Gubamonが【Familiar Spirit Advent】skillをActivateした際に遣わしたFamiliar SpiritをVandalieuに砕かれた『Evil God of Joyful Life』Hihiryushukakaは、驚くと同時に安堵していた。
嫌な予感がしたので咄嗟に替えの利くweak Familiar Spiritを派遣したお蔭で、被害を最小限に抑える事が出来たからだ。
もしGubamonを助けるためにSpirit Cloneでも派遣していたら、今頃自分がbone肉を砕かれ痛みにのたうち喘いでいただろう。
『……この後はTernecia同-sama砕かれるDestinyか』
その後予想通りGubamonは敗れ、魂をその手の内に握られた。その代償に、予想以上の情報をもたらしてくれた。
ここ十万年の働きの収支を総合的に考えれば、出来たSubordinate GodだったかもしれないとHihiryushukakaは思った。
狂乱しbelieverである手下のVampire達を殺し尽くしつつある時点で、HihiryushukakaはGubamonを半ば見限っていた。believerをOfferingとして捧げるでもなく、ただ虐殺して数を大decreaseさせるのはやりすぎだ。
しかし Terneciaが消滅し、彼女の代わりが手に入る目途も無い今、Gubamonを完全に切る事は自ら手札を減らす事でもある。
だから暫く-sama子を見ていたのだが、そのお蔭であのDhampirが「魂を砕く」以外にも厄介なskillを得ている事が分かった。
『まず、UndeadをTamer出来るAbility。お蔭でGubamonが作り上げた戦力がほぼ無意味と成った。
次に【Demon King Fragment】を使いこなす莫大な、しかも Demon Kingに近しい性質のMana』
他人が作った既存のUndeadすらTamerできる、Hihiryushukakaが与えるblessingsの完全な上位互換。
更に複数のfragmentを同時使用するような、本来なら瞬く間に【Demon King Encroachment】skillのlevelがincreaseし、正気とManaが尽きてrunawayするような事を平気で可能にするMana量とその性質。
特に後半は厄介極まりない。【Demon King Fragment】は強力だ。部位によって差はあるが、whole bodyをMythrilやAdamantite製の上Classやlegend Classの武具を纏ったHero相手でも、fragment一つさえあればそれだけで戦う事が出来るのだから。
しかし、所詮借り物の力だ。GubamonやTerneciaはMartial Artsと組み合わせる等工夫していたが、それでも使いこなしているとは言い難い。
だがVandalieuは当たり前のように使いこなしている。しかも何時の間にか持っていた【blood】に、Terneciaから奪い取った【horn】に加え、『Evil God of Slime and Tentacles』Merrebeveilが持っていたはずの【suction cups】と【ink sacs】まで持っている。
あのVidaに入れ込んだEvil God (M)はこの十万年、Scyllaを通してしか活動してない。そうである以上、奪ったのではなく授けられたのだろう。
Vandalieuが引き連れていたGhostの中に、ScyllaのGhostも含まれていたのをHihiryushukakaはGubamonを通して見ていた。
そして今はGubamonが持っていた【carapace】を奪い、五つ。
厄介な話だ。【Demon King Fragment】は単独でも強力だが、複数のfragmentを組み合わせればより強い力を発揮する。originally全てのfragmentが組み合わさって、Age of Gods Era Hihiryushukakaを含めた邪悪なGodsを率い、Champion達を苦戦させその内四人までを討ったDemon King Guduranisを成すのだから当然だが。
『さらに厄介なのがJobか。Terneciaが末期に案じていた-samaに【Guider】系のJobに就いていた-sama子。更に、あれは【Hostility】skillを持っているな』
【Hostility】は、【Goblin殺し】や【竜種殺し】のような特定の相手に所有者がDamageを与える場合それをAugmented (2)する固有skillの、Superior Skillだ。
その効果はsimpleで、所有者に敵対する全ての対象に与えるDamageをAugmented (2)する。
