Continent南部には各VidaのraceやDemon KingからVida's Factionに寝返った邪悪なGodsに従うmonsters達が、『Vida’s Resting Ground』を守るPure-breed Vampire達以外それぞれの神を奉じる国を興している。
それらの国は、Zanalpadna KingdomのみArachneとEmpusaの二raceが運営するため神の名を冠した国名となっているが、他の国は全てraceの名を冠したKingdomとなっている。
Empireを名乗るのはNoble Orc Empireのみだ。Boundary Mountain Range外の噂やlegendではin any case、実際はそうだ。
何故Noble Orcの国だけがEmpireなのかというと、それはBoundary Mountain Range内部の国々を纏める主導的な国家だったからだ。
「つまり、Empireでは無くKingdomに戻る事はその主導的な立場を放棄する事に成る訳ですね」
そんな事情を説明されながら、VandalieuはMububujenge templeの奥に在るBClass Dungeon『大肉洞』を進んでいた。
「うむ。余がBugitasの謀反を止められなかったばかりに、特にHigh Kobold nationとHigh Goblin nationには大きな犠牲を出してしまった。それに、我が国の国力も大きく減じた。
このconditionで余と我が国がEmpireに期待される役目を果たすのは、不可能だ」
のっしのっしと軽快な足取りで進むBudarion新Emperor、もとい、国王。
彼自身はRavovifardとの戦いで、かつての賢帝ブーギと同じRank12のNoble Orc Abyss High KingにRank upを遂げ、Pure-breed Vampireを除けばBoundary Mountain Range内部でも最強の一人に数えられる実力を手に入れたが、流石に国家間の問題を為政者一人の戦闘力だけでどうにかする事は出来ないと、彼と彼の側近達は考えたようだ。
「引き留めてくれた各国には申し訳ないのだが」
Budarionが宴の席でEmpireのKingdomへの国名変更を発表した後、宴に出席していた各国の代表者達は彼に思いとどまるように説得を試みた。心から、本気で、必死に。
Boundary Mountain Range外部のHuman社会の国家なら、これを自国が躍進するchanceと捉えるだろう。五万年以上も不動だった地位を自国が捥ぎ取り、他国に対して優位に立つ事を考えるはずだ。
為政者が考えなくても、Nobleの中には自分達や自分の子孫が享受する利権や領地の拡大を狙って派閥を組み、国を動かそうとする者達が絶対に出てくる。
それ以外にも、もし自国と関係の悪い国がその主導的な立場を手に入れたら、自国の立場が拙くなると考えて動く国もあるだろう。
しかし、やはりこのBoundary Mountain Range内部の国々は事情が異なる。
各国の為政者はそれぞれの国が奉じる神のPriestを兼ねているため、あまり無体な事をすると直接神から叱られてしまう。各国で奉じられている神にとっては自分を奉じるbeliever達が栄えるのも重要だが、それ以上にこの地をAlda側のGodsから守るBarrierの維持が重要であるため、他の国が大きく衰退してその国の神が弱る事を忌避しているからだ。
それに危険なDevil Nestsの中に都市国家が存在する状況では、他国に対して優位に立ったところで利益はたかが知れている。
何より、本来なら権力争いを始めそうなNoble Orcに次ぐ大国を構成するraceの価値観が、Human社会のRoyal Nobilityとは異なる。
「Donaneris Queenは頭を抱えるだろう。自分達に役目が回って来そうだと」
実力的にBClass Dungeonはまだ辛い為、Vandalieuに守られながら進むGizaniaはそう言い、同じように進むMyuzeも同意した。
「そうでござるな。某達Zanalpadnaは現状で十分栄えているでござるし……もっと栄えそうでござるし」
Kurnelia姫がBudarionの、そしてそのImoutoのGizania、そして前Queenの親類に当たるMyuzeがVandalieuの元に嫁ぐ事が決まって居るZanalpadnaでは、Empireの地位なんて無くてもやっていける目算が立っている。
