Isla達Dark Night KnightsやLegionによって、Sleygarと殆どの『Hilt』は始末された。
しかし、たった一人だけ生き延びた『Hilt』がいた。彼の存在は最初からErwinや他の『Hilt』にも知らされなかった。Erwinは薄々察していたようだが、何処に何人待機しているのかはまでは知らなかった。
彼はErwin達から離れた場所で情報収集に専念していた。そしてRickertの救援にも向かわず、彼等が殺されるのをただ静観し、情報収集に徹し続けた。
そして戦闘が終わったら、逃走に専念した。Marme Dukeがいる占領軍司令部をそのまま無視して通り抜け、待機していた他の『Hilt』の元に情報を持ち帰ったのだ。
「……杞憂に終われば良かったのだが」
その情報が記された報告書に目を通したAmid Empire Emperor、Mashkzar・Amidはそう呟いた。
彼は甥であるRickertを含めた四人の『Fifteen Evil-Breaking Swords』を、捨て石にしたつもりは無かった。非常事態なら……想定を超える非常事態が起こっても、切り抜けられるmemberを派遣したはずだった。
『Insect Army』のBebeckettが率いる蟲がいれば、Vandalieuが千を超えるUndeadを使役しても殲滅……使役する数が数千でも、抑える事は出来るはずだった。
『King Slayer』のSleygarがいれば、Bebeckettの蟲がUndeadを抑えている内にVandalieuを暗殺できるはずだった。
そして『Five-headed Snake』のErwinは、adventurerだったらSClassへの昇格も狙えた腕利きだ。Artifactだけでは無くDemon KingのEquipmentも貸与したため、もしVandalieuが【Demon King Fragment】を使用しても討伐できるはずだった。
『Light Speed Sword』のRickertも、他の三人よりも戦闘Abilityでは劣るが他のKnightと比べれば十分過ぎる戦力になる。Holy Sword Nemesis Bellと【Sword Technique】のSuperior Skillである【Light Speed Sword Technique】を振るえば、足手まといにはならないはずだった。
だが報告書によると、全ての「はずだった」は現実には成らなかった。
Bebeckettは蟲を全て奪われ、Sleygarは首を刎ねる事に成功するも暗殺には失敗。Erwinも善戦し、今まで謎に包まれていたVandalieuの力を引き出す事に成功したが、敗北。
Rickertも異形のmonstersの謎の力の前に敗れた。
「尽く目算が狂うとは……余も老いたか」
既に百を超える年月を生きるMashkzarは、長寿のHalf-Elfらしく皺ひとつない顔を撫でて言った。
「陛下、その-samaな冗談を言っている場合ではありませんぞ」
Mashkzarの執務室に併設された、機密性の高い事柄を話し合うための会議室。そこに集まった者達は揃って深刻な顔をしていた。
Mashkzarの他には軍が押さえているSpace-Attribute Mageの【Teleportation】で帰還した、生き残った『Hilt』本人。『Fifteen Evil-Breaking Swords』の纏め役である『零剣』のCarmine、それにImperial Capitalを守るFirst軍を率いるヒュペリGeneral、バンゲイン宮廷Mage長。それ以外の者もMashkzarが信を置く腹心ばかりだ。
「Sauron領の軍本部から緊急の報告があり、Marme Dukeの主だった家臣やKnightが白昼何者かに暗殺、及び拉致されました。そしてDuke本人は犯人に拉致された模-samaです。……首から上のskinを除いて」
異変に気がついた兵が司令部のある建物に入ったところ、中はbloodの海だった。何かのmagicによってblood臭を消されていた為誰も気がつかなかった。
そしてMarme Dukeの執務室の壁には、まるでマスクのようにDukeの首から上の皮だけが打ちつけられており、その下にはRickertの左右にBisectionされた首が転がされていた。
建物に居たはずのServantや下働き、そして幾人かのSoldierは無事だったが、何らかの方法でMemoryを消されたのか、中で何が起こったのか誰も思い出せないと言う。
「犯人は明らかにVandalieu本人か、その手の者でしょうがそれどころではありません。
軍本部は混乱の坩堝です。Marme Duke軍のCommanderの一人が本国の命令を待たず、Duke救出の為勝手にDuke軍の一部を率いて旧Scylla Autonomous Territoryに向かってしまいましたが、その後連絡がありません。恐らくは……」
「このままではOrbaum Elective Kingdomにこの非常事態が伝わるのも時間の問題……いや、既に掴んでいるかもしれません」
ヒュペリGeneral達の危惧は正しい。Empire内ではRickertの出動は大々的に知られているし、一部だがMarme Duke軍が勝手に出動したのだ。これでOrbaum Elective Kingdomがまだ異変に気がついていなければ、Elective Kingdomの情報部は無能もいいところだ。
しかし、MashkzarはヒュペリGeneralでは無くバンゲイン宮廷Mage長に視線を向けた。
「報告に在る特殊なmagicに心当たりは?」
「お恥ずかしい話ですが、見当しかつけられません」
バンゲインはそう言って一旦口を閉じた。だがMashkzarが無言で先を促すと、渋々といった-sama子で再び口を開いた。
「recordに残っているどのattribute magicとも異なり、特殊なGhostを使用する等特異性ばかりが目につきます。ただ報告を見る限り死を連想させるmagicが多いように思えますな。
以上の事から生命attributeを逆転させているのか、それとも……Demon King Guduranisが使用していたとされる死のmagicではないかと思われます」
