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Chapter 133: Kurnelia姫の御成~りぃ~

 Marshlandsから南は、からりとした空気に赤い土の大地をした、Vandalieuの知識にあるAfrica Continentに似た地形のようだった。

 ただAfrica Continentの、それもtelevisionで見た程度のVandalieuの知識と似ている点があるだけで、実際はかなり異なっていた。


 check-sama-samaに頻繁に森と草原、Savanna地帯が入れ替わり、砂漠は無い。また、Marshlandsから流れる小川や左右のBoundary Mountain Rangeから流れ込む川が幾つかあり、乾いた大地では無い。

 それに今は夏だというのに、気温も湿度が高いMarshlandsよりも低いように感じられる。……実際にはEarthAfrica Continentも暑い地域だけでは無く、標高が高い地域はJapanよりずっと涼しいのだが、当然Vandalieuは知らない。


「拙者達はそれぞれ一つの都市を国としている。つまり、教えてもらった都市国という形式だな」

 Gizaniaによると小規模な村や集落、も存在せず、極一部の例外を除きNoble Orc Empireも含めて一つの大きな都市だけで国を形成しているそうだ。


 これは周囲全てmonstersが跋扈するDevil Nestsであるため、小規模なcommunityでは維持する事が出来ないためだ。

 実際、この辺りで出現したmonstersは殆どRank4。Talosheim周辺やMarshlandsから一つ上がっただけだが、Rank3でBrown Bear相当、Rank4でTyranosaurus相当だと考えればその危険度の違いは明らかだ。


 いくらArachneNoble Orcでも、そんな土地で非戦闘員を抱えて小さな集落を維持するのは-sama々な事情から採算が合わないのだろう。


『そう考えると、俺達はまだ恵まれていたわけか。一応滅ぼされる前は、cultivation villageも作ったしよ』

Rank4だと若いWarriorが命を落とす危険も増しますものね』

「儂らもDevil Nestsで暮らしていたが……ほぼ全てが戦闘要員みたいなものじゃったしな」

「それに周囲のmonstersの大半は若いWarriorよりweakか、二人以上でかかれば倒せる程度だった。こことは違う」


 BorkusPrincess LeviaZadirisVigaroが口々にそう言う。

「実を言うと、拙者も一人だけでは負傷していなくてもここまで戻って来る事は出来なかっただろう。群で襲い掛かって来るmonstersもいるから。これも皆のお蔭だ、改めて礼を言わせてほしい。

 ……それと、彼は大丈夫なのか? 朝方現れたLegion -donoから分離して以降、気分が悪そうだが」


 頭を上げたGizaniaが心配そうな視線を向ける先には、げっそりした-sama子のKurt Legston……Chezareの弟にしてTalosheimの副General(実質副Prime Minister)の姿が在った。


「大丈夫でしょう。薬は飲ませましたし、maybeすぐ良くなりますよ」

 何故Kurtがこの場に居るのかと言うと、LegionTeleportationVandalieuTalosheimに一度戻って事の次第を報告した際に、『では外交官にあたる者を派遣するべきでしょう』とChezareが言い出し、結果彼が派遣される事に成ったからだ。


 Legionの肉に埋もれてTeleportationする方法で。


 結果、Kurtは青い顔で口元を抑えて蹲っていた。

「蟲やら種やらをInfestさせられて、陛下に装備されて運ばれるよりはマシだと思ったが……かなり、来る」

 どうやらLegionに埋もれるのは、whole bodyを蟲に這い回られるよりもpsychological負荷を覚える経験らしい。Vandalieuは抱きしめられている間半ば埋もれているのと同じconditionだったが、特に気分が悪くなる事は無かったのだが。


「俺はcivil officialじゃないはずだが……兄上の方が向いてるんじゃないか? 陛下と実質Prime Ministerの兄上が、同時に国を留守にするわけにはいかないって事情は分かるが。

