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Chapter 116: 復讐の末と、忘れかけられたPrincess Knight

「ぐぼあああっ!? BAKANAっ、【Demon King Fragment】をActivate中にattribute magicじゃとぉ!?」

 超低温と超高熱の温度差で【Demon King's Carapace】を砕かれたGubamonは、十万年を超える人生でも数えるほどしか経験した事が無いほど強大なManaが込められた、【死氷弾】の【Dead Spirit Magic】でwhole bodyboneや内臓を砕かれた。そしてあさっての方向に弾き飛ばされ、柱に激突して止まった。


「げはぁあ!」

 一瞬意識が途切れたためか、【Demon King's Carapace】のActivateも途切れてしまった。残りのManaでは、再びのActivateは不可能だ。

 再生途中だったeyeballの内片方、それにbody partの殆どが潰されたような気がする。自分のaccurateconditionすら分からない事に、Gubamonは今更ながら激しい危機感を覚えた。


(こ、こうなれば逃げるしかないっ!)

 生存Instinctが鳴らすWarningから再び冷静さを取り戻したGubamonは撤退を決心し、Space-Attribute Magicを唱えようとする。幸いな事に既に【Demon King's Carapace】のActivateが解除されているため、今ならmagicを唱える事が可能だ。


 だが、上手く行かない。

 Space-Attribute Magicはその性質上、どうしても目標と成るspaceを正しく認識できなければActivateできない。

 特にTeleportationの場合、Teleportationしたい場所はcertainlyだが今自分が存在するspaceを確実に認識できなければならない。しかしまだ再生が半端なconditioneyeballが一つしかないGubamonには、それが不可能だったのだ。


(な、何とかeyesightが戻るまでの時間を稼ぐのじゃっ! eyesightさえ戻れば、逃げられる!)

「み、見事じゃ、この儂をここまで追い詰めるとは。どうじゃ、儂と手を組まんか? いや、儂を配下に加えてみんか? Birkyneに関する情報も全て渡そう、儂なら奴を誘き出す事が出来る。お主の手腕に儂の力が加われば、確実に奴を葬る事が容易かろう」


 甘い懐柔の言葉を、今自分に向かって止めを刺そうとしているだろうVandalieuに投げかける。彼がこの提案に乗っても、激高して何か言い返して来たとしても、どちらでも構わない。要は少しでも時間を稼げればいいのだ。

 しかし、反応は何も返って来ない。


 それが逆にGubamonの不安を急速に膨れ上がらせた。次の瞬間には致命的な攻撃に襲われるかもしれないhorrorが、彼を焦らせた。


「待てっ、待つのじゃ! どうじゃ、両親を取り戻したいとは思わんか!? 儂が力を貸そう、Hihiryushukaka -sama 's Divine Protectionを賜った儂なら、何とかなる筈じゃ!

 それに儂はspace magicの達人じゃぞっ、儂を配下に加えればこの Bahn Gaia continentの何処でも、望む場所へ瞬時に移動する事が出来るのじゃぞ!? どうじゃ――ひぃ!」


 焦りを抑えられず、話す程に声が早く、上ずってしまう。そしてまだぼやけている視界の隅から人shadowが飛び出してくるのに気が付くと、反射的にNo-Attribute Magicの【Mana Bullet】を放っていた。

 先ほど自身が受けたVandalieuの【Dead Spirit Magic】と比べると込められたManaは少量だったが、それでも十分すぎるAttack Powerの【Mana Bullet】が人shadowに命中し、液体の詰まった袋が潰れるような汚らしい音を立てて人shadowが砕け散った。


「あ……やったっ、やったのか!?」

 もしかして、Vandalieuを殺せたのか。そう思ったGubamonだが、次の瞬間背筋が寒くなるような何かに侵入された。


『まだmagicが使えましたか。念のために確認して良かった。でもSpace-Attribute Magicは使えないようですね』

 それは、【Spirit Form Transformation】して分裂したVandalieu自身だった。


「き、貴-samaっ!? さっきのは……っ」

『あれは【Demon King's Ink Sacs】です。赤く色を変えた墨を、bloodに混ぜて重傷に見えるよう盛大に噴出させていましたから、その一部です』

 Squidの真似をしてみましたと、GubamonBodyと無理矢理同化しながら答えるSpirit Form Vandalieu


 だがそんな事はGubamonにとってはもうどうでもいい事だ。

『普通は同意の無い相手と無理矢理同化するような真似は出来ないのですが、ここまでbody partMentalが弱っていればPure-breed Vampireでも可能みたいですね』

