どうやら、Vandalieuが【Guider】にJob changeしたようだ。
あのBellwoodやZakkartが至った、Championの条件であるJobに。
信じがたい事だが、事実である。
だが、その結果彼が起こした事態の方が信じがたい。
『まさか、人を人のままVidaのCircle of Reincarnation systemにGuidingとはっ!』
一斉に起こったerrorに対応しながら、Rodcorteは戦慄を禁じ得なかった。
これまでVampireやGhoul等のVida's New Racesは、儀式でHumanを自分のraceに変えて来た。それは自らのbloodを与える事だったり、自分のbloodを混ぜた泥に数日漬ける事だったり、raceごと内容に違いはあるがそれなりに手間や時間のかかる物だった。
それにraceが変わるというのは、Humanにとって魅力以上に大きな忌避感を抱かせる。抱かせるように、Alda達も教えている。
Vampireなら永遠に近い寿命を得られるが、代わりに二度とSunlightの下を歩けなくなる。それに、他者のbloodを啜って生きなければならないのも抵抗があるだろう。
それにGhoulや他のScyllaやLamia、Arachne等のraceはHumanだった時と比べて姿が目に見えて変わるので、忌避感や嫌悪感を抱かせやすい。
そしてそれらを促すために聖人の逸話やHeroの叙事詩、自らのMythで、Vida's New Racesに変化する事を忌避するよう工夫を凝らしてきた。
Earth等に在るその手の話以上に、Vampireは花嫁にしようとした乙女に拒まれ滅びるのだ。「-kunも太陽を選ぶのか」と嘆きながら。
それでも自らの意思でVida's New Racesへ変わる者が出続けるのが頭の痛い問題だったが、今起きている事と比べれば微痛と言える程度だった。
何故ならVandalieuは【Demon Guider】にJob changeした事で無自覚に人をGuidingようになった。VidaのCircle of Reincarnation systemへ!
既にTalosheimの国民だったHumanやDwarfは、HumanやDwarfのままVidaのCircle of Reincarnation systemに組み込まれてしまっている。
何故Vandalieuが国民をVidaのCircle of Reincarnation systemにGuidingのかは、彼自身がVidaのsystemに組み込まれているからだろう。
これはRodcorteにとってPseudo- reincarnationと同等に恐ろしい事態だった。
『raceも何も変わらない以上、Human達には何が起きたのか全く自覚が出来ない。Circle of Reincarnationの秘密を知るのは我々神のみ、無論それを明かす事も出来ない』
Talosheimの国民達は、自分が属していたCircle of Reincarnation systemが変わった事を自覚できない。導いたVandalieu自身でさえ気が付いていないだろう。
人にとって何か目に見える儀式を行う訳ではなく、systemが変わってもBodyやMentalに変化も無いので、何が起きたか分からない。これではAlda側のGodsが事態を知ったとしても、何を禁じれば良いのか分からないだろう。
名指しでVandalieuをDivine Enemyと定めて、討伐を促す等極端な手段しかないはずだ。
それでは今までと何も変わらない。
『やはりVandalieuを抹殺するしかない』
一度Guiderに至った以上、Vandalieuはこれからも無自覚に他人をGuiding。全てのHumanが応える訳ではない、だがあのTalosheimの生活水準の高さは大きな魅力になる。
結局Rodcorteに出来るのも、今まで通りVandalieuを抹殺する事だけか。
「いや、和解への道を模索するとか色々あるでしょう?」
「それ以前に、訳が分からないのだが。何で俺達は死んだんだ?」
それを半眼で見つめるのは、二人のReincarnatorだった。
生真面目そうな女、Shimada Izumi。何処かぼんやりとした顔つきの男、Machida Aran。二人は何時の間にか、特にAranは死んだ自覚すら無いまま、この場に居た。
そしてよく分からない理由で唸っているRodcorteを暫く眺めていた訳である。