お蔭でGubamonは【Magic Eye of Destruction】を跳ね返された時、更に大きなDamageを受けてしまった。そして相性が悪い事に、彼は【Demon King's Carapace】をActivateさせ攻撃をEnhanced (1)したDefense Powerで耐えるformになった。
Damage Augmented (2)効果が常時Activateしている相手からの攻撃を、あえて受ける事を選んだのだ。
今にして思えばGubamonがもし【Magic Eye of Destruction】や【Demon King Fragment】に頼らず、得意のSpace-Attribute Magicと武術で堅実に戦えばもっと勝ち目もあったろうに。もっと言うなら、手下をUndeadにせず近くに待機させていれば時間稼ぎや囮等に使え、tacticsの幅が広がったはずだ。
つまりGubamonは手下を殺してUndeadに変え始めた頃から、常に自爆していたのだ。
手下をUndeadにしたため態々敵に戦力を進呈してしまい、【Abyss】の力を持つ者に過信していた【Magic Eye】を使って跳ね返され、DamageをAugmented (2)するskillを持つ相手に対して、【Demon King's Carapace】をActivateさせ攻撃を受けて耐えるstyleを取った。
Vandalieuが体内から出したmonstersやMiles達元手下を攻撃したのも、双方のMana量を比べると悪手だろう。
時間は稼げるかもしれないが、そのためにGubamonは莫大なManaを支払っている。対してVandalieuがそれを防ぐのに使ったManaの数字自体はGubamonのMana消費量より大きいが、彼が持つ総Mana量に比べれば大した量ではなかったはずだ。
敵と殺し合いながら自分の首を絞め続けていたら勝てる訳がない。
だが問題は既に滅びる事が確定しているGubamonではなく、Hihiryushukakaに唯一残ったminions、BirkyneがVandalieuを殺せるかどうかだ。
Attack PowerではTerneciaに、Defense PowerではGubamonに負けるBirkyne。彼にVandalieuへの勝ち目は在るだろうか?
BirkyneもPure-breed Vampireとしての力はTerneciaやGubamonと互角。magicも武術も高い水準で使用でき、更に直接戦闘には向かないがDemon King Fragmentも一つ持っている。
その性質はWarriorやMageではなく、策士気取りの陰謀家。ある意味、自らのbelieverらしい男だ。
『……難しい』
可能性としては零ではないが、純粋な戦闘力で二人に劣るBirkyneが二人を倒したVandalieuに勝てる見込みは薄いと、Hihiryushukakaは考えた。
VandalieuもTerneciaやGubamonと正面から戦った訳ではない。しかし、Terneciaと戦った時と比べると格段に力をincreaseさせていた。
奴の成長にBirkyneが対応できるかと考えると、難しいとしか言えない。
『だが如何に勝ち目が薄くとも、勝たねば我にも先は無い』
Terneciaが敗れた事は既に Bahn Gaia continentの外にも知られつつある。今回Gubamonが倒された事も、遠からず知れ渡るだろう。
結果、『Evil God of Joyful Life』Hihiryushukaka恐れるに足らずと言われる-samaになれば、畏怖は失われ後は堕ちるばかりだ。
人から見ればただのimageダウンだが、HihiryushukakaのようなDemon King Army RemnantsのEvil God (M) Evil God (P)は畏れられなければ意味が無い。舐められたら終わりなのだ。
そのための広告塔として三人のPure-breed Vampireはとても有用だったのだが……今はそれが仇と成っている。
完全に逃げるという手もあるが、Dark Elfを母に持つVandalieuの寿命は三千年から五千年。逃げ切れるとは思えない。
ならば、少しでも勝ち目がある内に勝負をかけるのが上策。
『Birkyneの策が失敗する事を前提に、我の策に組み込むか』
HihiryushukakaはまだGubamonが滅した事を知らないBirkyneに目を向けた。
Vampireに攫われた翌々日、Iris Bearheartは『Sauron Liberation Front』の仲間の前に再び姿を現した。
「お前達の警戒心が高いのは嬉しいが、そろそろ信じてくれないか?」
姿を現した瞬間、仲間達から聖水をかけられたため濡れた顔でIrisは尋ねた。
「見ての通り瞳の色も変わっていないし、fangsも生えていない、鼓動もある。VampireでもUndeadでもないぞ」
