元CClass adventurerにしてUndeadに関する研究を行っていた生命Mage、『Degenerate』のLuciliano。
現在彼はその前歴よりも、数々の王のsecondary nameを持つTalosheimの国王、Vandalieuの直pupilsとして知られている。
この物語は、彼が残したreportや研究書、論文、日記等を基に再編されたものである。
MageとはJobである事はcertainlyだが、文献を読み研究と実験、実践と訓練で研鑽を積み、そして研究結果を記して纏める生き物の事を言う。修業したMage guildをほぼ破門同然に追い出された私、Lucilianoもその例外ではない。
adventurerやmercenaryの中には飲み水や火種を作るための簡単なmagicや、物理攻撃が効き難いmonstersに対抗するために初心者用の攻撃magicを学び、skill levelを1から2程度まで習得した者もいるが、それはMageとは基本的に呼ばれない。
それはmagicが使えるだけの者だ。Mage guildでは、magic使い等と呼ばれて揶揄される事もある存在である。
そんなMageである私にとって、重要なのは筆記用具だ。これには以前から苦労していた。何故なら紙は基本的に高価だからだ。とは言っても貴金属程ではない。日常的に、使いたいだけ自由に消費出来る程安価ではないという意味だ。
それにRoyal Nobilityがletterや書状を認めるための物や、長期にわたって保存する必要のある書類に使う高Class紙以外にも、比較的安価な紙も存在する。
私も手触りや書きやすさ等にはenduranceしてそれらの紙を使うのだが、安価な紙はやはり三流品である。使い心地は良くないし、保存性も劣る。更に、結局大量に消費できる程安価ではない。
他にも木の皮や葉をDryingさせて紙の代用品にする事も多い。Adventurer’s Guildの依頼ボード等に張られている依頼書の写しは大体それだ。昔は本物の紙を使用していたguildのbranchもあったそうだが、荒くれ者のadventurerがボードに張られた依頼書を破り取る事が多く、書き直しの為に多大な経費が掛かったため今では代用品を使うようになったそうだ。
そして代用品はメモ程度ならin any case、保存の問題で研究の過程や結果を記すのには向いていないので私はあまり使わない。
adventurer時代の私にとって、紙代は頭の痛い問題だったのだ。
それに比べて師Artisanが治めるTalosheimは天国のような場所だ。
私が来る前はそうでもなかったそうだが、今では藁半紙が大量Productionされている。大量Production、素晴らしいではないか。品質は高Class紙には及ばないが、十分紙として使える物を安価に手に入れる事が出来るのだ。
特に私の研究は師Artisanによって国Housework業として認められているので、経費で手に入れる事が出来る。
去年には高Class紙を作るGolem工場が稼働し、印刷機Golemまで出来た。国民の識字率もincrease中。将来Talosheimの紙のProduction量と需要は他の大都市に勝るとも劣らない物に成るだろう。
とは言え、私は紙の研究者ではない。Undeadの研究を行っているMageだ。
だから師Artisanが創りだしたGolemについてまず述べよう。
我が師Vandalieuが作りだしたGolemは、全てUndeadだ。
通常のGolemはalchemistが人型の素材にLife-Attribute Magic等で生命を与えて使役する物だ。しかし、師Artisanが作るGolemは無機物に霊を憑りつかせて動かしている。
悪霊がWeapon Equipmentや鎧に憑りついて動き出したとされるUndeadのCursed WeaponsやLiving Armorに近い存在である。
そのため師Artisanが作ったGolemは対Undead用のLight-Attribute Magicにweakという弱点を持っているが……初見でこの弱点を見破る者はほぼ居ないだろう。
何にしても、興味は尽きない。
「そんなにGolemが興味深いですか?」
しかし師Artisan本人はあまり興味を持っていないようだった。師Artisanにとっては手足を動かすのと同じ感覚で出来る事で、研究するに足る事ではないからだろう。
