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Chapter 140: 弱肉強食

 『Evil God of Joyful LifeHihiryushukakaを奉じる三人のPure-breed Vampireの内ただ一人生き残っているBirkyneは、organizationの再編に手を焼いていた。

「まさか、こんな形でorganizationを独占する事になるとはね」

 Birkyneはそう言って自嘲気味に笑った。彼は以前同じPure-breed VampireであるTerneciaを傀儡に堕とし、Gubamonorganizationを二分する事を企んだ。そして内心では何時かGubamonも同じく傀儡に堕とし、organizationを独占する事を考えていた。


 それは数百数千、もしかしたら数万年かかる長期計画の筈だったが……あれからまだ三年も経っていない。だというのに、TerneciaGubamonも死んで……滅びてしまった。

 魂が残っていれば『Evil God of Joyful Life』の力でUndeadに出来る。Pure-breed VampireUndead TransformationBirkyneには不可能だが、Hihiryushukakaには出来るはずだ。命を弄ぶ事こそ、あのEvil God (M)の本分なのだから。


 だが、Birkyneはそれが無い事を知っている。HihiryushukakaからのOracleによって、二人の魂が砕かれた事を知らされたからだ。


「あれからまだ三年も経っていない……私にとって瞬きをするのに等しい程度の時間だ。たったそれだけの時間で……糞がぁ!!」

 憂いを帯びた美貌を、一瞬で激怒に塗りつぶしたBirkyneglassを握り潰し、拳をそのままtableに叩きつけた。


 轟音を立てて、Elder Treantの木材で作られた鋼鉄の盾より頑強なtableが砕ける。

Gubamoncrazy爺め! 手下のNoble-bornどころか把握しているSubordinate-bornまで自分の手で始末しやがって! お蔭でこの私がどれ程苦労していると思っていやがるんだ!? アアァ!?」

 それでも苛立ちが収まらないBirkyneは、口汚く滅びた同胞を罵り、唾を吐きかけた。


 疑心暗鬼に狂ったGubamonは、自らの手下を全てUndeadの材料にしようとした。それが完了しきる前にVandalieuの手によって滅ぼされてしまったが、organizationを自分の下で再編しなければならないBirkyneにとって人的被害は既に大きすぎた。


 三人のPure-breed Vampire達は、Royal Nobilityとの裏取引や犯罪organizationを表向きのボスの背後で糸を引く黒幕役のVampire達を各地に派遣している。

 Mirg Shield NationThomas Palpapek EarlのようにVampireと直接接触させる者も居るが、多くの取引相手は自分がVampireと取引している事を知らず、犯罪organizationもボスの側近でもなければ自分達がVampireの下部organizationに属しているとは気がついてはいない。


 その体制だから拙い事態に成ればlizardtailのように切り落とせたし、勘の鋭い者が敵に居ても精々その担当だったVampireの首一つで済んだ。


 Terneciaが倒された時は、側近のFive Dogsの内四人がやられ一人が裏切ったconditionだったが、各国に散った小物のNoble-bornSubordinate-bornはそのままだった。だから、彼等を取り込めばadventurer partyFive-colored blades』が壊滅させたorganization以外は、そのまま引き継ぐ事が出来た。


 しかしGubamonは少しでも使えるNoble-bornSubordinate-bornを殆ど殺し、Undeadにしてしまっている。それを免れた者はGubamonから出された無謀な命令を達成しようとしadventurerKnightに返り討ちにされるか、いち早く身を隠し、そのままContinentの外かGubamonでも把握できない秘境に逃げ出した者だけだ。


 そのため残っているVampireGubamonが把握していなかったほどの小者、Vampireに成ってから百年と経たない若い者達の中でも程度の劣るNoble-bornや、雑兵に等しいSubordinate-born程度だった。

 当然、その程度の小者がRoyal Nobilityや汚職商人との取引や犯罪organizationを裏で操っているはずがない。特にSubordinate-bornの場合は、Birkynenameすら知らされていない事もあった。


