RodcorteからAmamiya Hiroto、Originでは『Undead』にreincarnationし、現在のVandalieuの情報を渡されたReincarnator達は、『Bravers』組とMurakami達離反組に関わらず、一-samaに顔を青ざめさせた。特に【Oracle】のEndou Kouyaはその場で膝から崩れ落ちていた。
尤も、青ざめた理由は二組それぞれ異なっていたが。
『なんてこった! あのUndeadがあいつ……Amamiya Hirotoっ、俺達の仲間だったなんて!』
自分達が元classmateをただのUndeadとして退治していた事に、更にその仲間が最後に助けた『The 8th Guidance』を無知から非人道的な研究所に渡してしまった事に思い至ったMinami Asagiが、頭を抱えて叫ぶ。
天道と赤城、Maoも同じ気分だったが、Asagiは元同じclassmateだったために受けた衝撃はより大きかった。
『あんな良い奴に、Narumiを命がけで助けようとした奴に俺達は、何て事をっ!』
『えっ!? Minami、あなたAmamiya -kunの事を覚えているの!?』
頭を抱えたまま嘆くAsagiに、泉が驚いて聞き返す。classmateで学Class委員だった自分が当時のAmamiya Hirotoを覚えていないのに、彼が覚えていたのが余程意外だったのだろう。
『当たり前だっ、あんな良い奴を忘れる訳ないだろ!』
『具体的には?』
『具体的にって、ほら、Naruseが落ちそうになった時、庇って代わりに海に落ちただろ。あんな事、そうそうできるもんじゃない。そんな良い奴を俺達は』
『いや、それはNarumiから聞いた話で、直接見た訳じゃないでしょう? それ以外に何か覚えては……いないのね』
そう重ねて言われると、AsagiはMemoryを探ろうと忙しなく目線を彷徨わせたが、結局『いや、でも良い奴だろ?』と言った。
『たしかに、話した事は無い。ただ、悪い噂も聞かなかったから、良い奴だろうと思ってた……』
どうやら、Asagiも泉と同じで「覚えていない事を覚えている」程度だったらしい。
Asagi以外にもこの場には【Death Scythe】のKonoe Miyajiや、【Venus】のTsuchiya Kanakoの二人のclassmateがいるが、二人が何も言わない事からconjectureするとやはり彼の事を覚えていないらしい。
『改めて私の【Inspector】の弱点が分かったわ……』
本人が本当だと思い込んでいる事は、偽りだと認識されない事が改めて分かった瞬間だった。
『Earthでの奴との思い出なんかどうでも良いだろ、どうせ誰も覚えちゃいない』
【Chronos】のMurakami Junpei、当時Amamiya Hirotoのclass担任Instructorだった彼はそう言うと、話題を強引に変えた。
『問題は奴が俺達を恨んでいる可能性が高いって事と、俺達が奴を殺せるのかって事だ』
Murakami達が青ざめた理由は罪悪感では無く、自分にKilling Intentを持っている存在が来世で待ち受けているという事実だった。
しかもそれが『Undead』……『The 8th Guidance』に力を与えた存在だと言うのだから、彼にとってかなり拙い事態だ。
『【Gazer】も『The 8th Guidance』も、奴の所に居るんだよな? きっと今頃ただでさえ恨んでいる俺達へのKilling Intentを更に燃やしているはずだ。クソっ!』
『いや、本人は意外とドライだったらしいけど……Murakami -sanよ、あんたにもKaidou Kanataが見聞きしたrecordは渡っているよな?』
毒づくMurakamiにAranがそう尋ねる。Rodcorteが渡した情報には、Reincarnatorの中で二番目に死んだ【Gungnir】のKaidou KanataがVandalieuを殺そうとし、消滅するまでの情報も含まれている。
何人かは「生まれ変わってもゲスはゲスか」と呆れたが、実際Vandalieuは彼を消滅させる前に「関わらないでくれればそれで良い」と言っていた。
『Originで俺達……『Bravers』に退治されてここに来たばかりの頃は正気を失う程怒り狂っていたらしいけど、今では彼も周囲の環境が変わって時間も過ぎた。このidiotのBAKANA誘いに乗って、idiotやらなけりゃ、大丈夫だと思うよ』
『Aran、このidiotと言うのは私かね?』
『そう、あんただよ、idiot』
