Amid Empireに占領されている旧Sauron Duchyのある山に、数人の男達がいた。
彼等のすぐ前で、ぐねぐねとtentacleが蠢き水面を叩き泥水が跳ねる。
「こいつっ、まだ生きてる!?」
「う、撃てっ、撃てぇっ!」
それに狼狽した弓兵が慌てて緑色の液体が付いた矢を短弓につがえ、弦を引き絞る。
「狼狽えるなっ、もう死んでいるっ!」
そう癖のある前髪を伸ばした整った顔立ちの青年が制止するが、弓兵達の放った矢がかくんかくんと不気味に揺れるそれの上半身に幾本かthrust刺さった。
だが、tentacleは蠢くのを止めない。青年はclicking tongueをして、弓兵達を叱責した。
「事前に説明しておいたはずだぞ、こいつ等のlower bodyは死んでもすぐに動きを止めないと。首を落されても、それこそ上半身を切断しても暫く蠢き続けると。
octopusと……」
octopusと同じだと説明しようとして、青年は止めた。海沿いの町で育った自分とは違い、弓兵達の多くが内陸出身でoctopusという生き物が居る事は知っていても、干物や酢に漬けたconditionでしか見た事が無いのを思い出したのだ。
「蜥蜴のtailと同じだ。あれも暫く跳ね回るだろう」
実際には違う理由なのだが、今青年が弓兵達に与えるべきは正しい教養ではなく落ち着きだ。
「な、なるほど」
「確かに……流石Rick副Delegation Leaderはextensive knowledgeだなぁ」
狙い通り、弓兵達は落ち着きを取り戻すと弓を下げた。彼等が使う矢と鏃に塗った毒は特別な物なので、無駄撃ちさせる余裕は無いのだ。
「あまり気を緩めるなよ、動かなくなったらそれを晒さなければならないのだからな」
「Magic Stoneや素材はどうします?」
「当然手を付けるな。資金難だが、万が一にも我々がこいつ等を殺した犯人だと露見するのは拙い」
「それもそうですね」
部下がDismantling用のknifeを鞘に納めるのを見届けてから、Rickはtentacleの動きが鈍くなってきたそれに視線を戻す。そしてbalanceを崩して沼に倒れ込んだそれ……Scyllaのfemaleに歩み寄った。
信じられないといった-sama子で目を開いたままの彼女の、だらりと垂れさがった泥まみれの手を取る。
「悪いが、これは返してもらう。次も使うのでね」
そして細い指から、つい先ほど渡した指輪を抜き取った。
「処理しろ」
Rickの指示に従って、短弓から手斧に持ち替えた弓兵達がScyllaを醜悪なオブジェに加工していく。
全てのtentacleを切断し、首から下の上半身、特に乳房を中心に傷を付ける。
「毎回思うのですがRick副Delegation Leader、何でここまで胸を切り刻むんで? それにtentacle一本一本を切断するより、腰から一気に【Axe Technique】で切断してやれば早いじゃないですかい?」
「こいつ等にはこの方が屈辱的なのだ。私には理解できないが、lower bodyのtentacleはScyllaにとって人の女の髪に匹敵する、誇るべき部位らしい。
そして胸はVida -samaを信仰する女にとって母性を象徴し、聖印のモChiefであるheartを納める場所だ。それはこいつ等にとっても同じことが言える。
こいつ等の死体を辱めるなら、面倒でもこの方が効果的だ」
そして顔を傷つけないのは、死体を発見した他のScylla達が身元を特定しやすいように。
「なるほど……」
つまり無駄なく文化的にも信仰的にも重要な部位を狙い撃ちにしているのだ。相手が人ではないと言え、ここまで合理的に死体を壊せるものなのかと、質問した男は顔色を悪くした。
「そんな顔をしてくれるな」
そんな部下にRickは小さく苦笑いを浮かべて見せた。
「私が楽しんでやっているように見えるか?」
「え? でも、副Delegation LeaderはScyllaを嫌っているんじゃないんですかい?」
「確かに私はScyllaを軽蔑している。だが、それだけで自分に好意を持っている、仮にもfemaleを毒殺して死体を弄ぶ猟奇趣味は持ち合わせていないつもりだ」
苦笑いを深くしたRickはそう言い、言葉を一度切ると表情を引き締めて真剣な顔で言った。
「このtacticsは確かに誰にも誇れない、恥ずべきものだ。とても正義とは言えない、下衆な行いだ。
しかし、忘れないでほしい。我々は圧倒的にweak立場だ。手段を選んでいては勝利などできない、そして我々が勝利できなければ、この国は救えない。今まで死んでいった仲間達も、我々が殺したScylla達すらも無駄死にになる。
決して失望はさせない。私と兄を信じ、着いて来て欲しい」
