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Side Chapter 21: Reincarnatorの悩み相談

 RodcorteDivine Realmでは、【Death Scythe】のKonoe Miyajiが消滅した後Reincarnator達は各々議論を重ね、悩み続けた。

 だが、彼等全員が一つに纏まる事は無かった。何故ならKonoe Miyajiが行動を起こした際に取った言動で、Reincarnator達の考え方が決定的に異なる事が浮き彫りに成ったからだ。


 そして悩めるReincarnator達にRodcorteに代わって……代わらなければならないと、Shimada IzumiMachida Aranが情報を提供し、質問に答え、意見を述べた。


『つ、つまりっ、あいつが親しみを持っているracereincarnationするのは無理なのか!?』

 Bodyが無いのに唾を飛ばしそうな-sama子の【MarionetteInui Hajimeの質問に、辟易とした-sama子の泉は答えた。

『ええ、そうよ。……因みに、その質問に答えるのは十二回目だから』

『本当だな!?』

『本当よ。因みに、十三回目』


 Bodyを持たず時間の感覚が異なるFamiliar Spiritに昇華した彼女でも、同じ質問に何度も答えさせられるのはpsychological Fatigueを覚えるようだ。

『そう簡単に信頼できる訳ないだろ!? あの詐欺師みたいなKami-samaの手先に成り下がった癖に!』

 質問している当人の態度がこれでは、相手をするのが虚しくなっても仕方ないだろう。


 しかも、泉はあらゆる偽りも見逃さない【Inspector】のAbilityで乾が本気で自分を疑っている事が分かってしまう。

『私を信頼できないなら、何を何度質問しても、意味は無いと思うけど』

 そう言ってthrust放すのも当然だった。泉にとっても乾は大事な仲間では無い。彼はMurakami達に与した裏切り者であるし、自分とAranMurakamiや『The 8th Guidance』が消すのを止めなかった事も分っている。


 その後彼が仲間だと思っていたTsuchiya Kanakoに裏切られて殺されたのは哀れだと思うが、今更大切な仲間だとは思えない。そんな相手が一切の偽りなく本気で罵って来るのだ、優しく説得したいとも思わない。


『ち、畜生っ! 僕を見下しやがってっ! この……ひぃっ!?』

 自分でも内心では分っている事を泉に指摘され、一瞬激高した-sama子を見せた乾だったが、すぐに顔を蒼白にすると身を翻して逃げ出して行った。


『……まるで私が脅したみたいじゃないの』

 実際はfemale horror症の症状が出ただけなのだが。尤も、それが無くても今はただのHumanの魂でしかない乾に、Familiar Spiritの泉を害する事は不可能なのだが。


『あの分ならVandalieuと敵対しようとは考えないだろうから、構わないけど』




 その頃Machida Aranは、渋面で【Chronos】のMurakami Junpei達の質問に答えていた。

『つまり、OriginEarthの最新兵器を持ちこむ事は出来ない、と』

『ああ、Kaidou Kanatareincarnationした時と同じでな。あのKami-sama曰く、産まれた時は皆裸だそうだよ』

『何とかならないのか? 選ばれたChampionが神からHoly Swordを賜るのはお約束だろ?』

『あんたなぁ……何処のKami-samaHoly Swordの代わりに現代科学とmagic学のcrystalである近代兵器をChampionに寄越すんだよ』


 呆れながら答えるAranだが、Murakamiはその答えに納得していないらしい。仕方なく、更に言葉を重ねる事にした。

『そもそも、近代兵器を持ちこんでどうすんだよ? 整備に必要な部品や燃料はどうする? 弾薬を手作りでもするつもりか?』

『別に何度も使うつもりは無えよ。一度使えればいい。まあ、magic媒体はin any caseな』


 Murakami達が欲しがったのは【Noah】のMaoOriginで死ぬ前に操縦していた最新ステルス機や輸送ヘリ、遠距離から攻撃できる携行Missile……出来れば核や水爆。そしてmagicの詠唱とActivateを助けるmagic媒体、特殊素材製のBodysuitや軍事用のknife等、多岐に渡る。


