば竪穴式住居一つ作るのに十分もかからない。
「おお凄いっ! 後十軒頼む!」
「King、集落を広げるから外壁も頼む」
「はいはい」
Deforestationされたままの木をWood Golemにして形を整え、木材に錬成。地面の土をEARTH Golemにして退いてもらって穴を掘り、竪穴式住居を作っていく。見える範囲なら同時進行で十軒施工可能。
Orbaum Elective Kingdomに行ったら、これで食べて行けるのではないだろうか? あの国に竪穴式住居のニーズがあるかは知らないけどと、そんな事を考えられるくらい余裕である。
更に竪穴式住居をもう十軒建て終えると、今度は外壁に取り掛かる。これは住居より更に簡単な作業だ。ただ単に丈夫な壁を建てればいいだけの事だから。
命令すれば後は放置しておいても出来上がるので、ほんの数分で終わる。
「流石Kingだっ!」
「素敵ーっ!」
『Kingっ、Kingっ、Kingっ!』
拳を振り上げてKingコールを行うGhoul達。Ghoulは基本的に怠惰な性質を持つraceなので、Vandalieuのように面倒な作業を手早くこなしてくれる者に対する賞賛を彼らは惜しまない。
見習おうとは思わないようだが。
「おーい、Van。kaa-sanが呼んでいるぞ」
「分かりました。じゃあ、後はよろしくお願いします」
ペコリと一礼してその場を後にするVandalieu。彼のお蔭で重労働をしないで済んだGhoul達の声援は、しばらく続いていた。
Tareaの集落も含めて四つの群れをAbsorptionしたGhoul達の数は、二百七十を超えた。その半分は女であるし、老人も僅かだが居る。しかし Ghoulは三百age近くまで男女にかかわらず優秀なWarriorであり続けるraceだ。
四つの群れにいるのは最高でもRank4のGhoul Warriorで、VigaroやZadirisのようなRank5以上の強いGhoulは存在しなかったが、彼らはTareaによって充実した装備で武装している。
fullプレートArmorに匹敵するDefense Powerを誇りながら、それよりもずっと軽いIron Turtleのcarapace鎧。
鉄の鎧も貫くLance Bullの角を穂先に使用した槍。
adventurerでもDClass以下なら中々手が届かない充実ぶりだ。magic itemではないものの、それで武装したGhoul達の戦闘Abilityは、単純にRankで計れるものではない。
body part Abilityや特殊Abilityでmonstersに劣るHumanが、monstersに勝てる三大要素。それはCoordination、skill、そして充実した装備。その最後の一つを彼らは持っているのだ。
しかしその代償に彼女達には無いものがあった。
「その年で碌に戦えないとはどういう事だ? お前は本当に私の十倍近く生きているのか?」
「それが何? 私は武具を作る事と女が自前で持っているWeapon Equipmentでここまで成りあがったのよ、childを産んだ事も無い小娘は黙っていなさいな」
睨みあうBasdiaとTarea。片や二十代半ばで身長百九十の女Warrior、片や十代後半の小柄なShoujo。実際には二十六ageの小娘と、壮絶な人生を過ごしてきた二百六十ageの女族長。
何故かこの二人は仲が悪かった。
ただ実際Tareaと彼女の集落の女達は戦う術を知らなかった。武術系skillどころか、適性があるはずのmagicも、生活の役に立てる程度の簡単な物しか使えず、戦いの役に立てるのは難しい。
しかし Tareaによって、彼女達はGhoulというraceに似つかわしくない職能集団として機能している。全員がTareaに及ばないものの一人前以上のArms Artisanであるため、今もWarrior達が使うための武具を製作してくれている。
「こ、childはVanが産ませてくれる!」
「この小娘にVan -samaが!? そうなのですか、Van -sama!?」
「……Nuanceが違いますけど、そうです」
少子化問題に取り組んでいるという意味で。しかし何故この二人は喧嘩腰なのだろうかと、Vandalieuは遠い目をしていた。
「そもそもVanに馴れ馴れしいぞ」
「-samaを付けずに呼んでいるあなたの方こそ馴れ馴れしいですわ」
眼光鋭く睨みあう二人。もれなくbarelyとfangsが音を立てる辺りがGhoulらしい。
二人の仲の悪さは、Tarea達を連れてVandalieuが戻って来た時から始まった。
Ghoul Kingに早速取り入ろうとTareaはVandalieuに、「これからの戦いの事でご相談がございますの」と言葉巧みに馬車に乗り込んだ。そして幼児らしく昼寝に入ったVandalieuを抱いて集落に到着したのだ。
それを出迎えに来たBasdiaが目撃して口論になって……この有-samaである。
いや、原因は大体Vandalieuも解っている。しかし結婚という概念を持っていないGhoulのBasdiaが、何故Tareaに突っかかるのかが分からない。仲の良い弟を取られたような気分になっているとも、これまでの言動を考えると思えない。そもそも、何故この二人はここまで真剣に二age児を取り合うのか。
