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Chapter 110: Eclipse KingTentacle King

 ふと気が付くとよく分からない場所に居た。

「これは……ああ、夢か」

 前にも、【Demon Guider】にJob changeしたそのnightにも似たような経験をしていたVandalieuは、自分が夢を見ているのだと気が付いた。


 ただ以前の夢と比べると違和感がある。何時の間にか他人のに入り込んでしまったような、居心地の悪さがあった。

「でも夢だし……また誰か来るのかな?」

 何故か首を動かさなくても周りを見る事が出来る視界で、何か無いかと探していると不意に声を掛けられた。


『もし……もし……』

 斜め下から聞こえてきた声の主に合せて視界を下げると、そこには一人のScyllaが居た。

 いや、よく見るとScyllaの形をした異形の何かだった。


 緑色の髪に二本の腕、femaleの上半身、octopusに似たlower body。どれも一見するとScyllaその物だ。

 だが目を凝らすとそれらは全て太さの異なるcountlesstentacletentacleが絡まり合い、束に成って形作られている物だと解る。


 肉の紐で作られた精巧な藁人形。大きさはVandalieuの半分程なので迫力はそうでもないが、近くで見るとやや不気味である。

「これはすみません」

 その不気味な相手にVandalieuはとりあえず謝罪した。


「まだ背があまり伸びない年頃なので、つい上を探してしまいました」

 Vandalieuの周りにはJadalVahbi等のchild達を除けば、Vandalieuより背の高い者ばかりだ。なので誰か居ないかと探す時、つい上の方を見回す癖がついている。


『いえ、お気になさらぬよう。……御身を招いたのは我の勝手ゆえ。お許しください』

 見た目の異形さからは想像できない、中性的な声で流暢に喋って見せるScyllaモドキ。口も無いのにどうやって発声しているのかと思ったら、声に合わせて口に当たる部分のtentacleが震えている。どうやら、そこを擦り合わせて音を発しているらしい。


 夢なのに設定が細かい。


「すみませんが、どちら-samaでしょうか? それに私を招いた用件とは?」

 形状からしてScyllaの関係者だろうと予想は出来るが、正体不明なので若干丁寧な口調で尋ねる。するとScyllaモドキはtentacleを小刻みに震わせながら答えた。


『我はMerrebeveilと申します。我をworshiper達の中に常軌を逸した……尋常ではないsignを感じ、御身が何者なのか尋ねたく思い、お招きいたしました』

 Merrebeveil、聞き覚えのあるnameだ。


「それはScylla族のAutonomous Territoryで信仰されている、ScyllaHeroic Godnameでは?」

 Heroic GodHeroが神に至った存在だ。そのため、後の信仰の変化や歴史の移り変わりによって多少は変化するが、Idol Statueや宗教画の多くは、生前の姿形に近い姿の事が多いと言われている。

 少なくとも、tentacleScyllaの形に束ねた形状には成らないのではないだろうか?


『それはSauron Duchyの前身、Sauron Kingdomが建国される以前から行われていた偽装。本来の我は元Demon King ArmyEvil God of Slime and Tentacles』にして、かつてGoddess Vidaと契りScyllaの片親と成りし者』

 実際には、元Demon King Armytentacletentacleを司るEvil God (M)だったらしい。


 十万年前のVidaAldaの戦いで敗れた後、Merrebeveilと当時のScylla達はBoundary Mountain Rangeの向こうに逃げそびれてしまったらしい。そしてScylla達は各地にfamily単位で散り散りに別れたが、纏まった数がこのと沼が集まる土地に住みつく事に成功した。


 Merrebeveilは『Evil Dragon God of Five SinsFidirgよりもoriginallyの位が高いEvil God (M)で、受けたDamageも多少はマシだった。それにScylla族と言うbelieverも居たため、力の回復も早くScylla達が生き延びるためにblessingsを授け、時にはFamiliar Spiritを遣わし、助けて来た。


 しかし時と共にAldaに従うHuman達の数が増え、国が作られるようになるとMerrebeveilの存在自体がScylla達の重荷に成り始めた。

 Evil God (M)であるMerrebeveilを信仰するScylla達は、Alda believerからはcertainly正しい知識と歴史を失伝した他のGodsbelieverVida believerからも恐れと迫害の対象になってしまったのだ。