そう言ってやっと、Davis達は銀食器を使った銀製Weapon Equipmentを降ろした。
「お嬢……よくぞご無事で!」
「もうダメかと思いましたよ。後一日帰って来るのが遅かったら、私がPrincess Knightにされるところだったんですからね!」
渡された布で濡れた顔を拭ったIrisは、喜ぶ仲間達に微笑を返す。自分が何時死んでもいいようにと準備してきた彼女だが、死にたがりではない。仲間との再会は素直に嬉しかった。
「でもお嬢、一体どうやってVampire共から逃げて来たんで?」
「その事だが……Davis、皆、私達『Sauron Liberation Front』は今まで清濁併せ飲む覚悟で活動してきた」
Resistanceは体制側から見れば立派な犯罪者集団だ。どんなに高い理想を持っていても、綺麗事ばかりではやっていられない。Knight道を蔑ろにするような行為にも手を染めてきた。
DavisがSlave商人を裏切ったのも、mercenary guild的には立派な濁だ。
「だが、更なる濁を飲む事を決めた私に着いてくる覚悟はあるか?」
それでも一線は越えない-samaに活動してきた『Sauron Liberation Front』だが、更なる濁というIrisの言葉に思わず息を飲んだ。
「お嬢、まさかVampire共と裏取引を!?」
「Irisお嬢、それはいけない! 奴等、『Evil God of Joyful Life』を崇めるVampireはAmid Empire側ともきっと繋がってるっ、どうせ俺達を利用して、最後はEmpireに売るつもりだ!」
濁を何度も飲んできた仲間達だが、『Evil God of Joyful Life』を崇めるVampire達との取引は今までの濁が清水に思えるほどの汚濁だ。
奴等は裏社会にすら存在する最低限の筋を嘲笑い、踏み躙るような連中だ。とても取引が成立するような相手ではない。そう訴える仲間達に、Irisは「いや、取引相手は奴等じゃない」と答えた。
「取引を持ちかけて来たのは、その『Evil God of Joyful Life』を崇めるVampireの首魁の一人、Gubamonを倒して私を助け出してくれた者を頂点とするorganizationだ。
彼等は私に条件を提示し、それを守るなら援助すると約束してくれた」
「Gubamonって、Pure-breed Vampireを倒した!? そんなまさか……!」
「いや、でも現にGubamonの手下に攫われたIrisお嬢がこうして無事に帰って来たんだ。なら、本当かもしれない。Irisお嬢、そのAge of Gods Eraのmonsterを倒して、俺達に更に濁を飲めって言ったmonsterは、一体誰なんだ?」
驚く仲間達にIrisは答えた。
「『Vida's Miko』のsecondary nameを持ち、Continent南部でMirg Shield Nationの遠征軍六千を殺し尽くしたDhampir、Vandalieu -donoだ。彼が提示した条件は――」
Mardock Zet率いる討伐隊が、『新生Sauron Duke軍』のRaymondとRickのParis brothersを討ち取った。
その報を受けたKurt Legstonは、とりあえず素直に喜ぶことにした。
Paris brothersはResistanceの中でも最も厄介な連中だった。『Liberating Princess Knight』率いる『Sauron Liberation Front』も厄介だが、brothers率いる『新生Sauron Duke軍』はorganization力がありmemberに元Knight団員の者が多い強敵だ。
Even nowたかがResistanceと侮った部隊が大きな被害を受けている。
それが討伐されたのだから占領軍の端くれとしては喜ぶべき事だ。
「しかし、まさかこのような場所に大物が二人も居たとは驚いた。その首を上げた貴-donoの手腕には、更に驚かされたが」
Kurtはにこやかに報告を上げに来たMardockの大手柄を祝福した。心から、本当に嬉しい。
さっさとこんな小砦から出立して占領軍本部に凱旋し、そのままEmpireで出世してくれ。
そう思いながら飲み物を勧めるKurtに、顔に包帯を巻いたままのMardockは杯を辞して答えた。
「イいえ、部下から随分犠牲ヲ出してしマいましタ。全ては彼等ノ手柄でス」
負傷の為か口調がおかしいが、それ以上に彼が言った事にKurtは違和感を覚えた。こんな殊勝な事を言う男だったろうかと。
実際Mardockの部隊は半分近く死んでいる。部隊としては被害甚大で、犠牲者の中には彼と長い付き合いの者も居ただろう。だから彼が犠牲に成った部下達を想うのが不自然だとまでは、Kurtは考えない。
しかしそれを今まで散々嫌味をぶつけた相手であるKurtの前で見せるだろうか?