 ああ、帰る時は蟲をInfestする方にしてくれ。出来れば、自分の脚で帰りたいがRank4以上がうようよいる中突っ切るのは無理だ」

 そう言い終わると、吐き気止めの薬が効いて来たのかKurtは何とか立ち上がった。


『大丈夫かよ? 何なら寝ていても良いんだぜ』

「大丈夫じゃないが、寝ている訳にはいかないだろ。何時の間にか大きな話になっているし、交渉相手の規模もでかそうだしな」


 Borkusにそう答えながら、Kurtはまだ離れているのに見えるGizaniaの国、彼女達が奉じる神と同じnameの『Zanalpadna』に視線を向けた。


 周囲からmonstersを避けるために作られた高い、Talosheimの城壁と比べても倍以上高い城壁からZanalpadna国の規模を想定すると、Hartner Duchyに在った人口一万人のNiarkiを軽く上回る。

 流石に人口百万人のNinelandよりは小さいが、都市国としてはかなりの規模だ。


しかし、俺達が正面から近づいて大丈夫なのか?」

「俺達、外で待ってるか?」

 KurtGorbaが不安そうに言う。人の国なら国交が無くても外交使節団なら、一応身の安全は保障される。しかし ZanalpadnaTalosheimは、お互いに先日まで存在に気がついていなかった。


 しかも Gorba達黒fangs Knight団のOrcus達は黒い事を除けばOrcと見分けがつきづらい。body partの大きさはOrcusの方が通常のOrcよりも大きいが、それで区別してくれる保証も無い。


「大丈夫だ」

 しかしGizaniaは不安など無いと言わんばかりに断言した。

Vandalieu -dono、とりあえずこれを持って拙者と来てくれ」

 そして懐から、ツルツルとした光沢のある半透明なメダルのような物に白い艶やかな糸を通した首飾りを取り出すと、Vandalieuに手渡す。


「これは?」

「拙者のcompound eyesにあたる個所の抜け殻を削って作ったメダルに、拙者の糸から編んだ紐を通した首飾りだ。

 これは『親愛の首飾り』と呼ばれ、これを持つ者はArachne族、この場合拙者と親しい者だという証明だな。Basdiaにも同じ物を渡してある」

 Large-buildは糸を戦闘やTrapで迅速に、そして器用に扱う事が苦手らしいが、糸を出せない訳では無いらしい。


 そう言えば、Basdiaも何時の間にか同じものを首から下げている。どうやらGizaniaと彼女はただの友人以上に意気投合したらしい。


「では、ありがたく頂きます」

 そう言う事ならと、compound eyesの首飾りをするVandalieu

 そしてGizaniaの蜘蛛のlower bodyに乗ろうとして……胸の下に抱えられるようにして抱き上げられた。


「後ろだと拙者の上半身で隠れてしまうだろう。

 では行こう。皆、拙者に続いてくれ。Gorba -dono達は、念のためにWeapon Equipmentは下げて乗騎のmonstersも落ち着かせて、ゆっくり来てくれ。Borkus -donoBone Man -donoは……くれぐれも兜を外さないように」

 そう言って歩き出す後ろでは、若干の緊張感が漂っていた。


 やはり未知のraceの国を訪ねるのに、緊張せずにはいられないのだろうか。


「……もしかしVandalieu -sama、また何かしたんじゃないかしら?」

Privelの例があるからのぅ、あり得んとは言えんな。うっかり求愛の儀式やらなんやらをしたのかもしれん」

『そのPrivelの嬢-chanが騒ぐな。同じ八本脚だしよ』

「騒ぐどころか、Trainingmenuを増やしていたぞ。陛下がLegionで帰った時に、Arachneを助けた事は話していたから。

 せめて後々の外交やらなんやらの良い材料に成れば良いんだが」


 また増えたかな? そんな予感を覚えて囁き合うEleonoraZadirisBorkusKurt


「そうか? 我にはそうは見えない。あれは、兄や姉が弟やImoutoにする仕草だ。色気は感じない」

 Arc TyrantRank upしてnightの生活もより充実する-samaになったVigaroがそう断言する。Kurtは疑わしげな視線を向けるが、この中で最も異性と付き合った経験が豊かなVigaroの言葉に「そう言われればそうかな?」と顔を見合わせるZadirisEleonora


Gizaniaはまだchildを作った事が無いらしい。Large-buildは寿命が長いし、自分はimmatureだからまだ武芸の腕を磨きたいと母や姉の勧めを断っていたそうだ」

