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Chapter 144: 『Evil god of releaseRavovifard必勝の策

 悪夢そのものの戦場で、ブザゼオス大General Under Commandの兵達は戦っていた。

「ブヒィィィ!」

 screechを上げながらNoble Orcthrustだした槍の穂先が、blood塗れで腹から内臓を垂らした敵兵の頭部を貫く。

 穂先が頬を抜け、そのまま後頭部を貫いた事を確信したNoble Orcは、やっと勝ったと安堵の息を吐いた。


『オ゛オ゛ォォォォォ』

 だが、脳の重要な部分を貫かれたはずの敵兵は倒れず、唸り声を上げながら自らを貫いた槍の柄を掴んだ。


「ブヒィ!?」

『ごぼへ……』

 引き攣った声を上げて咄嗟に槍を取り戻そうとするNoble Orcだったが、焦っているせいか普段通りの力が出ない。

 そしてWeapon Equipmentを取り戻せず動きが止まってしまった彼に、他の敵兵が近づいてくる。


『ごぼへ……』

『殺せ……!』

『功名を……手柄を……!』

『ぶひぃぃぃ……ぶひぃぃぃ……』


 見開いた虚ろな目に後が無い者特有の渇望を宿し、bloodに塗れ臓物を垂らしたOrc ZombieNoble Orc ZombieWeapon Equipmentを振り下ろし、thrustだす。

「ブ、ブギャアアアアアアア!」

 周囲を囲まれ身動きが取れなくなったNoble Orc兵は、断末魔のscreechを上げながら、Undeadの群れの中に沈んで行った。


 そんなHELLのような光景が戦場のそこかしこで起きている。


「突出するなと何度言えば分かる!? 陣形を崩すな! 重装兵は盾を構えて壁になってZombie共を止めろ! 槍兵は槍を盾の間からthrustだせ! 止めは弓兵とMageに任せろ!」

 ブザゼオス大Generalは、顔中を口にして怒鳴り散らしていた。その度に伝令の兵が青くなって飛び出し彼の命令を兵に伝える。


「ブグゥ!」

(どう言う事だ? 以前なら兵達は儂の命令を忠実に守ったはずだ。それが出来る者を育てるために訓練をさせ、更に選抜したはずだ。何故今に成って?)

 唸り声を上げるブザゼオスは思わずそう考えずにはいられなかった。


 当初、Noble Orc Empireの将兵は三人のGeneral率いる軍が反乱を企てたと知った時、衝撃を覚えた。しかしそれが生前よりもずっと弱くなった-sama子のUndead Transformationした将兵の群れだと分かった時には、肩透かしを受けた気分だった。


 本来ならUndeadは群といっても、Coordinationや役割分担をほとんどしない。ただ只管生者に襲い掛かるだけの烏合の衆だ。

 だから「とりあえず勝てる」とNoble Orc Empireの将兵が考えたのも無理も無い。しかし今に成って考えれば、それは油断だったのだろう。


 Budarion皇子の旗と見た事も無い旗を掲げた反乱軍は、Undeadとは思えない程鬼気迫る表情で襲い掛かって来た。そして城門の上から雨あられと矢やmagicが降り注ぐ中、攻勢を緩めず攻め寄せ城門を破壊されてしまったのだ。


 駆け付けたブザゼオスがCommandingを執り、何とか城門の外に押し返したのだが……その後blood気にはやったのか、それとも己の力を過信したのか、隊列を乱して突出する兵が続出。その兵は縦横無尽の活躍をするどころか、Undeadに囲まれて圧殺されてしまい、残った兵達が出来た穴を慌てて塞いで持ち堪えるという事を繰り返している。


 全体的には優勢であり、ガルギャやブキャップ等も含めて既にUndead軍は三分の一程がただの死体に戻っている。後一時間もあれば、全てのUndeadを倒す事が出来るだろう。

 しかしブザゼオスの苛立ちは鎮まらなかった。


(何度同じ命令を出していると思っている! 兵共は何時から鳥頭になった!? 無謀なidiotが殺されるところを見ているだろうに、少し目を離せば勝手な行動をしおって!)

