Death-Attribute Magicによって作りだした、ほぼ透明な髑髏の形状を持つ使い魔Lemureを何匹も飛ばして見つけたNoble Orcの前線基地。
それをVandalieuは、Budarion皇子達の治療に必要な物を獲るために襲撃した。
前線基地と言っても見張り櫓や倉庫が在るだけの、大きさ以外は貧弱な造りであるため、事前の準備は必要無い。詰めている敵の数も少ないので圧倒的な戦力で、電撃的強襲tacticsによって敵を殲滅すればそれで十分。
地面を踏み砕くような勢いで走るBorkusは、ある程度……五十meter程の距離まで矢を放ったNoble Orc Generalに近づくと、剣を横薙ぎに振るった。
『まずはpartsを獲らせてもらうぜ、【飛龍斬】!』
最近新たに編み出した【Sword King Technique】のMartial Arts、斬撃を飛ばす【Sword Technique】のMartial Arts【斬空】のEnhanced (1)版をActivateさせる。
「ブゴォォォ!」
【Demon King Fragment】とDeath Ironを組み合わせた大剣の斬撃は、咄嗟にNoble Orc Generalが放った【Archery】のMartial Arts【Spiralの矢】をBisection。そのままNoble Orc Generalが構えた弓ごと彼の首を刎ね飛ばした。
「ブキャアアアア!?」
「ブモッフゴブブブ!」
砦のCommanderの片割れが瞬殺されたNoble Orc達に、動揺が広がる。monstersにとってCommanderはその集団で最強の存在である。そのため、それが倒された時の動揺はHumanの軍隊の比では無い。
しかしこの砦にはGeneral以外にもう一人、Noble Orc MageのブブーリンというCommanderが存在する。
「ブキャキャブ! Slave共! 貴-sama等はその場で待機しろ!」
そして彼は同僚を瞬殺したBorkusの実力を冷静に評価し、撤退を選択した。
自分達よりRankが一つ高い相手でも、Generalが健在なら、ブブーリンはOrcを幾らか使い潰して勝つ自信があった。
しかし、Borkusはそんな程度の相手では無い。Vitality旺盛なNoble Orc Generalの首を一撃で、しかも遠距離から跳ね飛ばしたのだ。
tacticsやCoordinationで勝てるような、生ぬるい相手では無い。
下位raceのOrc共と、足手まといのSlave共で少しでも時間を稼ぎ、Empireまで撤退するのだ。Undeadなら自分達を追う事よりも、Slave達を殺す事を優先するだろう。
『良し! 皇子の分のpartsは確保したぜ!』
「じゃあ、第二段階に移行。皆を出しますね」
しかしブブーリンに命令されたOrc達が棍棒代わりに資材を構え、陣形を整える前に指先でActivateさせた【Demon King's Suckers】でBorkusの背に張り付いているVandalieuが動き出す。
「とりあえず、Noble Orcは皆殺しで良いのね?」
「Bugoganの息子達と戦った時からどれぐらい強くなったか、試すとしよう!」
「ArachneやEmpusaも運べるとは……Shrine Maiden -donoはninjaでござるか?」
「いや、武士じゃないだろうか?」
「ブフっ……何故皆-sanは平気なのですか?」
「慣れだ」
VandalieuからEleonora、BasdiaやVigaro、MyuzeにGizania、そしてBudarion皇子が出てくる。
ブブーリン達からは、突然敵が現れたようにしか見えず驚愕に目を剥くしかない。
「フゴ!? Budarion、フゴゴ!?」
しかもその中にBudarion皇子の姿を見つけてしまったため、動揺は際限なく大きくなって行く。
MyuzeやGizania、そして続いて現れたEmpusaやArachne、蟲のmonsters達に護られたBudarionは青い顔をしたままブブーリン側の陣形をざっと確認する。
「ブゴオオオオォクギャギャギャ!!」
そして雄々しい咆哮を上げた。Vandalieu達には威嚇のための吠え声にしか聞こえなかったが、ブブーリン側に与えた効果は劇的であった。
「Budarion皇子!?」
「この雄々しいOrc語はBudarion皇子に間違いない!」
それまでUndeadの襲撃だと怯え、もう終わりだと立ち尽くすしかなかったSlave達……Budarion皇子の民達の顔に希望が戻る。
「フゴオオ!」
「ブギィッ!?」