 Gizaniaと親しくなったBasdiaがそう補足する。


「そう、それなら――」

 心配ないわねと言いかけたEleonoraの声を遮って、Basdiaが続ける。

「だから、今回命を落としかけて、もっと真剣に自分の人生と向かい合うつもりらしい。Vanへの恩返しが終わったら」

「……Basdia、あなた、どちら側の意見を言っているの?」


「どっちに転んでもおかしくないと思っているぞ。実際、childを産み育てるのはどんなものなのかと相談されたからな」

 女Warrior Basdia、彼女は娘を育てる一児の母でもある。Talosheimには、同じGhoulMama友のBildeに預けたJadalが帰りを待っているのだった。


「まあ、確かに危ないところを助けられたのじゃから、そうなってもおかしくないか。寿命も長いそうじゃから、多少のageの差は問題に成らないじゃろうしな」

 そう「なるようにしかならんじゃろう」と言う、自分も初めて出会ったVandalieuに危ないところを助けられたZadiris


 Gizaniaから見るとVandalieuは白馬の王子-samaどころか、Centipedeから生えたPseudo--samaだった訳だが……衝撃的な出会いには違いない。


「まあ、そうね。考えてみれば、どっちに転んでも別にVandalieu -samaが良いなら良いのだし」

 結婚の概念自体が存在せず、今でも「子育てに協力する」程度の感覚のGhoulであるBasdiaZadiris、そしてVandalieuの僕である事を自認しているEleonora

 彼女達にとってこれは「どっちに転んでも別にいい」話であるらしい。


「……Alda believerが居たら頭のblood vesselが切れて死ぬんじゃないか?」

 Earl 家出身のNobleだからこそしっかりと節度ある結婚観を叩き込まれているKurtは、思わずぼやいた。

『いや、それよりKasimの奴が倒れるんじゃねぇかと心配だぜ。あいつ、かなり拗らせてるからよぉ』


「皆、度胸凄い」

「きっと、heartに鬣生えてる」

heartに生えるのは毛では? しかし Borkus -donoheartには生えていてもおかしくないか、鬣』

 一同の中で一番緊張しているのは、GorbaOrcusBone Manだったようだ。


 GorbaOrcusは気をつけないと、Arachne達が簒奪者Bugitas第二皇子率いるNoble Orc Empireと敵対している今、敵だと誤解されかねない。


 そしてBone Manは、Skeletonだと気がつかれると攻撃される可能性が高い。

 Arachne達はUndeadに寛容なVidaを頂点にした信仰をしているが、やはりVandalieu-samaTamer出来る訳では無い。国の外から高位のSkeletonが現れて近づいて来たら、万が一の可能性でしか成功しない話し合いを試みるよりも、国の防衛を優先するのが当然だ。


 ……Zombie Epic HeroBorkusも条件は同じはずなのだが、彼はfull faceの兜を被っているものの特に緊張した-sama子は無い。心lung機能と一緒に心配機能も止まったのだろうか?


 背後でそんな会話がされているとは気がつかず、Gizaniaは真っ直ぐ城壁に向かって近づいて行く。

 見るからに重々しい石を組み合わせた壁が近づいて来るが、VandalieuJapanの城塞の石垣を思わせる精緻な造りに見入っていた。


 Earthで生きていた時は画面越しにしか見た事が無く、特に美しいとも思わなかった。しかし、三度目の人生で改めてみると大きさが異なる石が隙間なく組み上げられて出来る地味でrusticなこの模-samaには、美しさがあると気がついたからだ。


 Talosheimの城壁はVandalieuGolemにして組み建てる為、一見すると一枚岩に見える。そのため模-samaが無いので特にそう感じた。


 しかし、別の事も気がついた。

「門どころか、出入り口も無いように見えますが?」

 近づいてくる城壁には、出入りできる門や戸が無いように見えた。もしかして、蜘蛛らしく壁をよじ登って出入りしているのだろうか?


camouflageしてあるからな。だがそろそろ出て来るはずだ」

 そうGizaniaが言い終わって数秒後、前触れも無く城壁の一部が内側から開いた。そしてそこから数人の武装したArachneと、初めて見るraceの女が一人出てくる。