 Birkyneと彼の部下達がorganizationの再編にどれほど苦労しているのか、想像に難くないだろう。

 中にはBirkyneの手の者が接触する前に残された下っ端がorganizationを乗っ取り、runawayした挙句、organizationも本人も討伐された後だったなんて事もあった。


「糞が……せめてグラント・ロッシュやローリー・RodriguezMiles Rouge……幹部classを一人でも取り込めていれば……!」

 Memoryに在る幹部数人のnameを思い浮かべ、悔しげに唸るBirkyne。その幹部達がUndead Transformationした者も含めて全員Vandalieuの下に居るのだが。


 Noble-born Vampireの死後、魂を召喚しUndead Transformationさせてrevivalさせる儀式は、そのNoble-bornの親のbloodが無ければ行う事が出来ないので、Birkyneは彼等が死んだのかどうか確かめる術がない。

 Hihiryushukakaも、そんな些末な事をいちいちBirkyneOracleで教えようとは思わない。


「これも全てVandalieuの、奴のせいだ!」

 実際にはGubamonEmotionalに追い詰めたのはVandalieuでは無く、Terneciaを傀儡に堕とそうとしたBirkyne本人の企みに原因があるのだが……彼にはVandalieuが存在する事自体が全ての原因だと考えているようだ。


「こうなれば、何としても奴を取り込んでやる。既に奴は戦って勝てる相手じゃない。絡め取るためにも、奴が出入りしているSauron領の監視をもっと――」

Birkyne -sama、そのSauron領についてご報告がございます」

 その時、Birkyneが冷静さを取り戻すのを見計らっていた側近のNoble-born Vampireが現れた。


「……-kunか、Mortor

 Dwarf出身のNoble-born Vampireで、Birkyneの『四人の腹心』の一人、Mortor。彼は禿頭を下げて一礼し、報告を述べた。

「占領軍内の内通者からの情報ですが、『Fifteen Evil-Breaking Swords』の出動をMarme Dukeが要請したようです。Imperial Capitalにいる十五剣の内、一と二の剣に動きはありませんが、三の剣がImperial Capitalから出たとの報告もあるので、確実かと」


「動いているのが張子の虎だけという可能性は?」

 『Fifteen Evil-Breaking Swords』はEmperor直属の秘密部隊で、十五人全員に番号が割り振られている。だがその中で一から三の剣だけは顔もnameも明らかに成っていた。


 姿を明らかにする事で、『Fifteen Evil-Breaking Swords』の存在をある程度自国内の不穏分子や敵国に知らしめ、抑止力とするための広報係だ。

 だから実際には一から三の剣は本当の強敵では無く、『Fifteen Evil-Breaking Swords』は十二剣と評しても構わないorganizationである事を知っているBirkyneは、広報係を張子の虎と呼んでいる。尤も、その張子の虎でもBClass adventurer以上の力は在るのだが。


「それは分りません。しかし、『Thunderclap』のSchneider一味がContinentから出ているので、何人か差し向ける余裕はあるかと」

 そして張子の虎では無い真の『Fifteen Evil-Breaking Swords』のmemberは、BirkyneVampireでも把握しきれない存在だ。

 間違っても口には出せないが、奴らが揃えばBirkyneでも勝てはしないだろう。


 それが動くなら、例のDhampirやその手先と化したらしいResistanceの者共も終わりだ。そうMortorは思っていた。


 これでmasterの疳癪の種が減ると期待している彼に、そのmasterは意外な命令を出した。

「そうか……ではSauron領に情報収集に長けた者を派遣するように。『Fifteen Evil-Breaking Swords』が何人か派遣されたのなら、命と引き換えにVandalieuの力を見せてくれる程度の働きはするだろうから、それを見逃したくないのでね」

「畏まり……はっ?」


certainly手出しは厳禁だよ。情報を持ち帰ってもらわないと意味が無いからね。ただ、上空からの偵察はさせるな。-kunの報告によると占領軍ではそれをやったMageが何人も発狂しているらしいから、念のためだ」

