ガチャガチャと音を立てて、金属製のプレートArmorを着た人々が走り込みや、槍の素振りや弓の試し打ちをしている。
Knightの訓練ならそう珍しい光景ではないが、実際に訓練を受けているのは一般人、しかも若者だけではなく三十を超えた中年の男女や、中には白髪頭の老人も混じっている。
彼等からは普段畑仕事やStonemasonやCarpentryなどの力仕事で生計を立てているからか、ひ弱な印象は覚えない。しかし、それでも何十キロもある金属鎧を着たまま激しい運動をするのはキツいはずだ。
「いや~、body partが軽いっ! まるでfeatherでも生えているようだ」
「若返った気分だっ!」
「訓練ってのは、楽しいもんだねぇ」
しかし、一般人達は気軽にスポーツでも楽しむように気持ち良く汗を流していた。新人Knightが見たら、自信を無くす事請け合いである。
『body partに余計な力が入っています。もっとリラックスして』
『もう一度型を最初からです。構え、thrust、戻して構え、払い』
だが彼らが纏っている鎧から彼ら以外の声がする事に気が付けば、自信を取り戻す事だろう。
彼らは、霊が取り憑きUndead Transformationした鎧のmonsters、Living Armorを纏って訓練をしているのだ。
「この訓練方法、思ったより効果的ですね」
発案者のVandalieuは楽しげな皆の-sama子を見て満足げに頷いた。
Hartner DuchyのRed Wolf Knight団だった霊を、彼らが生前使っていた鎧に宿したLiving Armor達は生前培った【Spear Technique】や【Archery】skillをほぼ取り戻している。平均して4level、二流以上一流未満程度だが、元cultivation villageの一般人の教官役には十分だ。
更に、彼らを纏う事によって一般人達はまるでPowered Suitを着ているようなconditionになるため、Enduranceを補いながら長時間訓練を受ける事が出来る。
教えるLiving Armor側も、指導対象の緊張やmuscleの強張りなどを敏感に察知して指導力を補える。
更に、当然鎧なのでinjureをしないようbody partを守る事が出来る。
「Living Armor練兵術……これからもこの手で行こう」
「私は例外にしてくれないっ!?」
頬を赤くしてそう訴えるのは、リナだ。彼女もLiving Armorを纏っているので別に疲れている訳ではない。
『そんなに恥ずかしがらなくても良いと思いますけど』
ただ、リナが纏っているのはmagic High-leg ArmorのSalireだった。Red Wolf Knight団のLiving Armorの数が足りなかったのと、彼女に合うSizeの鎧が無かったからだ。
『別に素肌の上に着ている訳じゃないんですから』
「それはそうだけど、なんだか恥ずかしいのよっ」
リナは動きやすい簡素な服の上下を着た上からSalireを纏っているのだが、胸の谷間も臍も背中も見えるdesignのSalireのmain bodyは彼女の羞恥心を掻き立てるようだ。
「せめて外套ぐらい着けさせてよっ」
『でも、動きにくいですよ? 私だけならin any case、リナ-sanは慣れてないんですし、もし足や腕に絡まったら危ないです』
リナは羞恥心からそう主張するのだが、彼女が何故恥ずかしがるのかがSalireには分からない。何せ問題に成っているのは彼女のmain bodyの形状なのだ。既に人を止めて約七年、Salireが羞恥心を覚えるpointは生前とは大きく変化していた。
ただSalireが主張する事も間違いではない。body partを隠すような外套を纏ったconditionで、慣れない初心者に何かあったら大変だ。Salireがfollowするにしても、完全無欠ではないのだし。
『私よりも姉-sanの方が良いって選んだの、リナ-sanじゃないですか』
「そうですわよ。そんなに恥ずかしがる事ありませんわ」
そしてこちらは同じくSizeの合うLiving Armorが無かったため、Bikini ArmorのRitaを纏っているTareaだ。しかも、彼女の場合リナのように服の上からではなく、Vandalieuが実験的に作っているインナーの上にRitaを着ている。
肌にぴったり吸い付き第二のskinのように動きを阻害しないTypeのインナーなので、露出度は無いが胸や腰の形は丸わかりだ。
「私と同じで、肌は出ていないのですから」
