Noble Orc Empireへの対処に、Talosheimの王であるVandalieuが参加する。
普通為政者はcertainly、ある程度高い地位にある者がForefrontに立つ事は避けるべきだ。しかし、Vandalieuの場合は事情が異なる。
Firstに、【Demon Path Enticement】skillを持つVandalieuがその場に居ないと死者の霊から情報が収集できない可能性が高い。
Undead達は霊を見る事が出来る。しかし、視る事が出来るだけで霊から話を聞く事が出来るかは分からない。質問しても、相手の霊が答えないか、意味のある答えが返って来ない可能性が高い。
本来死者の霊は、多くの場合社交的でも無ければ他の死者に対して友好的な訳でもなく、また正直な訳でもないからだ。
第二に、Vandalieuは『Vida's Miko』である。
Noble Orc Empireの主神であるとconjectureされる『Evil God of Degenerate Corpulence』Mububujengeが、今もVidaに義理を感じているのなら彼が居る事で話し合いが成立する可能性が高まる。
そして第三に……間違いなくTalosheimの最大戦力だからである。
他にも諸々事情があるが、大きな理由はそんな所だ。
そしてVandalieuと共にNoble Orc Empireに対処――外交に成るか戦争に成るかはin any case――する部隊への選抜基準は、Noble Orcの最低限であるRank６を倒せる戦闘力を持っている事だ。
EmpireではNoble Orcは支配者層であるが、戦いに成った場合それなりの数が出てくる可能性が高い。
それに、外交に成った場合でも強さは必須だ。
相手はZakkartによってDemon King Armyから寝返ったEvil God (P)とその僕の子孫の国とは言え、monstersである事には変わりはない。そしてmonstersが重視するのは相手の容姿でも経済力でもなく、強さだ。
Humanの国同士の外交でも軍事力は重要な要素だが、monstersの場合は最も重要視される。
つまり、円滑な話し合いをするために舐められてはいけないのだ。
例外はGorba達、Orcusで構成された黒fangs Knight団である。
Orcの胎児がVandalieuのdeath attributeのManaを浴びた事で誕生した新種であるOrcusは、一見すると黒いOrcに見える。そのため、Noble Orc Empireに多数いるだろうOrcに親近感を抱かせ、話し合いが上手く行くかもしれないと言う理由で決定した。
それにOrcusは基本Rank４で、基本がRank３のOrcよりも総じて強い。更に黒fangs Knight団のOrcus達はOrcus TamerかOrcus RiderにRank upし、monstersにMountできるOrcusが所属するKnight団だ。
「Knightの誇りにかけて俺、頑張る」
Delegation Leaderに抜擢されたGorbaは、今では三meterに迫る巨体に立派なfangsを生やしたRank７、Orcus Master Tamerである。
Mountしているmonstersは、鶏に似たRank２のGiga Birdから何年もコツコツかけて育成したGiant肉食鳥、Rank５のHugeディアトリマ。clawsから頭部の鶏冠までの高さ五meterの、殆ど恐竜にしか見えない鳥だ。
更に、他にも伝令に使える小型の鳥のmonstersも数feather Tamerしており、戦闘力以外も充実している。
Gorba以外の団員も全員Rank４の、重量ClassのOrcusを乗せて活動できるPowerを持つmonstersをTamerしている。団員数僅か十名とは言え、その戦闘力と機動力は百人のKnightに勝るとも劣らないだろう。
「Gorba Delegation Leader、そのキシのホコリ、オレよく解らない」
「Kingの言う事守る、Knightの誇り」
「俺、前からKingの言う事聞いたぞ」
「じゃあお前、誇り高い」
「ブフフフ♪ 俺嬉しい」
そんな事を話しながら、Talosheimの町でbarbecueに興じるGorba達黒fangs Knight団の面々。Chezareの発案でOrcusの中から機動力がある者として集められ、Knight団を結成した彼等だが、Knight道はあまり理解していないらしい。
和気藹々とした-sama子で焼き肉のタレで味付けした肉や魚介類を楽しむGorba達を、街角のshadowから見る一人の男がいた。
「……」
顔にshadowを作った三meterの巨体で禿頭の男は、暫くGorba達の-sama子を伺っていた。しかし、姿を現さず無言のまま踵を返すと、何処かに去って行った。
その半分だけの顔には焦りが滲んでいた。