「「「はいっ! Rick Paris副Delegation Leader! 何処までも着いて行きます!」」」
Rickの演説に感極まった部下達が口々に賛同する。自分の手を汚す事も厭わないCommanderと自分達を孤高のheroか何かと同一視しているのか、崇高な目標の為に戦っているという優越感に酔っているのか。
そしてRick達はScyllaの死体を沼の縁に生えている木の幹に縛り付け、最後に仕上げを施してから去って行った。
bloodと泥にまみれた凄惨な死体と、沼の泥に混じったtentacleや肉片が放置された。
赤毛の美女が、Surgery台に四肢を頑丈な鎖で幾重にも拘束されていた。
「…………」
身に着けているのは薄い妙な布一枚で、真っ白な背中や腿の付け根が晒されている。そしてそこには、縮れ引き攣った傷跡が残っている。
美しいが妖しげな歌声が響くなか、音も無くその傷跡に蠟を縫ったような白い手が迫る。
「メス……では無くclaws」
「切開」
『potion投与』
『三番parts』
そして手際良く何かが進んで行く。
迷いの無い手つきで美女の肌を、その下の肉をメスよりも鋭いclawsが切開する。その手際はaccurateで、驚くほど出bloodが少ない。
しかし麻酔もせずに外科Surgeryをしているため、その度に美女の背筋や肩がビクリと震え、小さく呻くような喘ぎ声が洩れる。
「最後にpotionをかけて、Surgery終了。ご苦労-samaでした」
「うむ、良い仕事だったよ、師Artisan」
『『『~♪』』』
「ええっ!? もう終わってしまったの!?」
うつ伏せに成っていたEleonoraが顔を上げると、「終わってしまったのですよ」と答えるVandalieuが居た。
clawsを納めた彼はEleonoraを拘束していた鎖を解くと、Surgery助手のYamataと整形Surgeryの後片付けを始める。
「EleonoraのSurgeryは、そんなにかからないって前もって説明したじゃないですか」
Life-dead化したTerneciaのpartsを移植して行う整形Surgeryは、Eleonoraの傷跡が数カ所しか無かったとしても、Earthなら大Surgeryだろう。
skinだけではなく、その下の肉やblood vesselまで移植しているのだから。
しかし、執刀医がVandalieuで患者がEleonoraだと、簡単な施術だ。
【Spirit Form Transformation】した一部を患者のbody partと同化させて体内から出bloodを抑え、巧みなclaws捌きと、そこから分泌する薬剤で再生を促す。
Eleonoraも、部位欠損を再生させる事が出来るNoble-born Vampireだ。【Abnormal Condition Resistance】skillのせいで麻酔は殆ど効かないが、そもそも痛みに強いのでこれくらいなら問題無く耐えられる。
……それなのに何故四肢を拘束されていたのかというと、「万が一、body partが動いてしまったら大変だし、ね?」とEleonora本人が希望したからである。
「でもっ……もうちょっとっ……」
「現在の医学では手の施しようがありません」
健康体に医学は無力である。
Eleonoraはallyを求めて思わずYamataに視線を向けるが、返って来るのは歌っている三つの首以外の六つの首の輝きの無いどろりとした瞳だけだ。
Ternecia謹製の、竜種のHydraの中でもRank upした個体をベースに九人のそれぞれraceの異なる美女の上半身を首にくっつけた合成Zombieで、Vandalieuも「この人凄い便利」と気に入って色々【Surgery】skillで手を加えているが、知能自体は普通のZombieのままだ。
命令された事以外は殆ど何もしないし、思考力も幼児並だ。
「私はもう少し見せてもらっても構わないのだがね」
代わりにallyになったのがLucilianoだ。
平気な顔でこの場にいる彼だが、Eleonoraは彼を異性として認識していない。彼自身の「あ、私はUndead以外に興味無いから」というSurgery前に放たれた言葉の説得力が大き過ぎるのである。
「-kunとTerneciaのpartsがFusionする過程は、非常に興味深い。最初は互いに反発し合うのに、師Artisanのbloodから作ったBlood potionをかけた途端、見る見るうちに一つに成って縫合の必要すら無い。まさしく、変化だ」
Lucilianoが言う-samaに、Eleonoraのbody partには縫合等のSurgery痕が全く見られない。流石にpartsを移植したので、肌の色がやや異なる部分があるのは仕方ないが、この分ならすぐにFusionして馴染みそうだ。
