「と、いう訳でこれから命がけの戦いに参加する事になると思います。いつも通りの事なので、安心してください」
『Vandalieu、そんな事を我が子から言われて安心できる親はいないわ』
「……やっぱり、止めます?」
『うーん、でも確かに命がけなのは何時もの事だし、Vandalieuなら死なないように頑張れるだろうけど……-chanと皆と協力するのよ?』
「分かってるよ、kaa-san」
Magic Swordで縦真二つにされたKobold Shamanの霊が、七日間かけてここまで来てNoble Orcが大集落を築き、他のGhoulの集落を襲ったりadventurerを捕えたりしながら戦力を蓄えているという貴重な情報を提供してくれました。
そんな話を信じてくれるかなと、やや心配だったVandalieuだったがZadiris達Ghoulは疑うことなく信じてくれた。信用があるっていいなぁと、しみじみ思った。
「三百匹のOrc、しかも GoblinとKoboldが百ずつだ。どうする? おで達で勝てるか?」
「なぁ、それって敵は三百って事なのか?」
「五百よ、idiotね。数も数えられないの」
「GoblinもKoboldも、Orcだって俺達Ghoulの敵じゃねぇ! 一人五匹殺せばいいだけだ、それで俺達の勝ち!」
「ねぇ、それってもしかしてあたし達も数に入ってる? あたしお腹に赤-chanがいるんだけど?」
『Bilde -sanは妊娠四か月目ですし、戦闘などの激しい運動は無理かと』
「それに、奴らの長はNoble Orcだ。Noble Orcはどんなに弱くてもkaa-sanやVigaroより強い」
「何だと!? Basdia、Vigaroが負けるってのか!?」
「当たり前だ! 俺が負けるに決まってるだろう!」
「ヴぃ、Vigaro、そりゃねぇよ」
「現実を見ろ、idiotタレ!」
まあ、Vandalieuがしみじみと思っている間も、Ghoul達はOrcの大集落をどうするか深刻な顔で話し合っていた。当然だ、生き死にがかかっているのだから。
今Ghoul達は集落のOpen Plazaで焚火を中心にして車座に座り、集落のpolicyを決める緊急大会議を開催している。そしてVandalieuも会議に加わっていた。
「坊や、敵の数をもう一度言ってくれんか?」
会議の-sama子が一向に落ち着かないので、ZadirisがKobold Shamanの霊から聞いた話をもう一度話すように言う。ちなみに、情報提供者本人である霊はVandalieuに告げ口したらすぐSpirit Formを崩してしまった。
自分を殺したNoble Orcに復讐するため死後もSpiritualistの経験を活かして他の霊と交信し、この集落に一週間かけて辿り着いた。自分を殺したNoble Orcに復讐したい一心だったのか、それとも遠く離れてもVandalieuの【Death-Attribute Charm】skillのimpactを受けたのか。
どちらかは不明だが、情報を提供し終わった今はVandalieuの周囲で微睡むように漂っている。
「敵はOrcが三百、Goblinが百、Koboldが百、飼いならした魔獣系のmonstersが数十。ですから、合計六百匹ぐらいですね。
長はNoble Orcで、その子が三匹。後Orc General、Orc Knight、Orc Mageも結構な数がいます。
GoblinやKoboldもSoldier、Chief、Knight、Mageがそこそこ。ただしGeneralやKingはいない。
後、敵はここ以外のGhoulの集落を幾つか襲撃して女Ghoulを攫って母体にし、最近はadventurerのpartyも襲撃するようになったそうです」
敵の戦力とその過激な行動、更に集落は違えど同族が襲われている事にGhoul達が渋面を浮かべる。
通常種のOrcも上位種であるNoble Orcも、雄しか存在しないraceだ。そのためBreedingには他raceの雌を使う。多くの場合GoblinやKoboldの雌や、場合によっては村から盗んだ家畜の雌まで使う。ただ、Humanを害するためにDemon KingとそのFollowersが生み出したmonstersであるからか、嗜好的にはHumanの女を最も好む。
Human社会からはmonsters扱いされているGhoulも、femaleは肌や瞳の色等を除けばHumanの女そっくりだ。それにGoddess Vidaにrootsを持っているため、monstersから見ればHumanとも言える。
