<- Previous | TOC | Next ->
Special thanks to MBA and the Users from the LBN #spoilers Discord. Without them this would not be possible.

Chapter 141: 供される強肉

 何者かの襲撃によってブーフーディンが討ち死にした事を知ったガルギャは、軍に出動を命じ自らCommandingを執った。

 しかし、簒奪者であるガルギャはHigh Kobold nationで全面的に支持されている訳では無い。ブーフーディンGeneralが倒れた今、自分に忠実な者達ばかり集めたらその隙に反乱を起こされかねない。


 そのためガルギャは故意に自身に対して反抗的な者達を集め、Forefrontに立たせた。そしてその後ろに、弓やmagicの使い手の部隊を配置した。

 反抗的なHigh Koboldを使い捨ての戦奴部隊にして敵に突っ込ませ、後ろからは逃げ出さないよう督戦部隊に監視させる。


『こうすれば逆らうどころか逃げ出す事も出来まい!』

 Slaveで構成された戦奴部隊を使う事はBoundary Mountain Range外の国では珍しくも無いが、国規模の戦争が長期間無かったBoundary Mountain Range内では画期的なideaだった。


 だが襲撃者達は既に城門の内側に入っている。そのためForefrontに立たされた戦奴部隊は国の大通りを密集して進み、その後ろを督戦部隊とその護衛、そしてガルギャがCommandingする精鋭大隊の順でガルギャ軍は進んだ。


『余程自信があるようだな。いい気に成りやがって』

 何故か人型を思わせる形に変形している城門を背に、一人のNoble Orcを先頭にGhoul、そして少数のHigh KoboldWeapon Equipmentを構えている。

 それをHigh Kobold MageLight-Attribute Magicで拡大した映像から見てとったガルギャは、気に食わないと唸り声を上げる。


『ガルギャ-sama、遠吠えにあったArachneEmpusaの姿がありません』

 部下の一人がそう進言するが、ガルギャは鼻で笑った。

『どうせ隠れているに違いない。戦奴部隊の連中をぶつけて、炙り出せ!』


 ガルギャの号令で戦奴部隊がChargeしていく。ブーフーディン軍の兵隊とは違い彼等はreasonを失っていない。心情的にはGhoul nationZanalpadnaの連合軍らしい敵にallyしたいのだが、背後の督戦部隊は飢えた獣に等しい連中ばかりだ。

 その督戦部隊の矢やmagicを掻い潜って逃げるか、勇気を振り絞って反逆しても、familyや民の身が危ない。


 士気は上がらないが、逆らう事は出来ない。


 そんなconditionの戦奴部隊が通り過ぎた地面から、何かがにゅっと生えた。

「……ガル?」

 戦奴部隊と督戦部隊の間の地面から生えた小さな人shadow……Vandalieuの姿に思わずガルギャも目を丸くした。


 戦奴部隊は背後で音もsignも無く生えてきたVandalieuに気がつかずにそのまま進むが、督戦部隊は驚いて一瞬動きを止めてしまった。

「壁に成れ」

 そして轟音を立てて地面から高い壁が生えた。


「っ!?」

 督戦部隊と更にその後方のガルギャ達本隊は、視界を高く伸びていく壁に敵軍と戦奴部隊との間を遮られてしまった。

「ガアアア!」

 しかし、動揺して動きが止まったのは一瞬だった。ガルギャが、壁が出現した原因らしいVandalieuごと攻撃してブチ破れと、単純極まりない号令をかけたからだ。


 そしてbloodを見たくて堪らなかった督戦部隊は、嬉々として弓の弦を引き絞り、呪文を唱えた。Rank5のHigh Koboldの一斉攻撃を受ければ、childにしか見えないVandalieucertainly土の壁は砕け散り、その向こうに居るはずの戦奴部隊もただでは済まないだろう。


 【ArcheryskillMartial Arts、【Continuous Shooting】、【乱れ射ち】、【強射】。そして【Stone Bullet】や【Flame Bullet】等の各種magicが放たれた。


