「ではまず、坊やの使うmagicや覚えているskillに付いて教えてはくれんか? certainly、坊やが話したくないのなら詮索はせんが」
「いえ、あなたを信頼していますから。……将来的に、知っている連中が百人くらい出て来る予定ですし」
Zadirisにmagicの手解きを受ける上で、彼女にVandalieuが使う事が出来るmagicや覚えたskillについて話すのは、重要な事だ。その上でZadirisの知識と経験に基づいた指導と助言を貰う事が出来る。
ただ、その代わりVandalieuが使うDeath-Attribute Magicに関する情報がZadirisに渡る事になる。そうでなくても、普通adventurerでもmonstersでも自分のskillについて軽々しく他人に話す事は無い。それは自分の弱点を晒すのと同じだからだ。
だがある程度の信頼関係があれば、そう珍しい事では無い。adventurerだってpartyを組む仲間にまでskill構成を秘密にしては、Coordinationも何も無いからだ。monstersの場合は分からないが。
それにVandalieuのDeath-Attribute Magicに関してはまだ数十年単位で先の事だが、Originからやって来る百人のReincarnator全員が知っている事だ。
たとえRodcorteが奇跡的にDeath-Attribute Magicに関して教えなくても、Vandalieuが囚われていた研究所にまだ資料が残っているだろうし、VandalieuのDeath-Attribute Magicを利用して作ったmagic itemは既にOriginの複数の国に広く流通していた。当時はDeath-Attribute Magicでは無く、独自開発したLife-Attribute Magicから創りだしたと偽装していたようだが、とっくに露見しているだろう。
なのでVandalieuがOriginで死んだ後、Amemiya Hiroto達がDeath-Attribute Magicについて知るのは当然。寧ろ、知らずにいるのが難しいぐらいだ。
だから、Zadirisのように信頼できる相手に秘密にする理由をVandalieuは思いつかなかった。
「百人? まあ、良いがそれで坊やのmagicについてじゃが――」
この時、ZadirisはVandalieuのmagicは特殊なLife-Attribute Magicだと思っていた。生命attributeのmagicとUndeadには一見関連性が無いようだがこのLambdaでUndead UserとはLife-Attribute Mageだったからだ。
死体に無理矢理Vitalityを注ぎ込み、人工的に動く模擬生物に創り変えるのだ。certainly無理なconditionを強いるので、そうして作り出されたUndeadは、Devil NestsやDungeonに発生するUndeadよりも基本的にweak。
その問題点を克服した特殊な術を使えるのだと思っていたので、VandalieuにDeath-Attribute Magicに付いて聞かされると彼女は絶句した。
「し……death attribute? 新しい……九番目のattributeじゃと? そんな物が、本当にあるのか……いや、本当なのじゃろうな。実際、Undeadを従え儂も知らないmagicを唱えておったし」
Originではdeath attributeは八番目のattributeだったが、LambdaにはOriginに無かった時attributeが存在するので九番目のattributeという事になる。
「やっぱり驚きます?」
「当たり前じゃっ! 新しいattribute magicの価値を知るmonstersなら、誰だって興味を示すわ!」
monstersにとってmagicは生きていくための力であり、そして力が強い者が上に立つ実力主義社会で伸し上がって行くためのものだ。
そして未知のmagicは、誰も知る者がいないだけに対抗手段を誰も知らない。だというのに、attribute全体が未知と成れば初見殺しの手段が豊富だという事になる。
LambdaではOrigin同-samaにattribute magicは素質が無ければ習得できない。それはmonstersも同じなので全てのmonstersが飛びつく訳ではないが、Mageの名の付くmonstersならどうにかして奪えないかと悪wisdomを巡らせる事だろう。
「なるほど。あのadventurer共のMageが術を唱えられなかったのは、Death-Attribute Magicのせいという訳か」
自分を襲ったadventurerの、特にMageの男の死に-samaを思い出して思わずゾッとするZadiris。Mageがmagicを奪われる事の恐ろしさは、Ghoul Mageである彼女にとって想像に難くない。Swordsmanから両腕を奪って蹴りで戦えというようなものだ。