「certainlyだとも。出来れば、Golemを動かしている霊にインタビューしたいのだが、協力してくれないかね?」
最近では師ArtisanのGolemも勝手に進化していて、損傷を受けたり体積が少なくなったりするとbody partを構成する素材と同じ素材を自動的にAbsorptionして補う【Absorption】skillを獲得している個体が出ている。
お蔭で紙製造工場の繊維Golemが我が身を削って紙を作って小さくなっても、材料をGolemに流し込むだけで元通りに成るらしい。
便利この上ないが、宿っている霊が何を考えているのか、どんなconditionなのか興味は尽きない。
それを確かめるためにインタビューに協力願ったのだが、師Artisanは「成果は期待しない方が良いと思いますよ」と言った。
そして残念ながら、師Artisanが言う通り成果は殆ど無かった。
Golemに宿った霊はbody partである無機物のimpactを大きく受け、短い年月で生前の人格をLost、若しくは変質させてしまうらしい。確かに、人の意識のまま紙製造器や印刷機に成ったら耐えられないだろうから当然かもしれない。
結果、師Artisanの通訳でインタビューは出来たが、意味のある回答は無かった事を記しておく。
最近師Artisanが【Zombie Maker】なるJobに就いた。Zombieを作る者……何と素晴らしい。
Zombieなら私もLife-Attribute Magicで作るのだが、恐らくこのJobはDeath-Attribute MagicでZombieを作ると就けるJobなのだろう。
実際、師Artisanが作ったZombieの性能は、私が従来通りの方法で作ったZombieとは比べ物に成らない。作ったばかりの頃はあまり変わらないのだが、その将来性に大きな差があるのだ。
それはin any case、そんな素晴らしいJobに就いた師Artisanが、roomの隅で足を抱えて座り込んでいる。
「何か都合の悪い skillでも生えたのかね?」
過去のrecordでも未発見のJobに就いた者が、望まないskillを獲得してしまう事があったとある。Jobは選べても、skillの獲得の有無は選ぶことが出来ないからだ。
危険なJobは名称からして変わっているので、それを避ければ致命的な事態にはそうそうならない。しかし、師Artisanが就けるJobはほぼ全て危険なJobなので、避けようがないのだが。
案の定、不都合があったようだ。普段よりも鈍い動きで顔を上げた師Artisanは、重々しく口を開いた。
「skillは生えなかったのですが……油断すると無意識に周囲の死体をZombie化してしまうようになりました」
「ほうっ! それは素晴らしいが恐ろしい事じゃないか、師Artisan!」
周囲の死体を無意識にZombieにするMage。そんな者が戦場に一人居れば……いや、師Artisanは前からこれに等しい存在だが。
「つまり、いちいち術を使わなくてもZombieを作れる。その際消費するManaの量も、少なくて済むようになったと」
変更点はそれぐらいらしく、師Artisanも頷いた。
術を使わなくても自動的にZombieを増やせるなら、効果は大きいか。
しかし、それの何処が問題なのだろうか?
「何故落ち込んでいるのかね、師Artisan。確かに戦場跡を横断する予定があるのなら、増えたZombieをどうするか頭が痛いだろうが、今居るのは我が国の王城ではないか。死体はそうそう無いだろう」
TalosheimにはUndeadが多いが、Undeadではない死体は無い。治安が良く、食糧事情が良い為不慮の死は他の都市と比べて圧倒的に少ない。
sickが出ても重Diseaseなら師Artisanがひょいと治してしまうし、重いinjure人にはpotionが支給される。
だから師Artisanが落ち込むような事は無いと思うのだが。
「そうなのですけど、食材や鞣した皮やfurがZombie化するので、controlできるようになるまでCooking場やTarea達の工房に近付けなくなりまして」
「……それも死体に入るのかね」
確かに、食材も皮も死体の一部と言えば、一部だが。
Zombie化しても、その瞬間食材がDecompositionする訳ではない。ないが、Cooking中に食材が蠢くのは良い気分ではないだろう。
それに武具を作っている最中に材料が暴れ出したら危険だ。
「これでGubamonの所から奪って来たZandiaやJeenaの調整に役立たなかったら、Jobに就いた意味が……」