「あの城壁は岩をArachneの糸で繋ぎ合わせて造られているのだ。見かけは同じだが、覗き窓や大小の門が隠されている」

 言われて見てみると、確かに開いた壁の部分は石材で出来ているのは外側の浅い部分だけのようだ。

 地面に穴を掘って巣を作る蜘蛛の中には、巣の蓋を地面そっくりに作って偽装する種類がいるが、それに似ているかもしれない。


Gizania -dono! 生きていたのかっ!」

「良く戻ってくれたわっ、貴女を連れて戻れなかった姫-samaの落ち込みようったら――」

「待てっ! 確かにGizaniaが生きて戻ったのは朗報でござるが、まず事情を聞かねば!」

 わらわらとGizaniaよりも二回り以上小さなArachneが駆け寄って来ようとするが、それを初めて見るraceの女が四本の腕で制する。


 そう、四本である。


 一見すると長身のHumanの女に見えるが、Human等と同じように五本の指がある腕の他に、exoskeletonに覆われ節があり手首から先に当たる部分がDeath Scytheのような鎌状に成っている腕が生えている。

 更に、背中からは一見畳んだマントのようだが実際には長いfeatherが生えており、足も膝から下が虫の物に成っている。


 蟷螂と女を混ぜたような、若しくは擬人化した蟷螂のような姿。Amid EmpirecertainlyOrbaum Elective Kingdomrecordにも、こんなracemonstersの姿は残っていない。

 しかし Vandalieu達はGizaniaから説明を受けて知っていた。


 Arachneと今は同じmonsters……神をrootsに持つVida's New RacesEmpusaだ。


 その昔、『甲殻のEvil God (M)』ザナルと『compound eyesEvil God (P)』パドナという二柱の神が、『Evil Dragon God of Five SinsFidirgや『Evil God of Slime and TentaclesMerrebeveilと共にChampion Zakkartの誘いに乗ってDemon King Armyから離反した。

 だがザナルとパドナはその後の戦いでDemon King Guduranisの攻撃を受け、再生不可能な重傷を負ってしまう。


 originallyお互いにお互いを強く執着していた二柱の神は、その重傷を合体Fusionして一柱の神と成る事で乗り越えた。


 以後は『Evil god of Carapaces and Compound EyesZanalpadnaと名乗った。しかしoriginally別々の神が一つに成ったせいか、新raceを誕生させるためにVidaに求められた時産まれたのは、Arachneの始祖とEmpusaの始祖の双子だった。

 一race創るつもりが二race産まれたと、VidaZanalpadnaはとても喜んだらしい。


 そして十万年前のVidaAldaの戦いを経て今に至る訳だが、Empusaの存在が残っていないのは、恐らく Bahn Gaia continentEmpusaBoundary Mountain Range以外では何万年も前に絶滅したか、他raceの目の無い場所に逃げ延びたからだろう。


 Ghoulと違いmonsters扱いされている訳でも無く、二百年前のadventurerであるBorkusや『Divine Spear of Ice』のMikhailcertainly、一万年前にVampire化したBellmondも存在を知らなかったのだ。唯一、Knochen砦に詰めている三万年程生きていたIslaが、熟考の末にそれらしいmonstersが出てくる昔話を聞いた事があると思い出したくらいだ。


 恐らくGhoul-samamonstersとして扱われ、遥か昔に絶滅してしまったのだろう。


 それを聞いた時Gizaniaは「やはり外は恐ろしいworldなのだな」と戦慄していた。


Myuze -dono、彼女等は怪しいものでは無い」

「別に怪しんでいる訳では無いでござる。Gizania -donoが抱いているのはDhampirで、しかも首から下げているのは親愛の首飾りでござろう。それに、後ろのGhoulの方も同じ物を持っているでござるな。

 ただ、どのような事情か分からぬままでは通せないのでござるよ」


 釣り目がちな目つきで、髪を上の方で纏めてponyテールにしたMyuzeと呼ばれたEmpusaは、どうやらこの門の警備隊の隊長らしい。


certainly事情は説明する。ただ、信じがたい事が多いが最後まで聞いてほしい」

「はっはっは、某はこのお役目について数十年になる。驚く事はそう無いでござるよ」

 見た目はきつそうだが、Myuzeは気さくな性格の持ち主らしい。しかしGizaniaが事情とこれまでの経緯を話しだすと、だんだん顔つきが変わって行った。


「な、何とっ……! そんな事がっ! しかし、そんなBAKANA事がっ……でも事実某の前にbody partから蟲や植物を出し入れしているDhampirがっ!」

 百面相conditionMyuzeの前には、VandalieuGizaniaの話した事が事実である証明に、【Insect Binding Technique】や【Plant Binding Technique】でPainEisenの枝を出し入れしていた。