「少しはageの事も考えたらどうだ?」
「あら、ごめんなさい。私は元Humanのせいか、つい見た目通りのageのつもりで振る舞ってしまうの。羨ましいわぁ、あなたみたいな老けている人が」
「……その割には垂れているな」
「た、垂れ!? 違わいっ! これは垂れてんじゃなくて大きいの!」
「そうか? 私のは全く下を向いていないが」
口調を崩して猛烈に抗議するTareaと、それを余裕の表情で見下ろすBasdia。二人とも豊かなBustの持ち主であり、そして事実Basdiaの胸は砲弾のように前にthrust出ていて垂れる-sama子も無い。
「このmuscleバカ!」
「知らないのか? Vanはmuscleが好きだぞ」
「まあ、好きというか憧れますけど」
muscleはPower、Powerがあれば強者、つまりmuscleがあれば踏み躙られる側から卒業できるのだ。ああ、素晴らしきかな、muscle。
そんなVandalieuの呟きが聞こえているのかいないのか、BasdiaとTareaの喧嘩が続いている。その-sama子はギャンギャン喚くTareaを余裕のあるBasdiaがあしらうという感じで、年の功が若さの前に敗北する未来しか見えない。だがTareaが諦めないので未来が中々やって来ない。
Noble Orc対策の建設的な話し合いを始める未来は、何時来るのだろうか?
「どうすれば止まるかな?」
そう質問してみても、Zadirisは「muscleも胸も、どちらも無い儂の身に成ってみろ」と何か呟いているし、Vigaroは腕を組んで何か考え込んでいる……ように見える。他の集落の長達は、originally力関係でTareaにloseいたので口を出すつもりは無さそうだ。
『ここはBocchanが止めるべきです』
馬車から離れられないSamの代わりに出席しているSalireはそう言いきった。
『BocchanはNobleに成りたいのでしょう? でしたら、それくらい出来ないと』
「……俺の中のNobleのimageに、大きな変更が加えられそうです」
『Nobleは、female関係で苦労するものですよ。私達が働いていたNobleの家もそうでした』
正妻と妾の争いが凄いらしい。そういえば、Japanに生きていた頃に聞いた江戸時代の大奥も凄い事になっていたらしいなと、Vandalieuは思い出した。
BasdiaとTareaは正妻でも妾でもないが、ケンカの原因が自分なのは事実なので、なら自分が止めるべきだとVandalieuは立ち上がった。
「フン! 決着はNoble Orcの首を私が作ったWeapon Equipmentが刎ね飛ばした後まで待って差し上げますわ!」
「ああ、お前のWeapon Equipmentを私が役立ててやった後だな」
立ち上がった瞬間終わるのは何なんだろうか?
「では、これからNoble Orc攻略のtacticsを練りたいと思います」
動揺せずにすぐにそう言えただけ良かったかもしれない。
現在の戦力はGhoulが約二百三十と、Vandalieu一行。武装はVandalieuが提供したmagic itemとTarea達が制作する装備で充実している。
数はloseいるが、装備の水準では明らかにNoble Orc達の軍勢を上回る。幾らOrcやGoblin、Koboldを纏めても、配下の頭が良くなる訳ではないのだから、武装は他のmonstersの群れより多少マシな程度だろう。
ただそれだけで数と質の差をひっくり返せるかどうかは分からない。
数の差については、VandalieuがGolemやUndeadを量産する策もあったのだが、ここが密林でOrcに対応できるStone GolemやRock Golemの材料に成る、石や岩が少ないという事情でGolemは却下。
Undeadにしても、monstersのboneや死体から作ったばかりのconditionではRank1程度なのでOrc相手には戦力に成らないので却下。
元からRank3で作れるLiving Armorを増やすという手もあるが、それに鎧を使うよりはGhoulの武装を充実させるために使う方が、確実に戦力がupするので却下となっていた。
ままならないものだ。
「まず、こちらから襲撃をかける。これは決まりだと思います」
Vandalieuの言葉に全員が同意した。数では大分、質でもそれなりに差があるのだから、こちらから攻めるしかないのだ。
そもそも相手の主力であるOrcは突進力とMysterious Strengthに優れたmonstersだ。そんな物相手に守りに回れるのは、しっかりとした城砦を築けるHumanだけだ。Ghoulの集落の外側を囲む木の外壁では、数秒と持たないだろう。
逆に言えば、Orc達も守るのは苦手だ。
「既に相手の陣地は判明し、放った虫Undeadの目を通して偵察も済ませてあります。苦労してmapに起こしたのが、これです」
虫のcompound eyesを通して見たので細かいところまでは分からなかったが、建物の配置を探るには十分だ。紙代わりにしたMonsterの皮に染料で描いたmapを見せると、おおとGhoul達がどよめく。
「これがmapか」