「【骸炎獄滅弾】、【冥Roaring Lightning】、【死氷牢獄】」

 だが、督戦部隊の攻撃が放たれた直後に、VandalieuDead Spirit MagicActivateした。かweak矢やmagicを蹴散らし、Giantな黒い炎の髑髏や雷、纏わりついて温もりを根こそぎ奪う氷のtentacleが督戦部隊を飲み込む。


「――――っ!!」

「ギャイィィィィィン!?」

 氷に飲まれて数秒で凍死できたHigh Kobold達はまだFortuneだった。黒い炎に飲まれた者や雷に打たれた者は、一瞬で死ねず、しかし一目でもう助からないと分かる致命傷を負って断末魔を上げながら踊る事になったのだから。


「キャインキャイン!」

「ワウゥン! ワウウゥゥン!」

 仲間の無残な死を目にした残りの督戦部隊は士気がDecayし、逃げ出した。

 約三百いた督戦部隊は、戦闘が開始してから一分と経たずに瓦解してしまった。


「……一度に大勢を、しかし素材が残るようにmagicで殺すのって難しいですね」

『ドンマイです、陛下! まだ沢います!』

『そうそう、もう一回やってみようよ! 今度は上手く行くって!』


 生き物が焼ける、appetiteを刺激する香りでlungを満たしたVandalieuが呟き、戻ってきたPrincess LeviaOrbiaが励ます。因みに、Kimberlyはまだ「ヒャッハァ~!」と逃げるHigh Koboldを追い回し、感電死させるのに忙しいようだ。


 後方のガルギャ率いる精鋭大隊は、今度こそ言葉を失い、棒立ちに成っていた。

「ガ……ガガ……?」

 Vandalieuが放った三つのDead Spirit Magic。そのどれか一つでも真面に当たれば、自分は致命傷を負う。それがInstinct的に分かってしまったからだ。


 Rank7のHigh Kobold Generalが【Armor Technique】と【Shield Technique】のMartial ArtsActivateし、更にHigh Kobold Magemagic防御を増す付与magicを唱えて、何とか重傷で済む。

 十万年の時と共に薄れていたはずのmonstersとしてのInstinct。それを取り戻し、更に肥大しているからこそ気がつく事だ。


『ぉ……怖気づくな! あれほどの高等magic、そう何度も唱えられるものか! 壁を作りだしたEarth-Attribute Magicも考えれば、今ので打ち止めのはずだ!』

 だがガルギャのKobold語でのCommandingで、High Kobold達は確かにその通りだとは考え直した。

 すると先程までInstinct的に覚えたsense of fearは消え去り、逆にVandalieuに対する嘲りや侮蔑が浮かんでくる。


 自分達の前に立ち塞がるのは、小さな見かけによらず高度なmagicの使い手だが既にManaを使い果たした愚か者だと。

 周囲に使い魔らしいmonstersが三匹ほど浮いているが、たった三匹で何が出来る。彼等ガルギャ直属の精鋭大隊は千もいるのだ。


『さあ、役立たず共ごと奴を蹴散らし、壁をthrust崩し、その向こうに居る敵を食い殺して来い!』

 ガルギャの号令が下り、最低でもRank6以上のHigh Koboldで構成された精鋭大隊が攻撃を開始する。

 それでもMartial ArtsActivatemagicを唱えて攻撃するという念を入れたのは、彼等の中にまだ「もしかしたら」という危機感があったからだろう。


 逃げ出した督戦部隊の生き残りを跳ね飛ばし、踏みつけながらVandalieuとその背後の壁へと迫る。


 ただその頃には、Vandalieubody partを【Spirit Form Transformation】させていた。

『では、迎撃開始』

 半透明になったVandalieuの姿が、Giantな門のような四形に変化する。


「ギシャアアア!」

Samurai隊、敵を迎撃するぞ!」

Kunoichi隊も行くでござるよ!」

「うぷっ、二連続はきついっ!」

 そして門と化したVandalieuからPetemonstersArachneEmpusa軍が怒涛の勢いで出現する。


「グルル!?」

「ギャギャワン!?」

 予期せぬ大勢の敵の出現にHigh Kobold達の陣形が乱れる。

「【冥雷】、【氷blood死水】、【Black Flame槍】」

 そこに再びVandalieuDead Spirit Magicが飛び、先程よりも被害自体は少ないが更に混乱して陣形を崩すHigh Kobold達にまずPeteが、そしてVandalieu軍が突っ込む。