そしてなんと、Orc達はBudarion派とブブーリン派に別れてしまった。Budarion派……ブブーリンに嬲られる民達に同情していたOrc達が陣形を放棄し、民達を守ろうとする。
Budarion皇子の咆哮はただの吠え声では無く、Orc語で「Orc達よ、民を守れ!」と号令をかけていたのだ。
「ブッ、ブギイイイ!」
咄嗟にブブーリンもOrc語で叫ぶが、Budarion皇子と比べると威厳は明らかに劣っている。
それでもブブーリン派のOrc達はBudarion派のOrcが持ち場を離れるのを止めようとするが、ブブーリンの命令である敵の足止めをするためにその場を動く事が出来ず、その場で右往左往するしかない。
「民を守っているのが余の側に戻ったOrc達だ! 彼等もallyと考えて欲しい!」
「……Orcに関する儂の認識が、どんどん崩れていくようじゃ」
「kaa-san、Boundary Mountain Rangeの外のOrcとは見た目は同じでも中身が違うのだと考えよう」
「いいから、さっさと行くわよ!」
色々shockを受けつつも、風の刃を飛ばす【風刃】や氷の槍を飛ばす【氷槍】のmagicを使うZadirisやBasdia、それに続いて鉄林檎や手斧が投擲される。
それにより、殆どDefense Equipmentも身につけていなかったOrc達は瞬く間に倒れていく。一匹だけ丸太を振り回して粘ったOrcがいたが、それもFlightして間合いを詰めたEleonoraの剣に丸太ごと斬られて沈黙する。
その光景にブブーリンは、自分達が受けているのは「強力な、しかし一匹のUndeadの襲撃」では無く「Budarionによる襲撃tactics」であると認識を改める。
「Noble OrcとHigh Goblinは私と共に、ここを死地とせよ! High Koboldはバラバラに撤退! 一人でも生き延びて情報を持ち帰るのだ!」
ブブーリンの号令に従って、撤退しようとしていたNoble Orc達は反転し【Shield Technique】や【Armor Technique】のMartial ArtsをActivate。High Goblin達も槍や剣を構え、「ぎぎぃ!」と己を鼓舞する。
逆にHigh Kobold達はWeapon Equipmentをその場に捨てると、四足走行で獣の如く走り出す。
「ブキャブブフー!」
そして自身も炎の猪を創り出し暴れさせる【炎猪】のmagicを唱え、一秒でも時間を稼ごうとした。
『邪魔すんじゃねぇ! 首が刎ねられねぇだろうが!』
しかし Noble Orc達は構えた盾と腕ごとBorkusに胴体をBisectionされた。
「【大断頭】! フハハハ、Bugoganと同格のNoble Orcが、まるで赤子の手を捻るように倒せるぞ!」
四本腕のGhoul、Vigaroの斧によって頼りに成る部下の首が飛ぶ。
「向かってくると言う事は、Noble Orc同-sama敵で良いのだな?」
High Goblinの五人も、Basdia一人に次々に倒されていく。
『これもmonstersじゃなくmagic? 使い魔みたいなもん?』
炎のbody partでChargeしようとした【炎猪】も出現したBroad GhostのOrbiaが、繰り返し液体のtentacleを振るう度に小さくなって行く。
「ギャイイイイン!」
「ギャワァァァン!?」
『ヒャァッハー!』
「ヒャッブー!」
「情報を伝えられると面倒なのよ!」
必死の撤退を試みたHigh Kobold達すら、Blitz GhostのKimberlyや、伏兵として待機していたGorba達黒fangs Knight団、そしてEleonoraに各個撃破されていく。
「ブキャァァァァ! ブブギャァァァァ!?」
そして【炎槍】や【Flame Bullet】を放っていたブブーリンも、【Magic Absorption Barrier】に包まれmagicを封じられたところを、Bone Manに切り倒された。
『主、magicを封じなくても倒せましたぞ?』
「念のためです。じゃあ、Budarion皇子は民の人達と戻ったOrcに説明を」
「ああ、任せてくれ」
敵が全滅し、Budarion皇子が救出した民と配下に戻ったOrc達を迎えるべく彼等に歩み寄って行く。彼に解放された民とOrc達は歓声を上げ、涙を流して彼が生きている事を喜んでいる。
「でも本当に意外でしたね」
倒したブブーリン達の死体に【Preservation】のmagicをかけ、彼等の霊から情報を聞き出しながらVandalieuは思わず呟いた。
「確かに。Orcの半分がBudarion皇子の命令を聞いた事は、特に不思議でも無いのだが」
『いや、それも十分奇妙では? 何せ皇子は隻眼隻腕で、Bugitasに負けた事を誰もが知っているのですから』
