<- Previous | TOC | Next ->
Special thanks to MBA and the Users from the LBN #spoilers Discord. Without them this would not be possible.

Chapter 152: ちょっと顔を貸してください

 『Five-headed Snake』のErwinExperience Pointに変えた後、Vandalieuは致命傷を負ったIrisを助ける為、彼女が生まれ変わるのに必要な場所に送り届けた。そしてTalosheimに戻ってきた彼は、ふらふらとした足取りでJob change roomに入った。


 IrisHoly Sword Nemesis Bellで重要器官を傷つけられていて、【Death Delay】のmagicを維持し続けなければ半時と持たずに死亡するconditionだった。

 その彼女をVampire以外のVida's New Racesに変化させ、Bodyが再構成される際の再生や、変化後のVitalityや治癒Abilityの向上を利用して治療する。


 その儀式を行うために必要な場所に向かうために怪鳥form、【Out-of-body Experience】したSpirit Formを翼の形に【MaterializationskillMaterializationしたり、必要なManaを用意したり、大変な労力だった。

「……眠い」

 労力よりも時間的な問題の方が大変だったが。


 儀式を行う場所の近くにLegionTeleportation先に指定できる相手がおらず、まだDungeonも作っていなかったので飛んで移動しなければならず時間がかかったし、儀式が長年行われていなかったので、必要な道具を集め、手順を確認する事が必要で手間がかかった。

 協力して貰うための説得がごく短時間で済んだお蔭で大分短縮できたが、それでもきつい事に変わりは無い。


 移動中の時間を使ってDemon KingEquipmentsealedを破壊して、【Demon King's Antenna】を手に入れられたのは収穫だったが。


「【Abnormal Condition Resistanceskillで眠気もenduranceできますけど、enduranceできるからって辛くない訳じゃ無いのですよね~。

 でもこれからすぐ一仕事しなくちゃいけないし……その前に、ついでにJob changeを」

 『Insect Army』のBebeckettに止めを刺したErwinで得られたExperience Pointは、かなりの量だった。他に【Demon King's Eyeballs】越しに見ていた事で手に入れた『King Slayer』のSleygarや、『Light Speed Sword』のRickert、それに『Hilt』の構成員のExperience Pointで、Vandalieuの【Demon King UserJoblevelは100に到達していた。


 流石adventurerならSClassも狙えた男と、その同僚達だ。

 【Demon King's Eyeballs】越しに視ると肉眼で見たのと同じようにExperience Pointが得られるのもFortuneだった。


「まあ、情報を引き出した後食べるとして……『Evil god of releaseRavovifardを食べてAbility Valuesskillは上がったけれど、Memoryは引き継がなかったので大丈夫でしょう。

 それはin any case……」


 ペタリと水晶に触れると、脳内にJob change可能なJobが表示される。




《選択可能Job 【Disease Demon】 【Spirit Warrior】 【Whip Tongue Calamity】 【Vengeful Berserker】 【Dead Spirit Mage】 【Hell Healer】 【Labyrinth Creator】【Magic Cannoneer】 【Hell King Mage】 【Divine Enemy】 【Nether Guider】 【Creation Guider】 【Fallen Musha】 【Insect Nin】 【Destruction Guider】(NEW!)》




「うん、増えた」

 【Destruction Guider】……nameからしてダメなGuidanceでは無いだろうか? 色々と滅びそうなのだが。

「魂を砕いたり食べたりしたせいかな……まあ、in any caseNether Guider】を選択」

 誰かが首を狙っていると【Danger Sense: Death】のmagicで分かったにも関わらず、Sleygarの動きが速すぎて対応する事が出来なかった。


 寸前で気がついたがbody partを動かしmagicActivateする前に、Sleygarが背後に現れ得物をSingle Flashしていたのだ。……得物がOrichalcumだったし、一撃に込められたAttack Powerも大きかったので、咄嗟に張れるBarrier程度では無駄だっただろうけれど。

 あの時首を刎ねられたのがVandalieuでなければ、即死していただろう。

 その超Speedを可能にしていたのが、Sleygarが所持していたArtifactSuperior Skill。超人的なbody part Abilityだ。


 そんなSleygar並のAssassinはそういないだろうが、零では無いだろう。ではどうするのか……。

「とりあえず、俺がSleygar並みにbody part Abilityを鍛えるしかない」

 簡単に解決できる問題では無いので、有効な解決策を思いつくまで地道に鍛えよう。




《【Mana Enlargementskilllevelが上がりました!》

《【GuidanceNether Path】、【Nether Path Enticementskillを獲得しました!》

《【GuidanceNether Pathskillが【Guidance: Demon Pathskillintegrationされ、【GuidanceHell Demon Pathskillに変化しました!》