人々Demon King Army RemnantsEvil God (M) Evil God (P)と、Vida's FactionEvil God (M) Evil God (P)との見分けはつかない。Aldaは見分けるつもりが元から無く、Vidaや他の生き残ったGreat Godは眠ったままだったので』

「でも、Vidabelieverくらいは分かってくれてもいいような気もしますが」

『分かってくれる者もいたが、Vidabelieverと言っても差があります。当時や今存在するVidabelieverが、全員十万年前の戦いに参加した生き残りの子孫ではないので』


「……それもそうですか」

 Vida believerが全員歴史の真実を知っている訳ではない。Vandalieuもそれは知識として知っていたが、MerrebeveilからScylla族の悲劇と共に語られると、その厄介さが理解できた。


『一時は我が討伐されたように偽り、眠りにつく事も考えたのですが、当時のScyllaの長が妙案を出してくれたのです』


 Scyllaの長は我が身を犠牲にして自分達を迫害から守ろうとするMerrebeveilに、「じゃあ、Evil God (M)じゃないって偽りましょう」と提案されたそうだ。

 結果、『Evil God of Slime and TentaclesMerrebeveilは『ScyllaHeroic GodMerrebeveilと偽って信仰されるようになったのだ。


 結果、originallyは大量のtentacleがのたうっている姿から、今のScyllaモドキの姿に何時の間にか変わっていたらしい。


 因みに、信仰を改竄するのは人から見ると簡単な事に思えるが、Merrebeveil-samaな神からすればかなりの危険を伴う行為だ。

 多少の改竄なら耳に小さなpiercingの穴を空ける程度だが、Evil God (M)からHeroic Godに改竄するのはwhole body麻酔を受けてwhole body整形Surgeryと内臓の外科Surgery同時に受ける覚悟が必要だ。


 Humanに「生きたままtentacleの集合生命体に変化するSurgeryを受けろ」と言うのと何も変わらない。

 成功してもDivinityが変化する以上人格や生態が変化する。それだけで済めば良い方で、砕け散って消滅しそのfragmentが新しい神として再構成されreincarnationしたようなconditionに成るか、二柱の神に分裂弱体化してしまう事もある。


 当時のScyllaの長もそこまで危険な試みだとは知らずに提案したが、Merrebeveilは熟慮の末「勝算あり」と判断して提案を受け入れた。


 そして勝算通り、形がやや変わり、両性からややfemale寄りに変化するだけでHeroic Godと偽装する事に成功した。

 やはり偽装するのが自らの子であるScylla族のHeroic Godである事が幸いしたようだ。

「なるほど。それで外部からの迫害を緩める事が出来たと言う訳ですね」


『はい。それで御身は一体?』

「一体とは言っても、俺が来る事をPeriveil -sanOracleで伝えたのは貴方では?」

『あれは、Vida -samaから我に下されたOracleを伝えただけだったので……それにこうして直に会ってみれば、やはり尋常ではない』


「尋常……まあ、Kami-sama相手に隠す事ではないのでお話しますが」

 何時の間に神が態々尋ねに来るような大物に成ったのだろうか? やっぱりもうすぐ十億に届くManaDemon King Fragmentのせいかな?

 そう思いながらVandalieuMerrebeveilに自分が何者なのか、そしてこれまで何をして何のためにここに来たのかを語った。


『なんと……そのような事になっていたとは』

 約百年前からVidaは目覚める度にVandalieuについての、allyGodsや自身のbelieverOracleを下して知らせていたのだが、Merrebeveilには詳細な情報は届いていなかった。