「この四角は何だ?」
「凄いなVan、mapが描けるのか」
「Van -sama、Ghoulは普段mapを使わないので……もう少し説明が必要ですわ」
「……俺の努力って」
滞在してもうすぐ二年になるため忘れていたが、文化の差は大きかった。
頑張ってmapを描いた時間を思い出すと軽く落ち込むので、Vandalieuは竪穴式住居の地面をEARTH Golemにすると、【Golem Transmutation】でNoble Orcの集落の模型を作った。
会心の出来である。
「坊や……最初からこの方法なら、苦労してmapを描く事も無かったのではないかの?」
「あ……」
そこそこ落ち込んだ。
「おお、これは凄い!」
「Earth-Attribute Magicか!? しかしこれ程緻密な制御が出来る者は見た事が無い!」
「もっと凄いぞVan! mapよりずっと分かりやすい!」
しかもギャラリーの評価はこっちの方が高かった。次からはmapを描くなんて面倒な事はせずに、こうやって模型を作る事にしよう。そう心に決めるVandalieuだった。
「それはin any case、敵集落の外壁は丸太を組んだ木製で、出入り口は東と西の二つ、見張り櫓が東西南北に一つずつ。ただし、居るのはKoboldかGoblinです」
「Orcは体が重い。櫓に登りたがらないだろう」
平均的なOrcの身長は二meter程。体重は百キログラムを楽に超え、Weapon Equipmentや鎧を装備していたら更に重くなる。櫓に昇りたがらないのではなく、その体重に耐えられる櫓を作れないのかもしれない。
「基本的に全ての建物は木で出来ています。でも、火は出来るだけ使わない方向で」
「うむ、延焼したら捕まっている女達まで焼け死んでしまうからの」
集落には百を超える女Ghoul達と、十数人の女adventurerが囚われ慰み者にされている。Orc達にとって彼女達は貴重な母体だが、戦いの最中に自分の命を危険に晒してまで守ってくれるとは思えない。
「それどころか人質にされかねないな」
「ああ、やりそうだな」
今までVandalieuは救出目標を人質にされる心配などした事が無かった。しかし、それはUndeadであるBone Man達が戦いの前面に出ていたため、それを見た敵が勝手に「人質は無意味」と思い込んでくれたからだ。
今回の主力はVigaro達Ghoulなので、当然Orc達も捕えている女Ghoul達を人質にする事を考えるだろう。
「なのでまずこことここ、後この建物を確保するのがFirst目標です」
囚われている女Ghoul達は助ける事が決まっている。VandalieuはGhoulの霊達から助けてくれと散々頼まれているし、Zadiris達にしてもどうせ攻め込むなら助けておこうという考えなので、反対は出なかった。
「Humanの女はどうするつもりだ?」
「それも助ける方向で。助けた後どうするかは、後で考えましょう」
Vigaroの質問に、Vandalieuはそう答えた。囚われているとは言え女adventurerはGhoulとVandalieu共通の敵だ。助けてくれたからと恩を感じてくれるとは限らないし、寧ろ彼女達からしたらOrcからGhoulに飼い主が変わるだけだと思われるかもしれない。
それどころかどさくさに紛れて逃げ出すか、最悪攻撃してくる可能性もあるが、maybe大丈夫だろう。Orc達が女達を紳士的に扱う訳がないので、助けた直後はEmotionalにもBody的にもボロボロだろうから、碌に動けないはずだ。
Vandalieuとしては、将来reincarnationしてくるCheat共に攻撃してくる材料を与えないために出来るだけ助けておきたいという理由もある。
「では、Vandalieuの合図でCharge後、女達の確保。その後、敵が逃げ出すまで殺す。これでいいな」
「所詮はhorrorだけで縛り付けている群れだ。ある程度Orcの数が減ったらGoblinやKoboldは逃げ出すはず」
「Noble Orcが無条件に服従させられるのは、下位raceのOrcだけですものね」
monstersの群は基本的に群れの支配者がhorrorで支配している。そのため、そのhorrorより大きいhorrorに晒されればあっさり瓦解してしまう。
Orcは上位種であるNoble Orcに服従し続けるだろうが、こっちは残ってもらわないと困る。あっさり逃げられてまた数年後に大集落を築かれるとキリが無いからだ。
「っで、問題のNoble Orcは俺達がVandalieuの援護で倒すと」
この中で最も戦闘Abilityに優れたVigaroに、Vandalieuの援護が付けばRankが1~2違うNoble Orc相手でも良い勝負が出来るはずだとconjectureしていた。
「そして、集落の首領のNoble Orcが出て来るまではCommandingはVigaroとZadirisに任せます。俺達は遊撃という事で」
「Kingが遊撃というのもどうかと思うが、坊やの力を活かすにはそれが一番じゃからな。しかし、偵察のUndeadや連絡手筈は整えるのじゃぞ。坊や以外虫Undeadや霊の言葉は聞こえないのじゃからな」