「いえ、それは分りましたが……Birkyne -samaは『Fifteen Evil-Breaking Swords』と戦ってDhampirが生き残るとお考えなのですか?」


 あの『Fifteen Evil-Breaking Swords』だ。奴らの手でMortorの配下のNoble-born Vampireが、何人もやられている。高度な武術とmagicを使いこなし、首を落されるかheartを破壊されない限り死なない不死に近いMonstrosity達が、僅かな時間で痕跡も残さず消されているのだ。

 恐らく、Mortor自身が立ち向かっても勝てないだろう。それほどの相手である。


「そうだ。彼なら『Fifteen Evil-Breaking Swords』が何人か来ても、勝ち残るだろうね」

 しかしそれでも十五人の内数人……五人前後ならまず確実にVandalieuが勝つだろうとBirkyneは予想していた。


-kunにとっては信じがたいだろうけど、彼はGubamonを殺したのだ。十五人全員でかかるならin any case、何人かだけじゃとても殺しきれないだろう。それが可能なほど奴らが優秀だったら、とっくに僕のtailくらいは掴んでいなければおかしいからね」

 これでやっとVandalieuについて情報らしい情報が手に入る。ついでに、邪魔者を何人か消してくれれば一石二鳥だ。


 そう考えるBirkyneは、Vandalieuの敵の中で最も彼の実力をaccurateに評価している人物なのかもしれない。




 その頃Boundary Mountain Range内部、High Kobold nationではBugitasの後ろ盾によってCoup d'étatを成功させたHigh Kobold王の甥、ガルギャが王座で肉を喰らっていた。

「クヒヒヒ、『Evil god of releaseRavovifard -sama々だぜ。俺にblessingsを寄越さない『God of HuntingRishareから宗旨替えして正解だったぜぇ」

 その姿は直立した狼を思わせるHigh Koboldとしても大柄で、獣じみていた。


 豊かなfurに大きくギラギラとした瞳、太いfangsに逞しい四肢……whole bodyから発散される存在感が、ガルギャが只者ではない事を表していた。

「このwhole bodyに漲る力の素晴らしい事と言ったらねぇぜぇ……止まっていたlevelもガンガン上がるし、Rank upまでしちまったぜぇ。糞ウゼェ親父とお袋、偉ぶった伯父貴とyounger cousin共を殺しただけで。クヒヒ、そう思わんか、お前達?」

 だが、王座の間に控える……控えさせられているHigh Koboldや民の女達は彼に対して嫌悪やhorrorしか抱いていない-sama子だった。


 顔に出そうになるそれを隠すために、話しかけられても顔を下に向けたまま応えようとしない。

 そんな態度の女達に、ガルギャは唸り声を漏らした。不快に思ったからではなく、寧ろその逆だった。

「相変わらず昼間は無口な雌共だ。寝台の上ではあれほど乱れ泣き叫ぶくせによぅ……」

 そう言葉で嬲ってやると、女達は悔しさに耐える-samaに肩を震わせるか、哀しげに涙を浮かべる。その光景は、ガルギャの優越感を甘美に刺激する。


「俺-samaが悪逆非道な行いをしているとでも思っているのか? 勘違いするなよ、貴-sama等が王と仰いでいた雄が弱かったから、貴-sama等は俺の物に成ったのだ。群の中で最も強い雄が、最も多くの雌を侍らせ、犯し、孕ませる。獣でも知っている、当然の事ではないか。クハハハ!」

 そう言いながら、再びbone付きの生肉に……彼に逆らったHigh Koboldの肉にfangsを立てる。


 weakくせに雌を譲ろうとしなかった、小賢しいだけの雄。それを屠ったガルギャは、遺体を葬るどころかその日の晩餐にしたのだ。

「この……獣っ! 外道っ!」

 夫の遺体が喰われていく事に耐えきれず、High Koboldの女の一人がガルギャを罵る。だが、それすらも彼を喜ばせるだけだった。


「獣? 外道? 結構ではないか! 俺達High Koboldmonstersだ! 蛮を良しとし、魔に生きる存在! そうである事こそが正しいのだ!