Basdiaが同意し、Bone Manは部分的に疑問を呈する。
Orc達がNoble Orcの命令に従う事自体には、何の不思議も無い。
Noble Orcはoriginally、当時のDemon King Armyの邪悪なGodsがOrcをCommandingするためのCommanderとして創り出したraceだ。そのためOrcはたとえKingの名を持つ個体でも、Noble Orcの命令には服従してしまう。
そしてNoble Orcが複数存在し、それぞれが別の命令を発した場合は、やはりmonstersらしく強い方のNoble Orcの命令を優先する。
しかし、Budarion皇子はブブーリン達が従うBugitasにloseいる。この時点で、Orc達はBudarion皇子の命令には従わない。
だが、それはBoundary Mountain Range外のOrcだ。
「そうなのでござるか? 某たちから見ると、Orc Worker達が半分程でも皇子の元に戻ったのは不思議では無いのでござるが……やはり十万年も隔離されていると、外と中では元は同じraceでも違いが生まれるものなのでござるな」
Myuzeが言ったように、Noble Orc EmpireのOrc達は十万年もの間Noble Orcの支配下で、世代を重ねてきた。
Rank4のmonstersが跋扈するこの辺りでは、素のRankが3でしかないOrcは単体や数匹程度では戦力としては心許ない。そのため多くの個体は下Class兵や、労働者階Classとして働いて来た。
民であるHuman達を守り、日々の労働に精を出し。親から子へ、子から孫へ、孫から玄孫へと約十万年。
それがOrc達を変えたのだろう。
Noble Orc EmpireのOrc達は、通常のOrcよりもずっと賢く温和で従順な個体が多くなった。
だからInstinctに逆らえずBugitas皇子に従いつつも、疑問や不満を覚えているOrcが一定数居るはずだとBudarion皇子達は考えていたのだ。
それがどれくらいの数かは賭けだったが、前線基地の建設に集めたOrcの半分がそうだったのだから、Budarion派のOrcの数は想定よりも多そうだ。
「certainly拙者達を襲撃したようなOrcもいるので、楽観視は出来ないが」
「Budarion皇子達の治療が終わって傷が癒えれば、状況はより好転するでしょう」
そう言いながら死体とpartsの確保が終わったVandalieuは、【Golem Creation】skillで土や石でOrc型Golemを製作し、表面を【Demon Kingの墨】で塗装する。
「……Shrine Maiden -dono、実は大蛙にTransformできたりしないでござるか?」
「しないでござるよ」
伸ばしたtongueの先端から色を変えた【Demon Kingの墨】を噴いてGolemを塗装しているVandalieuを見て、MyuzeはninjaがTransformすると言う大蛙を連想したようだ。Borkusの背中に張り付いていた時も、【Demon King's Suckers】を使っていたので無理も無いかもしれない。
振り返ってVandalieuを見たBudarion皇子がギョッとしたが、彼は特に気にせず塗装作業を続行した。因みに、助けられた民とOrc達はVandalieuの-sama子から彼を「人のchildに似た謎のmonsters」か「珍しいMajin Race」と認識したようだ。
「偽装は上手く行きそうかの?」
近くでよく見なければ、Orcにしか見えないGolemを見上げてZadirisが尋ねる。
「遠目なら行けそうです。Orcの霊を憑りつかせたので、動作は似ていると思います。近づかれたらすぐ臭いでばれると思いますが」
Orcは見た目通り鼻が利く。犬並ではないが、近づけば土や石、そして【Demon Kingの墨】の臭いに気がつくだろう。
「臭いを消せばどうだ? 【Deodorization】で行けるだろう?」
「Vigaro、【Deodorization】の術で臭いを消しても、本来ならするはずのOrcの体臭までは再現できないから無駄じゃ。寧ろ、警戒心を抱かせるだけじゃろう」
「まあ、補給部隊は来ないそうなので暫くは大丈夫でしょう」
前線基地の建設に使う資材は既に運び込まれていて、食料等も近くのmonstersを狩って手に入れる予定だったので、暫く補給や連絡のための部隊は来ないとブブーリンの霊から聞きだしている。
「後は一旦Zanalpadnaに戻って皆の治療をして、逆にこの前線基地を使ってEmpireに攻め込みましょう」