ただ、ある意味肌を晒すよりも異性の関心を掻き立てる格好をしているのだが、Tareaにそれを気にした-sama子は無かった。
普段から露出度が高い格好をするGhoulに元HumanのTareaもしっかり染まっているようだ。
「あー……うん、確かに恥ずかしがるような事じゃないような気がしてきた」
Vandalieu以外のmale陣の視線を深い胸の谷間に集めつつも、恥じる-sama子の無いTareaを見るとリナも思い直したようだ。
自分以上に慌てている人を見ると、つい冷静に成ってしまうのと似た心理かもしれない。
尤も、Tareaもmuscleが発達して太くなってしまっている腕はインナーの上から布をRibbonのように結んで目立たない-samaにしているのだが。彼女にとって羞恥心を覚えるのは胸や腰ではなく、二の腕なのだ。
それをやや残念に思いながら、Vandalieuはシュルシュルと糸を吐き始めた。
「とりあえず、装飾を追加する形で体が見えにくいようにしましょうか」
常にリナの横にTareaが居る訳ではないので、Vandalieuは【Thread-reeling】で手早く編んで行った。
あまり彼女を恥ずかしがらせるのも、Festerに悪い。
因みに、Tareaに纏われたRitaは若干機嫌が悪かった。それはTareaに「ちょっと胸の辺りがきついのですけど、調整できませんの?」と言われたからだった。
『くっ、流石Tarea -san。大きさではまだまだ私は勝てないようです』
『Rita、その分Tarea -sanはお腹も太いから――』
『でも姉-sanっ、それはblubberじゃなくて腹筋なんですよ!?』
「……あなた達、丸聞こえでしてよ」
一時間ほどの準備運動でLiving Armorを着てbody partを動かす事に慣れたリナ達は、【Labyrinth Creation】skillを試すために作られたEClass Dungeon、通称『Ghoul Kingの試験場』に早速潜る事になった。
certainly、いきなり実戦で技を磨けと言っている訳ではない。
「では始めー」
「おっ、おぅっ!」
多少ビビりつつも、Vandalieuの号令に応えてIvanがKoboldに向かって槍をthrustだす。木偶人形の-samaに動かないKoboldの胸に穂先がthrust刺さり、背中から顔を出した。
Ivan以外の者達もやはり動かないmonstersに対して槍をthrust、crossbowの引き金を引く。それをmonstersは避けるそぶりも見せずに受けて、そのまま倒れる。
「た、倒した……」
「あたしの矢が当たった?」
「Goblinなら退治した事もあったが、素早いKoboldを俺が……」
「うっ、思っていたより、嫌な手応えだな」
Experience Pointが入る感覚や達成感に高揚する者、flesh and bloodのある生物……それもmonstersとは言え人型の生物を殺す手応えに顔を顰める者。-sama々な反応がある。
『やはり、最初は木偶人形相手に慣れさせたのは正解ですね』
元Red Wolf Knight団の分隊長のLiving Armorの言葉に、Vandalieuは頷いた。
Ivan達が今倒したmonstersは、Vandalieu製Dungeonで創られる魂の無い木偶人形のmonstersだ。
普段は通常のDungeon産のmonstersと同じく、侵入者を感知したら襲い掛かる-samaに設定している。ただ、戦闘不能になった相手等には止めを刺さない、逃げる者は追わない等の制限はつけているが。
しかし今は訓練のために完全に木偶人形……訓練用の木人と全く同じで何をされても動かない-samaに設定し直している。
このconditionだと既にある程度の戦闘技術を持っている者にとっては、草木を刈っているのと同じでskillは殆ど上がらない。
しかし、skillの無い素人が腕を磨くのなら理想的な訓練になる。
戦闘系skillを手に入れたい場合、最も効率が良いのはやはり実戦だ。それは、相手に勝てばWeapon Equipmentを使いながらExperience Pointを大量に得られるからだ。
それが何のriskも無く可能に成るのだから、【Labyrinth Creation】skillは便利である。
しかも初心者にありがちな戦闘後の高揚感による油断や嫌悪感による放心、躊躇いを覚えなくなるまでノーriskで慣れさせることが出来る。