突然出たMythの中でのみ語られる存在とmagicに、腹心たちが「そんなBAKANA」とざわめく。
しかし意見を聞いたMashkzarは「そうか」とnodと、深く息を吐いた。
「【Demon King Fragment】を我が身同然に使うのだ、Demon Kingのmagicが使えても何の不思議はないか。しかも高RankのUndeadを幾体も従えるとは、最早Demon Kingそのものだな」
「陛下っ! ですから問題はDhampir一人だけではありません。このままではSauron領をOrbaum Elective Kingdomに奪い返されてしまいますぞ!」
「その通りだ、ヒュペリ」
ヒュペリが軍人らしい大声で主張した内容にMashkzarは、はっと目を見張った。そして席から立ち上がると、こう言い放った。
「Sauron領をElective Kingdomにくれてやれ!」
「畏まりました! Sauron領を……陛下、今何と!?」
「くれてやれと言ったが聞こえなかったか? 発案者はお前ではないか」
「わ、私はくれてやりましょうと言った訳ではありません! 一体何を考えているのですか!?」
青くなって言い返すヒュペリに、Mashkzarは「厄介払いに決まっているだろう」と返した。
「Carmine、その『Hilt』には【計測】のUnique skillがあったな」
【計測】のUnique skillは、その名の通り見た物を計測する事が出来るskillだ。【Magic Eye of Appraisal】のように対象のStatusを全て見る事が出来る訳ではないが、情報収集において有用だ。
「発言を許す。Vandalieuについて報告せよ」
「御意。私が目にした時点で……age、九age。secondary name、九。経験済みJob、十二。Passive skills、十八。Active skills、二十六。Unique skill、八」
『Hilt』の淡々とした報告に、ヒュペリGeneralも含めて多くの者が息を飲んだ。
secondary nameはまだ良い。名づけるだけなら、過去にも親BAKANA為政者が自分のchildに山ほどsecondary nameを付けた例が在る。
だが九つの少年が十二のJobをlevel100まで上げ、PassiveとActive合わせてskillを合計四十四も獲得している。しかも一つ持っているだけで希少なUnique skillを八つも持っている。
skillの名称やlevelは不明だが、Erwinとの戦いからconjectureすればSClass adventurerに相当する脅威である事は間違いない。
……実際には『Hilt』が【計測】したあと更に一回Job changeしているのだが。
「他のUndeadやVampireはどうだ? Rankのみ報告せよ」
「……低い個体でもRank7、最も高い個体はRank12」
腹心達のざわめきは、より大きくなった。
「低くてもRank7だと……Undeadの中でも上位ではないか!」
「しかも最も高い個体がRank12!? 個体によっては龍やEvil God (M)に匹敵する力を持つRankだぞ。
今すぐ各adventurer、及びMage guildに通達を出さなければっ!」
「陛下! 至急宝物庫の奥に保管されている残りのNemesisと、Demon KingのEquipmentを確認し、随時適任者に貸与して訓練をさせるべきです!」
「危機感を共有できたようだな」
Mashkzarがそう言うと、はっとしてヒュペリ達は口を閉じて彼に注目する。
「だがまだ足りない。奴はBoundary Mountain Rangeを【Teleportation】によって自由に越える事が出来る。しかし、逆に我々が越える事は至難の業だ」
相手は強力無比なUndeadの軍勢を連れて自由に攻めて来られるのに、自分達は反撃もままならない。
Vandalieuがその気になれば、Empireの都市や村にUndeadの群れを送り付け、穀倉地にvirusを撒く事が可能だ。Mirg Shield NationのBalcheburgやその開拓地と同じ悲劇を幾らでも起こす事が出来る。
それはFamiliar Spiritを砕く事が出来る事よりも、Mashkzar達にとっては驚異的だ。
今までにない危機な状況に、腹心達はざわめく余裕すら無い。
「しかし、それとSauron領をElective Kingdomにくれてやるのと何が関係するのですか、陛下? もしや、新たなDemon Kingとの戦いにElective Kingdomを巻き込むつもりですかな?」
バンゲイン宮廷Mage長が沈黙を破ってそう言うと、Mashkzarはその通りだと頷いた。
「Vandalieuがどう思っているかは不明だが、奴は確実にElective Kingdomとは合わない。
事実、奴が裏で糸を引いていた『Sauron Liberation Front』とElective KingdomはCoordinationできなかった」
「たしかに……Spy達の報告では、Elective KingdomのNoble共はSauron Dukeの遺児……主流派は次男、その次に大きい派閥は五男、そして末の三女は……脱落したのでしたな。
何にしても、彼等にとっては『Sauron Liberation Front』は邪魔だったのでしょう」
Iris率いる『Sauron Liberation Front』には、Nobleでも見捨てられた末のyoung childや養子、Illegitimate Child達が参加していた。彼女達が手柄を上げると、他のDuchyに脱出したNobleの本家にとっては外聞が悪く、援助している他のDuke 家やそれに連なるNobleの旨味が大幅に減る。
IrisやVandalieuは気がついていなかったが、『Sauron Liberation Front』とOrbaum Elective KingdomとのCoordinationが上手く行かなかったのは、そんな泥臭い理由だった。
今は亡きRaymond ParisがElective KingdomとCoordination出来ていたのは、その泥臭い政治的交渉に成功したからだった。