《【Nether Path Enticementskillが【Demon Path Enticementskillintegrationされ、【冥Demon Path Enticementskillに変化しました!》




Name: Vandalieu

Race: Dhampir(Dark Elf)

Age: age

Title: Ghoul King】 【Eclipse King】 【Second Coming of the Demon King】 【Guardian of the Cultivation Villages】 【Vida's Miko】 【Monstrosity】 【Scale King】 【Tentacle King】 【Champion】(NEW!)

Job: Nether Guider

Level:

Job History: Death-Attribute MageGolem TransmuterUndead TamerSoul BreakerVenom Fist UserInsect UserTree CasterDemon GuiderArchenemyZombie MakerGolem CreatorCorpse Demon CommanderDemon King User


Ability Values

Vitality: 9,291

Mana: 1,516,260,108+(758,130,054)

Strength: 1,557

Agility :1,229

Endurance :1,675

Intelligence :3,100




Passive skills

Mysterious Strength:8Lv(UP!)

Rapid Regeneration:3Lv(UP!)

Hell King Magic:2Lv(UP!)

Abnormal Condition Resistance:10Lv

Magic Resistance:7Lv

Dark Vision

Demon Path Enticement:3Lv(Nether Path Enticementintegration後変化!)

Chant Revocation:6Lv

GuidanceHell Demon Path:5Lv(GuidanceNether Pathintegration後変化!)

Automatic Mana Recovery:8Lv(UP!)

Strengthen Subordinates:8Lv

Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue):7Lv(UP!)

Enhanced Agility:5Lv(UP!)

Body Expansion (Tongue):7Lv(UP!)

Strengthened Attack Power while Unarmed: Large

Enhanced Body Part (Hair, Claws, Tongue, Fangs):6Lv(UP!)

Thread Refining:3Lv

Mana Enlargement:5Lv(UP!)


Active skills

Bloodwork:4Lv

-Transcend Limits-:1Lv(-Surpass Limits- awakened into!)

Golem Creation:3Lv

No-Attribute Magic:9Lv

Mana Control:8Lv

Spirit Form:10Lv(UP!)

Cooking:5Lv

Alchemy:7Lv

Unarmed Fighting Technique:8Lv(UP!)

Multi-Cast:8Lv

Long-distance Control:8Lv

Surgery:7Lv

Parallel Thought Processing:7Lv

Materialization:6Lv

Coordination:7Lv

High-speed Thought Processing:7Lv(UP!)

Commanding:7Lv

Thread-reeling:6Lv

Throwing Technique:6Lv

Scream:4Lv

Dead Spirit Magic:7Lv(UP!)

Artillery Technique:7Lv(UP!)

Armor Technique:4Lv(UP!)

Shield Technique:4Lv(UP!)

Group Binding Technique:2Lv

Surpass Limits: Fragments:2Lv(UP!)



Unique skill

God Devourer:2Lv(UP!)

Grotesque Mind:9Lv(UP!)

Mind Encroachment:7Lv

Labyrinth Creation:7Lv

Demon King Fusion:9Lv(UP!)

Abyss:4Lv

Hostility

Soul Devour:2Lv(UP!)



Demon King Fragment

bloodsuction cupsink sacscarapacescent glandLuminescent organsblubber(NEW!)、chin(NEW!)、eyeball(NEW!)、proboscis(NEW!)、fur(NEW!)、exoskeleton(NEW!)、Arthropod Legs(NEW!)、antenna(NEW!)


Curse

 Experience gained in previous life not carried over

 Cannot learn existing jobs

 Unable to gain experience independently




「うん、こうして見るとAbility Valuesも上がったな。

 Vitalityは一万に近いし、Agilityも千を越えた。skillもあるし、今なら並のBClass adventurer相手ならmagicを使わずphysical battleだけで戦っても勝てるかもしれませんね」

 尤も、結局Sleygarの速さには対応できなかったのだが。


 Manaが合計二十億以上あっても死ぬ時は死ぬという事を忘れてはいけない。

「それより【GuidanceHell Demon Path】と【冥Demon Path Enticement】……元の名称だと生きている人を死にGuidanceそうでimage悪いから、変わったのは良いのですけど」