Ivan達もGobu-gobu作りのためにGoblinを退治した経験は一度や二度ならある。鼠や野兎、魚や鳥を殺して食べた回数など、数えられないくらいある。
しかし、やはりRank2以上のmonstersを倒す事で得られるExperience Pointの量や、人型のmonstersを殺す嫌悪感を無視して、油断なく次の危険に対応できる程では無い。
『まあ、Rank2程度なら油断してもいざとなったらLiving Armorが殴り倒せば良いだけですけどね。あ、リナ-san。背中に余計な力が入ってますよ。リラックスしてください』
「こ、こう?」
『そうです。そのまま引き金を引いてください』
Vandalieu糸製のFrillsやLacesを付けて動きを阻害しないまま、恥じらいを覚えにくい形状になったように見えるSalireを着たリナが、小型crossbowの引き金を引く。真っ直ぐ飛んだ矢が、Koboldの胸にthrust刺さる。
「あ、当たった……」
『次の矢を装填してくださいね~』
「は、はいっ」
因みに二人の横では、同じようにFrillsやLacesだらけに成ったRitaを着たTareaが、同じようにcrossbowでHuge Horn Rabbitを射殺している。
「ところでっ、訓練するのは槍とcrossbowだけで良いのかしら? 非常事態に備えるのなら、短剣や投擲の訓練もするべきではありませんの?」
『確かに、何時も槍を背負ってcrossbowを持ち歩く普通の人って、居ませんね』
Ivan達が振っている彼らの身長程ある槍も、Tareaが今持っているcrossbowも、携帯性に優れているとは言えないWeapon Equipmentだ。一般人が携帯するには大きすぎるし、重い。
折り畳み式や組み立て式にすれば携帯性も向上するが、いざという時すぐ使えないのでは本末転倒である。
『いえ、それはskillを獲得した後でならどうにでもなりますので』
しかし、元分隊長が言うには大した問題ではないらしい。
『Godsは大らかですから。【Spear Technique】skillを獲得した後、長槍から短槍に持ち替えて少々型を覚えれば良いのです。crossbowも、【Archery】skillを獲得したら持ち運びがしやすい短弓に替えましょう』
Lambdaのskill systemは、武術に関してはかなり大雑把だ。
例えば、身の丈よりも長い長槍も一meterも無い短槍も、どちらも【Spear Technique】skillで扱える。【長Spear Technique】や【短Spear Technique】等のskillは存在しない。
crossbowにしても、【crossbow術】ではなく【Archery】で扱える。
棍棒でもHammerでも同じ【Club Technique】。Weapon Equipmentの大きさで【Sword Technique】と【Dagger Technique】で別れている刀剣類は多少細かいが、片手で扱う繊細なrapierも両手で振り回す豪快なClayモアも【Sword Technique】である。
certainly幾ら同じskillで扱えるとは言っても形状によってActivateできるMartial Artsに違いはあるし、実際に有効な間合いや重さ、形状が異なれば使い方も異なる。
普段Clayモアで連続して斬撃を放つ【Triple Thrust】が得意技のWarriorが、いきなり斬撃に不向きなrapierの達人に成れる訳ではない。
だから本職のSoldierやKnightが訓練を受ける時は、最初から将来使うWeapon Equipmentと同じ物を使ってskillを磨く方が良いとされる。
しかし、今彼らが行っているのは一般市民相手の訓練だ。多少不都合があっても、戦いに生きるプロではない。
『なので、まずskillを獲得してもらい、その後携帯性に優れたWeapon Equipmentの扱いを覚えて頂きます。すると、skillの恩恵を受けられるので、短い時間で扱いを覚えられるのです』
何でも、限られた期間一般人を徴兵する場合はこの方法で訓練を施すのが普通らしい。
神に劣等world扱いされるLambdaだが、monstersや国同士の戦いを続けて来ただけあって練兵術等はよく考えられている。
「なるほど。でも、重い長槍よりも軽い短槍の方が扱いやすいと思いますけど?」
『それはそうですが、今回の場合は我々が皆-sanのMuscular StrengthやEnduranceをfollowしますから長槍でも問題ありません。
