『Scale Kingの巣』は未攻略であるため遭遇するmonstersの数が、現在では毎月攻略されている『Barigen減命山』よりも多かった。
次々に現れる強力なmonstersは単純に強いだけでは無く、毒を帯びた胞子をばら撒き、blood走った瞳からlaserを撃ち出すような特殊Abilityや、炎や氷の弾丸を放ち幻覚を見せて油断させようとするなど、厄介なmagicを使う個体も多い。
仕掛けられたTrapも殺傷力の高い物ばかりで、階層の環境も過酷なものが多かった。上層こそただ広いだけの洞窟や谷だったが、中層以降は灼熱の砂漠に常に毒性の胞子をばら撒くGiant茸の森、所々溶岩が湧き出る岩場の次は極寒の氷原、そして中には一面Deadly Poisonの沼地なんて階層もあった。
このDungeonを攻略できるのは、Dragonも上回るVitalityの持ち主か――
「これで三十八階層目clearー」
若しくは、常識を超越したManaを持つDeath-Attribute Mageが存在するpartyぐらいだろう。
monstersの特殊Abilityの内、毒やdiseaseは事前にNullification化され、攻撃magicは【Magic Absorption Barrier】でやはりNullification、幻覚は【Grotesque Mind】skillで元から見ない。仕掛けられたTrapは【Labyrinth Creation】で大掛かりな物は階層に足を踏み入れた瞬間に分かるし、小規模な物も【Danger Sense: Death】で近づけばActivate前に感知できる。
Giant茸の森は、やはり【Disinfect】や【Detoxification】で無毒に。灼熱の砂漠はSand Golemで日差しを防ぎ、周囲の熱を奪って燃える【Demon Fire】のmagicで囲えば快適な気温を保てる。溶岩地帯も【Demon Fire】を大量に使って熱を奪えば、やや暑いだけの岩場に変わる。
極寒の氷原は【Dead Spirit Magic】skillを使って、Princess Levia達に頑張って燃えてもらい、適温を保って進んだ。
無限に毒が湧き出るDeadly Poisonの沼地は無毒に出来なかったが、それも【Plant Binding Technique】で出したImmortal Entに乗って進めば問題無い。
単純に強いmonstersや、monstersが放つ熱線やBreathはVigaroやRita達に頑張ってもらったが。
「存外苦戦しませんね」
「我達も同じ程度の相手は、『Barigen減命山』で戦っている。楽勝とは行かないが、Vandalieuに助太刀を頼むほどじゃない」
「まあ、戦闘以外でここまで世話に成っていては自慢できんがの」
『まあまあ、同じpartyじゃありませんか』
『ぎしぃぃぃぃいぃぃ』
『Eisen -sanもそう言ってますし、気にする事ありませんよ』
RitaがEisen……鉄のように硬いリンゴの実を付けるImmortal Entの声(軋み?)を適当に解釈して伝える。
因みに、鉄リンゴの実はEnt syrupで煮詰めると柔らかくなることが今回の探索途中で判明した。Ghost化して【Augmented Muscular Strength】skillを失ったPrincess Leviaも、これで実を食べる事が出来る。
「ところで、後何階層あるのだろうな。BClass Dungeonなら、大体四十階層以下のはずだが」
「次に他のmonstersより強い個体が出て来たら、それがDungeonボスかもしれませんね」
そして降りた三十九層で出現した、通常のRock Dragonを二回り程大きくして、外殻にdrillのような棘をcountlessに生やしたRank10、ジェノサイドRock Dragonが【Scale Kingの巣】のボスだった。
本来Rank10のmonstersはAClass以上のDungeonでなければ出現しない。だが『Scale Kingの巣』が長い間攻略者も無く放置され続けたため、Dungeonボスが通常よりもずっとEnhanced (1)されてしまったのだろう。
『GOAAAAAAAAAA!!』
常人なら晒されただけで意識を狩り取られるだろう咆哮を上げるGiantなDragonに、Vandalieuは呟いた。
「『Scale Kingの巣』なのに、Dungeonボスにscaleが無い」
ジェノサイドRock Dragonの体表は、分厚い岩のような外殻に覆われていた。
それはin any case、やはりこのボス戦も苦戦と言う程の苦戦はしなかった。
何せ、ジェノサイドRock DragonはRank10とは言っても、ただのDungeonボス。生前のLeoの-samaに特定の神からblessingsを受けている訳でも無いので。
skillの練習台に死なない程度に痛めつけた後、皆で止めを刺すような余裕すらあった。