逆に、地位に付随する義務の方を面倒に思う者ばかりだろう。
「ところで、brushingして良いですか?」
Large-buildのArachneであるGizaniaの背中に座るVandalieuは、見た目よりも硬い彼女のlower bodyに生える毛に手で触れながらそう質問した。
「……構わないが、後にして欲しい」
「Vandalieu -dono、某は?」
「Myuzeは毛が無いでしょうに……featherや鎌の手入れなら手伝えるかも?」
「おぉ、是非に!」
目を伏せて頬を染め応えるGizaniaと、嬉しそうにするMyuze。その会話を後ろで聞くMajin nationの王、Majin King Godwinは溜息を吐いた。
「イチャついてくれるなよ、この非常時に……」
捻じれた二本の角に青い肌、先端が逆三角形になっているtailを生やしたmuscleの塊で、Giant raceの-samaな巨体を誇るこの男は、各国の間でも知られた猛者だ。
しかし、今の顔つきはげっそりと痩つれて見える。
「やっと再来年には国王の座を後任に放り投げて、戦いと酒に溺れる甘美な日々に戻れると思ったのに……儂、Emperorなんて絶対嫌だからな」
「……Godwin -dono、流石に余らが聞いているのにその物言いはどうかと思うのだか」
「Budarionよ、儂に言動を顧みて欲しいならEmperorに戻ってくれ」
ただのselfishnessダメオヤジにしか見えないGodwinだが、Majin Raceではこれでも常識的な部類だ。
Majin Raceは個々が強力で寿命もVampireと同じく際限が無いraceだ。そのためか普段はマイpaceで我が道を行く者……己の趣味嗜好を優先する者が大多数だ。性格は享楽や酔狂、快楽主義者が多い。
共通しているのは個人の強さを重視する事だ。国王を選ぶ際も、希望者のtournamentやBattle Royale等の競い合いで決定する。それはRyuujin族やKijin raceでも同じだが、Majin nationの場合強さの定義が広いため、戦闘だけでは無くBoard Gameや飲み比べ、wisdom比べ等で王が決められた時もある。
だと言うのに仲間意識や同族意識が強固で、特に同じ趣味嗜好を持つ者同士の絆は強い。
そんなraceの国であるため、国王はEarthの学Class委員長のような皆の纏め役的立場で、ほぼHonorary職扱いだ。
「ゲラゾーグのidiot者をあれ以上放置しては、Majin Raceの名が廃ると出て来ればこれだ。あのidiotが……Budarionや先帝の爪の垢でも煎じて飲んで来れば少しはマシに成るだろうと留学に送り出したと言うのに」
「……そのゲラゾーグって人、何をやらかしたんですか?」
そうVandalieuに尋ねられたGodwinは、顔を皺だらけにして答えを濁した。
「お前の-samaなchildには聞かせたくない類の事を、一通り。部類としては軽犯罪ばかりのチンピラだから、今までは長期間牢に繋ぐ事も出来なかった。
奴の曾祖母には儂も世話に成ったので、更生させようとはしたのだが……妙な者に被れおって」
そうGodwinが苦りきった口調で語り、GizaniaとMyuzeが「これ以上は聞かないであげて」とVandalieuに目で訴える。
どうやらゲラゾーグの出来の悪さは、距離的に離れているはずのZanalpadnaまで聞こえるほどだったらしい。
Bugitasはまだしも、Ravovifardが自らのPriestとした他の二人のガルギャやギィドーもかなりの問題児だった。Ability的にもそうだが、特に人格的に。
どうやらRavovifardは、blessingsを与える者の選別にaptitudeや実力では無く、力を与えたら容易くreasonのたがを外し欲望を解放してしまう類の人格かどうかを重視して選んだようだ。
「それにEmperorとか、絶対に無理だ。儂に国家間の揉め事の仲裁や、各国合同の会議の主催なんて……もしもの時の援軍ぐらいなら出せるが、それでも一度に複数個所には派遣できんぞ。儂等Majin RaceはKijin raceと違って数が少ないのだからな」
Majin Raceには寿命が無い。そのせいか、出生率が極端に低い……生殖機能的にはElfやDark Elfと変わりない程度なのだが、Majin Raceには子孫を残そうという意識が薄いのだ。
VampireやGhoulと同-samaにHuman等を同族に変える儀式もあるが、色々面倒であるため積極的に実行できる代物では無いそうだ。