Vandalieuが術をかけない限りGhoulのfemaleは妊娠し難く、しかも無事に産まれる子は五人に一人という低確率の筈なのだが、何故かOrcが相手の場合は上手く行くらしい。……全然嬉しくないだろうが。
(これはOrcのBreedingが、普通の生殖に見える特殊な単生殖だからか? Orcの精子は卵子と受精するのではなく、Orcの遺伝子が母体の遺伝子をAbsorptionする形で乗っ取るのだとしたら、母体のrace寄りのchildが産まれない理由も説明が付く……のかな? そもそもこのworldに遺伝子があるか不明だけど。
まあ、どっち道Ghoulの少子化問題を解決する役には、あまり立ちそうにないな)
そう考察するVandalieuだが、Ghoul達は彼の言葉を聞いて再度冷静にどうするか話し合っていた。
会議での意見は、大きく分けて四つある。
「なぁ、Orc共が狙っているのはHumanの村や町なんだろ? だったらおで達は関係無いんじゃないか。なら、おで達は大人しくしてればいいんじゃないか」
と、言うOrc達の行いを静観する静観論。
既に襲われて攫われた女Ghoulやこれから襲われるGhoulの集落には悪いが、戦力でloseいるのに戦うのは危険だという意見だ。
まあ、そもそもZadiris達に自分達の身を危うくしてまで他の集落のGhoulを助ける義務は無い。冷たいようだが、他人を助けて自分達が滅亡しては意味が無いのだ。
だが、これは悪手だ。Orcを束ねるNoble OrcはZadirisが死ぬのを待っていた。何故待っていたのかというと、Zadirisが死んだら集落を攻めるつもりだったからと考えるのが自然だ。
monstersの群れとは、基本的に長が全てを決める独裁制だ。その長がこの集落に注目しているのだから、大人しくしていれば素通りしてくれるなんて事にはならないだろう。
Human同士の戦争なら不可侵条約でも結べばよいのだろうが、monstersにそんな概念は無い。
それにもしNoble Orcがこの集落を放置したとしても、その後がある。Orc達の襲撃が結果的に失敗したら、このDevil Nestsにはadventurer達が大勢やって来るだろう。Noble OrcのRemnantsを狩り、もう二度とOrcが大軍団を作らないように間引くために。
Mirg Shield NationはOrbaum Elective KingdomとのForefrontにある国だ。その軍は精強だろうし、adventurerも大勢いるだろう。だからNoble Orcが失敗する可能性は、百%に限りなく近い。
「Orc共が暴れている間、逃げるっていうのはどうだ? ……無いか」
そう言い出すGhoulも居たが、本人が撤回してしまった。
certainly、百人ものGhoulが逃げるのが現実的では無いからだ。この密林のDevil Nestsはそれなりに広いが、身重の女Ghoulも含めて百人のGhoulがOrc達に見つからずに逃げ回るのは難しい。
他のDevil Nestsや、Devil Nestsの外に逃げるという手もあるが先祖代々このDevil Nestsの中で生きてきたGhoul達は外の地理に明るくない。
DarciaやSamはそれなりに知っているが、Mirg Shield Nation側にある他のDevil Nestsに逃げ込むには十日以上かかるとしか言えないし、Devil Nestsの外に逃げてもHumanに見つかる可能性が高い。
そしてMountain Range側は何があるのか誰も知らない。念のために今日、Vandalieuが虫や小鳥等のUndeadを作ってMountain Range側に放ったが、何か見つけるまで早くとも一月以上かかるだろう。
「じゃあ、Orcに降るの? 絶対嫌よ、そんな事するぐらいなら、死んだ方がマシだわ」
Bildeが言うように、Orcに降りその支配下に加わるという選択肢は問題外だ。
男はGoblinやKoboldのようなSlave兼戦力としてこき使われ、Human相手の戦いで使い潰される。女達はOrcの母体にされる。
待っているのは最悪の結末だけだ。
「戦おう。他の集落のGhoulにも声をかけて」
結果、Basdiaの意見が最も現実的だ。少しでも数の差を埋めて、攻められる前に攻めるのだ。
暫く忙しくなるなと、Vandalieuは思った。