ごくごくとpotionを飲み下す度に、傷が癒えていく。
『くぅ~っ、仕事終わりの一杯は格別ですね』
『このBocchan特製のpotion、私達Undeadにも効くから驚きですよね』
陶器製の瓶に入った紅いpotion……数量限定のpotionは効果も高くて味も甘くてfullーティ、更にUndeadにも有効と、至れり尽くせりである。
「原料は五十percent俺ですし」
特性potionの原材料は、【Demon King's Blood】をActivateさせたconditionで採bloodしたVandalieuのblood液と、各種薬草や果汁、【Demon King's Horn】の粉末であった。通称、Blood potion。半分は優しさでは無くVandalieuで出来ています。
効果はinjureだけでは無くFatigueやManaの欠乏、毒やdiseaseにも特殊な物でない限り効くのである意味万能薬である。
そしてZadiris達に渡している事から解る-samaに、【Demon King Fragment】を使っているのに副作用は無い。【Eclipse King's Orchard】の魂の無いmonstersや、Talosheimの周辺で生け捕りにしたGoblin、外で生け捕りにしたmountain banditなどで試しながら一月ほど経過観察したが、Body及びMentalに悪impactが出る事は無かった。
【Demon King's Horn】を素材にして作った物品同-sama、Vandalieuから離れて暫く経ったfragmentは独自の意思を持たないようだ。
恐らく、Vandalieuから生えるfragmentは派生物に過ぎず、fragmentのmain body、若しくは核のような物はVandalieuの内部から動かないのだろう。
そうでなければ今まで生やした【Demon King's Horn】の数だけfragmentにInfestされた生物が増える事に成る。
もう瓶から一滴も滴らない事を確認したBasdiaは、ぺろりとtongueでlipsを舐めた。
「道理でEleonoraやBellmondがVanのbloodに夢中に成る訳だな。このpotionを一度使うと、普通のpotionは使う気に成れない」
「うむ。injureの治り自体は三Class……いや、二Class potionと同じくらいじゃが、Manaまで回復するからの。何より、味が良い」
普通の青いpotionは効果が高ければ高い程、味が不味くなる。五Class potionでさえ、口にすれば思わず「うえ」っと呻き、三Class potionに成れば暫く味覚が麻痺する。そして二Class potionでは、それが必要に成る程の傷を負った事やその際のhorrorでは無く、口にしたpotionの味がtraumaに成るらしい。
その点、Blood potionなら飲みやすいので需要がありそうだ。薄めて一度に作れる量を増やす代わりに効果を四Class potion以下に落しても、買い求める者は幾らでも居るだろう。
「外に売り出す予定はありませんけどね。Talosheim限定商品です」
だが外で迂闊にBlood potionを売り出すと、Vandalieuのbloodを求めてalchemistが殺到しかねない。Half-Vampireがbloodを奪われるなんて、皮肉が過ぎる。
原材料にDemon King Fragmentが含まれる事を知られれば、風評被害で人気も沈静化するだろうが。いや、逆に裏社会で流行するかもしれない。
それをconjectureした訳ではないが、Darciaも限定商品化のpolicyに賛成の-samaだ。
『確かに、このpotionは無責任に売れないわね』
彼女が見る先には、今やBrown Bearも飲み込めそうな程大きくなったKühlがぷるぷると揺れている。『Scale Kingの巣』に入る時は紫色だったKühlの体色は、静脈のblood液と同じ赤黒い色に変わっていた。
瓶に残っていたBlood potionを舐めたらしいKühlは、Rank5のBlood SlimeにRank upしたのだ。
特にbloodを好む性質を持ったSlimeで、鮫よりもbloodの臭いに敏感で獲物を見つけるとVampireより貪欲にbloodを搾り取る事で恐れられている。
『……』
ただKühlの場合、貪欲に求めるのはbloodではなく、Blood potionの方が好物のようだが。伸ばして作ったtentacleで空の瓶をVandalieuに差し出す。その姿は、「ひっくっ、もう一杯」とお代わりをdemandする酔っぱらいを連想させる。
「今日の分は終わりです。後はDragonのbloodでenduranceしてください」
そう言われると諦めたのか、仕方ないと地面に出来ているジェノサイドRock Dragonのblood溜まりを啜りに行く。