 GuidanceEnticementする対象が増えたという事だろうか? まあ、その内分かるだろう。


「とりあえず、一仕事するのが先ですね。とりあえず、Irisが生まれ変わる前に頭は潰しておかないと」




 Marme Dukeは占領軍司令部の執務室で心安らかに午後を過ごしていた。

 このSauron領に就任してからずっと悩まされてきた問題が一つ、片付くからだ。

Mashkzarに頭を下げるのは屈辱だったが……どうと言う事は無かったな」

 younger cousinであると同時に政敵であるMashkzarに頭を下げて、『Light Speed Sword』のRickert達『Fifteen Evil-Breaking Swords』の出動を願った。


 そして昨日到着した。Marme Dukeが姿を見て挨拶を交わしたのは、領地の無い法衣Nobleだが同じDukeであり、何より親戚であるRickertAmidだけだったが、姿を隠しているだけで他にも何人か来ていたはずだ。

 そしてRickertは昨日の内に姿を現さなかった他の『Fifteen Evil-Breaking Swords』と共にResistance共が巣くう旧Scylla Autonomous Territoryに赴いた。


 旧Scylla Autonomous Territoryとの境界にある砦……が去年Undeadの群れに襲われて破壊されたので、急拵えの仮設の砦に詰めている兵達の報告では、旧Scylla Autonomous Territoryで遠くからでも分かる激しい輝きや爆発、木々が砕け倒れる轟音を何度も確認し、【Familiar Spirit AdventskillActivate時に天から降りてくる光の柱も三度見たとあった。……その内二度は柱が不自然に消えたという記述もあったが、恐らく気のせいだろう。


「フッ、Rickert達の勝利を祝うためのpartyを催さなければならんな。兵共にも振る舞ってやるとしよう。いや、その前に愚かな民草にPrincess Knightの首を見せてやるのが先か」

 その報告を受ける前から、Marme Dukeの中ではRickert達の勝利が確定していた。愚かにも調子に乗っていたResistanceは駆逐され、Princess Knightと名乗る小娘と裏切り者のRagdew Baronが首だけになって彼の前に置かれる事を疑わなかった。


 こうして念のために占領軍司令部に詰めているが、それはmissionを終えて戻ってきたRickert達を占領軍のtopである自分が出迎えて、直々に労を労ってやるためだ。そこまですればRickertと、彼を派遣したMashkzarの印象も少しは良くなるだろう。

 今回の一件で自分の政治的なinfluenceは低下したが、EmperorHeroと同じ一族である事をappealしておけばある程度抑えられるはずだ。


 出来ればPrincess Knightは生け捕りにして民衆の前で火炙りの刑にでも処したいところだったが、Empire Nobleでありながら裏切ったCuocoin any casePrincess Knightは若い女であるらしい。下手な事をして処刑した後も反乱分子にcharismaとして利用されたら厄介だ。

 それに出動を嘆願した手前、『Light Speed Sword』の名声が陰るような事はさせられない。首を晒すだけでenduranceするとしよう。Ragdew Baronfamilyについても、特別に助命を許してやろう。……その後出させて世俗から離れさせるし、折を見て「Disease死」して貰うが。


 愉悦に酔いながらglassの中身を呷る。

「次のwineを持ってこい。出来ればもっと良い物を」

 背後に居るはずの従僕に振り返らずにそう命令する。


「どうぞ」

 すると、childのように高いが静かな声と共に赤いwineで満たされた杯が差し出された。

「ほう、良い香り――だ、誰だ貴-sama!? child、いや、その瞳はDhampir……なのか!? 何故ここにDhampirが!?」


 驚いて仰け反る中年の終わり頃に見えるMarme Dukeを見上げて、額から二本の【Demon King's Antenna】を生やしたVandalieuは首を傾げた。

「おや、俺の事を知らない? ……ああ、知らされてないのでしたね。こいつは」

「こいつだと!? 貴-samaDukeである私に向かって不敬にも程がある! 汚らわしいDhampirめ、childと言えど許-sanぞ!」

 顔を怒りで赤くしたMarme Dukeが、扉に向かって「何をしているSoldier共っ! この礼儀知らずを処刑しろ!」と叫ぶ。


 叫んだが、誰もやって来ない。

「な、何故だ? 何故誰もやって来ない? roomの前に居るはずのSoldierは? 私のKnight達はどうしたのだ!?」

「どうしたって、殺したり生け捕ったりしましたよ。まあ、このroombloodの臭いが入って来ないよう【Deodorization】していますから、気がつかなくても無理は無いですけど。このantennaでも分かりませんし」