結果、Majin Raceは個人としては強力であるものの、Boundary Mountain Range内部には千人程しか存在しない最も少ないraceとなっていた。
Boundary Mountain Range外部のMajin Raceは多くても十数人程の集団で生活しているので、千人でも十分すぎる大集団なのだが。
「Godwin -dono、それに関しても恐らくGodsからお言葉を賜る事だろう」
「むぅ……見所の有る若造だとは思っていたが、片腕と片目が黒くなった途端落ち着いたな。
Godsが妙な事を言い出さなければ良いのだが」
BudarionやGodwin達が何故宴の直後にこの『大肉洞』を進んでいるか。それは彼等がそれぞれのGodsからOracleを受けたからである。
『最も近い聖域に来い』と。そしてBudarion達から最も近い聖域とは、『Evil God of Degenerate Corpulence』Mububujengeのtempleの最奥に存在する『大肉洞』の、更にその最奥に存在するroomだ。
Noble Orc Empire……Kingdomは先祖代々このDungeonをソロで攻略できる実力と、Mububujengeに認められた者が、宝物庫で神に謁見して言葉を賜って治めて来たのだ。
これはBoundary Mountain Range内部の国々で共通した仕組みなのだが……普通は他国の神が他国の聖域に自らのPriestを呼ぶなんてdemandはしない。
数千年以上生きているGodwinのMemoryにも無い事なので、建国以来初の事態かもしれない。
「Donaneris Queenが居ないといえ、何故某達なのでござろうか?」
「Kurnelia姫もいるのだが、それを差し置いて……Zanalpadnaには何かお考えがあるのか?」
初の事態かもしれないだけに、MyuzeとGizaniaは困惑していた。王以外の者でもDungeonに挑戦し、攻略して聖域に足を踏み入れる事は在った。しかし態々神がAdventして姿を現す事はほぼ無いので、「何故自分が? 本当にこのまま行って良いのか?」という思いが拭えないようだ。
「もし、全て拙者達の勘違いだったら……Oracleを受けたと思い込んでいただけだったら……拙者達は凄く場違いな事をしようとしているのでは?」
「Gizania -donoっ、恐ろしい事を言わないでほしいでござる! それに二人同時に同じ勘違いをする等、そうそうある事ではないでござる。なら、あれはOracleに違いないでござろう」
「だが、Oracleと言っても拙者には『来い』としか聞こえなかった……Myuze -donoは?」
「某は……『聖域』としか」
GizaniaとMyuzeはOracleを受け取るAbilityがあまり無いらしい。
「まあ、最初にOracleを受けた時はそんなもんだって。儂なんか白昼夢だと思い込んで無視していたら、我が神XerxからOracleを受けた前任者にぶん殴られて聖域まで連れて行かれた挙句、Xerxに直接殴られたぞ」
ガハハハと笑うGodwinだが、二人を安心させる事は出来なかったようだ。
「Godwin -dono、拙者達だとその仕置きを受けたら死ぬしかないと思う」
「プチッと、逝ってしまうでござろうな」
「いや、儂が言いたいのは、まあもし勘違いでもそんなに怒られんのではないかとだな……」
「Xerxは『War-God of Fire and Destruction』ZantarkのSubordinate Godで、やや荒っぽいDivinityであると聞き及んでいる。Zanalpadnaなら殴られる事は無いだろう」
しどろもどろになるGodwin。見かねたBudarionがそう言うと、二人とも少し安心したようだ。
「勘違いだったら一緒に謝りましょう。きっと許してくれますよ」
そしてMerrebeveilから『すみません、聞いてもらいたい話が色々あるのでちょっと来てください』とOracleを受けたVandalieuが、のんびりと請け負う。
「ゲンコツが降って来たら、抗議しますから」
暴力は良くない。そんな奴には暴力を持って対抗すべし。
「ありがとう……でもお手柔らかに」
「そうでござるな。勘違いだったらその時でござるな。だから穏便に」
「うむ、余からも頼む」
Slightly traumaが刺激されているらしいVandalieuを宥めながら、一行は進んだ。
