Noble Orc EmpireはBugitasが帝位を簒奪した後も、奇妙な秩序が保たれていた。

　Bugitasやその側近達はCoup d'étatが成功した直後から数日間は無体を働いた。逆らう者を殺し、禁じられている同族の肉を喰らい、それまでEmpireに多大な恩恵を与えて来た【Evil God of Degenerate Corpulence】MububujengeのClericや、Orc達の妻として与えられていた肉婦達をtempleに押しこめ、監禁した。

　ただ、逆に数日が過ぎると大きな事件は起きなくなった。女達が何人か集められ、機嫌を損ねた民やOrcが殺される事はあった。それは確かに悲劇だが、全体から見れば被害の大きさと犠牲者の数はEmpireを揺るがす程では無い。

　それは、Bugitasがブディルードやブーフーディン達Generalに軍を率いさせて各地に派遣した事で新たな支配者層が減った事。何よりも、Bugitasがある程度歯止めをかけたからだ。

　ReignするEmpireに大きな被害を自分で与える訳にはいかなかったし、あまりMububujengeを追い詰めて自暴自棄に成られたら何をするか分からないからだ。

　元Demon King Armyの一員であるEvil God (M) Evil God (P)は、『Lambda』の維持管理に関わっていない。

　そのため、『Lambda』のGodsはworldを維持するため常にある程度力を残さなければならないが、Evil God (M) Evil God (P)は構わず力を振るえる。

　それこそ地上にAdventし、自らが消滅するまで暴れまわる事も出来る。

　それはMububujengeを含めたVidaに寝返ったGodsと、神の座から追われたVida's FactionのGodsも同じだ。

　自爆と同じで正気で出来る行動では無い。しかし、Evil God (M) Evil God (P)の正気はInsanityと同じだ。

　Mububujengeや他のGodsはContinent南部をAldaから守るBarrierを維持しているため、そう簡単に自棄にはならないだろうが、やはり慎重にならなければならない。

　Mububujenge一柱だけならRavovifardは勝てるが、他のGodsも同調して自棄を起こしたら流石に分が悪い。

　そのため、自棄を起こしてもどうにもならないと分からせる必要がある。

　Continent南部のGodsを『Evil god of release』Ravovifardを頂点とした信仰態勢に組み入れる事が、Ravovifardの目的だ。

　一柱ずつ取り崩すように寝返らせていく。Ravovifardの解放の力はEvil God (M) Evil God (P)には効果が薄いが、特殊Abilityに頼らなくても古典的な方法が幾らでもある。脅迫や懐柔を交互に試みる方法は、神であっても有効だ。

　ただ、それは通過点に過ぎない。従う神を組み入れ、逆らう神を封じ、勢力を増してジリジリと力を消耗しているGod of Law and Life Aldaを倒し、このworldを手中に収める。

　それこそがRavovifardの野望であり、彼を奉じるBugitasの野望であった。

　そのEmpireに迫る軍の姿があった。

　城壁の物見の塔で報告を受けたNoble Orcは、その光景を見て一度は歓声を上げた。

『あれはブディルードGeneralに、ブーフーディンGeneral、それにブキャップGeneralの旗だ！　お戻りに成られたぞ！

　早く城門を開けろ！』

『待て！』

　しかしそれを他のNoble Orcが止めた。

『何故だ！？　General閣下を待たせるような失礼があったら、どんな罰を受けるか分からんぞ！』

『idiotが！　Ghoul nationを攻めに赴いたブディルードGeneralはin any case、何故それぞれHigh Kobold nationとHigh Goblin nationに派遣されたブーフーディンGeneralとブキャップGeneralの軍までいる！？』

　そう指摘されてはっとしたNoble Orcは、改めて迫りつつある三人のGeneralが率いる軍を注意深く見つめた。

　ブディルード軍はGhoul nationの侵略に成功したら戻ってくるかもしれないが、それぞれの国に派遣されたブーフーディン軍とブキャップ軍は、EmperorであるBugitasが呼び戻さない限り戻って来るはずがない。