平然と上司の神をidiot呼ばわりする天使(Familiar Spirit)のAran。尤も、idiot呼ばわりされたRodcorteも気にした-sama子は無い。originally Aranや泉が自分に敬意を払っていないのは分っているし、二人の目的が仲間の安全でありVandalieuへの刺客に利用しようとする自分の目的と反目しているのも、分りきった事だからだ。
『それに、Vandalieuは魂を砕く事が出来るの。Kanataが『何度死んでもまた生まれ変わって狙い続ける』なんてBAKANA事を言ったせいで、あなた達がVandalieuを殺そうとして返り討ちに遭ったら死ぬだけじゃすまない。きっと何を言っても魂を砕かれて、消滅させられるわよ』
そして泉がVandalieuに敵対するriskについて説明する。普通なら「魂を砕かれる」なんて言われても、その恐ろしさが実感できないだろうが、EarthとOriginで合計二度死にreincarnationを経験しているReincarnator達にはそれが出来た。
取り返しのつかない、完全な終り。こうしてRodcorteの元に還る事も無く、万が一の奇跡すらあり得ない。
『逆に言えば、魂を砕けるのは彼だけ。彼に敵対しない限り、魂を砕かれる事は無いわ』
魂を砕かれる恐ろしさを説き、そこからVandalieuに敵対しないように訴えようとした泉。
『いいや、無理だねっ』
しかし、【Death Scythe】のKonoe Miyajiが彼女の声を遮った。
『おいMiyaji、どう言う事だ?』
『Doug、お前等まさかVandalieuの言葉を信じるのか? あんな何を考えているか分からない、人を殺す時も表情一つ動かさない奴が口先で言った言葉をよぉ。それに、それはKanataが演技で土下座した後言った言葉だぜ。あいつの言葉も演技じゃないと何で言える?
それともっ、この中にあいつは口に出した事は絶対守る信用できる奴だって断言できる奴はいるのか!?』
『確かに。このKami-samaから貰ったrecordには、あいつは何時も死んだ魚みたいな目をして、不気味な無表情で口調も台本でも読んでいるみたいに棒読みだ。あからさまに騙そうとしているようには見えないが、とても信用できないぜ』
喚き散らすようなMiyajiの言葉に、【Hecatoncheir】のDougもnod。彼等以外のReincarnatorも、それも【Clairvoyance】の天道や【Noah】のMaoも、Vandalieuの言葉には懐疑的な-sama子だった。
何せ、Earthで生きて来た時から存在を覚えていない人物だ。Reincarnator達にとって信用できる要素が一つも見当たらない。
『Shimada、【Inspector】で分からないの?』
『私がFamiliar Spiritに成る前の話だから、recordでしか知らないのよ。だから分かるのは、彼がKanataに対して本当にそう言ったという事だけよ』
【Ifritah】の赤城に尋ねられた泉だが、彼女の【Inspector】も過去のrecordを見ただけでは、recordが本物かどうかしか分からなかった。
『それじゃあ、あたしもちょっと信じられないね。悪いけど……』
『流石に、やってる事が事だからな』
『SkeletonやZombieを作って、monsterをCommandingして生物兵器をばら撒き六千人皆殺し、死体を切り貼りしたり、手下の食料にしたり……そもそも、bloodを飲んで何人か殺してるじゃないか』
『人も洗脳してるし、その上カニバリズムか。Rokudouもpanicの外道ぶりだぜ』
Reincarnatorが口々に言う通り、彼等から見るとVandalieuのこれまでの行いは最悪に近い。個々の出来事にそれぞれ事情があるが、実際Vandalieuが狂っているのも自分達の利益の為なら他者を犠牲にするのも事実ではある。
だが、Reincarnator達がそう思ってしまうのは彼等がRodcorteによって渡されたVandalieuに関する情報が、偏っているからだ。
God of ReincarnationであるRodcorteは、自身のsystem内に在る魂が見聞きしたrecordを見る事が出来る。AsagiやMurakamiが受け取った情報がそれだ。
だがVandalieuの周りにいるのはRodcorteのsystem外の存在、Vida's New RacesやUndeadばかりだった時期が殆どだ。しかも【Demon Guider】Jobに就いてからは、本来ならsystem内の筈のHumanやDwarfもVida式Circle of Reincarnation systemに導いてしまうので、Rodcorteが得られる情報は酷く限られる。