「まあ、将来的には役立つのではないかね?」
急に大量のZombieで軍勢を揃える必要がある時とか。maybe、師Artisanならあり得る事だと思うのだが。
師Artisanの元で得られる知識は貴重だ。その中で私にとって二番目に貴重なのがanother worldの知識である。
「このworldでも正しいかは分かりませんけどね」
そう前置きされて語られるanother worldの生物に関する知識は、私にとって黄金や宝石よりも貴重な物だった。師Artisanにとっても、Life-Attribute Mageであり死体の腑分けを幾度も経験している私に話す事で、another worldとこのworldの差異を確認する意味があったようだが。
certainly、師Artisanの言うところの高度な検査機器が無い為、確認が出来ない事も多いが。
「総合すると、基本的にHuman、Elf、Dwarf、Ghoul、Giant race、Beastmenのbody partの構造そのものは『Earth』や『Origin』のHumanとあまり変わらないようだ」
耳やeyeball、nerve、Venom glandsの有無などは違うが、bone格や内臓の数や位置、muscleの配置等は大体同じだ。恐らく、Dark Elfもほぼ同じだろう。
RyuujinやScylla等の異raceのbody partの構造は大きく異なるが、このworldに最初に存在したHuman、ついで創られたElfとDwarfがanother worldのHumanとほぼ同じ構造をしているのは、とても興味深い事だ。
「magicの有無や異なる点も多いworldのHumanが、ここまで近いのがただの偶然で在るはずがない。恐らく、Humanを作る時の雛型の-samaな情報がworldの垣根を越えてGodsの間で共有されている? それとも単に、人として創りやすい、若しくは生きる上で効率の良い形はworld共通なのか?」
「考えようによっては背教者扱いされそうな事を遠慮無く口走りますよね、Lucilianoって。
でも実際殆ど同じですよね。Scyllaも上半身はHumanに近いですし。単にRodcorteがLambdaの『Human』と形や生態が似ている『Earth』で死んだ俺達を選んだ結果かもしれませんが」
「なるほど、その可能性もあるか。originally神の意思によって行われたreincarnationなのだからな。それに、Demon King達がoriginally存在していたworldの例もある。legendでは、悍ましく邪悪で冒涜的な生命体しか存在しなかったと文献にはある。
その辺り、神に直接聞いてみたかね?」
何と我が師Artisan、神と知り合いである。しかも二柱と。
彼等に直接質問すれば、この謎の手掛かりが得られるはずだが――。
「FidirgはDungeonの最深部に行けばすぐ出て来てくれますけど、あまり呼び出すのも悪い気がして。
Merrebeveilは逆に中々招いてくれないのですよね。恥ずかしがり屋なのかもしれません」
「……中々思うようにはいかない物だね」
一足飛びに神秘のベールを剥がす事は出来なかったが、師Artisanからの知識によってbone格やmuscle、臓器の正しい働きに関する知識を得られたのは、Mageとしても研究者としても大きかった。
師Artisanのpupilsに成った事で私が得られる最も貴重な知識、それはUndeadに関する知識だ。これに比べればanother worldの知識も霞む。
私もadventurerをしながらUndeadの研究をしていたので、Mage guildの書庫に籠っている連中よりは生のUndeadを知っているつもりだ。しかし、師Artisanの元でUndeadを観察して得られる知識とは質が全く異なる。
Devil NestsやDungeon、そして戦場跡等で自然発生するUndeadは、ほぼ例外無く生きとし生ける者の天敵だ。安全に観察する事などできない。寧ろ、戦いながら危険な観察をする事が殆どだ。
会話や交流など望むべくもない。
唯一の例外は自分や同業者が作り上げたUndeadだが、それは死体にmagicで偽りの生命を宿らせたもので、本来のUndeadとは似て非なる物だ。観察対象としては、ほとんど意味が無い。
それに対して師Artisanが治めるTalosheimでは、何とUndeadが国民として社会生活を営んでいるのだ。
