「Originで、俺の敵に成る可能性がある連中が……Reincarnatorが何人も死にました。大体十人ぐらい」
Vandalieuの言葉を聞いた者達の瞳に緊張感と鋭さが宿る。
『あの、Kaidou Kanataのような奴らが十人も……陛下っ、出来るだけ早く殺さないと!』
「落ち着いて、まだ居場所が解らないわ。気持ちは分かるけど、Continent中を探し回るのは不可能よ」
この中でVandalieu以外に直接Reincarnatorを見た事があるのは、Princess LeviaとEleonoraの二人だけだ。
そのReincarnator、Kaidou Kanataはかなりのゲスで、Vandalieuの前に現れる前に無軌道に殺人や強姦を繰り返した。その上土下座してみせて油断を誘おうとするなど、手口も卑劣極まるものだった。
結果的にはVandalieuに一矢報いる事も出来ずに一方的に嬲り殺され、最終的に魂を砕かれ消滅したのだが。
しかし、KanataがRodcorteから与えられたCheat Ability【Gungnir】自体は強力だった。透過する対象を選択できる透過Abilityで、どんなDefense Equipmentも壁もmagicも透過して、一方的に攻撃する事が理論上は可能だ。透過する対象によっては大量のManaを必要とする事以外、Ability自体に弱点は無い。
Vandalieuが一方的にKanataに勝てたのは、KanataがVandalieuを舐めきっていた事と、道中で悪事を侵す際【Gungnir】を乱用した事で、自分が殺したHanna達被害者の霊から情報が漏れたからだ。
つまりKaidou Kanataと同じ強力なCheat Abilityを持つReincarnatorが、彼とは違い用心深く慎重で、patience力を持つ人物だったら強敵に成り得る。
「ふむ、God of Reincarnation 's Divine Protectionを得た特殊な生命体か……師Artisan、出来れば肉片や遺髪、ダメなら遺灰だけでも構わないから、殺したら貰えないかね?」
「Luciliano、それは気が早いでしょう。まだ居場所も分からないのですし」
「えーと、とりあえずそのLegion -chan? から聞いた話をVan -kunから聞いてから考えようよ。ボク、いまいち『ちーとのうりょく』ってのが分からないんだけど」
「長い話に成りますよー」
VandalieuはLegionから聞いた話を、皆に話して聞かせた。以前倒したKaidou Kanataから殆ど情報が得られなかったため、これが初めて手に入れたReincarnator達に関する有力情報に成る。
そしてVandalieu本人にとっては、ほぼ初めて分かった自分が死んだ後のOriginの情報だ。
正直、Undead Transformationして暴れるまでずっとモルモット扱いされたworldなんて、自分が死んだ後どうなっていようが知った事では無い。しかし、death attributeのManaを失った事でworld中が大混乱に陥っている事や、研究所があった軍事国家が事実上Dismantlingされていたのは、良いnewsだった。
ただ、Undead Transformationした後助けた同じモルモット扱いされていたShoujo達が、Amemiya Hiroto達に一旦保護された後別の研究所でまたモルモット扱いされたのは、良いnewsでは無かったが。
Legionの話だとAmemiya Hiroto達は以前Vandalieuがconjectureした通り、国際rescue隊のような存在だったらしいのだが。ちょっと無能すぎやしないだろうか?