そしてOrbaum Elective Kingdomと長年矛を交えて来たAmid Empireの重鎮達は知っていた。あの国の内部がどれだけ腐っているか。二百年前Talosheimを見捨てたHartner Duchyだけでは無い。Decompositionは深い部分で進んでいる。
今回分かったVandalieuの性格から考えて、とても上手くはいかないだろう。彼の母親の仇であると思われる、Heinzが国家的Heroとなっている事を抜きに考えても。
「なるほど……その上でVandalieuを東西から挟み撃ちにするのですな?」
そう問うヒュペリに、Mashkzarは「その時の状況次第だな」とだけ答えた。
(Elective Kingdomが共通の敵が出現したぐらいで、我がEmpireと手を取り合えるとは思えない。それに、Vandalieuもmonsterではあっても愚か者ではあるまい。今回Ragdew Baronを引き入れた-samaに、Elective Kingdomでも幾つかのallyを作る事だろう……狙ってやったにしては微妙な人選ではあるが。in any case、Elective Kingdomと全面戦争にはならんだろう)
状況次第ではいっそ、和睦を申し入れるのが良いかもしれない。自分を含めた数名の首と莫大な賠償金、広大な領地と数十万の人員。これぐらいでEmpireの存続が叶い、後世に力を残し再び繁栄を手にする可能性を残せるのなら御の字だ。
(しかし、流石にそれは周りが納得せぬか)
Emperorという立場も難儀な物だと、Mashkzarはこのroomに呼ばれていなかったMarshallにSauron領の放棄について打ち合わせる為、この秘密会議の終了を告げた。
Irisは温もりの中で溶けていた。
Rickertが振るったNemesis Bellによって負った傷の痛みも、苦しさも、五体もfive sensesも全て消えた。
致命傷によるLostではなく、心地良い微睡みの中で曖昧に溶けたのだ。
全てが溶けて意識だけが残った。だが、その瞬間から逆再生のようにfive sensesが、Bodyの感覚が戻っていく。
『お前-sanのconditionは蛹と一緒だ。一度ドロドロに溶けて、そこからwhole bodyを再び作る。要は、生まれ変わりだな』
聞き覚えの無い、しかしとても親しみを覚える声が聞こえる。
『蛹と違うのはかかる時間が短い事ぐらいだ。大体七日七晩。tonight、お前は生まれ変わる。儂の娘としてな』
紅い膜の向こうに、大きな人shadowが見えた。Irisは、Instinct的に腕を伸ばしてその膜を内側から突く。
「っ!?」
その途端膜は脆くも破れ、Irisは中に満ちていた赤黒い液体と共に流れ落ちた。
冷たい床に落ちたIrisは、ゴボリとlungの中の液体を吐き出した。
「空気が、心地良いな……Godwin -dono」
生まれ変わったIrisは、Majin King Godwinを見上げて生まれ変わった後のFirst声を発した。
「ハッハッハ! 生まれ変わってすぐ声を出せるとは、流石Emperorが儂に頼むだけはある。普通だったら口を利くどころかすぐ気を失うように眠りにつくところだぞ」
Vandalieuに頼まれてIrisをMajin Raceに変異させたGodwinは、満足気に笑った。
「その折は、無茶を聞いていただき感謝している」
「硬いぞ、娘よ。儂の事は第二の父とでも思ってくれで構わんぞ。それにだ、七日七晩働く程度で済むなら御の字よ」
VandalieuがIrisをVida's New Racesに変化させる儀式を頼み込んだ相手、それはMajin King Godwinだった。
突然現れて頼み込むVandalieuに、Godwinは最初他raceをMajin Raceに変化させる儀式の実行を躊躇した。それはGodwin自身行った事の無い儀式であり、Majin nation全体でも数千年以上行われていなかったからだ。
しかし、「Emperorとしてお願いします」と頼まれた瞬間「任せろ」と胸を拳で叩いて請け負ったのだった。……これで実績が出来て、自分は完全無欠にEmperor Candidateでは無くなるからである。
「儂の事はそうさな……あっちが父上だから、Papa上とでも呼ぶか?」
「……是非、他の呼び方をしたいと思います」
Majin Raceは、Humanや他のVida's New Racesの内monstersにrootsを持たないraceを同族へ変化させる事が出来る。そのための儀式には、幾つかの種類があった。
その一つがGodwin達Battle-Majin Diabloの行うbloodの繭だ。
特別なmagic陣を描き、その中心にMajin Raceが聖杯と呼ぶ特殊な器を置き、そこに親となるディアブロがbloodを注ぐ。更に生贄……大量のManaとVitalityをbloodの形で捧げる。
するとbloodで出来た繭のような物が出来上がる。そして繭の中にMajin Raceに変異する事を希望する者を入れると、七日七晩後に新たなMajin Raceとして再生、誕生するのだ。
「そうか? まあ呼び方はどうでも良い。肝心なのは言葉に込められた親愛の情だからな。
in any case、何度か言ったが儂もこの儀式を行うのは初めてでな。面倒だし痛いし生贄が大変だし、七日も繭の前であ~だこ~だと話しかけ続けなければならんし。だが、その甲斐あって結果は上々のようだ。上手く変異しているぞ」
そう言いながらGodwinは娘と成ったIrisの角の先端から爪先までじっと見つめた。
基本的な容姿は以前のIrisそのままだ。だが肌は青く、瞳は金色に変化している。側頭部からは捻じれた二本の角が、背中からは蝙蝠やDragonを連想させるepidermisの翼が、尾骶boneの辺りからは先端が逆三角形になっているtailが生えている。
完全な女Majin Raceだ。
「Legionの肉のせいか? 若干肉が増えた気がするが……繭の中に入る前は死にかけてやつれておったから、今と比べて痩せて見えただけかもしれん。
まあ、立派なMajin Race、Obscene-Majin Succubusの一員と成ったようだな。儂もEmperorに胸を張れるというものだ」
「……Godwin -dono、それは褒められているのだろうか?」