　いや、考えてみればブディルード軍が戻って来る事もおかしい。侵略に成功してもGhoulを皆殺しにしたわけでもなければ軍の大部分と共に残り、侵略成功の報告を持たせた伝令だけが戻って来るはずだ。

　そもそも、別々の場所に居たはずの三人のGeneral率いる軍が何故合流して帰還したのか。

　そして気がついた。

『は、反乱！　反乱だ！　General達が裏切ったぞ！　Bugitas陛下とブザゼオス大Generalにご報告しろ！』

『気づかれたようだ。では……真の旗を掲げろ！　Budarion皇子とTalosheimの旗を掲げ、軍を展開せよ！』

　城門が一向に開く-sama子が無いことから、反乱の意思ありと悟られたと気がついたブディルードが号令を出す。

　それまで高らかに掲げられていた彼を含めたGeneral達の旗はその場に放り捨てられ、代わりにBudarion皇子とEmpireの旗が掲げられる。

『逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ』

『逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい』

『無理だ無理だ無理だぁ！　俺-samaたちはもうお仕舞だぁ！』

『終わりだっ！　もう俺達にはdespairしかのこっていないだぁ！　かあちゃぁぁぁん！』

　そしてブディルードの周りに満ちる悲痛な泣き言。ブーフーディンやブキャップ、更にHigh Kobold nationの簒奪者ガルギャに、High Goblin nationを支配していたギィドー達が、despairに染まった顔でガチガチと歯を鳴らせながら喚いているのだ。

『貴公等……怯えて泣き言を喚いても何も変わらないぞ』

『何も変わらないなら好きにさせてくれ！　もう我々は終わりなんだ！』

『そうだっ！　他の兵共も見てみろっ！』

　ブキャップが言う-samaに、彼等がCommandingする軍勢を構成する兵達は全員が悲嘆にくれていた。

　OrcやNoble Orc、そしてEmpireの城門の見張りは気がついていなかったが、後方にはガルギャやギィドーの配下だったHigh KoboldやHigh Goblin。それらの異raceを見慣れていない者にも一目で分かるほど、彼等は怯えていた。

　顔に深い皺を刻み泣き声を上げている。その-sama子は、「これから犬死しに行くぞ」といわんばかりである。

　……中には、壊れた笑い声を上げている者も少なくないが。

『どうだっ！　泣き喚いているのは俺-sama達だけじゃねぇ！』

　情けなさ全開でそう言うガルギャに、ブディルードは特に動揺した-sama子も無く「ブフ～」とため息をついた。

『貴公も私も、一応はCommanderだ。Soldierが泣き喚いているからといって、一緒に泣き喚いてどうするのだ。士気が下がり、統制が乱れ、軍としての機能不全が頻発しかねない。みすみす死地に行くようなものだ』

　理路整然と正論を述べるブディルードに、輝きの無いどろりとした瞳をしたブキャップが言った。

『死地も何も……俺達は死んでいるんだぞ。俺達も、お前も』

　そう、Noble Orc Empireに迫る軍勢は、Vandalieuが死体から作ったUndead。Zombieの軍勢だった。

　各地で殺したBugitasの配下の死体を、死後発生したMagic Stoneを取るだけにしてそれ以上のDismantlingを行わなかったのは、このUndeadの軍勢を創るためだった。

　ただ、最初は倒した敵のほぼ全てを使うつもりは無かった。ブディルードの-samaな元重要人物の他は、数百匹程度作って、allyの軍勢の前に薄く広く配置して文字通りの意味で肉壁にでも使えれば十分。その程度のつもりだった。

　Undead TransformationしたばかりのZombieは生前の実力より大分Rankが下がる。それに彼等が生前受けていたBugitasの【False Guidance: Beast Path】の効果もUndead Transformationした事で失い、更にガルギャやギィドーも生前得ていた【Ravovifard 's Divine Protection】も失っている。……当然、【Familiar Spirit Advent】も不可能だ。

　しかも今のmasterであるVandalieuが彼等をGuidingつもりが無いため、彼の【Guidance: Demon Path】の効果も最低限しか受けられない。