「まあ、彼女達がまた実験動物扱いされたのは、助ける際にdeath attributeのManaを分けてしまった俺の責任も無い訳じゃないけぶ――」
『『『オオォォ……』』』
『待ってっ、Legionっ! そんな事無いって言いたいのは分かるからっ、Vandalieuが埋まっちゃうからっ!』
Amemiya Hiroto達が正義のallyとしてどうなのかはさて置き、その後に続くReincarnator達の死もVandalieuにとっては良いnewsとは言い難い。
「Kaidou Kanataの後に死んだ三人……【Skanda】のTanaka、【Urðr】のMackenzie、【Perseus】のSamejima。この三人はどうしたのだ? Kaidou Kanataが死んでから数か月の間に死んだのなら、reincarnationしてもうすぐ二年程は経つ筈だが」
BasdiaがVandalieuの話したLegionの情報に出てきたReincarnator達のnameを上げて、首を傾げる。
それぞれ、自分の時間をAccelerationする事でHigh-Speedで活動できるAbility、一定spaceの過去に起きた出来事を見る事が出来るAbility、理屈は不明だが視認した相手を停止させる事が出来るAbilityを持つReincarnatorだ。
……『Bravers』のCodenameの基準を知らないVandalieuは、Samejimaは【Perseus】では無く【Medusa】じゃないのかと疑問を覚えたが、maleらしいから嫌がったのだろうと納得した。
「Kaidou Kanataと違って普通に赤ん坊からreincarnationしたとも考えられますが、もしかしたら大人のbody partでreincarnationしたが、Kanataが返り討ちに成った事を何らかの方法で知って、tacticsを変えたのかも。
今頃俺を殺すために力を蓄えているのかもしれません。……恐ろしい連中です」
『ええっと……陛下、陛下に恐れをなして隠れ潜んでいるとか、他のContinentに脱出したとか、そんな可能性は?』
Legionの腕や脚の中で真剣に脅威論を唱えるVandalieuに、Princess Leviaはそう質問した。
実はPrincess Leviaの意見の方が真実に近い。
OriginでKanataの悪行が知れ渡った事と彼を殺した【Metamorph】のShihouin Mariが野放しに成っている事で生じた混乱の結果、Tanaka達三人はそれぞれ一人でmissionに就いている時に絶対的に不利な状況に追い詰められてしまい、更に致命的なmissを犯した結果、Rodcorteが与えたFortuneでも敗北を免れられず、死亡してしまったのだ。
実は「Reincarnatorはどれくらいで死ぬのか」を調べようとした【Avalon】のRokudou Hijiriが、一人でmissionに就くように情報を操作して試していたという真実が隠されているのだが、流石にそれはRodcorteとTanaka達本人、彼等の後に死んだReincarnatorしか知らない。
そして全てを知ったTanaka達は、怒りや恨みではなく戦い続ける人生に疲れを覚えた。
それに、【Gungnir】のKaidou KanataはReincarnator全体の中では戦闘Abilityが高い部類だった。そのKanataがVandalieuに対して一方的に負けた事実を知った彼等は、自分ではとてもVandalieuに勝てないと考えて彼に関わる事を拒否して通常通り赤子からreincarnationしたのだった。
『いやいや、最悪の状況を想定するのは、間違っちゃいませんぜ』
「それに、another worldの神やHeroの名をsecondary nameとして名乗っているanother worldのself-proclaimed Championなのだろう? Kanataと言う奴は相応しくない外道だったようだが、他もそうとは限らないだろう」
しかし元軍人のKimberlyや、最近magicも使えるようになったがWarrior的な思考が強いBasdiaはそうは思わないようだ。
二人の中の『Bravers』は、どんな困難に直面しても揺るがない不屈の闘志と鋼の信念を併せ持つ、恐ろしい戦闘集団であった。
『……』
Legionは二人の意見を特にcorrectionしようとはしない。
Legionの元に成った『The 8th Guidance』も【Gazer】のMinuma Hitomiも、誰もTanaka達がどんな性格だったのか知らないからだ。
当時既に『The 8th Guidance』は活動を開始しており情報収集を始めていたし、【Gazer】のMinuma Hitomiも元仲間だったのでnameとAbilityくらいは知っていた。しかし、それらは世間向けに公表された情報だ。そのため、本当の人柄までは分からない。
それにMurakami達からも、死人の情報は必要無いとあまり詳しく聞かなかったのだ。