そう思うと、今更だが彼らに同情すら覚える。
「そうなると、光とWind-Attributeの適性しかない儂にはdeath attributeの術を直接教える事は出来んが、応用には活かせるはずじゃ。magicとは、そういうものじゃからな」
Fire-AttributeとWater-Attributeは一見すると正反対の性質を持っているように思える。しかし Fire-Attributeの神髄は熱を、Water-Attributeの神髄は液体とcoldを操る事に在る。
なのでFire-Attributeでも達人と呼ばれるMageは熱して燃やす事も、熱を下げて凍てつかせる事も自由自在。Water-Attributeの達人は溶けて液体に成った溶岩を手足のように操ってみせる。
他にも土attributeの術者がMercuryや溶岩を操ったり、Wind-Attributeの術者が空気から燃える要素を取り出し大爆発を起こしたり出来るそうだ。
「その辺りの事が、儂がchildの頃当時のElderから見せてもらった本に書いてあってのぉ」
adventurerからの略奪品からZadirisはその知識を手に入れていた。monstersにとって本はHumanか、他のmonstersから奪うしかないので、手に入れるのが大変なのだそうだ。
「つまり、重要なのは適性があるattributeの数では無く、どれほど技術を高めるかじゃ。certainly、複数のattributeが使えた方が便利じゃ。じゃが複数のattribute magicが使える器用な、しかし小手先だけのadventurerのMageがFire-Attributeしか使えんGoblin Mageにやられる事がある」
「そう言われると、やる気が出てきますね」
Originでは散々「death attributeとMana以appearanceるべきものは無い」と研究者達に貶されてきたVandalieuにとって、Zadirisの教えは新鮮で、何より嬉しいものだった。感動すら覚えた。
無表情なので見た目に変化は無いのだが。
「それで、その技術に重要なのがManaじゃ。Manaの多さはmagicの修練に使える時間の長短に直結するからの。坊やのManaはどれくらいなのじゃ? それによって修行の時間を変えねばならんからの」
「はい、一億くらいです」
「そうか、一億か。……なにぃっ!?」
またギョッとして驚くZadirisの、appearance ageに似合う表情は可愛いなと思うVandalieuだった。
「い、一億……本当か? 儂でも一万に届かんのじゃぞ、それを坊やが……いや、未知のattribute magicも併せて考えれば……不自然ではない、のか?」
ZadirisはVandalieuがSelf申告したMana総量の信じ難い数字に、困惑していた。普通なら笑うにも値しない下手な嘘だと思うが、目の前のchildにはそれが出来ない説得力がある。
少なくともZadirisにはそう感じられた。
それに実際下手な嘘をつく意味がVandalieuには無い。多少多めに言って見栄を張るならin any case、一億なんて大口どころでは無い。しかもこれからmagicの手解きをするのだから、真偽はすぐに分かってしまう。
「……まぁ、良い。坊やのMana量に関してはすぐに分かるじゃろう」
何とか驚きを飲み込んだZadiris。一方Vandalieuは、やっぱりManaが一億あるのは異常なのかと彼女の反応でやっと確信を持ったのだった。Human社会に出たら、あまり言わないようにしよう。……guildに登録する時にはばれるのだが。
「では、magicに関連するskillはどうじゃ?」
「とりあえず【Chant Revocation】skillがありますね。あと、【Golem Transmutation】はmagic関連のskillでいいんでしょうか?」
「……坊や、儂の寿命をどれだけ縮ませる気じゃ? 寧ろ、どうやって【Chant Revocation】を習得したのか、儂に手解きして欲しいぐらいなのじゃが。後【Golem Transmutation】というのは聞いた事が無い」
Chant Revocation skillの希少さはDarciaからも聞いていたが、三百年近く生きているZadirisも驚くとは【Chant Revocation】skillの希少さはVandalieuの想像以上の-samaだ。
ただ、【Golem Transmutation】についてはZadirisは【Alchemy】を習得しているそうなので、知っていると思っていた。GolemはAlchemyで作る物だと、Earthで得たサブカルチャー知識で思い込んでいたからだ。
「【Chant Revocation】の手解きと言っても、呪文の詠唱が出来ないconditionでmagicを使いまくるだけですよ?」
「それが出来るのは坊やくらいじゃ、このManaお化けめ」