 Evil God (M)からHeroic Godに変わりつつあるMerrebeveilは、Vidaが知る当時の存在とは半ば異なっていたからだ。


 色々と台noneな例えだが、勝手に連絡先を変更してしまったようなconditionである。


『委細承知しました。これより、我Merrebeveilは御身の力と成りましょう』

 ぐにゃりとlower bodyを潰すようにして頭部に当たる部分を下げるMerrebeveilに、Vandalieuは「まあまあ、頭を上げてください」という。


「ご助力は嬉しいですが、俺はただManaが多いDhampirです。Kami-samaに『御身』なんて呼ばれるような身分ではありません」

 『Scale Kingの巣』にsealedされていたFidirgの時は不幸な出会い方をしたので仕方ないが、Merrebeveilには畏まる理由は無いはずだ。


 それなのにこんな対応をされるのは居心地が悪い。そう言うが、Merrebeveilは受け入れようとはしなかった。

 Fidirgといい、元Demon King ArmyVida's FactionGodsRodcorteと違って謙虚な神が多いようだ。

 今も神なのに自分より小さい姿のままで、丁寧に応対してくれている。そう考え、VandalieuMerrebeveilに対して好感を深めた。


『それより、御身に是非受けとっていただきたいものが。これを抱えていた故、今まで必要以上に力を制限せねばなりませんでしたが、御身なら使いこなせるはず』

 ざわりとMerrebeveilbody partが分れると、tentacleの束に包まれていた黒い塊が二つ現れた。


「それは、Demon King Fragmentですか?」

『はい。我と近い性質のfragmentだったので二つ同時sealedする事が出来ました。本来は三つでしたが、残り一つは十万年前の戦いの折、どさくさに紛れて何者かに奪われました。

 この二つのfragmentをお預かりいただきたい』


 Demon King Fragmentは使えば強力なWeapon Equipmentになる場合が多いが、Merrebeveilにとってはただただ負担でしかなかった。

 下手に使ってrunawayさせれば、Demon King revivalの呼び水に成りかねない。そのため使わずに只管sealedし続けていたのだ。


『せめてもの代価に我が授けられるblessingssecondary nameを……む、やはりblessingsは不可能か』

「あー、Fidirgも無理って言ってましたね。完全回復したら、その時改めてよろしくお願いします」

『ではsecondary nameの方だけでも……御身はあらゆるtentacle tentacleを持つ者の王、『Tentacle King』成り』

「……意味が違うけど同じ読みのsecondary nameがありますよ?」


《新たなsecondary nameTentacle King】を獲得しました!》

《【Abyssskilllevelが上がりました!》


 夢の中でも聞こえた脳内アナウンスに驚きながら、Vandalieuは「Talosheimの皆にtentacleが生えたらなんて言おうか?」と少し悩んだ。

 でも何故【Abyssskilllevelまで上がったのだろうか?


しかし secondary nameだけでは……我が子等を幾つか仕えさせますか?』

「いや、そこまでしなくても」

『ですが、このままではあまりにも御身が背負う物と釣りあいませぬ』


 MerrebeveilにとってDemon King Fragmentは危険なWeapon Equipmentですらなく、とても危険な化学汚染物質同然であり、それをVandalieuに受け取ってもらう以上当人が負担に思わなくても、少しでも釣りあうよう報酬を支払うのが筋だ。そう考えているらしい。


「じゃあ、OrbiaPrivelPeriveil -san達にその分blessingsを。あと、Scyllaの皆-sanに俺のallyに成ってくれるよう口添えをお願いします」

Periveilには既に与えていますが、御意に』

「ありがとうございます」

 そう言い終えると、Vandalieuの意識は暗転した。




 力尽きたoctopusSquidのように、Merrebeveilはぐにゃりとbody partを横たえた。

『……帰られたか。大恩ある方に頼まれたとは言え……彼とは二度とDivine Realmでは会いたくはないな』

 Merrebeveilは実はVandalieuに嘘をついていた。


 彼女はVandalieuに「招いた」と言ったが、実際は違う。Vandalieuの意識に干渉しようとした瞬間、自らのDivine Realmに『出現された』のだ。

 そもそもMerrebeveilは意識してVandalieuMental体よりも小さい姿を取ったのではない、単純に彼女の素の姿がVandalieuMental体よりも小さかったのだ。


 突然現れた異形にしてGiantな存在に戦き、声を掛けるtimingが遅れたに過ぎない。


Mental体の異形やGiantさはin any caseDivine Realmに侵入されたのは【Abyssskillの力。視るつもりが、逆に視られてしまった』

 MerrebeveilDemon King Armyに加わる前、元居たworldで【Abyssskillに似た力を持つ存在を幾つか知っていた。Demon King Guduranisが真っ先に滅ぼした者達だ。


 あのworldDemon Kingが唯一手に入れられなかった力を持つ者達だったから。


 そのDemon Kingすら持てなかったはずの力を持つVandalieuだが、通常なら幾らMerrebeveilが彼を『視て』もDivine Realmに踏み込む事は出来ないはずだ。