「つまり問題は無いのね? でも、その割には浮かない-sama子だけど何かあるの?」
そう尋ねるEleonoraに、Vandalieuは息を吐いて答えた。
「いえ、ただ……Bugitasを俺達が殺して、Ravovifardを何とかするだけじゃ、問題は解決しないなと気がついただけです」
王冠を頂き、玉座に腰かけたBugitasは兄より奪ったEmpireにReignし、最高Classのアクアビット(芋から作った酒)で満たしたglassを片手に、肌が透けるような薄い衣だけを身につけた美女達を侍らせていた。
美女達は自分に付かなかったNoble Orcの妻や、強制的に集めた民、High Kobold nationやHigh Goblin nation等からの貢物などだ。
HumanやDwarf、ElfにBeastmen、Giant race……中にはHigh KoboldやHigh Goblinもいる。
少なくとも、Noble Orcなら誰もが羨む質と量を兼ね揃えたharemだ。
「ブフゥ……!」
そのharemを前に、しかし Bugitasが覚えるのは獣欲では無く苛立ちだった。
「い、如何なさいました、Bugitas -sama?」
怯えを滲ませながらも、美女の一人が媚びた笑みでBugitasの機嫌を取ろうとする。以前のEmpireなら「子は国の宝、子を産み育てるfemaleはWarriorと同等に敬うべし」との教えが誰の意識にもしっかりあったが、Coup d'état後は違う。
特にBugitasはNoble Orc Empireでは重罪であるはずのLady Killer……口説くのではなく、文字通りの意味で女を何人も殺害している。
それも寝所で少し乱暴に犯したとか、目つきが気に入らなかったので殴ったとか、下らない理由で。
機嫌が悪いままだと、特に理由も無く自分や自分以外の誰かが殺される。そんな危機感に駆られて美女はBugitasの機嫌を取ろうとしたのだが……。
その美女の頭に、優しくBugitasの手が置かれる。
「あ……っ!」
機嫌が直ったのかとほっと安堵した美女だが、見上げたBugitasの目がblood走ったままである事に気がついて息を飲んだ。
「媚びるな! 見苦しい!」
Bugitasは美女の頭を掴んで持ち上げると、ごみでも捨てるように放り投げた。
Humanのfemaleとしては長身の美女のbody partが人形の-samaに宙を舞い、重い音を立てて壁に激突する。
そして首を奇妙な角度に曲げたまま床にずり落ち、動かなくなった。
「い、いやぁぁぁっ!」
「そんなっ! アンヌ! アンヌぅ!」
その代わりのつもりか、美女たちはscreechを上げてBugitasから少しでも遠ざかろうと距離をとるか、死んだ女に駆け寄ろうとする。
「ブゴシャァア! ブゴッホオォ!」
roomの外で見張りをしていたOrcのGuardが何事かとroomに入って来るが、BugitasにOrc語で「女達を連れて出ていけ!」と怒鳴られると、慌ててその通りにした。
その際、Orc達が瞳に浮かべた女達への憐れみ、そして女の死体を丁重に運ぶ仕草がBugitasを更に苛立たせた。
「ブググ……!」
何故思った通りに成らないのかと、一人王座の間に残ったBugitasは唸り、アクアビットを喉に流し込む。
為政者としての才を持たず、兄と並ぶどころか仰ぎ見る事しか出来なかった少年時代。Bugitasはただ武威を高める事に集中していた。Emperorに成れずとも、武を高めて認められれば良いと考えていたからだ。
兄へのcomplexはあったが、ただ妬むだけでは意味は無いと押し込めて来た。
だがBugitasが訓練に励んでいるある時、Voice of Godが彼に届いた。
『力が欲しいか? ならば解放せよ。汝は魔に属する存在なり。正しき姿に回帰せよ』
その声はとても甘くBugitasの意識に響いた。
それこそが『Evil god of release』Ravovifardだった。
本来Empireが奉じる『Evil God of Degenerate Corpulence』Mububujengeとは違う、Bugitasが聞いた事も無い、Empireのrecordや資料にも残っていない神だ。
つまり、Zakkartの誘いに乗ってDemon Kingを裏切っていない、Demon King Army Remnantsの邪悪な神の一柱である確率が高い存在だ。
そんな神の誘いに応える事は出来ないと最初は無視していたBugitasだが、兄や当時健在だった父にそれを打ち明けなかったのは、やはりRavovifardの言葉に魅力を感じていたからだろう。