……それに、実はreincarnationしたばかりのLegionはLambdaで使われているJapan語があまり得意では無かった。Braversの殆どが話せる言語だったので、ある程度分かるように学んでいたが、所詮はある程度。文字を読む事は出来るが、会話は口調が速いと断片的にしか理解できなかった。
『確かに……Originがどんな所か分かりませんが、全員があのKanataのようなゲスばかりだったら、幾らなんでもChampion達なんて名乗っていられませんよね』
そしてPrincess Leviaも『Bravers』脅威論に流されつつあった。実際の人柄は表向きの顔と違うなんて話は、多い。彼女自身も二百年前のHartner Dukeに騙されて謀殺された経験から、それを知っている。
しかし、Kanata程の者はそういないだろうと思ったようだ。実際には幾人か【Marionette】や【Death Scythe】等程度がKanataに近い者が居るのだが……彼等もKaidou Kanataの死に-samaをRodcorteに教えられれば、本性を隠して用心深く立ち回ろうとする可能性がある。
「それで、その三人以外のReincarnatorはどんな人達なの?」
「それはAbilityとname以外も、ある程度は性格まで分かるそうです。裏切る前提でしたが、何人かとは協力関係にあったそうなので。殺し合うまで」
「……こんな見た目の割に、腹芸も出来るのね」
ともすれば、知能があるのかも疑わしく見えるappearanceのLegionにEleonoraが感心したように言った。
「いっぱいあるもんね、お腹」
「Pauvina、そう言う意味じゃないわ」
むぎゅっとLegionを抱き締め始めたPauvina。どうやら、Legionの抱き心地は悪くなかったらしい。
「とりあえず口頭で説明しますね。あ、Yamata、書類を配ってください」
Vandalieuが口で説明する間、彼の秘書のYamataが同じ内容が書かれた書類を配る。彼女はVariantのHydraの死体の頭部を切断し、代わりに異なるraceの美女九人の上半身を縫い合わせたPatchwork Hydra Zombieである。
『くばるるぅ♪』
『おおぃ、たく-san……』
『つよお゛ぃ?』
彼女は自分と同じように上半身のpartsの数が多いLegionに興味があるらしい。
『『『ぁぁううぅ?』』』
興味を持たれているLegionは、困惑するばかりだったが。
その間もVandalieuの説明が続く。
five sensesで捉えたあらゆる偽りを看破する【Inspector】のShimada Izumi
super computer以上の【Calculation】Abilityを持つ、【Laplaceの魔】のMachida Aran
特殊spaceに大量の物資や人員を収納して運ぶことが出来る【Noah】のMao Smith
神からOracleを得る事が出来るとされる【Oracle】のEndou Kouya
触れた相手のBodyの支配権を奪う【Marionette】のInui Hajime
顔を見た相手のheartを止めて即死させる事が出来る【Death Scythe】のKonoe Miyaji
body partを気体に変化させる事が出来る【Sylphid】のMisa・Anderson
任意にfive sensesをEnhanced (1)できる【Super Sense】のGotouda薫
数秒先の未来が見える【Odin】の狭間田彰
透視Ability等の複数の視覚に関するAbilityを併せ持つ【Clairvoyance】の天道達也
あらゆるmagicの働きを消す事が出来る【Mage Masher】のMinami Asagi
熱や炎を操る【Ifritah】の赤城晶子
以上がLegionの知る死亡した『Bravers』の面々だ。
実際には【Chronos】のMurakami Junpeiや【Venus】のTsuchiya Kanakoに加え、【Hecatoncheir】や【Aegis】の計四人も死亡しているのだが、その前に最後に残ったPlutoが死亡しているため、Legionはそれを知らない。
また、LegionがVandalieuに教えたBraversのAbilityの内幾つかにはaccurateでは無い情報が含まれている。これもLegionの元である『The 8th Guidance』達の知識に正しい情報が無い為だ。
以上の説明を聞いた一同は、共通した感想を抱いた。
「Van -sama、【Calculation】と言うAbilityがどんなものなのか、よく解らないのですけれど」
一同を代表してTareaが質問する。当然、Lambdaにはcomputerと言う概念が無い。物理学も未発達で、一般人が知る数学は、実際には算数のlevelで止まっている。
「やっぱりそう思いますか。ええっと、凄く計算が速いAbilityです」
「それは凄いかもしれないが……何の役に立つんだ?」
『残りのManaで後何回magicやMartial ArtsがActivateできるか程度の計算なら、誰でもできるぜ』
BasdiaとBorkusは首を傾げる。他のmemberも同じような顔つきだ。
別に計算Abilityが下らないと思っている訳ではない。ただ、仮にも神が与えるAbility、固有skillとして適当なのか不思議で仕方ないのだ。