 weak雄から雌を奪う事の何が悪い! 殺した雄の子を殺す事の何が問題だ!? 獅子も猿も同じ事をしているぞ! そうだ、今宵は貴-samaを犯して、この俺の子を孕ませてやるとしよう!」


 fangsを剥き出しにしてそう叫ぶと、そのHigh Koboldの女はガルギャに殺された夫の名を口にしながら泣き崩れた。その女を、別のHigh Koboldの女……人質として生かされているルルゥ姫が抱きしめる。


「貴-sama等も覚えておけ、このガルギャこそが本来のHigh Koboldの有るべき姿なのだ!」


 そう宣言するガルギャに対して、女達は誰も同意しない。彼女達にとってガルギャの言葉は、狂人の戯言に等しいからだ。

 実際、Coup d'étatを起こして王を殺して王位を奪い、王子達を皆殺しにしたガルギャを支持するのは、Coup d'état前からガルギャに従っていたHigh Koboldと、Bugitasが派遣したブーフーディンGeneralとその軍だけだ。


 他のHigh Koboldや民は、ガルギャとブーフーディンが力で無理矢理押さえつけているに過ぎない。

 ガルギャとしては反抗的な同族はfamilyも皆殺しにして見せしめにしてやりたかったが、ブーフーディンが止めたのだ。

 Bugitas EmperorContinent南部を統一し、この地にVidaでは無くRavovifardを奉じる一大Empireを築く野望実現のためには、兵の数を見せしめの為だけに減らす訳にはいかないと。


 野望実現の為、女childを人質にして、Zanalpadnaを始め抵抗している国を落すための戦奴にする予定なのだ。


 だが、ガルギャはBugitas Emperorが支配する大Empireの属国の王に収まるつもりは無かった。

(野望か。ブーフーディン、Emperor気取りのBugitasの犬……いやブタか。何れ俺が力を付けたら、奴らにとって代わってくれる。それまで好きなだけ夢を見るがいい)

 弱肉強食が正しいとするのなら、Bugitasもまた強者の肉と成るべきだ。そしてその強者とはこの自分自身だと、ガルギャは信じて疑わない。


 既にガルギャはRavovifard 's Divine Protectionを得ている。つまり、RavovifardBugitasを唯一のPriestにするつもりはない。ガルギャがBugitasを超えるのなら、とって代わって構わないという事だろう。そう彼は解釈していた。


「――何れは自分こそが頂点に立つ。そんな愚かな妄想でも抱いているのですね」

 怯える女達と妄想で悦に入っていたガルギャを現実に引き戻したのは、ルルゥ姫だった。

「……何のことだ?」

 胸の内を看破されたガルギャだったが、動揺を押し隠してそう聞き返す。しかし、ルルゥ姫は誤魔化されなかった。


 白く形の良いfangsを見せつけるようにして、ガルギャの底の浅さを哂う。

「先ほど皆に言った通り、貴方の有り方が本来あるべき正しい姿だとするのなら、貴方はいずれ貴方よりも強い者に無残に殺される事でしょう。力に溺れた愚かで浅ましいyounger cousin -dono、貴方は父や兄達に自分がしたように、無念の死を遂げるのです」

 瞳に憎悪の暗い輝きを湛えたルルゥ姫の、従Imoutoの預言めいた言葉を聞いたガルギャは、寒気を覚えた。


 言われた事で、初めて自分も弱肉強食のruleの例外ではないと気がついたのかもしれない。


「が、グルルルガァ!」

 思わずKobold語でShut Upと叫ぶガルギャだったが、動揺が態度に現れていた為かルルゥ姫はcertainly、民の女達ですら恐れず、反抗的な視線を向けるのみ。