二人もCircle of Reincarnation system等の詳しい事情は知らないが、目の前の神が酷く極端な思考プロセスを経て結論を出した事は分かった。
「Shimada -san、何があったか分かる?」
「貴方ね、唯一の取り柄の【Calculation】はどうしたの? 【Laplaceの魔】でも良いけど」
AranのCheat Abilityは【Calculation】、Originでは【Laplaceの魔】のCodenameで呼ばれていた。それはsuper computer並みか、それ以上のCalculation Abilityだった。十分な情報さえあれば、ある程度のFuture Sightすら可能とする程だ。
「無茶言わないでよ。情報も無いのに何を計算しろって言うのさ」
だが十分な情報が無ければFuture Sightの-samaな超高度なCalculationは不可能だ。後、あくまでも出来るのはCalculationなので想定外や未知の事態にもweak。
「分かるのは、Shimada -sanは俺を殺してない事くらい?」
「正解。貴方は爆殺されたのよ。壁から数珠繋ぎになった手榴弾が突然飛び出してきて、そのまま。私は距離が在ったから即死では無かったけど、magicを使う間もなく意識を失って、そのまますぐ死んだみたいね」
「ああ、俗に言う『ほぼ即死』って奴?」
「そう、『ほぼ即死』よ」
「じゃあ、犯人は……Murakami達かな? 壁から手榴弾って手段だとKanataが思い浮かぶけど、あいつ死んだし」
「各国の諜報機関って線は? 私達のAbilityは便利だけど嫌われていたからあり得ると思うけど。今考えると、Hirotoの理想も考え物ね」
「特定のorganizationや国家に属さない国際NGOとして活動する。所謂正義のallyをしてきたから、確かに色々な人達に好かれたけど、同じくらい嫌う人も出来たからね~。
特に俺の【Calculation】とShimada -sanの【Inspector】は」
Shimada IzumiのCheat Abilityは、あらゆる偽りを見抜く【Inspector】だ。単純に嘘を見破るだけではなく、変装や偽造、映像のCG合成やあらゆる幻術を見破る事が出来る。
お蔭でEarthでは好きだったmagic showが、酷く退屈になったと彼女自身は愚痴を零していたが。
【Metamorph】のShihouin Mariを捕まえる事が出来たのも、実はAranの【Calculation】と泉の【Inspector】の活躍があったからこそだ。
だが二人は強力なAbilityを持つが、戦闘Abilityに乏しかった。magicのaptitudeはそれぞれ高かったし、それなりに訓練も受けた。しかし、KanataやMariのように戦闘要員としてFirst線で戦える程ではない。
そのため二人は危険な場所には出ず、Braversでは後方での情報処理を担当していたのだが……それを狙われたらしい。
「でも、手口とtimingを考えると……Murakami達の中にKanataみたいなことが出来る奴って居ないよね?」
「maybe。でも複数のAbilityを組み合わせれば、似たような事が出来るのかも」
「まあ、死んじゃった以上解ってもどうにもならないけど。あー、こんな事ならフライドチキンとPizzaとテラバーガーをもっと食べておけばよかった」
「そうね、私も一度くらい結婚……無理ね。男の嘘が嫌でも解るから」
二人とも死んだ直後だというのに落ち着いているが、これが二度目の死であるし、EarthとOriginで合計約四十六年生きている。それに突然だったので、怒りや悔しさを覚える時間も無かった。
更に目の前に居るのは加害者ではなく一緒に死んだ仲間なので、取り乱す気にもなれない。
『それで、-kun達の来世についてだが――』
あ、再起動した。そんな顔付きで自分に視線を向けるAranと泉に、RodcorteはLambdaにreincarnationして貰う事と、Vandalieuの抹殺を依頼したい事を、Kanataの時のように説明した。
二人はKanataとは違い、落ち着いて話を聞いた。OriginでBraversが対峙したUndeadが、Amamiya Hirotoであり今のVandalieuである事を知っても、取り乱す事はなかった。
「絶対にNO」
「寧ろ、そんな無謀な事するぐらいなら死んだ方がマシだよね」
『やはりか』