 ガルギャやギィドーが献上したり派遣したりしたHigh KoboldHigh GoblinKoboldの兵は役立っているが、彼等に命令するためにはHuman語を話さなければならない。もしかしたらそれも、彼の苛立ちを助長しているのかもしれない。


(こうなったら儂自ら前線に出て……今儂は何を考えたのだ!?)

 ブザゼオスは、はっとして我に返った。何時の間にか前線に向かって足を踏み出していた自分に気がついたのだ。

「そう焦るな、ブザゼオス-dono

 ブザゼオスに軽薄な口調で話しかけたのは、ゲラゾーグ。二本の捻じ曲がったに青い肌、耳や鼻や、腰から伸びた先端が逆三形になっているtailpiercingをしてchin髭を伸ばした、線の細い遊び人風の人物だ。


「この俺-samaDemonがすぐにUndead共を駆逐してやるからよ」

 どうやらゲラゾーグはブザゼオスが愕然として硬直している事に気がつかなかったようだ。彼は身長差から肩に手が届かないためブザゼオスの脇腹を馴れ馴れしく叩くと、そう言ってTamerしているDemonを連れて前線に向かおうとする。


「待て、ゲラゾーグ-dono。貴-donoの出番にはまだ早い」

 それを慌ててブザゼオスは止めた。ゲラゾーグはブザゼオスから見て以前はただのクズbastardだったが、今の彼は度し難いidiotだが戦力になるクズbastardである。


 彼の主-kunであるBugitasMajin nationCoup d'étatを起こすよう遣わされたものの、支持者を殆ど獲得できずにおめおめと逃げ帰り、「どうかもう一度chanceを!」と泣きながら縋りついた、工作員としては無能にも程がある人物。

 しかし Majin Raceだけあって単純な戦力としては優秀である。


 格好は遊び人だが複数のattribute magicをそれなりの腕で使いこなし、武術もそれなりに使える。何よりも、Majin Race特有の【Demon TamerJobに就いており、-sama々な種類のDemonを合計十匹以上連れている。

 しかもこの男はガルギャやギィドー同-sama、何故かRavovifardに気に入られblessingsを得ている。


 そのため、幹部がだいぶ減り、ブザゼオス以外には大幹部がいない現在のBugitasの配下ではブザゼオス大General、小国の連合軍と戦っているためEmpireを留守にしているブモーガンGeneralに次ぐ、第三位の立場になっている。


「あぁんっ? 何故止める、まさかRavovifard -sama 's Divine Protectionを得た俺-samaに手柄を上げさせたくないのか?」

 虎の威ならぬEvil God (P)の威を借りたゲラゾーグ。一瞬放っておこうかと思ったブザゼオスだったが、patience力を振り絞って彼を止める。


「敵の-sama子がおかしい。攻め手は奴等だと言うのに、背水の陣のように必死に食らいついて来ている。それに、奴らが何故Undead Transformationしたのかが不明のままだ。

 まさかこれほどの数が自然にUndead Transformationしたとは考えられん。この戦、まだ何かが起こる。貴-donoが出るのはそれを見定めてからでも遅くは無い」


「ふむ……確かに、考えてみればZombie共の-sama子がおかしいな。Decomposition臭はしないし、見た限りだとほんの数分前まで生きていたのかと思える程だ。

 普通、Zombieが自然発生するのは死体がDecompositionし鼻が曲がりそうな臭いを出す頃だと思ったが……」


 どうやら気を逸らせたようだと、安堵するブザゼオス。ただ、ゲラゾーグに対して言った事は彼の本心でもあった。

 それを調査し、至急この大量かつ新鮮なUndeadの謎を究明しなければ危険だと長年の勘がWarningを鳴らしているが、次々と独断専行や命令違反をして死んでいくBAKANA部下が出るせいで、その暇がない。


(とりあえずこのUndead共を倒した後か。しかし、どうやって調査すれば? Mage共を派遣すれば何か分かるのか? ……あれは!?)