それに、動かないとは言え人形ではなく生のmonstersを相手に訓練しますので……離れていた方が良いかと考慮しました』
「あ、確かにそうですね」
短い短槍の方が扱いやすいが、その分殺すmonstersとの距離が近くなる。すると、返りbloodを浴びたりmonstersが息絶える瞬間を間近で見てしまったりする。
それは戦闘経験の浅いIvan達の気力を削ぐには十分すぎるだろう。
『そうなんですか?』
「そうらしいですよ」
bloodの臭いにappetiteしか感じないUndead歴の長いSalire達やVandalieuにはピンと来ないようだが。
因みに、【Throwing Technique】の訓練が行われない理由は、単純に教官役のLiving Armorに【Throwing Technique】skillを持っている個体が少ないからだ。
『投擲で敵を倒すには短剣や槍、斧が必要ですが、その度に使い捨てられるほど予算は無かったので。弓矢の方が多く携帯できますし』
「あら、矢が無ければ石を投げれば良いじゃありませんの。適当な大きさの石を普段から集めておけば、弾に不自由しませんわよ。ねぇ、Van -sama?」
「ですね」
『申し訳ありません陛下、我々は生前【Mysterious Strength】skillを持っていなかったので、石では色々と無理でした』
Earthでは投石は庶民にとって有効な戦術なのだが、Lambdaでは【Mysterious Strength】skillでも持っていなければあまり効果は無いらしい。
Ability Valuesが高ければ補えるだろうが……そんな高いAbility Valuesがあるなら、そもそも投石に頼らなくても敵を倒せる。
こうして僅か一日でIvanやリナ達は【Spear Technique】や【Archery】skillを獲得したのだった。
次の日からは短槍や短弓に持ち替えて、基本訓練。その後同じ『Ghoul Kingの試験場』で今度はRank1のmonstersと実戦の訓練。それに慣れたらRank2のmonstersを相手に実戦。
そして十日で全員がskill levelを2に上げたのだった。
「なんだか腹回りがすっきりした気がするな!」
「あたしはlevelも上がったわ。もうすぐJob change出来るわね」
「こうなったら俺もExplorerを目指して……いてぇっ!」
「調子に乗るんじゃないよっ! あんたじゃすぐ大injureして迷惑をかけるのがオチだよっ」
Ivan達は訓練で使った短槍や弓矢、そして十日分の平均的な収入分のお金を受け取って帰って行った。
『たった十日で素人が、それもJobのskill補正も受けていない、若くもない一般人が、skill level2になるとは……』
「今までには無い事なんですか?」
がらんどうの鎧であるため驚いている事が分り難いが、maybe驚いているのだろう元分隊長にVandalieuが話しかけると、彼はガクンと兜を上下に振った。
『今までに無いと言うか……あったら正規兵は飯が食えません』
素人が十日で至れる程度の腕の連中に、高い給金は必要無いと言う事だろう。
一般的に、正規兵の平均的な武術系skillのlevelは2であるとされる。それは別に「正規兵のskillは2level」と決められている訳ではない。-sama々な都合の結果、平均して2level程度に落ち着くだけだ。
その都合とは日々の訓練や実戦経験の量と質だ。Soldierであっても日々戦っている訳ではない。警備や護衛、patrolにデスクworkもある。Soldierを雇う側も、質を高めるのは重要だがそのために時間と金を際限無く使える訳ではない。
結果、平均して2level程度になる。
それなのにたった十日で一般人がそれと並ぶような事が頻発したら、為政者は大金を使ってSoldier達のskillを3level以上に引き上げる必要に迫られる事になる。
「まあ、今までに無い方法で訓練しましたからね。そんなもんでしょう」
Living Armorの教官、安全でExperience Pointまで得られるmonstersの的。そしてfollowされながらの実戦経験。
歴史上、ここまで手を尽くして一般人を鍛えた者はVandalieu以外に居ないだろう。
『Bocchanが【Guider】なのもあると思いますよ』
「かもしれませんけど……【Guidance: Demon Path】skillって、常にActivateしている皆へのAbility Values補正以外は使っている実感が無いんですよねー」
