「な、何だこいつは!? Vidaに与する神を信仰する奴らがTamerしたmonstersか!?」
「どちらが善か悪かはさて置いて、どちらを倒すべきかは分かりました」
動揺してそう口走るNoble Orcに、Vandalieuはとりあえず倒すべき相手はやはりNoble Orcとその配下のOrcだと理解した。
Princess Levia達を隠して手の内を晒さずに、しかし一人だと皆を心配させてしまうのでGiantなCentipedeのmonstersであるPeteを生やして来た事で、相手の動揺を誘う事が出来たようだ。
「ギシャァ!」
因みに、VandalieuはただPeteの腹にくっついている訳では無い。accurateには、【Insect Binding Technique】で自分の背中からPeteのwhole bodyを生やしているのである。
「こ、殺せブギ!」
Orc語(?)が混じった命令を手下のOrc達に出すNoble Orcだが、Orc達もPeteの姿に動揺している。それにこの場に居るのは急いで掻き集めた者達だ。精鋭と呼ばれる基準からは、練度もLoyalty心も数段劣る。
見るからに強そうなPete相手に腰が引けるのも無理は無い。Weapon Equipmentを構えて半円形の陣形でPeteを囲むが、躊躇わずにSlashかかる者はいなかった。
しかし Peteは躊躇わずに突っ込んだ。
「ギシャアアアア!」
「ブゲギィ!?」
四本もの脚を失って動けないだろうGizaniaとOrc達との間を、黒光りする甲殻で覆われたbody partで分断し、弓を持っているOrcを角から放った雷撃で撃つ。
肉の焦げる旨そうな匂いに涎を垂らすPete。しかし、仲間が攻撃された事で逆にOrc達の闘争Instinctに火がついたようだ。
次々に雄叫びを上げ重量ClassのWeapon Equipmentを振り上げ、Peteに襲い掛かった。
しかし、Peteの甲殻のDefense Powerは素のconditionでもwhole body甲冑を纏ったKnightを上回る。しかも今は【Armor Technique】skillのMartial Arts、【岩体】をActivateしているので、Orc達の拙い【Axe Technique】や【Club Technique】では傷一つつかない。
それどころか、角から流れる電撃で感電する始末だ。
「ブギッギィ!」
しかし、Noble Orcは真紅の液体がPeteから迸るのを見て歓声を上げた。
『ブルルルル!!』
だがそれはPeteが流したbloodでは無く、Vandalieuから出たDeep Blood SlimeにRank upしたKühlである。
『ブグルルル!』
「ギシャァ……」
感電したらしいKühlはPeteに抗議しながら、手近なOrcに襲い掛かる。
「ブギィッ!」
絶叫を上げながらKühlに生きたまま溶かされ喰われていくOrcを見て、手下共では幾ら数で勝っていても相手に成らないと気がついたNoble Orcは、愛用の大剣を携えて戦線に加わった。
流石は上位種というだけあって、その身のこなしは手下のOrcとは比べ物にならない。
「ブゴォォォ!」
Kühlがtentacle状に伸ばしたbody partを回避し、Peteに向かって【Triple Thrust】よりも上位の【Sword Technique】のMartial Arts、【百烈thrust】を放つ。
まるで削岩機で岩を削るような音が響き、Noble Orcが放ったthrustの殆どが甲殻に浅い傷をつけるだけで弾かれる。しかし、幾つかの刺突は甲殻の隙間に潜り込みPeteの肉に食い込む事に成功した。
「ギシャァァ!」
痛みよりも怒りで咆哮を上げるPete。しかし、初めてDamageを与えられた事で「やれる!」と思ったのか、Noble Orcは愛剣を引き、再びMartial Artsを放とうとした。
だがその剣に木の枝のような物が絡みついていた。
「ブゴッ!?」
それは【Plant Binding Technique】でVandalieuが腕から生やしたEisenの枝だった。細い見た目に関わらず強靭なそれは、Noble Orcの大剣を掴んで放さない。
「ギシャァッ!」
その隙を見逃さず、body partをくねらせたPeteの角がNoble Orcを貫く。
「ブギャアアアアアアッ!」