今日も昨日と同じように、専用にあつらえられた訓練場で二百年前に死んだMirg Shield NationのHero、Zombie化したMikhailは訓練用の木人としての役割を果たしていた。
只管戦い、相手が自分に勝ち、Bodyを破壊できるように指導するこの役割にも、Mikhailは慣れ始めていた。
痛みの感覚が生前とは異なるUndeadだからという要因もあるが、訓練に来る者達の腕が磨かれ、高まって行く-sama子は、Mikhailに諦観からではなく心からの喜びを齎す。
何故ならそれは自分が役割を果たし、役立っているという充実感に繋がるからだ。
(だから、別にお前がまた来た事に文句は無いのだが……)
定められた台詞以外言葉を発する事が許されていないMikhailは、やや複雑なemotionsのこもった視線を現れた相手……『Sword King』Borkusに向けた。
視線を受けたBorkusは、気まずそうに禿頭を指で叩く。
『いや、まあ、そのだな……俺ぐらいに成ると、丁度良い相手ってのが、そう居なくてな』
(それは分からなくもないが)
Borkusは生前ＡClass adventurerだった、Rank１０のZombie Hero。しかも、【Guidance: Demon Path】skillでAbility ValuesがEnhanced (1)されていて、Superior Skill【Sword King Technique】に目覚めている。彼に丁度良い相手が、そうそう見つかるはずがない。
『手応えがあるのはＢClass Dungeonのボスぐらいだが、それでも物足りねぇし、一回倒すと暫く出てこねぇ。なのに坊主は、今朝来週にはNoble OrcのEmpireに連れて行く奴らを選ぶって言いやがる』
(それは、ずっとここに居る私への説明なのか？ だとしても、私に話して良いのか？ 一応国Housework業だろうに)
何故かグチグチとした口調で話し続けるBorkusに、突っ立ったまま内心でツッコミを入れるMikhail。
傍から見ると、人形に延々話しかけるUndeadにしか見えないだろう。
『俺もRank１０、今のTalosheimなら坊主を抜けば一番とは言わねェが、三本の指に入る。だから別に、置いて行かれるんじゃねえかと、不安な訳じゃねえ。……今回はBellmondの嬢-chanは、不参加らしいし、な』
そう言いながら、Borkusは手に握った訓練用のObsidian Ironの剣を構えた。
『だがまあ、念のためって奴だ』
(結局不安なのではないか。それと以前ここに来た時、-kunは私を倒すのは一度だけだと言っていなかったか？)
『うるせぇ！ テメェっ、目で語りやがって！ 文句があるなら口で言いやがれ！』
『訓練を開始します』
『idiotにしてんのかっ！？』
(だから、私は自分の意思では口がきけないのだと……まあ、せいぜい私の代わりに強くなって、あの方の役に立ってくれ)
それなら文句は無い。そう思いながら、Mikhailは穂先を潰した訓練用の槍でBorkusを迎え撃った。
因みに、Borkusはそれからの一週間毎日Mikhailの前に現れ訓練を繰り返したと言う。
長い雌伏の時だった。
彼女が生きていた時間と比べれば、僅か三年など一瞬にも等しい時間の筈だった。しかし、彼女は一日千秋の思いでこの時を待っていたのだ。
新たな主に与えられた新たな人生。Bodyを再び与えられたあの時かけられた言葉を、彼女は忘れない。
「お前は、俺の物です」
(なんて甘美な言葉だろうか。私は前のmasterから、この方に奪われたのだ。身も、そして心、魂さえも)
だが、待っていたのは冷遇の日々だった。
前のmasterの元に仕えていた時に見聞きした情報を吐き出した後は、生前の彼女よりずっと若く、実力でも劣る小娘の下に配属された。
しかも、その小娘はそれまで部下を持ったことが無く、碌な仕事も回って来ない。
そして彼女に与えられたのは、「Torture吏長」と言う名ばかりの地位。本来なら、Tortureが得意な彼女にとっては天職に等しい役割なのだが……。
(このTalosheimの何処に、Tortureの必要性があると言うのだ)
彼女のmaster、Vandalieu。彼がいればTortureの必要などない。捕虜の耳の穴やeyeballにtongue等から分泌した自白剤を盛れば、誰でも饒tongueに語り出す。
もし自白剤が効かなければ、いっそ殺してしまっても構わない。霊と化した捕虜は、Vandalieuの為なら生前の主-kunでも仲間でも、喜んで差し出すだろうからだ。彼女同-samaに。
そのため捕虜がTalosheimの彼女の元まで連れて来られる事も、捕虜をTortureするために彼女が呼ばれる事も無い。
刑罰としてのTortureも、必要ない。このTalosheimの犯罪率は、彼女の常識では信じられない程低い。不注意や過失によるものはあるが、悪意からruleを破る者が存在しないからだ。