そしてRodcorteもKanataの時と違って、二人が断る事は想定していた。Kanataやその後死んだTanaka達と違って、この二人は全く戦闘に向いていなかったからだ。
素質が無い訳ではないのだが、二人はOriginでそれらの力や技術を身に付ける以外の道を選択したのだ。
しかし Originで結果的に見殺しにしてしまった罪の意識や、彼がoriginally同じ学校の生徒だった事を考えると、ただ断るだけというのも気が引ける。
このまま黙って居ると、自分達以外のReincarnatorとVandalieuが殺し合う事に成るのが目に見えているし。
「この人のやってる事を考えると、Amemiya -sanもどうするか分からないわ。私達が彼を助けられなかった負い目を差し引いても、EarthとOriginの常識や倫理で考えると彼のやっている事は……」
「犯罪やテロだね。certainly、EarthとOriginの常識や倫理で考えればだけど。特にUndeadを作るのは死体損壊罪以前に、死者の尊厳を踏みにじる行為だし」
VandalieuがLambdaでしている事は、泉達から見るとそうなってしまう。だが、国どころかworldが異なるのだし、death attribute以外適性の無い彼が何かしようとすればそうなってしまうだろう事を考えると、一概に責められない。
寧ろ、VandalieuがOriginで受けていた仕打ちを考えると、そのMentalに敬意すら覚える。少なくとも、自分達ならあの後『情けは他人の為ならず』なんて実践できない。
実際、Hartner Duchyでは百人以上殺したが、千人以上を助けている。
しかし、二人以外のReincarnatorがそう考えるかは分からない。Amemiya達ならいきなり抹殺は無いだろうが……。
「事情を分かった上でもう一度聞くけれど、和解や懐柔は出来ないの? originallyは同じJapan人なんだし、貰った情報から判断すると交渉は可能だと思うけど」
少なくとも、Vandalieuは話を聞いてくれそうだ。聞くだけで、話が終わったら何も言わず立ち去る可能性も高い気がするが。
泉達はVandalieuが二度目の人生を終えた時あの場には居なかったが、彼から見たら限りなく同罪に近いだろうし。
「Shimada -san、懐柔って、どうするの?」
「そりゃあ、説得……聞きそうにないわね。他に、有利な条件を提示するとか」
「俺達やこの神-sanが提示できる、彼にとって有利な条件って、すぐに思いつく?」
「……無いわね」
Originで生きていた時なら考えるまでもない事だった。
軽微な犯罪を見逃す、該当する司法機関へ司法取引を納得させる、身の安全を保障する、刑期を軽減する、仮釈放。それらがBraversとして活動する中で行った犯罪者に対する代表的な懐柔策だが……どれもこれもLambdaにreincarnationしているVandalieuには意味が無い。
自分達との和解を提示して、VandalieuがReincarnatorと殺し合いをする事を止める事は可能かもしれない。しかし、彼がUndeadを作る事を止める事は出来ないだろう。彼にとって、天秤があまりにも釣り合わないからだ。
それに、泉とAranにはもうorganizationもconnectionも何も無い。Lambdaにreincarnationしたら、特殊Abilityを持っているだけの個人だ。
生まれる先が大国のRoyal Nobilityや、巨万の富を持つ大商人の元だったとしても、権力を手にするまでは早くても十数年以上かかる。
そんな二人が保証できる程度の事が、Vandalieuにとって意味があるとは考えにくい。
「考えられるのは他のReincarnatorの情報だけど……それで手に入るのは和解じゃなくて、俺達の身の安全だしね」
「でしょうね。じゃあ、他に……」
「普通なら金、地位、Honorary、女だけど、何かある?」
既に人口は少ないが自分の国を治め、国民から絶対的な支持を得ていて、何人もの異性を侍らしているVandalieuを、懐柔しRodcorteと和解させる事が出来るほどの物があるかどうか。
「無理ね」
「だよねー。俺達のAbilityを使って御仕えしますって言っても、『面倒だから要らない』って言われそうだし」
「そうね……あの-sama子じゃね」
懐柔や和解を考えるうえで、一番厄介なのはVandalieuが持っている自分達へのemotionsである。
