Resistanceの使者が明日、この集落に来る。
「俺もその人達と話したいのですが、良いですか?」
それを聞いたVandalieuは、その場に同席したいと申し出た。
洞察力が鈍いVandalieuでもOrbiaのloverがAutonomous Territoryの外から来たHuman、交渉に訪れる占領軍か、Resistanceの一員だろうという事は察していた。
明日来る使者の中にOrbiaのlover本人が居なくても、Scylla連続殺人事件についてResistanceは何か情報を持っている可能性がある。
それに交渉に来る新生Sauron Duke軍のleaderはVida believerだそうなので、話を聞いてくれそうだ。
「あたしは構わないけど、先方が嫌がるかもしれないから確約はできないよ。maybeそんな事は無いと思うけどね」
Periveilの返答にOrbiaが落ち着かない-sama子を見せたので、maybe彼女のloverがResistanceのmemberである可能性が高くなった事に、Vandalieuは更に気が重くなった。
「じゃあ、tonightは泊まって行きなよ。もうnight中だからoriginallyそう提案するつもりだったけど」
「そうだね。あ、でも慣習だからPrivelは別の小屋だよ。Shrine Maidenは祭りまで身を清めてないといけないからね」
「婿のVanが一人で居ないといけない慣習が無いなら大丈夫!」
「Pauvina、婿って何の話ですか?」
「まあまあ、陛下なんだろ? あと二人くらい頼むよ」
『Periveil -san、陛下が陛下である事を本気にしていませんね?』
「本気にされても困りますが」
まだ本当の事を全て明かした訳でもないのに。
案内されたのは、商人が来た時に泊めるための小屋だった。Pauvinaにはちょっと狭いが、今は誰も使っていない空き家の方が良いだろうと思ったらしい。
「他の人が居ると、ゆっくり休めないだろうってkaa-sanが。Levia -sanが姿を見せただけで大騒ぎするだろうし」
そう気を使ってもらった結果、Vandalieu達は気兼ねなく相談できる時間を手に入れた。
「ぐ~」
良い子は寝る時間と熟睡しているPauvinaにガッチリ掴まれているBodyから、【Out-of-body Experience】で抜け出したVandalieuは自分に憑いているGhostの一人であるHannaに、キャンプ地で待つ皆に伝言を頼んでいた。
『分りました! 任せてください』
元気良く答えると、Hannaは音も無く姿を消す。最近Blaze GhostにRank upした彼女の姿は、Dark nightでは文字通り灯のように目立つが、Ghostであるため姿を消して移動する事が出来る。
bloodthirstを振りまいている訳でもないので、【Spiritualist】でもない限り彼女を見つける事は不可能だ。
『今度から伝言は虫UndeadじゃなくてGhostの皆に頼みましょう』
誰かに目撃される事も、うっかり蜘蛛の巣に引っかかる事も無いし。
因みに伝言の内容は自分達のこれからの予定の報告、そしてキャンプ地で保護しているResistanceに対する聞き込みを頼む事だ。
『それで、話なのですが』
『何? アタシにも伝言?』
それまで黙って、しかし落ち着かない-sama子だったOrbiaはVandalieuに声をかけられると、振り返った。
既に彼女の【Visualization】は解除されているため、その声はPauvinaには届かない。
『lover -sanから指輪を受け取る前に、指に何かinjureをしませんでしたか? 棘が刺さったとか』
その質問の意味を察したPrincess Leviaが息を飲むような仕草をした。
『陛下、それは――』
『ううん、指にinjureはしてないはずだよ。指輪を嵌めた時、チクリって何か刺さったような気がしたんだけど、気のせいじゃなかったんだね。アタシの死体の指に、何か残ってた?』
思わずVandalieuの質問を遮ろうとしたPrincess Leviaだったが、Orbiaは淀みなく答えた。
そして目を瞬かせるPrincess Leviaに、溜め息をつくように肩を落として見せる。
『アタシ、あんまり頭は良くないけど、Van -kunのManaのお蔭かな、生きていた時よりすっきりして良く考えられるんだよね。