生えたばかりの翼でbody partを隠してIrisが顔を顰める。しかし Godwinは気にした-sama子も無い。儀式を行った副作用として、GodwinはIrisに対して実の娘に近いemotionsを抱いているため異性として認識できないからだ。
「ん? 褒めたつもりだぞ、儂は。そもそもHumanやElfがMajin Raceに変異すると、Giant raceのように大柄であるとかBeast raceやRyuujinとのハーフであるとかでない限り、ほぼ確実に淫魔になるのだ」
どうやらMajin Raceの儀式では、執り行うのがBattle-Majinなら子もBattle-Majinと化すという訳では無いようだ。
生まれ変わる者のraceや体格のみが関係するらしい。
「まあ、別に気にするな。外のworldでどう言われているか知らんが、Succubusだからと言ってそれらしくする必要はない。単にEnergyを吸ったり、異性に対してのみだがHuman等の異raceそっくりに化ける事が出来たりする程度だ」
そう言われたIrisだが、どうしてもHuman社会のSuccubusやインキュバスのimageが拭えず、褒められているとは思えなかった。
「まあ、とりあえず服を着て外のEmperorや部下達に顔を見せて来ると良い。誕生祝いにMajin nationの最新トレンドを用意させたぞ」
そう言ってGodwinが指差す籠の中には、衣服が一通り揃えられている……らしい。
「あの……私には変わったdesignの下着しか入っていない-samaに見えますが?」
籠の中には、VandalieuやLegionが見たら「水着か?」と思う-samaな物しか入っていなかった。
「ん? 下着以外も入っているだろうが。Defense Equipmentはちと早かろうと思ったので、まだないぞ」
「いえ、ですから服を……」
「いや、だから服だが」
かみ合わないやり取りを経て、Irisははっと気がついた。この下着のような服がMajin nationの最新トレンドなのだと。
改めてGodwinを見てみると、彼が着ている服は網目の入っている膝下までの皮のbreadツだけで、他につけているのはDefense Equipmentや装飾品の類だった。冷静に見ると、かなりの露出度である。
「……もう足手まといに成る事が無いように、どのraceに生まれ変わるかという問いに『出来るだけ強くなりたい』と答えたのは、早計だったろうか」
「いや、そんな今すぐもう一度死にそうな顔をせんでも良かろうに。別にこの服以外着てはならん訳では無いのだぞ。まあ、翼やtailの穴を空けんと成らんから、Humanの時より一工夫必要だろうが。
う~む、一昔前に流行った服の方が良かったか?」
厳格なKnightの家庭で育ったIrisをGodwinはそう慰め、昔に流行ったdesignの服……露出度は低いが髑髏やeyeball等の悪趣味な装飾がゴテゴテと過剰に付いた服を取りに行かせるのだった。
「グーリールー」
Majin nationの儀式場の外で、VandalieuはBugitas肉を炭火で焼いていた。その額には、ピコピコと黒い二本のantennaが揺れている。
「良い匂いでござるな~」
「ですねー。自然とantennaが動きます」
「鼻じゃないの!? Van -kun、-kunはもうantennaが生えているのが普通なの!?」
「……ボスがすっかり人から蟲寄りに……」
「ギヂ?」
「ひぃっ! 文句がある訳じゃ無いです、Peteの旦那!」
Sauron領でMarme Dukeとその他を誘拐し、見込みのある者達に亡命するか否かの勧誘を行った後、Vandalieu達はIrisの儀式が終わるこの日、再びMajin nationを訪れていた。
その中には『Sauron Liberation Front』の内Resistanceの古参memberやDavis、Haj達中心memberの内すぐに集まる事が出来た者達もいた。
Majin Raceに変異したIrisは今までのようにResistanceのleaderを続ける事は出来ない。Orbaum Elective KingdomでもMajin Raceは人として認められていない、それどころかmonstersとして討伐対象にされているからだ。
だから表向き新しいleaderを立てて、Irisはそれを裏からCommandingする事に成る。ただ流石に末端にまで「実はMajin Raceがleaderです」とは言えないので、信用できる者だけがLegionに一時的に取り込まれる方法でこの場に連れて来られている。
他にもPrivelやMyuze、Gizania、Zadirisなど、国の建て直しで忙しいBudarion達以外のmemberが集まっていた。
Irisの新しい誕生祝い兼、決起集会の為である。
鋏を持ったTareaが、瞳を爛々とさせて肉を焼いているVandalieuに声をかける。
「Van -sama、もう一度お願いしますわ! 次は出来るだけ柔らかく、けど丈夫さは同じで!」
「はーい」
その瞬間、Vandalieuの髪が爆発的に伸びた。しかしそれをTareaの鋏が元の長さになるまですぐに刈り取って行く。
「ウフフフ、何て柔らかい毛……もう髪の毛では無く柔毛ですわね。それでいて丈夫で衝撃や斬撃を防ぎ、耐火性もDefense Powerも抜群……」
やや変わったdesignだがdressを着た縦ロールの女Ghoulが、涎を垂ら-sanばかりに緩んだ顔で刈り取ったVandalieuの毛髪を抱きしめて頬ずりしている。その光景にHaj達は引いた。
Tareaが美人で魅力的な体つきをしている事も忘れるほど、引いていた。
「Van -sama、Van -samaは出かける度に素敵になって私の元に帰ってきますのね。どれだけ私の事を魅了すれば気が済むのかしら?」
「素敵な素材という意味でしょう? Tarea、旦那-samaをあまり疲れさせないように」
そうBellmondに注意されたTareaは、だらしなく緩んでいた口元に意地の悪い笑みを浮かべた。
「あら、言われなくても分かっていますわ、Bellmond。これも全てVan -samaから頼まれた特製のブラシを作るために必要な物ですもの」
「ブ、ブラシですと!?」