(てっきり、『こんな近くに大物が隠れ潜んでいたのに全く気が付かないとは、余程机の上の書類との格闘がお好きなのでしょうな』ぐらいは言われるだろうと、覚悟していたのだがな)
そう訝しむKurtに構わずMardockは全く別の話題を振った。
「そう言えば、数日前にHurricane Dragonの咆哮が聞こえた件はご存知でスカ?」
「ああ、ここまで響いて来たからな。しかし何か異変がある訳でもないので、ただの発情期か他のDragonとの縄張り争いではないかな」
突然何だ? そう益々訝しく思うKurtに、Mardockは更に続ける。
「……もし、Dragonの咆哮がBoundary Mountain Rangeの向こうから何かが這い出て来た前兆だったと言ったらどうしまス?」
「Mardock -dono? 何を言っているのだ?」
Boundary Mountain Rangeの向こうからmonstersが這い出てくる。それはKurt 's ancestor国であるMirg Shield Nationでは年に数回程起こる事態だ。大体はMountain Rangeに生存するmonstersが生存競争にlose弾かれて迷い出てくるからだ。
しかし、Hurricane Dragonが咆哮を轟かせるような、こんな小さな砦どころかこのSauron領が存亡の危機に陥るようなmonsterが出てきたことは無い。
「そんな事があるはずがない。もしそうならResistanceどころの話ではない、すぐに占領軍本部に伝令を出し、Adventurer’s GuildにAClass adventurerの招集を依頼しなければ――」
その時、Kurtの背後にある木戸から聞き慣れない音がした。咄嗟に振り返った彼は、驚愕に目を見開いた。
Dark nightをそのまま纏ったような黒ずくめの小さな人shadowが、グズグズに腐った執務室の木戸を崩しながら中に入って来ていたのだ
「このworldだと窓は基本木戸なので、『窓の外に!』ってネタは使えませんね」
『陛下、私にはその冗談は分かりかねます』
場違いに平坦な声で言う小さな黒ずくめに続いて、大人の男らしい黒ずくめが入ってくる。
「く、曲者だっ! Mardock -donoっ、表の兵を――!?」
「静かにして頂こウ」
Kurtの首筋に、Mardockが懐から出した短剣の刃が添えられる。
「表のSoldierハ、既に私の部下と入れ替わっていル」
「Mardock、貴-sama何のつもりだ?」
個人的には信用していない男だったが、軍人としては優秀だったはずのMardockの裏切りに、Kurtは怒りよりも先に困惑を覚えた。
この局面で小さな砦のCommanderでしかない自分を裏切って、何の意味があるのかと。
「実はぁ――」
『俺はMardock隊長じゃないんですよぉぉ』
蛹から中身がgrown wingsする-samaに、Mardockの背中から見覚えのある男が出てきた。
「貴-samaは、討伐隊の……!」
nameまでは覚えていなかったが、部隊の偵察兵だった男だ。何度か顔を見たが、生真面目なのか根暗なのかその全てで硬い無表情を保っていた。
『元討伐隊所属のKimberlyですぅ、Kurt Legston司令官~』
その男が随分薄くなって、しかし陽気に歯を剥き出しにして歪んだSmiling Faceを見せる。それと同時にMardockが朽木のように倒れたが、Kurtは動く事が出来なかった。
Kurtが何かするには、Kimberlyとの距離が近過ぎるのだ。
代々Marshallを務めてきたLegston Earl 家の三男であるKurtだが、彼本人はHeroのような武威は持ち合わせていない。普通のKnightと比べて特別強い訳でもない程度だ。
(ある程度の間合いがあって、後手元にWeapon Equipmentと盾があれば何とかなったが……まあ、Commanderに接近された時点で完敗だな)
そう諦めつつも、口は勝手に別の事を尋ねていた。
「……まさかMardockがGhostにPossessionされていたとは。他の討伐隊の連中も?」
「いえ、Mardockの-samaに【Possession】skillでGhostに憑りついてもらったのは彼だけです。他の人達は俺が操っているだけで」
「俺にとってはどちらでも変わらんのだが」