だから、あの人が怪しいっていうのは言われなくても解ってる』
『死体も見つからないし、指輪は無いし、loverが死んでから何日も経ってるのに音沙汰ないし。どう考えても疑わしいよね』と、そうOrbiaは自嘲を滲ませて微笑む。
『でも、あの人がアタシを殺したってハッキリ決まった訳じゃないよね?』
『確たる証拠は何もありません』
全て怪しいだけで、証拠も目撃証言も何も無い。Orbiaのloverが怪しいのは否定できないが、疑惑を裏付ける物が無いのも否定できなかった。
『なら、アタシはあの人を信じたいんだ。本気で好きに成った人だから……だから、まだあの人が何処の誰なのか言いたくない。ゴメンよ』
そう言ってすまなそうに目を伏せるOrbiaに、Vandalieuは「構いませんよ」と言って頷いた。
『っで、明日なんですが――』
『ちょ、ちょっとっ、良いの!? アタシ黙ってて本当に良いの!? かなりのワガMamaじゃないの、これ!?』
『ん? もしかしてフリでした? 空気を読んで聞き出そうとした方が良かったですか?』
『空気を読むとか意味わかんない!?』
動揺するOrbiaに、Vandalieuは何度か瞬きをした後答えた。
『Orbia -san、霊って基本的にselfishnessで自分勝手、emotions優先、合理主義なんて見向きもしない。そんな存在です。
Princess Levia達のようにreason的な霊なんて、滅多に居ませんよ』
霊とは、死体から抜け出しながらもReincarnationの環に還っていない、地上に残った死者だ。そんな存在がreason的なはずがない。
多くはemotionsがrunawayしがちで、思考は所々論理的に破綻し、過去のMemoryを無意識に改竄する事も多い。何せ前頭葉や海馬を含めた脳全てが無いから抑制も効かないし、Memoryの蓄積や保持も過度な期待は出来ない。
深呼吸して気を落ちつけようにもlungが無い。高ぶりすぎて失神する事も無いし、怒り疲れて消耗するEnduranceも無い。
死によってBodyから完全に解放された霊は、際限なく狂い続ける事が出来る。
『実際、俺達に会う前のOrbia -sanもそんなconditionだったじゃないですか』
『あ、あぅ……』
もし指輪が沼底に沈んでいても霊に成った身では泥を払う事すらできないのに、何日も延々指輪を探し続けていた自分を思い出し、Orbiaは思わず呻いた。
今彼女が生前と同じように振る舞う事が出来るのは、Vandalieuのimpact下にあり彼からManaを供給されているからに過ぎない。
ただVandalieuは「だから霊はダメなのだ」とダメ出しをしている訳ではない。
『別に霊を悪く言うつもりはありません。良し悪しではなく、単にそういう存在だというだけです。Orbia -sanがloverの事を信じる事を悪く思う事ではないと、俺は言いたいのです』
『でも……』
『大丈夫ですよ、色々手は打っていますし』
Orbiaがloverについて黙っている事を認めたVandalieuだが、別に事件の捜査に手を抜いている訳ではない。既にOrbia本人やPrivel、Periveilから聞いたAutonomous Territory内の他のScyllaの集落や、Autonomous Territoryとの境界に建てられている砦に使い魔のLemureを向かわせている。
脆いLemureは流れのある水辺に潜らせると直ぐ崩れてしまうので、この水場だらけの土地では目の粗いザルの-samaな警戒網だが、殺人犯はScyllaのloverだ。Scyllaと違ってこの冬に水に入る事はまず無いだろう。
『それに犯人は複数犯でしょうから、上から見張れば移動するところは目立つでしょう』
『え? 何でそんな事が解るのですか、陛下?』
『Orbia -sanを殺した後、死体を晒したからです。あれ、一人でするのは大変ですよ』
このworldには鉄の剣でもActivateさせれば岩を切断する事が出来るMartial Artsや、便利なmagic。それに-sama々な行為を助けてくれるskillが存在する。
しかし、それらを駆使しても一人ではOrbiaの死体に行った工作は難しいとVandalieuは考えていた。
何らかの方法でOrbiaを殺した後、tentacleを切断して胸をズタズタに切り裂き、矢を何本か射ち、Aldaの聖印を焼印して、近くの木にロープで縛り付ける。