服の間からファーwormPainの頭やEisenの枝が「キチキチ」「ぎしぎし」と出入りする-sama子は、Myuzeに疑う余地を与えなかったようだ。


「あの子はZanalpadna’s Divine Blessingを得ているのでもないのに、【Spider Tamer】なの!?」

「待てっ、【Spider Tamer】や【Mantis Tamer】がTamerできるのは蜘蛛や蟷螂のmonstersだけだ! worm系のmonstersTamer出来ないはず。そもそも、body partから出し入れできる訳がない!」


 Myuze以外にもArachne達が驚いている。彼女達の言葉から、Boundary Mountain Range外ではUndeadと同じくTamerできないmonstersとされている蟲型のmonstersも、ArachneEmpusaZanalpadna’s Divine Blessingを得た上に、専門のTamerJobに就けば、一部はTamer出来るようだ。


 これは恐らく、ArachneEmpusaの片親であるZanalpadnaが蟲系のmonstersを創り出したGodsの中に含まれているからだろう。

 Boundary Mountain Range外ではEvil God (M)Evil God (P) 's Divine Protectionや、それによって就く事が出来るJobの検証は行われていないらしい。もしかしたら、monstersの特殊Abilityとして扱われているのかもしれない。


「これは……某の手には余る。Queen陛下の判断を仰ぐので、今しばらく待っていて欲しいでござる」

「はい、分かりました」

 事情を信じてもらえても、結局待たされることに成るだろうと思っていたVandalieu達は、特に不満を覚えずに待つ事にした。


 いきなり常識の埒外が未知の国の王を名乗り、貴国の援軍にやって来ましたと言い出したのだ。Gizaniaが居たとしても、話を信じてくれただけで大成功だろう。

「うむ、では誰かQueen陛下に報告を。後、御客人に飲み物と軽食の準備を」

 Myuzeの言葉にArachneが二人身を翻して門の中に消えていく。一人が報告に、もう一人が飲み物と軽食を準備しに行ったらしい。


「待っている間に少しお話を聞いても良いですか?」

certainlyでござるよ、Shrine Maiden -dono

 また若干の違和感を覚えるVandalieuだが、それより気になる事があったので深く考えずそのまま流してしまう。


Myuze -sanはもしかして【ninja】というJobに就いているのですか?」

 Myuzeの格好は特徴的な鎌腕やfeatherに目が行きがちだが、着ているのは丈が短いが着物を連想させる物だった。鎖帷子っぽい網目模-samaの肌着(?)も少し見えるし、腿には棒手裏剣っぽい飛び道具を保持するためのbeltをしている。

 なのでそう思って質問したのだが、Myuzeは首を横に振った。


「違うでござるよ。某のようなimmature者は、TrueNinja】、そして【endure】には程遠いでござる」

Vandalieu -donoMyuze -dono達は【Kunoichi】だ」

 どうやら、このworldJob systemでは【Ninja】と【Kunoichi】には明確な違いがあるらしい。


 二人の話によると【Kunoichi】は【Samurai】と同じく『Mother God of the Earth and CraftsmanshipBotinが選んだChampionHillwillowが残した資料に在ったNinjaに関する記述から再現されたJobであるらしい。

 ただ、Hillwillowが残した資料に在ったNinjaの情報は、武士以上に現実のNinjaとはかけ離れていたようだ。


True Ninja-sama々な幻のmagicや、【妖術】と呼ばれる術の使い手で、水の上を走りフロシキと呼ばれる布のmagic itemで空を飛び、敵に囲まれれば人を一飲みにする大蛙にTransformしたと伝えられているでござる。

 拙者などとてもとても……」

「今まで【武士】と同じく【Ninja】に至った者は存在しないのだ。Myuze -donoは今までで最も【Ninja】に近いとまで言われているのだが……やはり【妖術】と大蛙Transformの謎が解けなければ難しいのか」


 もしかしたらChampion Hillwillowは最初から武士やNinjaに関して、真実を伝えるつもりは無かったのかもしれない。彼は単に以前から時代劇や侍やNinjaっぽいaction heroが活躍するエンターテイメント作品が大好きなだけだったのかもしれない。