そして自分の限界を悟った時、遂にBugitasはRavovifardの誘いに乗り、Evil God (P) 's Divine Protectionを受け入れた。
【Ravovifard 's Divine Protection】の効果は絶大だった。あらゆるAbility Valuesがincreaseし、それまでほぼ停滞していたlevelも簡単にincreaseする-samaになった。
更にblessingsによって習得したskill、【False Guidance: Beast Path】を習得した事により、彼に従う部下達も次々に強くなって行った。
だがその代償にBugitasやその配下のNoble Orc達のMentalは変容していった。
高貴なる者の義務に意味を感じなくなり、Instinctをreasonから解き放ち、弱肉強食こそがNoble Orcにとって正しい姿だと考える-samaになった。
そして兄Budarionを超えたBugitasは、遂に帝位を奪い取った。そしてそのまま瞬く間に他の国を支配し、自分を頂点とした弱肉強食のworld支配が始まるはずだった。
「フゴガ!」
Bugitasは回想を止めると、苛立ちも露わに杯を床に叩きつけた。
帝位を簒奪したBugitasだが、それ以降は思っていたより上手く行かなかった。
『Evil God of Degenerate Corpulence』Mububujengeも、神main bodyはRavovifardが、Cleric共はBugitasが押さえこんでいる。
他のGodsも、動きは見せていない。
High GoblinとHigh Koboldの国は、Bugitasが自分同-samaに燻っていた有力者のyoung childを取り込み起こさせたCoup d'étatによって、今は彼の配下と成っている。
それらを合わせた総合的な軍事力は、Pure-breed Vampireが守るVida’s Resting Groundを除けばMajin nationやKijin nationも超えるとBugitasは確信している。そして、それらの強国はRavovifardが誘発させたDungeonのrunawayによって溢れ出たmonstersに対処するために、碌に動けない。
この隙にZanalpadnaを含めた他の国を征服し、今度こそ軟弱なBudarionの首を獲る。そのはずだった。
しかし、実際にはZanalpadnaを含む他の国々との戦いでNoble Orc Empireは苦戦していた。
(何故だ!? 我々Noble Orcは武力に最も優れた、あらゆる生物の頂点にReignすべきraceでは無かったのか!?)
そう考えるBugitasだが……そんな訳は無い。
Championという例外的存在を除けば、確かにNoble Orcは優れたraceだ。Human並みに知能が高く、全ての個体がRank6という強者に生まれつく、monstersの中でも完成度の高いraceだ。
だが、もしNoble Orcが最も優れたraceなら何故Vidaは新raceを産みだそうとしたのか。
Bugitasは気がついていないが、Noble Orcはその完成度の高さからHumanや下位のmonstersと比べて多-sama性で大きく劣る。Noble Orcは多少の差はあっても、どうしてもRank up先の種類が限られており、skill構成がどうしても似てしまう。
そのため、多-samaなJobに就くArachneやEmpusa達Vida's New Racesに対応策を取られてしまう。
結果、戦いではBugitasが想定していたほどの優位には立てなかった。
更にこれはBugitasの落ち度では無いのだが……彼も彼の配下も数人から十数人程度の小集団での戦いの経験はあっても、国同士で争う-samaな大規模な戦争の経験も知識も無かったのだ。
十万年以上戦争は無く、小競り合いがあったのも賢帝ブーギが現れる前までだ。それ以後、何万年も国家間の争いは話し合い、若しくは代表者の腕比べwisdom比べで解決してきた。
Noble Orc Empireを含めたContinent南部では野良のmonstersの群れ相手以外での大規模な戦闘、戦争を経験した者は(Pure-breed Vampireを除けば)誰一人存在せず、そのため軍略の知識そのものが存在しなかった。
そのためどうしても高度な軍事tacticsを展開する事が出来ず、勢いに任せたCharge戦に成りやすい。
それはZanalpadna等の他の国々も同じなので、悪い意味で互角の戦いが展開している。
(互いに北のMarshlandsの蜥蜴共を巻き込もうとした試みは失敗に終わったが……役立たず共め!)