もしプロのArchitecture 家がいれば、その価値の一端を理解できたかもしれないが、TalosheimにはVandalieuぐらいしか居ない。
そして、そのVandalieuもEarthではただの高校生だったため、物理学や高度な数学の知識は無いので詳しい説明は出来ないようだ。
「maybe、高度なArchitectureやEngineering工事に有用なんですよ」
『そう、なのか?』
具体的な役立て方を知らないまま、うろ覚えの知識でそう説明すると、Borkus達も多少は納得したようだ。
まあ、何故そんな力の持ち主が『Champion達』の一員なのかという疑問も覚えたようだが。ただ、戦闘以外で活躍するTypeなのだろうと直ぐ考え直したらしい。
「他の連中の力はそれぞれ一人だけならなんとかなりそうね。不意打ちを受けなければ」
「うん、中には明らかにVandalieu -kunの下位互換の人とか居るもんね」
「いや、俺のはmagicですからね」
『magicでUnique skillの効果を楽々再現できるのですから、凄いですよ』
以前始末したKaidou Kanataの【Gungnir】の-samaに、どれか一つだけならReincarnatorのCheat Abilityはどうにかなりそうだと言う印象がある。
特にVandalieuなら。
【Death Scythe】の即死Cheatでheartが止められても、【Out-of-body Experience】して戦えば良い。その後、脳に致命的なDamageを受ける前に自分で心lung蘇生を施せば蘇生できる。
【Marionette】にしても、nerve細胞を支配して他人を操る力のようなので、やはり【Out-of-body Experience】で問題無い。
それに上記の二人のAbilityは、boneや鎧しかないBone ManやRita、Salire、GhostのPrincess Levia達には役に立たない。
magicを消す【Mage Masher】は厄介だが、その場合は【Demon King Fragment】をActivateさせ、物理で殺せば良い。何なら、BorkusやBellmondでoctopus beatingりにしても構わない。
そう言う意味では【Oracle】や【Clairvoyance】は逃げに徹されると厄介だが、逃げに徹するならこちらも放置するだけだ。
「ただ、Kaidou Kanataを旦那-samaが消した事を彼等も知る事に成るでしょうから、旦那-samaを狙う場合他の仲間と協力して挑んで来るのではないでしょうか?」
『そうなると、途端に厄介さが増しそうよね』
『Bravers』がteamを組み、各々のAbilityを組み合わせて使ってくると途端に厄介に成る。それに、彼等はただCheat Ability頼みの集団では無い。
Rodcorteによってbody part的な素質が、何よりmagic的なaptitudeが与えられているからだ。
『『『お゛あ゛おぉうぅ』』』
皆の反応を見たLegionの頭部の内幾つかが詫びるように項垂れる。maybe、一度に複数のReincarnator達を殺してしまった事を悔いているのだろう。
Pauvinaに抱きしめられる圧迫感で苦しんでいる訳では無い。
『Hanna達から聞いた話では、Kaidou Kanataは途中で止めてしまいましたが、Adventurer’s Guildに登録してJobに就こうとしたそうです。だから、このworldにreincarnationしても自然にJobに就ける訳ではないと思います。ですが、かなりのmagicの使い手で、他にも幾つかskillを獲得していたそうです』
『Bravers』は全員がOriginでは一流のmagicの使い手であり、更に軍事訓練を受けている。だがLambdaには火薬や銃は存在せず、Originの最新装備、手袋に内蔵出来るSizeのmagic媒体等は存在しないので、その実力をすぐ発揮する事は難しいだろう。
Kaidou Kanataを参考に考えると、maybe adventurerならCClassからBClass相当程度だろうか。
「それが百人と言うのは凄いけど、Championって言う程?」
Eleonoraが言う-samaに、LambdaではChampionを名乗るには、hurdleは高い。山を断ち、海を割るAClass adventurerに成っても、中々Championとは呼ばれない。SClass adventurerに成ってやっと、名乗る事が許される程だ。
「でも、素のconditionでCClassからBClassなら、LambdaでJobに就いたりして時間をかけて鍛えれば数年でAClass、十年もすればSClassに成ると思うのですよ」
逆にLambdaにはOriginに存在しないJobやskillによる補正、monstersの素材や金属がある。Reincarnator達がそれらを活用して力を蓄え装備を充実させれば、確かにAClass相当の実力はつくかもしれない。
そこにReincarnator同士のCoordinationが揃えば、危険極まりない戦闘集団の出来上がりだ。