　そのため生前よりも大分弱体化している。そんな連中を大勢運んで移動にかかる時間を増やす意味は無い。

　しかし、Vandalieuが【Corpse Demon Commander】Jobに就き、【Group Binding Technique】skillを獲得したため状況が変わった。

　今までVandalieuには【Plant Binding Technique】や【Insect Binding Technique】で植物や蟲を含んだ生物を体内に装備して運ぶ際には、大勢は長時間運べないと言う制限が在った。

　それは装備している間、装備された生物が必要とする栄養素はVandalieuから消費されるという、skillの効果上の制限だ。

　大勢の生物を、短時間ならin any case、半日以上装備すると、Vandalieuは消費する栄養量を賄いきれず餓死してしまう。

　そのためVandalieuが常に装備していたのは飢えに強い蟲型や植物型のmonstersであるPeteやCemetery Bee、Eisen、そしてSlimeのKühl等にしていた。

　「ラクダのbumpみたいに、栄養を大量に蓄えられる【Demon Kingのbump】とか無いかな？」と思う事もしばしばだった。

　そんな時Undeadも装備できるようになったのだ。

　Undeadは当然だが栄養を必要としない。食事は出来るが、それは存在を保つために必要不可欠な行為ではない。だから装備できるだけ装備して、長時間そのままでいても餓死する事は無い。

　なので【Zombieメーカー】Jobによる効果と、莫大なManaに任せて保存していた敵の死体を全てZombieにし、それを装備してNoble Orc Empireからやや離れた場所で放出したのである。

　尤もVandalieuが死に際に居合わせなかった、High Goblin nationにいた敵の霊は大分取り逃がしていたので、実はブキャップ軍とギィドーの配下のZombieは大分減っているのだが。

　そして何故ブディルード以外のZombieが悲嘆に暮れdespairに苛まれているのかと言うと、放出された際に掛けられたVandalieuの言葉による。

「お前達は囮兼肉壁です。Noble Orc Empireの目を惹き付け、お前達の更に後方に展開されるZanalpadnaやGhoul nationの皆の壁になり、敵軍と戦ってください。ただEmpireの民や城壁等の防衛施設以外の公共物に被害を及ぼさないように。

　尚、この戦いで俺が納得する武功を上げなかった者、命令に背いた者は、後で魂を砕きます」

　前半の命令はUndead Transformationした彼等にとって別に構わない。既に死んでいるし、痛みの感じ方も生前とは大きく異なる。好き好んで二度目の死を経験したい訳ではないが、Vandalieuからの命令なら特に抵抗は感じない。

　何せUndead Transformationしたばかりで、levelやskillを上げるために努力した訳でも無い。死んでもただの霊に戻るだけ。失う物は無いからだ。

　だが魂を砕かれれば真の意味で消滅する。しかし、彼等は魂を砕かれる事だけを恐れている訳では無い。

『俺達はあのお方に疎まれ、邪魔だとゴミのように踏み砕かれるんだ！』

『ああ、終わりたい、もういっそ終わりたい……死が終わりだったらどれ程マシか！』

　生前はただの敵だったが、今のガルギャやブーフーディンにとってVandalieuはcharisma。

　特にガルギャなど生前自分以外に大切な者が存在しなかった者にとって、彼は自分以上に大切な唯一無二な存在である。

　そのVandalieuにGolemの動力源として再利用される事も無く、不要だと処分されるhorrorとdespairは、二度目の死よりもずっと大きい。

　しかし、ブディルードは悲嘆に暮れる-sama子は無い。それどころか、『何だ、そんな事か』と笑って見せた。

『そんな事かだと！？　貴-samaもhorrorのあまり正気を失ったか！？』

『何を言う、私は至って正気だ。その上で貴公等に言おう、achievementさえあげれば我々は魂を砕かれないで済むという事だぞ、あれほどの事をしてしまった我々がだ』

『なっ！？　それがどれだけ難しい事だと思っている！？　我々には既にGuidance 's Divine Protectionも無く、Ability Valuesも下がっている！　部下達の中には霊の損傷が激しくskillを無くしている者も少なくない！　我々は見た目だけのハリボテ同然なのだぞ！？』