「俺のbloodから作るpotionって、Rank10のmonstersのbloodより旨いのでしょうか?」
『きっと甘党なんですよ。もしかしたら女の子かもしれませんね』
「ギシャアゥ」
そう言うPrincess Leviaと同意するように鳴くPeteもRank upしていた。
Princess LeviaはRank6の、Blood Flame Ghostに。Rank upのtimingもKühlと同じで、potionを飲んだ直後だ。
PeteもRank6のGreat Black Lightning Centipedeに。ますますappearanceの凶悪さに磨きがかかっている。
『飲んだらRank upしちゃうpotionなんて、危なくて売れないもの』
「Goblin等で試した時はRank upしなかったはずじゃがのぅ」
相性でもあるのか、これも【Guidance: Demon Path】の効果か。
後者だったとしても、意識して対象を選別できるskillでは無いのでBlood potionの販売はやめた方が良いだろう。
そしてKühlとPrincess Levia以外の皆もRank upしている。
VigaroはRank8のGhoul Great Tyrantに、Zadirisも同じRank8のGhoul Wizardに。二人ともappearanceはあまり変わっていないが、Ability Valuesは大きくincreaseしたらしい。
二人ともJobのlevelは上がってもmonstersとしてのlevelは壁にぶつかっていたので、やっとRank upできたと喜んでいる。
BasdiaはRank7のGhoul Amazoness Leaderに。彼女もappearanceは文-samaの色が濃くなったぐらいであまり変わっていないが、Ability ValuesはManaとIntelligenceが大幅に上がったようだ。姿も何処か威厳の-samaな物を漂わせており、leaderと名のつくraceに成っただけはあると納得できる。
「leaderか……出来たらAmazoness Queenとか、そんなrace名が良かったのだが。『Ghoul King』のVanの隣にいるのだからな」
その威厳もVandalieuをひょいと持ち上げて横に抱えながら笑っていると、すぐ薄れるのだが。
「ところでVan、Jadalが弟かImoutoを欲しがっているのだが」
「じゃあ、帰ったら後八……いえ、七年程待ってくれるよう頼んでおきますね」
「むぅ、つれないぞ、Van」
「つれてどうします」
まだbody part的に無理なので無茶を言わないでほしい。そう思うVandalieuである。
『Kingの横にはQueenなら――』
『周りにはMaidが侍るものですよね、Bocchan』
SalireとRitaは、それぞれRank7のLiving Maid ArmorにRank upした。VandalieuがHell Copperや吐いた糸で作った装飾やLaces、Frillsを追加装甲として二人のmain bodyに取りつけたconditionで戦っていたら、そう成っていたのだ。
『【Housework】skillも上がりました! もうなんちゃってMaidなんて誰にも呼ばせません!』
『なんちゃってMaid……どちらかと言うと殺人Maidって呼ばれた事の方が多かったような気が?』
LacesやFrills型の追加装甲はmain bodyの鎧と一体に成っており、一見すると露出度が下がり可愛らしさが増したように見える。
だが実際には豊かな胸の谷間や形の分かる腰つき等はほぼそのままなので、そう見えるだけでしかない。
もしかしたら、その手の趣味があるNobleが作った改造Maid服を着ている-samaに見えるかもしれない。
「ふむ、ならばwisdom袋のMageも近くに居た方が良いじゃろうな」
『あ、えーっと、私は何処に居れば良いのでしょう? Princessでは娘に成ってしまいますし』
そしてZadirisまで自然体で擦り寄って来る。更に上ではPrincess Leviaがおろおろと右往左往している。
Talosheimに帰ればここにEleonoraとTareaとKatiaとBildeが加わるのだと思うと、自分の将来はErotic King一択だなと、遠くを見つめるしかないVandalieuである。因みに、Bellmondはきっと柱のshadowからじっと見ているだけで声をかけないと近付いて来てくれないだろう。
「まあ、最近は若干嬉しくもあります」
八age。初恋等を経験してもおかしくないageなので、その手の事に興味を覚えなくもないVandalieuである。
『皆、まだDungeonの中なんだからその辺でね。Vigaro -sanもEisen -sanの果物を食べながら傍観してないで止めてください。
それとVandalieu、その調子よ』