憎しみやKilling Intentなど衝動的なemotionsなら、まだ二人には希望がある。Rodcorteの情報によると彼はreason的か、reason的であろうとしている。だから直接彼に何もしてない二人なら、方法によっては交渉が可能かもしれない。
しかし VandalieuがReincarnator達に持っているemotionsは、食傷と嫌悪だ。
ただひたすら面倒で、関わるだけでうんざりする。邪魔で目障りだから見たくないし、関わりたくない。Kanataに向けた態度からconjectureすると、そんなemotionsだ。
二人に関わられるだけで、Vandalieuにとっては不愉快なのだ。
「他に何か……そうだ、彼のLambdaでの母親を生き返す事は出来ない? あんたKami-samaでしょ?」
『無理だ』
「いや、ほら、規則を曲げるべきではない的な事はこの際いいじゃない?」
『規則の問題ではなく、無理なのだ』
Aranは死者の蘇生を拒否する理由が規則や摂理に在ると思ったようだが、単純にRodcorteにはVandalieuの母親、Darciaを生き返す事が出来ない。
DarciaはDark Elfであり、Vida式Circle of Reincarnation systemによってCircle of Reincarnationする存在だ。Rodcorteが直接どうこう出来るものではない。
そうした事情はReincarnatorと言えどHumanには話せないので、泉とAranは納得しかねていた。しかし Rodcorteがそれ以上話す意思が無いと見てとると、別の案を検討し始めた。
だが妙案は思い浮かばなかったらしい。結局、説得としてはとても単純なtacticsに落ち着いた。
情に訴えるのだ。人質を持って立て籠もる犯罪者の身内を連れてきて、説得してもらうあれである。
「Shimada -san、どうなの? 元classmateでしょ?」
「……私自身も含めて、友達は居なかったと思うわ。二十年以上前だから確かじゃないけど、人と話しているところを見た覚えが無いのよ」
Earthではimage通りclass委員だったShimada Izumiだが、その頃のVandalieu、Amamiya HirotoのMemoryは殆ど無かった。
一切問題は起こさず、逆に特に優れた事もしない。他の生徒に関わる事も無い。常に背景の-samaな少年だった。
言われてMemoryを探っても、思い出せるのは「何も覚えていない」事だけだ。
強いて挙げれば、彼がEarthで死ぬ前に命がけで助けようとしたNaruse Narumiぐらいだろうが……流石にそれを提案するのははばかられた。彼がOriginで死ぬ時止めを刺した一人でもあるし、今もVandalieuが彼女に関心を持っているか分からない。
「ならOriginではVandalieuを説得できそうな人物は……居ないよね?」
『私に聞いているのかね?』
「ごめん、気の迷いだった。忘れて」
『念のために答えておくが、family親類縁者友人lover、誰一人存在しない』
「だろうね」
Originでの両親、自分を売った父親と母親が説得役に適していないのは当たり前だ。
他には研究所の関係者だが、それは彼自身がUndead Transformationした後殺せるだけ殺している。
「後は彼が助けた『The 8th Guidance』のmemberだけど……彼女達は俺達を敵視してるからねー」
「まず、私達に協力してくれないでしょうね」
『The 8th Guidance』の指導者であり、Undead TransformationしたAmamiya Hirotoに助けられた実験体のShoujo、死のPriestをself-proclaimedする「Pluto」は、Braversとdeath attributeの研究を行う機関を激しく憎悪している事がこれまでの犯行声明で解っている。
それでありながら何故Murakami達元Braversを仲間として受け入れたのかは不明だが、泉やAranが死んだ事と彼女は無関係ではないはず。
彼女や他のorganizationの中心memberはテロorganizationと言うよりもcult集団めいた狂信で知られている。一度死んだ後ここに連れて来てもらっても、Reincarnator達に協力する事は無いだろう。
『Vandalieuに対して人質としては使える可能性があるので、死亡したらここに招く予定だが』
そうRodcorteが告げると、泉とAranは思わず顔を見合わせた。
(こいつ、Kami-samaなのに卑劣すぎない?)