体内を貫通した角から更に電撃を流され、Noble Orcが断末魔の絶叫を上げる。
その巻き添えでやや感電しながら、Vandalieuは思った。こんなものかと。
(maybe、このNoble OrcはBugoganと同じくらいの強さだ。【Appraisal】の結果も、Bugoganと同じRank7のNoble Orc Leaderと出るし)
【Sword Technique】の腕は少し劣るかもしれないが、装備は大剣以外Bugoganよりも良さそうだし、総合的には互角程度だろう。
Mirg Shield Nationに存在した、Zadiris達Ghoulの生まれ故郷であり、Vandalieuにとっても第二の故郷だった密林Devil Nests。そのCenterで三百匹のOrcの軍団にReignしていたNoble Orc Bugogan。
それをPeteが軽傷を負った程度で倒してしまえそうなのは、若干驚きを覚える。Bugoganと戦った時は、思いつく限りの搦め手を使ってもダメで、Barrierも破られるのではないかと危機感を覚えさせられ、命懸けのtacticsで重傷を負いながらも、やっと倒す事が出来た強敵である。
それと同格の筈のNoble Orcが、香ばしい匂いをさせながら痙攣している。
Vandalieu自身は殆ど何もしていないのに。
「俺達も強くなったということか」
だが考えてみれば、これは当然の結果だった。Bugoganとの戦いから六年以上経っている。その間VandalieuはJobに就き、【Strengthen Follower】skillはSuperior Skillの【Guidance: Demon Path】へと変化した。Pete、Kühl、Eisenの三名でBugoganと同格のNoble Orcに勝てたことに、何の不思議も無い。
「ぶぎぃぃぃっ!」
「ホゴゲっ!」
「ぶぎゃあああああ!」
そもそも、以前はNoble Orc Empireで焼き肉食べ放題を企んでいたではないか。
(やはり、人生で初めて戦いで重傷を負わされた敵ですからねー。俺の中で大きな存在だったという事ですか)
自分の動揺をそう分析して納得するVandalieu。因みに、その間Noble Orcの手下のOrc達はCommanderがやられたのを見て逃げ出そうとしたが、Peteが横薙ぎに振ったlower bodyに跳ね飛ばされたり、Eisenが伸ばした枝に巻きつかれて首を圧し折られたり、Kühlに包み込まれたりして倒されていった。
ただでさえ練度で劣るのにCoordinationまで欠いては、ただの大きいだけのザコなので仕方ないだろう。
その光景を見守るしかないGizaniaは、安堵と諦めが込められた息を吐き、笑みを浮かべた。
「これで、Kurnelia姫の追っ手は全て倒れた。一先ずは安心だ。姫、Budarion皇子とどうかお幸せに……偉大なるVidaよ、『Evil god of Carapaces and Compound Eyes』Zanalpadnaよ、皆を守りたまえ」
瞼を閉じてそう短く祈ると、Giant剣を地面にthrust刺し、柄から手を離した。
そして全てのOrcが動かなくなり、VandalieuがSelf分析を終え、PeteがGizaniaに向き直った。
その腹にくっついたVandalieuと、Gizaniaの視線があう。
「大丈夫、では無さそうですね。とりあえず傷の手当てを――」
「偶然とはいえ、助勢に感謝する。大Centipede -dono。これも拙者のPatron God、Zanalpadnaの思し召しか」
声を遮られたVandalieuは、Gizaniaが述べる感謝の言葉を「礼儀正しい人だな」と好印象を抱きつつ、「でも致命傷じゃなくても重傷なのだから早く治療させて欲しい」と思った。
「いえいえ、人として当然の事をしたま――」
「せめてもの礼として、拙者を喰らいExperience Pointにするといい。言葉が通じるか分からないが……さぁっ! 一思いに!」
そしてギュッと目を瞑るGizania。
「……えぇー?」
何故ここで「くっ、殺せ!」されるのか分からないVandalieuは大いに困惑した。そして、ふと気がついた。
「もしかして、俺の事をPeteの一部だと思っていませんか?」
そう言いながらPeteの腹部から離れて地面に立つと、目を開けたGizaniaが唖然とした-sama子で言った。