「ブガァ!」

 咄嗟にOrc語で叫ぶブザゼオス。彼の視線の先には、Undead軍の後方から飛んでくる矢の雨が在った。


 矢の雨はUndead軍ごと前衛を固める重装兵や槍兵に降り注いだ。screechを上げて仰け反るNoble Orcや、countlessの矢に射られて倒れるOrcHigh Goblin

 そして出来た隙間に、Undead軍が更に押し入ってくる。


 そして、Undead軍の向こうから土埃を立てて姿を現す敵軍。

「あれは、ZanalpadnaGhoulっ、それにHigh GoblinHigh Kobold nationの旗に、Centaur Harpyっ、それにあの見た事も無い旗の横に在るのは……Majin Kingの旗じゃねぇか!?」

「ぬう、ブモーガンめ! 持ち堪える事も出来なかったか!」


ボロボロの肉壁を自らthrust破って姿を現した敵軍に、ゲラゾーグは青ざめ、ブザゼオスは妙な高揚感を覚えた。

 しかしその高揚を抑え、ブザゼオスは叫んだ。

「隊列を維持しろ! 陣形を崩すな! blood気に逸るな、idiot共が!」

 押し寄せてくる敵軍よりも、士気ばかり高くてすぐに命令を忘れる自軍のSoldierの方が彼にとっては厄介かもしれない。




 城門が破壊される轟音も、ブザゼオス大GeneralCommandingする軍の戦闘音も、城前のOpen Plazaまで届いていた。

 Bugitasは不甲斐無い配下達が苦戦しているだろう事を察しつつも、当初は余裕があった。

 立ち塞がる二人の敵を倒してから、自ら戦線に加われば良いだけの事だと考えていたからだ。


 敵の内一人は、【Demon King Fragment】を複数持つmonster。もう一人は、自らの兄であるBudarion皇子。

 どちらも強敵だが、Bugitasは自らの勝利を疑っていなかった。monsterに対しては彼が奉じるEvil God (P) Ravovifardから必勝の策と力を授けられているし、Budarionは既に一度破った相手だからだ。


(確かにBudarionと戦った時はそれなりに手こずった。だが、あれから俺もlevelを上げ、より高位のFamiliar Spiritを降ろせるようになった。それに対して奴は見目とMagic Swordが変わったが、それだけだ)

 BudarionBugitasに片目と片腕を奪われた。彼の大鎌は傷つけた対象の治癒力や、施された回復magicの効果を大きく減退させるCurseを与える力を持つ、Ravovifardから授けられたlegend Class magic itemなのだが、どうやら何らかの方法でCurseを解いたようだ。


 それもあのmonsterの仕業だろう、中々やるものだと認めてやってもいい。だが、それだからこそBugitasBudarionに前回同-sama勝てると思い込んでいた。

 Budarionがあのmonsterと会ったのは、最近の筈。目と腕を取り戻したものの、腕を上げる時間は殆ど無かったはずだ。


 RavovifardOracleでも、Budarionについては何も触れられていなかった。つまり、monster程の脅威では無い。あの色が変わった腕と目も見かけだけのコケ脅しだろう。

 なら、幾らBudarionRank10のNoble OrcハイKingで、【Sword Techniqueskill10levelの腕の持ち主であっても、Rank11のNoble Orc Plunder KingSuperior Skillに目覚めている自分の敵では無い。


 Bugitasはそう判断していた。

「ブオォ!」

「ブグガァ!」

 超重量ClassMagic Swordと大鎌が激しくぶつかり合う。その度に、Bugitasの余裕は削り取られて行く。


「どうしたっ、動きが鈍いぞ!? 余から奪った王座の居心地の良さに、怠け癖がついたか?」

 Budarionの剣捌きはより巧みに、そして速く、何より重くなっていた。

『言わせておけば!』

 Orc語で叫び返しつつ、Bugitasは大鎌の石thrustBudarionsolar plexusを狙う。BudarionMagic Swordの腹でそれを受け止める。