砦の中に十数人の敵が入り込んでいるらしい。originally砦に詰めている兵達の士気が低かった事と、Resistanceの大物二人の首を上げて凱旋してきたMardock達に対して警戒心が働かなかったのだろう。
次に活かせる保証の無い反省点を纏めて、質問に答えた小さな人shadowに視線を向ける。
「それで、目的は何だ? まさか俺の首が目的と言う事もあるまい」
自嘲的にそう言うと、小さな人shadowは首を横に振ってから答えた。
「いいえ、目的は貴方です。ただし、できれば首が繋がったままのconditionで」
音も無く小さな人shadowから薄い煙が立ち上り、見る見るうちにDark nightのような黒が消えていく。残ったのは、白いDhampirのchildだった。
Kurt自身は見覚えの無いchildだったが、「念のためだが」と下されていた、ある極秘命令を彼は覚えていた。
「貴-samaは、Vandalieu、だというのか!?」
Kurtの口から自分のnameが出た事に、Vandalieuは目を瞬かせて驚いた。
「何故俺のnameを知っているのですか?」
「……本国の上層部では知られた名だ。あれほどの事……遠征軍六千人を皆殺しにし、その半分以上をUndeadにして送り帰した挙句、開拓地をUndeadとDeadly Poisonで蝕んでおきながら、警戒されていないと思ったか?」
そしてKurtにとっては、兄の仇で自分が左遷させられた原因でもある。
どんなバケモノかと思っていたら、見かけは本当にchildだった。Shoujoでもおかしくない整った顔立ちに、人形のような無表情、生気を一切感じさせない蠟のように白い肌。
しかし、恐るべきmonster。
それがBoundary Mountain Rangeの向こう、Continent南部に巣食っている事をMirg Shield Nationの現Marshall、Thomas Palpapek Earlから聞かされていた。Boundary Mountain Rangeに近い砦や関所、駐屯地のCommanderにはその情報と「もしこのDhampirを発見したら速やかに本国に報告後、交戦は避け被害を最小限に抑える事をFirstに行動せよ」との極秘命令を通達していた。
ただBoundary Mountain Range北部の元Sauron Duchy方面に出て来るとは予想されていなかったため、Kurtもあまり真剣に警戒していた訳ではなかったが。
まさかVandalieuが米目当てで元Sauron Duchyにやって来るとは、夢にも思わなかったのだ。
「そうでしたか」
Vandalieuも「まあ、Empireの支配下にある場所ならそれぐらいしていますよね」と納得した。
「それで、とっておきの【墨】を使って迷彩までしてstealth込んで来た用件なのですが……あなたのHead huntingです」
「俺のHead hunting、だと?」
言われた事をオウム返ししながら、自分の耳を疑うKurt。色々な意味であり得ない、まず自分にそれだけの価値があるかどうかから疑わしいのだが。
「そんな手間をかけずに、俺を殺してからUndeadにすれば良いのではないのか?」
だが何よりまず、この疑問だ。
遠征軍のUndead Transformationや、Ghost化したKimberlyから、目の前の少年がUndeadをTamerできるのは確実だ。なのに、何故態々生きている敵国軍人をscoutなどするのか。何かのTrapではないのか? まずこの疑問に答えが得られなければ、とても信用できない。
だがKurtの質問に答えたのはVandalieuではなかった。
『それは、私が推薦したからだ』
最初に言葉を発したきり黙っていた大きい人shadowから、薄い煙が立ち上る。迷彩に使った【Demon Kingの墨】が消えた後露わに成った土気色の、よく知っている顔にKurtはchinが落ちそうになった。
「兄上、Chezare兄上!?」
『letterなら遠征軍の出立前に受け取ったが、こうして直接話すのは三年、いや四年ぶりか? それともいっそ初めてと言うべきか。最後に会った時よりも随分老けたようだ』
Chezareは何か迷う-samaに視線を彷徨わせると、最終的に諦めた-samaに肩を竦めた。