「えっ? ち、違うの?」
「ダメだねぇ」
『ぶるるぅ!』
「ぎしゃぁ……」
Orcとの戦いの間、Peteが角から発した電撃の巻き添えで感電したKühlとEisenが、彼にお説教をしている。
その近くでGizaniaはVandalieuからの治療を受けていた。
「本当にすまない。てっきり、Manticore等のmonstersがHumanの言葉に似た声で鳴くのと同じで、人をTrapに誘うためのPseudo-餌的な器官かと……」
どうやら彼女は、Vandalieuを提灯アンコウの提灯の部分だと思い込んでいたらしい。
「いえいえ、俺も誤解させるような形で現れましたから気にしないでください」
Vandalieuはそう思われても仕方ないと気分を切り替えている。【Spirit Form Transformation】し同化して自身の【Rapid Healing】skillをGizaniaに適用しつつ、Blood potionも使って回復を図る。
『三本目の脚発見。後一本!』
『草の根を分けても探し出しますよー』
『見つけましたぜ、旦那ぁ!』
そして【Out-of-body Experience】後分裂したCloneとKimberlyが切断されたGizaniaの右側の脚を捜索&回収。それを【Surgery】skillで接合する。伸ばしたtongueから薬を分泌してDisinfectし、糸の包帯で接合部分を包む。
「ところで、痛みは大丈夫ですか?」
「ああ、問題無いようだ。貴-donoのmagicのお蔭で、少し痒いぐらいだよ。しかし断たれた脚が繋がるとは……どれくらいで動かせるようになる?」
Vandalieuの吐いた糸で接合された右側の脚を嬉しそうに見るGizania。彼女の脚に糸を巻きながらVandalieuは答えた。
「accurateには分りません。Arachneの人を治すのは初めてなので……でもmaybe、動かすだけなら数時間から半日ぐらいでしょうか」
「十分だ。普通なら年に一回の脱皮を五回程待たなければ元の長さに生えそろわない」
どうやらArachne族は年に一回脱皮して、その際脚が切断されていると徐々に生えて来るらしい。
「脚だけではない。あのままならもしこの場を生き延びて自力で国に帰る事が出来ても、拙者はこの腕を失っていただろう」
酷く折られていたGizaniaのLeft Armは完治しており、元通り動かせるようになっていた。Humanのfemaleに似た上半身は脱皮しないため、二本の腕は八本の脚と違って喪ったら再び生えて来る事は無い。
そして剣を振り戦うために必要な腕を失う事は、Gizaniaにとって死に等しいものだった。
certainly Vandalieuにとっても、彼女の腕が治ったのは喜ばしい事である。
「それは何よりです。貴女の腕のような美しい腕が無くなるのは、悲しいですから」
Gizaniaの腕は、Giantな剣を操るために逞しいmuscleがついていた。敵以外のmuscleは全て美しい。失われるのは、耐えがたい損失である。
「美しい、のか?」
「はい」
「そうか……母以外にそう言われた事が無いので分からないけど嬉しいよ」
まんざらでは無さそうな-sama子の彼女に、Vandalieuは後でポーズを取ってもらおうと思った。
それとVandalieuは、Gizaniaは腕以外も美しいと思っている。
確かに、タランチュラに似たモフモフしていそうな毛が生えた二トントラック程の大きさをした蜘蛛のlower bodyは、普通の人なら怖がるかもしれない。
上半身も形はfemaleに似ているが、立ち上がれば頭頂は地面から三meterを超える高さになる。それに合わせて大柄で、しかも明らかに鍛え抜かれたWarriorのBodyだ。
しかし、大CentipedeのPeteやCemetery Beeに親しむVandalieuにとってはhorrorや嫌悪の対象にはならない。
寧ろ、muscle以外にもlower bodyの毛をモフモフしてみたいとか、額のcompound eyesが宝石みたいで綺麗だなとか、綺麗な白い肌だなとか、左右一番前の脚は半ばまでHumanの脚に似ているなとか、そんな事を考えていた。
(あ、そう言えば八本脚だ。……Privelが怒るかな? いや、ただの人助けを兼ねた情報収集だし、大丈夫)