明らかに一人ではoverworkだ。焼き鏝を含め、必要な道具も多い。
Martial Artsは死体の損壊に使うにはAttack Powerが高すぎる。胸を切り裂こうとするとOrbiaの死体を胸部から切断するか貫通してしまうはずだ。tentacleの切断にしても、切り口の角度が全て異なる。八回もMartial Artsを使ったとは考えにくいし……死体を地面に寝かせていたら地面に、木に吊るしてからだったら木に、勢い余ってついた刃の跡が残るはずだ。強引に跡を消そうとしてもScylla達だって気が付くだろう。
certainly magicでも難しいのは同じだ。
殺人犯がadventurerやKnightでAbility Valuesやskillのlevelが高くても、一人で行うのは無理がある。
『なので、見張れば大体わかると思うのですよ』
『なるほど~、凄いですね陛下っ!』
『ぼーっとしてる事が多いなって思ってたけど、意外と考えてるんだ。やるじゃんっ』
『いえ、受け売りの知識です』
感心した-sama子のPrincess Levia達に、VandalieuはEarthで見たmystery漫画や刑事ドラマの受け売りであると言う。
そう言えばあの漫画、Earthではまだ続いているのだろうか?
『それに、lover -sanのnameや顔、所属を聞いてもすぐにはどうにもできないでしょうし』
Japanなら容疑者の顔と氏名が解れば、住所や職場を程なく特定し、監視cameraなどの映像から居場所を探す事が出来る。
しかし Lambdaでそれを知っても、彼女のloverが今何処にいるかは探さないと分からない。何せ写真も監視cameraも無いし、人のimpactが及ばない原野だらけのworldだ。
Lemureは監視cameraの代わりには成るが、eyesightはVandalieuと同じ程度なので顔の判別にはある程度近付かなければならない。
ただ、顔とnameが解れば全ての集落に「この人が姿を現したら用心してください」「誘われても一人で着いていかないでください」と警告を発する事は出来る。
だが、その代わりにLemureの警戒網を構築しつつあるので、結局問題無いだろうとVandalieuは考えている。
後、Lemureが他の犠牲者の霊を見つければ【Spirit Communication術】でここに召喚する事が出来る。彼女達が犯人に関して情報を提供してくれる可能性もある。
『それに、lover -sanがResistanceの関係者なら明日何か解るでしょうし』
話し合いの席に同席して、「連続殺人事件の捜査を申し出た特殊な【Spiritualist】です」とSelf introductionするのだから、loverがResistanceの関係者なら何か反応があるはずだ。
それが「殺されたOrbiaにもう一度会いたい」と申し出る事か、Vandalieuを口封じしようとする事なのかは分からないが。
『うっ、そっか。そう言えばそうだよね~、何かあるよね~っ』
頭を抱えて悶えるOrbiaの霊の反応から、彼女のloverがResistanceの関係者なのは確実のようだ。
流石に直接本人が使者に含まれているとは限らないが。
『陛下、もし犯人がlover -sanだったらOrbia -sanが大変な事に成るのでは? もう陛下のManaが供給されていますから、Ghost化するかも』
Orbiaが悶えている間に、Princess LeviaがそっとVandalieuに耳打ちする。
古来深い愛情が激しい怒りや憎しみに変わる事は珍しい事ではない。特に今のOrbiaは霊で、しかも Vandalieuから十分なManaが供給されている。
Princess Leviaが案じる-samaに、切欠が在ればすぐにmonsters化して殺人犯に襲い掛かるだろう。
Vandalieuもそれが解っていたのか頷いた。
『確かにその前に確認しておくべきですよね、どんなUndeadに成るのか。Ghostに成った後Zombieに成るのは不可能ですし』
『そうそ……え?』
『Zombieに成る場合は死体に【Corpse Healing】をかけて損傷を治してから【Preservation】をかければ……ただtentacleが何本かと乳房が無いので、そこはPatchworkする事に成りますね』
『いや、止めないのですか?』
『ん? 必要あります?』