Ghoul Kingに就任したVandalieuだが、就任時に言った通り彼に集団戦のCommanding Abilityは無い。そのためKingであるにもかかわらず、彼はこの戦いでは遊撃部隊として行動する事にした。
「気を付けるんだぞ、Van。お前の命はお前だけのものじゃないんだからな」
「はい、少子化対策的な意味で俺だけの命じゃないですし、まだやりたい事もあるので気を付けます」
【Alchemy】skillを覚えてGhoul達の少子化問題を解決。その後は胡桃味噌やドングリ味噌作りにチャレンジしてみたいし、Orbaum Elective Kingdomに旅立つ前に【Maturation】のmagic itemや【Demon Fire】を使った冷蔵庫も作っておきたい。
Ghoul達のためにやりたい事は沢山あって、Noble Orcを殺さなければならない理由も沢山ある。気を付けて無茶や無理をしなくては。
その上、Darciaを生き返らせ、復讐を達成しなければならない。死ねない理由には事欠かない。
「では、出発は三日後という事で」
ブブブブブブ。
何匹もの虫が東へ東へとfeatherを震わせて飛んでいた。
甲虫も居れば蠅もトンボも、虻もテントウ虫も居る。中にはpredatorと被predatorの関係にある虫もいるが、そんな事は関係無いと言わんばかりに飛んでいる。
この虫はVandalieuが一月以上前、念のためにと放った虫の死骸を使ったUndeadだった。
彼らの使命は、万が一の時Ghoul達が逃げ込む他のDevil Nestsを探す事。そして将来東のMountain Rangeを越える旅をするVandalieuのために、道中に何があるのか探る事。
nightも昼も無く虫達は進んだ。何匹か鳥や生きている虫に捕まって数を減らしていたが、構わず進む。刃のように鋭い岩が連なる崖も、悍ましい食獣植物が繁茂する丘も越え、只管進む。
そして虫達が止まったのは、Mountain Rangeを一つ越えた所にある長大な石造りの壁の一部だった。Mountain Rangeの一部ではないかと思う程大きな、しかし所々罅が入り場所によっては崩れている壁の周囲を飛び、探った後虫達は壁に張り付いた。
使命は達成した。後はここでmasterからの連絡を待つだけだ。それまで、じっとしている。
・Name: Bone Man
・Rank: 3
・Race: Skeleton Soldier
・Level: 100
・Passive skills
Dark Vision
Mysterious Strength:2Lv(UP!)
・Active skills
Sword Technique:1Lv
Shield Technique:1Lv
Archery:1Lv
Silent Steps:1Lv
Coordination:1Lv(NEW!)
・Name: (Bone Bird)
・Rank: 3
・Race: Phantom Bird
・Level: 98
・Passive skills
Dark Vision
Spirit Form:2Lv(UP!)
Mysterious Strength:2Lv(UP!)
・Active skills
Silent Steps:1Lv
High-Speed Flight:1Lv
・Name: Sam
・Rank: 3
・Race: Ghost Carriage
・Level: 65
・Passive skills
Spirit Form:3Lv(UP!)
Mysterious Strength:3Lv(UP!)
Rough Road Travel:2Lv(UP!)
Impact Resistance:2Lv(UP!)
Precise Driving:3Lv
・Active skills
Silent Steps:1Lv
High-Speed Running:1Lv
Charge:2Lv(UP!)
・Name: Salire
・Rank: 3
・Race: Living High-Leg Armor
・Level: 82
・Passive skills
Special Five Senses
Physical Ability Enhancement:2Lv
Water-Attribute Resistance:2Lv
Physical Attack Resistance:2Lv
・Active skills
Housework:2Lv
Halberd Technique:2Lv(UP!)
Archery:1Lv(NEW!)
Coordination:1Lv(NEW!)
・Name: Rita
・Rank: 3
・Race: Living Bikini Armor
・Level: 81
・Passive skills
Special Five Senses
Physical Ability Enhancement:2Lv
Fire-Atribute Resistance:2Lv
Physical Attack Resistance:2Lv
・Active skills
Housework:1Lv
Naginata Technique:2Lv(UP!)
Archery:1Lv(NEW!)
Coordination:1Lv(NEW!)