「はーい」
Kasim達が聞いていたら「えっ、止めないの?」と聞き返しそうだが、DarciaもSubordinate VampireのValenと道ならぬ恋に走った情熱の人である。
双方に同意があるなら、難しい事は言わない。それにVandalieuは成人するまで待つよう皆に言っているので、止める事が無いのだ。
「ギシャー」
PeteやPain達蟲のmonstersや、植物のmonstersもそれぞれRank upしてる。特にCemetery Beeは全てCemetery Bee SoldierにRank upしてしまったが、彼女等はTalosheimに戻っても巣に戻るつもりは無いそうだ。
Queenの生まれ変わりである卵を体内に持つVandalieuに付いて、卵から孵った幼虫の世話を手伝ってくれるらしい。
「では、Dismantlingを終えて一休みしたら宝物庫を見て帰りましょうか」
《【Rapid Healing】、【Death-Attribute Magic】、【Magic Resistance】、【Chant Revocation】、【Venom Secretion (Claws, Fangs, Tongue)】、【Enhanced Agility】、【Body Expansion (Tongue)】、【Enhanced Body Part (Hair, Claws, Tongue, Fangs)】、【Thread Refining】、【-Surpass Limits-】、【Golem Transmutation】、【Alchemy】、【Unarmed Fighting Technique】、【High-speed Thought Processing】、【Plant Binding Technique】、【Thread-reeling】、【Throwing Technique】、【Scream】、【Dead Spirit Magic】、【Insect Binding Technique】、【Artillery Technique】、【Labyrinth Creation】、【Mana Enlargement】skillのlevelが上がりました!》
Vandalieu達が向かった宝物庫では、初攻略に相応しい-sama々な宝物やmagic itemが並んでいた。
ただ周囲に存在した主だったraceが長い間Lizardmanだったためか、Lizardmanの体格や好みに合った物がやや多い。
tail、それもしなやかさと逞しさを併せ持つtailに着けるDefense Equipment等は、HumanやBeast raceでも不必要だろう。
「RapiéçageやYamataが喜びそうですね」
ただVandalieuには贈る相手がいる。tail専用のDefense Equipmentは、TareaやDataraも作るのに苦戦するだろうから、手に入ったのは幸いだった。
金貨や銀貨は無いが、その代わりに金塊や銀塊はゴロゴロしているし、指輪にしたら指が疲れそうな大粒の宝石が幾つもある。
そうしたmagic itemではないただの財宝だけでも、集めて持って行けばpeerageぐらい軽く購入できる価値がある。
実際、BClass Dungeonの初攻略成功はHonorary Noble位が得られる程のachievementなのだ。認められればだが。
幸いな事に、Vandalieuはその事に気が付かなかった。
「あの大きな水晶、いや、オーブか? どうする?」
Vigaroが指差した、一抱えほどのオーブに意識を取られたからだ。
「とりあえず運び出して……いや、stop。それは危険物です」
【Danger Sense: Death】に、反応がある。それはつまり、あのオーブが自分達に死をもたらす可能性を秘めている危険物であるという事だ。
そして音を立ててオーブに罅が入った。
「何ぃっ!?」
「離れろ、Vigaroっ!」
『皆、Bocchanの周りに!』
Barrierを張るVandalieuの周りに集まり、身構える一同。
そしてオーブが砕け散った。
『『『GURUOOOOOOOOOOO!!!』』』
その瞬間、オーブからGiantな異形の龍が出現した。
まるでGiantなscaleに覆われた人の手の指を、単眼の蛇の頭に置き換えたような姿の龍が響かせる咆哮は、Rank upしたVigaroやZadiris達のMentalを揺さぶり、body partを竦ませた。
VandalieuのBarrierの中にいるというのに。その龍の異-samaに、彼も大きく目を見張った。
『きゃあああぁっ!?』
そしてweak霊であるDarciaの姿が、ぐにゃりと揺らめく。
殺そう。
『『『GAOOOOO――待て待て待て待てマテェ!』』』
『落ち着いてくれぇっ!』
『話せばっ、話せばわかる!』
『悪気は無かったっ、本当にっ、信じてくれ!』