 それについて書き残したのも、Lambdaが平和に成ったらそれを模した劇を大衆の娯楽に取り入れようとしたのかもしれない。


 それがanother worldの資料として後世に伝わってしまうとは……これが歴史というものか。


「……うちの国にBlack Goblinと言うraceが居まして、彼等と彼等の師ArtisanGiant race Zombieは『ninja』のnameraceRank upしましたけど」

「本当でござるか、Shrine Maiden -dono! やはり大蛙にTransformするのでござるか!?」

「【武士】っ、【武士】はどうなんだ!?」


 教えてくれたお礼にBragaBlack Goblin ninjaの事を教えると、二人とも興奮し出してしまった。

 その時二人の声以外にも削岩機で岩を削るような音と、誰かの叫び声が門の向こうから近づいて来るのにVandalieuは気がついた。


Gizaniaちゃぁぁぁん!」

「姫っ! お鎮まり下さいっ!」

「姫が乱心されたわっ! 止めてっ! 止めるのよ!」


 Vandalieuに一瞬遅れて気がついたGizaniaMyuzeがはっとして門の向こうを見る。丁度その時、飛び出すようにOhime-samaが現れた。


Gizania -chanっ! 良かった!」

 白い精緻な刺繍が施されたdressに、桃色の長いpinkブロンドをdrillを連想させる縦ロールにした、二十age前後の可憐な容姿のOhime-samaだ。瞳を涙で濡らした彼女は、dressと同じ色の白い蜘蛛の八本脚で力強く門を蹴ると、Gizaniaに飛びかかった。


Kurnelia姫っ!?」

MyuzeVanを持って逃げろ!」

「承知!」

 Basdiaから咄嗟の指示が飛び、MyuzeGizaniaから捥ぎ取るようにしてVandalieuを奪って退避する。

 そしてKurnelia姫らしいfemaleGizaniaに飛び付いた。


「うぐっ!」

 咄嗟に彼女を抱き止めるが、思わず呻き声を漏らすGizania。当然だろう、飛び込んできたのは蜘蛛のlower bodyを持つArachneの姫だ。大きさはGizaniaより大分小さいが、それでも体重は百キロを優に超える。それがAccelerationを付けて飛び込んできたのだから、その衝撃は相撲取りのぶちかましと同じか、それ以上だ。


「良かったぁぁっ! もう会えないかと思ったんだからね! お姉-chanより先に逝くImoutoがいますか!」

「い、いや、ですが、あの時はまだ傷が浅かった拙者が囮に成るのが……」

「生きててくれて良かったよぉぉっ! お姉-chanっ、こんな事なら強引にでも連れて行かなければよかったって何度も後悔したんだからねぇ!」


 感動の再会である。ただ、常人Sizeで巻き込まれるとboneが数本折られかねないが。


「……お姉-chan?」

「おや、聞いていなかったのでござるか? Gizania -donoKurnelia姫のImoutoでござるよ」

「聞いていなかったな。話していて、Gizaniaは姫をまるで姉のように慕っているのだなと思っていたが」

 Myuzeが飛びのいた先に居たBasdiaが答える。すると「確かに、Gizania -donoなら言い忘れてもおかしくないでござるな」と頷いた。


Large-buildは中型種よりも寿命が長く力も強いのでござるが、それ故に国と民を守るのが役割とされるので、政治や祭祀には関わらないのでござるよ」

 どうやら、GizaniaKurnelia姫のImoutoである事を黙っていたのは、Zanalpadnaではそれが常識だったので、態々話そうと思わなかったからのようだ。


 GizaniaPrincess Knightならぬ姫Samuraiだったらしい。




Name: Gizania

Age: 35age

Title: none

Rank:

Race: Arachne Samurai(Large-build)