「こっ!? idiotを言うな! ここのSoldier共はin any case、私が連れて来たのは腕利きの――」


 Marme Dukeの言葉の途中で扉が開き、そこから彼の目には黒いGoblinwhole bodyの肉が剥き出しの男、それに一目見てUndeadと分かる継接ぎだらけのSpear Userが姿を現す。

King、言われた奴以外皆やったぞ!」

『久しぶりに俺だけで動くと、逆に落ち着かない』

Borkus達がぼやいていました。砦が狭すぎると』

 Black Goblin ninja MasterRank upしたBragaと、Legionから一時的に分離したGhost、それにMikhailだ。彼等は片手にそれぞれのWeapon Equipmentを、もう片方の手にはいくつかの生首をぶら下げていた。


 その生首は、Marme DukeKnightや武官達だった。


「ひっ、ヒィィ!? monstersUndead!?」

 顔を青くして尻餅をつくMarme Dukeを、Vandalieuはただ見つめる。

「現地採用のSoldierの殆どと、下働きの人とかは見逃しましたし、Cuocoが渡してくれたlistに在る人達は無事ですよ。貴方にとってはどうでも良いかもしれませんが」

 そう言ってやるが、本当にどうでもよかったらしい。Marme Dukeは豪華な衣服の股間の部分を濡らしながら、少しでもVandalieuから遠ざかろうとする。


「き、貴-sama、まさかBoundary Mountain Rangeの向こうに居るはずのDhampirか!? そ、そんな……どうやって、どうやってこの司令部の守りを突破したのだ!? そもそも何故軍勢を率いてMountain Range越えをしたのに、我が軍の誰にも気がつかれなかったのだ!?」

 Mirg Shield Nationの遠征軍がUndeadに成って返って来た後、自国のSClass adventurerであるSchneiderを雇って彼を討伐しようと試みた事があるMarme Dukeは、目の前のDhampirがそれだとやっと気がついた。


「こっそりMountain Rangeを越えて、砦の中にstealth込んで、後は説得と物理で対処しました」

 Boundary Mountain Rangeを越えたのはLegionの【Teleportation】で、その後は【Blind Spot】の【Hell King Magic】や、Ghostの力、Bragaを筆頭にBlack Goblin ninja達のstealthの業で、内部に侵入。その後、MikhailUndeadや蟲のmonstersを解放。


 targetを物理的にslaughter、及び捕獲。Marme Dukeの言う腕利きの者達も、Mikhail達の敵では無かった。targetの内、マシな連中の末路こそ彼等が持っている生首である。

 現地採用のSoldierや下働きの非戦闘要員は、【Mind Encroachmentskillで洗脳して外に出てもらった。


Erwin……Rickertかな? あいつ等が勝つと信じ込んで油断していたのでしょうが、お蔭で楽でしたよ。普段通りに守りを厳重にしていたら、もっと荒っぽい手段を取る必要があったでしょう」

 占領軍司令部と言っても、一つの建物の中にSoldier全員が詰めている訳では無い。速やかに、そして静かに侵入して抹殺したので、同じ敷地内でも少し離れた建物の中に居る将兵はまだ状況を認識していない。


 その少し離れた建物のSoldier達がすぐ異変に気がつくような体制を維持していれば、少しは違っただろう。そう淡々と述べるVandalieuMarme Dukeは絶句していたが、すぐに我に返った。


「ま、待て! 降伏だっ、降伏する! 貴-samaの目的は何だ!? Orbaum Elective Kingdomでの栄達か!? 何であれ私が協力できるはずだ! 私は皇位継承権を持つMarme Dukeだぞ!」

 Marme Dukeは自分にどれほどの価値があるのか知っていた。なんといってもDukeである。Elective Kingdomに連れて行けば多額の報奨金と交換できるし、Empireと人質交換の交渉を行えばそれ以上の金額を引き出せるだろう。

 若干過剰に見積もり過ぎているが、Dukeという地位が当人のAbility以上の付加価値となっているのだ。


「私をここで殺しても、Mashkzarは痛くも痒くもないぞ! それどころか全面戦争の引き金に利用しかねない。ここは私を捕虜にして、Honoraryある扱いを――」