呪文の詠唱が出来ないconditionでmagicを普段と同じ効果を発揮できるように使うには、通常の何十倍、何百倍のManaを必要とする。なので、熟練のMageが一日に一回出来るかどうかなのだ。skillが習得できる程乱発できるのはVandalieuの異常なMana量があってこそなのだ。
普通【Chant Revocation】skillを獲得できるのは、余程のGeniusか幾つものmagic系Jobを極めた練達のMage、若しくはlegend Classのmonstersぐらいらしい。
「この分では儂が手解きする必要が無いのではないか? どうせNo-Attribute Magicや【Mana Control】も完璧なのじゃろ?」
ややいじけた-sama子で言ったZadirisの言葉に、今度はVandalieuが驚いた。
「No-Attribute Magicって、なんですか?」
「なんで知らんのじゃ、magicの基礎じゃぞっ!?」
結局Zadirisも驚かせたが。
No-Attribute Magicとは、文字通りどのattributeにも変化する前のManaを使ったmagicである。どのattributeも帯びていないのでManaがあれば誰でも使えるため、MageはまずNo-Attribute Magicを覚えてManaの制御等の基本的な修業を行うのが一般的だ。
後、No-Attribute Magicの効果は他のattribute magicに比べて弱くて単純な物しかないが、単純故に使い勝手が良いという特徴もあった。
「Devil Nestsで暮らしている儂らでも知っておるに」
「独学で修行していましたから」
それに何より、Vandalieuの前世であるOriginにはNo-Attribute Magicが存在しなかった。
本当に存在しなかったのか、それとも研究所のHumanがVandalieuに意図的に教えなかったのか……十中八九後者だろうが、確認する方法は今は無い。Hiroto達がreincarnationして来て、話す機会があったら聞いてみよう。
少なくとも、研究者達はVandalieuの前でNo-Attribute Magicの事を一言も漏らさなかった。霊達は知っていただろうが、彼らは基本的にVandalieuが質問した事以外は、勝手に戯言を垂れ流すだけだ。
Darciaにしているように、VandalieuがManaを供給していれば人格をDecayさせずに保つ事が出来ただろうが、その当時の彼は自分のManaを自由に使えなかったのだ。
certainlyそのDarciaはNo-Attribute Magicについて知っていた。後で聞いたら、自分が教えるまでも無く知っていると思い込んでいたらしい。
『だってVandalieuったら誰に教わるでもなくmagicが使えるようになっていたから、てっきり……』
と、いう事だ。
「では、No-Attribute Magicから教えるか。何、儂はskillを獲得するまで三年かかったが、坊やなら一年とかからんじゃろう。坊やのMana量なら一日中修行しても余裕じゃしな」
GhoulのWarrior長、Vigaroはふと足元に生えていた雑草を見て、もうそろそろ春だなと思った。
暦がある訳でも無く文明的なFarmingをしている訳ではないGhoul達にとって、季節とは何となく感じるものでしかない。空気がジメジメして雨が続けば雨季、そのまま熱くなって夏、やや涼しくなって他の季節より果物の数が多くなれば秋、空気がDryingして寒さを覚えるようになったら冬。
そして温かくなってこの名も知らぬ雑草が生え始めたら春だ。
「あいつ等が来てから、もう半年近くか」
彼の今まで生きてきた年月を考えれば、大した時間では無い。しかし、その短期間でVigaroが百年以上生きてきた集落の生活には変化が起きていた。
Vandalieuが「お世話になっていますから」とDeath-Attribute Magicで食料の保存をしてくれるようになった。【Preservation】というmagicで、これまで季節によってはGhoulの丈夫なstomach腸でも数日しか持たなかった生肉を数か月持たせる事が出来るのだという。
これまで保存食と言えばGobu-gobuか晴れの日に干した肉片ぐらいだった暮らしに、圧倒的な余裕が生まれた。お蔭でGhoul達は毎日狩りに出なくてよくなり、日々の鍛錬や訓練に回す時間が増えたし、無理をしなくてよいから負傷する者も減った。
まあ、Ghoulは本来なら怠惰な性質のraceなので余裕が出来たから怠ける者も出て来ている。日々研鑽と努力を重ねる事の重要性を説いて来たZadirisと、実感で知っているVigaroのお蔭でそれほどではないが。
「それに、あいつが仕上げる肉は格別に美味い」
Vandalieuは、Ghoul達が日々食べる生肉に、食べる直前【Maturation】のmagicをかけていた。こうする事でEarthなら温度や湿度を管理したroomで数日から数週間以上かけて作るMaturation肉を、この竪穴式住居と蔵しかない集落で食べられる。