基本的に逆恨みでない限り復讐を肯定する考えのVandalieuは、OrbiaがGhost化して殺人犯に襲い掛かっても止める必要があるとは思わなかった。殺人犯や共犯者以外に累が及ばない-samaに注意すれば、問題無いと考えている。
『……言われてみると、必要無い気がしてきました』
聞き返されたPrincess Leviaも、考えてみると自分もVandalieuに促されたとはいえ、怒りや恨みでRank upした存在だ。そう思うと、Orbiaが復讐に走ってもそれを止める理由が全く思い付かない。
『あんた達、何話してるの?』
『あ、Orbia -san、陛下がZombieとGhostどちらが良いか選んで欲しいと言ってますよ』
『だから、アタシはUndeadには……まあ、恩もあるし、どうしてもって言うなら……GhostとZombieって、何が違うの?』
『はい、じゃあまずGhost化するとですね――』
その後、Princess LeviaによるUndead Transformation guidanceはnight遅くまで続いたのだった。
Hajが気付いた時、白いboneの-samaな形のタイル張りの(実際には表面だけではなく全てbone)の内装のroomに寝かされていた。
「こ、ここは?」
まさか捕まって牢屋に繋がれたのかと、跳ね起きて周囲を見回す。だが周りには一緒に逃げていた仲間の内大体三分の一、男だけがベッドに寝かされているだけだった。
首輪や手錠、足環は無い。ただroomにはHaj達が寝ていたベッド以外には、不気味な青白い火が燃えている燭台しか無く、窓や扉すら無い-samaに見えた。
「お、俺達はどうなったんだ? ここは何だ? あのmonsterやSkeletonは……?」
Hajが仲間を起こすのも忘れて戸惑っていると、彼の見ている前で扉が音を立てて変形した。
「気が付かれましたか」
そしてその向こうから、三人の女が姿を現した。
先頭に居るのは、二十age程の燕尾服を着た銀髪の女。背筋をピンと伸ばしたNobleや金持ちが雇える優秀なServantといった立ち振る舞いだが、その体付きはHajが思わず生唾を飲み込む程色っぽい。
燕尾服の胸の部分が弾けそうな程大きな曲線を描く胸の膨らみに、握ったら指が埋まりそうな豊かな腰つき。痣が残る美貌も、瑕疵ではなくDegenerate的な魅力を強めているように感じる。
Butlerの仮装を命じられたRoyal Nobility相手専門の高Class Prostituteだと言われても納得だ。ただ、耳が柔毛に覆われた猿の物で、尻の上には腕より長い銀色のtailが揺れている。
両親が異なる種のBeast raceなのだろうか?
『お食事を用意しましたけど、食べられますか?』
『他の人達は他のroomで休んでいるから、安心してくださいね。injureの治療も終わってます!』
女Butlerの後ろに続いているのが、十代半ばを少し過ぎたぐらいの良く似た二人のBishoujo。可憐な容姿だが、纏っているapronの豊かな曲線や裾から見える白い太腿が、女Butlerとは違う魅力を放っており、Hajの顔が益々緩みかけたが……何故か禍々しい形状の肩当てや手甲を身に付けている。
それに気が付いたHajは思わず顔を引き攣らせたが、彼女達が運んできた鍋から匂う香りが腹を直撃した。
朝から何も口にしておらず、命からがら逃げ出した直後に気を失ったのでEnduranceも消耗している。
『食べやすいようsoupにしました。お代わりもありますよ』
「あ、ああ、助かるぜ」
木皿によそわれるsoupの香りにappetiteを刺激された仲間達が、徐々に目覚め始める。
Hajはそれに気が付いて、我に返った。
「だが、聞かせてくれ。一体あんた達は何者なんだ? ここは何処で、俺達が気を失った後何があったんだ? それに、あのmonsterは何なんだ!?」
訓練され高い規律を保っているResistanceなら、正体不明の相手から受け取った食料を無警戒に口にする事は無い。しかし、Haj達は偽Resistanceだ。
町のチンピラゴロツキの類が群れているだけで、逃げる時散り散りに成らなかっただけでも奇跡だ。そんな彼らが目を覚ましたら、無警戒に差し出される旨そうなCookingを腹いっぱい食うだろう。
しかも差し出すのが多少奇妙だが三人の美女とBishoujoと成れば、完全に籠絡されてしまう。
その前に自分達の置かれている状況を知っておきたかった。soupに毒でも混ぜられていたら……命を脅かす類ではなく、麻薬の類が含まれていたらそれで詰む。