『しかも相手はブザゼオス大General率いる精鋭だぞ！　今の我々が束に成っても勝てる訳がない！』

　ブザゼオスはBugitasについた中で最も高い位に在ったNoble Orc EmpireのGeneralだ。そのため大Generalの地位を与えられ、ブディルードやブーフーディンが外に派遣される中、Bugitasの懐刀としてEmpireの守りとして自身が育て上げた精鋭と共に残された強者だ。

　Commanderとしてだけでは無く個人の武威でも優れており、ブディルード達では一対一だとまず敵わない力量差があり、Undead TransformationしてAbility Valuesが下がっている今なら、束に成ってかかっても敵わないかも知れない相手だ。

　その上相手は堅牢な城塞の内側であるため、攻め寄せて壁を越えなければ刃を交わす事も出来ない。

　不利な材料ばかりが目の前に積み重なっている。

　しかしブディルードはブーフーディンやブキャップに言った。

『その通りだが、既に私も貴公も逃げ道はあるまい。命乞いをしようが、我々が殺してしまった者の遺族の足の裏を舐め、額を地面に擦りつけて許しを請おうが、あの方にとっては何の意味も無い。寧ろ逆に怒りを買うだけ。

　なら、ご命令通り戦うしかない。そう考えれば胸の内は軽くなり、晴れ晴れとした気分に成れる。

　貴公等はそう思わないのか？』

　問われたブーフーディン達は顔を見合わせると、『確かに』と頷いた。

『言われてみれば尤もだ。確かに、我々には戦う以外の選択肢は無い』

『今更他にあの方の好感を得る方法も無い……戦うしかない』

　彼等の顔から溶けるようにhorrorやdespairが消え、代わりにInsanityの火が灯る。

『そう、ただ只管戦うだけでよいのだ。槍を掲げ、戦え！　穂先が砕けたら柄で、柄が折れれば拳とfangsで、腕が捥げfangsが抜けたなら、捥げた腕を掴んで振るか、自らの肋boneを抉り出してWeapon Equipmentにして戦っても構わない。

　さあ戦え！　この一戦が最後に成るとも、最後に魂を砕かれるとも、少しでも価値あるゴミに成れ！』

　ブディルードの号令に応える-samaに、Undead Noble Orc軍の目にInsanityの輝きが宿った。

『戦えっ！　戦えっ！』

『ブザゼオスを押しつぶせ！　束で勝てないならば群れで勝て！』

『殺せ！　砕かれる前に殺せ！』

　生前の力関係とは異なり、何時の間にかブディルードがUndead軍の中心にいたのだった。

　ふと思った。

(自分は正気では無いと思っている狂人はいないって、何処かで聞いたな)

　胸中でそんな事を呟きながら、Vandalieuは町の中を歩いていた。

　Noble Orc Empireの街並みは、流石大国とVandalieuに思わせる立派な物だった。

　住民が身長二meterのOrcや三meterのNoble Orcであるため、建物一つ一つが大きく、頑丈に創られている。しかも、石材かと思ったらコンクリートに似た建材が使われていた。

　土と砂利、それに何かの粉に水を加えて混ぜ、形を整えてから乾かし固めた物で小さな石材をくっつけて壁を作っている。

　Humanの町では木材か石材、若しくはレンガで出来た家しか見た事が無いVandalieuは近代的だなと、とても感心させられた。……実際には、コンクリートはセメントに拘らなければVandalieuが思う程近代的な建材では無いのだが。

　しかし今のEmpireの町並みは何処か埃っぽく、活気を感じさせなかった。

　恐らく、住人が掃除をしたり庭木の世話をしたりする余裕が無く、また政府も活気と清潔感のある町並みを維持するつもりが無いからだろう。

「嘆かわしい」

　そう呟きながらVandalieuは堂々とNoble Orc Empireの大通りを歩いていた。

　certainly大通りにはVandalieu以外にも大勢の人々が行き交っている。

「ブガ！　ブブヒ～！」

「Noble Orc -samaっ、一体何があったので？」

「ブ……煩いっ！　民共は邪魔だっ！　どこぞに引っ込んでいろ！」

「商売は終わりだ！　店を締めろ！」

　大慌てで城門の方に向かう武装したNoble OrcやOrc達。彼等が横柄な態度で民を大通りから追い立てて、民達は顔に怯えと困惑を浮かべている。

　その脇を極普通にVandalieuは歩いて通り過ぎた。

　今迄遭遇した敵は全て殺してきたため、Noble Orc EmpireのSoldierはVandalieuの存在を知らない。そのため一度城壁の内側に入ってしまえば警戒されない。

　certainly Vandalieuの容姿は十分目立つ。オッドアイやfangsに気がつかれればDhampirだと見破られ、Empireの民ではない事が露見するかもしれない。