Level: 87

Job: Samurai

Job Level: 90

Job History: Apprentice WarriorWarriorSwordsman


Passive skills

Night Vision

Mysterious Strength:3Lv

Enhanced Agility:5Lv

Katana weapon equipped, then Attack Power Enhanced (1) : Small

Enhanced Body Part (Carapace, compound eyes, body fur):3Lv

Strengthened Attribute Values: Loyalty:3Lv


Active skills

Katana Technique:5Lv

Armor Technique:5Lv

Unarmed Fighting Technique:3Lv

High-Speed Running:3Lv

-Surpass Limits-:5Lv




Monster explanation:Arachne


 以下の情報はBoundary Mountain Range外のAdventurer’s GuildMage guildでの定説である。



 蜘蛛のlower bodyHumanfemaleに似た上半身を持つVida's New Racesの一種。


 蜘蛛に似た性質で、Deadly Poisonを持ち吐いた糸でTrapを張り、同族でもCannibalismをする冷酷で凶暴なrace

 Humanを捕えると女ならそのまま食らい、男ならば子孫を作るために利用した後自分で喰うか、卵から孵ったchild達に食べさせるために暫く生かしておく。


 昔は上記のような誤った情報が主流だったが、現在では正しい情報がAdventurer’s GuildMage guildで共有されている。ただ、閉鎖的な村や集落などでは今でも間違った認識を信じられている場合がある。


 実際にはArachneは中型種、小型種、Large-build、水棲種の四種に分かれ、蜘蛛のlower bodyを持つfemaleしか存在しない単性raceである事は共通しているが、それぞれに生態が異なる。


 中型種はArachneの中で最も多く、力と俊敏さに優れ、lower bodyから糸を出して住処やTrapを作る。Venom glandsを持ちfangsで噛みついた相手に毒を注入する事が出来るが、その毒はHuman Sizeの生き物には殆ど効果を表さない程weak

 Mageの割合はHuman以上Elf以下。

 寿命は三百年程。素のRankは3。


 小型種は二番目に多い種。大人に成っても上半身の容姿は幼く、lower bodyも小さいままなので中型種やLarge-buildchildと見間違う事も多い。中型種以上に糸を多彩な方法で使いこなし、身も軽い。またArachneの中では最も毒が強く、注入されればHumanでも【Poison Resistanceskillを持っていなければ動けなくなる。

 またmagicを習得している者は多いが、簡単な術しか使え無いようだ。

 陽気な性格の者が多く、寿命は二百年程で、素のRankは2。


 Large-buildは数が少なく、小さな集落の場合は居ない事もある。馬力や耐久力、力に優れる。しかし糸は出せるが扱うのは苦手で、Venom glandsから分泌する毒も退化していて殆ど効果は無い。また、Large-buildは殆どの個体がmagicを苦手としている。


 appearanceArachneの中で最も迫力があるが、殆どの個体が大人しいのんびりとした性格の持ち主である。ただ、極少数例外が存在する。

 寿命は五百年程で、素のRankは4。


 水棲種は最も数が少なく、一部では絶滅説も囁かれている。Arachneの中で唯一underwaterOn Waterに巣()を作って生活している。Merfolkのようなgillsは無くlung呼吸だが、糸で空気が詰まった袋を作ってunderwaterに設置して呼吸を確保している。

 目撃情報が少ないためaccurateな情報では無いが、寿命やRankは中型種と同じだと思われる。また、一説には単にOn Water生活をしている中型種を誤解しただけで、水棲種は実際には存在しないとも言われている。


 どの種も共通してlower bodyの甲殻は鎧のように強固で、【Armor Technique】をActivateする事が出来る。更に足の先端にはclawsが生えており、岩や木を走るのと同じ速さで駆け登る事が可能。更にWeapon Equipmentとして使えば【Unarmed Fighting Techniqueskillの効果が受けられる。

 また足の先端程度なら、一度脱皮すれば切断されても元通りに成るようだ。


 唯一の弱点は甲殻が柔らかいlower bodyの蜘蛛の腹部だが、Large-buildの場合は見かけよりも硬いfurに護られている。また、傷つける事が出来ても出blood多量以外では致命傷に成らない。


 年に一度脱皮し、小型種は十回、中型種は十五、Large-buildは二十回脱皮すると大人と見なされる。

 脱皮している間とした直後は無防備なconditionとなるため、Arachneは余程信頼している者しか立ち合わせない。


 基本的に人や同族を食料にする事は無く、仲間意識が強く社会性も高い。配偶者と認めたmaleも仲間と見なし、大切に扱われる。

 卵生であり、配偶者がいて、更にchildを育てていない場合は約十年に一度の頻度で数個の卵を産み育てる。


 Rank upするとArachne SoldierArachne scoutArachne Knight等に成る。ただlegendでは条件を満たした一部の個体は、通常のArachneRank upしてなるraceとは別のraceに至るとされている。


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