 ガルギャの中で動揺が屈辱に、そして怒りに変わろうとしたその時に、遠吠えが聞こえた。

 このHigh Koboldの国で遠吠えは野良犬が上げるものでは無い。立派な連絡手段だ。それによると……。

「大規模な敵襲だと!? ブーフーディンは何をしていた!? くれてやった女共にうつつでも抜かしていたのか!?」


 監視役としての役目もあるが、ブーフーディンはこの国を守るためにもEmpireから派遣されているのだ。だと言うのに何をしていたのかと叫ぶガルギャだが、次の遠吠えで事態を把握した。

「ば、BAKANA……ブーフーディンが討ち死に!? ふ、ふざけるな! グオオオオオオン!」

 遠吠えで全軍に出動するよう指示を出すガルギャ。その後ろ姿を見つめる女達は、彼の終わりが近い事を予感し胸を躍らせた。




 時は少々遡り……。

 High Kobold nationの城壁の門で守りについていたブーフーディンの部下は、珍客に驚いていた。

「ブディルード、フゴガ!?」

 今頃Ghoul nationを攻めているはずのブディルードGeneralとその軍勢が、何故かやって来たのだ。


 一体どういう事だと狼狽えるOrc達と、それを纏めるNoble Orcの小隊長。

「ブゴゴゴGhoulプギュバ」

 だがNoble Orcはブディルードの背後に縄で繋がれたGhoulの女達の姿がある事に気がつき、こう思った。

 ブディルードは首尾良くGhoul nationを攻め落とし、捕虜に取ったGhoulの女を自分達のGeneralであるブーフーディンに贈りに来たのだと。


 献上なのか賄賂なのかは不明だが、そういう事だろう。

 何故部下を遣わすのではなくブディルードGeneral本人が来るのか、献上するのならBugitas Emperorの方が先ではないのかなど疑問が無いわけではない。しかし BugitasLoyaltyを誓った者は、強い力を得るほど凶暴性が増す傾向にあった。

 そんな相手に小隊長程度の身分で疑問を挟む事は、死を意味する。


「ブゴハっ! ブゴブ!」

 Noble Orcが開門を指示し、Orc達が慌てて門を開く。

 その門をブディルードが軍勢とGhoul達を引き連れたまま進み――。


「ブフ!」

 しかし、その前にGiantHammerを肩に背負ったNoble Orcが立ち塞がった。

「……貴-sama、何者だ? 俺-samaの鼻を誤魔化す事は出来んぞ。ブディルードのスカしbastardにしちゃあ、臭いが変だ。マントの中から妙な臭いが……これは、何だ? まあいい、偽者には違いねェ。

 それに後ろのNoble OrcOrc、どいつもこいつも土臭ぇぞ!」


 ガルギャから与えられていた女達を嬲っていたはずのブーフーディンだ。彼は今まで嗅いだ事の無い臭い……幾つもの蟲と植物の臭いが混じった物を嗅ぎ取り、目の前の集団には目の前の偽者以外Noble Orcは一匹も居ないと判断した。


Miko -dono

「やっぱりばれちゃいますか。じゃあ、起きろ」


「貴-sama、マントの中に誰か隠して――」

『『『うおおおおおん!』』』

 偽ブディルードの発した声に聴き覚えがあると気がついたブーフーディンだったが、彼の驚愕の声は城門が上げた唸り声によって掻き消された。


「ブゴ~っ!?」

「ブギャキ!? 犬頭共を呼んで来い! 奴等の造った門がおかしくなったぞ!」

 突然城門main bodyが人型に変形し、門番をしていたOrcを薙ぎ払い、Orc Archerを振り落としながら偽ブディルード軍の邪魔をしないように脇に退いて行く。


「合図だ!」

「グルオオオオオ! 殺せ! 倒せ!」

「もう良いぞ! お前達の国王と王子達の仇を存分にとるのじゃ!」


 縛られているように見せかけていたGhoul達、VigaroBasdia達が手近なNoble OrcEARTH Golemを拳で叩き割り、内部に埋め込まれていたWeapon Equipmentを手に取る。