Hajは今日受けた討伐隊の待ち伏せで、自分達は「Resistanceを騙る木端詐欺師」のつもりでも、Empireからすれば「反抗勢力」以外の何物でもないとやっと気が付いたのだ。
「……あなた方はAmid Empireの侵略軍と戦う、Resistanceの勇士の方々で間違いございませんね?」
すっと細くなった女Butlerの目に射すくめられたHajは、背筋に悪寒が走るのを感じながら反射的に答えていた。
「そ、そうだっ! 俺達は新生Sauron Duchy解放戦線軍だ!」
何時も使っていた有名なResistance organization二つのnameを適当に混ぜたorganization名を口にする。そしてそのまま口を動かし続けた。
「ひ、昼間は占領軍がorganizationした討伐隊の卑劣な待ち伏せに遭い、hideoutで待機している仲間と合流するために撤退している最中だった! 俺達を匿い、傷の治療までしてくれた事に心から感謝する!」
純朴な村人達相手に偽Resistance詐欺を働いていた時に培った、それっぽい口調でまくし立てる。
それを聞いて目を覚ました仲間達も、反射的にそれらしく表情を引き締める。
「あ、危ない所を助けて頂き感謝の言葉も無いっ」
「おっ、お蔭でっ、まだ占領軍と戦う事が出来る、ありがとう!」
女Butlerの妙に鋭い眼光に怯えて声が引き攣っているが、咄嗟の行動にしては良い方だろう。偽Resistanceとしては。
すると、女Butlerはにっこりと微笑んだ。
「そうですか、では御安心ください。我々のmasterはこのSauron Duchyの現状を憂い、不当な侵略戦争を仕掛けたAmid EmpireとAlda believerからの解放を願う方。皆-samaの支援者でございます」
その答えに、Hajと仲間達は心から安堵した。ただHajだけはすぐ警戒心を取り戻した。
「待ってくれっ、恩人を疑うようで心苦しいが、貴方のmasterが何者なのか聞かせて頂きたい」
女Butlerがこちらを騙そうと嘘を言っている可能性があると思ったHajだったが、待っていたのは嘘の方が百倍マシと思えるような答えだった。
「ご安心ください。我々は……こういう者です」
女Butlerの、真紅の瞳と剥き出しに成ったfangsを目にしたHaj達は、screechを上げた。
『Hajの兄貴ぃっ! Vampire相手に何であんな嘘ついたんですか!? バレたら殺されますよ!?』
『あのMaidも不自然に白い肌してやがったっ、きっとVampireだぜ!』
『idiot bastardっ! じゃあ正直に言えってのか!? そんな事出来る訳ねェだろう!』
Haj達がroomで交わしている会話……ではなく、口喧嘩がroomに仕込まれたboneの管から響く。
「やはりVampireである事を明かすのは早計でしたか」
まさかあそこまで怯えられるとは思わなかったBellmondは、やれやれと溜め息をついた。
『まあ、仕方ありませんな。身分を偽ろうにも、誰のnameを騙ればいいかも分りませんし』
『ヂュウ。それに身分を保証する物も無いのでは、Vampireである事を明かすぐらいしか』
boneで作られた物干し竿に洗濯物をかけながら、SamとBone ManがBellmondを慰める。彼らはBellmondがHaj達と話している間、失禁していた偽Resistance達の下着やズボンを洗濯していたのだ。
『あの人達、あんなに怯えなくても良いのに。暴れるからシーツが肌蹴て……』
『忘れましょう、姉-san。Memoryから消すしかありません』
色々見苦しい物を見てしまったSalireとRitaは渋面で唸っていた。
『あの-sama子では落ち着くまでお話を聞く事は出来そうにないですね。どうします?』
Vandalieuからの伝言を届けに来たHannaが困った顔つきで炎を揺らめかす。
「旦那-samaには、彼らが落ち着き次第話を聞くと伝えてください」
まさかHaj達をTortureする訳にもいかないので、Bellmondは悩んだ末にそう返答した。
『分かりました』
姿を消すHanna。Vandalieuの元に向かったのだろう。
『でも、あの人達何を隠しているんでしょうね? 嘘がどうとか言ってますけど』
『ぢゅっ! まさか奴らはResistanceを騙る偽物なのでは!? ぢゅぢゅっ……!』