 High Kobold達とて、群れで戦う事に長けたraceであり、しかも Rank upを一度以上経験した精鋭で構成された大隊である。更にガルギャがCommandingしている事もあって、総崩れに成る事は無かった。しかし、流れはどうしようもなくVandalieu側に傾いた。


「【Rock Crush】! って、うお!?」

 体勢を崩したHigh Kobold Soldierの頭部をMaceで砕くKasimだったが、その隙を突いて別のHigh Kobold Soldierが斧の柄頭をthrustいれて来る。それは辛うじて盾で受け止めたが、今度はKasimの体勢がやや崩れた。

Kasimっ!」

 横で別のHigh Koboldと切結ぶFesterが仲間を助けようとするが、間に合わない。


「調子に乗るな!」

 だがKasimの鎧に斧が食い込む前に、そのHigh Kobold Soldierの胸板を緑色の鎌が貫いた。

 大柄なEmpusaが、鎌腕を振るってKasimを助けたのだ。


「た、助かった」

「ふんっ……男は男らしく、無理せず守りに徹していろ」

 礼を言うKasimに、大柄なEmpusa……Kurnelia姫の護衛団の一員だったEmpusa BerserkerGaolは、不愛想に言い捨てると他のHigh Koboldと切り結び始めた。


 二本の鎌腕を振るい、それを掻い潜って来た敵には二本の腕にそれぞれ構えた剣と盾で身を守るGaolHigh Kobold達を押して行く。

 Rankの上ではGaolHigh Kobold大隊の兵達と同じ6なのだが、Vida's New RacesEmpusaであるGaolJobにも就く事が出来る。そのためbody part AbilityでもskillでもHigh Kobold達よりも有利だった。


 しかしその心中は荒れていた。

(そうだ、weak Humanの男、それも二十年も生きていないchildのような奴らに後れを取る訳にはいかない!)

 Continent南部ではDwarfElf、そしてHumanは男でも戦闘力に劣るため、守られるべき存在に位置付けられている。

 だからGaolKasim達が自分と肩を並べて戦っている事が気に食わなかったのである。


 reasonではKasim達がZanalpadnaHuman達とは違い、高い戦闘技術を持ちbody part Abilityも鍛え上げられている事は理解している。生半可な腕でどうにかなるほど、High Koboldは容易い相手では無い。

 彼等の実力はGaolと肩を並べて戦うのに、何の問題も無い。


 しかし emotionsではすぐに納得できるものではない。だから苛立ってしまうのだ。それが動きに出てしまったか。

「【鉄裂】!」

 重武装のHigh Kobold Knightを鎌腕でSlash倒したGaolだったが、Knightshadowに小柄なHigh Kobold Assassinが隠れているのを見逃してしまった。


(しまった!)

 High Kobold Assassinは素早くGaolの鎌腕の内側に、そして剣や盾も潜り抜けて肉薄する。逆手に握った短剣が、Gaolの脇腹を薙ぐ。

「【Invisible Slash】っ」

 その刹那、High Kobold Assassinの首が深く切り裂かれた。


「なっ!?」

「前に出過ぎだ、一旦下がろう」

 何時の間にかいたZenoによって助けられたGaolは、彼のsignに気がつけなかった事に驚き言葉を失う。

 そのGaol-sama子を奇妙に思いながらも、ZenoGaolの腕を掴み、そのままHigh Koboldknifeを投げて牽制しながら彼女と一緒に後ろに下がった。