これはGhoul達にとって恩恵という他ない。
美味い肉を喰っているせいかbody partの調子も良く、前よりも強くなった気さえする。
春に成ったら出て行くつもりらしいが、何とか集落に留まってくれないだろうかと思っている者はVigaro以外にも数多い。
大人だったら女を何人か専用という事にして宛がうのだが、二age未満の幼児では流石にそれは難しい。
だがZadirisによるとskillの習得にもう少しかかるらしいので、夏頃まではいてくれるかもしれない。
あいつは良い奴だから修業が上手くいって欲しいと思うが、同時に出来るだけ長く集落に留まっても欲しい。何とも複雑な気分だ。
そんな複雑な気分のVigaroの前で、彼のpupils達が強敵相手の狩りに挑んでいた。
「ワオォォォォォォン!」
「ガァァァァ!」
「弓を持っている奴を――いや、杖を持っている奴を先に殺せ!」
集団戦を繰り広げる獲物とVigaroのpupils達。
とは言っても、獲物はadventurerでは無い。Vandalieuが想像していた以上にVigaro達はadventurerを襲わないし、そもそもこのDevil Nestsにadventurerはあまり来ないのだ。
最ElderであるZadirisが若い頃adventurerの集団に集落の三分の二を狩られた事があるため、それ以後adventurerは出来るだけ襲わない事が集落の掟になった。adventurerを見つけても隠れてやり過ごし、闘うのは相手から襲い掛かって来た時のみとした。
adventurerの肉の美味さと戦利品の貴重さをGhoul達は知っているが、それ以上にadventurer達の怖さを知っているのだ。
他のGhoulの集落では、どうなっているか知らないが。
そしてDevil Nestsに来るadventurerの数が少ない理由をVigaro達は知らなかったが、このDevil Nestsの環境に原因があった。
このDevil Nestsは広さも出現するmonstersもDClassからCClassのadventurerに丁度良い水準の物だ。しかし、Human達の町まで三日の距離がある。
更にその最寄りの町には数時間で行き来できる距離にVigaro達が居るDevil Nestsと同じ大きさのDevil Nestsが存在し、しかも Dungeonが複数発生している。
なので町から近くてDungeonのあるDevil Nestsの方にadventurer達は自然と集中する。certainly Devil Nestsのmonstersの数が増えるままに放置してmonstersの大氾濫が起きてしまったら大事だが、その危険性は少ないとAdventurer’s Guildでは判断していた。
何故ならVigaro達のDevil Nestsには亜人系のmonstersが多いからだ。Goblin、Kobold、Orc、そしてGhoul等のraceの集落が乱立し、お互いに争うのでadventurerが間引かなくても勝手に数を減らしてくれる。
だから態々行かなくても別にいいという判断だった。ただ完全に放置するのも問題なので、一定の間隔で調査依頼をguildで出す。それと、同業者が少ないから収穫が期待できるかもしれないと考える少数のadventurerに、Zadirisを狙ったadventurer達のような特殊な目的がある者達が来るくらいだ。
そのため集落のGhoulがadventurerと遭遇して戦いになるのは、年に一回あるかどうかだ。ではVigaroのpupils達が何と戦っているのかというと、Koboldだった。
「ワオォォン!」
「ガルルルルッ!」
Humanと比べるとやや小柄な、犬が直立したような姿のmonstersだ。力はHumanと同じか、少々劣る程度。その代わりAgility性に優れ、群れでの戦闘を得意とする等Goblinより数段頭が良い。
平均的なRankは2で、上位種にはKobold Chief、Kobold Geronimo、Kobold Mage、Kobold King等が存在する。
今pupils達と戦っているのは短剣や弓で武装した通常のKoboldが三十匹、それより一回り以上大きく剣や槍で武装し鎧を着たRank3のKobold Chiefが五匹、そして杖を持ったRank4のKobold Mageが一匹。
対してVigaroのpupilsは十三人+三頭と一featherの編成だ。数では圧倒的に不利だが、GhoulはRank3のmonstersだ。質では勝っている。
それなのに苦戦しているのが、まだ半人前の由縁だろうか。
Ghoulの出生率は低いため、簡単に同族の数を減らす訳にはいかない。いざとなったら自分が加わるつもりだが、Vigaroは最終的には勝てるだろうと思っていた。
何故ならpupils達には突出した戦力が幾つかあるからだ。