「……【Flowing Willow】、【Pierce】」

 そしてそれを風に揺れる柳の葉のように、自然な動作で受け流した。更に、大鎌の柄に這うようにthrustを放つ。

 静かな声とは裏腹に、石畳が砕ける激しい踏み込みによって放たれたMagic Swordの切っ先が迫る。


「ブギィィ! ブギギャギャギャギャギャ!」

 Bugitasはそれを上Class skillMartial Arts 【Flowing Water】で強引に回避し、更にBudarionに対して連続して鎌を振るい斬撃を飛ばす【獣刃百連飛斬】を放つ。


「……見苦しい戦い方だ。【Flowing Water】

 流れる水の-samaな剣捌きで、Budarionは自分に当たる斬撃のみをMagic SwordSlash散らす。だがBugitasが乱れ撃った斬撃は、Budarionに最初から当たらないものまであった。

 それらはBudarionの背後の建物を切り裂き、更にその向こうまで食い込んでも止まらないだろう。


「【Demon King's BloodActivate、【Stone Wall】、【Stone Wall】、【氷blood硬壁】」

 だがBudarionの背後でただ立ち尽くしているように見えたmonsterVandalieuがすかさず動いた。自ら切り裂いた手首から噴き出した【Demon King's Blood】が凝固して壁に成り、しかもその壁を盾に見立ててMartial ArtsActivate

 しかし【獣刃百連飛斬】の斬撃は二枚の壁をも切り裂いた。しかし、三枚目の壁であるOrbiaを使った【Dead Spirit Magic】で作りだした氷の壁で完全に止まり、砕け散った。


「流石魔鎌、それもArtifactを振るって放ったSuperior SkillMartial Arts。少し焦りました」

Vandalieu -kunbloodじゃなくて【Demon King's Carapace】の方を使った方が良かったんじゃない?』

Orbiacarapaceは俺のbody partを包むようにActivateするので、離れた場所を守らせるには時間がかかるのです」

『なるほど~。でもあのBugitasって敵、結構すごいんじゃん?』

「ええ、中々の強敵です」


 その会話をBudarionと睨み合いながら聞いていたBugitasは、頭のblood vesselが切れるのではないかと思う程の屈辱とAngerを覚えた。

(皮肉のつもりか!? フザケやがって!)


 Bugitasの当初の予想では、Budarionは【獣刃百連飛斬】を防ぎきれず重傷を負うはずだった。いや、その前の段階で既に重傷を負い、先程の一撃でwhole bodyをバラバラに切断されるはずだった。

 そして、残ったVandalieuに対して必勝の策を使って悠々と勝利し、【Demon King Fragment】をRavovifardに献上し、そのまま二人の首を片手に下げて城門に向かうつもりだった。


 しかし現実にはBudarionは無傷で、悠々とBugitasが目覚めたSuperior Skill【武猪鎌術】の奥義の一つを防ぎ切った。

 それもBudarionを倒す為では無く、Budarionに追い詰められて、堪らず距離を取るために放った。だから狙いの甘い乱れ射ちになった。

 そしてBudarionが防がなかった斬撃も、Vandalieuが「ちょっと焦った」だけで防いでしまった。


 寧ろ追い詰められているのはBugitasだ。

 大きな傷こそ無いが、浅い傷は幾つも負っている。短い時間に連続してMartial Artsを放ったせいで息は上がり、Manaの消費が激しく、頭痛もしてきた。


 既に【-Transcend Limits-】も【魔鎌-Surpass Limits-】も、【Familiar Spirit Advent】すら使っている。そしてBudarionも同じく【Familiar Spirit Advent】やその他のskillを使用してSelf Enhanced (1)しているが、それで互どころか、Bugitasは劣勢に陥ったまま取り返せずにいる。


「ブゴオオオ! ブグガ! ブギイイイィ~!」

「余が何時の間にこれ程強くなったのか、か。確かに、以前はお前に敗れ守るべきEmpireと民に苦汁を舐めさせる醜態を晒してしまった。

 だが、余はGuidanceを受けたのだ」


 Budarionは、Bugitasが顔を醜悪に歪めて言った罵り混じりの問いに、態々Humanの言葉に訳してから答える。

「ブヒ!?」

 まさか自分以外に【False Guidance:skillを持つ者が居たのかと、驚愕に目を見開くBugitas。彼は今までその可能性を考えた事が無かった。


「勘違いするな。貴-samaが持つ紛い物では無く、真のGuidanceだ。余はMikoVandalieuの【Demon Path】のGuidanceを受け、力を得た。それを我等の守護Goddess Mububujengeも祝福してくださったようでな、短期間でRank upを遂げSuperior Skillに目覚める事にも成功した。