 Orcの兵隊達の姿が揺らめいたかと思うと、幻shadowを纏っていたHigh Kobold達が姿を現す。ガルギャが起こしたCoup d'étatによってZanalpadnaに落ち延びていた、前High Kobold王にLoyaltyを誓った者達だ。


 更に偽ブディルードのマントの内側に隠れていたVandalieuから、ArachneEmpusaWarrior達やEisenPete達植物や蟲のmonsters、そしてKasimFesterZenoが姿を現す。

「言われていた通り、結構来るものがあるよな」

「か、痒かった~!」

「……そうか? 聞いていたほどじゃなかったけど」


 それぞれ害の無い蟲や植物をInfestさせてVandalieuに装備されていたKasim達は、狼狽えているブーフーディン軍に襲い掛かって行く。

 城門はGolem Transformationしたため閉める事が出来ず、更に何処からか次々に増えていく敵にブーフーディン軍はpanicに陥った。


 棒立ちのまま切り倒される者や、無-samaに逃げ出そうとして背中から貫かれる者が続出する。

「狼狽えるな、兵隊共! ブゴオオオオオオ!」

 だが、ブーフーディンのCommandingにより彼の軍は混乱から立ち直った。


「ブギャアアア!」

「ブガアア!」

 いや、accurateに言うなら混乱するreasonを忘れたと評すべきだろうか。まるで獣に戻ったかのように闘争Instinctを剥き出しにして、GhoulArachne達に立ち向かう。


 blood走った瞳でfangsを剥きWeapon Equipmentを振り回す姿は、まさにBerserker

 しかし、だから戦況が好転すると言う事は無いのだが。


「ゴガアアアアア!」

「【Iron Form】! 【Iron Wall】! ふん゛っ!」

 【Armor Technique】と【Shield Technique】のMartial ArtsActivateしてDefense PowerEnhanced (1)したKasimが、正面から突っ込んできたNoble Orcの攻撃を受け止める。


「【Slicing Moon】!」

「【Invisible Slash】!」

 そして動きを止めたNoble Orcの脇腹を、Festerの長剣とZenoの短剣が横薙ぎにする。

「グブッ……!」

 bloodを吐きながら倒れてくるNoble Orcを横に流して、Kasimがふぅと息をついた。


「腕が痺れた……でもこいつ等、聞いていたより弱くないか?」

「隙だらけだしな。もしかしてこいつ、金髪の鬘を被ったOrcなんじゃないか?」

Fester、そんなOrcはいないって。それにMartial Artsを使ったKasimの腕を痺れさせるのは、Orcじゃ無理だ」


 鍛錬によってCClass adventurer相当の実力をつけたKasim達だったが、Rank6の、高度な武術とmagicを操るNoble Orcとは思えない敵の弱さに戸惑う。

 もしかしたら、今自分達が倒したのは特別weak Noble Orcだったのかもしれない。そう思う三人だが、同-samaの事が戦場のそこかしこで起こっていた。


「ブガアアア! 女っ! 犯すぅ!」

 Halberdを振り上げるNoble Orcが、無防備にも前線に出ていたZadirisに向かって突進する。

 三meterの重量Classbody partで、小柄なZadirisに対してそんな事をすれば犯す前に彼女がslaughter死体か轢死体になる気がするが、それに気がつくwisdomも混乱と一緒に忘れたらしい。


 Noble OrcHalberdが、Zadirisに向かって振り下ろされる。

 だが、その瞬間Zadirisの姿が掻き消えた。

「ブ? ブゲっ!?」

 そして代わりに、虚空から放たれた光の槍がNoble Orcの頭を砕いた。


 Light-Attribute Magicで作りだした幻で自分が居る場所を欺いたZadirisが、bloodを噴水のように吹き出し膝から崩れるNoble Orcに、首を傾げる。

「こういう時は坊やによれば『残像じゃ』と言ってやるらしいが……妙にあっさりと引っ掛かりおったのぅ」


kaa-san、すぐに姿を隠せ! こいつ等、隙だらけだがしつこいぞ!」

 複数のOrcNoble Orcの相手をしているBasdiaZadirisに叫ぶ。実際、彼女が次から次にOrcの首を刎ね、Noble Orcの胴体をBisectionしても、怯えた-sama子も無く敵は更に襲い掛かって来る。