「なら、その前に言わなければならない事がある」
次期長のVigaroが、重々しい口調でVandalieuを見据えて言った。
「Vandalieu、お前は早くこの集落から出て行くべきだ」
「嫌です。ところで提案なんですが――」
「待て待て待てっ! 話を変えるな!」
出て行けと言われたのを即答で断ったら、何故かVigaroが慌て始めた。
「このままだとお前は俺達と一緒にOrc共と戦う事になるんだぞ!? 良いのか!?」
「良いのだ。で、提案なんですけど――」
「良くないだろうっ!? selfishnessを言わずに――」
「出て行きません」
「我の話を遮るな!」
さっきから人の話を遮ってばかりのVigaroに、人の話を遮るなと注意された。解せぬ。それとも「良いのだ」と言ったのが悪かったのだろうか? でも「良いのです」って言うと偉そうだし……無難に「構いません」と言うべきだっただろうか?
そんな風に言葉遣いが原因かなと首を傾げるVandalieuに、Vigaroはガシガシと鬣を掻いて怒鳴った。
「これは俺達Ghoulと奴等Orcの戦いだっ! お前は関係無いだろうっ!」
Vandalieuはこの集落に滞在して長いが、Ghoulでは無い。それにいつかこの集落から出てMountain Rangeを越えてOrbaum Elective Kingdomに向かうと言っていた。
だから自分達と命運を共にして良いはずがない。そもそもまだ二ageのchildだ。とても勝てるかどうか分からない戦いに巻き込めるものではない。
「関係あります、俺は貴方達の友人で仲間で、familyです。ところでそろそろ俺の提案を聞いてもらえませんか?」
でもその二age児はマイpaceだった。
思わずうるっと来そうな事を恥ずかしげも無く平坦な口調で言ってから、話を変えようとする。
「そもそも、お前に何が出来るっ!」
familyと言ってくれた事に、思わず頬が緩みそうになるのをenduranceしてVigaroがそう叫んだ。実際、Vandalieuはこのworldで強い側とweak側に分けるとしたら、weak側だろう。
確かにManaは常識をはるかに超えて莫大、Dhampirに生まれついたためにbody part Abilityは二ageにして成人を軽く超える。更にこのworldでは誰も知らないdeath attributeのmagicを使える。
しかし、逆に言えばそれだけだ。武術の心得はないし、集団戦の戦術戦略の知識だって全てSelf流。戦術眼なんてあるはずがない。
莫大なManaも、所詮はManaに過ぎない。Manaで直接monstersを殺す事は出来ないし、ManaがいくらあってもVitalityが0になれば死ぬ。
そのManaを役立てる事が出来るmagicも、VandalieuはDeath-Attribute MagicとNo-Attribute Magicしか使えない。Death-Attribute Magicは直接的なAttack Powerに乏しく、No-Attribute Magicはまだ覚えたてで拙い。
もし敵がMageなら【Magic Absorption Barrier】の術で無力化する事が出来るが、今回の敵はOrcだ。Mageの数は少なく、race的にMysterious Strengthと突進力をWeapon Equipmentにする連中だ。
それをVandalieu自身Darciaが殺されてからずっと自覚している。でも、出来る事は幾らでもある事も同時に自覚している。
「まず、俺が居るとRotten Beast三頭、Phantom Bird一feather、Skeleton Soldier一人、後SamとSalireとRitaが洩れなくついてきます」
「むっ!?」
Sam達は全員Vandalieuの僕だ。当然VandalieuがOrc達との戦いに参加するのなら、彼らも参加する。全員がRank3以上であるため、決して小さな戦力では無い。
「後、他のGhoulの集落と話を纏める時、俺がいると便利だと思いますよ」
Ghoulにも【Death-Attribute Charm】のskillが有効なのは既に解っているため、それを役立てない手は無いと主張した。これもその通りなので、Vigaroは呻く事しか出来ない。
「もうその辺りにしておけ、Vigaro。お主が坊やの事を思って言ったのは、皆わかっておるから」