Kasimを助けてくれて、ありがとな」

 そして、そうGaolに言って再び戦っている仲間の元に戻って行った。彼の後姿に、Gaolはあの時たとえ自分がKasimを助けていなくても、Zenoが助けていただろう事に気がつく。


 だがそれはGaolにとって重要な事では無かった。

「私は……まだ二十年も生きていないHumanの男に助けられた……守られたのか」

 その事実がGaolの心を大きく揺さぶるが、その衝撃は彼女の心を荒ませるものでは無かった。




 GaolZenoの後ろ姿を見送った直後、Vandalieuによって造られた壁が再び轟音を響かせながら地面に戻って行った。

「余に続け、誇り高き真のHigh Kobold達よ! 獣の手から国とfamilyを取り戻せ!」

 そして戦奴部隊だったはずのHigh Kobold達が加わったGhoul達が、Budarion皇子を先頭に切り込んできた。


「ウオオオオオオン!」

Budarion皇子に続け! 簒奪者ガルギャを倒せ!」

 Vandalieu達が戦っている間、壁で隔てられた向こうでBudarion皇子が戦奴部隊のHigh Kobold達を説得していたのだ。


 既にブーフーディンは敗れていて、襲撃者の正体は力を取り戻したBudarion皇子と、高RankGhoulWarrior達。Eleonoraの存在も、Continent内部では『Vida’s Resting Ground』を守るPure-breed Vampire達からの援軍と解釈されてplusに働いた。

 そして壁の向こうから聞こえるのはガルギャの手下達の断末魔と、Kobold語では無い大勢の声。

 ここまで材料が揃えば、戦奴部隊のHigh Kobold達がガルギャへのhorrorから解放されるまで数分とかからなかった。


 数でも質でも劣勢に立たされた事を理解したガルギャだが降伏する事も、そして逃げ出す事も出来なかった。

「グワオオオオオオン! こうなれば俺-sama直々に貴-samaを殺してやる!」

 自分がしてきたことを考えれば、降伏が受け入れられるはずがない。そして逃げ出すのはガルギャのprideが許さなかった。


(ここで逃げ出しても俺-samaに未来は無い! 運良く逃げられても、Ravovifardに見捨てられたら力を失っちまう!)

 ならば逆転の可能性を信じて、全力で戦うまでだ。


(俺-samaは既にRank10! Budarionが力を取り戻していたとしても、俺-samaと互程度の筈! だが、まず倒すのはあの正体不明の何かだ!)


 豊かな獣毛を逆立たせ、High Kobold Beast Kingに至っているガルギャはVandalieuに向かって駆け出した。

「ガルルル!」

「王の、邪魔、するな!」

 ガルギャ軍のHigh Kobold達が王自らの出陣に士気を取り戻し、ガルギャが進む道を確保するためにVandalieu軍に我が身を省みず襲い掛かる。


 ……Vandalieu軍が無理に阻もうとしなかった事に気がつく前に、ガルギャはVandalieuを視界に捉えた。

(この集団の頭はBudarionじゃねぇっ! 貴-samaだ! 貴-samaを殺せば俺-samaにも勝機はある!)

Ravovifardォ!」

 【-Transcend Limits-skillActivateし、更に【Familiar Spirit AdventskillRavovifardFamiliar Spiritを我が身に降ろす。


 そして何も出来ず立ち尽くしているように見えるVandalieu目がけて、【Unarmed Fighting Technique】のMartial ArtsActivateさせ剣よりも鋭いclawsを上から振り下ろした。

「グオオオン!」

「【Demon King's CarapaceActivate

「グゲア!?」

 だがガルギャの爪は、Vandalieuskinから生じwhole bodyを包んだ黒いcarapaceによって阻まれた。


 ガルギャのclawsは耳障りな音を立ててcarapaceに深く傷を刻んだが、反動で腕に痺れを生じさせていた。以前の彼ならclawsと指のboneが砕けていたかもしれない。

(信じられネェ程硬てぇっ! だが、硬いだけなら……!)