【Guidance】の有効範囲が自覚できない……そもそも自分がDemon Pathなる道を歩いている自覚も無いVandalieuには、実感の伴わないskillだった。
そんな事を言って遠ざかるIvan達の背中を眺めていると、リナを迎えに来たはずのFesterが話しかけてきた。
「なあVandalieu、物は相談なんだけど……リナにSalire -sanと同じ形の服って作れないか? LacesとFrills付きで」
「……鎧じゃなくて服ならできますけど、本人から了解は取りましたか?」
「いや、だって相談し難い――」
ご。
「BAKANA相談してないでさっさと来なさいよっ! あんたはあたしを迎えに来たんでしょ!?」
ずるずるとFesterを引きずって帰って行くリナ。訓練は彼女をよりしっかりとFesterの上に据える役にも立ったようだ。
『むぅ、何故姉-sanの方なんでしょうか。私もセクシーなのに』
『Bocchan、作ってあげる時は色違いにするとか、私と見分けが付くようにしてくださいね!』
「若いですわね」
因みに後日、ExplorerとしてPlace of Exchangeを出入りしているZadirisを通じてリナから見積もりの依頼がVandalieuの所に回ってくる事になる。
式の時期が近いのかもしれない。
尚、二人とも成人している場合 Bahn Gaia continentでは婚前交渉に対する戒めは無いに等しい。
そして職能班の女Ghoul達も同じく十日程でskill levelを2に上げる事が出来た。こちらは今まで覚えようとしなかっただけで、元からある程度の素質は在ったのでそれ程驚く事ではない。
「あのー、Van -sama、私も【Archery】が2levelに成りましたの。ずっと御傍に居たいのはやまやまなのですけど、そろそろお仕事に――」
しかし、これまで職人としては高い技量を持っていてもGhoulとしてはlevel ZeroだったTareaは、この十日の訓練で初めてExperience Pointを稼ぎ、劇的にlevelを上げていた。
まだRank upする程ではないが、Ability Valuesはぐっとincreaseした。それは【Arms Artisan】skillには直接の関係は無いが、increaseしたbody part Abilityは仕事に役立つ。
何より、腰に良い。
「ギックリ腰解消のために、Tareaは続けましょう。丁度Marshlandsに在る二つのDungeonを攻略する予定ですし」
「ちょっ!? 一層目からEARTH Dragonが出てくるような高難易度のDungeonなんて入ったら、私死んでしまいますわ!」
「それは通称『Scale Kingの巣』の方ですね。そっちではなく、推定DClass Dungeonの『Lizardmanの巣』の方ですよ」
『DClass Dungeonなら試験場の一つ上ですから、今のTarea -sanなら大丈夫ですよ』
『私達もfollowしますから』
Vandalieu達に着いて後ろから矢を射る程度なら、今のTareaでもDClass Dungeonの攻略に着いて行く事が可能だと、Salire達も判断していた。
実際skillのlevelが2あればボス戦は難しいが、上層で遭遇するmonsters相手には通用する。それにTareaはAbility ValuesだけならDClass adventurerに並ぶ。
「でもそのDungeonはVan -samaが作った物では無いのでしょう!? 普通にmonstersが襲ってくるじゃありませんのっ!」
だが、ほぼ実戦の訓練と実戦ではやはり必要な覚悟が違うらしい。
「大丈夫です、俺達が守りますから。Rank up目指して頑張りましょう」
「うぅ、分かりましたわ。分かりましたから……もう一度言ってくださいな。俺達がではなく、俺がで」
「俺が守りますから大丈夫です」
「はい、Van -sama♪」
実際、DClass Dungeonなら既にVandalieuはソロで楽々と攻略できる訳だが。
『Ghoulの皆-sanって、ageの割に乙女ですよね』
『でもRita、あなたは言われてみたくないの?』
『う~ん、興味が無い訳じゃありませんけど、私達って鎧じゃないですか。鎧が守られるって、結構矛盾している気がして』
『それもそうね……Defense Equipment心と乙女心の板挟みか。難しい問題だわ』
「難しいのですか」
言って喜んでくれるのなら幾らでも言うのだがと、Vandalieuは首を傾げた。