両腕から凝固した【Demon King's Blood】製の銃身を幾つも生やしたVandalieuに対して、異形の龍は慌てて咆哮を止めて速やかに命乞いを始めた。
『Evil Dragon God of Five Sins』Fidirgは、『Raging Evil Dragon God』Luvezfolと同じ寝返った存在であった。違うのは、originally所属していた陣営だ。
『Raging Evil Dragon God』Luvezfolはoriginally VidaやAldaと同じ最初の十一神の一柱、『Dragon-Emperor God』Mardukeの配下であった。しかし MardukeがDemon King Guduranisに敗れると、命惜しさにDemon KingにLoyaltyを誓ってしまった。
逆に、『Evil Dragon God of Five Sins』Fidirgは元からDemon King配下の邪悪な神の一柱だった。ただ特別Loyaltyを誓っている訳ではなかった。生き延びるための選択肢が他に無かったから、Demon Kingに仕えていたに過ぎない。
そして生き延びるために、Demon Kingの命に従いこのLambda worldをDecayした自分達のworldの代わりにしようと、侵略戦争を仕掛けた。
だがChampion Zakkartによって新たな選択肢が提示された。
「異界のGodsよ、もしDemon Kingと決別し私達の仲間と成ってくれるのなら、このworldの新たな神として迎えよう」
嘘偽りの無いこの申し出は、Fidirgにとって驚愕であると同時に、心躍る物だった。
Demon Kingは自分に逆らう者、期待に応えられない者には容赦の無い暴-kunであった。見せしめに無用な配下の魂を砕く事もあったほどだ。それでも反旗を翻す者が居なかったのは、Demon Kingが圧倒的に強かったからだ。
だが、このworldのGodsが受け入れてくれるというのなら話は別だ。
それにこの申し出は、ただのHumanの戯言ではない。自分達Godsと対等に戦えるChampionの言葉だ。それを軽く考える者はいなかった。
そしてFidirgはこの申し出に乗った。
だがその後Demon Kingには勝ったものの、Zakkartは他のChampion三人と共にDemon Kingに魂を砕かれてしまった。恩人の消滅を嘆くFidirgがVidaに協力するのは、当然の成り行きだった。
だが続いて起きたAldaとの戦いで、Fidirgは五つある頭の内四つまでを叩き潰され、大幅に力を失った。
何とかsealedを免れ、命からがらVidaと共にこの Bahn Gaia continent南部に落ち延びた彼は、そのまま数万年の眠りを余儀なくされた。
そして何とか活動出来るまで回復すると、彼はManaを振り搾ってLizardmanが発生するDungeon、『Lizardmanの巣』を作った。完全回復の為には大勢のbelieverが必要だったが、彼はそれをHumanではなくLizardmanで賄う事にしたのだ。
幸いな事にFidirgの周りにはVidaや他の神のFollowersも居ない。Lizardmanを増やしても、同士討ちは避けられるだろう。
その思惑は上手く行き、叩き潰された頭も三つまで回復した。まだ地上にAdventする事もおぼつかないが、後一万年もあれば完全回復も可能だったかもしれない。
しかし、そこに『Raging Evil Dragon God』Luvezfolが現れた。LuvezfolはこのBClass Dungeon『Scale Kingの巣』を出現させ、Fidirgをオーブにsealedし、Priest役に一頭のDragonを選出してblessingsを与え、Lizardmanの信仰を彼から奪い取ってしまったのだ。
そして百年以上の時が流れ――
「sealedが解けたので、解放感からtensionが上がってしまい、つい喜びの咆哮を上げてしまったと」
『はい、その通りです』
『悪気は無かったんです。ただちょっと、tensionマックスになってしまって』
『許してください、本当に悪気は無かったんです』
五つの頭の内、回復済みの三つ全てを床に擦りつけるようにしてFidirgは土下座していた。
彼も『Evil Dragon God of Five Sins』の名で知られる存在で、まだDungeon内等の限られた場所以外では実体を持てない程度にしか回復していないが。それでも普通ならHumanやmonsters相手にここまで低姿勢にはならない。
相手は解放してくれた恩人であり、本意ではなかったにしても過失から害を与えてしまったのは確かだ。しかしそれでもFidirgは神である。心から詫びるにしても、土下座まではしない。
しかし、目の前に居るのは彼の目から見るとHumanではない。
(対応を誤れば、こっ、殺される!)