結果、RodcorteがReincarnator達に渡せるのはVandalieuがGuidingまでの束の間の間Human等が見聞きしたrecordか、originally Vandalieuに導かれない彼の敵対者が見聞きしたrecordである。
そこには当然、彼に対して好意的な情報は限られる。
『やっぱり、Vandalieuを信頼する流れで関わらないように誘導するtacticsって、無理があったんじゃない?』
『はぁ……riskが高すぎて割に合わない事だけでも、分かってもらえれば良いんだけど』
信用からでもhorrorからでも構わないから、Vandalieuに近づきさえしなければ、魂を砕かれる事は無い。当然LambdaにはVandalieu以外の危険も山ほどあるが、魂さえ砕かれなければ来世という希望は残される。
『しかし Kouya、あんたの【Oracle】で事前に分からなかったのか? 生まれた直後は仕方ないにしても、あいつが『Undead』に成る前に、見つけ出して助けられていたらこんな事には成らなかったと思うんだけど』
Maoの問いに、まだ膝から崩れ落ちていたKouyaは、はっと我に返って顔を上げるが、すぐ首を横に振る。
『可能か不可能かと言う事なら、可能ではあったと思う。だが、私の注意が足りないばかりに気が付けなかった。Amamiya Hirotoがreincarnationしていた事に気がついたのは、『Undead』を倒してから暫く経った後だ』
『使えないOracleだな、【Oracle】なんて呼ばれていた癖に』
【Death Scythe】のKonoe Miyajiが毒づく。その目は「お前がしっかりしてりゃあ、『The 8th Guidance』は結成されず、俺も殺されずに済んだんだ」と言っているようだった。完全な逆恨みである。
そのMiyajiをAranが睨みつけて釘を刺す。
『Miyaji、ちょっと黙ってろ。Familiar Spiritに成った今の俺なら、ただの霊のお前をボコボコにするくらい簡単なんだぜ』
『……チっ!』
clicking tongueをして黙り込んだMiyajiから視線を外し、MurakamiやAsagiを見ながら注意した。
『お前らも議論するのは良いが、口論は後にしてくれよ。話が進まないからな。良いか?』
『へいへい、分かったよ』
『分かった。俺の方が大人になればいいんだろ』
Murakamiが渋々、Asagiは珍しい事に大人しくnod。
『ありがとう、Aran。
まず前提として話しておくが、私の【Oracle】はその名の通りOracleを授かるAbility、では無い。【Odin】が北欧の神ではない-samaに、【Chronos】や【Venus】が時の神や美のGoddessそのものではないのと同じだ。
ただ、それらしいからと言う理由で名付けられたCodenameでしかない』
『Bravers』達のCodenameは、organizationが自然災害や事故のrescue活動を行っていた国際NGOだった時期に仲間同士やOriginで親しくなった関係者と相談して名づけられたものだ。
身も蓋も無く言えば、image戦略の一環である。
そのため、悪魔等のマイナスimageが付きやすい名称はあまり使われない。逆に、現在も信仰されている宗教の聖人や神のnameも滅多に使われない。信仰している人々の反発を避けるためだ。
そのため北欧やEuropeの古代Mythやlegend、親しまれている妖精や妖怪のnameが付けられる事が多かった。
それらに当て嵌まる者が無い場合等は、【Inspector】や【Gazer】の-samaにAbilityの効果を端的に表したCodenameが付けられる。
【Oracle】の場合は、その力が強力だった故にOracleの名を付けられた。
質問に対して百percentに近い的中率を誇る答えが返って来るのだ。Originの人々はcertainly、同じReincarnatorやEndou Kouya本人でさえも、全知全能の神から下されたOracleだと思い込んでもおかしくは無い。
『実際には違った。そうですね?』
『当然だろう』
Kouyaからの問いに、Rodcorteはやはりあっさりと答えた。
『-kun達に力を与えた私自身が全知全能から程遠いというのに、何故-kun達の中から一人だけに『全知全能の存在に質問し、答えを受け取る事が出来るAbility』を与えられるのかね』
【Oracle】は他のReincarnatorが持つAbility同-sama、Rodcorteが与えた力の一つでしかない。百種類以上のAbilityの中の一つなのだ。
だから当然、Rodcorteを越える力では無い。
『それに、その力には意図的に制限も設けている。-kunは今まで何度か『Earthは今頃どうなっているのか?』と言った類の質問をした事があるだろう。その時の答えはどうだったかね?』