tentacleとArthropod Legsはappearanceがかなり異なるが……数は同じである。
「改めて礼を。拙者はGizania。Arachne族のSamuraiの一人だ。それで貴-donoは何者なのか、教えて欲しい。恩人に対する態度ではないのは分っているが……」
命の恩人で、何故か友好的なcharisma性(【Demon Path Enticement】と【Guidance: Demon Path】skill、【Insect User】Jobの効果)を感じるが、Vandalieuはそれで気にせずにいられる程普通の存在では無かった。
「良いですよ。Kimberly、俺が彼女に説明をしている間、皆をKnochen砦から連れて来てください」
「砦? もしや、あのboneの砦から来たのか!?」
「それも含めて説明しますね」
『旦那ぁ、時間をかけてゆっくり連れてきますかい? 三十分か、一時間ぐらい』
「気にせず速く連れて来てください」
『へぇ~い』
VandalieuからReincarnator関連の事を除いて、現在のTalosheimやMarshlandsを越えて来た目的を聞いたGizaniaは只管驚いていた。
「Giant raceの国の滅亡と復興に、Mountain Range外部との行き来が可能に成り、移住者まで……まさかMarshlandsから向こうがそんな事になっていたとは夢にも思わなかった」
「俺達も同じ気持ちですね」
そしてGizaniaからMarshlandsから南で何が起きているかを訊かされたVandalieuと、丁度その頃に合流したEleonoraやVigaro達が覚えた驚きも大きかった。
十万年前、VidaとAldaの戦争の結果敗北してGoddessやそれぞれの神と共に落ち延びたArachneやNoble Orcは、Marshlandsから南の土地でraceごとに集落を形成して生き延びていた。
Goddess Vidaは眠りにつき、生き延びたPure-breed Vampire達はGoddessの寝所を守るための番人と成り、Arachneを含めた各raceのGodsも傷つき失った力を取り戻すために数万年に及ぶ長い休眠を必要とした。
そして残ったArachneやNoble Orc達は助け合ってその黎明期を耐えた。
originallyはVidaの下で戦った仲間だった事で、寿命や生態が異なるraceながら助け合って最初の数万年は上手くやっていたらしい。
LizardmanとGiant raceの-samaに、生存域や好む環境が異なっていた事もplusに働いたようだ。
しかし数万年経つうちに各raceの集落では人口が増えてdevelopmentし、Godsは傷が浅い者や力の強い者から目覚め、黎明期は過ぎ去った。
そして余裕が出来た事で、race間の利害対立が発生する-samaになり、小競り合いが起こるようになった。
戦争にdevelopmentする事は無かったが、それはその兆候がある度に『Evil god of Carapaces and Compound Eyes』Zanalpadnaを含めたGodsがOracleを下す等して仲裁をしていたからに過ぎない。
だがこのままでは遠からず、Continent南部ではVidaに従う者達同士の戦争が勃発してしまう。そんな時、一人の賢帝が歴史に現れた。
「それを鎮め、Continent南部に平和をもたらしたのが時のNoble Orc Ark King、ブーギ帝だ」
ブーギ帝はVidaと共に眠りについているPure-breed Vampireを除けば当時最強の存在だった。やろうと思えば、彼は武力でNoble Orcを頂点とした一大Empireを築く事が出来ただろう。
しかしブーギ帝はそれをせず、各race間の問題を話し合いで以って解決したのである。
『我々は敵同士では無い、皆brothersではないか。お互いに和を重んじ、何時か来る暴虐の神Aldaとその走狗との戦いに備えようではないか』
そう訴えたのだと歴史には伝わっている。
つまり、外部に敵を作る事により内部の結束を強めたのだ。実際に暴虐の神と呼ばれた『God of Law and Life』Aldaは彼等にとって敵以外の何者でもないので、accurateには外部に敵がいると思い出させたと評するべきか。
そしてブーギ帝はNoble Orc Empireを中心にした、各raceが協力し助け合う共和制を築き上げた。