 何故それ等を欲しがるのかと言えば、Vandalieuを殺す為だ。Murakami達は、Vandalieuを抹殺する刺客になる事を決めているらしい。

 確かに、流石のVandalieuも戦略核Missileや水爆の攻撃を不意に受けたら、防ぎきる事は難しいだろう。

 それが無くても、現代兵器の性能とMurakami達のCheat Abilityを完全に発揮すれば、勝てる可能性は十分ある。


 しかし、そんな事は誰だって考えつく事だ。そして、それが未だに実行されていないのには、理由がある。

『一度だって動かすのは難しいよ。下手すると持ち込んだ瞬間に爆発しかねないんだから』

『なにっ!? どう言う事だ?』


 驚くMurakamiAranは渋面のまま答えた。

『あんた等は忘れているかもしれないが、worldが異なるんだぜ? 物理法則が異なって当たり前だろ。EarthOriginLambda。それぞれ重力に誤差があるし、Manaの有無とattributeの数に違いがあるんだよ。

 似ているけど、別の惑星に行くようなもんだ』


 そう、三つのanother worldはどれもこれも物理法則が異なる。かつてChampion Zakkartを筆頭にProduction related Champion達はDemon Kingを倒す為、『EARTH』の戦略核を『Lambda』で再現しようとした。しかしGoddess Vidaに『EARTH』の物理法則の下で設計された近代兵器をそのまま再現しても『Lambda』では使えない、下手をすれば爆発すると止められている。


 『Origin』で設計されたmagic媒体(所謂、Mageの杖)にしても、『Lambda』には『Origin』に存在しないtime attributeが存在する。そのため、そっくりそのまま『Lambda』に持ち込んでも同じ機能を果たすとは限らない。


『構造や完成までに必要な行程が複雑に成ればなるほど、危険性は増す。まあ、携行MissileぐらいならAttack Powerや射程距離が多少変化するぐらいで、辛うじて使えるだろうけど』

 そう教えると、今度はMurakamiの方が渋面になった。

『あの神はそんな物理法則が異なるworldで経験を積ませて、俺達に何をさせたかったんだ? 知識も技術も役立てようがないだろうが』


『それに天道の【Clairvoyance】で見た限り、あのVandalieuは『Earth』や『Origin』の技術や知識を『Lambda』に次々導入している-samaだったぜ。お前の話した事が本当なら、あのは今頃瓦礫のになってないとおかしいんじゃないのか?』

 【Hecatoncheir】のDoug Atlasまでそう言いだすと、Aranは深々とため息をついた。


『おいっ、何だその態度は!?』

『お前らのidiotさに呆れたんだよ。あのな、お前らのdemandVandalieuのやっている事は全く異なる事なんだよ。

 お前等は、全く別のworldから直接そこの兵器や産物をそっくりそのまま持ちこみたいって言っている。それに対してVandalieuは、『Lambda』に生まれ変わった後、『Lambda』にある材料で他のworldの技術を再現している。

 Vandalieuのやってる事は、『Lambda』の物理法則の範疇なんだよ』


 Cooking一つにしても、Cooking工程では-sama々な化学反応が起こっている。それらの結果、『Earth』のCookingは美味しく完成するのだ。

 では、worldが異なる『Lambda』で何故同じようにCookingが出来るのか。それは、やはりanother worldとはいえ全てが全て異なっている訳ではないという事だ。


 certainly厳密に検査すればそれぞれのworldで起こる化学反応は異なる点が存在するはずだ。ただ、実生活では気にする必要が無い程小さな差異でしかない。

 『Earth』での自炊から『Lambda』に生まれ変わるまで二十年以上のブRankがあり、その間いた『Origin』では知識として聞いても実際に試す事が出来なかったVandalieuは、その差異に気がついても「気のせいか」で済ませる。


 『Earth』と同じrecipeで作った結果出来たCookingが美味くなかったら、美味くなるように試行錯誤して変えれば良いのだ。


『小麦の生地をかん水でramenの麺にするのも、石鹸や紙作りも、mayonnaiseketchupも全部『Earth』や『Origin』の知識を元にしているが、『Lambda』で上手く行くよう試行錯誤しているはずだ。

 Murakami -sanよ、あんたが欲しがっている兵器も『Lambda』に存在する素材を加工して、試行錯誤しながら作れば『Lambda』の物理法則に合う物が出来るはずだぜ』