Rodcorteの質問に、Kouya以外の殆どのReincarnatorが顔を顰める。彼等もその手の質問をするよう、Kouyaに頼んだ事があるからだ。
Reincarnator達は突然terroristが理不尽な理由でferryを沈めたため、突然人生の幕を降ろされたのだ。Earthに居るfamilyの事が気に成って当然だろう。
しかし Kouyaが【Oracle】で質問しても、答えは無かった。
それはRodcorteが【Oracle】の力に制限を設けたためだ。Abilityの所有者が存在するworld以外のanother worldに関する質問には、答えが得られない-samaにしてあるのだ。
力のinfluenceを複数のworldにまで広げると、Human程度のMentalとManaでは負荷に耐えきれず廃人に成ってしまうためだ。
それに知ったところで意味は無いとRodcorteが考えているから、という理由もある。
Earthに残っているfamilyの-sama子を伝える事はReincarnator達のMental面のケアに繋がるかもしれないが、Rodcorteはその手の情を大切にするどころか、軽視する傾向が強い神である。でなければReincarnatorを……何人かは【Gazer】のMinuma Hitomiの-samaに潰れても問題無いように、百一人も用意しない。
そして本来の目的であるLambdaのdevelopmentの為に、Originで生きている時からLambdaの情報が得られるようにする必要も感じていなかった。
そんな回りくどい事をするぐらいなら、そもそもReincarnator達がEarthで死んだ後Divine Realmに集めた時に、全て説明している。そして細かいfollowをするつもりがあるなら、Amamiya Hirotoの事を早期に他のReincarnatorに伝えて助け出すよう依頼していただろう。
『寧ろ、私は-kun達が過剰に【Oracle】に頼る理由が分からないのだが。私は【Oracle】の使用は最低限に抑えるだろうと予想していた』
Rodcorteから見ると、Kouya達が「正体不明の存在が与える、質問者が質問の際選んだ言葉やNuanceが少し違うだけで、同じ質問でも答えが変わる」Abilityを、何故そこまで信用するのか分からないらしい。
『……言われてみれば、確かにその通りです。私は、【Oracle】を過信しすぎていた。
なら、教えてください。【Oracle】とは、私の質問に答えていた存在は何なのですか?』
Kouyaも【Oracle】の回答者が何者なのか、調べた事があった。【Oracle】で聞いても質問する度に答えが変わる為分からず、自力でOriginの心理学やmagic理論、Myth legendの類まで調べ、以前Aranが生きていた頃に【Calculation】で調べて貰った事もある。
それでも遂に、回答者が何者なのか分からなかった。
『説明しなければ使いこなせないか……それは、私のCircle of Reincarnation system内に存在する『質問者が存在するworld』の魂が持つ、若しくは持っていた情報だ。-kunがOriginで生きていた当時なら、-kunたち自身も含めたOriginの全人類と動植物のMemoryと知識と言い換えても良いだろう。
Abilityのnameとしては、【Oracle】よりも【Archive】と呼ばれるべきだな』
その答えに、Kouyaは「なるほど」と呟いた。
『道理で、回答者が何者か分からないはずだ』
【Oracle】の回答者が何者なのかと言う質問の答えを誰も知らないのだから、真実を答えようがない。聞く度に「恐らく神だろう」とか「maybe、天の意思」とか、人々の思い込みで答えが変わるのも当然だ。
『じゃあ、こいつがAmamiya Hirotoを見つけられなかったのは何でだ? 当時はあいつもあんたのsystem内に存在する魂だったんだろ?』
Murakamiの質問には、Kouyaが答えた。
『今なら分かるが、maybe彼自身が私達を仲間だと思っていなかったからだろう。ついさっき-kunたち自身が言っていたじゃないか、彼を覚えていないと。彼も自分が私達のMemoryに残っていない事を自覚していたのだろう』
『なるほどな。それに、Originにreincarnationする前に奴はKami-samaから何も受け取ってない。検索条件から外れた訳か』
当時はKouyaも含めてCircle of Reincarnation systemに付いて全く知らなかった。そのためKouyaは条件を狭めて『私達神からAbilityを受け取ったReincarnator』と質問したのだが、それが仇と成った形だ。