『槍斧技、Single Flash!』
強烈な勢いで振るわれたHalberdの刃が、正面のKoboldとその横にいたKoboldの首を纏めて刎ね飛ばす。
『お姉-chanっ、右は任せて! 薙刀技 Double Thrust!』
右から回り込もうとしていたKoboldの喉とsolar plexusに、Glaiveの刃がthrust刺さり背から切っ先が顔を出す。
『数が多いわね、それに素早い。皆っ、焦らずに行くわよっ!』
『前衛はあたし達に任せて、囲まれないように気を付けて!』
Living High-Leg ArmorのSalireと、Living Bikini ArmorのRitaだ。彼女達は半年余りの間Vigaro達Ghoulから武術を学んだ。結果、skillをまだ1levelだが習得し、Martial Artsも使えるようになった。
Martial Artsとは前衛職が技とWeapon EquipmentにManaを纏わせて放つ、通常の攻撃よりも優れた技の事だ。
達人なら一瞬で数十のthrustを放ち、ただの鋳物の剣でGiantな鋼鉄の塊をバラバラに切り裂いてしまう程のMartial Artsを使うが、1levelの初心者の段階では通常の横薙ぎよりもAttack Powerの高い『Single Flash』や、二回突く『Double Thrust』が精々だ。
だが、見ての通り初心者levelのMartial Artsでも十分戦いには有効だ。
後、levelが上がったせいか喋れるようになっていた。これにはSamとVandalieuだけでは無く、Vigaro達も大いに喜んだ。それまで顔も無い珍妙な鎧だけの二人に、どうcommunicationを取れば良いのか困惑し続けていたからだ。
『ゴアアアアア!』
『ウォォォォォォォン!』
そしてBone Monkey、Bone Wolf、Bone BearはRank3のBone Beastから、Rank4のRotten BeastにRank upしていた。
通常種のKobold等既に相手に成らないlevelになっている三頭だが、今回はpupils達の訓練なのでrearguardで-sama子を見ている。
時折毒のBreathを吐いてKoboldを牽制し、吠え声を上げて威嚇している。
『グェェェェ』
『我が子の成長を死後も見守れるとは、私は果報者です』
そしてBone BirdとSamはVigaroと共に戦況を見守っている。Bone Birdは偵察で活躍し、Samは戦闘終了後に活躍する予定だ。
「ワォォォォン!」
自軍が劣勢に傾き始めたのに気が付いたKobold Mageが、Kobold語で呪文を詠唱する。すると、Kobold Mageの前に炎の槍が出現する。ファイヤーBallのような範囲の攻撃ではallyが巻き込まれるので、対象は単体でもAttack Powerの高いmagicを選ぶ知能がある辺り、流石Mageと呼ばれるだけはある。
ごぅっと空気を焼きながら炎の槍が放たれた。標的になったのは、敵の中で目立つ長物のWeapon Equipmentを振るう妙なLiving Armorの内一体。
炎の槍はallyのKobold達の間を縫うように飛び、Living Armorの片割れに迫る。
その炎の槍に、RitaはGlaiveを上段から振るった。
『チェストォ!』
炎の槍が砕け、炎が破片のように散らばり燃え上がる。
普通なら幾ら重量があろうがただの鉄にmagicが斬られるはずは無い。しかし、Ritaが振るうGlaiveは未発見だったDungeonの宝物庫で手に入れた、magic itemだ。炎の槍程度のmagicなら切って、拡散させる事くらいは可能だ。
certainly直撃するよりましとはいえ、拡散した炎を避ける事は出来ない。だが、Ritaが宿ったBikini Armorには炎に対するResistanceがある。しかも body partが鎧だけなので、鎧main bodyが耐えれば火傷の一つも負わない。
「ギャウゥ!」
「ギャイン!」
結果、拡散した炎で被害を受けるのはRitaと切り結んでいたKobold数匹という、Kobold Mageの狙いとは正反対の結果に成った。
『やぁぁぁぁぁ!』
更にRitaはGlaiveを大降りに振り回して、火傷を負って怯んだKoboldを蹴散らして敵陣に大きく踏み込む。それに続けとばかりにSalireを含めるGhoul達が続く。
「ガルルル!」
させるかぁ! っと叫んでいるのか、Kobold Chiefの内二匹がRitaの前に立ちふさがる。虫系のmonstersの甲殻を使った鎧と盾を装備している。
Ritaはその内一匹に、上段からGlaiveを振り下ろした。
すかさず掲げた盾でガギンとGlaiveを受け止めるKobold Chief。grinningと、犬の顔が歪む。攻撃を防御し、その隙にもう一匹のKobold ChiefがRitaを攻撃する予定だったのだろう。