 今回はMerrebeveilVandalieuMentalに接触しようとしたから、それを逆に辿られた結果に過ぎない。


『考えてみれば、彼が最初に上を見上げていたのも道理か。深みに座す存在が浅瀬の存在を見るためには、見上げるしかない。

 大恩あるVidaよ。貴女は常に我等にFortuneをもたらす。願わくば、我と我が子等に繁栄を』


 fake-believer達の悪しき企みも、彼なら打ち砕き踏み躙ってくれる事だろう。

 そう期待し、Vandalieuと友誼を結ぶことが出来たFortuneMerrebeveilは感謝した。




 Pauvinaが寝返りを打ったために地味に窒息の危機に瀕して目覚めたVandalieuは、whole bodyを【Spirit Form Transformation】して彼女の下から脱出する事に成功した。


 そして素早く糸を吐いて着替えを仕立ててそれを着ると、Merrebeveilから貰ったDemon King Fragmentを早速検証する事にした。

 fragmentの名称からして室内で試しても危険性は無いと思ったからだ。


「……【Demon King's Suckers】、Activate

 指先にカエルのsuction cupsっぽい物が現れた。

 ぺたりとその指先で小屋の壁に触れると、ぎゅっと壁にくっついた。


「おぉー」

 そのまま壁をsuction cupsで張り付きながら、登ってみる。suction cupsは吸着も離すのも自由自在で、Vandalieuは壁でも天井でも自由に這い回る事が出来た。


 このDemon King Fragmentを使えば、Dungeonの天井を這い回るのも楽に成るだろう。


 続いて二つ目のfragment

「【Demon King's Ink Sacs】、Activate

 指先から墨が出た。表面をtongueから出したmucusでコーティングした即席の土の容器にそれを溜めながら検証する。

 ねっとりとしたSquid墨も、サラサラしたoctopus墨も、性質は自由自在。更に色まで自由自在に変える事が出来るようだ。


 特に磯臭くも無いので、inkや塗料としても使えそうだ。もしかしたら布を染める染料にも良いかもしれない。


「でもこれを戦闘に役立てるには一手間が必要かな」

 何せsuction cupsink sacsである。【Demon King's Horn】や【Demon King's Blood】の-samaに、Activateさせただけで即Weapon Equipmentに使える性質の物ではない。

 カエルやoctopusSquidが使うのを真似れば良いだろうか?


「動物のAbilityを技術に活かす……これがバイオミメティクスか」

 違う。


『ああっ、陛下がまた人から遠ざかって……でも今までとあまり変わっていないような気がしますね』

 Princess Leviaの言う通り、Even now壁や天井を這い回りtongueや爪fangsからビタミン剤を含めた-sama々な薬剤を分泌してきたVandalieuだ。suction cupsink sacsが加わっても、小さな事なのかもしれない。


『あまり変わらないって……』

「どうしたの~?」

 そのPrincess Leviaの反応に呆れているOrbiaに、起き出してきたPauvinaが目をしょぼしょぼさせながら尋ねた。


Vandalieu -kunが指からsuction cups出して這い回ったり、指から墨を出してるんだよ』

「それだけ?」

『そ、それだけだけど……』

「じゃあ、あたしもう少し寝る~」


 ぱたっと倒れると、そのまま再びsleeps Pauvina

 穏やかな寝息を暫く聞いた後、OrbiaVandalieuに半笑いで言った。

Vandalieu -kun、もういっそScyllaに成る?』

「いや、俺は男ですから無理です」


 因みに、Scyllaも墨が吐けるらしい。




《【Demon King Fusionskilllevelが上がりました!》




 night明けと共に動き出したMardock率いる討伐隊は、あっけなく目的の物を見つけた。

 Undead Userの女Majinが居るだろう城塞を発見したのだ。

「これは……城壁? こんなに高い城壁を築けるはずが……」

「現実を見ろっ、現に城壁が建っているではないかっ!」


 一体何時の間にの樹木と同じ高さの城壁を、この地に築いたのか。材料や、そもそもこの城壁を支える広い平地に何故今まで誰も気が付かなかったのか。

 疑問は尽きないがまず現実として、Mardockは敵対戦力がScyllaAutonomous Territory内に城塞を築いている事を理解した。


「撤退だ、速やかに撤退するっ」

 そして動揺する部下を叱責し、撤退を開始しようとする。

 女Majinの隠れが小規模ならそのまま討伐してしまう事を考えていたMardockだったが、幾ら彼が率いる討伐隊が精鋭でも、単独でこの規模の城壁で守られた砦やmansionを攻めるのは得策ではない。