『そして文字通りの意味でUndeadと化した後は、そもそもsystemから外れているから、引っ掛かりようもない』
『待て、じゃあ何でその後Amamiya Hirotoが死んだ事に気がつけた? あいつがLambdaにreincarnationしたら、Originには誰もあいつについて知っている者は居ないはずだぞ。『The 8th Guidance』も含めて』
天道の言う通り、Amamiya Hirotoが化した『Undead』を崇拝していた『The 8th Guidance』すら、彼がEarthからのReincarnatorである事は知らない。
だが、Reincarnator達が見落としていた存在が全ての真実を知っていた。
『Amamiya Hirotoがdeath attributeに目覚めた後、周囲に集まった霊達なら全て知っていただろう。霊のconditionで彷徨っていたので私のsystemから外れ、Amamiya Hirotoが-kun達によって退治された後systemに戻ったのだ』
当時のAmamiya HirotoはBodyやManaの主導権を奪われていたため、周囲の霊の話を聞いて過ごしていた。
ただ霊達はAmamiya Hirotoにとって生前は自分を研究する憎い敵だった相手だ。一方的に話させる事は在っても、会話する事は稀だった。
しかし、彼が自分にだけ力を与えなかったRodcorteや一向に助けに来ない他のReincarnatorに対する愚痴や怨嗟の声を零した時も、霊は彼の近くに漂っていたのだ。
『なるほど……理由は分かった。分かったが……今更どうしようもないな』
こういう理由でお前の事に気がつかないまま倒してしまったと説明したところで、今のAmamiya Hiroto……Vandalieuにとってはどうでもいい事だろう。
「関わって来なければそれで良い」と言う言葉が本気だったとしても、事情を話すためにContactを取った時点で、「関わって」しまっている。
嘘だったとしたら、考えるまでも無い。
『では説明も済んだ事であるし、-kun達には選んでもらおう。
一つは、私の依頼を受けてVandalieuを抹殺する。この場合はKaidou Kanataに約束したように、私が支払える報酬なら望むままに与えよう。
二つは、依頼を受けずにLambdaにreincarnationする。これを選んでも罰則やpenaltyの類はない。ただ、Lambdaのdevelopmentに協力してくれれば構わない。
そこのShimada IzumiやMachida Aranの-samaに私のFamiliar Spiritに昇華する事も認めるが、一度昇華するとHumanには簡単に戻れない事を覚悟して欲しい』
どれを選んでも、Kaidou Kanataの時の-samaに、若しくはそれ以上の調整やfollowは行う。
そう約束するRodcorteに、Reincarnator達は胡乱気な視線を向けたまま沈黙を維持する。
『皆、一応【Inspector】には引っかからないから本当よ』
『当然だろう。先ほど言ったように、Lambdaで-kun達に簡単に死なれては困るのだ。-kun達がEarthで死にOriginにreincarnationする時とは、私の事情も変わりつつある事を分かって欲しい』
つまり、Originでならin any case LambdaではReincarnatorを「百人の内のたった何人かだ」と簡単に犠牲に出来ない立場にRodcorteはあるのだ。
『この発言にも、嘘は無いわ』
泉の保証を聞いた後、Reincarnator達は一斉に議論を始めた。どれを選ぶにしても、Vandalieuと言う脅威が存在するため一人で勝手に選択する事に危機感を覚えているのだ。
『数日単位なら幾らでも議論して構わないが、一月以内には答えを出すように。答えが出たら私に直接か、Shimada IzumiかMachida Aranに言う-samaに』
そしてReincarnatorの選択を待つ間、やや放置気味に成っていたAldaからの要請に応える事は出来ないか、思考を巡らせる事にした。
『……systemの管理者であるVidaを消滅、最低でも神から堕とす事が出来れば、あるいは可能か?』
それを目にした時、男は驚愕し、そして涙を流しながら震えた。あまりのemotionsの高ぶりのあまり、失禁寸前のconditionで動く事も出来ずただその場に在った。
男が目にしたのは、彼が師と仰ぐ人物の変わり果てた姿だった。
肉色の粘土で捏ね上げたcountlessの人形を絡み合わせて作った球体の中に、半ば埋もれるようなconditionで取り込まれた、死蠟のように白い肌に死んだ魚のような瞳をした少年。