結局はNoble Orcが主導的な位置に在ったが、それは各raceの中でもNoble Orcが最も武力に優れていたから、当然の成り行きだった。
そしてその共和制は数か月前まで上手く機能していた。それはブーギ帝亡き後も、歴代のNoble OrcのEmperor達が賢く公平に、和を維持する事に専念したからだ。
だが先帝の第二子、Bugitas皇子はそれに不満を覚えた。
「奴が何を考えているのかは、拙者は知らない。だが先帝のフゴフ-samaが没すると、Bugitasは『Ravovifard』という今まで聞いた事も無い神's Divine Protectionを得てCoup d'étatを起こし、次のEmperorと成る筈だったBudarion皇子と忠臣達を追い落としてしまったのだ」
敗北したものの何とか逃げ延びたBudarion皇子は婚約者であるKurnelia姫がいるArachne族を頼り、匿われている。
Empireを乗っ取ったBugitasは兄の抹殺とブーギ帝が築いた共和制を破壊し、未知のEvil God (M) Ravovifardを奉じる独裁国家にするための戦争を仕掛けた。
Arachne族はBudarion皇子を支持するraceと共にEmpireと戦っているが、やはり旗色が悪い。
そんな時、Arachne族から見て北にあるMarshlandsの外延部に前触れも無く砦が出現したとの報告が入る。そこで初めてLizardmanの存在を思い出した(没交渉だった結果、忘れ去られていたらしい)Arachne族は、戦況を打破するためにLizardmanと同盟を結ぶべく、Kurnelia姫を中心とした使節団を派遣したのだ。
「ちょっと、何故姫を使節団の中心に据えるの? 重要人物じゃない」
そうEleonoraが口を挟むと、Gizaniaは「仕方が無かったのだ」と答えた。
「姫は【糸Telepathy】と言うUnique skillを持っている。自分で出した糸と繋がった相手に、言語に関わらず意思疎通が可能になるskillで、それでLizardmanと交渉する予定だったのだ」
「……糸電話みたいなnameのskillですね」
「しかしその途中拙者を含めた使節団はBugitasの手の者に襲撃を受け、私は姫を逃がすために一族に伝わるOrcを強制的に発情させる秘薬を自分に振りかけ、奴らをここまで惹き付けて……そして危ないところをVandalieu -donoに助けられたのだ。
このご恩は生涯忘れない。必ず報いてみせよう」
「先ほども言いましたが、人として、『Vida's Miko』として当然の事をしただけです。気にしないでください」
そう言いながら頭を下げるGizaniaに、Vandalieuはそう答えた。答えたが、実際は彼女の恩返しに大いに期待していた。
(想定していたより大きな話に成りそうですし、Arachne族との橋渡しをしてもらえれば他のBudarion皇子派とも話し合えそうですし)
Intuitionに従って良かったと、Vandalieuは思った。思えば、あの胸騒ぎは『Vida's Miko』の隠れたsecondary name効果か、何かだったのかもしれない。
「だが……蟲のmonstersにUndeadにGhoulにVampire? それに見た事も無いOrc。それも、全員が拙者より腕が数段上だと見受けた。そんな者達を率いるDhampir……凄まじいものだな、『VidaのShrine Maiden』とは」
「ん?」
EleonoraやVigaro、Gorba達の強さを感じ取ったGizaniaが感心した-sama子でそう言うが、Vandalieuは何か違和感を覚えた。
「フゴ、King凄い! ところで俺、ムラムラしてきた!」
「ブフーッ! ブフゥー!」
「【Deodorization】!」
しかし、違和感の正体に気がつく前にGorba達Orcusの鼻息とGizaniaを見る目が危険に成って来たので、それどころでは無くなってしまった。
「す、すまない。まだ秘薬の残り香が纏わりついていたようだ」
どうやらOrcを強制発情させる秘薬は、Orcusにも有効であるらしい。
「ブフ? 落ち着いた。俺、今Sage」
『ところで、そんなにピンチなのに何であなた達の神は出てこないの? 数万年前は何回か出て来て仲裁してくれたんでしょ?』