「まあ、Reincarnator同士みんな仲良くとは行かないようですが。another worldで裏切りや殺し合いがあったようですし。まあ、それを言うなら俺を殺そうとするかもまだ不確定ではありますが」
Rodcorteに報酬を約束されても、仲違いを警戒して全員でpartyを組んで来る事は無いだろう。
『それに関しちゃあ、連中の人となりを知っている陛下なら予想出来るんじゃ?』
『その辺りどうなの?』
KimberlyとOrbiaに質問されるが、Vandalieuは「それは分かりません」と首を横に振った。
「originally、どんな人達か分かるほど親しい関係じゃなかったので。それに三十年近く経っていますし、Earthにいた頃とは人が変わっていても……変わっている方が普通でしょう」
当時友達一人いないBocchiだったVandalieuだが、classmateやInstructor、目立っていた生徒の顔とnameぐらいは憶えている。
逆に言うとそれぐらいしか覚えていない。しかも一度reincarnationしているせいでnameや、Humanが変わっている者までいるらしい事が、Legionから聞いた情報ではっきりしている。
誰だ、Mackenzie、Misa・AndersonにMao Smithって。そんなnameの生徒が学校にいたら、いくらBocchiでも忘れない。ferryに乗り合わせた乗客や、乗員としても考え難い。随分薄れているが、MemoryではJapan人しか居なかったような気がする。
そして当然、ferryの従業員のnameと人柄何て覚えている訳がない。
「あっ! そうだっ、そのReincarnatorって人達がここで生まれてくる赤-chanに生まれ変わったらどうしよう!?」
Privelの言葉に、全員がはっとした。Circle of Reincarnation systemの秘密を知るGodsならそれは無いと保証できるが、それはGodsの秘密だ。
このTalosheimで暮らす人々やmonstersがVida式Circle of Reincarnation systemに【Guidance: Demon Path】で導かれており、Rodcorteが干渉できない事を、誰も知らない。
「大丈夫だよ、皆Vanの事好きだもん」
しかし、Pauvinaがそう断言すると、高まりかけた緊張と同-samaの空気が一気に弛緩した。
「確かに」
『問題無いな』
「それもそうね」
『やったわね、Vandalieu! あなたの日ごろの行いが良いからよ』
実際には、【Demon Path Enticement】や【Guidance: Demon Path】skillのお蔭だからだが。現在、基本的にTalosheimの国民はVandalieuの【Demon Path Enticement】skillのimpact下にある。
そこに上記のskillのimpactを受けない異物が混じれば、Vandalieuならすぐに解ると言う事だ。
「日頃の行いって、大切ですね」
尤も、Circle of Reincarnation systemが異なるので、最初からしなくても良い心配なのだが。
「話を戻すと、Reincarnator達の人柄はLegionの方が詳しいと思います」
復讐の標的として狙い、馴れ合いはほぼ無かったが【Chronos】のMurakami Junpeiをleaderにした十人のReincarnator達と、一年以上協力関係にあったのだ。
多少なら性格も分かる。
「それに寄ると、【Marionette】はかなり、【Death Scythe】はちょっと、程度の差は有りますがKanataっぽいです」
『なるほど……深刻な女の敵ですね』
『Van -kun、そんなRickみたいな屑bastard、積極的に殺さないと』
「旦那-sama、危険なAbilityを持っているようですし、お二人の言う通りその者達は早急に始末するべきかと」
Princess LeviaはHanna達Kaidou Kanataの被害に遭ったGhost達と親しく、OrbiaとBellmondは本人がそれぞれ結婚詐欺と連続猟奇殺人犯の、そして集団暴行の被害者である。
自身のtraumaが刺激され、怒りが沸き立つのだろう。
「確かに、殺せるなら殺すべきですよね」
【Marionette】のInui Hajimeは、『The 8th Guidance』のfemale member相手に『Bravers』時代にCheat Abilityを使って性犯罪に手を染めた事があるらしい事を、武勇伝風に語って匂わせていたらしい。重度のハラスメントである。
【Death Scythe】のKonoe Miyajiも似たようなものだ。彼のAbilityを他人のheartを止めて即死させるものだとしか知らない『The 8th Guidance』やVandalieuは、恐らく相手を殺すと脅したのか、それとも殺してから汚したのだろうとconjectureしていた。
……真実は、【Death Scythe】はheartだけでは無く手足やengineなど、運動している物体を停止させるAbilityなので、Konoe Miyajiの手口はそれで異性の動きを止めて犯行に及ぶというものだったのだが。