 一秒毎にbody partの、感覚の、支配権が奪われていく感覚に、絶叫を上げた。


Hihiryushukaka -samaっ! お助けをっ、お助けをぉ! どうかFamiliar Spiritを儂に!」

 【Familiar Spirit Advent】でこの窮地を強引に打破しようとしたのか、Gubamonの頭上からやや細い光の柱が降りて来る。しかし既に準備を整えていたVandalieuBodyが構えていた、凝固させた【Demon King's Blood】製gun barrelから放たれる【Demon King's Horn】製弾丸によって、砕き散らされてしまう。


「前に撃ったLuvezfolFamiliar Spiritよりも、ずっとweakような……? もしかしHihiryushukakaに探られたのかな?」

 そう呟くVandalieuだが、Gubamonはそれに気が付く余裕も無く、【Familiar Spirit Advent】が破られた事に狼狽し、更にHihiryushukakaに助けを求めた。


「偉大なる『Evil God of Joyful Life』よっ! Hihiryushukakaよっ! 儂にFamiliar Spiritをっ、より強いFamiliar Spiritを!」

 しかしGubamonの祈りにHihiryushukakaが答える事は二度と無かった。

「ば、BAKANA!? 儂を見捨てるのか! 十万年仕えてきたこの儂を!」

『見捨てるらしいですね。十万年仕えてきたお前を』


「ひ、ひぎぃっ!?」

 同化が……実際には侵食が進んだ結果、GubamonVandalieuの声に込められている意思を理解できるようになってしまった。

 それはjoyだ。


Gubamon、有形無形にかかわらず、お前から何かを奪う事はとても愉しい。俺から両親を、Borkus達から仲間を奪ったお前から、全てを奪う。思わず油断してしまうくらい、甘美なjoyでした。

 お前の部下と、targetcollection、【Demon King Fragment】、後残っているのは三つ』


 これ以上儂から何を奪うつもりだ!? そう叫ぼうとしたGubamonの口は動かなかった。

『これでお前のbody partを手に入れた。残りは二つ』

 そう告げ終わる前に、周囲の光景が変化した。VandalieuGubamonbody partを操作してSpace-Attribute MagicActivateさせて、Sauron領にTeleportationさせたのだ。


 そして躊躇わずにGubamonの周りに、分裂していた他のSpirit Form Vandalieuが集まってくる。何をするつもりなのかと怯えるGubamonに、何と自分のCloneごと容赦なく攻撃を加える。

 【Black Flame槍】、【死水斬】、【冥雷】。使えるように成ったばかりのWater-AttributeWind-Attributeの【Dead Spirit Magic】も使用し、Gubamonを塵にしていく。


『これで、残りは一つ』

 最早や何も残っていないはずだと、死して霊と化したGubamonは思った。後は己の所業を悔い、この素晴らしき方に真のLoyaltyを誓うのみだと、【Demon Path Enticementskillimpactを受けた彼は思ったのだが、Vandalieuはそれを断固拒否するとばかりに、clawsの生えた手でGubamonの霊を掴んだ。


「これで残りはnone

 今すぐ魂を砕いてやりたいが、Birkyneの情報やHero Undeadに施した処置などまだ聞きたい事があるので、それは後だ。


『お疲れ-samaです、陛下』

『私まで使っていただき、光栄の至りぃ』


 大きく息を吐き、一人に戻るVandalieuに声をかけるPrincess Leviaや元Resistance討伐部隊の偵察兵、Kimberly

「旦那-sama、お疲れでしたら……」

 Bellmondがタイを緩め、白い首筋を見せながら膝を着く。材料が自分自身のbloodであるBlood potionの効きが悪い Vandalieuに、吸えと促しているのだ。


「大量に使ってManaも残り十分の一程なのでありがたく頂きますけど、手首でも良いんですよ?」

「旦那-samaにそのような事をさせる訳には参りません。決して」

 どうやらVampireは「bloodは首筋から」と決められているらしい。table mannerのようなものだろうか?