『Single Flash!』
しかし、Ritaの背後にいたSalireが放った横薙ぎのHalberdの一撃がKobold Chiefの上半身とlower bodyを断ち切った。
そんな事をすれば、もしRitaが普通の生物なら彼女もただでは済まない。だが、RitaはLiving Bikini Armorだ。本来内臓が収まっているはずの腹があるspaceには、何も無い。
内臓とbloodをばら撒きながら倒れた自分と同格の仲間の死に、もう一匹のKobold Chiefの動きも止まる。
『せいっ!』
『やぁっ!』
そこをRitaのGlaiveとSalireのHalberdが襲う。Glaiveの刃を盾で受け止め、thrust出されたHalberdの穂先を強引にWeapon Equipmentで回避したまでは、流石Chiefと呼ばれるだけはあった。
「がぁぁぁ!」
だが、そこにGhoul達のclawsが襲い掛かると、Kobold Chiefは対応できずに仲間の後を追う事となった。
「ギャウゥゥゥン!」
四匹いたKobold Chiefの数が半分になり、前線がDecay。Kobold Mageは敗北を免れられないと撤退の指示を出すが、その判断は遅かった。
「肉が逃げるぞ!」
もうpupils達の訓練は十分だと判断したVigaroが参戦したのだ。それを合図にそれまで-sama子を見ていたBone Birdが上空からKobold Mageに襲い掛かり、更にBone Bear達Rotten Beast三匹まで全力で参戦すれば、全てのKoboldが倒れるまでそう時間はかからなかった。
そして周囲を警戒するGhoul以外は、KoboldのDismantlingを行う。まずWeapon EquipmentやDefense Equipment等を剥ぎ取る。Koboldの主なWeapon Equipmentは短剣等で、腕力勝負のGhoulには合わないが木の棒の先端に括り付けて槍の穂先にする事が出来る。鎧もDismantlingして作り直せば役立てる事が可能だ。
Kobold Chiefは普通の長剣や斧を持っていたし、鎧はfurよりも丈夫で軽い甲殻製と利用価値が高い。ボスのKobold Mageの杖も、magicが使えるGhoulには十分お宝だ。
更にKoboldのfurはHuman社会では買い取り価格が付かないが、この物資が限られるDevil Nestsでは敷物や、着るのは一年後になるが冬の防寒着の材料になる。後はKobold Chiefのfangsがknifeや槍の穂先に、Kobold MageのManaが宿ったeyeballや内臓が薬の材料になる。
そしてcertainly肉だ。
因みに、adventurerが必ず剥ぎ取るKoboldの討伐部位の右耳は、見向きもされない。当然だが。
「後、Kobolの実と、葉も収穫していくぞ」
Kobolの実とはDevil Nestsの中でもKoboldが生息している周囲にだけ生えるKobolの木から採れる、特殊なFruitだ。
appearanceは赤ん坊の頭ほどの大きさの、青い皮のround Fruit。シャリシャリと心地良い食感の、甘酸っぱいFruitであるためHuman社会でも流通している。
Ghoul達はそのまま食べるか、若しくは絞ってjuiceに加工する等以外にも重要な用途があるため、Koboldを獲物にした時は必ず収穫していく。
certainly、合計三十五匹のKoboldとKobolの実、葉を持ち帰るのは大仕事だがここでSamが活躍する。
『お父-san、よろしくお願いします』
『ああ、任せておきなさい。でも-chanとblood抜きはしておいてくれたかい?』
『certainlyよ。それに-chanと後でお姉-chanと一緒に洗ってあげるから、安心して』
Ghost CarriageのSamがいるお蔭で、Ghoul達のtransportation Abilityは大幅に上がった。Samは普通の馬車や荷車と違って悪路に強く、また自力で動くのでDevil Nestsでのtransportationに持って来いなのだ。
普通のKoboldの一匹や二匹程度ならあっさり轢き殺す、戦闘Abilityまである。GhoulでなくてもDevil Nestsで大規模な狩りをするadventurerなら、誰でもSamを欲しがるだろう。
Undeadである以上、Amid Empireのadventurerは敬遠するだろうが。
「今日はKobold肉の蒸し焼きだ。美味いぞぅ。
お前達のmasterも気に入ってくれると良いな」
気に入って集落に残ってくれるといいな。そんなVigaroの分かりやすい本音に、SalireとRitaは同意した。
『Bocchanの修業が捗っていないそうなので、まだ暫く滞在する予定です。もうしばらくお世話になります』
『magicの修行って、難しいらしいのよね』
「まだ始めてから一年も経ってないんだろう? それぐらい普通だ」