「そうだぞ。それにVanは私達のfamily、同族も同然じゃないか」
「そうだそうだっ! Vigaro、無理すんなよっ!」
「そうよっ、嘘でも関係無いとか言っちゃダメよっ!」
その上実は孤立無援だった。
「お、お前等……ああもう我は知らんっ! 関係無いなんて二度と言えないように、ガッチリ関係者にしてやるからな!」
「これで次期長も公認じゃな、坊や。
それで、提案とは何じゃ?」
ようやく話せると、Vandalieuは安堵の息を吐きながら提案を行った。
「大したことじゃないんですけど、使う予定の無い武具とmagic itemを皆に提供しようと思って」
皆の反応を見ると、大した事あったらしい。
このworldは、magic itemにも等Classがある。
下から下Class(言い方が悪いので、最近は初Classと呼ばれる事もある)、中Class、上Class、特Class、legend Class、Myth Class。
下Classは普通より錆びにくい剣や、着たまま寝ても体が普通より痛まない皮鎧、一時間後にアラームを鳴らすタイマー、Earthのコンロに相当する魔導コンロや、magic式街灯等で、生活に密着した物等Earthでmagic itemと聞いて連想する物よりも地味な代物が多い。
magic itemらしくなるのは中Classからで、この辺りはadventurerでも持っている者が多い。上Class以上は一気に販売価格や入手難易度が跳ね上がり、特Classともなれば国宝扱いされているitemも少なくない。
Artifactと呼ばれるのは、選ばれたChampionだけが装備できるHoly Sword等legend Classからで、Mythに出て来るようなCheat itemがMyth Class itemだ。
因みに、この等Class分けは純粋な機能や込められたmagicの強さで決まるものでは無く、作成にかかる手間や材料費、希少性で分けられているそうだ。だから量産が難しかったころは魔導コンロが中Class itemだった事もあるらしい。
「はーい、並んで並んで」
そして今VandalieuがGhoul達に配っているDungeon産のmagic itemは、下Classから中Classに分類される物だ。
手に入れた当初はmagic itemである事と込められたManaの大きさしか分からず、No-Attribute Magicの【Appraisal】を習得した後も、【Appraisal】の基になるVandalieu自身の知識が無かったためどんなitemか分からないまま死蔵していた。
しかし、Orcの大集落攻略という困難な目的達成の為、Ghoul達の戦力Augmented (2)を図る必要があると考えたための大盤振る舞いだ。
言うまでも無く、無償で。
Vandalieuにとって大出費だが、originally死蔵していた品だし換金手段も無いし、DungeonでUndeadから貰ったり、楽にTreasure Chestを開けたりして手に入れた物なのであまり苦労して手に入れたという思い入れもない。だから気前良く配っているのだった。
「これは低ClassのAgility力Enhanced (1)、こっちは低ClassのStamina回復のaccessoryじゃな。どちらも気休め程度じゃが、確かにmagic itemじゃ」
「じゃあ、Gudan -sanとGiburi -sanに」
Zadirisにitemを【Appraisal】してもらい、次々に配って行く。Human社会の大きな町なら普通に売っており、それも千Amidという安くは無いが買えなくも無い値段の品だ。しかし、それでもDevil Nestsにあるこの集落では貴重品なので皆喜んで受け取って行く。
(誰かにプレゼントを渡して喜ばれるのって、新鮮だなぁ)
Earthでは友達もまともなfamilyも居らず、Originでは実験動物。Lambdaで初めてプレゼントを誰かに贈る機会に恵まれたので、Vandalieuの気分はとても良かった。
「これでOrcをぶちのめしてやる!」
「この腕輪の礼に、腹いっぱいOrc肉をくわせてやるからなっ」
因みにOrc肉はGoblinやKoboldと違って、特別なCooking法をしなくても美味しく食べられるらしい。味は猪に似ているそうなので、とても楽しみだ。
「Skeleton Generalから貰った、とっておきのBattle AxeはVigaroに。カイトShieldはBasdiaに」