それに対して男は堪えきれず、ついに叫んだ。
「師Artisanっ! やはりあなたは最高だっ! 遂にbase form of lifeをっ、既に存在する生物を変化させたのではなく、神の遺産を使用したとはいえ、完全な無から生命を創り出すとはっ! まさに、神の所業!」
Life-Attribute Mageとして極限の感動を味わっているLucilianoの叫びに応えて、Vandalieuを取り込んでいるchunk of meatも震える。
「Luciliano、静かに。Legionが怯えて俺に強く抱きつくので、このままだと俺が窒息する危険があります」
chunk of meat -chanが新たな生命と成った翌朝、Vandalieuは集まる事が出来る主要memberを招集した。
chunk of meat -chan、改め命名『Legion』から手に入れた情報を共有するためだ。
『あ゛ぁぁぁ』
『ぎぃっ……ぎぃっ……』
『こひゅ~……こひゅ~……』
幾つもある顔に口のような裂け目を作り、呻き声や金切り声をあげ、中には呼吸を繰り返すだけの口もある。そんなLegionと意思疎通が可能なのか、Lucilianoでも疑問視したが、VandalieuがSpirit Formを伸ばして一部を同化すると、communicationを取る事が可能だった。
長くても一分短いと数秒で話している相手が変わったり、一度に複数の声が聞こえたりして、中々難儀だったが。
【Parallel Thought Processing】skillを持ち、普段からSpirit Formの頭部を分裂させているVandalieuだからこそcommunicationが可能だったのだろう。
「窒息の危険もあるなら、そろそろVandalieu -samaを離すべきじゃないかしら?」
「Vanっ、あたしもchunk of meat -chanを抱きしめたいっ! プニプニして気持ち良さそう!」
「何と言うか……焼いたら美味そうだな。悪気は無いのだが」
集まった主要memberの内、Eleonoraはややjealousy気味、丸太も抱き潰すPauvinaは危険発言、まだ朝食を食べていないBasdiaはappetiteを覚えた事を素直に告白して、Legionを大いに怯えさせたが。
因みに、Scylla族のPrivelはこの世の終わりのような顔でへたり込んでいる。
「そんな……もう脚の数でも勝てない……張り合う事も出来ないなんて……ボクはもうダメだっ!」
「Privel、貴女は錯乱しているようなので心が落ち着くお茶は如何ですか? ところで旦那-sama、そのLegion……-donoの朝食は如何しますか?」
わっと泣き出すPrivelに、お茶を入れるBellmond。そして、femaleのpartsの方が多いが、幾つかはmaleらしいpartsも混じっているLegionをどう呼ぶか迷いながら、食事はどうするのかと質問する。
Legionは一応Undeadでは無い、生命体らしい。なら食事は娯楽では無く生命維持に必須であるはずだが……何を食べるのか見かけからは想像が難しい。
普通に物を食べる事も出来そうだし、逆に生の肉しか食べられそうにないようにも見える。
「食べ物は、何でもいいみたいですね。肉でも魚でも、野菜でも。有機物なら何でも体表から食べられるみたいです。でも、出来れば肉が良いそうです。」
「Slimeのような方ですね」
『プルルル』
Bellmondの言葉でBlood SlimeのKühlの対抗心に火がついたらしい。震えながら液状のbody partの形をLegionっぽく変えようとしては、失敗して崩れる事を繰り返し始める。
『ところでこいつ、坊主の子なのか? それとも叔母になるのか?』
Borkusは、VandalieuがVidaの遺産であるResurrection Deviceから作った、DarciaのBodyの失敗作から生まれたLegionが、どんな位置づけに成るのか気に成るらしい。
『皆、落ち着いて! Vandalieuから大事な話があるから聞いて頂戴。あと、Legion -chanを怯えさせないでね。まだ生まれたばかりなんだから』
『だとしても、あっしやLeviaの御姫-sanが近づくだけで怯えるのは、どうにかして欲しいもんですがねぇ』
『ううっ、陛下ぁっ。今日は陛下の半径十五センチmeter内にずっと憑いている日なのにっ。一緒にZandiaのお見舞いに行く約束なのにっ』
『仕方ないって、Kimberlyは雷でLeviaは炎じゃん。この子、見るからに熱に弱そうだし。アタシも付き合うからさー』