BClass Dungeon『大肉洞』は、創り主の人格を反映したのか出現するmonstersは積極的に攻略者を探して襲い掛かって来ない、Trapを仕掛けたりCrypsisなどでCamouflageしたりと、待ち伏せを行う習性があるraceのmonstersが大多数だった。
そのため既に正しい道順を知っているBudarionが先導して最短courseをまっすぐ進めば、戦闘が必要な回数は最低限に抑える事が出来た。
そしてTrapや待ち伏せも、Vandalieuは【Labyrinth Creation】skillや【Danger Sense: Death】のmagicで看破する事ができ、その最低限の戦闘も簡単に攻略する事が出来る。
originally、このDungeonはRank10未満の者を振るい落とすためのものなので、既にRank12に達しているBudarionがいる時点で、苦労する類の物では無かった。
最下層のDungeonボスも、Budarionに瞬殺されてしまった。
そしてボスroomの奥に在る、Dungeonの宝物庫兼神がAdventする聖域に入るのだが、その前にBudarionから聖域でのruleについて説明を受けた。
この『大肉洞』の聖域はGodsがAdventする際、Divine Realmに似た性質のspaceに変化する。そのため謁見する者は剥き出しの魂に等しいconditionで、Godsの前に出る事に成る。
だから決して顔を上げてはならない。顔を上げ、Godsの姿を見てしまったら人の魂ではMentalが持たないからだ。膝を床に着け、謁見している間ずっと下を向いたまま視線を上げない-samaに。
「むぅ、流石元Empire。聖域も特別仕-samaか」
それを聞いたGodwinはそう唸っていたが、Vandalieuは、特に何の疑問も抱かずBudarionの指示に従った。
既にFidirgやMerrebeveil、Zozogante等のGodsと直接会っているが、Mububujengeを直接見ても大丈夫であると言う保証は無いからだ。
それに、今Vandalieuは余所-samaにお邪魔している立場である。確かにCoup d'étatを鎮圧した功労者だが、それを笠に着てBudarionの国のruleを尊重しなくて良い訳が無い。
なので床に膝を突いて下を見ていたのだが、気がつくと横に居たはずのBudarionやGizania達がいない。代わりに、Vandalieuが見つめている床の上に掌に乗せられそうな小さな人shadowが見え、視界の端に妙な存在がある。
人shadowの方は、どうやらGizania達の-samaだ。彼女達も膝をthrust(Gizaniaはそれに近い姿勢を取って)視線を下げているため顔は見えないが、恐らくそうだろう。……なぜ小さくなったのかは分からないが。
そして視界に入る妙な存在は、分からない。シルエットだけなら、だらりと横に成って頬杖を突いているふくよかなHumanに似ている。
しかしその体表は蠢くchunk of meatや膨張と収縮を繰り返すbumpで覆われていて、腹に当たる部分にHumanの物と同じ形をしたGiantなlipsがある存在を、Humanとは呼ばないだろう。
正直、人物と呼んでいいかも不明だが、Vandalieuには何故か『それ』が自分を見て、頷いているのが分かった。
『良く来てくれました、Vandalieu』
『はい。ご招待いただき光栄です』
聞き覚えのあるMerrebeveilの声に反応して、視線を下に向けたまま挨拶をするVandalieu。
『いえいえ、こちらこそ不躾けな呼び出しに応じてくれて感謝しています』
『そ、そうですとも』
『御足労、ご苦労-samaです』
『ら、楽にしてくださいッス』
どうやらFidirgもいるらしい。顔を下に向けたまま周囲を見ると、視界の端に木の根のような物が入った。Ghoul nationの『Evil God of the dark Forest』Zozoganteもいるようだ。
知り合いが多いとそれだけで安心できるので、好都合である。
『どうぞ顔を上げてください。certainly Vandalieuだけです』
『他の人達は決して顔を上げない-samaに』
『後、出来るだけ後ろも見ない方が良い』
『絶対っス。特に真上とか見ない-samaにしてほしいッス』
『良いのですか? この聖域のruleだと聞きましたが』
Merrebeveilに聞き返すと、彼女はtentacleの先端でトントンと先程からずっと動かない「それ」を叩いた。