「はい、ご期待に応えて殺さずに捕虜にするつもりです」

 そう言われてほっと息を吐くMarme Dukeだったが、それは早計だった。Vandalieulipsの間から、tongueがのぞいた。


「【Demon King's Proboscis】」

 紅いtongueの先端から、蝶等の口と同じ細長いproboscisが伸びる。

「な、何だ、それは!? 何をすぎゃっ!?」

 proboscisは目にも止まらぬ速さで伸びると、Marme Dukeの胸にthrust刺さった。


「これはproboscisです。蝶々の口ですよ」

「貴-sama……捕虜に、すると……」

 次第に動かなくなって行くtongueや四肢に、Marme Dukeはこのままbloodを吸われて死ぬのだと誤解した。

「俺がbloodを吸っていると思ったのなら、誤解です。逆にtongueから分泌している麻酔……麻痺毒を注入しているだけです」


 何故そんな事をするのかと、抵抗する積りの無かったMarme Dukeは目を見開いた。すると、Mikhailに続いて現れた、首輪をした女が近づいてくるのが見えた。

 彼女はDukeの髪を乱暴に掴んで上を向かせる。

「いげっ!? にゃ、にゃひをひゅる!?」

 呂律が回らないまま抗議の声を上げるMarme Dukeに構わず、Islaは愛用のknifeを抜くと紫色のtongueでその刃を舐め、masterに尋ねた。


『この場で処理いたしますか?』

「はい、麻酔はしたからshock死する事は無いでしょう。捕虜として……実験台として連れて帰るけど、-chanと宣戦布告はしないといけませんから」

 VandalieuMarme Duke自身も含めて、Dukeの顔を見たのはこの日が最後に成った。




 占領軍司令部が惨劇の舞台となっている頃、顔を隠した男が一人駆けていた。

 男は、今頃占領軍が危機的状況に在る事を予想していた。もしかしたら、一人も残さず全滅しているかもしれないとすら思っていた。しかし、一言の忠告もしなかった。近づこうとすらせず、男は帰る事を優先した。


(私の役目は情報を持ち帰る事、それのみ!)


 ただ一人、最初から離れた場所で戦闘に一切関わらず隠れ潜んでいた故に生き延びた『Hilt』の男は、ただ急いでいた。




 『God of Law and LifeAldaDivine Realmでは、狼狽し騒ぐGodsの喧騒で満ちていた。

 Humanから神に至った者もいるが、神と成った以上簡単な事では動揺しない。狼狽して我を失う等、滅多な事では無い。

 だが『Five-headed Snake』のErwinや『Light Speed Sword』のRickertrecordから見た光景は、Godsを混乱の渦に叩き落すには十分だった。


『あれは何なのだ!? 既に人の範疇では無いぞ!』

『一体いくつ【Demon King Fragment】を……それでいてegoが飲み込まれてもいない! 奴はDemon Kingの化身か!?』

『それよりも、『God of JudgementNiltark -donoFamiliar Spiritが二柱消滅した事の方が大事ぞ! Manaで作り上げたegoの無いFamiliar Spiritだったとはいえ、人の身で神のFollowersを滅ぼすとは何と忌まわしい……!』


 見苦しく騒いでいるなと、『God of ThundercloudsFitunは冷めた目で同胞であるGodsを眺めていた。

 彼は取り込んだReincarnator、【Marionette】のHajime InuiからVandalieuが幾つもの【Demon King Fragment】を取り込み、それを我が身のように操っている事を知っていた。だから聞いていたよりも大分fragmentの数が多い事に驚きはしたが、狼狽えるほどの事じゃない。


 神のFollowersであるFamiliar Spiritが砕かれた事に関しては、それで動揺して顔を青くする神に軽蔑すら覚えた。

(そもそも戦争ってのは、殺し合いだろうが。自分が殺されるかもしれないから、Thrillがある。それなのにこいつ等、自分の頭が『今はDemon King Army RemnantsVida's Factionとの戦時だ』って散々言っていたのを何だと思っていたんだ?)

 Heroic GodWar Godでもある自分のように期待に震えろとは言わないが、仮にも神ならもっと泰然とするべきではないのか?