Tareaの言葉と視線に、Bellmondは反射的にお尻……では無く、腰から伸びる長いフサフサとしたtailを押さえて後さずる。
一振りすればAdamantiteの鎧を纏ったWarriorも薙ぎ倒す彼女のtailは、何故かbrushingの時は敏感になり、彼女はそれを弱点としていた。
そんな場所を【Demon King's Fur】製のブラシでbrushingされたらどうなってしまうのか……考えただけでも恐ろしい。
「旦那-sama! 今すぐ考え直してください!」
「ん? ブラシはGizania用ですよ」
「「……え?」」
きょとんとするBellmondと、いきなり自分のnameが会話に出て驚くGizania。
「Gizaniaのlower bodyのfurが見た目より硬いので、普通のブラシだと直ぐダメになりそうですから特別製の物が必要だと思ってTareaに頼みました。
でもBellmondも欲しいみたいですし、考え直してもう一つ作りましょう」
「だ、旦那-samaぁぁぁ!」
悲痛な声を上げるBellmondと、背後で「私、嘘は言っていませんわよ~!」と高笑いを上げるTarea。
「Vandalieu -dono、拙者達Arachneの、それもLarge-buildのlower bodyに生える刺激毛は硬いものと決まっているのだが……」
「まあまあ、何事もチャレンジです」
「Van -kun、ボクにも構ってよ~!」
Privelが腕とtentacleを同時に伸ばしてVandalieuを包んでしまう。tentacleの隙間から腕だけを伸ばして肉を焼き続けるVandalieuに、Gizaniaは説得を諦める事にした。
その光景にHajやDavis達male陣は引き攣った笑みを浮かべて、やや距離を取った。Vandalieuが羨ましいとは、絶対に思わない。
何故なら、自分達が巻き込まれたらboneの一本や二本は軽く折れるからだ。彼女達全員が【Mysterious Strength】skillの所有者で、特にGizaniaやPrivelはlower bodyも含めるとかなりの重量Classである。
Vandalieuが無事なのが不思議なくらいだ。
「いっそ私達もMajin Raceになっちゃおうか?」
「ちょっと、新しいPrincess Knight Candidateがいなくなるじゃないのっ!」
「全くじゃ。軽はずみに言うでない」
一方、焼きそばを焼きながらそんな冗談を言い合うResistanceのfemale memberに、Zadirisが苦言を呈する。
「bloodの繭の儀式に必要な生贄に、坊やとLegionがそれぞれManaとVitalityを捧げたのじゃぞ。それに親に成るMajin Raceに七日七晩付き合わせなければならん。
気軽に出来る儀式では無いのじゃぞ」
見た目は自分達より年下のZadirisに叱られて、「は、はい」「ごめんなさい」としゅんとするfemale陣。
「そう言うな、kaa-san。VanとLegionの負担はそれ程でもないから、深刻に感じなかったのだろう」
Basdiaがそう宥めるが、言ったのは口先だけの慰めでは無く事実だった。
儀式の為にVandalieuとLegionがそれぞれ提供したManaとVitality。それは普通に購おうとすれば莫大な量だ。
生贄には通常Majin RaceのWarriorやMageが生け捕りにしたmonstersから必要なManaとVitalityを抽出するのだが、その為に必要な労力が数百人分はかかる。
だが二人にとってそれぐらいなら大した負担では無い。特にVandalieuは「【Death Cannon】を一度撃つよりずっと少なくて済みます」と言ったぐらいだ。
Legionは――。
『そうね、私達の分は気にしなくて良いわよ。すぐ直るし、Rickertと戦った時に投げつけた肉片よりも少なくて済んだし』
気軽にそう言いながら、frank fullトを食べている。本当に大した負担では無いのだろう。
「まあ、そうじゃが――」
「おばあ-chan、お野菜とって~」
「おぉ、Jadalは好き嫌いの無い良い子じゃの~」
Basdiaの娘で自分の孫であるJadalにねだられた途端、Zadirisが険しい顔をデレデレと緩ませる。
お説教を免れた二人は、ほっと息を吐いた。
「ところで、他のLegion -sanは?」
大分Legionに慣れたResistanceのfemale memberにそう尋ねられたLegionは、frank fullトを食べてから答えた。
『全員ここにいるわよ』
『分離している訳じゃ無いんだ』
『【Size Alteration】skillと、【Form Alteration】skillで、分離しているように見えるけど』
『皆一緒にHuman Sizeの建物の中で行動するための練習よ』
『ブルルルルゥ!』
「……隣の人型のSlime -sanは?」
『……何故か対抗意識を持たれているの』
『ライバルだな!』
Legionには負けないと、頑張って人型を保っているSlimeのKühlだった。
「……これは、一体?」
そこに生まれ変わったIrisが儀式場から出てきた。角や翼が生えたためbody partのbalanceが変わったせいで若干危なっかしいが、しっかり歩いている。
因みに、衣服は結局一昔前に流行ったマント(背中が大きく開いた特殊なdesign)をHaoriり、中に露出度が高い今の流行の服を着る事で妥協したようだ。
その変わり果てた姿を見てResistanceのmemberは息を飲んだ。
「……皆、心配をかけてすまない。無事と言っていいか分からないが、Majin Raceに変異する事が出来た。
だが姿はこの通り大きく変わった。もし私について行けないと言うのなら責めはしない。はっきりと――」
「いや、別にそこまでじゃないと思いますぜ、お嬢」
「まあ、確かに前より妙な色気がある気がしやすが、それぐへぶっ!?」
『partner、お前は口が悪いなぁ』
「気にしないでleader! 私達は気にしないから!」
大きく姿が変わった自分に、そう声をかけこれまで通り付いて行くと宣言するDavis達。Hajが後頭部を剣の鞘で殴られたりしているが、そこに忌避感や拒絶は無い。
「皆、だが私は――」