自分の言動のせいで犯行の凶悪さが実際よりも高まってしまった。これも自業自得である。
「後、【Oracle】のEndou Kouyaは……人格はin any case、諸事情により話を聞いてくれるかは不明です」
『ア゛オォォ……』
Legionの中でも輪郭が絶えず変化している顔が声を上げる。
【Oracle】のEndou KouyaはOriginでのVandalieuの死に-samaを演出し、それを理由に『The 8th Guidance』のmember『Shade』にBodyを乗っ取られ、殺された男だ。
人柄はreason的なようだが、自分も殺された今彼が何を考えているか分からない。自分も殺されたのだから、Vandalieuに対してやった事は相殺され、帳消しに成ったと感じている可能性もある。
「Shimada Izumi -sanは、Earthではしっかり者で正義感が強そうな人でした。学Class委員――頭の固い官僚って感じで」
嘆いているらしいLegionの頭を撫でながら、Memoryを辿ってそう言うVandalieu。途中で例えを変えると、ピンとこなかった-sama子のBorkus達も彼女がどんな人柄なのか察したようだ。
「私はよく解らないが……拙いのか?」
『Basdiaの姉-san、うまくは無さそうですぜ』
「Vandalieu -samaの恐ろしさに反発を覚えそうな性格をしているって事よ」
頭の固い官僚に関する嫌な思い出があるらしいKimberlyと、Eleonoraが顔を顰める。
Vandalieuがこれまでしてきたことは、Earthの常識から見れば悪党以外の何物でもない。OriginでShimada Izumiがどう変わったのか分からないが、彼の今までの行いを知ったら眉を顰めるのではないだろうか。
実際には、Endou KouyaとShimada IzumiはVandalieuにとっては比較的『話し合いが成立する』相手なのだが……Rodcorteがそうであるように、Vandalieuも彼等側の情報を得る手段が酷く限られている。そのため、実際とは逆のconjectureをしてしまった。
「まあ、彼女の力は偽りを見抜く【Inspector】らしいですし、戦いは苦手らしいので、俺の前に現れるにしても一人ではないでしょう。
他に知っているのはMinami Asagiですが……一言で言うと、ウザイ奴です」
「ウザいって、面倒な人達って事?」
『そうとう面倒臭い奴等なんだね。Van -kun、今凄く疲れた雰囲気だよ』
PauvinaとOrbiaが言う-samaに、VandalieuにとってAsagiの印象は「面倒」、もしくは「ウザイ」の一言に尽きる。
運動部で体育会系、何事にも熱意があって友情に厚い、熱blood的な性格。そして、自分の価値観を他人に押し付ける……いや、自分が正しいと思う事を他人にもやらせる事を善行であり義務だと思い込んでいる-samaな男だった。
Asagiと同じ、若しくは近い価値観を持っている人物や、他人と連帯感を覚える事に安心や幸福を覚える人物なら、彼は善人なのだろう。
しかし、当時のVandalieuにとっては迷惑でしかなかった。
たいして打ち解けなかった教育実習生が高校から大学に戻る時に、寄せ書きを作って贈るぐらいなら別にいい。
しかし帰宅部の生徒を強引に部活に体験入部させ、それで結局入部しない生徒に言い分も聞かず高校生活の意義を熱弁するのはどうなのだろうか。
(当時のあいつ、担任Instructor以外からのウケが良くて、classでも一目置かれていて誰も止めなかったから大変だったなー)
Earthに居た頃のVandalieuは、Asagiが起こす騒動に何時も巻き込まれていた。Asagiも別にVandalieuを標的にしていた訳ではないのだが、当時のVandalieuが彼と真逆の学校生活をしていたため、常に彼が指導する側にVandalieuが居たのだ。
「流石にあれから時間も経ったし環境も変わったはずだから、当時の性格のままと言う事は無いだろうけれど……Earthから合計すると四十七か八年ぐらい生きているはずだし。
でもあのままだったらpsychological Fatigue感だけで過労死するかもしれない」
今思い出しても、嫌な思い出。Minami Asagiを例えるなら、そんな奴だ。
しかし、LegionのMemoryに残るAsagiの言動からconjectureすると……Slightly悪化している-samaな気がする。
『Vandalieuが、過労死っ!?』
「一日で三日分は働いてケロリとしているVanが、たとえでも過労死を口に出すとは……」
『そ、そうとう面倒な人なんですね……』
「旦那-sama、それは最早一種のUnique skillの域ではないでしょうか?」
「いや、そこまでじゃないですけど」
Vandalieuの予想を超えて大きな衝撃を覚え、戦慄している-sama子のDarcia達。彼女達はVandalieuからEarthがどんなworldなのか聞いているが、やはりそれだけではLambdaや現在のVandalieuを中心に考えるのは避けられないらしい。