 ガルギャは反対側の手で拳を作ると、それで【Unarmed Fighting Techniqueskilllevel以上で初めて使えるMartial Arts、【透撃】をActivateさせた。Attack PowerそのものはEnhanced (1)されないが、衝撃を透過させDefense Equipment越しに直接BodyDamageを与えられるMartial Artsだ。


 大きく鈍い音と共に衝撃が届いた手応え。ひょこりとcarapaceから顔を出したVandalieuの口元に、bloodが滲んでいる。ガルギャは攻略法を見つけたと、再び【透撃】をActivateさせる。

 だが、今度は鈍い音はしても手応えは無かった。


「【Demon King's Carapace】とHell Copperの鎧越しにDamageを与えて来るのはちょっと驚きましたけど、1levelの【Armor Technique】で【石体】をActivateさせたら、完全に防げる程度ですか。

 それで、他にもっとPower upする手段ってあります?」

 一撃目の後、carapaceの内側で液体金属の鎧を纏い【Armor Technique】の、carapaceを盾に見立てて【Shield Technique】のMartial ArtsActivateさせたVandalieuは実験を行う研究者の目でガルギャを見つめた。


「ヒュッ……グルアアアア!」

 その瞳に得体の知れない何かを見てしまったガルギャは、付与magicで拳に炎を纏わせ、そして何度も何度もVandalieuに向かって【透撃】を振り下ろし続けた。

 その爪は、Dragonでもchunk of meatにしかねないAttack Powerがあったかもしれない。


「アァァァァァァ!」

 だがそれを繰り出すガルギャの姿は、怯えたchildhorrorの対象に対して滅茶苦茶に腕を振り回している光景を連想させた。


 それはガルギャの怯えた-sama子以外にも、その攻撃が何の意味も無い事が誰の目にも明らかだったからだ。

「……ああ、別にPower upする方法が無いなら無理しなくていいのですよ? 隠し技とか奥の手も、無いみたいですね」

 拳がぶつかる度にcarapaceが大きな音を立てるが、その程度でVandalieuは涼しい顔をしていた。


 高等Martial ArtsActivateさせて攻撃したのに、blood反吐を少々吐かせる程度しかDamageを負わせられなかったのだ。

 その後、防御態勢をより固めたVandalieuに対して、簡単な付与magicをかけた以外は同じ攻撃を繰り返して劇的に何かが変わる訳がない。


(【Danger Sense: Death】に反応が無いのは分かっていたけれど、この程度か)


 【-Transcend Limits-skillの効果が切れたのか、目に見えて動きが鈍くなるガルギャ。それに対してVandalieuはもう用は無いと、【Demon King's Blood】と【Demon King's Horn】をActivateさせた。

「ファイエル」

 carapaceの隙間から出現した、筒状に凝固した【Demon King's Blood】の銃口から発射された【Demon King's Horn】製弾丸が、ガルギャの下腹から入り肩から抜ける。


 ガルギャの後方に在る建物や、その中に居るかもしれない人達へ配慮した一撃だった。

「ギャバァン!?」

『――――!』

 ガルギャと、何かの絶叫が響く。ガルギャのwhole bodyから発散されていたFamiliar Spiritの存在感が消え、どす黒いbloodを口と傷から吐き出しながらよろめき、仰向けに倒れる。


「【Soul Breakskillを使うと、【Familiar Spirit Advent】中のFamiliar Spiritも殺せるみたいですね。うん、これは収穫」