『各々方、落ち着かれよ! 地上に新たな罪人が……大罪人が誕生した。それだけの事だ!』

 Familiar Spiritを砕かれ、believerの魂が囚われた『God of JudgementNiltark本人は鉄面皮で動揺のfragmentも見せていないというのに。


(もっとも、believerの方はFamiliar Spiritを捨て石にするような奴だ……いや、奴の事だから必要な犠牲だと容認するか。砕かれたのも木偶だったようだし)


 Fitunが暇つぶしに思考を巡らせている間にも、『Goddess of SleepMillや、Fitunの上司である『風のHeroic GodNineroadが落ち着かせようとするが、中々混乱は収まらない。

 どうやら、Demon King Guduranis率いるDemon King Armyとの戦いを経験したGodsの動揺が大きいようだ。恐らく、過去のtraumaが蘇ったのだろう。


(こうして見ると神も人も変わらねぇなぁ。おっと、しまった)

Fitun、何か考えがあるのか?』

 一人だけ黙って落ち着いているので、逆に目立ったのだろう。NineroadFitunに目を止め、そう尋ねて来た。他のGodsの視線も彼に集中する。


 正直に何を考えているのか話す訳にはいかないし、だからと言って「ただ黙って突っ立っていただけです」と言うのも間抜けすぎる。

 そこでFitunはそれらしい事を言う事にした。


『考えという程のものじゃありませんが、まだ【fragment】を十以上使えて魂を砕く事が出来るだけでしょう? それに神のFollowersを滅ぼすといっても、やったのはAdventする途中の無防備なFamiliar Spirit程度を滅ぼしただけ。

 だとしたら、手は幾らでもあるのではないかと思いましてね』


Familiar Spirit程度だと!? Niltark -donoの前でよくも言える!』

『若輩者の分際で、貴-samaは事態の深刻さが解っているのか!?』

 激高した-sama子の幾柱かのGodsFitunに詰め寄ろうとする。


『その手とは?』

 しかし、主神たるAldaが発言した事で押し黙り、後ろに下がった。


『私は若輩者故、大した手ではありませんが……我が主NineroadのようなChampionを、出来れば複数育て上げ、それに【Demon King Fragment】に対抗できるNemesis Bell-samaArtifactか、Demon KingEquipmentを授け、かのDhampirの五体を砕き完全に破壊。その後奴の残骸も魂もfragmentと一緒にsealedしてしまえば良いのではないかと』


 つらつらと考えを述べるFitun。それは「出来れば複数」という点を除けば彼がHajimeを使って実行しようとしていたtacticsの概要そのままだった。

BAKANA事を……机上の空論だ!』

『言うのは簡単だな。Fitun -dono、現実にそんな事が出来れば誰も苦労はしない。Demon King Army RemnantsVida's Factionとの戦争も、とっくに決着がついていただろう』

 口々にFitunの提案を否定するGods。実際、彼が述べた事はそれ程実現が困難……不可能なものだった。


 childが遊びで考えたworld征服のtacticsと大差無く、現実感が無い。素質のある者を見繕い、blessingsを与える事までなら可能だ。Demon KingEquipmentin any caseArtifactを授ける事もやや難しいが不可能でない。

 だがそうして選び育てたHeroが、かつてのChampionと並び立てるかどうかは別問題だ。


 blessingsを与えて成長速度を速め伸び代を増やそうが、Artifactを与えようが、無限に強くできる訳ではない。単純に素質だけの問題でない。成長する過程で経験した出来事や、力を得てから初めて見える欠点もある。

 神だから全てが分かる訳では無い。先日Vandalieuに倒されたErwinに及ばない段階で終るChampion Candidateも多いのが現実だ。


(そんな事は言われなくても分かっている。可能かどうかわからない事に挑戦するから、楽しいんだろうが。この平和ボケしたidiot共が)

 自分を殺せる相手との殺し合いだ。負ければ全てを失う戦いに勝つための準備が、困難である事は当たり前だろうに何を言っているのだが。


『はい、浅慮を申しました』

 そんな内心の呟きを表に出さず、一礼してGodsの中に下がろうとするFitunだったが、『いや、その通りだ』と他成らぬAldaが口にした事で場の空気が変わった。


『首を刎ねられても死なず、【Demon King Fragment】を十数個取り込んでもegoを失わずにそれを操り、未知のattribute magicを唱え、人心を惑わし数多の配下を率いるDhampir。正に机上の空論、妄想の類だ。

 そんな存在と戦わねばならないのだ。こちらも通常通りとは行かん。どれ程困難でも机上の空論を現実にするしかあるまい。

 我がbelieverにしてHero、『Blue-flame Sword』のHeinzとその仲間達に試練を課し、しかる後に力を授け机上の空論の実行を担わせる。汝らも、各々Hero Candidateを見出し、育てる-samaに』