『構いませんよ。そうですね、Mububujenge?』
どうやら、「それ」はMububujengeだったらしい。
『ぶぢゅっ……え、ええ。楽にしてください』
はっとした-sama子でそこだけは艶めかしいlipsを震わせてそう言うMububujenge。Goddessと呼ばれている通り、声はfemaleのものに近い。
(Divine Realmに似た性質のspaceとは言っても、よくあるようにHumanが頭の中で何を考えているのかまでKami-samaはお見通し、と言う事は無いようで良かった)
そう思いながらVandalieuが視線を上げると、聖域には数え切れないほどのGodsがいた。
……実際には数えられるのだろうが、Evil God (M) Evil God (P)は姿が独特過ぎて一見しただけでは別の個体なのかそう見えるだけなのか、分からない。
甲殻に覆われたbody partに宝石のようなcompound eyesが何か所もある、左右で色が異なる甲殻類と甲虫を混ぜたような神。
-sama々な内臓を大型肉食動物の形に絡み合わせたような姿の神。
右半身は見目麗しい美青年だが左半身はskinが無くmuscle繊維が剥き出しに成っている神。
頭部の無い猿がやはり頭部の無い牛に跨って、右手にGiantなeyeball、左手にGiantな鼻を持っている神。
逆に-sama々な動物の頭部……生首の山だけの姿をした神。
それらの間に普通の人の姿をした神や、龍がちらほらといる光景は中々衝撃的だった。
これは凄いなと思ったVandalieuだが、同じ事をGodsも考えていた。何故なら彼等はVandalieuの魂の形を直視しているからだ。
頭部には複数の眼や口が出鱈目に配置されており、Humanの腕が何本も束ねられたようになっている腕。それに所々【Demon King Fragment】が滅茶苦茶に生えている。凝固したbloodの塊や角やcarapaceが突起物のように生え、腕の表面がcountlessのsuction cupsで覆われ、所々不気味に光っている。
そんなEvil God (M)やEvil God (P)にしか見えず、しかも自分達を直視しても「凄いな」としか感じないVandalieuに、Godsは思っていた。Humanじゃないと。Mububujengeも含めて、殆どの神が唖然として言葉を失っていた。
実際、一度Vandalieuの魂を見た事があるMerrebeveilは平然としているように見えるが、『あの時よりも悪化……いや、変化している』と内心では動揺していた。
因みにFidirgは緊張はしていても、動揺はしていなかった。彼はVandalieuの魂を見るのは初めてだが、最初からVandalieuをHumanだと思っていないので、Vandalieuの魂がどんな異形の姿をしていても「やっぱりな~」と思うだけだったからだ。
『それで、御用件の方は?』
『は、はい。妾共Godsで話し合った結果此度のRavovifardの企みと、今現在の奴の状況。それに感謝と願いを伝えたいと思いまして……』
『Mububujenge、後は引き受けましょう。そのために態々十万年前から没交渉に成っていた私達に声をかけたのでしょう?』
声が震え上ずっているMububujengeに代わって、以後はMerrebeveilが司会の役割を買って出た。
そして所々conjectureで補完しながらRavovifardの野望と、かのEvil God (P)に押さえつけられて具体的に動けなかった事情を説明していく。
その間Budarion達は大人しく話を聞いていた。
以前Budarionが一度謁見した時は、MububujengeはGoddessとしての威厳ある……遠慮無く評すなら偉そうで怠惰な態度で彼の前に姿を現した。
それがVandalieuに対して明らかに緊張しているのは、驚愕に値した。何度か顔を上げかけたが、その度にFidirgが「止めるッス」と声をかけるので、何とか堪えていた。
『なるほど、事情は分りました。お互い大変でしたね』
そして事情を聞き終えたVandalieuがそう言うと、Mububujenge達は安堵していた。その-sama子にMerrebeveilや既に一度話しているZozoganteは『だから無暗に怯える必要はないと言っただろうに』とため息をつく。