多少言動が異常な者もいるが、殆どが生前に近いIntelligenceと人格を維持している。
私にとっては、正にユートピアだ。
『待った!』
「待ったはnoneだと決めたではないか。男に二言は?」
『ぬぅぅぅ、二言は無ぇ! 持って行きやがれ!』
「では遠慮無く」
それは賭け将棋で『Sword King』Borkusに勝ったからではない。これも観察である。
因みに、TalosheimではgamblingはState Managedの場所で行われる物のみ認められている。
何でも師Artisanが一度目の人生を過ごしたEarthでは、賭け事は裏社会に片足を突っ込んだ連中が牛耳る、真っ当な者は近付くべきではない後ろ暗い場所だったらしい。
maybe、かなり偏見が混じっているのだろう。話を聞くと、師Artisanが居たEarthのJapanと言う国は、このworldより治安が良さそうだから。
そのため師Artisanは賭場や賭け将棋や賭けReversiに消極的だったのだが、Human社会を知るEleonoraが「なら、State Managedの賭場やcassinoを置いて管理する方が良いんじゃないかしら?」と言った事で、考え方を変えたようだ。
それに、師Artisanもgamblingは嫌いではないらしい。……gambling自体が好きなのではなく、金持ちらしい雰囲気を演出するのが好きなようだが。
そのため賭け金の上限やレートが決められたState Managedの賭場やcassinoが設営されたのだ。
「もう一勝負如何かな?」
チップで山を作りながら誘うと、Borkusは悔しげに唸ったが乗っては来なかった。
『止めとくぜ。幾ら小銭だってこれ以上は無駄遣いすんなって、Gopherにどやされるからよ』
再会した一人娘のnameを出すBorkusに、私は感心すると共に研究者として彼の言動をMemoryした。
Undeadに関するMage guildの常識では、彼等の頭の中は獣同然に空っぽか、生者に対する憎しみで満ちているとされている。もしくは、生前の知識は残っていても狂っていて正気を失っているか。
Ghostのような生前のMemoryを残していて会話が可能なUndeadの場合も、それはまだ『残っている』だけで、時が経てば消失して他のUndeadと同じ生者の天敵と成り果てる。
そう説かれている。
しかし、TalosheimのUndeadは異なる。
生前に近いIntelligenceやMemory、人格を維持している。Mage guildのお偉方の誰一人想像した事も無いだろう。盤上遊戯に興じ、賭けを行い、更に自制心を働かせてfamilyの忠告を聞くUndeadなんて!
私だって師Artisanにpupils入りする前だったら、我が目で見ても信じなかっただろう。
certainly、本質的にUndeadが他のmonstersより特別頭が悪い訳ではない事は、誰もが分かっている。
生前と同-samaにWeapon Equipmentを使いこなすKnightのUndeadや、生前行っていた高度なCoordinationを維持しているUndead Transformationしたadventurer party等のrecordは幾らでも残っている。magicを唱えるLichやスカルMage等のUndeadは、程度の低いチンピラよりも頭が良いと言えるはずだ。
少なくとも、木の棒きれを振り回すだけのGoblinやOrc等よりは、高い知能を持っているはずだ。
だが、世間的にそれも生前の「名残」であると解釈されている。
しかし、Borkusを含めるTalosheimのUndeadを観察していれば彼等が高い思考力を持っている事がすぐ解る。
この認識と経験は研究者として、Mageとしてanother worldの知識よりも得難い物だと私は断言する。
『ところでよぉ、あれについて坊主から何か聞いてねぇか?』
Borkusの質問に、私は淡い感動と喜びの中に居た私を引き戻された。彼が指差す先に在る物に付いては、Undeadとは関係無いが私も疑問に思っていた。
「Bunny Girlか」
飲み物や軽食を運び、将棋盤やビリヤード、ダーツの片付けや準備を行っている扇情的で奇妙な格好をしているfemale従業員。彼女達を師Artisanは「Bunny Girl」と呼称している。
肩や背中が剥き出しで、(あれば)胸の谷間や腰の形が露わな格好。これも師Artisanが編んだ網タイツを穿いているので肌は晒していないが、脚や尻に張り付いて逆に卑猥なのではないだろうか?