「まあ、Murakami senseiが死ななかったのは幸いでした」
VandalieuがEarthに居た時の高校の担任Instructor、Murakami Junpei。彼のMemoryに残るMurakamiは、Instructorとしての義務は平均的に行うがそこからはみ出るのを極端に面倒がる人物だった。
生徒の指導をAsagiに丸投げし、間違っても生徒の家庭環境や進路について相談に乗るTypeでは無い。
伯父夫婦が修学旅行に行くための金を出してくれないので、Part time jobをして自力で稼ぐため当時のVandalieuが学校で定められていた書類、通称バイト届けを提出しようとした時に発したMurakamiの言葉は、今も覚えている。
『お前なんて居ても居なくても変わらないのに、そんなに行きたいのか、修学旅行?』
そして受理の判子を本当に面倒臭そうに押したのだった。
結果的に、その修学旅行に参加したせいでEarthでの人生が終わったので、この事を恨んでいる訳でも無いのだが。
(気に成るのは、Murakami senseiがOriginにreincarnation後最も人が変わった事なのですよね)
Kaidou Kanataのような当時十代の少年だった人物が、不意に手に入った力と二度目の人生に溺れて無軌道な悪行に走るのは、想像できなくもない。
しかし当時すでに成人していて、良いInstructorでは無かったものの犯罪者でも外道でも無かったMurakami Junpei。
彼が同じReincarnator仲間で元担任していたclassの生徒を裏切り、騙して殺す。そこまで堕ちるものなのか。それがVandalieuには不思議だった。
それ故に、このLambdaに彼がreincarnationして来た後何を考えどう行動するか予想がつかない。
彼がOriginで死なず、他のReincarnatorから情報を収集できる間が出来た事は、自分にとってもFortuneだったかもしれない。
そう既にMurakamiが死んでいる事を知らないVandalieuは思った。
「さて、とりあえず現時点での報告は以上です。新しい情報をLegionが思い出したら、また聞いてください。
後、この情報は『Eclipse King通信』の一面にも載せますので」
Eclipse King通信。Talosheimで最近発行されるようになった新聞である。基本的に月刊で、Talosheim各地での出来事や開催される催し物、Iris率いる『Sauron Liberation Front』から入ってくる外の情報等が掲載されている。
因みに、現在編集長も記者もVandalieu一人である。行政府と報道機関の一体化を憂う有志の就職が待たれている。
「うーん、あれ漢字が多いからボク苦手なんだよね。もうちょっと平仮名を増やしてくれない?」
『それと陛下、気がつくと燃えている事があるので、Eclipse King通信の耐火加工を希望します!』
『あ、アタシは耐水加工希望!』
「Vanっ、クロスワードpuzzleもっと増やして!」
「Privel、もっと漢字を覚えましょう。でも、確かに一般向けではないかも知れませんから考慮します。
Princess LeviaとOrbiaは炎と水のcontrolをもうちょっと頑張ってみてください。ダメなら考えます。
Pauvinaが好きなクロスワードpuzzleは、集めた本を出版する予定です。もうちょっと待ってください。
あ、ちなみに二面はLegionのintroductionです」
「確かに、教えてもらわないと不意に遭遇したら新種のmonstersと勘違いされそうだしな」
『『『『ア゛ァァァ』』』』
こうして為政者とその周りの人々の都合で内容が決定されるのだった。Talosheimの報道に、権力を監視する役割は皆無である。
そして一転して和やかな空気のまま、朝の報告会が終わろうとした時だった。
『陛下、Marshlandsの哨戒を行っていたBone Manより報せが。Marshlands南端にて、異変が起きているようです』
Chezareがその知らせを持って来たのは。
『恐らく、Noble OrcのEmpireで何か異変が起きているのかと。早急に対処すべきだと思われます』
「確かに、何時来るか分からないReincarnatorよりそっちに対処した方が良さそうですね。
Marshlandsの南端に見張りを配置。偵察用のUndeadを放ちます。その後、部隊を編成して-sama子を見に行きましょう」
Reincarnator達はKaidou Kanataの-samaに成人したbody partでLambdaにreincarnationしてくる場合があるが、その場合の実力はadventurerに換算するとBClassぐらいだ。その程度の実力なら、全員でpartyを組んでもBoundary Mountain Rangeを越えるのは難しい。
なら警戒は『Sauron Liberation Front』に任せて、自分達は地続きのNoble Orc Empireに対処するべきだろうとVandalieuは考えた。
「じゃあ、部隊の選考基準を発表します」