 Bugitas、今の余は貴-samaの知っている敗者では無い。今の余は貴-samaと同じRank11、Noble Orc Abyss Kingだ」


 BAKANAと、BugitasBudarionが告げた答えに言葉を失った。

 【Guidance】と【False Guidance:】は、Selfでは無く他者に恩恵を与えるskillだ。そのためBugitas自身は【False Guidance: Beast Path】でEnhanced (1)されていない。

 だがBudarionは【Guidance: Demon Path】でAbility ValuesEnhanced (1)され、存在を引き上げられている。

 更にブディルードやブーフーディンを倒して得たExperience PointRank upし、Superior SkillにもAwakeningした。


(BAKANA、そんなBAKANA! Budarionが、俺と同じ高みに至ったと言うのか!? では、俺が勝てるはずがないではないか!)

 originally aptitudeの差を痛感し、complexを押し殺して将来は兄の補佐に専念しようと考えていたBugitasだ。同じ土俵でBudarionに自分が勝てるとはとても思えなかった。


『旦那、もしかしてあのBugitasってGubamonより強いんじゃないですかい?』

『【Demon King's Carapace】を投擲された時は、【Demon King's Blood】の壁一枚で防いでましたものね。じゃあ、あの人Pure-breed Vampireより強いのですか?』

「少なくとも、武術の腕前ではGubamonよりもBugitasの方が強いと思いますよ」

『え、マジなのVandalieu -kun?』


「マジです。RankGubamonの方が高いですけど、奴の【Throwing TechniqueskillSuperior Skillじゃ無かったですし、それに奴が使っていた時の【Demon King's Carapace】とあの大鎌のArtifactなら、Weapon Equipmentとしての優劣はほぼ差が無いでしょうし。

 まあ、magicの腕は残念な-samaなので、総合的にはGubamonの方が強いですが。それでも十分大した腕です」


「……寧ろ、Pure-breed Vampireを倒した事の方が、拙者はマジかと聞き返したい」

「というか、ナチュラルに上から目線なのでござるな」

「まあ、Vandalieuにとってはその程度だ」

「何はともあれ……ダーリン素敵よ~っ! カッコイイー!」


 そして何時の間にか増えているギャラリーと、交わされる会話にBugitasdespair的な状況に気がつかされてしまった。

(俺がBudarionを倒せるかどうかでは無い、最初からあのmonsterBudarionと組んで二対一で向かって来ていたら、俺はとっくに殺されていた!)


 Vandalieuもまた直接狙われてはいなかったが、Bugitasの奥義を防いだ実力の持ち主だ。それなのに、【Demon King Fragment】を防御に、それも周囲の建造物やその向こうに居るかもしれない非戦闘員を守るためにしか使っていない。

 彼が本格的にBudarionの援護を始めたら、今でさえ劣勢のBugitasがどれ程持ち堪える事が出来るだろうか。


 だと言うのに、VandalieuBugitasの始末をBudarionに任せているのは何故か。Bugitasはそれに察しがついた。

(民や他の国へのShowか!)

 この戦争でNoble Orc Empireの威信は地に堕ちた。複数の国でCoup d'étatを起こさせ、多くの人々を傷つけ死に至らしめ尊厳を踏みにじったのは帝位を簒奪したBugitasだが、Empireその物の信用もまた失墜したのは間違いない。