「そういう訳で師Artisan、もう少し移植Surgeryをしてくれないかね?」
「だからもう健康体です。Eleonora、念のためにBlood potionをもう一本飲んで、後は安静にしていてください」
「仕方ないわね……あぁっ……!」
諦めて白い喉を小さく鳴らしてpotionを飲むと、Eleonoraの瞳が妖しく光る。やはり材料にbloodを使うからか、Blood potionはVampireに通常とは異なる効果を及ぼすらしい。
「良いのかね、師Artisanよ?」
「んー、害がある訳ではなさそうなので、良いでしょう」
「旦那-sama、私は若干不安なのですが」
Surgeryをroomの端で見学していたBellmondは、妖しげな-sama子のEleonoraに若干冷や汗をかいていた。
(私があんな顔を? とんでもない。私のような醜い者があんな表情をして見せたら、旦那-samaに疎まれて……その前にSelf嫌悪のあまりsuicideするのを抑える自信が無い)
そう怯えるBellmondだが、既にSurgeryの準備は整っており、今から止めて欲しいと言える空気ではない。
「せ、せめて完全に意識を落としてSurgeryをするのは……?」
「意識が無いと逆に【Rapid Regeneration】skillの効果が落ちますし、potionを飲んでもらう時に困るので起きていてくれると助かります。
大丈夫です。Yamataの歌もありますし、痛いのは最初だけではなく最後までですが、出来るだけ抑えるので」
でも天井の染みを数えている間に終わる事は無い。Bellmondの場合はEleonoraと違って移植する部分が多いので。
「では、私を旦那-samaのmagicで【Out-of-body Experience】させるのは如何です?」
「出来なくは有りませんが、それで【Parallel Thought Processing】の枠が一つ埋まってしまうので。万が一の事態を考えると、余裕は確保しておきたいのです」
患者がVitalityの強いNoble-born VampireのBellmondなのでまず重篤な医療事故は起きないだろうが、それでも万が一を想定するべきだろう。
「くっ、流石旦那-sama。隙が無い」
「それは無いだろう、私情も私欲も挟んでいないのだから」
呻きながら賞賛するBellmondに、Lucilianoが自分で淹れたシダ茶を啜りながら言う。
「ふふふっ、安心なさい。すぐに何もかも快感に成るわ」
「Eleonora、そろそろroomを出て服を着て休んでいてくださいね。Bellmondが不安がりますから」
『こっちですよー』
『安静にしましょうねー』
「ああ、Vandalieu -samaがいっぱいっ♪」
【Spirit Form Transformation】で増えたVandalieuのCloneが、やはり若干トリップした-sama子のEleonoraをSurgery台ごと運び出していく。どうせこうなるだろうと、もう一つ作って置いたSurgery台を設置し直して、準備万端。
「それにしてもこのBlood potion、そんな効果が本当にあるんですかね?」
自分が飲んでも回復等のpotionとしての機能以外は、ただ甘くて飲みやすいだけなのだが。
「それはそうでしょう。ご自分のbloodなのですから」
どうやら、流石のVampireも自分のbloodにはappetiteを覚えないらしい。
「……じゅるり」
しかし、それまで常に虚ろな顔をしていたYamataがBlood potionを見る時だけは、瞳に原始的なappetiteの輝きを宿らせる。Vandalieu以外のVampireやZombieにとって、Blood potionは美味であるらしい。
BellmondのSurgeryはVandalieuの技術でも、十時間を超えた。
Eleonoraのようにskinとその下の肉だけではなく、場所によってはboneや、そして幾つかの臓器まで移植したので、たった十時間しかかからなかったと誇るべきかもしれない。
「【Spirit Form Transformation】で調べたところ、幾つかの臓器が傷付いたままなので、この機会にリnewアルしましょう」
BellmondはVampire化しているため、別にそのままでも日常生活はcertainly戦闘にも問題は無い。しかし、物はついでと言わんばかりに生体臓器移植までやってしまったのである。
将来治したくなった時、Ternecia Life-deadが何かの事情で使えなくなっていたら面倒だからと。
(旦那-samaは楽観主義なのか悲観主義なのか、良く分からない方だ)
そう溜め息をつくBellmondは、ベッドから立ち上がると「Surgery後に見たいだろうから」と用意された姿見の前に向かった。