(Kami-samaだから卑劣なのかもね)
そんな二人の無言のやり取りは、神であるRodcorteには筒抜けなのだが、certainly彼はKanataの時のように気にも留めない。
「じゃあ、Earthに誰か彼を説得できそうな人はいないの? ああ、答えなくていいわ。私達にrecordを見せて、それで判断するから」
「後、Abilityも使える-samaに出来ない? 多少は役に立つと思うし」
『良いだろう』
泉とAranはRodcorteから渡される映像や音声を伴ったEarthでの情報を見て、説得役に適した人物が居ないか検討した。
あの修学旅行で助かった、自分達以外の高校の生徒や関係者には……居ない。修学旅行に参加していない上Class生や下Class生にも、無い。Amamiya HirotoはPart time jobの為に部活動や委員会活動をしていなかったので、classmate以外の顔見知りが存在しなかった。
ではそのPart time job先はどうかと言うと……郵便局で延々letterを仕分け、早朝の新聞配達、チラシ配りなど碌にHuman関係が存在しない仕事ばかりだ。頼りになるsenpaiとか、親しい同僚や後輩とか、そんな人も居なかったようだ。
では時間を遡って中学生活で誰か居ないかと探して見たら……マイナスのHuman関係で埋め尽くされていて思わず眩暈がした。
小学校ならまだ何とかと思ってrecordを探ってみたら、やはりマイナスのHuman関係で埋め尽くされていて頭痛がした。
「……中々悲惨な少年時代を過ごしていた訳ね」
「壮絶な訳でも劇的に残酷な訳でもなく、延々と『何処にでもある暗い学校生活』が続くって、ある意味凄い物があるね。これに比べたら高校はまだ居心地が良かったのか。
しかし、小学生の彼って高校の頃からは想像できない程挙動と言動がおかしい」
普通、一人ぐらい親しい存在が居そうなものだが、Amamiya Hirotoの人生にはそれが一人も存在しない。certainly全員が彼を苛めた訳ではないが、それは単に苛めていないだけの人で、仲が良い訳でもない。背景の-samaな存在だ。高校で彼自身がそうだったように。
ここまで来ると、これまで嫌な予感がしたから見ていなかったAmamiya Hirotoのfamilyのrecordを見るしかない。
「childの頃の挙動不審な-sama子を見ると、結果は分りきってる気がするけど……」
そう言いながらAranがrecordを見ると、予想は的中してしまっていた。
だがそこで諦めず、Amamiya Hirotoを引き取った伯父夫婦と年下のyounger cousinはEarthでまだ存命だったので、そのrecordも二人は見た。もし改心していたら、Earthでの仕打ちを謝罪するという形で説得の足掛かりに出来るのではないかと考えたからだ。
結果は惨憺たるものだった。
伯父familyはAmamiya Hirotoが事故で死んだ後、彼に掛けていた生命保険と実の親である兄夫婦が残していた遺産の全て、そして見舞金も受け取って、今までより数段luxuryに暮らした。
しかし、その金で始めた事業が失敗。その損失を取り戻すために手を出した事業も、また失敗。それを繰り返して徐々にpropertyを失っていった。
更に伯父夫婦は、金回りが苦しくなると実の息子を虐待する-samaになった。夫婦のMentalはSand BackであるAmamiya Hirotoの存在なくして保てない-samaになっていたのだ。
それでも経済的に豊かな内は何とかなったが、行き詰まって来るとstressをぶつける対象が必要になったがAmamiya Hirotoはもう故人だ。だから、実の息子がSand Backとして選ばれた。
当然息子は大人しくSand Backになる筈がない。childの頃からそう扱われて諦めていたAmamiya Hirotoとは違い、息子はその頃には大学生になっていた。家を出て両親とは距離を置いた。
そしてそのまま一家は離散。stressの捌け口を失った伯父が会社の部下相手に酷いパワハラを働き訴えられた事が止めになり、遂に全ての事業は壊滅。全てのpropertyを失った伯父夫婦は離婚した。
その後、伯父はhomeレスに。伯父の妻だった女は一時生活保護を受けて暮らしていたが、窃盗罪で逮捕。その後は窃盗や寸借詐欺を繰り返して刑務所と外を行ったり来たりしている。