 つまり、生まれ変わってから自分で工夫して作れという事だ。

 尤も、無理を言っている事はAranも分っているが。


『お前なぁ……部品から、部品を作るための工具から自力で近代兵器を作れる訳がない事ぐらいわかるだろうが』

 金属部品ならBlacksmithingを雇えば、ある程度はどうにかなる。ただMurakami達が最新ステルス機や輸送ヘリの部品を全てMemoryしている訳はないし、そもそも部品には鉄や銅ではなく-sama々な合金が多用されている。

 それに機体を制御するcomputer部分の半導体を作る機械から手作りなんて、絶対に無理だ。


 そもそも『Lambda』に戦闘機を動かせるような燃料は存在するのか。


 Murakami達が年単位で懸命に努力しても、足で漕いでプロペラを回す人力Flight機を完成させられるかどうかだろう。


『ちっ、出来て黒色火薬を使ったマスケット銃や大砲か』

『それくらいならmagicの方がまだAttack Powerがあるし、使い勝手がいいな』

『信号弾ぐらいには使えるだろうけど……やっぱり兵器に頼るのは止めた方が良いんじゃない?』

『あ~ぁ、本当にあのKami-sama、あたし達にどうやってworlddevelopmentさせるつもりだったんですかね~』


 口々にそう愚痴るMurakamiDoug、【Venus】のTsuchiya Kanakoや、【Odin】の狭間田彰に、Aranは『別にあいつを弁護する訳じゃないけど……』と言った後続ける。


『何度も言うけど、『Lambda』に生まれ変わってから『Earth』や『Origin』の知識を基に試行錯誤すれば問題無いんだよ。

 それにVandalieuを殺すって話は俺達がOriginreincarnationした当時は無かったんだからな。別に兵器を作って欲しい訳じゃなかったんだろうよ』


『その割には、あの『Lambda』ってworldじゃ黒色火薬を作る事も禁止されているらしいけどな。another worldの知識を否定する神が大きな力を持っているworldなんだろ?』

『その辺りは、神(Rodcorte自身)に選ばれた俺達が頑張れば何とかできると思ったらしいよ。百一人もいるんだし、百人失敗しても、最後の一人が成功すれば良いだろうって』

『……つくづくクソだな、あの神。Vandalieuを殺すのとどっちが難易度低いか、Slightly思えて来たぜ』


 実際には、another worldの知識を『Lambda』に持ち込まなくてもmagicCheat Abilityを活かしてRodcorteにとっての人類であるHumanElfDwarfの三raceの繁栄を妨げる存在を討伐しても……Dark ElfScyllaVampireを絶滅や絶滅に近いconditionに追い込んでもRodcorteにとってはdevelopmentであるのだが。


 やっと納得したらしいMurakamiに、今度はAranから質問をぶつけた。

『それよりも質問だが、何で俺の言う事を信用する? 俺にとってあんたは仇だぜ、Murakami -sanよ?』

 そう、MurakamiAranと泉を殺した実行犯だ。Aran達に恨まれ復讐される覚えはあるはずだ。


 しかし Murakamiは顔色を変える-sama子も無く、実につまらなそうに答えた。

『ああ、だから詳しく話を聞いてんだよ。何故できないのか、何故出来るのか、全部聞いて、後であの神に同じ事を質問する。違う事をあの神が言えば、それがお前にとって都合が悪い事実ならお前が嘘つきだ』

『うぐっ、あのidiotの事を分かってやがるっ!』

 逆に、Aranが呻き声を漏らす事になった。


 Rodcorteは基本的に嘘をつかない。都合が悪い事は『出来ない』『話せない』と言い切り、何故出来ないのか、話せないのか詳しい理由を話そうとしない。

 後、最初から本音を言わない場合もあるが、巧妙に嘘をつくと言う事はしないし、出来ないのだろう。

 恐らく、何かの制限を受けているからという訳ではなく単に性格によるものだろう。


 certainly常にこちらを上から見下しているので、信頼は出来ない。しかしVandalieuを殺そうと考えているMurakamiにとっては、Aranよりは信用できる。