Princess Leviaが砂を熱し、それをVandalieuの【Golem Transmutation】で不純物を取り除いて形を整えたglassを使った姿見である。
「つくづく、とんでもない方だ。この姿見を見たら、Royal Nobilityも放っておかないだろうに」
glass製の滑らかな鏡がどれ程の価値があるのか、旦那-samaは知らないのだろうか? そう思いながら曇り一つ無い鏡面に映る自分を見つめる。
そして覚悟と共に、Haoriっていたローブを落とす。
「……っ!」
鏡には、BellmondであってBellmondでない存在が映っていた。思わず息を呑み、驚きのあまりMagic EyeをActivateさせかけてしまう程に。
傷痕だらけだった肌は移植する時に変色したのか妙な形の痣に成っているが、とても滑らかだ。
無きに等しかった……場所によっては肋boneにskinが張り付いているだけだった胸は、大きく柔らかに膨らんでいる。その重さにはSurgery直後から驚いていたが、改めて見ると恐ろしい迫力だ。少し動く度に揺れるし、重い。
腹から下腹部にかけては、やはりskinだけではなくその下の肉や臓器の一部を移植したので、やや太くなってしまった。
しかし太ったようには見えない。originally Bellmondが細すぎたのだ。今の方がfemale的な曲線がついたと、好む者は多いだろう。
だがVandalieuがBellmondのSurgeryで最も時間をかけたのは、それ等ではない。時間をかけたのは、魅惑的な曲線を描く尻――の上に移植された長いtailである。
艶やかな毛並みのBellmondの背程も長いそのtailは、『Scale Kingの巣』で討伐した猿……っぽいmonstersのtailだ。
Chimeraの変種らしいが、誰も名称を知らなかった。Vandalieuは「ヌエっぽいかな?」と首を傾げていたが、Dungeonを発生させた『Raging Evil Dragon God』Luvezfolが逃げたので、誰もaccurateなnameを知らなかった。
ただ銀色の光沢が艶やかな毛並みの長いtailは美しく、不満は無い。
そのtailを付けるだけなら簡単だったが、tailを自由自在に動かせるようにと腰だけではなくmuscleやnerveを繋ぎ、何故か頭の中まで少し弄られた。
何でも、元はJungle Monkey-species Beast raceであるBellmondの脳にはtailを動かすための場所があるそうだが、それはtailを無くした後時間が経つと無くなってしまうらしい。
そこでDeath-Attribute Magicでそれを再生させたそうだ。
「……Luciliano氏に退出を願ったのは幸いでした」
このworldに無い医療技術の話は、Bellmondの理解も追いつかない。彼女に分かるのは、Surgery中……特に脳を施術されている間、自分がどれ程見苦しいconditionだったかという事だけだ。
だが、それに耐えた甲斐あってBellmondのtailは彼女の意思で自在に動いた。あまり覚えていないが、先天的に生えていたtailよりも器用に動く気さえする。
tail以外のbody partもそうだ。移植されて一日と経っていないというのに痺れるような感覚は無く、抓れば痛みを感じる。指先でくすぐるように撫でても、それを感じる事が出来る。
このskinや肉が他人の物だったとは、とても思えない。
流石に体つきが大きく変わったので、やや違和感は覚える。手足の指はSurgery前と同じように動かせるが、普段の生活などで気を付けなければならないだろう。
少なくとも、服は全て新調しなくてはならないだろう。以前の服では胸も腰も臀部も収まりそうにない。替えなくて良いのは、靴くらいか。
「それは旦那-samaにboneを折っていただきますか。私をこんな体にした責任を取っていただかないと……これは?」
念のためにBellmondが自分のStatusを確認した、その時だった。
「どうしました? あ、でもその前に目を開いても大丈夫ですか?」
Bellmondの隣のベッドで寝ていたVandalieuが声を出した。当然だが、十時間のSurgeryは彼にとって重労働だったのだ。
単純に、今がchildは寝る時間というのもあるが。
「起きていたのですか。しかし、瞼を開かずに目覚めるとは器用ですね」
「Earthでは寝起きに何かを見てしまうと、色々な悲喜劇が起こるものなので」
俗に、ラッキースケベと呼ばれる現象である。因みに、この手のそういう現象にVandalieuはEarthで遭遇した事は無い。