息子は、皮肉な事にAmamiya Hirotoが高校を卒業したら就職していただろう、住み込みの仕事をして糊口を凌いでいる。ただ、真面目に働かなかったようで今も下働きである。
恐らく、伯父が路上で人知れず冷たくなった数年後には、今度は彼が路上で生活するようになるだろう。
今彼らに共通しているのは、「あの頃に戻りたい」という呟きだけだ。それもAmamiya Hirotoが死んで多額の金を自由に使えた頃に戻りたいという意味だ。
以上のrecordを見た泉とAranは、頭を抱えた。
「死んだ後会わせたとしても、心から謝罪するとは思えないわね」
「心の無い謝罪はするかもしれないよ、今の彼は権力者だからね」
少なくとも、説得の足掛かりにはなりそうにない。
「でもここまで悲惨だと、ferryで死ぬまでによく人生を儚んで首をくくらなかったなと感心するよ、俺は。彼、意外とplus思考で前向きだったんだね」
「みたいね。でもおかしいわ、三度目の人生が始まった途端に人気者になるなんて。いきなりcommunication力が身についた訳でもないのに。
それならEarthで友達の一人くらい居ても良いはずよ」
実際、過去のrecordとLambdaにreincarnationしてからを比べると、周りの環境が全く異なる。それまでは周囲に敵か敵じゃない人しか居なかったのに、Lambdaでは敵も多いがallyも多い環境に居る。
単純にVandalieuの力目当てとも考え難いのだが。
その泉の疑問にはAranが答えた。
「maybe、【Death-Attribute Charm】ってskillの効果だろうね。これまでのrecordを見ても、実際彼の他人に対するpolicy自体はEarthの頃からあまり変わっていない。自分から他人との距離を縮めるのは今も苦手なようだし。
でも、Originに居た時から似たような力は在ったと思うよ。それなら『The 8th Guidance』の狂信も説明できるしね」
「なるほどね……道理でUndeadに好かれるはずだわ」
とりあえず、LambdaでのHuman(?)関係の充実ぶりの説明はついたが、二人にとっての事態は何も進展していない。
「念のために確認するけれど、彼のEarthでの実の両親に説得して貰う事は出来ないの?」
物心つく前に事故で死んだ、EarthでAmamiya Hirotoに愛情を注いだ唯一の人物を呼べないかとRodcorteに質問するが、やはり返事は芳しくなかった。
『既にAmamiya HirotoのEarthでの両親はreincarnationしている。前世のMemoryを失い、新しい人生を別々の場所で生きている最中だ。それでも良いのなら、それぞれが死亡した時にここに招くが?』
「ああ、何の意味も無い」
RodcorteのCircle of Reincarnation systemには天国もHELLも存在しない。現世で死んで成仏したら、さっさとreincarnationさせるのが常だ。
なので、唯一Vandalieuが会いたいと思いそうな親も、とっくに全てのMemoryを無くして別人に生まれ変わっている。
「一応質問するけど、御両親は今何処で何してるの?」
『父親はフランスで飲食店を経営しながら二人のchildを育てるシングルマザーに生まれ変わっている。母親は飼育されている』
「し、飼育?」
『ある家庭で、Petの陸ガメとして』
流石Circle of Reincarnation。Humanや性別どころか、種も異なっている。
「だ、ダメだ。もう色々とダメ過ぎる。Shimada -san、もう諦めよう」
「待ってAran、どんな時でも可能性は在るって言うのがあなたの口癖でしょ!? 【Calculation】はどうしたのよ!?」
「さっきからやっているけど、説得できる可能性がほぼ無い。俺達だけの命乞いとか、不可侵の約束なら逆にほぼ百percentなんだけど………」
その-sama子を見て、Rodcorteも二人をLambdaにreincarnationさせない方が良いと考えた。刺客にはならないだろうとは解っていたが、このままではVandalieuと関わろうとしないどころか、他のReincarnatorの妨害をしかねない。
だが今更Lambda以外にreincarnationさせる事は出来ない。Vandalieuに対して行ったようにCurseをかけるのは、流石に考えなかった。そんな事をしても、二人がVandalieuにallyする動機を増やすだけだ。