そして何より奇妙なのは兎の耳そっくりな飾りの付いたヘアバンドに、尻の上に付いた兎のtailそっくりな飾りである。
「詳しくは知らないが、師Artisanが居たEarthのcassinoではfemale従業員はああいう格好をしていたらしい」
『マジか? EarthってHumanしか居ないんだろ? Rabbit-species Beast race狂いって訳でもネェだろうに』
「師Artisanも何故兎なのかは知らないらしいが……Earthでは兎はFortuneの象徴とする地方があるらしいから、それが関係あるのではないかな? 後、male客をのぼせさせるためだろう」
『へぇ、そうかい。まあ、色っぽいから俺は嫌いじゃねぇが……Rabbit-species以外のBeast raceが働く時はどうすんだ?』
自前のAnimal Earsとtailが生えている他のBeast raceのfemaleがBunny Girlの格好をしても、不格好だろう。そう心配するBorkusに、私は苦笑いを浮かべた。
「さてね。フォックスガールやWolfガール、Pantherガールに成るだけではないかな」
それほど深い興味がある訳でもないので適当に答えただけだったが、それで彼は納得してくれたらしい。残っている方の顔に納得の表情を浮かべた。
『なるほどな。確かに、Earthと同じようにバニー限定にしなくても良いよな』
Earthもバニー限定である訳ではないと思うが。
因みに、このすぐ後『VIP席』と書かれたプレートが置かれたtableに座った師Artisanを見つけてBunny Girlについて改めて聞いてみたが、予想通りの答えが返ってきた。
「詳しい理由や由来は知りませんけど、cassinoにはBunny Girlらしいので」
どうも我が師Artisanは世俗的なluxury……luxuryっぽい事をしたがる傾向が強く、一周回って浮世離れている。
一度金塊の風呂に入ろうとして失敗したと聞いた時は正気を疑ったものだ。
今もBunny Girlの格好をしたZadirisやBasdia、Eleonoraを周りに侍らせ、tableには金色のチップで山を作っている。
「ところで師Artisan、賭けには勝ったのかね?」
「……惨敗しました」
しかも、師Artisanは盤上遊戯とgamblingが苦手だ。がくりとtableに突っ伏してしまう。
「意地の悪い質問をするな、このチップの山が黄銅鉱で作った玩具なのは見ればわかるじゃろうが」
因みに、黄銅鉱とは偽の金と呼ばれる金属で撃ち合わせると火花が出る事から、火打石に使われる事もある。その程度の価値の鉱物だ。つまり、ただの演出である。
因みに、VIP席と書かれたプレートも師Artisanが自作した物で、勝手に置いているだけだ。
「Vandalieu -sama、前々から思っていたのだけどこの不遜なpupilsを教育すべきよ」
「Lucilianoはpupilsであると同時にご意見番でもあるので、不遜なぐらいで丁度良いのです」
Eleonoraが恐ろしい提案をするが、幸いにもtableに突っ伏したままの師Artisanはそれを採用するつもりは無いようだ。
「勘弁してくれ。元偽Resistanceの彼等のように成るのは御免だ」
偽ResistanceのHaj達は、私が見かけた時は猟奇的な目でWeapon Equipmentを舐めるBerserkerと化していた。Jobも【Berserker】らしいので、既にAttack PowerだけはDClass adventurer並らしい。
「あれは私もどうかと思うぞ。あのままだと長生きは出来ないだろう」
Bunny Girl姿で見事な胸元や逞しい広背筋や脚線美を露わにしているBasdiaも、問題だとは思っていたようだ。
師Artisanは暫く黙考していたようだが、ふと顔を上げて言った。
「じゃあ、長生きできるよう頼りになるpartnerを支給しましょう」
「partner?」
ツーマンセルでも組ませるのか。しかし、支給とは?