 それも長身で逞しさとfemale的な曲線を共存させているBasdiaBodyに、ギラギラとした視線を這わせ、涎を垂らしながら。


「幾らなんでも不愉快だな……もっと肌を見せないDefense EquipmentTareaに作ってもらうべきだったか」

「同感ね!」

『囮としては優秀だが』

「必要無いぃ~」


 嘆くBasdiaに、空を飛んで豪快に長剣でNoble Orcの頭部を叩き割るEleonoraが同意し。彼女の脚線美に見惚れて動きを止めたOrcSlash倒したBone Manがそう言って。Eisenが否定する。


 ブーフーディン軍の兵隊達の攻撃は彼等にとってかweak非戦闘員であるはずのHumanであるKasim達や、ZadirisBasdiaEleonorafemale陣に対して集中していた。

 特にfemale陣に対しての攻撃は、仲間や自分より強い者が目の前で返り討ちに遭っても気にした-sama子が無い。


「吸う、実る、お食べぇ~」

 特に【Allureskilllevelが高いEisenには、次から次に寄ってくる。しかし、彼女の背中から伸ばした枝によってOrcNoble Orcは絡め取られ、【Drain VitalityskillによってEnergyを吸われていく。

 そしてある程度吸ったらそのまま枝で絞め殺し、手に入れたEnergyを使って増やした鉄林檎を他の敵に向かって投げつけていく。


「妙に、虚しい」

「ギシャア」

 そしてVigaroPetemale陣はブーフーディン軍から殆ど注目されず、female陣に襲い掛かる事に夢中で隙だらけの敵を横から殴り倒すだけのお仕事をしていた。


「ブガ! 役立たず共が!」

 ブーフーディンは不甲斐無い部下を罵ると、偽ブディルードに向かってHammerを振り上げ突進した。

「ブディルードを倒したようだが、この俺-samaには勝てんぞ! 俺-samaはブディルードよりも強い!」

 【-Transcend Limits-skillActivateしたブーフーディンのBodyが、膨張したmuscleによって一回りGrowする。それに対して偽ブディルードはマントの裏からGiantな剣を抜き、構えただけだ。


 そのGiantな剣の、黒く禍々しい刃に一瞬寒気を覚えるが、ブーフーディンはそれを無視して突っ込んだ。

「【破鎚】!」

 Obsidian IronAdamantiteをコーティングした超重量ClassHammerに、幾多の敵を倒し磨いてきた力。しかも-Transcend Limits-skillActivate中。


 この一撃を受ければArk Demonでもただでは済まない。


 偽者の構えた剣が多少大きくても、剣ごと偽者を砕いて潰せる。

「【真刃】」

 だが、そのHammerは偽物が構えた剣を砕くどころか、音も無く斬られていく。


 そのままHammerBisectionした剣は、BAKANAと目を見開きつつも勢いがついているため止る事が出来ないブーフーディンに迫り、脳天から股間まで一刀Bisectionにした。

『正面からかかって来た意気だけは褒めておく』

 聞こえたOrc語が誰の声だったのか思い出す前に、ブーフーディンの意識は闇に飲まれ……そのままマントの内側に隠れているVandalieuに従う霊の一つと成った。


「調子が良いですね、皇子」

「うむ、Miko -donoのお蔭だ」

 【Demon King Fragment】で作られたBorkusの予備の剣でブーフーディンを倒したBudarion皇子は、自分の力が増している事を確信して頷いた。


 ブーフーディンを倒して得たExperience Pointで、levelが驚くほどincreaseAbility Valuesが増えていく。

 何年も前からMububujenge 's Divine Protectionを得ているBudarion皇子だが、流石にRank10に成ってからはその成長速度は鈍っていた。これからは何年も何十年も時間をかけて研鑽をつみながら、父に並び、そして越える事を目指すのだろうと思っていた。