止めに、Bugitasの足元であるEmpireの体制にも不安があった。
Coup d'étatの際に兄と共に逃げた連中を除き、Noble Orcの殆どが彼に従っている。しかし、本当の意味でBugitasにLoyaltyを誓っているのは三分の一程で、残りは民やfamilyを守るために表面上従っているだけであるのが見え透いている。
当然奴らに【False Guidance: Beast Path】の効果は発揮されない。
何より目障りなのがOrc共だ。下位raceであるOrcはBugitasにInstinct的に従うが、本物の雌を与えると言えばすぐにMububujengeが渡す紛い物を捨て、Ravovifardに鞍替えし【False Guidance: Beast Path】の効果で優れた戦力に成るはずだった。
しかし、実際にはOrcの内半分程が……特に優秀な部類のOrc程本心ではBugitasに反感を覚えている。
(これ以上Ravovifardの助力は期待できない。一刻も早く兄上……Budarionの首を獲り、Empireの支配を盤石としなければ。そのためには、一旦他の国への侵攻を取りやめ、Zanalpadnaに集中するべきか?
糞が! 全てはあの見苦しく逃げ出したcoward者のせいだ!)
・以下、Lucilianoの研究メモより抜粋。
・Job解説:Samurai
『Mother God of the Earth and Craftsmanship』BotinのChampion、Hillwillowが残したSamuraiの知識を持つ、 Bahn Gaia continent南部の人々にのみ確認されているJob。ただしDemon continent等、他の地域に存在する可能性は否定できない。
前衛職のSwordsman系と類似するJobで、反りのある片刃の剣(刀と呼称される)を使用する【Katana Technique】や、【Archery】、【Spear Technique】、【Mount】、【Strengthened Attribute Values: Loyalty】等、-sama々なskill補正を受ける事が出来る。
このJobに就くには【Katana Technique】skillを4level以上で習得しており、更に主-kunに仕えていなければならない。
主-kunに仕えていない者でも、【ローニン】と呼ばれるJobに就く事が出来るようだ。
上位Jobに【Excelling Sword】が存在するが、Continent南部のSamurai達の憧れである【武士】に至った者は未だ存在しないそうだ。
・Skill explanation: Katana Technique
反りのある片刃の剣をContinent南部ではそう呼称される。基本は【Sword Technique】と似ているが、よりWeapon Equipmentを巧みに操る事が求められるskillの-samaだ。
因みにContinent南部ではHillwillowが残した「武士は刀の一振りで、Mountしている敵を乗騎ごと一刀Bisection出来る」という伝承を基に、乗騎(Tamerしたmonsters)ごと騎手をBisectionできる強度を持つGiantな剣が最もStandardな刀と定義されている。
何でもBlacksmith技術の関係で、それ以上細くすると刀身が耐えられないそうだ。
師Artisanが居たEarthでは斬馬刀と呼称されていた刀に近い。Arachneが振るうWeapon Equipmentとしては、そう大型では無いのだろうが……。
因みに、小型種のArachneやDark Elf、Goblin等が振るうための小型の刀も作られている。師Artisanによると、こちらの方が本来はStandardらしい。
・Monster explanation::Orc Worker
【Farming】や【Deforestation】、【Stonemason】等Production related skillを3level以上で習得しており、戦闘系skillのlevelが全て3未満のOrcが、100levelに到達するとRank upできるrace。
戦闘系skillに関して全く補正は無いが、Production related skillの獲得と成長に補正がかかる。また、【Mysterious Strength】skillのlevelが上がり易くなる。
Noble Orc Empire出身のOrc以外では確認されず、通常の野良OrcはまずこのraceにはRank upしないだろう。
Rank自体は4だが、戦闘系skillのlevelが低い為戦闘Abilityはあまり高くない。