Bone Manがその奴らの褌を干しながら、Intuition的に真実をGuidance出す。しかし、悲しそうな沢山の顔に気が付いてすぐに口を閉じる。
『レジ……スタン……ス……』
『『『違……ぅ?』』』
『『『しっぱ、い? ……だめ゛え?』』』
乏しい表情でしょんぼりしている-sama子のRapiéçageと、Yamataである。もしかして間違えちゃった? 連れてきちゃダメだった? お使い失敗? そう言いたげな顔をしている。
『ヂュォオォ……』
「いえ、討伐隊に追われていた以上Resistanceである事は間違いないでしょう」
どうしたものかと狼狽するBone Manに助け船を出すように、BellmondがHaj達の身分をResistanceだと断言する。
だが、BellmondはRapiéçageとYamataを慰める為だけにそう断言した訳ではない。
本当にそう思ったから断言したのである。
「maybe、彼らのついた嘘とはorganizationのnameや、hideoutに仲間がまだ要る事等でしょう」
『え、どういう事ですか?』
「自分達を大きく見せようとして、つい本当よりも大きなorganizationのように偽ってしまったという事です」
『なるほど』
実は、BellmondはVandalieuと同じかそれ以上に他人の心理を見抜く目は節穴である。
一万年以上生きている彼女だが、その人生の九割以上を前のmasterであるTerneciaの隠れ家、地底湖の辺に建つmansionの維持管理をして過ごして居たのだから対人communication Abilityが育つ訳が無い。人の裏側を見る洞察力など、磨くどころか風化して塵と化している。
これが工作員として訓練を受けたEleonoraなら、Haj達の嘘も彼等の実力も全て見抜いただろうが、Bellmondは彼等のaccurateな実力も測りかねていた。
『確かにあの人達弱そうでしたよね。Weapon Equipmentも粗末でしたし』
「まあ、そんな物でしょう。ただの人なのですし」
RitaからHaj達をfollowしているつもりのBellmondだが、実際にはHuman全体の程度が軽く見られていた。
Rank10の単体で小国程度なら滅ぼせるmonsterであるBellmondにとって、多少腕が立つくらいでは誤差の範囲でしかない。それでも見抜く目を持つ者も存在するが……約一万年の引き籠もりである彼女にそんな眼力は無いのだった。
『Eleonora -sanにも来てもらえば良かったですね。【Charming Magic Eyes】なら話も聞けたのに』
『Talosheimをあまり手薄にする訳にもいかないもの。仕方ないわ、Resistanceの人達が落ち着くまで待ちましょう、ね?』
『しかし Darcia -sama、彼らもつまらない嘘をついた物ですな。規模が小さくてもBocchanは気にしないでしょうに』
『えー? 規模が大きいResistanceを助けた方が得じゃないですか?』
『Rita -san、Resistanceを助けたって実績があれば十分なのよ。Haj -san達のorganization自体は小さくても、Haj -sanから他のResistance organizationをintroductionして貰えるかもしれないじゃない』
『Darcia -samaそんな事に気が付くなんて凄いです!』
実際DarciaやSamが言う-samaに、Resistanceなら規模の大小にかかわらずVandalieuは助ける事を選ぶだろう。その行いが他のResistance organizationからの信用に繋がると考えて。そもそも事前に碌な情報収集もしないで有力なResistance organizationと接触できるなんてFortune、都合が良すぎる。
……流石に偽Resistanceが引っ掛かるとは思わなかっただろうが。
「そう言えば、他の二roomの方々はどうしています?」
Hajの他の仲間達は、femaleだけを集めて一室に、残りの男達は纏めて大き目のroomに寝かせて置いた。彼女達は既に目を覚ましていて、既に食事も持って行っている。
そしてそれらのroomにも壁には伝声管代わりのboneの管が仕込まれていて、中で交わせられている会話をある程度拾う事が出来る。