落ち着いた眼差しを遠くに向けるGorbaの横でOrbiaが発した質問が、Vandalieuの意識を違和感から完全に逸らしてしまった。
「それは、分からない。何か事情があるのか、Ravovifardが何かしたのか、拙者には考えの及ばない深い考えがあるのかもしれない」
「ふむ、そんなものかも。しかし、それよりもNoble Orcの賢帝……」
「意外、なのか? 拙者達にとってはそうではないのだが」
「意外と言うか、想像の埒外じゃな」
「それにも驚愕したが、Noble OrcがHumanの言葉を話したそうだが、それは本当か?」
「我がMemoryしている限り、Bugoganやその息子達は一言も話さなかったぞ」
「そのBugoganと言うのは……十年以上前にNoble Orcの罪人が追放された話を聞いた事があったな。それなら理由は分かる」
何でもNoble Orc EmpireではHumanの言葉を話す事がそれぞれの家の家督を継ぐ条件であるらしい。しかし体質的にHumanの言葉を発音できないそのNoble Orcは、家督を継ぐために秘密裏に作らせたmagic itemでHuman語を話しているように偽装した。
その不正を掴んだライバルである他家のNoble Orcをslaughterした罪で、追放されたらしい。
恐らく、そのNoble OrcがBugoganだろう。それ以外で追放刑に処せられたNoble Orcは暫く存在しないそうだし。
「権力闘争に負けたと言えなくもない理由ですね」
当人の霊が語った理由とは若干異なるが、誤差の範囲だろう。
「ところで、一息ついたらKurnelia姫と合流するために移動したいのですが」
「ああ、だが追いつくのは難しいだろう。拙者が囮に成ってここまで逃げて来るまで、半日程経っているからな」
「ArachneのEnduranceを褒めるべきか、OrcのVigorに呆れるべきか」
Kurnelia姫がArachne族の集落に真っ直ぐ戻ったとして、その差は一日分以上。VandalieuがFlightすれば追いつけるだろうが、初めて訪れるDevil Nestsでそれをする気にはならない。
「秘薬で周辺のOrcは全て拙者が惹きつけて来たから、姫達は安全なはずだ。あのNoble Orcも手下を急いで掻き集めて来た-sama子だったから、他のPursuit部隊も居ないだろう」
Gizaniaもそう言うので、Vandalieu達は無理をせずKurnelia姫達を追い駆ける事にしたのだった。
・Name: Pete
・Rank: 7
・Race: 黒百雷大Centipede
・Level: 45
・Passive skills
Hunger Resistance:2Lv
Self-Enhancement: Subordinate:5Lv(UP!)
Venom Secretion (Neurotoxin): Jaws:6Lv(UP!)
Wind Attribute Resistance:4Lv(UP!)
Enhanced Flesh:exoskeleton 角:6Lv(UP!)
Mysterious Strength:5Lv(UP!)
・Active skills
Silent Steps:1Lv
Charge:6Lv(UP!)
-Surpass Limits-:7Lv(UP!)
Armor Technique:3Lv(UP!)
Lightning:7Lv(UP!)
・Unique skill
Dragon Devourer:2Lv(UP!)
・Name: Kühl
・Rank: 6
・Race: Deep Blood Slime
・Level: 61
・Passive skills
Blunt Damage Resistance:7Lv(UP!)
Hunger Resistance:2Lv
Predator’s Restoration:6Lv(UP!)
Body Form Manipulation:4Lv(UP!)
Venom Secretion:6Lv(UP!)
Magic Resistance:1Lv(NEW!)
Mysterious Strength:1Lv(NEW!)
・Active skills
Silent Steps:4Lv
Bloodwork:3Lv(UP!)
-Surpass Limits-:3Lv(UP!)
Grow:2Lv(UP!)
Unarmed Fighting Technique:1Lv(NEW!)