「「「ボスやLegionに比べたら、誤差みたいなもんです」」」
「……そうだな」
尚も何か言おうとしたIrisだったが、皆の言葉に一気に納得した。
『随分な言われ-samaだね。まあ、自覚はあるけど』
「……まあ、MajinもLegionもHumanだし、良いですけど」
Legionは気にも留めていないが、VandalieuのMentalには地味にDamageが入ったようだ。Privelのtentacleの間から伸びた彼の手が、一瞬止まった。
「仕方ないわよ、ボス。antennaを揺らしながらじゃ説得力が無いわ」
「……それもそうですね。あ、そうだ。Privel、ちょっと放して」
Milesにそう慰められたVandalieuは、Bugitas肉を焼くのを止めてPrivelのtentacleから這い出ると、徐に何処からともなく立派な鞘に収められた一振りの長剣を取り出した。
その長剣を見て、Irisは息を飲んだ。
「Nemesis Bell……!?」
Rickertが振るい、彼女に致命傷を与えMajin Raceに生まれ変わる原因を作ったHoly Swordだ。
世間一般ではlegendのHoly Swordだが、Irisにとっては忌々しい凶器でしかない。そのはずなのだが、彼女は何故か剣に肉親に覚える-samaな愛おしさを感じた。
『Irisぅ……』
「その声は父上!?」
それは、Nemesis Bellに父George・Bearheartが憑いているからだった。
「一体何故父上がHoly Swordに!?」
「Nemesis Bellの中に宿っていたFamiliar Spiritを俺が食って、入れ物だけになった剣にGeorgeを宿らせました。元の剣は罅が入っていましたからね。
普通なら特定の物に長く宿った霊を別の物に入れ直すのは難しいのですが、【Nether Guider】になったお蔭なのか、すんなりと成功しましたよ」
Nemesis Bellに宿っていた、恐らくHeroic God BellwoodのFamiliar Spiritはあっさり喰えた。恐らく、Familiar Spiritとしては下Classの部類だったのだろう。その分味気なく、特にAbility Valuesやskillのlevelが上がる事も無かったのは残念だったが。
やはりFamiliar Spirit程度ではダメなのかもしれない。
(あの程度のFamiliar Spiritしか宿っていないという事は、もしかしてこのHoly Swordって粗悪品か、量産品なのかもしれませんね。同じArtifactでもCurseの氷をRefiningできたIce Ageと比べるとしょぼいですし。
まあ、それはin any case……)
「新しいnameは、冥Magic Sword Nemesis Georgeとしましょうか。どうぞ」
新しい銘と共に差し出された父Georgeの宿る剣を、Irisは受け取るとギュッと抱きしめた。
「父上! ……Vandalieu -dono、いや、陛下! ありがとうございます!」
Irisの瞳から涙の滴がNemesis Georgeの柄に零れる。その滴の色は、瞳の色が変わってもHumanの頃と同じように澄んでいた。
「Princess Knightの完全revivalだ!」
「お嬢、George -sama、おめでとうございやす!」
「がはは! めでたい、めでたい! ところで酒はまだか?」
Resistanceのmemberを中心に歓声が上がる。何食わぬ顔で混ざっているGodwinが促したようなtimingで、酒やCookingを乗せたwagonをPauvinaとRapiéçage、Yamataが押してやって来る。
「みんなCakeだよ~!」
『だよう……』
『『『たんじょうびおめでとう~♪』』』
Pauvinaが一番上にCakeの乗ったGiant wagonを推し、その後ろにRapiéçageと九人のLamiaの美女……では無く、【Long-distance Control】skillで分離したYamataの上半身達が続く。
Irisの新しい誕生日を祝う宴が本格的に始まり、ご馳走が配られ皆がtongue鼓を打つ。明日からは再びSauron領奪還のための戦いが始まるので、その英気を養う意味もある。
それが分かっているので、皆大いに食べ、飲み、騒いだ。……Resistance活動と関係の無いMajin nationの住人が何時の間にかちらほらと混じっていたりするが。
数千年ぶりの儀式で誕生した現国王Godwinの娘を見に来て、そのまま宴のご馳走に惹かれて参加してしまうようだ。
「これはCookingを追加した方が良いかな?」
「それも重要かもしれませんが、陛下……Ragdew Baron一家はどうなりました?」
宴の合間にResistanceへの協力者であったCuoco Ragdewとそのfamilyの姿が無い事に気がついたIrisが、Vandalieuにそう尋ねる。彼は重要な内通者であったし、自分が亡命を仲介した手前彼がどうなったのか気になっていたようだ。
「Cuoco一家ですか……Iris、後で彼等に注意しておいてください」
「っ!? か、彼等が何かとんでもない事をしたのですか!?」
「Talosheimに移住後、カルガモの雛が親鳥にするようにEisenの後ろにくっついて回っているのです。……一家揃って」
Cuocoには、Irisが植物のmonsters EntからRefiningしたEnt syrupだと偽って、EisenのSapからRefiningした特別なsyrupを内通の報酬として渡していた。その結果彼等は芳醇な香りと濃厚な甘みのsyrupに魅了されていたのだ。
「どうも匂いでEisenがsyrupの原料を提供していると気がついてからは、時間を見つける度にEisenにくっついています」
「……ごfamilyで、ですか」
「はい、familyで。特に、奥-sanの方が頻繁に」
今頃TalosheimのImmortal Entの森に居るEisenの後ろを、Cuoco familyがついて行っている事だろう。
『ああ、良い香りだ。そうは思わないか、ハニー?』
『ええ、本当に。何時までもこうしていたいものね、あなた』
『辛抱堪りませんわぁ~』
『キャッキャ♪』
『飲んだらお帰りよぉぉ』