自分達を抑え込んでいたRavovifardを不完全な受肉だったとはいえ倒した、しかも彼等が今も恐れるDemon King Guduranisと同じ魂を砕く事が出来るVandalieuを、Mububujenge達は頼もしく思うと同時に恐ろしいとも感じている。
概ねVandalieuがどんな性格をしているのかはbeliever達の意識から、特にMububujengeとZanalpadnaは知っている。彼等が主と仰ぐVidaにとっても重要な存在である事も分っている。しかし、やはり実際会って話してみなければ安心できない。
Vandalieuが現時点でもFidirgやZozogante等の下Classの神に匹敵、若しくは超える力を持っているだけに、良好な関係の構築とEnhanced (1)は必須であった。
そこでそれまで没交渉だったFidirg、そして湿地帯とTalosheimで信仰されるようになりBoundary Mountain Range内部からでもContactが取れるようになったMerrebeveilに、仲介を頼んだのだ。
『それで、頼みごとと言うのは何でしょうか?』
『幾つかあるのですが……Mububujenge、Zanalpadna』
『この度妾のPriest、BudarionがEmperorから降りる事となりました。そこで、次代のEmperorに成って欲しいなと』
『この場に居るGods全員の推挙で……一考してもらえないか?』
Mububujengeと、キリキリと甲殻が軋むような声で話すZanalpadna。それに合わせてnod Zozoganteや他のGods。
『いや、各国の王-samaを飛ばしてKami-samaだけで決めて良いんですか、Emperorって?』
それにVandalieuは若干困惑したが、ふと下を見るとその各国の王-samaの一人であるGodwinが拳を握って小さくガッツポーズしているのが見えた。
(そうだった。ここでのEmperorって、Honorary職だった)
maybe、Godwin以外の王からも反対意見は出ないだろう。
「Godsよ、我々に力を貸してくれたMikoにこれ以上――」
『うちの国のGeneralと相談してから決めたいですが、その方向で話してみます』
「なんと!?」
『あ、すみません』
責任感が強いBudarionが異議を唱えてくれたが、Vandalieuは気がつかずにイエスと返事をしていた。
実はVandalieu自身も、このEmperorの役割が結局自分に回って来るのでは? と思っていたのだ。
戦争で果たした役割と戦功の大きさ。そして各国が大小の違いはあるが消耗している中、Talosheimは当然無傷。
寧ろ、Vandalieuを含めた遠征参加者の戦闘Abilityがincreaseしたため、総合的な国力は微増している。
それにZanalpadnaやMajin nationでも都市国家であるのに、TalosheimはLizardmanとScylla族の集落と複数の町を抱えている。まだ人口はそれ程では無いが、将来は確実にZanalpadnaを越え、かつてのNoble Orc Empireに迫るdevelopmentを遂げるだろう。
「しかし、余が言うのもなんだが実利は殆ど無いのだぞ。Noble Orcの父祖達がEmperorを務めていたのも、この地の安寧を維持したいと言う意思があったからこそ」
『まあ、大丈夫かと。Honorary職にはHonorary職の利がありますから』
「え、あんの?」
『マジで?』
『黙っていろ、Godwin、Fidirg』
Budarionの後頭部に答えるVandalieuに、口を挟むGodwinとFidirg。それを叱責する戦旗を肩に背負った男神。
あの男神がMajin nationの『God of Battleflags』Xerxかと思いながら、Vandalieuは『ありますよ』と答えた。
Honorary職であるだけにBoundary Mountain Range内部の国家に一定の発言力とinfluenceがキープできる。特に、各国が奉じるGodsから頼まれてEmperorに就任するのだ。その力は以前のNoble Orc EmpireのEmperorを上回るはずだ。
余程妙な事を言い出さなければ、大抵の事は出来るのではないだろうか。
Chezareも反対しないだろう。
それ等の下心以外にも、先の戦争でContinent南部の国々の人達と仲良くなったので、関係は良好に保ちたいという考えも大きい。