国民の多くがVandalieuに魅了されているという理由以外にも、犯罪に走る理由が無いというのが大きい。国はdevelopment途上であり、誰も盗みや詐欺、強盗を働かなくても、それなりに豊かに成れる。
それに犯罪を働こうとしても、町には監視を兼ねたGolemが配置されている事を誰もが知っている。
しかも、支配者であるVandalieuが頻繁に町を徘徊している。
そもそも、重い罪を犯してTalosheimでの居場所を無くしたら、生きていけない。Boundary Mountain Rangeに囲まれ限られた手段でしか外界に辿り着けないからだ。
この状況で罪を犯すのは、ただの間抜けだろう。衝動的な喧嘩や、泥酔して絡む等が精々だ。
そのため数少ない犯罪者も口頭での注意、少額の補償、短い社会奉仕で済んでしまう。百叩きの刑すら、未だに執行された事がない。
そのため、彼女の毎日の仕事といえば空の地下牢を仲間と分担して掃除し、日誌に「異常none」と記入する事ぐらいだった。
(だが、私は腐らなかった！)
彼女は有り余る時間を最大限有効活用した。生前の力を取り戻すためにDungeonや周囲のDevil Nestsで己を鍛え直し、Rank upを果たした。
そしてVandalieuが町を徘徊する時のpatternを分析し、彼に自分が努力している事、心を入れ替え他の国民とも良好な関係を構築している事をさり気なくappeal。
氷菓子を持ったまま走るchildがぶつかって来て服を汚した時も、その際おば-chan呼ばわりされた時も、微笑みながら許した。
落し物は拾って落とし主に返したし、ゴミ掃除や草むしりも自主的に行った。
裏社会で高い地位に在った生前の彼女からは、考えられない行いだ。
同-samaの事を仲間達にもさせ、特にBody美に優れたmale陣にはVandalieuがPublic bathhouseで入浴する際、そのBodyをさり気なく見せて来るように指示した。
そして転機は去年訪れた。彼女の仲間……同類の数が飛躍的に増えたのだ。
(愚かなGubamonのお蔭で、我々の数が増えた。質だけではなく、数だけでも戦力として通用する程に)
そして彼女の弛まぬ努力が評価され、今日という日がやって来たのだ。
「では、これよりKnight叙勲を行います。Isla、前に」
『はっ！』
三年前、Mauvid Generalを利用しMirg Shield Nation軍を中心に編成された遠征軍に加わり、Vandalieuと裏切り者のEleonoraを殺そうと企んだ、Pure-breed Vampire Terneciaの元側近、『Terneciaの猟犬』Isla。
Vampire Zombieと化した彼女は、喜びのあまり駆け出しそうに成るのを堪えながら、Vandalieuの前に進み出ると、膝を突いた。
VandalieuはKnight叙勲用に作った儀礼用の剣をChezareから受け取る。
(毎回思うのですが、ここまで儀礼に拘らなくてもいいのでは？)
その際、伸ばしたSpirit Formを繋いでそうChezareと内緒話をする。
(何を言われるのです、陛下。儀礼は重要です。行為自体に意味は無くても、やって見せる事が重要なのです)
(そうでしたね。儀礼は重要でした)
権威の演出や受ける者のHonorary以外にも、このLambdaで儀礼や儀式は実用的な意味があるのをVandalieuは思い出した。
実際、【Sub-Knight】や【Knight】Jobに就くには、【Apprentice Knight】の１００levelに到達する以外にも、Knight叙勲を受けなければならない。逆に言えば、Knight叙勲を受ければJobに就く条件が満たされるのだから、実用的な意味があるという事だろう。
IslaはVampire Zombieなので、Jobには就けない。しかし、将来Vampire Zombie Knight何てnameのraceにRank upする可能性もあるので、無意味という訳でもない。
「Isla、貴女にEclipse Kingの名の下にKnightの位を与えます」
剣の腹をIslaの肩に置いて宣言すると、甘美な痺れが彼女のwhole bodyに走り、小さくbody partを振るわせる。
『はっ！ ありがたき幸せ！』
「同時に貴女をEleonoraの下から、新設されるDark Night KnightsのDelegation Leaderに抜擢します」
『おおっ……！』
それがIslaに与えられる、新しいポストだった。Dark Night Knights……Vampire Zombieで構成された高度な戦闘集団だ。