「Haj達に教官ではない、partnerのLiving Armorを支給します」
「なるほど、それなら高性能なDefense Equipmentも渡せて一石二鳥だな。鹵獲しようにも、倒されなければ自力で逃げるだろうし」
「素晴らしい、流石師Artisanだ」
Living Armorとはいえ、Undeadを師Artisanから長期間離れたconditionでHaj達がTamerし続ける事が出来るのか。
師Artisanから長期間離れたUndeadはどうなるのか。
その実験結果に興味があった私は、Basdiaと同-samaに師Artisanの案に賛成するのだった。
Mage guildではUndeadには無い、若しくは乏しいとされるAbilityがある。それが発想力や芸術的な感性、想像力だ。
これは長年Undeadと戦ってきたadventurerからの証言、時にはUndead TransformationしたMageの残した遺物等を調べた結果分かった、ある程度信用できる通説だ。
研究を続けるために生きたままUndead TransformationしたMageが残した研究recordを読み解くと、発想力や想像力が時と共に摩耗していくのがよく解る。
Undead Transformationした芸術家が作りだしたとされる作品は、生前に自身が創りだした作品の延長か、ただの落書きでしかない。
それが常識だと思っていた私にとって興味深い事に、TalosheimではそうしたCreation的な事を行っているUndeadが存在する。
それがUndead GiantのDataraとNuazaだ。Blacksmith場で鎚を振るうDataraは言うまでもないが、NuazaはChurch of VidaでTemple Headをする傍ら、師Artisanの石像やGodsのIdol Statueを彫っている。
どちらも分野は違うが、Creation的な作業を行っているUndeadだ。
彼等に上記の通説について聞いてみたのだが、意外な答えが返ってきた。
『間違っちゃいないじゃろう』
『私も正しいと思いますよ』
てっきり否定されると思ったが、二人は驚くべき事に通説を肯定した。
「それは一体何故そう感じるのかね? 私の目から見ると、二人とも生きている者となんら変わらない仕事をしているように見えるのだが」
『それはな、傍で見ているからそう見えるだけじゃ。儂はTareaの嬢-chan達や、新入り連中の助言を聞いて何とかしとるだけじゃわい』
師Artisanたちによって持ち込まれる数々の新素材を使って武具を作り続けるBlacksmith師のDataraが言うには、彼自身は今まで培った技を振るっているだけで、頭はそれ程使っていないそうだ。
『儂はお前-sanと違って学は無ぇから確かな事は言えんが、発想力っちゅうのはあれじゃ、新しいideaを思いつく事じゃろう? 儂はそれが苦手でな。今までのやり方じゃ上手く行かんで困った時は、大体相談に乗ってもらっておるんじゃよ』
complexionの悪い頑固爺そのものの顔で、意外と柔軟に他人の意見を聞き入れている事を告白するDatara。
Nuazaも大きく頷いた。
『私も石像を彫る時は、大して頭を使っている訳ではありません。見たままを彫っているだけですので』
「確かに師Artisanの石像はどれも美化されていない、当人が混じっても気が付かない程そっくりだ」
時々、本当に混じっている事がある。特に【Demon King's Ink Sacs】を手に入れてからは、石色に変えた墨でwhole bodyを塗って偽装するので、近付かなければ見分ける事は難しい。
……そんな悪戯にlegendの【Demon King Fragment】を使っていいのだろうかとか、自身の一部をそんな事に使われていると知ったらDemon Kingは何を思うだろうとか、それらの雑念は棚の上にでも置いておこう。
「しかし、直に見る事が出来ないGodsの像はどうやって彫っているのかね?」
Nuazaは『Evil Dragon God of Five Sins』Fidirgや『Evil God of Slime and Tentacles』にしてScyllaのHeroic GodのMerrebeveilのIdol Statueも彫っている。師Artisanじゃあるまいし、直接目で見てGodsの像を彫る事は出来ないだろう。
実際に見た事が無い存在の姿を彫って石像にする。間違いなくCreation的な行為だ。
『いえ、大体Mikoがこんな感じだったと【Golem Transmutation】skillで大まかな形を見せてくれますので』
「……そうかね」
『私はそれを基に彫れば良い訳です』
神と直接会える師Artisanが見本を提供したらしい。
『まあ、儂は死ぬ前にはもう頭の固い爺じゃったからな。その頃には若い連中より発想力が無くなっていたかもしれん。
じゃが、今は若返った気分じゃわい』
『仕事場にTarea -san達Ghoulのfemale職能班が多いからですね。
ああ、Luciliano -dono、私が石像を彫る-samaになったのはUndead Transformationした後なので、あまり参考に成らないと思いますよ』
どうやら、この二人の意見を聞くだけでは通説を肯定する事も否定する事も出来ないようだ。
これからも地道に証言を集めるとしよう。