　しかし Vandalieuのような小さなchildが俯き加減に歩いていると、巨体を誇るNoble OrcやOrcからは髪の色ぐらいしか目に入らない。

　しかも非常時であるため、道の端を静かに歩いていれば視線すら向けられない。

　BugitasについたNoble Orc達にとって、民が警戒対象ではない事がVandalieuにとって幸いした。

「まあ、ダメだったら空を飛んで直接突入するだけですけど」

　そう呟きながら、Empireの城を目指す。ブディルード達Undead Noble Orc軍にBugitasの配下達の気を惹き付けている間に内部に潜入。そのままBugitasを屠るのが今回のtacticsである。

　古来よりある、敵が多いのでまず親玉を潰そう的なtacticsである。

　普通に戦争をするとBugitasを倒すまでにEmpireが受ける被害が大きいとか、Bugitasが前線に出て来るまでに時間がかかりそうとか、大規模な市街地戦に成って非戦闘員の民やBudarion派のOrcやNoble Orcに被害が出たら可哀そうとか、最近Sauron領がきな臭い、直接偵察に来るSpyの練度が上がったとIrisやMilesから報告があったからあまり時間をかけたくない等以外にも、この古典的なtacticsを採用した合理的な理由がある。

　今迄倒したGeneral達の霊から聞きだした情報からconjectureすると、Bugitasは【Guidance】かそれに似たskill、そして『Evil god of release』Ravovifard 's Divine Protectionを持っている可能性が高いからだ。

　Vandalieuが自覚しているように、【Guidance】skillを持つ者は周囲の者に単純なAbility Values Enhanced (1)以上の恩恵を与える。そして、導かれている者達にとって【Guidance】skillの所有者はpsychological支柱に成っている。

　そのため【Guidance】系skillを持つと思われるBugitasを失えば、Bugitas配下の者達は弱体化と同時に大きく士気を低下させ、軍として機能しなくなるのではないか。

　そうconjectureしたからである。

　また、Ravovifard 's Divine Protectionを持つBugitasはかの神にとって重要な存在であるらしい。

　『Evil God of the dark Forest』Zozoganteによると、神にとってblessingsを与えた存在とは畏怖やreligionを集めるための生きた広告塔であり、地上における代理行動者である。そのため、blessingsを与えている存在が全滅するとRavovifardが地上に干渉する手段を、莫大な力を消費しつつ神main bodyがAdventする事以外無くす事が出来る。

　更に、blessingsは誰でも簡単に与えられるものでは無い。

　ある程度以上その神とpsychological繋がりがあるか、近しい存在でなければならないのだ。

　ZozoganteならばGhoul raceや植物系のmonsters、MerrebeveilならScylla race、FidirgならLizardmanが「近しい存在」に当て嵌まる。

「でも、最近Continent南部に侵略してきたRavovifardには『近しい存在』に当て嵌まる者が無い。そのため、それなりの時間をかけてpsychological繋がりを構築しないと新しくblessingsを与える事は出来ない。

　だからNoble Orc Empireを取り戻すため、Ravovifardにこれ以上手出しさせないためにはBugitasを狙うのは合理的だと思う訳です。

　しかしそもそも『Evil god of release』って、何からの解放なのでしょう。やっている事を考えると『簒奪のEvil God (P)』とか『圧政のEvil God (P)』の方が相応しいのでは？」

『旦那、独り言が多いのは緊張しているせいですかい？』

「はい。一応敵地ですからね」

　姿を消したまま囁くKimberlyに小声で答えつつ、Vandalieuは進む。途中で見るからに強そうな、立派な甲冑に身を固めたNoble Orcが率いる一団や、Lesser Demonを数匹引き連れたMajin Raceらしい青年とすれ違ったが。