「既にSurgery室で飽きるほど見ているでしょうに。それに、私は旦那-samaの情けで拾っていただいた身分なのですが……それはin any case、Statusに異常が少々ありまして」
「異常? Status Effectか何かが出ましたか。ではすぐに再Surgeryを」
瞼を閉じたままVandalieuが、ベッドから起き上がった。muscleやblubber、臓器やbone、nerveや脳まで施術を行ったので、originally何かの副作用が起こる事は予測していた。
その可能性はEleonoraよりもずっと高い。それもあって近くで休んでいたのだ。
「いえ、恐らく旦那-samaが心配している異常とは、趣が異なるかと」
「Bellmond、今すぐ命の危険が無いのは分ります。ですが、副作用を放置すると悪化する危険性が――」
「Status上のraceが、Noble-born Vampireから、Abyss種Vampireに変化しました」
「うわー、それは想定外でした」
まさか副作用でraceが変化するとは、想像しなかったVandalieuだった。
Bellmondによれば、RankやAbility Valuesは変わっておらず、また新しいskillを獲得した訳でもないそうだが……raceが変わって何の変化も無い筈が無い。
まだ変化が表に出ていないだけと考えるべきだろう。
その後、EleonoraのraceもAbyss種に変わっている事が判明した。
「Blood potionの飲み過ぎでしょうか?」
とりあえず、悪い事ではなさそうなので経過観察が必要だろう。
《【Surgery】、【Alchemy】、【Guidance: Demon Path】skillのlevelが上がりました!》
ガラガラとnight空に車輪の回る音がする。
『ははははっ! 実に爽快な気分ですなぁ!』
Nightmare CarriageのSamは、紅い目を炯々と輝かせ、moonlit nightを爆走していた。
『Bocchanも如何ですか!?』
「Couch Driving台に出ると風圧で顔が歪みそうなので、遠慮しておきます」
carriageで寛いでいるVandalieuは、そう答えた。
現在Samが【Air Running】skillで走っているのは、雲よりも高い上空だ。気圧も地上とは異なり、coldは真冬よりも厳しく感じる。
UndeadであるSamとその一部である馬は問題無いが、Couch Driving台に出るとそれらが容赦無く襲ってくるので、爽快感と引き換えにするにはやや厳しい。
「でもやっぱりSamは便利ですね」
『ちゅう、空を飛んで……走っているとは思えない快適さですな、主』
『高……い゛ぃ』
「ねえVanっ、おappearanceたいっ!」
だがcarriageは地上と同じ気圧に保たれている。密閉性皆無の筈なのだが、Samの【Comfort Maintenance】skillのお蔭で気温だけではなく、気圧や風圧のimpactが抑えられているのだ。
「Pauvina、地上に降りる前に見ましょうね」
「え~」
『え゛ぇぇぇ』
『『『え~♪』』』
「Yamata、謳わなくて良いですよ」
『あんてんしょんぷり~ず、お飲み物は如何ですか~?』
『Rita、あんてんしょんじゃなくて、Attentionですよ』
このnight、Vandalieu達は現在Amid Empireに占領されている旧Sauron Duchyに向かっていた。
目的は、certainly Earthのジャポニカ米に近いらしいSauron米の種籾を手に入れる為。そしてVida's New RacesであるScylla族に会うため、そして情報収集である。
Sauron領出身のKasim達によると、彼らは実際には見た事が無いが、Sauron Duchyには昔からScyllaの自治領が存在するらしい。限られた商人やNoble以外殆ど行き来が無い為、詳しい事は知らないらしいが。
ScyllaにDeath-Attribute Charm……【Demon Path Enticement】の効果があるかは不明だが、一応Vandalieuは『Vida's Miko』だ。それなりに好意的に接してくれる可能性はある。……それを信じてくれればだが。
それでもし困っているようなら取引を申し出て、Dungeonを設置して行き来できるようにし、交易やもしもの時の軍事条約を結んでおきたい。
(領土も戦力も増えたけど、Talosheimがあるのは閉ざされた僻地。内側に籠るだけではなく、外と積極的に関わらないと、何時か詰む)
certainly、積極的にただ外交すれば良いという訳ではないが――。
(それに将来俺がDemon King呼ばわりされてworldの敵扱いされても、allyに成ってくれる勢力が欲しい)