 その決定にGodsは再び動揺したが、今度は『Alda自ら率先して動いていただけるなら、あのDhampirも倒せる』という肯定的な動揺だった。

(Heinzを鍛えるねぇ……ククク、すぐにとはいかないだろう。その間に、俺はHajimeを徹底的に強くしてやるとしよう)

 どちらが速くVandalieuを殺せるかの競争に成る。楽しい予感を覚え、Fitunは笑いを堪えるのに苦労した。


 一方、Aldaは内心は苦悩に満ちていた。

(Nineroadは薄々気がついているようだな。Fitunも気がついてはいないか。Vandalieuの最も厄介な……Demon King Guduranisとの相違点に)


 Demon King Guduranisは、このworldに元から存在していた生物とGods全てを滅ぼそうとしていた。自ら創り出したmonstersは上位のものでも駒でしかなく、配下の邪悪なGodsですら逆らう者や役立たずを見せしめの為容赦無く滅ぼした。

 故にこのworldに生きる全ての存在が力を結集する事が出来た。Champion Zakkartによって、敵の裏切りすら誘発させる事が可能だった。

 Godsが直接人々を治める神治の時代だった事を差し引いても、Demon King Guduranisはそれ程の脅威だったのだ。


 しかしVandalieuは異なる。彼はこのworld全体の敵対者や侵略者では無い。

 Undeadを含めたmonstersHumanVida's New Racesを問わず自らに従う者には等しく保護し、安寧をもたらす事を当然とする。敵と見なした者は滅ぼそうとするが、それも彼の中では明確な基準があるのは疑いようがない。

 そしてその基準も、このworldでは苛烈とは言い難い。


 つまり、Vandalieuもこのworldで国を治める者の一人でしかないのだ。

 ……ただ目標とそれに至る手段、そして価値観が絶対的にAldaと彼に従うGodsと相容れないというだけで。


 ただ地上を生きるHuman達にとっては違う。事実、VandalieuHartner Duchycultivation villageや、《Sauron Liberation Front》の者達を取り込んでいる。

 Aldaから見れば信じ難い事だが、Vandalieu人々にとってGuduranisのような、world中の人々が利害関係を超えて手を取り合い、力を結集して立ち向かう-samaな存在ではない。


(故に、Nineroadが提案したVida's New Racesとの和解を成し遂げなければならないか。それで、VandalieuVida's New Races全体の旗頭になる事を防ぐ事が出来る)

 Vida's New Racesは、Human-sama Godsの事情を知らない。だからHuman社会で生活している者には、Aldaや彼を支持するGodsworshiperも少なくない。


 そのためにはRodcorteの主張するように、VidaCircle of Reincarnation systemを破壊し、RodcortesystemVida's New Races達の魂を移転させなければならない。

(だが、その前提としてVidaを神から零落させなければならない。それが成功したとしても、拾い上げられるのはVida's New Racesの内、Giant raceBeast race等、悍ましい者達にrootsを持たないraceのみ)


 AldaにとってVidaは己のChampionを失った悲しみで正気を失い、ただ二柱残ったGreat Godとして団結しRicklentZuruwarn達がrevivalするその日までDemon King ArmyRemnantsと戦わなければならない時に、寝返ったはずの邪悪なGodsを扇動しInsanityに堕ちたZantarkを惑わしてworldに新たな混乱と災いを撒いた、道を誤ってしまった姉にしてImoutoだ。


 しかし、共に生れ出た時から意見を戦わせ、このworldを導いてきた事は否定できないし、するつもりも無い。

 だからVidaを十万年前、永い眠りの末に正気に戻る事を期待して倒した。


 そして今、Insanityの中で産みだしたのだろう彼女の子等の半数を救うために、彼女自身を完全に神の座から追いやり、残りの子等を結果的に完全なmonstersに堕とす事になる。

 それに躊躇や罪悪感を全く覚えない訳では無い。


しかし、やり遂げなければならないか。元をただせば、十万年前に全てのVida's New Racesの根を断ち、worldに秩序を守れなかった我の力不足が原因だ。だがBellwood、我がChampionよ……汝がやがて来るHeinzとの接触によって目覚めてくれることを心から願う』


 Bellwoodが今も活動していれば、Farmounが乱心してSubordinate God達を率いてZantarkの元に走る事も無かったろうにと、Aldaは悔い、彼が目覚める事でFarmounも正気を取り戻してくれることを願った。




Name: RickertAmid

Race: Human

Age: 27

Title: Light Speed Sword】 【Fifteen Evil-Breaking Swords

Job: Sword Saint

Level: 32

Job History: Apprentice KnightSub-KnightKnightMagic KnightMagic Sword UserHoly SwordsmanExcelling Sword