　あれがブザゼオス大GeneralとガルギャのMajin Raceバージョンであるゲラゾーグだろう。

　かなり遅いが、着実にBugitasの戦力は城門の外へ集中しているようだ。

『……戦力を動かすのに時間がかかり過ぎですぜ。Bugitasって奴もその配下も、暢気が過ぎるんじゃないですかねぇ？』

　自身が生前Amid Empire軍所属だったKimberlyがそう言うと、「followする訳じゃ無いですけど」と断ってからVandalieuも囁き返す。

「maybe、Empireが敵軍に攻められる、特に裏切られる事を想定していなかったのでは？　それにBugitasのimpact下にある人って、総じて短絡的に成る傾向がありますから、きっと本人も……」

『程度が知れるって感じ？』

『ところで陛下、この会話って皇子には……？』

「大丈夫です、俺が聞かせようとしなければ聞こえません」

『なら良かったです』

　姿を消したままのGhost達と会話をしながら、Vandalieuは遂に城に面したOpen Plazaまで辿り着いた。ここまで来ると既に将兵が殆ど城門方面に向かっているからか、逆に人通りは殆ど無い。

「ブハハハハ！　ブキブキュキュ！」

「うあぁぁぁぁんっ！　助けてぇぇっ！」

「お許しくださいっ！　どうかお許しください！」

　騒がしいのは、高笑いを上げる数人のNoble Orcと、その中の一人に掴み上げられscreechを上げている五age前後の女の子と、縋りついている母親らしきfemaleぐらいだ。

「腹が減っては戦が出来ないので、何らかの理由で避難するのが遅れた母娘に目をつけ、おやつ感覚で女の子を食べようとしているNoble Orcと見ました」

『Orc語が分かるのですか、陛下！？』

「いえ、ただの勘です」

　しかし、食料的な意味で食べようとしているというconjectureは合っていたらしい。Noble Orcは大きく口を開いてfangsを剥き出しにし、女の子の頭を丸齧りしようとする。

「おかあちゃぁんっ！　こわいよぉぉっ！」

「【骸炎】」

「イヤアアアアア……あ？」

　Vandalieuの【Dead Spirit Magic】によって黒い炎のSkeletonと化したPrincess Leviaのchinが、Noble Orcの頭部を喰いちぎった。

「起きろ。その子を返せ」

　硬直した母親の前で、首の無いNoble Orc Zombieが膝をthrust、母親に女の子を丁重に返す。

　他のNoble OrcやOpen Plazaに居る他の者も驚愕に動きを止めた。助かった母娘も例外では無かったが、母親はいち早く我に返ると、娘を抱えて走り去った。

　その後ろ姿を一瞥だけして視線を戻すVandalieuに、Kimberlyが話しかけた。

『……旦那、文句は無いんですが、普通はtacticsの為に心を鬼にするところじゃないですかね？』

「Kimberly、俺はHalf-Vampireなので態々しなくても鬼です」

『そう言う意味じゃないっすけど……まあ、城の前まで来ましたし、別に良いっすかね』

『それにもう見えてるし』

「ぶ、ブガア！」

「ブキィィ～！」

　突然仲間が首なしに成り、そのまま動き出した事に驚愕して硬直していたNoble Orc達が我に返り、そしてやっと近くに居る奇妙なchildに気がついた。

　彼等は因果関係は理解できなかったが、とりあえず全ての原因が目についたVandalieuに在ると確信し、襲い掛かろうとした。

「ブオオオオオ！」

　その背後から放たれた斬撃が彼等をBisectionし、そのままカマイタチのようにVandalieuに迫った。それを首none Noble Orc Zombieが身を張って防ごうとし……あっさりBisectionされて役に立たなかった。