『……そもそもの質問だけど、何であんた等Vandalieuを殺そうと考える? 明らかに分が悪すぎだろ。

 【Death Scythe】がやって見せた-samaに、heartだけ止めても死なない。殺せてもあのidiot神がどうにかしないとUndead Transformationするだけかもしれない。Mana十億越えで、Cheat Abilityが無い筈なのに俺達よりCheat。更にあいつを守ろうとする敵はほど。そして、あんた達がreincarnationした後もあいつは強くなる事を止めない。

 止めにあいつは魂を砕いて、あんた達が絶対に蘇生できないよう滅ぼす事が出来る』


 対してMurakami達はどうかと言えば、確かに彼等は強い。『Origin』の装備や近代兵器が無くても、今のままで『Lambda』のBClass adventurerと渡り合う事が出来るだろう。

 特に【Odin】の狭間田彰、【Hecatoncheir】のDoug Atlas、そして【Chronos】のMurakami Junpei。この三人の戦闘力は『Bravers』全体でも高い方だ。


 しかし、彼等全員が力を合わせてもVandalieuに勝てるとはAranは思わなかった。


Kaidou Kanataみたいに、恵まれた来世を報酬に約束されたのかもしれないが、明らかに割に合わないだろ?』

『考え方の違いだな』

 MurakamiAranの質問にそう答えた。


『別にお前に黙っていても意味は無いから話してやるが、あいつは俺達を殺す気だ。Konoeの役立たずが仕掛けた時、俺達の事もあいつは見ていたからな。

 だから、殺される前に何とかして奴を殺さなくちゃならない。それに報酬がついて来るなら、言う事noneだ。当然だろ』


『俺なら殺そうとするだろうからな』

『奴に見つからない-samaに逃げ隠れながらの人生なんて、ごめんよ』

『それに、あの神もKanataの時よりは手を貸してくれるらしいし、何とかなるだろ』


 Murakami達の価値観からすれば、Vandalieuが自分達を積極的に殺そうとする可能性は高いと判断するのは当然だった。そうである以上、ただやられるよりはと反撃を考えるのは彼等にとって当たり前の事なのだろう。


『おい、俺の【Calculation】に寄れば、あいつがあんた達を積極的に殺そうとする確率は――』

『今の時点でその数字がどんなに低くても、後で急に増えるかもしれない。意味ないぜ、その計算は』

 そう言うとMurakami Junpeiは身を翻してAranの前から去って行った。他のReincarnator達も後に続く。それをAranは忌々しげに見送った。


 AranからすればMurakami達が死ぬのは別に構わない。滅ぼされたとしても、同情するかも怪しい相手だ。

 しかし彼等がVandalieuに敵対する事で、VandalieuReincarnator全体を脅威と見なし Aranの仲間である『Bravers』のReincarnator達を積極的に殺しだしたら一大事だ。


『あいつから俺達を直接探す方法は無いから、赤ん坊からやり直す方法なら隠れられるけど、あいつの事だからその内【Reincarnator感知】なんて反則みたいなskillに目覚めないとも限らないし……』

『ちょっといい?』

『うわっ!? ……あんたか。何だよ?』


 全員Murakamiと一緒に去ったと思ったら、【Aegis】のMelissa・J・Saotomeがまだ残っていた。

『質問だけど、『Origin』と『Lambda』、違うはずのworldVandalieuDeath-Attribute Magicを同じように使えるのは何故?』


 Melissaの質問に面喰いながらも、conjectureで良いならとAranは答えた。

『同じように使える訳じゃないな、そう見えるだけで。細かい点は異なっているはず……だと思う。

 originally death attributeはどっちのworldにとってもirregularだ。想定されてない異物に法則なんて関係無いのかもしれないが』


 Aran達は知らないが、実際Legionに成ったEreshkigalCounterが、『最後に自分を攻撃した相手から受けたDamage』しか返せなくなっている。

 尤も、Vandalieuは【Experience gained in previous life not carried over】のCurseによって、Death-Attribute Magicを一から独学で学び直したので、『Origin』の頃との差異は意識していないが。


『そう……じゃあ、結局同じ事が出来る可能性が高いのね。

 もう一つ質問だけど、『Lambda』のVitalityって、どんな場合も有効なの? 喉をknifeで掻っ切られた時や、Defense Powerを無視するような攻撃を受けた場合でも』