Passive skills

Augmented Muscular Strength:1Lv

Agility Augmented (2):1Lv

Strengthened Attribute Values when equipped with a Sword (Large)

Armor equipped, then Defense Power Enhanced (1) : Large

Disease and Poison Resistance:3Lv


Active skills

Light Speed Sword Technique:1Lv

Armor Technique:8Lv

Shield Technique:5Lv

Mount:5Lv

Archery:3Lv

Commanding:5Lv

Coordination:6Lv

-Transcend Limits-:1Lv

Transcend Limits – Magic Sword:1Lv

Familiar Spirit Advent:2Lv




 『Light Speed Sword』のRickertAmid。当初は順当にKnightとして経験と武勲を積み、剣のaptitudeを磨くうちにHoly Sword Nemesis Bellを手に取り、『Fifteen Evil-Breaking Swords』の一員に任命されるようになった。

 基本的に直接前線に出て戦う事によって真価を発揮する人物で、Knightとして兵をCommanding統率するAbilityは平均を少し超える程度でしかない。


 また、Sword Techniqueに特化しているためDefense Powerに難がある。しかし Passive skillsMuscular StrengthAgilityAugmented (2)して放つNemesis Bellの一撃は、AClass adventurerと比べても劣るものではない。


 その実力は生前の『Sword KingBorkusと並ぶ。装備を含めた場合は、Nemesis Bellを含めてitem Back等の貴重なmagic itemで身を固めているため、Borkusを超える。




Name: Erwin

Race: Elf

Age: 249

Title: Five-headed Snake】 【Fifteen Evil-Breaking Swords

Job: Wicked Whip Warrior

Level: 100

Job History: Apprentice WarriorWarriorWhip UserThiefMageEnchantment MageMagic Whip WarriorDual Whip WarriorMan of Conviction



Passive skills

Night Vision

Enhanced Agility:7Lv

Enhanced Muscular Strength:6Lv

Whip weapon equipped, then Attack Power Enhanced (1) : Large

Augmented Attribute Values: Loyalty:1Lv

Mental Corruption:3Lv

Abnormal Condition Resistance:5Lv

Intuition:2Lv

Detect Presence:5Lv


Active skills

Killing Snake Whip Technique:4Lv

Unarmed Fighting Technique:7Lv

Throwing Technique:4Lv

No-Attribute Magic:2Lv

Mana Control:7Lv

Fire-Attribute Magic:6Lv

Water-Attribute Magic:6Lv

Earth-Attribute Magic:5Lv

Wind-Attribute Magic:5Lv

Light-Attribute Magic:6Lv

Silent Steps:9Lv

Lockpicking:4Lv

Trap:5Lv

Magic Whip -Surpass Limits-:10Lv

-Transcend Limits-:3Lv

Familiar Spirit Advent:3Lv


Unique skill

Niltark 's Divine Protection




 『Fifteen Evil-Breaking Swords』の『Five-headed Snake』、Erwinmemberの中では古株で、adventurerならSClassへの昇格も狙える腕を持つ腕利き。その力量とLoyalty心は、危険なDemon KingEquipmentを貸与される程信用されていた。

 originallyMashkzarの母親である、先帝の妾だったElffemaleと同じ集落の出身者で、それが縁となってAmid Empireに仕える事になる。


 五つのattributeに適性を持つが、aptitudeそのものはそれ程では無く、aptitudeがあった鞭の腕とSpyとしての技術を磨く事を優先した。magicに目を向けたのは、武術だけでは限界があると思ったから。そのため、鞭を含めたWeapon Equipmentや鎧に付与する付与magic以外のmagicは得意では無い。


 生前の『Divine Spear of Ice』のMikhailとほぼ互の力量を持つ。




Job解説:Demon King User


 【Demon King Fragment】をその身に宿しながらも、egofragmentに飲み込まれず、逆にfragmentを飲み込み己の一部として利用する者が就く事が出来るJob

 【Demon King Encroachmentskillを持つfragmentの所有者や、Demon KingEquipmentの所有者は就く事が出来ない。Equipmentの所有者はsealedによってfragmentWeapon Equipmentとして扱っているだけで、飲み込み己の一部としている訳では無いからだ。


<- Previous | TOC | Next ->
Special thanks to MBA and the Users from the LBN #spoilers Discord. Without them this would not be possible.