そんな相手である。
「…………」
何かを考える-samaに、若しくは何も考えていないような虚ろな瞳でVandalieuはFidirgを見つめていた。
両腕の【Demon King's Blood】の銃身と装填された【Demon King's Horn】製弾丸は、何時でも撃てるよう彼に向けられたままだ。
その銃口を見て、あれはZakkartが作ろうとしていた『銃』ではないだろうかと、Fidirgは気が付いていた。
戦争当時、実際には幾つか試作品が完成していたが結局上位のmonstersに対してAttack Powerが弱すぎたのと、増産体制が整わず下Classのmonstersの相手をする自軍Soldierに配備するのに至らなかった物だ。
下Classのmonstersには効果的でも、当時Champion達が倒さなければならなかったRank13以上のmonstersには弾丸をMythrilやAdamantite、そしてOrichalcumにしても通用しなかったからだ。
maybe、原因は火薬だろう。弾丸が特別製でも、弾丸を撃ち出す火薬の爆発力が足らなかったのだ。
だからVandalieuが構える銃がZakkartの作った物と同じなら、Fidirgも恐れない。しかし、かつてDemon Kingの配下だった彼には分かる。あれはDemon King Guduranisのfragmentで出来ている。
MardukeやShizarionを含めた幾柱ものGodsを滅ぼし、倒したDemon King Fragmentである。流石に単体ではOrichalcum程ではないが、それに準じた性能を持っている。
そして当然、それはFidirgの命にも届く。
だが彼が恐れたのはVandalieu's Fragmentだけではない。その膨大なManaだ。
(完全体の俺の倍以上はあるっ、こいつは本当にHumanか!?)
怒りを振りまいているconditionのVandalieuから滲み出ているManaから、全体の総量をconjectureしたFidirgは、自分の感覚を疑った。
しかし三つの頭で何度計算し直しても、神である自分よりもManaの総量が多いのだ。
そのMana量で、何故かまるで手足同然に扱っているDemon King Fragmentを攻撃に使ったらどうなるか。これは計算するまでもない。
『『『どうかっ、どうかご慈悲を!』』』
もう神としてのprideも捨てて命乞いをするしかないのだった。
「坊や、とりあえず落ち着いてはどうじゃろう、な?」
「怒るな、Van。角が大きくなってるぞ」
『そうよ、おkaa-sanちょっと驚いただけで、ほら、もう元気いっぱいだからっ』
Fidirgにとって幸いな事に、Darciaが受けたDamageは軽微ですぐにVandalieuからManaを供給されて回復した。
更に、彼女達はFidirgに同情的で、Vandalieuを宥めようとした。彼が今はallyであるLizardmanのoriginallyの信仰対象であったことも無関係ではないだろう。
『陛下、女Kami-samaのおallyですし、どうか穏便に』
「……そうですね」
音も無く【Demon King's Blood】の銃身が崩れ落ちる。それを見たFidirgは「たすかったぁ」と脱力して地面に崩れ落ちた。
「思い返せば、俺にも同じように失敗した覚えがありますし」
Vandalieuが思い浮かべるのは、OriginでUndead Transformationした直後に大暴れした時の事だ。
今から考えると、あれは失敗だった。どうかしていた。
二度目の人生初めての自由とwhole bodyに漲る神の如き万能感に酔いしれ、ハイに成ってしまった。そして復讐に勤しんだ訳だが……結果仲間の筈のReincarnatorに始末されてしまった。
あの時の自分はreasonの無いmonsterにしか見えなかっただろうから仕方ないと、今なら思える。
Undead Transformationした後も冷静さを保って、憎い研究者達も邪魔な警備員も誰一人殺さず傷つけもせず、施設も出来るだけ破壊しないで逃げだして潜伏。外のworldの情報を収集して、独自に他のReincarnator達とContactを取るべきだった。その際、同じ境遇の被害者を助けて人道的救済を行うreasonとegoがあるとappealできれば、ベストだ。