『ああ、ダメだ。お前と話す時、どんな顔をしていたか思い出せない。もう少し丁寧な口調だったかな? それはin any case、結婚はしたのか?』
「……そんな顔ですよ、兄上。成人した後は、もう少し丁寧な口調でしたが。letterで報告した俺の縁談は、遠征軍が負けた後左遷されたimpactで無くなりましたよ」
『そうか、それはこちらにとっては都合が良いな。
それで何故態々scoutをするのかだったな』
「形だけでも詫びて欲しいな、兄上」
そう自然に言ってしまう程、Kurtから見て目の前のUndeadの言動は兄そのものだった。
Alda believerであり、Undeadは邪悪な存在だと当たり前のように信じていたKurtだったが、その確信を否定する事は出来なかった。
『それはUndead Transformationする際、生前の人格やMemoryが損なわれる可能性があるからだ。死んだ後なのだから、当たり前だな。
私も随分変わっただろう?』
「そんな事は……いや、確かに随分変わりましたね」
だが生きていた頃の兄とは決定的に違う部分がある事をKurtは感じ取っていた。
生前の兄は、どんな理由があっても自ら敵軍の砦に潜入するような事はしなかったはずだ。
『Undead Transformationした事で生前よりも使える-samaになる者もいる、私やKimberlyがそうだ。だが、お前もそうとは限らない。よって、陛下はお前のscoutに来たのだ』
「断れば、殺してUndeadですか?」
苦笑いをしてそう聞き返すKurtに、Vandalieuは答えた。
「はい。この砦を落とすのは決定事項なので、そうなります」
否定しても仕方ないので、正直に答える。Kurtの同じ国のHumanを六千人虐殺し、Undeadにして返すという行いはVandalieu達からすればただの防衛戦と反撃だが、彼から見れば外道の行いだろうし。
「それで、こちらがscoutに応じて頂いた場合の貴方の待遇に成ります。俺の国ではNoble制がまだ無いので、peerageは保証できませんが」
差し出した書類をKurtは受け取ったが、それを見る前に困惑して答えた。
「俺が激高して断るとは、思わないのか? 一応、兄の仇だぞ、お前」
「思っています。だから戦力は十分用意してきました」
瞬間的にPrincess LeviaやOrbia、何体ものGhostがVandalieuの周囲に現れて、消えた。気味の悪い笑みを浮かべているKimberlyだけではないと知り、Kurtが顔を強張らせる。
「でも、貴方は冷静でpatience強い方だとChezareから聞いていますから。それでも俺が憎いなら仕方ありませんが。
こうして面と向かって話をしたのも縁ですし、一対一の決闘ぐらいなら応じますけど、やります?」
顔を強張らせたままKurtは考え……顔と肩から力を抜いて答えた。
「止めておこう。気持ちだけ頂戴しておきます」
決闘をしたとしても、Kurtは眼の前のchildに勝てる気がしなかった。ChezareとKimberlyが「止めておけ!」とKurtに向かって無言で訴えていたのもあるが、実際Marshallからの極秘命令書にも「絶対に戦闘は避けろ」とあった。
それに、Kurtは以前から遠征軍を返り討ちにした『Monstrosity』をあまり憎んでいなかった。
遠征軍の全滅を聞いた時は腸が煮えくり返る思いだったが、冷静に成ってから考えてみると自分達はただ戦争に負けただけだと分かったからだ。
侵略を仕掛けて完全に敗北し、そして相手に逆侵攻をかけられた。Undeadを抜きに考えればそれだけの、今までの歴史上幾らでもある出来事だと。
それでも遺恨が無い訳ではなかったが、目の前でUndead Transformationした兄が話しているのを見るとそれも随分薄くなった。もし兄が腐り爛れた姿で呻き声を上げていたら別だったろうが、土気色に成っただけで生きている時とほぼ同じだ。
それでもAlda believerとしては怒りに燃えるべきかもしれないが、KurtはAlda believerである前に軍人で、そして将だ。
その自分に敵国の王自ら会いに来て、殺す前にこちらに着かないかと話を持ちかけて来た。これはHonoraryな事だし、既に自分は敗北したも同然のcondition。
それなら激高している暇など無い。怒りは仕事の邪魔だ。
「しかし、俺が部下を売り祖国を裏切り害すると?」