Eleonoraは俺からbloodを飲む時は、指先から少しだけ飲むだけですけど?」

 そう聞くと、何故かBellmondは頬を染めて視線を逸らした。しかもその際、「そんな、破廉恥なっ」と小さな声だが確かに口走っていた。


 破廉恥なのか、指先からのBloodsucking


 帰ったらEleonoraから何故指先なのか聞き出しておこう。婚約など、何か大きな意味があった場合知らないままだと不味いかもしれない。

「じゃあ、少しだけ」

 しかし、とりあえずは回復だ。Gubamonの残りかすからbloodを搾る気には成らないので、軽く短くBellmondの肌に浅くfangsを刺し、滲み出るbloodを舐め取る-samaにして飲む。


「くっ、ああ、そんな、焦らすように……」

焦らした覚えは無いのだが。

Bellmond -sanPauvina -chanPrivel -sanにはまだ見せられない顔に!』

『ひゅぅ~っ! 死んだ後でも分かるぐらい色っぺぎょ!?』

 Thunder GhostPrincess Leviaの大きな拳の直撃を受けて、転がっていく。Ghost同士なら殴り合え……触れ合えるらしい。


(しかしbloodを飲まれるのって気持ちいいのだろうか? 俺は特に何も感じた事無いのに)

 疑問は尽きないが、高Rank Vampire、それも【Offering】のUnique skillを持つBellmondbloodは、少量でVandalieuEnduranceManaを目に見えて回復してくれた。

 Terneciaが彼女をキープしたのも頷ける。


「旦那-sama、もっと……」

「いやもう十分ですから、ここはお外でまだお仕事が残っていますよー」

 首筋から口を離した後もtailを絡ませて甘えてくるBellmondを正気に戻そうとするVandalieu

 それをMiles達が畏怖の込められた瞳で見ているのが見えた。本当に今更だが、VampireにとってのBloodsuckingについての意味を聞くべきか。


Vandalieu -dono、で良いのだな?」

 見覚えの無いShoujoと女の間くらいのagefemaleに声をかけられた。一瞬誰だったか思い出せず硬直するVandalieuだったが、Gubamonに捕まっていた女の人だと思い出す。

 奴が生け捕りにしていたのだから、maybe何処かのHero的な人だろう。


「私の名はIris Bearheart。危ない所を助けてもらったばかりか、父を止めて頂き感謝する」

「父? はあ、俺も目的があってやった事なのであまり気にしないでください。御無事で何よりです」

 Irisについて全く知らないVandalieuは、maybe Hero Undeadの中に彼女の父親が居るのだろうとconjectureし、とりあえず謙遜しておく。


 道義的に、彼女の父であるらしいUndeadは置いて行った方が良いだろうかと、やや残念に思いつつ。


「……命を救ってもらった身でこんな事を聞くのは躊躇いがあるのだが、答えて欲しい。Vampireを従える貴-donoは何者なのだ? それに、Raymond -donoに何をしたのだ?」

 IrisRaymondの知り合いらしいと分かったBellmondは、Vandalieuを絡めたままのtailを使って彼を彼女から離そうとする。


「俺はHalf-VampireVandalieuと申します。Raymondは生け捕りにした後、Gubamonを殺す為生きたまま改造して利用して、最後は殺しました。必要な犠牲でした」

 しかし十分離れる前にVandalieuIrisの質問に、特に後半の問いについて詳細に答えた。


「そんな、本当なのか? いくらPure-breed Vampireを倒すためとは言え、そんな――」

「もっ……ん゛んんん~!」

 告げられたRaymondにとって非道な答えに、Irisが驚愕し後ずさる。その代わりのように、それまで呆然自失としていたRickが立ち上がると、猿轡をされ腕を縛られたままVandalieuに向かって体当たりでもするつもりなのか、向かってくる。