『うわ、物騒な事を訊くねぇ……基本的に有効だよ。certainly攻撃が当たった場所によっては、受けるDamageの量が2x Augment Multiplierするから、急所を狙う意味が無い訳じゃないけど。

 あのworldじゃあ、Heroが油断して一般人の攻撃が当たって死ぬなんて事は、まず起こらないって考えた方が良い』


 『Earth』や『Origin』ではどんな歴戦のHeroでも、死ぬ時は簡単に死ぬ。しかし Vitality(HP)の法則が存在する『Lambda』では、それは起こらない。

 Heroは一般人や名も無いSoldierに喉を斬られても、後ろから脾腹を刺されても、致命傷には至らないのだ。場合によっては、掠り傷も負わないかもしれない。


Attack PowerDefense Powerって概念や、skillもあるからね。Defense PowerDefense Equipmentの隙間を攻撃すれば殆ど意味が無くなるけど、【Physical Resistanceskillを持っている相手だと、肌が鎧みたいなもんだよ』

『だから、携行Missile程度だったら当たっても問題無いのね』

『……気がつかれたか』


 そう、携行Missile程度の攻撃に耐えられる存在は『Lambda』では珍しくない。Orc Soldier等のRank4程度のmonstersなら倒せるだろうが、Rank7のEARTH Dragonにとっては直撃しても致命傷には成らない。Rock Dragonだったら、ちょっと強く殴られた程度にしか感じないだろう。

 Talosheimmemberなら【Sword KingBorkuscertainly、現在『Sauron Liberation Front』に出張中のMilesでも、当たった事を無視して射手を殴り殺しに行くに違いない。


 【Shield Technique】や【Armor Technique】のskillActivate中なら、CClass adventurerでも無傷だろうし、DClass adventurerでも装備によっては軽傷で済む可能性がある。当たり所が悪くても、致命傷は受けないだろう。


『じゃあ、マスケット銃程度だと?』

『まあ、目や口の中にでも命中させなければDClassでもadventurerを殺すのは無理だろうな。頭に当てても頭蓋boneを弾が貫けないと思う。普通のSoldierでもDefense Equipmentの上からじゃ一発で殺すのは無理。Vitalityが低めなMageなら可能性はあるが。

 monstersでも……種類にもよるけど、Rank3がBrown Bearと大体同じだと思えば分かるだろ?』

 Brown Bearを銃弾一発で倒すのは、熟練のHunterでも難しい。それが体長三meterの大猪や、素早く俊敏に動き回る肉食恐竜に代わっても、難易度は低くならないだろう。


 それにマスケット銃程度の射程距離だと、『Lambda』では普通に反撃されてしまう。相手の実力にもよるが、一見接近戦用のWeapon Equipmentしか持っていなくても、斬撃や打撃を飛ばす【飛斬】等のMartial Artsが存在するからだ。


 貫通力と命中精度の高いスナイパーRifleや、Sustained FireできるアサルトRifleAttack Powerの高い対戦車Rifle等があればまた別だろうが、『Lambda』では銃はそれ程有用なWeapon Equipmentでは無いのだ。


 唯一の例外がVandalieuの【Artillery Technique】だが、莫大なManaを推進力にして小さいが神の命に届く魔導金属や【Demon King Fragment】製の弾丸を打ち出すあの銃を、『Earth』や『Origin』の銃や大砲と一緒にしてはいけない。


『なるほど。それで、Defense Powerを無視するような攻撃の場合は?』

『……答えたくないな、その質問。明らかにAmemiyaの【Ignore Defense】が『Lambda』でどの程度有効なのか聞くための質問じゃないの』

『じゃあ、答えなくていいわ。その反応で大体わかった』


 『Origin』では不都合もあるが圧倒的脅威に思えたAmemiya Hirotoが持つCheat Ability、【Ignore Defense】。だが、Vitalityの概念がある『Lambda』では『Origin』程の脅威にはならないらしい。

 Aran-sama子からそう判断したMelissaは、答えを言わせる事に拘らず次の質問をした。


Kanataが言っていた-samaに、『Lambda』で死んだ後すぐにまた『Lambda』にreincarnationする事は出来るの?』

 それはKanataVandalieuに消滅させられた理由だった。それに対してはAranも答えを口にした。

『可能だけど、難しい。systemに負荷がかかるから。一度くらいなら可能だが、殺された次の瞬間に大人のbody partで再reincarnationなんて事は無理』