全員が生前Noble-born Vampire以上であったため自力でFlightし、鋼鉄を素手で引き裂くMysterious Strengthを誇り、VampireからZombieに成ったためにSunlightも銀も克服している。元上司のEleonoraは彼女達に【Sunlight Resistance】skillを獲得させようと考えていたが、実は必要なかったのだった。
VampireがZombie化するケースが殆どなかった為、Isla達本人もそれを知らなかったので仕方ない誤解だった。
ただ残念ながらmagicは生前程に操れない個体も多いが、通常のHumanのKnight団と比べれば十分すぎる。
これからはそんなKnight団の長として、Abilityと技術を活かした仕事が出来るのだ！
Islaが身に纏うのは、彼女のbody partのラインに合わせて作られた精緻な鎧だ。儀礼用ではなく、Blacksmith師Dataraが仕上げ、Vandalieuが数々のDeath-Attribute MagicをAlchemyで付与したmagic itemである。
腰に下げた剣も同-samaだ。
今彼女は栄光に包まれている。だが、彼女にとってはまだ二つ足りなかった。
『陛下……お約束の物を頂きたく存じます』
「え？ この場で？」
言葉を発しているのはVandalieuとIslaの二人だけだが、この場にはChezareはcertainly Eleonoraや、Dark Night KnightsのmemberになるVampire Zombie達等、大勢の目がある。
その前で渡す事に躊躇いを覚えて聞き返すVandalieuだったが、Islaはどろりとした光の無い瞳を見開いて聞き返した。
『ではっ、二人きりの時に御自ら渡して頂けると！？』
「あ、はい、この場で渡します」
他人の目がある方が良かったらしい。
VandalieuはChezareから黒い首輪を受け取ると、それを見せながら宣言した。
「Knight Delegation Leader就任と並び、普段の忠節と弛まぬ研鑽を称え、褒賞としてこのチョー――」
『陛下、首輪です』
「……首輪と、『The Eclipse King’s Hound』のsecondary nameを与えます」
そしてIslaの死因である切断された首。それを繋げた際に出来た縫い目を隠すように首輪をつける。
『ああぁぁっ！ 光栄です陛下っ！』
首輪と猟犬の称号。Vandalieuの「就任祝いに何か欲しい物あります？」と言う問いにIslaが欲したのが、この二つだった。
secondary nameはまだTalosheimの規模ではVandalieuが宣言しただけで与えられないが、Eclipse King通信に乗せて宣伝すれば、maybe数日で獲得できるのではないだろうか？
(ダメだったら、FidirgやMerrebeveilの所に行って報告してきましょう)
そう思っているVandalieuの前でIslaは愛おしげに首輪に指を這わしている。その喜びように、Vandalieuは彼女の腰から生えたtailが激しく左右に揺れている-sama子を幻視した気がした。
「私もまだ頂いていないのにっ！」
そんなIslaをEleonoraが激しいjealousyの眼差しで睨みつけ、小声で悔しがっていた。その鬼気迫る-sama子を目にしたら、歴戦のWarriorも子犬の-samaに震え上がるだろう。
『……ふっ』
そして、その元上司のEleonoraに対してIslaは得意気に鼻で笑って見せた。しかも、首輪を見せびらかすように顔を上げて。
ビキビキと大気に緊迫感が満ちる音をVandalieuは聞いた気がした。
しかし、Eleonoraも仮にもKnight叙勲の場でIslaを罵倒する事は出来なかったらしい。
(それに、罵る事が無いのも事実……！)
EleonoraはIslaがVandalieuに取り入るために、-sama々な努力をして見せた事を卑怯だとは思わない。それはただの処世術だからだ。
実際、Vandalieu自身もIslaの諸々の工夫を、分かった上で評価している。工作や媚び、つまり頭で考えてTalosheimのHumanやBlack Goblin等の国民と共存できるなら、問題無いと考えるからだ。
元敵という出自も、Eleonora自身もVandalieuを殺す為に送り込まれた刺客だったため彼女が言える事ではない。
それにと、Islaを改めて見てEleonoraは歯軋りをした。
(以前なら年増なりなんなり言えたのだけど、今は負け犬の遠吠えにしかならないわ)
そうEleonoraが認めるほど、今のIslaは輝いて見えた。
body partのラインに合わせて作られた鎧は、生前身につけていた鎧と違いIslaの逞しさとfemale的で豊かな曲線を共存させたstyleを隠すどころかより主張し、二十age程のappearance ageのEleonoraには出せない艶を放っている。
それでいて肌は小皺どころか、きめ細やかで張りがある。Zombie化させる時から、Vandalieuが手を抜かず処理を施したからという理由もあるだろうが……。