 だがBellmondPrincess Leviaが何かするまでも無く、Rickの無謀なChargeは止められた。

『そんなに怒ってどうしたの?』

 姿を現しMaterializationしたOrbiaが、Rickをそのtentacleで絡め取ったのだ。


 Raymondの無残な姿を見たshockで今まで彼女に気が付かなかったのか、RickGhostと化したOrbiaの姿に端正な顔を大きく歪めて驚愕する。

「ん゛う゛!?」

『そっか、これじゃあ答えられないよね』

 猿轡を外されたRickは暫く呆然としたまま、微笑むOrbiaの色が変わった顔を眺めていたが、再びAngerを浮かべてVandalieuに怒鳴りだした。


「貴-samaっ! 貴-sama等が兄上を殺したのか! 兄上は、Sauron Duchyの希望だった! 兄上なら必ずEmpireからSauron Duchyを取り戻し、何れはElected Kingに成りこの国をより強く、より良く導けるはずだった!

 逃げ出した他のDuke 家の連中等よりも、兄上は人々の為に尽くし、戦って来たのだ! それを必要な犠牲だと!? よくもそんな事が言えたものだな!」


 怒りのままにVandalieuを糾弾するRickだったが、当のVandalieuは無表情なまま何も答えない。

 そして生前は愛していた男の狂態に、Orbiaの口元に浮かぶ微笑が少しずつ大きくなっていく。


「何故兄上を殺した! この女に同情したのか!? 祖国が危機に瀕し、侵略され占領されている今も戦おうとしない非国民共だ! 同じOrbaum Elective Kingdomの民でありながら、Sauron Duchyの将兵や民草が幾らbloodを流そうと目を瞑り、それに対して同族のbloodが数匹分流れただけで騒ぎ出す連中だ!

 同情の余地が何処にある! 我々が手を汚す前に動き出さないこいつ等にこそ非があると、何故気が付かない!?」


 冷たい液体のtentacleに囚われているせいで動けない分、口を動かして胸の中のAngerと憎悪を吐き出したRickは、肩を上下させて荒い呼吸を繰り返した。

『フフフ……』

 だが、Orbiaの笑い声を聞くとビクリと小さく震えて息を引き攣らせた。


 何故ならRickを見つめるOrbiaは、本当に嬉しそうに、いっそ朗らかと評せる程嬉しそうに笑っていたからだ。

「な、何だ、何故笑って……」

Rick、やっぱりRickだね。アタシの知ってるRickだ。何を聞いても、結局お兄-sanの事しか話さない。

 お兄-sanを目の前で壊してみたら変わるかなと思ったけど、やっぱり変わらなかったね』


「何だと!? 貴-samaが――」

『ううん、Vandalieu -kunだよ。アタシはもうbloodも無いのに頭にbloodが上っちゃってさ、その場で殺す事しか考えられなかったし。

 それでさ、アタシ達もうRickの事好きじゃないんだ』


「達、だとっ!?」

 息を飲むRickの周囲に、次々にScylla達の姿が滲み出る-samaに現れる。彼女達は、Orbiaと同じRickに騙されて指輪の毒で殺され死体を晒された犠牲者達だ。


『ずっと、近くで見てた……』

『よくもっ……!』

 VandalieuManaを与えた事で、ただの霊だった彼女達は次々にGhostと化したのだ。


『皆、もうあんたの顔を見たくない、要らないって。だから……永遠にバイバイ』

 別れを告げるOrbiaだが、言葉とは裏腹にRickの背に腕を回し抱き寄せる。

「や、止めろっ、離せ! 私は兄上の仇を……がぼっ!?」

 抱き寄せられたRickは、そのままWater GhostOrbiaの中に呑まれる。泡を吐きながら手足をばたつかせて彼女の中から脱出しようとするが、【MaterializationskillMaterializationしたScylla Ghost達が押さえにかかる。


 自分が振った女達の霊に殺される。最期としては上等な部類だろう。

「お、女の恨みって怖い」

 巻き込まれないよう敢えてRickから離れていたMilesは、その光景にゾッとした顔付きで思わず呟く。


その呟きに思わず頷きかけて我に返ったIrisが慌てて制止の声を上げた。


「待ってくれ! 私の話を聞いてくれ」

「え?」

 すっかり存在を忘れていた彼女に突然声をかけられて驚くVandalieu。そんな彼に、元討伐隊の偵察兵だったThunder Ghostが耳元で囁く。


maybe、この女は『Sauron Liberation Front』の『Liberating Princess Knight』です』

「なるほど、Resistanceの偉い人ですか。Rickの助命以外なら聞きますけど」

 そう答えると、案の定Irisは言葉に詰まったように小さく呻く。しかし、諦められなかったのかすぐに口を開いた。


「確かに彼らはScylla達に許されない事をした。だが、Sauron Duchyを取り戻すためには彼の、『新生Sauron Duke軍』の力が必要だ。私達だけでは、悔しいがどうしても足りないっ。