Dungeonで手に入れたmagic itemの内、SalireとRitaのmain bodyである鎧や彼女達のWeapon Equipmentを除けば最も価値がある物を渡す。
Battle Axeを受け取ったVigaroは、「ありがとう」と礼を口にした後真剣な顔つきで言った。
「Vandalieu、お前、Kingに成れ」
「……はい?」
「俺達Ghoulは、共通の敵が出来た時は他の集落の者と力を合わせて戦う。その時、一番上に立って指示を出すのがKingだ。
それをお前がやれ」
「……はい?」
Kingがどんな役割なのかVigaroの説明で分かったが、そんな重要な役割を何故自分にやれと言うのかが分からない。そういう意味で聞き返すVandalieuに、Basdiaが嬉しそうに言った。
「同意してくれて嬉しいぞ、Van」
「いやいやいや、『はい』って同意した訳では無く、『はい?』って聞き返しただけなので」
「だがVan、皆もVanが最も適任だと言っているぞ」
「皆って誰っ!?」
「Van以外の全員」
「何時の間に!?」
どうやら、magic itemを配っている間に相談していたらしい。
『おめでとうございます、Bocchan』
『大出世ですよ♪』
『あたし達も頑張るねっ』
その相談にSam親子も加わっていたようだ。そして反対意見は一切無かったらしい。
Samの白い朧げなSpirit Formが親指を立ててthumb's upしている。Samだけに。RitaとSalireもガチャガチャと拍手してくれている。
『ううっ、Vandalieu、立派になって』
そしてこっそり起きていたDarciaが感動の涙を流していた。気分は、childが学Class委員長や学芸会の主役に成った事を喜ぶ母親だろうか。
「いやいやいや、ちょっと待ちましょう。皆は良いけど、他の集落の人達が納得しますか? 俺はDhampirですよ。異raceですよ。そんなKingで大丈夫ですか」
「大丈夫じゃ、問題無い」
「ああ、Humanだったら反発もあっただろうが、Dhampirなら平気だろう」
「……まあ、maybe平気だろうと自分でも思いますけど」
Ghoulの始祖はVampireの始祖の弟かImoutoとされている。そのためVampireのbloodが半分流れているDhampirは、彼らにとって親戚のようなものだ。その上Amid Empireとその属国ではmonstersとして定義されている。
その上、【Death-Attribute Charm】のskillがある。他の集落のGhoulもそう強い反発は持たないだろうと、Vandalieu自身も予想できる。
「それにじゃ、Ability的にも実績的にも坊やはKingになる資格があるのじゃよ」
以前Vandalieuから「気が付いたらこんなskillを覚えていたんですが」と相談を受けていたZadirisは、彼が【Strengthen Follower】のskillを習得している事を知っていた。
「坊や、前にも言ったが【Strengthen Follower】のskillは文字通り自身のFollowersのAbility ValuesをEnhanced (1)するskillじゃ。坊やのFollowersはUndead、そして儂らGhoulになる。つまり、坊やがKingに成って頂点に立てばそれに従うGhoulは皆Enhanced (1)されるという訳じゃ。
そもそもそのskillは、King専用みたいなものじゃからな」
【Strengthen Follower】は、Kingと名のつくmonstersは必ず持っているskillだ。そのskillがあるが故に、KingがReignするmonstersの群れは通常のmonstersより強力で、数も多い。
Zadirisは知らなかったが、かつて【Strengthen Follower】を10levelで習得していたGoblin Kingの群れのGoblinは、完全武装のKnightと木の棍棒とfurの腰巻という装備で互角に渡り合ったと言われている。
Adventurer’s GuildでKingの出現が災害扱いされる由縁である。
「それに、坊やは儂らが増え難いという弱点を解決しようとしてくれているじゃろう? 儂らGhoulの未来を拓き、繁栄を齎そうとしている訳じゃ。しかも、既に一定の成果が上がっておる。
これを指導者に相応しい実績と言わずに何という」