 実験結果に満足したVandalieuは、息も絶え絶えの-sama子のガルギャの四肢を【Demon King's Horn】で串刺しにする。

 絶叫とblood飛沫が上がるが、Vandalieuはそれを無視して後ろを振り返った。


KasimFesterZeno。どーぞー」

 準備万端、瀕死のExperience Pointの元を用意されたKasim達は若干口元を引き攣らせた。

「本当に良いのか? 俺達で。これ、Vandalieuが倒した方が手柄に成るんじゃないのか?」

「まあ、確かに最近ぶつかった壁が厚くて、levelが上がり難いとは言ったけどさー……幾らなんでも酷いような気がしなくもないぜ?」


 Kasim達三人はCClass adventurer相当にまで実力を高めたが、そこで誰もがぶつかる試練、levelskillが極端に上がり難くなる通称壁にぶつかっていたのだ。

 この壁を超える一般的な方法は、壁を超えるまで地道に諦めず経験を積み続ける事。


 ただ、裏技として自分達の実力を大きく超えるmonstersを倒して大量のExperience Pointを獲得し、強引に壁を突破する方法がある。普通はそんな裏技、実行する事は出来ない。

 だがVandalieuKasim達にその裏技を、ガルギャを使って実行させるつもりだった。


「気にしないでください。どのみち俺が直接倒してもExperience Pointは手に入らないので」

Curseのせいか。じゃあ、お言葉に甘えて倒そう。KasimFester

「じゃあ、遠慮無く」

「ああ、恩に着るぜ」


 一方、四肢と口を封じられた瀕死のガルギャはVandalieu達のやり取りを聞いて、気が狂うような屈辱感に苛まれた。

(この俺-samaが! Ravovifard 's Divine Protectionを得てっ、真の王に成るべきこの俺-samaがっ! Humanの小僧共の餌だと!?)

 Vandalieuに殺されるかとhorrorに震えていたら、それ以上の惨い最期が迫っていると気がついたガルギャは、bloodが沸騰しそうになった。


 強い奴に殺されるのなら、まだ納得はできる。彼が正しいと信じた、弱肉強食のruleの内だからだ。だが、自分より明らかにweak奴のExperience Pointに成るなんて耐えられない。

(フザケルな小僧共がぁぁぁ!)

 怒りのあまり串刺しにされた四肢を振るわせ、凝固した【Demon King's Blood】越しに不明瞭な唸り声を上げるガルギャ。


「あ、こいつ痙攣してるぞ! ヤバイっ、早く止めを刺さないと!」

 しかし、それをFesterはガルギャが死の間際の痙攣を始めたと勘違いした。

「よし、同時に行くぞ!」

「せー、のっ!」


 そしてVandalieuFesterの勘違いをcorrectionしなかったので、ガルギャに長剣とMaceknifeが振り下ろされる。

「弱肉強食なんて、こんなもの。強者が弱者を喰らう際のmannerが悪くても、誰も注意しませんよ。

 では皆-sanRemnants狩りを始めましょうか」


 High Kobold達が邪悪な簒奪者の死に歓声を上げ、そのままWeapon Equipmentを掲げて逃げ散った督戦部隊や精鋭大隊の生き残りを狩るためにGhoul達と駆けていく。

 High Kobold達にとってoriginallyは同じ国の仲間だった者達だが、同時に彼等は親brothersを殺した裏切り者だ。それに、簒奪者を倒したといっても国が元通りに再興された訳じゃない。


 国力が減退しているconditionで、危険分子を生かしておく余裕は無い。


 それに、生き延びた者が新たにRavovifard 's Divine Protectionを得て第二第三のガルギャに成らないとも限らないのだ。


「ほら、Vandalieu -sama、口元を拭いて。幾らBugitasと戦う前にRavovifard 's Divine Protectionを獲得している敵の力を試したかったからって、無茶し過ぎよ」