既にDemon King Fragmentが二つに、危険なnameのskillやsecondary nameを数える気にもならない程獲得してしまった。もし将来Honorary Nobleに成るのに失敗したら、Nobleどころかworld的な討伐対象にされてしまうかもしれない。
なので、まずSauron領のScyllaをallyにつけたい。今Sauron領を支配しているのは、どう転んでもVandalieu達の敵にしかならないAmid Empireだ、多少周りを荒らしてもOrbaum Elective Kingdomと揉める事にはならないだろう。
後、残り二人のPure-breed VampireとHeinzの情報が手に入るなら手に入れておきたい。Terneciaから手に入れた情報でGubamonやBirkyneの隠れ家などを幾つか見つけ出したVandalieuだが、既にそこは引き払われた後だった。
どうやら、既に対策を打たれてしまったらしい。
また一から情報を収集しなければ。その際、二人の側近を殺させるのにHeinzを利用できれば楽なのだが……。
『Bocchan、そろそろMountain Rangeを越えますぞ!』
因みに、【Labyrinth Creation】skillでTeleportationせずに空路を進むのは、TeleportationだとVandalieu以外は植物とGhostと蟲、蟲にInfestされた者しか運べないが、Samだと一度に大勢運べるからだ。
だが、Mountain Rangeの上層部や上空にはRank10のHurricane Dragonを始め、Flight可能な高Rankのmonstersが住みつく魔の空、Demon's Skyと化している。
『しかし、そろそろお客-sanです!』
縄張りを荒らす妙な侵入者に向かって、稲光を発しながら咆哮を上げるHurricane Dragon。【Guidance: Demon Path】の効果を受けているSamでも、まず敵わない大物だ。
「sensei、出番です」
「sensei? まあ、行ってまいります」
『Bellmond -san、こういう時は『どーれ』って言うのよっ、『どーれ』って!』
「どーれどーれっ!」
「は、はあ。どーれ?」
何故かはしゃいでいるDarciaとPauvinaのrequestに答えたBellmondが、carriageからCouch Driving台へ、そして空へ飛び出す。
「では、援護を頼みますよ」
『おおおおおおおぉぉぉぉんっ!』
Samの後方をFlightしていたKnochenのboneの濁流と毒のBreathがHurricane Dragonに襲い掛かり、動きが鈍ったところに金属糸が翼に絡みつく。
Rank10のHurricane Dragonと言えど、同じくRank10のBellmondとRank9のKnochenのCoordinationの前には、一頭では敵わないのだった。
・Name: Basdia
・Rank: 7
・Race: Ghoul Amazoness Leader
・Level: 55
・Job: Magic Warrior
・Job Level: 79
・Job History: Apprentice Warrior、Warrior、Apprentice Mage、Mage
・Age: appearance age27age(31)
・Passive skills
Night Vision
Mysterious Strength:6Lv(UP!)
Pain Resistance:3Lv(UP!)
Paralyzing Venom Secretion (Claws):4Lv(UP!)
Magic Resistance:3Lv(UP!)
Intuition:3Lv(UP!)
Enhanced Attack Power when Equipped with Axe: small(NEW!)
・Active skills
Axe Technique:8Lv(UP!)
Shield Technique:6Lv(UP!)
Archery:5Lv(UP!)
Throwing Technique:4Lv(UP!)
Silent Steps:3Lv(UP!)
Coordination:5Lv(UP!)
No-Attribute Magic:3Lv(NEW!)
Wind-Attribute Magic:5Lv(NEW!)
Water-Attribute Magic:5Lv(NEW!)
Mana Control:3Lv(NEW!)
Cooking:2Lv(NEW!)
Surpass Limits – Magic Axe:5Lv(NEW!)