 立派なのは壁だけで中には碌な兵が居ない、そんな都合の良い妄想を見てChargeする程彼はidiotではない。

 砦に戻り、討伐軍上層部にこの事を報告し、入念な情報収集を行う。攻め込むのはその後だ。


 しかしMardock達は気が付いていなかった。自分達が既に城壁とその周りに立つ樹木に発見されている事に。

『おおおおおおぉおおぉん!』

『ぎしぃぃぃぃぃっ!』

 撤退を開始したMardock達を逃がすものかと、KnochenEisen達が襲い掛かった。


 それまでただの樹木に見えたImmortal Ent達が動きだし、城壁が弾けるようにバラバラに成り、飛び散ったbonecountlessSkeletonに姿を変える。

「城壁がSkeletonに!? しかも周りの樹はmonstersだと!? ここは何時からDevil Nestsに成ったのだ!?」


Skeleton如き幾ら数が多くてもごはっ!?」

『おぉぉぉぉん!』

 咆哮と共に吐き出される毒のBreathをまともに受けて、精鋭の筈の討伐隊の面々が胸を抑えて咳き込む。そこに四足獣のSkeletonBone Animalが殺到して抑え込みにかかる。


「ぐえぇっ!?」

 死んでいなければそれで良いと言わんばかりの粗っぽさで。


「撤退っ、撤退だっ! 隊長を逃がせ!」

idiot者! 私に構うなっ、-dono以外は散開してばらばらに逃げろ! 情報だけは届けろ! これは命令だ!」

 反射的にMardockを逃がそうとする隊員たちだったが、Mardockはそう厳命して自ら剣を抜くと-donoを務める部下達に加わった。


 既にMardock達討伐隊は、動きが早く毒のBreathを吐く大量のSkeletonによって飲み込まれつつある。犠牲も構わず部下を逃がさなければ、情報を持ち帰る事も出来ずに部隊は全滅だ。

 その厳命を受け、後方で生き残っていた部下が走り出す。しかし、部下達は五秒と経たずに次々に戻ってきた。


 手足や胴体を曲がってはいけない方向に曲げながら、弾き飛ばされてきたのだ。

「既に回り込まれていたのか!」

「左-samaでございます」

 思わず振り返り地面に転がり痙攣する部下の姿を見て、悔しげに唸Mardockに答えたのはBellmondだ。


 空を飛ぶことが出来る彼女は、悠々と討伐隊の背後に上空から回り込んでいた。しかし、彼女の表情に得意げな-sama子は無かった。

「やれやれ。金属糸では手足を切断してしまうので、頂いたtailで生け捕りにしようとしたのですが。旦那-samaの技術が高すぎるのか、皆-samaが脆すぎるのか、上手く行きませんね。【Petrifying Magic Eye】は激しく動いている対象には使い辛いですし」


「な、何だとっ!? 汚らわしいBeast race風情が!」

「止せ!」

 Bellmondの物言いに激高した隊員がMardockの制止も間に合わずBellmondに切りかかるが、彼女のtailが掻き消えたと思った次の瞬間、隊員は人体が立ててはいけない音を立てて飛んで行った。


 一瞬見えたその姿から想像するに、内臓破裂と粉砕bone折でほぼ即死だろう。


「申し訳ありません。皆-samaを生け捕りにし損なったのは、全て私が至らぬせい。御不快にさせた事を謝罪いたします」

 そしてMardockに深々と一礼する。


monsterが!」

 だがMardockBellmondの謝罪を無視すると、掴みかかってくるSkeletonSlash倒し、何とかこの包囲網を脱出する術は無いかと周囲を見回した。


「気を付けろっ、Skeletonの中に一匹抜きんでて強いのが混じっているぞ!」

「鎧と盾を持ったSkeletonに注意しろっ!」

『ヂュォ、KnochenCoordinationすると私の存在が埋もれてしまいますな』

 Skeletonを抑えていMardockの部下達は良くやっているが、その中に混じっているBone Manが【Martial Arts】を使用して一人一人Slash崩していく。


『イケドリ~♪』

 報告にあったHydraUndeadYamataが歌いながら部下達をその長い首で絞め殺している。

『て、がげん……bread、チっ!』

 そして女MajinGiantな拳で部下の頭部を叩き潰している。


『皆、生け捕りとか手加減の意味を知っているのかしら?』

『仕方ありませんよ、姉-san。皆、対人戦は久し振りなんですから』

 そう言いながら、敵の中では比較的常識的なappearanceをしている二人、RitaSalireGiantHalberdGlaiveで【Iron Wall】を使用している部下の盾ごと断ち割っていく。