 罪は必ず償わせる、だから今は彼女達を止めてくれ!」


「誠に申し訳ありませんが嫌です。あ、ところで送って欲しい場所はありますか?」

「旦那-sama、彼女にはそれより先に何か着る物が必要かと」

「そういえばそうですね。うっかりしていました。今編みますねー、色やdesignの希望は有りますか?」

 女の人を何時までも半裸で放置するのは人として問題だろうと、Vandalieuはしゅ~っと糸を吐いて服を編み始めた。


「いや、待ってくれっ! だから話を聞いてくれっ!」

 しかし尚も続けながら迫ろうとするIrisに、編み物を中断したVandalieuは虚ろな瞳を向けた。emotionsが一切含まれていない視線に何か感じたのか、それともBellmondが何時でも自分を攻撃できるよう【Petrifying Magic Eye】を向けている事に気が付いたのか、足を止める。


 VandalieuIrisに向けるemotionsは、珍しく瞳と同じで無感動だった。面倒臭い。この一言に尽きる。

 しかし、面倒でも説明ぐらいはしておいた方が良いかもしれない。そう思い直して口を開く。


「俺もRaymondRickの取った行動がSauron Duchyを取り戻すためのものだったと言う主張は、間違ってはないと思いますよ。世の中綺麗事だけじゃ回りませんし、自分達の国を守りたいなら清濁併せ飲む事が必要なのも分かります。俺にとってもSauron DuchyAmid Empireに占領されている現状は、望ましいものではありません」


 Irisが訴える通り、Rickを生かしておけば生き残りの『新生Sauron Duke軍』を纏めて、占領軍に打ち勝つその日を実現させる力になるかもしれない。

 もっと言えば、今は亡きRaymondRickの言う通り優れたDukeと成り、Sauron Duchydevelopmentさせて人々をより良く治めたかもしれない。


 それは分かっている。


「それなら――っ!」

「でもOrbia達が殺された事や、Scylla族が不利益を被るのを許容する理由にはなりません。あなた方Resistanceとの違いは、そこです」

 分かっているが、Vandalieuにとっては全て「それが何?」と言う話だ。


 Resistanceと話す度に感じていたのは、その違和感だった。彼らはScylla族よりも他の大勢の民を優先するが、Vandalieuにとっては会った事の無い顔もnameも知らない人々よりも、OrbiaPrivelPeriveilScylla族を優先するのが当然だった。


 それに、未来の可能性の話ばかりされても困る。問題にしているのは、彼等が過去に行った犯罪なのに。


「それに罪は必ず償わせると言いますけど、Sauron Duchyを取り戻したとしても、これまでのachievementがどうとか理由を付けて助命しそうですし。

 貴方達にとってSauron DuchyScylla以外の人々を救う事は、Orbia達を騙して殺し死体を惨たらしく晒した罪を帳消しに出来る『善行』なのでしょう?」


 顔色が悪くなるIrisに、(少し言い過ぎたかなー)と若干思うVandalieuだが、彼女はまだ挫け無いようだ。


「わ、私達はScylla族を蔑ろにしている訳ではないっ」

「では、Sauron Duchyを取り戻したとして、その後のScylla族の待遇はどうなります? 各集落の長にpeerageを与える事はin any caseAutonomous Territoryの通行の自由化そして各guildbranchを置く事は当然だと思いますが」


「それはっ……尽力するとしか」

 Irisとしてはそう答えるしかない。彼女はあくまでもKnight出身のResistanceleaderだ。働きが認められても、Dukeには成れない。何を言っても、空手形にしかならないのだ。


 更にIrisは、body part AbilityManaそして寿命でHumanよりも勝るScylla-samaraceが政治や軍事のworldで活躍する事を、大物Nobleが嫌う傾向が強い事を知っていた。