 Bugitasの首を落とし、彼の配下を残らず処刑してもかつてのpositionには戻れまい。それどころか長い時間を贖罪に費やさなければならないだろう。


 それを少しでも取り戻すためには、Budarionが自身の手でBugitasを討つ事、そしてそれを各国の関係者が目撃する必要がある。

 VandalieuBudarionに加勢せず周りの被害を抑える事に徹しているのも、そしてギャラリーを運んできたのも、その為だ。


 ZanalpadnaからはKurnelia姫にGizaniaMyuze。それにHigh Koboldのルルゥ姫にHigh Goblin nationのゾーゴ王子。Ghoul nationからは関係者は来ていないが、殴り合いの大乱闘に勝利したため、Ghoul nation王から「兄貴!」と慕われる事に成ってしまったVigaroが名代としている。

 全員身内の-samaな物だが、この場に関係者がいない国も無視出来ない筈だ。


 因みに、Budarionが先程からOrc語では無くHuman語で話しているのもギャラリーに聞こえるようにとの配慮である。


「ククク……既に俺を負け犬として扱うか」

「どうした、Bugitas。諦めて降伏するのなら、せめてもの情けだ。苦しみの無い死を与えると誓おう」

「降伏? この俺が、Ravovifardに地上での神意代行者と認められたこの俺が、monstermonsterの走狗に成り下がった兄上にか……」


 このままでは逆転は不可能。そう判断したBugitasRavovifardから授けられた必勝の策を実行に移す事にした。

 本来は対Vandalieu用の策。それ以外では絶対に使うなと戒められているが、もう他に取れる手段は無い。


「ブハハハハハハ! 兄上っ、今再び俺は貴-samaを超える! monsterよ、これから起こる事は全て貴-samaが俺を追い詰めたせいだ!」

 追い詰められた者特有の危険な目をしたBugitasが、地面を蹴って大きくBackステップ。Budarionは反射的に追うが、間に合わない。


Bugitas、貴-sama何を!?」

「ブハハハ! 【Demon King FragmentActivate!」

 Bugitasbody partが青白く輝き、空気が重くなったような不気味な雰囲気を漂う。


「ぶっ、この輝きは!?」

「そんな、BugitasDemon King Fragmentを宿していたなんて! そんな物を使ったら待っているのは身の破め……破滅しないかもしれないけど、悪い事に使ったらダメなんだからね!」

 眼が眩んだBudarionが一旦下がり、Kurnelia姫が驚愕と非難の声を言い直しながら上げる。


fragment? 皇子、とりあえず一旦引いて、皆も俺から離れないように。後Kurnelia姫、配慮ありがとう」

 Vandalieuはそう言いながら、防御を固めようとした。originally Ravovifardが何かしてくる可能性が高いと考えていたので、Bugitasを「倒せる」と見切っていても油断していた訳では無い。

 ギャラリーの皆とも、常に守れる距離を維持している。


 とりあえずBarrierを張り、更に【Demon King's Blood】や【Demon King's Carapace】で壁を立てようとした。だが、制御が上手く行かない。

「ぐぶ? これは……?」

 勝手にskinが割けて大量の【Demon King's Blood】が、口内からは【Demon King's Ink Sacs】の墨が、至る所から出鱈目に【Demon King's Horn】や【Demon King's Carapace】、【Demon King's Suckers】が生えだす。


【解放せよ! 解放せよ! 解放せよ!】

 久々にfragment達が騒いでいる。whole bodybloodが沸騰し、boneが疼き、heartが震える。


Vandalieuっ! これは……グオオオオオ!?」

『アアアアア!?』

 Vandalieuに駆け寄ろうとしたVigaroや、Princess Levia、そしてBudarionOpen Plazaで遠巻きにして事態を見守っていたNoble Orc達までもがき苦しみ始める。


 だがただ苦しんでいる訳では無い。

「グオオオオオオオオガアアアアアア!」

 Budarionが戦いの最中もreasonを保っていた瞳をblood走らせ、口から泡を吹きながら咆哮を上げる。fangsを何度も噛み合わせて「ガッガ!」と音をさせて、Magic Swordを振り回す。


 他のBugitasの配下のNoble Orcも、Princess LeviaGhostも、普段とは別人のような荒れ狂うmonstersの顔を露わにした。


「何じゃ、これは……monstersInstinctが、強制的に増幅されておるのか!? 奴は、【False Guidance:】の効果を受けていない者にも、こんな事が出来るのか!?」

 monstersrootsを持つVida's New Racesであるが、純粋なmonstersでは無い為reasonを保っているZadirisが叫ぶと、Gizaniaがそれに応えた。