「ぐあああっ!? 俺の腕ガアアアアア!」

「ひぃぃぃぃっ、脚っ、脚ぃぃぃぃぃっ!?」

 部下達は生きてはいるが、腕や脚を二本以上切断されて地面にscreechを上げながら倒れている。ある意味、即死より残酷だ。


「こいつ等……まさか我々を生け捕りにするつもりだとでも言うのか!?」

 結果がついて来ていないが、流石に何度も生け捕りと口にしていればMardockも気が付く。しかし、降伏する気にはなれなかった。この惨状を見て、真面な扱いが期待できるとは思えない。寧ろ、捕えられた後「気が変わった」と殺される可能性の方が高いようにすら思える。


 いっそsuicideした方が良いのでは? そんな考えすら浮かぶ。だがMardockは奇跡的に包囲網が薄い場所を見つけた。

「【Super Instant Response】! 退けぇっ!」

 【-Surpass Limits-】と【Armor Technique】のMartial Artsを使用して、Skeletonの合間を駆け抜け、立ち塞がる植物系monstersに切りかかる。


『ぎぃぃぃぃっ』

「【Rupture】!」

 そして【Sword Technique】のMartial Artsを使用、処理が間に合わず痛み出す頭を無視して振るう斬撃が、植物系monstersEisenの幹を大きく穿つ。


 赤いSapを撒き散らすEisenに、一矢報いたぞと口元を歪めMardock。後はこのまま走り抜けるだけだと、足を止めずに逃げ去ろうとする。


『ぎぃぃぃぃ――』

「――ぃ!」

 その時大きく斬撃が刻まれた幹が内側から弾けるように割れると、そこから伸びて来たSap塗れの腕がMardockの脇腹に食い込んだ。


「ごはっ!?」

 肋boneを何本か圧し折られ、堪らず地面に転がMardockが見たのは割れた幹から這い出る女の姿だった。

 緑色の肌をして、背中から枝を伸ばし、何故か牛に似たtailを生やした女。


「な、何なんだぁ!? 貴-sama等は何なんだ!?」

 Mentalの限界に達したらしく、倒れたまま喚き散らすMardockEisenの中から出てきた女は、背中の枝に実ったFruitを捥ぎ取った。


「お……たべぇ」

 そして、鉄のように硬いFruitをそのままMardockに振り下ろした。




『静かに成りましたな。そろそろ皆戻って来るでしょう』

「は、はあ」

『なに、心配は要りませんぞ。如何に精鋭と言えど、一隊程度なら我々が負ける事はあり得ませんからな。それよりもお茶のお代わりは如何ですかな』


「頂きますぅ! 頂かせていただきます!」

『いや、ですから心配は要りませんと言っているではないですか。はっはっは、心配性な方々ですな』


 その頃、Knochenbone mansionの中では外から聞こえてくる戦闘音と断末魔の絶叫、そして自分達に和やかにお茶を勧める、本来は白目の部分も真紅の目をした中年の男、Samに怯えるHaj達が居た。


 Haj達が中々落ち着いてくれず、困っているSamが無駄な努力をしていたと気が付くのは後日の事だった。




Title explanation:Tentacle King


 『Evil God of Slime and TentaclesMerrebeveil等、tentacle系のEvil God (M) Evil God (P)が与えるか、tentacletentacleを持つ者で王(Queen)に相応しいと認められた者、tentacle tentacleを持つmonstersraceを多く従えた者が獲得するsecondary name


 歴史上、殆どの場合自身もtentacle tentacleを生やしている存在が獲得してきた。例外としてはKrakenTamerしたlegendTamerや、初代Sauron Kingdom国王が知られる。


 具体的な効果はtentacle tentacleを持つmonstersracecharisma性を発揮できるようになる。それらをFollowersに加える事が可能に成る(【Strengthen Followerskill必須)。自身のtentacle tentacleEnhanced (1)や、扱う際にskill補正や効果を大きくする事が出来る。


 因みに、Demon King Guduranisoriginally存在したworldでは、tentacleを生やした知的生命体が繁栄していたらしい。そのため、幾柱ものtentacle神が存在したそうだ。


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