一家四人でEisenの後ろを付けて歩き、仕方なくEisenがSapを飲ませて帰らせる。そんな光景を思い浮かべたIrisは眩暈を覚えた。
「まあ、とりあえず最近は落ち着いてきましたが。上司になったKurtがTalosheimの美味しい物を次から次に食べさせて、食の興味を分散させる事で」
ようやくcivil officialとしても使える元Nobleの新人が入って来たと思ったら、一家そろって食道楽……グルメ狂いだった事を知ったKurtは頭を抱えたそうな。
「……何と言っていいか。申し訳ない。Kurt -donoには必ずお詫びに参ります」
反Amid EmpireのResistance leaderが、Empireの属国であるMirg Shield Nationの元Nobleに詫びる。ある意味記念すべき融和への一歩かもしれない。
「ですが、もう一つ。Borkus -donoやMikhail -dono達は?」
「Islaと一緒に、Iris達がいない間Resistanceのhideoutを守っています」
「そうでしたか。彼等が守っていてくれるのなら安心です」
因みに、この頃既にMarme Duke救援の為に出陣した一部のMarme Duke軍は、hideoutを守るUndeadの面々のExperience Pointになっていた。
「それはin any case、Irisもどうぞ。美味しいですよ、Evil God (P)をその身にAdventさせたNoble Orcの焼肉」
「凄い由来の肉ですね……頂きます」
切り分けられた肉を勧められるまま食べたIrisは、その美味しさに目を見張った。
口に含んだだけで豊かな香りが鼻腔を満たし、噛む毎に柔らかい肉から甘みのある油を含んだ肉汁が溢れる。だがtongueの上で溶けるような事は無く、肉としての存在感を主張し続ける。
柔らかさを保ったまま、ギュッと凝縮させたような肉だった。
「これは……美味しい。辛みのあるsauceとの相性も良くて……以前頂いたNoble Orcの肉も美味しかったけれど、これは比べ物にならない。同じraceでも、Evil God (P)がAdventするとこんなにも変わるのか」
「気に入って貰えてよかったです。貴女には早く精を付けて貰わないと困りますからね」
「はい、訓練ですね」
Majin Raceに変化した事でIrisのAbility Valuesは大幅にincreaseした。翼を得た事で、空を飛ぶ事も出来るようになった。
父Georgeも、Orichalcumの剣となった事でWeapon EquipmentとしてDemon King Fragment製の武具と並ぶ性能を持つようになった。
しかし、それらを自在に扱えるようにならなければならない。そうでなければ再び『Light Speed Sword』のRickertの-samaな使い手に後れを取ってしまう。
『強くなるのだ、Iris……』
新しい剣から響き、同じ父の声にIrisは決意を込めて頷いた。
「はい、父上。再び『Fifteen Evil-Breaking Swords』と相対しても、不覚は取りません」
『いや、それだけでは無いのだ、Iris……早急に強くなるのだ。出来れば、来年までに』
「ら、来年までですか!? 何故期限を切るのです、父上!」
「それはね、Van -kunが『Trial of Zakkart』に来年挑戦するからだよ」
戸惑うIrisにSquid焼きを食べ終わったPrivelがそう教える。
「Iris -donoは知らないのでござるか?」
「彼女は本来Sauron領で活動し続けるはずだったからな。まだ聞いていなかったのだろう」
MyuzeとBasdiaが何事かとやって来た。
「それで、挑戦するVandalieuに付いて行くために技量が足りない者は来年までに鍛えようという話らしい。我はもう大丈夫だが」
それまでfemale陣の会話に一切関わらず無心に肉を焼いて食っていたVigaroが、そう説明した。
「ざ、『Trial of Zakkart』……AClass adventurerでも一度はいれば生きては帰れないというあのDungeonに、陛下が……いや、確かに興味が無いわけではありませんが、私の力では足手まといにしかなりません」
Vandalieuに会ってCursed Weapons化した父を授けられ、新Job【Cursed Spirit Swordsman】に就き、Irisは自分の力量が大分上がった事を実感している。
しかしAClass adventurer相当のRickertに惨敗し、命を失いかけたばかりだ。そのRickert相当の力量の者でも入れば命を落とすDungeonに、自分の力が通用するとはとても思えない。Princess Knightどころか、昔のHero伝承歌に出てくるOhime-samaのようにHeroに助けられるだけの女と化す事が目に見えている。
『強くなるのだ、Iris……』
「父上っ! 私には無理です! 来年までにはとても無理です!」
「まあ、何とかなるだろう。ほれ、儂の娘でもあるし。因みに儂、maybe三分の二ぐらいまで攻略したぞ」
「大丈夫、一緒に頑張ろう!」
「もし力及ばずダメだったとしても、結果に向けて努力する事は尊いぞ」
「Gizania -dono、Slightly後ろ向きでござるぞ」
常識的に考えて無理というIrisを、励ます一同。
この宴が自分の誕生祝であると同時に、『Trial of Zakkart』へ向けての決起集会である事を知ったIrisだった。
「ところで追加の肉が焼けましたよー」
《【Second Coming of the Demon King】、【Monstrosity】のsecondary nameが解除されました!》
「おぉ?」
その時、不意に響いた脳内アナウンスによって、悪い印象のsecondary nameが解除された事を知ったVandalieuは目を瞬かせた。
《【Demon King】のsecondary nameを獲得しました!》
「……おー」
そして続いたアナウンスを聞いて、やっぱりそうなるのかと、肩を落としたのだった。
・Name: Iris Bearheart
・Race: Obscene-Majin Succubus(Humanから変異!)