これからBudarionやHigh Kobold nation、High Goblin nationも大変だろう。Zanalpadna国は面白いし、Dark Elf nationにも興味がある。Ghoul nation王も大兄貴と慕ってくれるし。
そして彼等はAlda's Factionに対し、協力して立ち向かう仲間である。
なので、Emperorに成るのは寧ろ好都合だ。
(maybe、Orbaum Elective KingdomのRoyal Nobilityより余程付き合いやすいでしょうし)
『あ、でも各国の揉め事の仲裁とかは俺だけだと難しいですよ。俺、そういう経験が無いので。交渉事が得意な部下も居ませんし』
『その辺りはあまり気にせぬように。あまり頻繁に起きるものでもない。Ravovifardのような存在が手を出してこなければ、本来この地の国家間の関係は平和なのだ』
Xerxの言葉で、なら大丈夫かとVandalieuは思った。
『それで、他の頼みごととは?』
『まず、各国を回り特に民と交流して貰いたい。私が守護するHigh Kobold nationでしたように』
片手に弓を、もう片方の手に天秤を持つ『God of Hunting』Rishareの頼みに、Vandalieuは首を傾げた。
『戦後復興ですか?』
『いえ、何でも構いません。観光旅行でも食事会でも辻説法でも。もっと端的に言えば、導いて下されば宜しい』
『はぁ……分かりました』
そんな事で良いの? と困惑を滲ませながらもVandalieuは了解した。【Guidance: Demon Path】のskillの効果をRishare達が期待しているのは分かるのだが、それにしても民を優先する理由がわからない。
話を聞いているBudarion達も首を内心では傾げていた。しかし、Godsにとっては重要な理由がある。
民の中のHumanとDwarf、ElfはRodcorteのCircle of Reincarnation systemに魂を管理されている。そのためGod of Reincarnation Rodcorteに、Boundary Mountain Range内部の国々のHuman達のrecordを見られてしまう。
その危険性を眠りにつく前のVidaから聞かされたRishare達Godsは、それを防ぐためにBarrierを張っている。しかしそのBarrierも、民が死亡し魂がsystemに還った後までは効果が無い。
そのため数年から数十年、長くて数百年のタイムラグはあるが、RodcorteにBoundary Mountain Range内部の情報を結局は知られてしまう。
ただRishare達Godsも、RodcorteがHuman一人一人のrecordを詳細に調査するような真似をするとは考えていなかった。実際、今まで致命的な事態は一度も起きていない。
しかし今は状況が異なる。魂を砕く事が出来るVandalieuは、Rodcorteにとっても無視できない存在だろう。Humanを家畜や工業レーンの上を流れる製品程度にしか考えていないだろうRodcorteも、今はHumanのrecordを詳細に調べているかもしれないと、Godsが考えるのも当然だった。
それを防ぐために民達を【Guidance: Demon Path】でGuidance、Vida式Circle of Reincarnation systemに民の魂を移行して欲しい。それがRishare達の真意だった。
certainly、彼女達にRodcorteのCircle of Reincarnation systemで何が起こっているのか、確認する事は出来ない。
しかし、Guidanceを受けたNoble Orc等のmonstersの魂がDemon King式Circle of Reincarnation systemから他のsystemに移行した事を、Evil God (P)のMububujengeが確認している。なら、Guidanceを受けた民達にも同じ事が起こるだろうとconjectureしたのだ。
まだ人であるVandalieu達にCircle of Reincarnationに関する秘密を明かす事は出来ないため困惑させてしまったが、了解が得られて良かったと、Rishareは胸を撫で下ろした。
『もう一つ頼みたいのはこれを――』
言いながらRishareは、懐からビクビクと脈打つ握り拳大のchunk of meatを取り出して、Vandalieuに差し出す。
『あ、どうも。頂きます』
そしてVandalieuは、chunk of meatをひょいと受け取り反射的に食べていた。