 Rodcortesystemを利用してCircle of Reincarnationを行っている。そのsystemは、あらゆる死者の蘇生を否定している。

 Reincarnator達のreincarnationは赤ん坊から生まれ直す事でそれを誤魔化しているが、殺される前と同じ大人のbody partですぐrevivalするのは、死者の蘇生と変わらない。

 結果、systemに負荷がかかってしまう。


『何度もやり直しは効かないって事か……ありがとう、もういいわ』

 そう言うと、MelissaAranの前から立ち去った。


(これでどちらに賭けるか決まったわね)




 その頃RodcorteVidaCircle of Reincarnation systemを破壊し、Vida's New Racesの内monsters……Demon King Army Remnantsの邪悪なGodsrootsを持たない存在の魂を自身のsystemAbsorptionする具体的な方法を考案していた。

『やはりVidaの消滅は必須か。だが、逆に言えばVidaさえ消滅させればsystemを乗っ取るのは容易い。問題は魂を砕く事の出来ないAldaがどうやってVidaを消滅させるのかだが……』


 この方法が可能に成れば、単純にAldaからの要請を叶えるだけでは無くRodcortesystemを流れる魂の数が増え、更に『Lambda』のAlda側の戦力をVandalieuの抹殺に利用できると言う事だ。

 Demon Pathに導かれる前の短い期間だったが、VandalieuTalosheimに連れて行ったHartner Duchycultivation villageに居たHumanDwarf達、彼等のrecordから当時の情報は手に入れている。


 Boundary Mountain Rangeの向こう、Goddesssleeps Bahn Gaia continent南部に国を構え、『Vida's Miko』のsecondary nameを名乗る以上Aldaの勢力が攻め込んで来たら逃げる事は無いだろう。

 それに、Alda側の勢力でもUndeadGhoulVampireLizardmanmonstersを国民として扱いVidaとそれに与する邪悪なGodsを信仰する国を見逃す事は無いだろう。


 『God of Space and CreationZuruwarnや『Magic God of Time and ArtsRicklentが邪魔をするにしても、『Lambda』に存在しないRodcorteならin any case、同じ『Lambda』に存在するAldaの勢力を止めるのは難しい筈だ。


『ふむ……より執拗に攻撃して力を減じさせ、believerを激減させれば神から零落するはず。その手でいくか』

『おいっ、質問に答えてくれ! 砕けた魂はもう治らないんだな!?』

『……そうだと何度言えば分かるのだね?』

 思考を中断させられたRodcorteは、【Mage Masher】のMinami Asagiに聞き返した。


『確認だ。あんたは信用できないからな。何度も同じ事を質問して、嘘をついていないか見分ける』

 そう言うAsagiに、Rodcorteは若干だが感心した。ここまで神に対して不遜なHumanも珍しいと。

『……fragmentを繋ぎ合わせて別の魂としてrecycleできない事も無い』


『本当かっ!? だったら――』

『だが、それは-kunが考えている-samaな再生などとは異なる。Konoe MiyajiKaidou Kanataとしての人格やMemoryを持ち合わせていない歪な魂が一つ出来上がるだけだ』

 そう教えてやりながら、Rodcorteはふと思い出した。十万年前にVida達が死者をrevivalさせないように、ZakkartArksoul fragmentを回収して、一つの魂に捏ね直した事があったなと。


 自身のsystemに流した後何度目かのreincarnationまでは念のために視ていたが、特に不自然な点は無かったので放置してそのまま忘れていた。


『そもそも、私が信用できないのならMachida AranShimada Izumiに尋ねれば良いだろうに。何故私にも尋ねる?』

 Minami AsagiにとってRodcorteFamiliar Spiritに成った二人は今も信頼する仲間の筈。だというのに、信用できないと断言するRodcorteに態々尋ねる意味が理解できない。

 そう思うRodcorteだが、Asagiはこれもすぐに答えた。


『確かにその通りだけど、Aranや泉には知らされてない事があるかもしれないからな。それに二人がお前に直接質問しても、この前のような事があるかもしれない。だから俺がお前に質問して、その答えをAranKouya、天道に分析して貰う』