他にも二人のMemoryや人格を全て消去してからreincarnationさせる方法もあるが、それよりもずっと良い案がRodcorteには在った。
『では、reincarnationを止めて私のFamiliar Spiritに成るというのはどうだ?』
それは、二人をこのまま自分のFamiliar Spiritにするという物だった。それを聞いた泉とAranは胡乱気な顔でRodcorteを見上げた。
普通なら神直々に声をかけられるのはHonoraryな事なのだが。二人の中でRodcorteの株は既に暴落していたようだ。
「Familiar Spirit? Nunにでもなれと?」
『いや、Clergymanやbelieverではない。-kun達には、天使と表現した方が分かり易いかね』
「もっと俗に表現して」
『……assistant、Suport staff、systemエンジニア』
Aranの要望通りに表現するなら、そうなる。神秘もGodsしさも無いが、実際そうなのだから仕方がない。
答えを聞いたAranはげんなりとした-sama子を見せたが、逆に泉は表情を引き締めて質問を重ねた。
「そのFamiliar Spiritに成った場合、何が変わるの? 私達の意思や行動の自由にimpactは出るの?」
『Bodyを持たない生命体に昇華……変化すると解釈してくれていい。-kun達の意思や行動の自由を縛るつもりは無いが、背信行為があれば罰する事に成る』
「なるほど……つまり、会社に就職するのと同じか。Humanに戻れそうにない事以外は。それで、私達に何をやらせたいの?」
『LambdaやEarth、OriginのCircle of Reincarnation、魂の運行の補助だ』
Rodcorteは、Shimada IzumiとMachida AranをFamiliar SpiritにしてCircle of Reincarnation systemのSuportをさせようとしていた。それなら直接Vandalieuはcertainly、Reincarnationの環に還った魂以外のLambda worldの存在に二人が関わる事は無い。
心情的にはVandalieuのallyかもしれないが、実質的に何もできないのだ。
逆に、敵として何か害のある行動をするわけではないので二人も頷きやすいだろうという狙いもある。
それにVandalieuのせいで起こるerrorやBugに対応するSuport要員が欲しかったのも事実だ。
泉とAranは顔を見合わせて相談するが、すぐに答えは出たようだ。
「分かったわ」
「天使ってガラじゃないけどね。ここに来た時のMurakami達の顔も見てみたいし」
泉とAranはRodcorteのFamiliar Spiritに成る事を同意した。
それはUnaging不死が存在しない以上何時かはOriginで死んでここに来る、Braversの仲間達が無謀な事をしないよう忠告が出来るからという理由以外にも、「EarthとOriginの為」と言う理由があった。
Rodcorteは全く危機感を覚えていないようだが、このまま彼がVandalieuを狙い続ければ、最終的には彼かVandalieuのどちらかが死ぬか、それに近いconditionになるのは確実だ。
だがRodcorteはLambda以外にも、泉やAranにとって故郷であるEarth、そしてOriginのCircle of Reincarnationも司っている。それを停める訳にはいかない。
だから彼に何かあったとしても、EarthとOriginのCircle of Reincarnationを運行できるようにしておかなければならない。
それを自分達でしようと言うのだ。
当然その狙いもRodcorteには解っているが、自分自身の身が危うくなると思う程の危機感を抱いていない彼は、「寧ろそれぐらい出来るようになれば役立つだろう」と、二人をFamiliar Spiritにした。
『では、これよりお前達は私、Reincarnation神RodcorteのFamiliar Spiritとなる。以後励むように』
Rodcorteが翳した手から光の粒子が泉とAranに降り注ぎ、二人の存在が昇華した。その時二人は、こう思っていた。
(見かけだけはGodsしいな。Suport staffなのに)