Zadirisの言葉はVandalieuにはやや大袈裟に感じられたが、実際childが出来にくい事はGhoulのrace全体の問題であり、数を増やせない事は勢力拡大の重い足枷になっていた。
それを解決できる方法があると知れば、他の集落のGhoulも喜んでVandalieuの下に集うだろう。
まさか少子化問題に取り組む事でこんな事になるとはと額に手を当てるVandalieuに、Vigaroがしてやったりという顔をした。宣言通り、これでVandalieuはがっつりと関係者に成った訳だが、やや大人気ない。
「分かりました。Kingに成ります」
こうしてVandalieuはadventurerになる前に、Ghoul Kingに成ったのだった。
《Vandalieuは、【Ghoul King】のsecondary nameを獲得しました!》
《【Strengthen Follower】のlevelが上がりました!》
そんなKingの初仕事は、鎧のフィッティングだった。
「Gudan、きつかったり動かしにくい個所はある?」
「肘と首回りが動かし難い、後兜がキツイ」
Ghoulの男は獅子の頭と直立していても拳が地面に着くほど長い腕を持つ。Humanと大きく姿が違うので、Vandalieuが配ったHuman用の鎧がそのまま使えないのだ。
その鎧をGhoul用に調整するには、腕の良い職人と時間が普通なら必要だ。
「じゃあ、起きろ」
しかし Vandalieuはその二つを必要としない方法を考えた。
まずGhoulに鎧を着てもらい、その鎧をそのままLiving Armor……accurateには鎧の形をしたGolemにする。
「形を変えていくから、腕や首を動かしてみて」
ギシギシと【Golem Transmutation】skillで鎧の形をゆっくり変えていく。すると、十分とかからずHuman用の金属鎧はGhoul用の金属鎧になる。
装飾が無いので見かけはrusticだが、機能は十分。腕がHumanよりも長い分足りないpartsもあるが、そこはmonstersの皮を鞣して作ったpartsを使って穴埋めしてもらう。
「おお、着心地が良くなった! ありがとうKing!」
「どう致しまして。次の人~」
全くKingらしくない仕事だが、Ghoulの集落にいる鎧作りの職人は普段からmonstersの皮やbone、角等しか扱った事が無いため、金属鎧の調整が出来ない。そのためVandalieuがするしかないのだ。
Kingらしい仕事……他の集落のGhoulを訪ねて協力を要請するのは明日以降になる。originally他の集落と狩場が重ならないように工夫しているので距離があり、更に共通の敵がいない場合はライバルでもあるのでZadirisでもaccurateな場所や数を知らないのだ。
それもVandalieuが放った虫Undeadや、霊相手の情報収集で場所に見当を付けようとしているところだ。
意外と悠長に見えるかもしれないが、Noble Orcの大集落が本格的に動き出すのは早くても春が来てから、遅ければ夏になるそうなので時間はある。
certainly囚われている女Ghoul達を早く助けてやりたいとは思っているが、それで事を焦って負けたら意味が無い。
因みに、捕まっている女adventurerを助けなければとはGhoulはあまり考えていない。何故なら基本的に敵対関係にある相手なのだから。BasdiaやBildeは女としては同情しているようだが、そのために危険を冒す程では無いようだ。
そしてVandalieuにその気は全く無かった。彼にとってもMirg Shield Nationのadventurerは敵だ。助けに行って、「ありがとう、お礼に討伐してあげるね♪」なんて事もあり得るのではないかと考えているのである。
(まぁ、嬲られている-sama子を直接見るか、捕まっているのが知っている人なら助けようとは思っただろうけど)
どうにも自分は女の人が痛めつけられている光景を見ると、Darciaを連想して頭にbloodが上りやすくなるらしいと、Vandalieuは自分のtraumaを若干自覚していた。
(とりあえず、出来る事はサクサクやって、勝った時に生きていたら助けよう)
捕まっているadventurerを見捨てると将来的にreincarnationしてくるCheat共に何か言われそうなので、最終的には助けるつもりではあるのだが。