「それより先にcarapaceから出さないとダメだろう。ところでGizaniaMyuzeは何処だ?」

「二人ならBudarion皇子やHigh Kobold達の一部と城に行ったようじゃよ」


 Eleonoraに口元を拭かれ、Basdiacarapaceからすぽんっと引き抜かれたVandalieuは、Zadirisの言葉にはっとした。

Kasim、早く城へ行ってください。大至急です」

「えっ!?」

 急激なlevel upの快感に酔っていたKasimは、突然名指しで指示されて驚いて聞き返した。


「な、何で俺が? 俺、High Koboldの人達の顔の見分けもつかないんだぞ!? 誰かと知り合いって訳でもないし、行く意味があるのか?」

「いいから行ってください。ダッシュで」

KasimVandalieuがここまで言うんだ。きっと何か意味がある!」

「よし、行こうぜ皆! ダッシュで!」


 戸惑うKasimだったが、ZenoFesterに引っ張られるようにして城へ走って行った。

「……Festerは行かない方が良かったんじゃないの?」

「まあ、大丈夫じゃろう。VigaroGhoul nationでの二の舞を恐れてNoble OrcDismantlingに専念している今がchanceじゃ」


 Vandalieuは三人の後ろ姿を見つめながら、Kasimに出会いがあるようにと祈った。


Van。普通にお見合いというものをセッティングした方がいいんじゃないか?」

 Basdiaの言葉を聞いて、「そう言えばそうかも」と言いながら。




《【Strengthen Subordinates】、【Golem Creation】、【Multi-Cast】、【Coordination】、【Commanding】、【Plant Binding Technique】、【Dead Spirit Magic】、【Insect Binding Technique】、【Artillery Technique】、【Armor Technique】、【Shield Technique】、【God Slayer】levelが上がりました!》




Name: Kasim

Race: Human

Age: 18

Title: none

Job: Super-heavy Warrior

Level: 35

Job History: Apprentice WarriorWarriorHeavyweight WarriorGuardian Warrior



Passive skills

Augmented Stamina:6Lv(UP!)

Augmented Vitality:6Lv(UP!)

Night Vision(NEW!)

Pain Resistance:3Lv(NEW!)

Disease and Poison Resistance:2Lv(NEW!)

Strengthened Defensive Power when equipped with Metal Armor(NEW!)

Shield equipped, then Defense Power Enhanced (1) : Small(NEW!)

Detect Presence:1Lv(NEW!)


Active skills

Farming:1Lv

Club Technique:5Lv(UP!)

Shield Technique:6Lv(UP!)

Armor Technique:6Lv(UP!)

-Surpass Limits-:4Lv(NEW!)

Surpass Limits: Magic Shield:1Lv(NEW!)

Unarmed Fighting Technique:1Lv(NEW!)




Name: Zeno

Race: Human

Age: 18

Title: none

Job: Dagger User

Level: 37

Job History: Apprentice ThiefThiefAssassinExplorer


Passive skills

Detect Presence:5Lv(UP!)

Intuition:4Lv(UP!)

Night Vision(NEW!)

Disease and Poison Resistance:4LV(NEW!)

Strengthened Attack Power when equipped with a Dagger: Medium(NEW!)


Active skills

Dagger Technique:6Lv(UP!)

Archery:3Lv(UP!)

Trap:4Lv(UP!)

Silent Steps:5Lv(UP!)

Dismantling:2Lv(UP!)

Lockpicking:2Lv(UP!)

Throwing Technique:1Lv(NEW!)

Armor Technique:3Lv(NEW!)

Assassination Technique:3Lv(NEW!)



Name: Fester

Race: Human

Age: 18

Title: none

Job: Magic Swordsman

Level: 29

Job History: Apprentice WarriorWarriorSwordsmanMagic Sword User



Passive skills

Enhanced Muscular Strength:4Lv(UP!)

Night Vision(NEW!)

Strengthened Attack Power when equipped with a Sword: Medium(NEW!)



Active skills

Fishing:1Lv

Sword Technique:6Lv(UP!)

Dismantling:1Lv

Armor Technique:4Lv(UP!)

-Surpass Limits-:5Lv(UP!)

Surpass Limits: Magic Sword:3Lv(NEW!)

No-Attribute Magic:1Lv(NEW!)

Mana Control:1Lv(NEW!)


<- Previous | TOC | Next ->
Special thanks to MBA and the Users from the LBN #spoilers Discord. Without them this would not be possible.