約三万年の年月を生きた、三十代半ば程のappearance ageをしていたはずのIsla。彼女はZombie化した今、明らかに生前よりも若返っていた。
(私は、Vandalieu -samaの犬に成れるなら成りたいけれど、負け犬に成りたい訳じゃない！)
「Vandalieu -sama、私は訓練があるからこの場は失礼するわ」
鬼気は隠せていなかったが、そう一方的に宣言して身を翻す。その背をVandalieuは「行ってらっしゃい」と見送った。
『私が言うのもなんですが、宜しいのですか？』
「大丈夫でしょう。Eleonoraは(Earthの)俺よりも努力家です」
『陛下よりも努力家？ あの小娘、過労死するのでは？』
「それより、Dark Night Knightsに早速missionです。Isla達にはMarshlands南端のBone Man達と合流後、哨戒活動を頼みます」
『お任せください、陛下』
IslaはVandalieuの前に、今度は片膝ではなく両膝を突くと、そのまま顔を彼のサンダルを履いた足の甲に近づけ――。
「あ、手にしてください」
『そんなっ！ 私の服従とSubordinateの誓いを受け取ってくださらないとっ！？』
『Isla -dono、ここはKnight叙勲の場なので、服従とSubordinateではなく、Loyaltyを表す手の指にして頂きたい』
結局Islaの冷たいが柔らかいlipsを指に受けて、Vandalieuは彼女達Dark Night Knightsを送り出したのだった。
『ところで陛下、私も喉を切り裂かれて死んだので、何か首に巻こうと思うのですが。Kurtが痛ましげな顔をする事があるので』
「Chezare、首輪をしたらKurtがもっと痛ましい……可哀そうなものを見る目を向けて来ると思いますよ」
そう返しつつ、Vandalieuはふと嫌な予感を覚えた。
一部の者達の間で、自分から首輪を受け取る事が流行するのではないかという、そんな予感を。
まるで呪う-samaに灼熱の光で自らを焼く太陽の輝き。彼はお気に入りのRougeを引いたlipsを釣り上げた。
「もっとよ……もっと私を焼きなさぁい……あ゛ぁぁ……そう、深く、深く焼くのよぉっ」
whole bodyから白煙を上げるMiles Rougeは、生存Instinctが上げる警報と激痛を味わいながらも、壮絶な笑みを浮かべていた。
元Pure-breed Vampire Gubamonの配下のNoble-born Vampireだった彼は、Unique skill【Warning】を所有している。危険を察知すると、彼にだけ聞こえる鐘の音が響くというskillだ。
だが、今Milesの耳には鐘の音は聞こえなかった。
聞こえるのは、自分が高みに近づく足音のみだ。
だが、喉の渇きだけはenduranceできない。Milesは焼け爛れた手を伸ばし、ジョッキを口元に運ぶ。
濃いbloodの色をした液体……Vandalieuの【Demon King's Blood】Activate時のblood液をベースに、【Demon King's Horn】や【Demon King's Carapace】の粉末、そして各種薬草やMagic Stoneを加えたBlood potionを、喉を鳴らして飲み下す。
途端にwhole bodyの痛みが引き、火傷の再生が始まる。しかし、Vampireである以上Sunlightを浴び続ける限り、Milesのbody partは焼け続ける――筈だった。
「あぁぁぁ……うおおおおお！」
天を仰いだMilesが一際大きな叫びを上げた瞬間、彼のwhole bodyから上がる白煙が止まった。見る見る内に、火傷が治癒していく。
そして眩いSunlightに身を晒しながら、傷一つ無い肌と逞しいBody美を保つMilesの姿があった。
originally野性味があった顔で、太い笑みを浮かべる。
「素晴らしいわ……なんていう快感と征服感なの！ whole bodyに力が漲り、まるで万能無敵の存在にでも成ったようだわ！ HumanからNoble-born Vampireに成った瞬間に覚えた物を、圧倒的に上回るこの感動！
今この時！ 私、Miles Rougeは真のVampire足りえたのだと確信したわ！」
最近発売されたブーメランbreadツ一枚のまま、紅い瞳を爛々と輝かせるMiles。その彼に-sama子を見ていたBellmondが声をかける。
「どうやら終わったようですね。Miles、旦那さまからの祝いの品です」
彼女が指すのは、銀製のトレイの上に乗せられた銀のpendant。death attributeのManaが込められたmagic itemだが、銀はSunlightと並んでVampireの弱点だ。
傷つけられればcertainly、肌に触れただけでも焼け爛れる。Vampireに銀製のaccessoryを贈るという事は、敵対宣言と同じ意味を持つ。