「恐らく、Bugitasは【Demon King Fragment】で、Ravovifardの力を増幅している! それで、こんな真似が……く、Vandalieuっ」

「くっ、Vanっ! ヴァァァン!」


 GizaniaBasdiaの声は聞こえていたが、Vandalieuは答えられなかった。【Demon King Fragment】を制御するのに手一杯だったからである。

『ヂュオ゛ォオオオオオオオオ!』

「ギヂヂヂヂィ!」

 しかも body partからは勝手にBone ManPeteが出てきてしまっている。とても悠長に「大丈夫ですよー」と言えるconditionでは無い。


 それらの惨状を、Bugitasは高笑いを上げながら見ていた。

「ブハハハハハハ! 【Demon King's Scent glands】と【Demon King's Luminescent organs】の前には、兄上もあれだけ嫌っていた獣に堕ちる以外無いようだな!」

 Demon King Guduranis達が作りだしたmonstersはどれだけ知能が高くても、CreatorたるDemon Kingにとって量産可能な畜であり、戦うための駒であった。


 だが知能が高いと余計な事を考えるwisdomがつき、そうでなくてもある程度強くなればmasterであるDemon KingGodsに反抗し、勝手な行動に出る事も多くなる。


 そのため、monstersは最初からInstinct的にDemon Kingや邪悪なGodsに従うように創られている。それはDemon Kingが倒されてから十万年以上経った今でも変わらない。

 Bugitasは『Evil god of releaseRavovifardから与えられた【Demon King's Scent glands】と【Demon King's Luminescent organs】を使って、そのInstinctを利用したのだ。


 scent glandからは特殊なフェロモンを分泌し、Luminescent organsから催眠効果のある光を出す事により、Budarionを含めたmonstersrunawayさせたのだ。

 本来はVandalieuが持つ【Demon King Fragment】をrunawayさせ、自爆させるための策だったが、これほどの効果を上げるとはBugitasも思わなかった。


「こんな事なら最初から……グブギィ!?」

 逆転勝利を確信し愉悦に酔うBugitasだったが、激しい頭痛と危機的な事実を告げる脳内アナウンスに総毛立った。

「【Demon King Encroachment】が、既に7だと!? 早、過ぎるぅぅぅっ!」

 恐ろしい速さで【Demon King Encroachment】がincreaseしている。それに比例して【Demon King's Scent glands】と【Demon King's Luminescent organs】の力もincreaseしているが、BugitasMentalも侵されていく。


(どう言う事だ!? これ程速く侵食度がincreaseするなんて、聞いていないぞ!? 何かの計算違い……)

『いいや、全て予定通りだ、我が手下の中で最も優秀なmonsters……minionsであるBugitasよ』

 混乱するBugitasMentalに、Ravovifardの声が響いた。


 その声はBugitasにまだAdventしているFamiliar Spirit……Ravovifardが自らの人格を込めて作ったSpirit Cloneを、力を故意に抑えてFamiliar Spiritに偽装した存在から発せられていた。

Ravovifardっ! これは……!?」

『【scent gland】と【Luminescent organs】は貴-sama自身のMentalにもimpactを与えていたのだ。自身もmonstersでしかない事を忘れていたようだな。

 さあ、後はこの我が引き受けてやろう、我がminionsよ!』


 自らの中でRavovifardの力が爆発的に膨張し、自分自身を司る何かが消えていく、そのhorrorと奉じていた存在の裏切りにBugitasは絶叫を上げた。

『……フフフ、ハハハハ! 遂に地上で動けるBodyを手に入れたぞ! 本来ならもう少し育ててからと思ったが、今はこれで十分! この戦いが終わった後に強い雌を見繕い、孕ませ次代の憑代を創るとしよう』

 Bugitasbody partを手に入れたRavovifardはそう勝ち誇ると、Budarioncarapacebody partを覆われたVandalieuに視線を向けた。