『femaleのroomの方では、何故かBellmond -donoのmaster、つまりBocchanにbloodを吸われて殺されるのだと怯えている-sama子ですな』
femaleのroomは、Haj達とあまり変わらないconditionらしい。
そして残りの一roomに纏められた偽Resistance達は、Hajのように警戒する者も無くBellmond達に鼻の下を伸ばし、soupに躊躇わずに口を付けお代わりまでしていた、ある意味大物達だったが……
『私と姉-sanとBellmond -sanの話をしてます! 一晩相手をしてもらうなら誰が良いかとか、同じResistanceの人か知り合いの女の人と比べて、胸やお尻がどうとか言ってます!』
単に程度が低いだけだったようだ。あまりにも警戒されなかったので、BellmondもVampireである事を明かし損ねていたのだが。
『因みに一番人気はBellmond -sanです。やりましたね!』
「……fragment程にも嬉しくありません」
『因みに私達も人気でしたからね、僅差でしたから、負けた訳じゃありません!』
『ほほぅ……Bocchanの許可さえあれば、彼らを今すぐnightのmidair散歩に誘いたいところですな』
『お父-san、抑えているのは解るけどもっと抑えて!』
『Sam -san、Aura of Fearが出てるわ。気を静めてね』
『ところであの人達、何時床や壁、自分達が寝ていたベッドもKnochenで……boneで出来ているって気が付くんでしょうね?』
『おぉぉん』
討伐隊をCommandingすMardockは、無事に戻った方のSpyからもたらされた報告を聞いて顔を顰めていた。
「Hydraと女の死体を縫い合わせた特殊なUndeadに、雷を操る女Majinか。予想外だな」
Resistanceの中にはあの汚らわしいGoddessのbelieverも多く、Undeadを使う邪悪の徒が存在するかもしれないと考えていたが、実際に存在するとは。
「ただ、Resistanceの仲間という訳でもないようです。Undeadから逃げようとしていたので」
「ふむ……っと、成るとUndeadと女MajinはResistanceとは別口か」
Vidaを信仰するMajinの集落が存在しており、Watchdog代わりのUndeadがResistance達を拉致した。そんな筋書きをMardockは描いた。
「どうします? Pursuitは容易ですが……既にここはScyllaのAutonomous Territory内です。敵もResistanceではないようですし、一旦退きますか?」
副官の言葉に、Mardockは太いchinを撫でた。
「いや、Attack Power偵察を続ける。撤退は、Undeadと女Majinに関する情報を得てからだ」
「しかし、Scylla共との交渉に問題が起きませんか?」
「起こすために続けるのだ」
Mardockは汚らわしいVida's New Racesと交渉を行うと言う討伐軍上層部、そしてEmperor Mashkzarのpolicyが気に食わなかった。
あんな汚らわしい連中を根絶やしにする事こそ、偉大なるChampion Bellwoodの子孫と称するEmperorがするべき行いだろうに。それを蔑にして交渉など、正気の沙汰ではない。
「Autonomous Territory内にMajinが隠れている事、そしてそのMajinがUndeadを使役するEvil God (M)の徒である事をScylla共が隠していた証拠を掴み、上層部に叩きつけてくれる!」
Scylla族のAutonomous TerritoryはScyllaとその夫やfamilyが生活する事を許されたAutonomous Territoryだ。他のmonstersにrootsを持つVida's New Racesが暮らす事を許してはいない。
実際には女MajinやUndeadに関してScylla達は何も知らず、気が付いていないのかもしれない。しかし、Mardockは真実にかかわらず「Scylla共は知っていて隠していたのだ」と訴えるつもりだった。
交渉決裂の理由にさえなれば良いのだ。
「だが相手はUndeadにMajinだ、night目が効く。今宵は野営し、night明けからPursuitを開始する」
「御意っ! 皆、野営の準備だ!」
Yamataの残した痕跡を辿る討伐隊の、Knochenの城壁の前ではあまりにもかweak魔の手はすぐそこまで迫っていた。