 この前のような事とは、Konoe Miyajiが【Clairvoyance】の天道を利用して抜け駆けをした時、Aranと泉が動けなくなった事を指しているのだろう。


 Humanから昇華したFamiliar Spiritは基本的に自由意思を持つが、主である神の直接的な妨害や課されたruleから明確に違反した場合、行動不能なconditionに陥る。

 Rodcorteにとって不都合な質問をした場合にもそれが起こるのではないかと、警戒したのだろう。

 思っていたよりも考えて行動しているようだ。


『それで、それを正直に私に話すのは何故かね?』

『どうせあんたは俺達の考えている事が読めるんだろう? だったら隠しておく意味が無い』

『確かにその通りだ』

 それに思っていた通りの度胸とMental力も持ち合わせているようだと、RodcorteAsagiに対する認識を改めた。


 自分の思考が読まれていると分かったうえで、絶対的な上位者を前に不遜な態度を裏表無く維持している。それに意味があるかどうかはin any case、普通は出来ないだろう。

 実際、Rodcorteは彼が口にしている事と同じ事を考えている事が分かる。


しかし何故あの二人の蘇生やrevivalを望むのかね? -kun達にとってあの二人は既に仲間でないだろうに』


 Kaidou Kanatafemale犯罪者を勝手に拉致し強姦後殺害し、死体を隠蔽するなどした。同じReincarnatorの『Origin』での母親が瀕死のconditionになった事故に居合わせたのを幸いに、止めを刺して臓器を売りさばくような、まさに『Bravers』の面汚し。

 Konoe Miyajiは彼よりはまだマシと言えるが、Murakami Junpeiに与して『The 8th Guidance』と合流した裏切り者。

 滅びたとしても、気にかけるような存在では無い筈だが。


 しかし Asagiには別の考えがあるようだ。

『確かに、あいつらを仲間と思う事は俺にもできない。実際、死んで当然の事をしてきた奴等だったとは思う。Aran達も、あいつらが消滅した事は大して気にDiseaseんでない。Amamiyaがやった事は身を守るためには仕方なかった事だと分っている。

 だが奴らは魂を砕かれる程の事をしたのかと考えたら、俺は……』


 どうやらKaidou KanataKonoe Miyajiの魂の再構築の可能性を調べようとしているのは、Asagi独自の考えのようだ。

 しかし――

『また随分と意味の無い事で悩んでいるのだな』

『何だと!?』

『ああ、済まない。本音を口にしてしまったようだ』


『喧嘩売ってんのか!?』

『買えもしない相手に売ってどうするのだね。-kunが、本当に意味が無い事で悩んでいるからそう思っただけだ』

 怒りだしたAsagiに、Rodcorteは小休止も兼ねて少し説明する事にした。


『魂を砕かれる程の事を二人がしたのかと-kunは悩んでいるようだが、行いに相応しい報いとは所詮価値観によって変わる。同じ罪を犯した者に対して死が当然と述べる者もいれば、それでは罰が重すぎると訴える者もいる。

 私はどんな魂でも砕かれては困るので、二人の魂は砕かれるべきでは無かったと断言する。それだけだ』


『……分からない話じゃないが、Kami-sama本人にそんな事言われると微妙な気分になるな。それに、Konoeを見捨てたのはあんただろ?』

『その理由を改めて説明した方がいいかね? -kunの思考を読む限り、それでほぼ正解なのだが』

『クソっ、やっぱりあんたは神じゃない!』


 Asagiはそう言い捨てると、Rodcorteから離れて行った。どうやら、今日の質問はこれで終りの-samaだ。


 実際にreincarnationする際に得られる援助や、自分達の経験はどうskillに反映されるのか、reincarnation時にCircle of Reincarnation systemに関するMemoryが消される際に他のMemory-chanと無事に残るのか、赤ん坊でreincarnationする場合は両親を、大人でreincarnationする場合reincarnationする場所は選べるのか……Asagiがした質問は幾つもあるが、それだけ真剣に考えているのだと解釈すれば、Kaidou Kanataよりは期待が持てる。


『では、Aldaに返事を出すとするか』




『つまりは、俺が感じた事も間違っちゃいないって事だろ。Amamiya、お前は俺が絶対止めてやる』


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