「まぁっ、嬉しい♪」
しかし Milesは銀のpendantを躊躇わず受け取ると、すぐに首に付けてしまった。
だが、Milesの太い首と厚い胸板を飾る銀のネックレスは、彼を焼く事はない。
「どぅ、お姉さま？ 私の身分を偽装するためのシルバーaccessory」
「とてもお似合いですよ。ですが、お姉さまは止めて頂けませんか？」
「あら、どうして？ 同じAbyss種のVampireじゃないの」
Bodyを焼かれながら繰り返しBlood potionを飲み続けたMilesは、Noble-born VampireからAbyss種Vampireに変化していた。
Statusでも確認済みで、姿形に変化はないが、明らかにNoble-born Vampireだった頃とは生態が異なっている。
「素晴らしいわね……Rankやlevelに変化は無いけれどAbility Valuesのincrease、そしてSunlightと銀という弱点の克服。今まで私達VampireがHumanに変わりworldの表舞台に立てなかった要因の内二つを、綺麗に消してしまうなんて。
私達Abyss種Vampireが増えれば、HumanとVampireのPower balanceを入れ替える事も可能だわ」
盛り上がるMilesにBellmondは落ち着いた口調で釘を刺した。
「Blood potionのProductionには、それなりの手間がかかります。何より、原材料の半分以上が旦那-samaなのです。簡単に増産できる物ではありませんよ」
VampireがAbyss種に変化するために必要不可欠なBlood potionは、現在Vandalieu本人やZadirisを含めたTalosheim在住のalchemist数名によって作られている。
十億を超えるManaを持つVandalieuは、必要なだけ【Demon King Fragment】をActivateさせて材料をProductionできる。しかし、流石にEarthの清涼飲料水のような大規模大量Productionが可能なほどではないらしい。
……飲むだけでbone折どころか、切断された四肢が繋がるpotionのProduction量としては、現時点でも常識を超え過ぎているのだが。VandalieuがBlood potionのProduction量を限界まで上げ、それを安価に各国に供給したら、世のalchemist達は大きな収入を失う事だろう。
釘を刺されたMilesもBlood potionのProduction工程と材料の事は知っているので、すぐ引き下がった。
「分っているわよ。将来的な話よ、将来的な。それに、Abyss種に成るのも楽じゃないしね。ただBlood potionを飲み続ければ良いって訳じゃないのは、自分の身で味わったわ」
Abyss種Vampireに成るには、Blood potionを飲みその効果を発揮させる事……つまり傷が癒える事が必要だった。
ただVampireはoriginally【Rapid Regeneration】skillを持つraceだ。多少の切り傷では、数秒で治ってしまう。
Bellmondの-samaにwhole bodyのskinやその下のorganizationを移植するような大Surgeryを受ける最中に飲むか、それともVampireの【Rapid Regeneration】skillの効果が発揮されない、Sunlightと銀によるDamageを受け続けたconditionでBlood potionを飲むのが効果的だ。
Eleonoraの-samaに普段からVandalieuのbloodを飲み続けていれば、ふとした拍子に変化する事もある。しかし、そのためには変化するまでに時間とbloodとBlood potionが大量に必要に成るのだ。
「自分で志願しておいて言うのもなんだけど、結構なTortureよ、あれ。私は痛みに強いタフガイだったから良いけど、普通のVampireなら途中で失神するわね」
「私のSurgeryの方も、同じ事をすれば通常のVampireは耐えられないでしょう」
痛みに対する耐久力が高い(そう自分では思っている)二人は、やれやれと他のVampireの体たらくを嘆く。
「そう言えば、あの娘は？ やっぱりlevelling？」
「ええ。【Sunlight Resistance】skillが日焼け止めにしか役立たなくなった事を若干残念に思いながら、Rank１０を目指すそうです」
「頑張るわねぇ、若さの違いかしら。ああ、美味しい」
ジョッキに残った数滴のBlood potionを舐め取ると、Milesは「じゃあ、私は浴場に行って汗を流して来るわ」と着替えを手に取った。
「明日にはVandalieu -samaとSauron領に行って、Iris -chan達と合流だもの」