 Autonomous Territoryに閉じ込めておくのも、各guildbranchを置かない-samaに睨みを利かせるのも、それが理由だ。


「それでRickを殺す理由ですが……説明はもういりませんよね。この事は族長の一人、Periveil -sanの同意もあります」

 実際にOrbia達を騙して殺した動機が、Autonomous Territory全体を自分達の要塞、Scylla達を自分達の兵として利用するためだったのだから、寧ろ殺さない理由の方が見つからない。


 PeriveilPrivelcertainly、誰もRaymondRickを庇わなかった。


Scylla族の族長が……そうか。では、もう何も言うまい」

 Irisもその言葉が止めに成って、Rickの助命を諦めたようだ。


「だが、暫くの間RaymondRickHonoraryの戦死を遂げたという事にしてくれないか?」

 Sauron Dukeの遺児でResistance運動の双璧を成していたRaymondとその弟の死に関する真実は、一大scandalだ。Resistance全体の士気に関わるので、Irisとしては伏せておきたいらしい。


『アタシ達はそれでも別にいいよ』

 生命活動を停止したRickをゴミのように捨てて、Orbia達はそう答えた。既にRickに関して何の関心も持っていないようだ。

 Vandalieuとしてはいささか不愉快だが、被害者であるOrbia達が構わないなら別に良いかと思ってnod


『っで、そんな事よりVandalieu -kun-kunがとぉ~っても、大事に思ってくれているアタシ達Scyllaの今後についてなんだけどぉ、Leviaから聞いたけど-kunってマジで王-samaなんだよね、すっごいよね~。それで……良いMarshlandsがあるらしいじゃん?』

「ありますけど、半分くらいLizardmanの土地ですからね」

『でももう半分あるじゃん? それで、相談なんだけど族長達丁度移住先を探す準備してたんだよねー』


「お、王-sama? 一体何の話……いや、legendの【Demon King Fragment】にPure-breed Vampireを殺した手腕、UndeadVampireを従える力……-kunは本当に何者なんだ? まさか、魔――」

Iris -dono、貴女にもお話がございます。主に、秘密保持と今後の我々との関係について」

『少し長めのお話になりそうですから、お茶でも淹れましょうか? あ、それより先に何かHaoriるものですよね』

「仕方ないわね。とりあえずVandalieu -samaが戻って来るまでワタシのマントでもHaoriってなさい」




 Scylla連続猟奇殺人事件は解決し、狂乱したPure-breed Vampire Gubamonも倒れた。後残った問題は、Scylla族の今後の事や、『Sauron Liberation Front』との今後の関係、キャンプ地で未だに転がったままのMardock達討伐隊の生き残り、砦に居るChezareの弟Kurtをどうするかだけである。


 因みに、後日Irisを通してVandalieuGubamonの戦闘のrecordを見たAldaは、予想の遥か斜め上方向に成長している『Monstrosity』に、驚愕したという。




《【Demon King's Carapace】を手に入れました!》

《【Rapid Healing】、【Death-Attribute Magic】、【Abnormal Condition Resistance】、【Magic Resistance】、【Demon Path Enticement】、【Guidance: Demon Path】、【Strengthened Attack Power while Unarmed】、【Mana Enlargement】、【No-Attribute Magic】、【Mana Control】、【Spirit Form】、【Multi-Cast】、【Parallel Thought Processing】、【High-speed Thought Processing】、【Plant Binding Technique】、【Insect Binding Technique】、【Artillery Technique】、【Demon King Fusion】、【Abyssskilllevelが上がりました!》




Job解説:Demon Guider


 Championの条件とされるGuiderJobの中でも特殊なJob。正道でも外道でも無い道を、自ら歩む存在が就く事が出来る。

 ただGuiderJobとしては問題がある。GuiderJobは所有者自身のAbility Valuesを大きく成長させるが、その本質は所有者以外の存在にimpactを与え、引き上げる事に在る。

 しかし魔へのGuidanceを多くの者は忌避し恐れる。そのため、本来の力を発揮するのは難しい。


 Vandalieuの場合は【Death-Attribute Charm】等のskillで既に多くの存在を惹き付けていた事で、その障害を乗り越えている。


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