 しかし、今はまるで修業を始めた少年時代に戻ったような速度で成長していく。


「これが【Guidanceskillの力か。

 だがそれにしても敵が弱すぎる。いや、weakというより……隙が多い。ブーフーディンにしても、昔はcowardなほど用心深いGeneralだったのだが……」


「まあ、死を恐れない獣って感じですよね」

「死を恐れない獣……確かにそんな-sama子だが、それならばもっと手強い筈では?」

「そうでもないです。accurateに評するなら、horror心が麻痺した獣未満の愚兵でしょうか」


 死を恐れない死兵は確かに脅威だ。死を覚悟した敵は、最後まで抵抗を止めない。

 しかし、ブーフーディン軍は狂乱してSoldierでは無く獣、reasonを忘れhorror心よりも欲望を優先する愚者と化してしまった。そのため、怒りや欲望のまま無謀なChargeを繰り返し、倒れた仲間の死体に自分の死を連想せず、ただただ暴れ続ける。


 そこにCoordinationは無く、しかも magicをほぼ……Martial Artsですらほとんど使わない。

 magicは闘争Instinctと欲望をrunawayさせた獣に使えるものではないし、Martial Artsmagic程ではないがreasonと集中力が必要だ。

 それらを使えなくなった分痛みに鈍感で、死ぬまで怯まず戦い続ける。しかし痛みに鈍感であるため隙だらけで、BasdiaEleonoraに一撃で急所を破壊されて、すぐに倒れてしまう。


Ability Valuesが高くて装備が良いだけの、単独で生きている野良Orcの集団。そんな感じではないかと。これなら前線基地のブブーリンや、Ghoul nationで倒したブディルード軍の方が集団としては手ごわかった気がします」

「それがRavovifardに惑わされた者の末路か……Bugitas、お前は臣下達を何処へGuidingつもりなのだ……」


 そう虚空へ問いを発するBudarion皇子だが、彼の問いはVandalieu以外に届く事無く剣戟と断末魔のscreechに掻き消されてしまう。

 ブーフーディン亡き後も彼の部下は正気に戻る事は無く、狂乱したまま戦い続けている。しかし彼等は治安維持と防衛のための駐屯軍であるため、軍の規模自体はそれほど大きくない。


 程なく敵は尽きるだろう。

 しかし狼の遠吠えが聞こえたかと思ったら、High Kobold nationの宮-donoから力強い咆哮が響いて来た。

Miko -dono! 皇子! あれはBugitasの犬に成り下がったHigh Kobold王の甥、ガルギャです! どうやら直々に攻めて来るようです!」

 allyHigh KoboldKobold語を翻訳する。


 そして幾つもの遠吠えが聞こえ、High Kobold達が動き始める。


「じゃあ、一足先に前に出てきます。ArachneEmpusaPeteEisenKasim達は集合」

「またか!?」

「まただよ、ほら大人しくしろ!」




Name: Zadiris

Rank:

Race: Ghoul Elder Wizard

Level: 27

Job: Great Sage

Job Level: 28

Job History: Apprentice MageMageLight-Attribute MageWind-Attribute MageSage

Age: 298age(Youth Transformation済み)


Passive skills

Dark Vision

Pain Resistance:3Lv

Mysterious Strength:1Lv

Paralyzing Venom Secretion (Claws):2Lv

Mana Recovery Rate Increase:9Lv(UP!)

Mana Enlargement:4Lv(UP!)


Active skills

Light-Attribute Magic:10Lv(UP!)

Wind-Attribute Magic:9Lv(UP!)

No-Attribute Magic:4Lv(UP!)

Mana Control:9Lv(UP!)

Alchemy:6Lv(UP!)

Chant Revocation:6Lv(UP!)

Multi-Cast:4Lv(UP!)

-Surpass Limits-:3Lv

Housework:1Lv

High-speed Thought Processing:2Lv(NEW!)


Unique skill

Zozogante’s Divine Protection(NEW!)


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