口内で蠢く食感に、咀嚼する程広がる何とも例え難い美味さに、思わず目を見開く。魂だけのconditionで物を食べると、味覚まで異なるのだろうか。
それを驚愕の表情で見つめるRishareは、chunk of meatを差し出した姿勢のまま硬直していた。
『た、食べた……』
『喰った、だと? あれを……幾らsealedしたとはいえ……』
『マジ? マジで喰ったの?』
『砕くのは知っていましたが……』
『そう言えば、数年前にBoundary Mountain Rangeの近くに在ったEvil God (P)のsignが不自然に消えた事があったが、あれはもしや?』
『いや、幾らなんでも……しかし、この子も奴と同じように人のMentalを侵食する事が出来るな』
『あれ? もしかして、食べちゃいけませんでしたか?』
あまりにも美味しそうだったし、「これを食べてください」と言われたのかと思って、反射的に食べてしまったが、不etiquetteだったかなとVandalieuが尋ねるとGodsは揃って首を横に振った。
『『『いや、良ければもっと食べてくれ』』』
そしてRishareが出したchunk of meatと同じものを次々に差し出す。
『そうですか? すみません、こんな美味しい物を。あ、皆も食べます?』
「いや、某達の事は気にしないで欲しいでござる!」
『じゃあ、お土産に幾つか――』
「持ち帰らずここで食べるべきだと拙者は思う!」
『なるほど、鮮度が良い内に食べるべきですよね』
慌てて遠慮し、この場で食べつくすように言うMyuzeやGizania。彼女達は今Vandalieuが何を食べているのか、察していた。
恐らく、sealedされたRavovifardであろうと。
Vandalieuに半身を砕かれて力を失い弱ったRavovifardをsealedしたGodsは、sealedし続けるよりも招いたVandalieuに残りも砕いてもらうことを考えた。それで将来起こるかもしれない脅威と、永遠にsealedし続けるランニングcostを削減できるからだ。
それをまさかVandalieuがお茶菓子感覚で食べ始めるとは思わなかったが、砕くのも食うのも同じだと思ったのか、Godsは自分達が持っている分のRavovifardを差し出して行く。
Myuze達が慌てるのも当然だった。Demon Kingよりずっと格が落ちるとはいえ、Evil God (P)のfragmentなんぞ渡されてはたまらない。
『食べ物で思い出しましたが、Demon Kingって魂を砕いた相手を食べたりしましたか? それで食べた魂のMemoryをAbsorptionしていたとか、あります?』
ふと思い出してVandalieuが尋ねると、Godsは一-samaに首を傾げた。
『Demon Kingも神だったので普通の食事は不要だったので……奴が何か食べた事なんてあったか?』
『いや、特には無い。何かのポーズや娯楽として食事をとった事は在ったようだが、魂を喰ったとは聞いた事が無い』
意外な事に、Demon King Guduranisは魂を喰った事は無いらしい。
『……【God Devourer】や【Soul Devour】の検証は、次の機会に自分で試すしかないか。それで、後俺は何をすればいいのでしょうか?』
もりもりとRavovifardを食べていくVandalieuに、半ば放心conditionに成ってしまったRishareに代わって、再びMerrebeveilが口を開いた。
『はい、後二つ……いえ、一つ頼みがあります』
頼みの一つは、後二口程で終るので言い直すMerrebeveil。
『MububujengeやZanalpadna達がsealedしているDemon King FragmentをAbsorptionして欲しいのです。fragmentのsealedから解放されれば、彼女達もよりBarrierに力を入れる事が出来るそうです』
『分りました。でもその前に聞きますが、今よりBarrierをEnhanced (1)する必要に迫られているのですか? 脅威が迫っているのなら、知っておきたいのですが』
尋ねられたGodsはお互いに目配せをすると頷き合い、Xerxが代表して答えた。その顔は苦虫を噛み潰したように歪んでいた。
『……分かった。あれは五万年前の事だ。我が主、Zantark -samaが選んだChampionにしてHeroic Godに至った者、Farmoun GoldがBarrierのすぐ傍まで迫った事があるのだ』