・Age: 19age
・Title: 【Liberating Princess Knight】
・Rank: 6
・Level: 0
・Job: Cursed Spirit Swordsman
・Level: 100
・Job History: Apprentice Knight、Lesser Knight、Warrior、Swordsman
・Passive skills
Strengthened Attack Power when equipped with a Sword: Small
Strengthened Attribute Values: Loyalty:2Lv(UP!)
Enhanced Agility:3Lv(UP!)
Strengthen Subordinates:2Lv(UP!)
Strengthened Attack Power when equipped with a Cursed Spirit Sword: Small
Dark Vision(NEW!)
Allure:1Lv(NEW!)
Peerless Vigor:1Lv(NEW!)
Mana Enlargement:1Lv(NEW!)
Vitality Enlargement:1Lv(NEW!)
・Active skills
Sword Technique:5Lv
Shield Technique:1Lv
Armor Technique:3Lv
Archery:3Lv
Mount:1Lv
Housework:1Lv
Silent Steps:3Lv
Coordination:4Lv
-Surpass Limits-:2Lv(UP!)
Surpass Limits – Cursed Spirit Sword:2Lv(UP!)
Commanding:1Lv(NEW!)
Illusory Transformation:1Lv(NEW!)
Drain Vitality:1Lv(NEW!)
Succubusと化した事でSuccubusが生来持っているskillを獲得したIris Bearheart。ただしimmatureで、同じ年頃のSuccubusと比べるとlevelは大分劣る。また、【High-Speed Flight】等習熟が必要なskillはまだ習得できていない。
因みに、【Mana Enlargement】と【Vitality Enlargement】は儀式にManaとVitalityをそれぞれ提供したVandalieuとLegionのimpactで獲得する事が出来た。
JobのlevelがRickert達との戦闘で(Iris自身は一方的にやられただけだが、その後Vandalieu達が倒したので彼女にもExperience Pointが入った)100になったが、瀕死の重傷を負っていた為まだJob changeはしていない。
・Name: Legion
・Age: 0
・Title: 【Holy Flesh-wife】(NEW!)
・Rank: 8(UP!)
・Race: Great Legion
・Level: 0
・Job: Flesh Manipulator
・Job Level: 0
・Job History: Apprentice Mage、Mage、Apprentice Warrior、Warrior、Meat Sphere Warrior、Enormous Meat Sphere Warrior、No-Attribute Mage
・Passive skills
Mental Corruption:7Lv
Composite Soul
Magic Resistance:4Lv(UP!)
Special Five Senses
Physical Attack Resistance:6Lv(UP!)
Form Alteration:4Lv(UP!)
Super Rapid Regeneration:4Lv(UP!)
Mysterious Strength:5Lv(NEW!)
Mana Enlargement:2Lv(UP!)
Vitality Enlargement:10Lv(UP!)
Strengthened Attribute Values: Consumable Meat:4Lv(UP!)
Fire and Lightning Resistance:4Lv(NEW!)
・Active skills
Limited Death-Attribute Magic:10Lv
Size Alteration:5Lv(UP!)
Commanding:3Lv
Surgery:6Lv(UP!)
Unarmed Fighting Technique:7Lv(UP!)
Dagger Technique:4Lv(UP!)
Fusion:2Lv
Charge:6Lv(UP!)
Chant Revocation:3Lv(UP!)
Parallel Thought Processing:6Lv(UP!)
Long-distance Control:4Lv(UP!)
No-Attribute Magic:4Lv(UP!)
Mana Control:5Lv(UP!)
-Surpass Limits-:2Lv(UP!)
High-Speed Running:3Lv(UP!)
Strengthened Regeneration: Consumable Meat:3Lv
Throwing Technique:2Lv(NEW!)
Cooking:1Lv(NEW!)
・Unique skill
God of Origin’s Divine Protection
Zuruwarn’s Divine Protection
Ricklent’s Divine Protection
Gazer:5Lv
Encroachment Fusion:1Lv(NEW!)
弛まぬ努力によりRank7にRank up後、Rickertを倒した事でRank8にRank upしたLegion。
ただRickert戦で得たExperience Pointで一気にlevelが上がったため、magicの制御等を学ぶために【No-Attribute Mage】に就いたのに、技能が上がる前に次のJob changeを迎えてしまった。
Jobのskill補正はJob change後も有効なので構わないが、少し急ぎ過ぎたような気分になっている。
・Job解説:Flesh Manipulator
自身のbody partを構成する肉を操作する事が出来るJob。【Form Alteration】や【Size Alteration】、更に自身の肉を千切って投げた後も操作する【Long-distance Control】skillの習熟にも補正を得る事が出来る。また【Cooking】skill、特に肉Cookingを作る際に補正を得る事が出来る。
更にLegionの場合は、IsisのSurgery、ValkyrieのCommanding、Izanamiの力である肉片のYomotsushikome、Yomotsuikusa化、BerserkのInfest等にも補正がかかる。
Jobに就く条件は、Bodyの九割九分以上が肉である事。【Long-distance Control】skillを身につけている事。