自身にはmagicの素質が無い――厳密に言えばあると言えばあるのだが、使えるようになるには十年程毎日必死の努力が必要な――Vigaroだが、これでも次期長だ。集落の女達がmagicの習得に苦労しているのを知っていた。確か、五年より短い時間で一人前に成った女は、居なかった気がする。
この分なら暫くVandalieuは集落に留まるだろう。その事に今日の収穫以上にVigaroは満足すると、集落にSam達を率いて戻るのだった。
Koboldの肉は不味い。
Goblin程ではないが他の家畜の肉よりも臭みが強くて、香草や香辛料を大量に使いでもしなければ消えない。消えたとしても肉が筋張っていて、とても硬く食えたものではない。
なのでHuman社会では余程飢えない限りKoboldを食べようと考える者はいない。しかし、Devil Nestsに集落を構え日々狩猟と採集で生活の糧を得るGhoul達は違った。Goblin肉の加工法を発見した彼らは、同-samaにKobold肉のCooking法も発見したのだ。
Kobold肉を適当な大きさに切り分け、そこにKobolの実を薄く切った物を乗せる。そして更にKobolの葉で包んで、蒸し焼きにするのだ。
するとKobold肉は驚くほど柔らかくなり、また臭みが丁度良く抜け、やや癖が強いがそれも個性だと思える程度の味になる。
驚くほどの美味という程ではないが、maybe Humanでも普通に食べられるだろう味だ。プロのChefが手を加えれば、更に美味くなるだろう。
この大発見がHuman社会に知られれば、一大センセーションが巻き起こ――らないだろう。Kobolの実が一個十Amid、円換算すると千円で売られているconditionを考えると。
だが普通なら市場価値の無いKobolの木の葉だけでも蒸し焼きにすれば、臭みと硬さが大分マシになるそうなので、その日食べる物にも困る貧民なら喜んで食べるかもしれない。
「まあ、それだと商売じゃなくてただの福祉政策だけど」
そもそもそんな貧民が存在するかどうか知らないVandalieuは、そう思いながらKobold肉を食べていた。
出来上がった物に胡桃のsauceをかけると更に美味しくなるので、ZadirisやVigaro達に勧めてみると大変喜ばれた。意外な事に、Ghoul達はCooking法を工夫する事はあっても、sauceまでには頭が回らなかったらしい。これも食文化の違いだろうか。
お蔭で現在のVandalieuの集落での主だった仕事は、胡桃のsauce作りだ。幸いな事にこのDevil Nestsでは一年中胡桃が採れるので、幾らでも材料は手に入る。それに数人の女Ghoulも手伝ってくれるので、仕事量はそう多くない。寧ろ楽しい。
問題は塩の備蓄が少なくなってきている事か。またmountain banditでも探して襲おうか。塩があれば胡桃味噌にも挑戦できるし。
その前に胡桃と同じように一年中落ちているドングリで、今度クッキーでも作ってみようか。丁度良い事に、集落の近くに小川があるのでドングリの灰汁を取るのに利用できる。そろそろタンパク質だけでは無く炭水化物も欲しいので、挑戦してみよう。
「これが社会貢献というか、社会の一員になるという事だろうか。日々が充実しているのを感じます」
「まだ二ageになっていないのを忘れそうな発言じゃな。大いに助かっておるが」
苦笑いを浮かべるZadirisだが、Vandalieuの集落に対する貢献の大きさを否定するつもりは無かった。胡桃sauce以外にも、戦力としてSalireとRita、Sam達をVigaroに預けているのが特に大きい。Vigaro達から訓練を受けているという点を差し引いてもだ。
SalireとRitaに関しては、彼女達自身はただのMaidの霊だが宿っているmagic itemの鎧の性能が優れているため、今のconditionで並のGhoul以上の戦力になっている。
それに元がHumanであるためGhoul達より勤勉なので、若い衆にも良い刺激を与えているようだ。
彼女達はVandalieuに従っているので、彼女達の貢献はVandalieuの貢献というのがZadiris達の認識だ。
個人的に気に入っているという理由もあるが、できれば集落に留まって欲しいと思うし、それが無理でも少しでも長く滞在して欲しいが、それでも修業には手を抜かないのが彼女のpolicyだ。
「しかし、No-Attribute Magicの修行はまだまだじゃな。まあ、特別遅いという事はないが」
「思ったよりも難しいですよ、attributeを帯びる前のManaをそのまま練って形にするのは」
Death-Attribute Magicが使えるのだから、それよりずっと基本的なNo-Attribute Magicくらいすぐ習得できる。そんな考えが全く無かったと言えば嘘になるが、大きな間違いだった。