『さあ、新たな手下共よ! そのmonsterを殺し、fragmentを我に献上しろ!』

 その言葉にBugitasの配下だったNoble Orcや、BudarionBorkus達が顔を上げる。


「そんな、ダメよダーリン!」

 Kurnelia姫が悲痛な叫びを上げるが、それに構わず彼等は動き出した。


「「「ブガアアアアアアアアァ!」」」

 bloodの臭いがしそうな咆哮をあげて、Noble Orc達がVandalieuに向かって突進する。


「ジャマダアアアアアアア!」

『ヂュオ゛オ゛ォォォォォォ!』

『ウオォォォォォォ!』

 そして石畳を蹴り砕くような勢いで走り出したBudarionBone ManBorkusに一撃でBisectionされた。


「何だと!? monsters風情が何故我に逆らグオオオオオ!?」

 驚愕の叫びを上げたRavovifardは、そのままNoble Orcの破片を蹴り飛ばしながら迫る三人の剣を受け止めきれず、後ろに吹き飛ばされた。




Skill explanation:False Guidance: Beast Path


 『Evil god of releaseRavovifardが、monstersを支配しInstinctを解放する力を与えた結果、『Guidance』に似た効果を持つようになったskill

 このskillに導かれた者のIntelligence以外のAbility Valuesを増幅し、Rank upを促す。また闘争Instinctと欲望を刺激する。


 ただしIntelligenceが減退し、武術や特にmagic関係のskillの効果が落ちる。

 このskillimpactを受けた者は次第にmonstersとしてのInstinctが押さえられなくなり、Demon King Armyの忠実な先兵だった頃に回帰していく。


 またこのskillの対象に成るのは基本的にmonstersと、効果は半減するがmonstersrootsを持つVida's New Racesのみだが、日頃からreasonで抑えがたい闘争Instinctや欲望を抱えている者や、egoが確立していない幼いchild等はHumanでも対象に成る可能性がある。




Name: Budarion

Rank: 11

Race: Noble Orc Abyss King

Level:


Passive skills

Dark Vision

Mysterious Strength:10Lv

Peerless Vigor:1Lv

Strengthen Follower:8Lv

Strengthened Attribute Values when equipped with a Sword (Large)

Inferior Race Domination:7Lv

Self-Enhancement: Guidance:3Lv

Magic Resistance:1Lv

Abnormal Condition Resistance:1Lv

Mana Enlargement:1Lv


Active skills

Demon Path Fang Sword Technique:1Lv

Armor Technique:9Lv

Unarmed Fighting Technique:6Lv

Mount:4Lv

No-Attribute Magic:2Lv

Mana Control:5Lv

Earth-Attribute Magic:3Lv

Life-Attribute Magic:9Lv

Alchemy:1Lv

Commanding:7Lv

Coordination:8Lv

Dismantling:2Lv

Familiar Spirit Advent:10Lv

-Transcend Limits-:5Lv

Transcend Limits – Magic Sword:5Lv


Unique skill

Mububujenge 's Divine Protection




Monster explanation:Noble Orc Abyss King


 失った腕や目をVandalieuSurgeryDeath-Attribute Magicによって移植して取り戻した、Noble OrcハイKingBudarionが、各地の戦場やブディルードやブーフーディンを倒して手に入れたExperience PointによってRank upした存在。

 特にdeath attribute Manaimpactを受けたRight Armと左目が黒く染まっているが、今現在黒くない方の腕や目と比べて特別な力を持っていると言う事は無い。


 Rank upimpactで【Magic Resistance】と【Abnormal Condition Resistance】、【Mana Enlargementskillを獲得している。


 また【Guidance: Demon Path】の効果を得ているためAbility Valuesskillに補正を受けており、level upを重ねる事で更に強力に成る事が期待される。


 Noble Orc Abyss Kingは当然ながら歴史上Budarionが初めて至った存在であるため、Adventurer’s Guildを含めたどのorganizationにもrecordは無い。

 ただChampion NineroadTamerしていたmonstersを除けば、【Guidanceskillimpactを最大限受けた稀有なmonstersであるのは間違いない。


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