MilesはNoble Orc Empireへは行かず、Reincarnator達に対する備えとして『Sauron Liberation Front』と合流する事が決まっていた。
その際、Vampireである事をIris達の支援者や敵であるAmid Empireの占領軍にバレないように、Abyss種化を急いだのだ。
青白い肌に真紅の瞳、そして長い犬歯(fangs)をしていても、Sunlightの元に身を晒した銀のネックレスをしている男をVampireだとは誰も思わないだろう。
certainly、偽装以外にもAbyss種のdataを集める目的もあったが、それはついでである。
「Vandalieu -samaの中に入って運ばれるのだから、身ぎれいにしておかないとね」
そしてAbyss種の特徴の一つに、Vandalieuの【Insect Binding Technique】や【Plant Binding Technique】skillで装備できるようになり、その際も不快感を覚えないというものがあった。
そのため、【Labyrinth Creation】skillでDungeon間移動を行うVandalieuの中に入って移動する予定であった。
「……身ぎれいにする前に、服を着るのが先だと思いますが」
Bellmondの言葉は、ブーメランbreadツ一丁で着替えを手に持ったまま去っていくMilesには、届かなかったようだ。
・Name: Isla
・Rank: ９
・Age: 約三万age
・Title: 【The Eclipse King’s Hound】（ＮＥＷ！）
・Race: Vampire Countess Zombie(Blowクン)
・Level: ８５
・Passive skills
Dark Vision
Abnormal Condition Resistance：１０Ｌｖ
Mysterious Strength：９Ｌｖ
Rapid Regeneration：５Ｌｖ
Mental Corruption：７Ｌｖ
Slaughter Healing：７Ｌｖ
Intuition：５Ｌｖ
Strengthened Attribute Values: Loyalty: Vandalieu：６Ｌｖ
・Active skills
Bloodwork：１Ｌｖ
Water-Attribute Magic：５Ｌｖ
Fire-Attribute Magic：５Ｌｖ
No-Attribute Magic：１Ｌｖ
Mana Control：５Ｌｖ
Sword Technique：１０Ｌｖ
Armor Technique：９Ｌｖ
-Surpass Limits-：８Ｌｖ
High-Speed Flight：５Ｌｖ
Pursuit：８Ｌｖ
Torture：５Ｌｖ
Commanding：３Ｌｖ
Housework：２Ｌｖ
・Unique skill
Shape-Shift：７Ｌｖ
Zombie化した『Terneciaの猟犬』Isla。
本来はRank１０だったが、Zombie化後Rank５まで下がり、その後Dungeonでの戦闘訓練を経てRank９まで力を取り戻している。
ただまだ本来の実力は発揮できていない。因みに、race名の(Blowクン)とはVandalieuとLucilianoが「Undead Transformation後、生前よりもweak conditionにある者」を指して研究ノートに記載していたら、条件に該当するUndeadのStatusに何時の間にか表示されるようになった。
更に、まだ先だろうと思われていたsecondary nameも既に獲得している。これはVandalieuが自覚している以上に、【Guidance: Demon Path】のimpact下にある存在に対する発言力が増しているため。
生前よりも弱くなっているはずだが、【Bloodsucking】が【Bloodwork】に変化し、【Abnormal Condition Resistance】や【Mental Corruption】、【-Surpass Limits-】のlevelがincreaseする等生前とは違う方向に強くなっている。
また、【Commanding】と【Housework】skillを獲得した。
装備品のdesignがやや艶めかしいが、これはVandalieuが持つ「悪の女幹部」のimageが採用されているためである。理由は、「似合いそうだったから」だ。
・Title explanation:：The Eclipse King’s Hound
masterであるEclipse Kingが獲物、若しくは敵と定める存在をPursuit、探索する際有利な補正を受ける。
更にEclipse Kingの命令や指示で戦う時、全てのAbility ValuesとAttack Power、Defense Powerにplus補正を受ける事が出来る。