「【Demon King's Carapace】Activate、【Stone Wall】」

　だが腕を覆うように発現したDemon King's Carapaceを盾にして、Vandalieuは斬撃を防いだ。

　screechを上げてOpen Plazaの近くに残っていた民達が逃げだし、Noble Orc達が慌てて下がる。

「とりあえずLoyalty心は買います」

　そうNoble Orc Zombieの霊に言ってやると、自らの配下ごと攻撃してきた敵……鎌を構えたBugitasを見つめた。

「ブクク、やはり貴-samaがRavovifardのOracleに在った、複数の【Demon King Fragment】を所持するmonsterか」

　Bugitasは自身の大鎌とActivateしたMartial Artsを受けても傷一つついていないDemon King's CarapaceのDefense Powerを認めて、不敵に笑った。

「まさかたった一人……いや、手下のmonstersを連れて俺の前に現れるとは、さては外の軍勢は囮か。このような奇策、古今東西歴史に名を残すSageであっても考えつくまい。流石は【Demon King Fragment】を持ち、神のFamiliar Spiritすら砕くmonsterと言ったところか」

　そう評しつつも余裕を感じさせる態度のBugitas。太く低音で、しかし何処かねちゃりと糸を引きそうな不快な声に、Vandalieuは呟いた。

「ここまではっきりと皮肉を言われたのは、Earthでの伯母の説教以来……」

『Van -kun、maybeあいつ皮肉じゃなくて本気で言ってると思うよ』

『そうですよ、陛下。自分でも言っていたじゃないですか、Bugitasには軍略に関する知識が無いって』

　Bugitasの言葉を古典的なtacticsを実行した事に対するあからさまな皮肉と解釈しかけたVandalieuだったが、Orbia達にそう言われて気を持ちなおした。

　因みに、既にOrbia達は姿を現しているのだが、Vandalieu達の囁き声をBugitasは聞きとる事は出来なかった。

「何だ、その目は？　まさか、俺が役立たず共ごと貴-samaを攻撃した事が気に食わない、などと甘い事はいわんだろうな」

「気に食わないです。胴体を真っ二つにして地面に中身を撒き散らすなんて、内臓が傷むじゃないですか。食べ物は大切にしなさいと教わらなかったのですか？」

「……鬼か、貴-sama」

　大真面目に言い返したら、鬼と罵られた。これは如何に？　後、言われなくてもHalf-Vampireだから鬼である。

「ブグゥっ！　得体が知れない上にフザケタ奴だ！　良いだろう、負け犬の兄貴の前にまず貴-samaを始末してくれる！」

　気を取り直して再びKilling Intentを込めて大鎌を振り上げるBugitas。

「……いや、貴-samaの相手は余だ」

　だが、動こうとしないVandalieuの背から、音も無く金髪の巨体が生えた。

「……ほほぅ、俺が切り落とし抉った腕と目を取り戻したようだが、monsterの手下に成り下がったか、兄上」

　黒いMagic Swordを携え、片目と片腕を黒く染めたBudarion皇子の姿を見たBugitasは、酷薄な笑みを浮かべた。

・Name: Bugitas

・Title: 【簒奪者】

・Rank: １１

・Race: Noble Orc Plunder King

・Level: ９５

・Passive skills

Night Vision

Mysterious Strength：１０Ｌｖ

大鎌装equipped, then Attack Power Enhanced (1) : Medium

Enhanced Vigor：３Ｌｖ

Abnormal Condition Resistance：５Ｌｖ

Inferior Race Domination：７Ｌｖ

Mental Corruption：４Ｌｖ

False Guidance: Beast Path：３Ｌｖ

Intuition：８Ｌｖ

Demon King Encroachment：１Ｌｖ

・Active skills

武猪鎌術：３Ｌｖ

Armor Technique：８Ｌｖ

No-Attribute Magic：１Ｌｖ

Mana Control：１Ｌｖ

Earth-Attribute Magic：４Ｌｖ

Life-Attribute Magic：８Ｌｖ

-Transcend Limits-：５Ｌｖ

魔鎌-Surpass Limits-：１０Ｌｖ

Coordination：１Ｌｖ

Commanding：６Ｌｖ

Familiar Spirit Advent：１０Ｌｖ

・Unique skill

Ravovifard 's Divine Protection

・Demon King Fragment

Demon Kingの●●

Demon Kingの■■