「その辺りは書類に書いてあります」
言われて視線を落とすと、確かに書いてあった。
Kurtがscoutに応じるなら、彼の部下全員の命を保障する。
さらにVandalieuが治めるTalosheimとMirg Shield Nationが戦争に成った場合、Legston 家には寝返るよう説得する事等が約束されている。
ここに書かれている事が守られるのなら、破格の待遇だ。
しかし、気になる点もある。
「この『Thomas Palpapekは絶対に殺すので、説得不可』と態々書いてあるのは、一体?」
「Evil God (M)派のVampireと通じていて、俺のkaa-sanを殺した黒幕の一人なので」
「……その辺りの話を詳しく聞かせて頂いても構いませんか、『陛下』?」
KurtがAldaから改宗を決意し、生きたままVandalieuと彼の国にLoyaltyを誓うまで、もうそれほどかからなかった。
・Name: Eisen
・Rank: 7
・Race: Huge Skogsråー
・Level: 1
・Passive skills
Mysterious Strength:7Lv
Rapid Regeneration:6Lv
Abnormal Condition Resistance:6Lv
Magic Resistance:6Lv
Physical Resistance:6Lv
Augmented Vitality:7Lv
Enhanced Body Part (Bark, Branches):7Lv
Fruit Production:10Lv
Sap Production:10Lv
Branch Refining:10Lv
Allure:5Lv
・Active skills
Unarmed Fighting Technique:3Lv
Throwing Technique:4Lv
Armor Technique:1Lv
Drain Vitality:1Lv
Monster explanation::Skogsrå
Lambdaに現在Eisen以外存在しない植物型のmonsters。Immortal EntからRank upした結果出現し、VandalieuがOriginのlegendに登場する妖精にappearanceが似ていた事から命名。Earthにも類似するlegend有。
基本的なRankは6。
緑色の肌をした美しい女だが、背中の肌は"tree bark"になっており、そこから幾本も枝を生やしている。また、何故か牛に似たtailを生やしている。
他の個体が五章現在存在しないためrace全体の検証は難しいが、Eisenはoriginally Immortal Entだったため高い再生AbilityとAbnormal Condition Resistanceを持つ。また、Immortal Ent時代枝や根を振り回して戦う事があったため、【Unarmed Fighting Technique】や、Fruitを投げて覚えた【Throwing Technique】を習得している。
また背中の枝を伸ばしてWeapon Equipmentにし、枝からFruitをRefiningする事が出来る。また、Sapは高Class syrupの材料に成る。身につけている木製の衣服も実際は彼女自身がRefiningした物で、幾らでも替えが効く。
単純な戦闘力以外でもPassive skills【Allure】によって高Class Prostituteが漂わせるような魅力を纏っており、惑わした生物に触れて【Drain Vitality】で攻撃する事も可能。
また、恐らく土attributeか生命attribute、若しくは両attributeのmagicが使えるようになると思われる。
appearanceは人に似ているが、本質的には植物なので水とSunlightがあればそれだけで長期間生存する事が出来る。ただ食事も可能。
因みに、何故「おたべぇ」としか喋れないのかは、謎。恐らくこれから語彙が増えていくものと思われる。
対Gubamon戦にこっそり参加しており、その際得たExperience PointでRank7のHuge Skogsråーに成長している。
Adventurer’s Guildも未確認のmonstersであり、討伐報酬や危険度、また買い取り可能な素材などは未知数。