Darciaが皆に話を聞くように促し、KimberlyやLevia、Orbia達Ghost組が少し離れた場所で愚痴を零している。
早く説明しないと話が進まないなと、Vandalieuは口を開いた。
「Originで、俺の敵に成る可能性がある連中が……Reincarnatorが何人も死にました。大体十人ぐらい」
LegionにはOriginで『The 8th Guidance』や【Gazer】のMinuma Hitomiだった時のMemoryが残っていた。
・Name: Legion
・Age: 0
・Title: none
・Rank: 1
・Race: Living lump of flesh
・Level: 0
・Job: none
・Job Level: 0
・Job History: none
・Passive skills
Mental Corruption:7Lv
Composite Soul
Magic Resistance:1Lv
Special Five Senses
Physical Attack Resistance:1Lv
Form Alteration:1Lv
Super Rapid Regeneration:1Lv
・Active skills
Limited Death-Attribute Magic:10Lv
Size Alteration:1Lv
Commanding:3Lv
Surgery:5Lv
Unarmed Fighting Technique:3Lv
Dagger Technique:2Lv
Fusion:1Lv
・Unique skill
Rodcorte’s Divine Protection→Circle of Reincarnation systemを移った事で消滅!
God of Reincarnation’s fortune→Circle of Reincarnation systemを移った事で消滅!
God of Origin’s Divine Protection
Zuruwarn’s Divine Protection
Ricklent’s Divine Protection
Gazer:5Lv
・race解説:Living lump of flesh
base form of lifeだったらしい『chunk of meat -chan』と、Vandalieuが創り出した消える銀、そしてZuruwarnが色々な過程をすっ飛ばして『The 8th Guidance』の面々と【Gazer】のMinuma Hitomiの魂を叩き込んだ結果生まれた、謎のFusion生命体。
本来なら魂一つ毎にchunk of meatから分裂し、生前と同じ姿か、異なるが適するBodyに変化するはずだった。
基本的に肉色の粘土で作った人形を捏ね、絡み合わせて直径3meter程の球体状にしたformをとる。頭部等の輪郭は、『The 8th Guidance』の面々やMinuma Hitomiをよく知る者が見れば、幾つかは輪郭が共通していると思うかもしれない。
見た目通り肉だけで、脳やeyeballを含めた内臓が一切無く、boneも無い。ある意味、肉で出来たSlimeであると言えるかもしれない。
midairを浮遊する力を持つが、ゴロゴロと地面を転がって移動する事も出来る。
また、Dark ElfのDarciaのBodyを作りだそうとした結果出来た失敗作でもあるので、Dark Elf同-samaに【Magic Resistance】skillを所有する。
Mental conditionは複数の魂が半ばFusionしているconditionで混在しており、またreincarnationしたためMental ageが退行気味である。ただ生前のMemoryや知識を多少欠けている部分もあるが、維持している。
限定的なDeath-Attribute Magic(The 8th Guidanceの力)や、Future SightのCheat Ability【Gazer】等、attribute magic以外の生前持っていた技術をskillとして獲得している。
ただ生前とBodyが異なりすぎているため、使いこなすのは難しいだろう。
Statusを見る限りVida's New Racesに酷似しているが、前例が無い為この後どのような成長を遂げるのかは不明。ただ、複数の神's Divine Protectionを受けているため強力な存在になる可能性が高い。
本来ならRodcorte’s Divine Protectionも受けていたが、ReincarnatorのMinuma HitomiがVida式Circle of Reincarnation systemに導かれてしまったため、消えている。