(ああ、そういえばZadiris達にも話した方が良いかな? 俺の境遇。うん、今回の件が解決したら話そう。Zadiris、Vigaro、Basdia……この三人かな。がっつり関係者に仕返してやる)
意趣返しになるか微妙な事を考えるVandalieuの前に、次のフィッティング希望者がやって来た。
Basdiaだった。
「Basdia? 何処かきつい所でもあるの?」
Kingになったのだから呼び捨てで呼ぶようにと言われたため、-sanを取って訊くとBasdiaは「ああ」と答えた。
Ghoulの女は男と違ってHumanと体型が変わらないため、鎧の調整は必要無いと思ったのだが。
「ちょっと……いや、かなり胸がキツイ」
「……そういえば、殆どの鎧が男物だったっけ」
結局、配った鎧の数だけフィッティングが必要な事が分かった。
《【Golem Transmutation】、【-Surpass Limits-】、【Abnormal Condition Resistance】のlevelが上がりました!》
・Name: Vandalieu
・Race: Dhampir(Dark Elf)
・Age: 二age六か月
・Title: 【Ghoul King】(NEW!)
・Job: none
・Level: 100
・Job History: none
・Ability Values
Vitality: 47
Mana: 113,551,200
Strength: 40
Agility :16
Endurance :42
Intelligence :75
・Passive skills
Mysterious Strength:1Lv
Rapid Healing:2Lv
Death-Attribute Magic:3Lv
Abnormal Condition Resistance:4Lv(UP!)
Magic Resistance:1Lv
Dark Vision
Mental Corruption:10Lv
Death-Attribute Charm:3Lv
Chant Revocation:1Lv
Strengthen Follower:2Lv(UP!)
・Active skills
Bloodsucking:3Lv
-Surpass Limits-:3Lv(UP!)
Golem Transmutation:3Lv(UP!)
No-Attribute Magic:1Lv
Mana Control:1Lv
Spirit Form:1Lv(NEW!)
・Curse
Experience gained in previous life not carried over
Cannot learn existing jobs
Unable to gain experience independently
・About Titles:
secondary nameとはinfluenceのある人物や大多数の人々からそう呼ばれ、認識される事で獲得できる。他にも字名、異名、称号等とも呼ばれる。
具体的な効果は、secondary nameを付けられた由来や意味に関係のあるskillの習得やlevel increaseに対する補正が付き、skillの効果がEnhanced (1)される。
・【Ghoul King】
Ghoulに対する【Strengthen Follower】及び【Death-Attribute Charm】の効果がEnhanced (1)される。また、【Strengthen Follower】のlevel increase時、impact下にあるGhoulの数を倍にして計算する。
Skill explanation::Strengthen Follower
skill保有者のimpact下にある、skill保有者と同じraceや関係あるraceに属する個体のAbility ValuesをEnhanced (1)する。また、Breeding力や生まれたchildの成長paceを速める等の効果がある。
このskillのlevelはFollowersの数で上下する。百体以下なら1Lv、二百体以上で2Lv、五百体以上で3Lvと上がって行く。
Amid EmpireがHumanと定義するHuman、Elf、Dwarfはこのskillを獲得する事は出来ないが、Vida's New Racesは稀に獲得する事がある。だがこのskillの所有者の大部分はGoblin King等のmonstersである。