素のままのManaのconditionを維持して形にし、術をActivateするのは思っていた以上に困難だった。なまじDeath-Attribute Magicが使える分、Manaにattributeを帯びさせる事を常に行っていたため中々上手くいかない。
そもそもVandalieuにあるのは膨大なManaとEarthで読んだサブカルチャー等で育んだ想像力や発想であって、magicのaptitudeそのものは乏しい。
Originでは短期間でDeath-Attribute Magicを極めたが、それは人格が歪むほどの決死の集中力と倫理観以外はworld最高峰の研究者達による非人道的な強制Back upによるものだ。それが無ければVandalieuは凡人に過ぎない。
ただ、Mana量が多いので常人よりも長い時間をmagicの修業に費やす事が出来る分有利ではあるのだが。
「まあ、儂も最初に【No-Attribute Magic】のskillを獲得するには三年かかったからの。焦らずやる事じゃ。
ほれ、儂の分の肉をやろう」
そう言いながらニコニコと微笑みながら葉っぱに乗ったKobold肉を勧める。本人としては祖母と孫に近い感覚なのかもしれないが、見た目はageの離れた姉弟だ。
勧められたVandalieuはZadirisと葉っぱの上の肉を見比べて、「良いんですか?」と聞いた。肉には、殆ど食べた跡が無かった。
「うむ。少々appetiteが無くてな。年寄りはあまり動かんから、食べる量も少なくていいのじゃよ」
皺一つ無い顔でそう言うが、実際ZadirisはVandalieuや集落の若い女達に修業を付ける以外では、すぐ「疲れた」と言って休むようになっていた。
見た目は十三、四のShoujoだがZadirisの実ageは二百九十を超えている。だからそうなっても無理も無いageなのだが……。
『死相が見える』
Vandalieuの目には、Zadirisの優しいSmiling Faceに死相が浮き出ているのが見えていた。
今すぐどうこうという類の物ではないが、早ければ数日。遅くとも自分の二ageの誕生日までには彼女の命は消えるだろうという程度には、濃い死相だ。
Ghoulの寿命は三百ageだから、それよりいささか早いがおかしくないageだ。寧ろ、生存競争が激しいDevil Nestsでの暮らしでここまで生きたのだから、大したものだろう。確実にbloodの繋がった孫こそいないものの、大往生と言える。
このまま穏やかに、何事も無いように見送るのが正しい自然の営みというものだろう。
「Zadiris -san、ちょっと二人きりになれませんか?」
でも、何事も自然のままが正しいとは限らない。生命の法則に逆らうのならもう少しskillのlevelを上げてからにしたいところだが、やってみよう。
暫く前に、驚かせ過ぎて寿命を削ってしまったらしいから責任を取る意味でも。
・Name: (Bone Monkey Bone Wolf Bone Bear)
・Rank: 4
・Race: Rotten Beast
・Level: 7~10
・Passive skills
Dark Vision
Mysterious Strength:2Lv(UP!)
Spirit Form:2Lv(NEW!)
・Active skills
Silent Steps:2Lv(UP!)
Breath【Poison】:1Lv(NEW!)
・Monster explanation:
Rotten Beast
Rankは4。Bone Beastが宿った魂の怨念や、殺してきた生物の無念によりmiasmaをboneに宿したmonsters。body partを構成するboneは所々黒ずんでおり、柔軟さはそのままに鋼鉄並の強度を誇る。更に、どんな動物のboneが元に成っていても共通して毒のBreathを吐く。
DClass adventurerにとって、毒のBreath対策があれば一匹ならそう恐れる必要は無いが、元に成った動物によっては群れる性質がそのまま受け継がれているため、討伐にはpartyを組む事をAdventurer’s Guildでは推奨している。
・Skill explanation:
【Coordination】
このskillを持つ者同士が、協力し合う場合作業効率や結果に補正がかかる。Engineering工事の場合missが少なくなり作業paceが上がり、戦闘ならAttack PowerやDefense Powerがincreaseする。
補正の大小はこのskillのlevelと、skillを持つ者の人数によって変わる。
このskillの習得に適性があるのは数人規模で行動する事が多いadventurerよりも、大人数で行動する事が多いSoldierやEngineering作業員が多い。
monstersの場合、群れる習性があっても仲間意識や連帯感が薄いと習得できないため、GoblinやOrcは習得していない。主にKoboldやGhoul、Wolf-species等のmonstersが習得している。