……これは全て今だからこそ考えられる事だし、可能かどうかは考慮していない。それに自分自身だからこんな冷静に反省も出来るが、同じ事を他人に……特にReincarnator達に指摘されたらKilling Intentしか抱けないだろうが。
しかし、とりあえず目の前のFidirgに対して寛容に成る事は出来る。
「kaa-sanもこう言っていますから許しますけど、次は止めてくださいね。
それで、それとは別に助けたお礼とか期待して良いですか?」
『はい、もちろんです』
『まだ力が回復しきっていないので、実体はこのDungeonの中でしか保てませんが……』
『とりあえず、blessingsや称号などを。ええと、まずは次代のScale Kingとしてsecondary nameを贈ります』
「……俺、scale無いのですけど、良いんですか?」
《『Scale King』のsecondary nameを獲得しました!》
・Title explanation::Scale King
Boundary Mountain Rangeに隔てられた Bahn Gaia continent南部に存在する大MarshlandsにReignするLizardmanの長が、神から授けられるsecondary name。
その名の通りscaleを持つ者の王である事をあらわし、Lizardmanはcertainly爬虫類型や竜種を含めた、scaleを持つmonstersに対して有効なcharisma性を得られる。(魚型のmonstersは含まれない)
本来なら自身のscaleをより強固で美しくする効果もあるが、scaleの無い者が所有する場合適応されない。
・Name: Kühl
・Rank: 5
・Race: Blood Slime
・Level: 92
・Passive skills
Blunt Damage Resistance:6Lv
Hunger Resistance:2Lv
Predator’s Restoration:5Lv
Body Form Manipulation:3Lv
Venom Secretion:5Lv
・Active skills
Silent Steps:4Lv
Bloodwork:1Lv
-Surpass Limits-:2Lv
Grow:1Lv
・Name: Pete
・Rank: 6
・Race: Great Black Lightning Centipede
・Level: 14
・Passive skills
Hunger Resistance:2Lv
Self-Enhancement: Subordinate:4Lv(UP!)
Venom Secretion (Neurotoxin): Jaws:5Lv(UP!)
Wind Attribute Resistance:2Lv(NEW!)
Enhanced Flesh:exoskeleton 角:4Lv(NEW!)
Mysterious Strength:2Lv(NEW!)
・Active skills
Silent Steps:1Lv
Charge:5Lv(UP!)
-Surpass Limits-:5Lv(UP!)
Armor Technique:1Lv(NEW!)
Lightning:6Lv(NEW!)
・Unique skill
Dragon Devourer:1Lv(NEW!)
・Great Black Lightning Centipede
並の家屋なら一回りできる程GiantなCentipedeのmonsters。黒いexoskeletonは生半可な攻撃ではビクともせず、逆に角をWeapon EquipmentにしたChargeのAttack Powerは、盾職も油断できない。
また、距離を開けて戦っても角から雷を放って遠距離攻撃をしてくるため、討伐には注意が必要。
また見かけに反して知能が高く、言語を操ったりmagicを行使する事は無いが、【Armor Technique】を初めとしたskillを習得している事がある。
Peteの場合何故かUnique skillまで獲得しており、竜種に対するAttack PowerやDefense Powerの増加、更に竜種を喰らう事でAbility ValuesをEnhanced (1)する事が出来る。