そろそろ寒くなっている頃、Dungeonを攻略するために再びMarshlandsを訪れたVandalieuは、まずBone ManとShashujaに案内されて各地を視察していた。
Capricorn牧場での職業訓練が上手くいっているか、Lizardman達の陳情、暮らしぶりに問題は無いか。
尤も、そこはVida's New Racesではなく完全なmonstersのLizardman、不満を言うどころか「支配者が態々そんな事を聞きに来るなんて!」と驚愕される事の方が多かったが。
「monstersって、結構支配しやすい人達ですね」
人とはかなりMental構造が異なる。強い者が正しいという価値観が徹底されているのだ。
例えば、人なら支配者が幾ら強くても仲間や親brothersや子が下らない理由で殺されたり、喰われたりしたら恨むし、裏切りを考える。
しかし、monstersはあまり疑問に思わない。裏切るようにより強そうな誰かから促されるか強制されたら別だが。支配者が弱ったその時、初めて裏切る事を考える。
彼らにとって支配者に無駄な犠牲を強いられて仲間が死ぬのと、他のmonstersやHumanに仲間を殺されるのでは全く意味が異なるのだ。
「シュゥゥ?」
そう呟くVandalieuに、その何が不思議なのか分からない-sama子のShashujaがtongueで自分の目を舐めている。
『主よ、monstersとしては我々の方が特殊なのです』
そう言うBone Manの言う通り、生前の人格を残したUndeadやBraga達death attributeのimpactを受けた新種の-samaに、人の価値観を理解するmonstersの方が特殊なのだ。
実際、monsters 's ancestorであるDemon King Guduranisは彼らを戦力として創りだした。強者である自分達に逆らう戦力は存在価値が無いという事だろう。
仲間を殺した恨み節を何年も聞かされるよりも良いので、Vandalieu達としては別に構わないのだが。支配下に収まった以上無体な事をするつもりは無いが、強いというだけで従ってくれるのなら楽で良い。
そんなLizardman達が「これは困った」と珍しく自分達から報告してきたことが一つある。それを見に行ったVandalieuは、卵から孵化して数日程のLizardmanのchild達を前に首を傾げた。
「健康そうですけど?」
ギュー、クギュー、クギュー。
Lizardmanでもchildは可愛いものだ。しかし、元気に鳴いているchild達は丸々として健康そのものに見える。appetiteも旺盛で、カエルや魚を上げると頭からパクリと食べる。
しかし Shashujaはchild達の頭を指差す。
「よく見ると……頭の形が違う?」
Shashujaがnodように、child達の頭は普通のLizardmanと同じ形ではなかった。
一言で言うと、crocodileっぽい。
何でも両親は間違いなくLizardmanなのだが、『Scale King』が倒された後孵化した卵は全て蜥蜴ではなくcrocodileっぽいらしい。
『そう言う訳で主よ……こっそり卵をdeath attributeのManaに浸した覚えは?』
「全然ありませんけど……timing的に考えて【Guidance: Demon Path】の効果ですよね」
どうやら勝手に新種がまた一種誕生したようだ。
「とりあえず、Ahemaitと名付けましょう」
《【Guidance: Demon Path】skillのlevelが上がりました!》
・Job解説:Tree Caster
植物に関する一定以上の知識と、数多く(百体以上)の植物型monstersをTamerする事で就く事が出来るJob。
Ability ValuesはVitalityが上がりやすい。
また、体内に植物型monstersを装備できる【Plant Binding Technique】skillを獲得できる。
Jobの効果として体内で植物を栽培可能になる。植物には菌やカビ、植物Planktonも含まれる。
このJobに就いた者はFarming、製breadや一部の製菓、発酵食品の作成、林業、また海藻や水草や植物Planktonを活かしたFishing等で優秀な結果を残す事が出来るだろう。
ただ、常識的に考えて百体以上のmonstersをTamerできるはずもなく、更にLambda worldでSageと称えられる者でも一定以上の知識に達していない(菌やカビ、発酵に関する知識が足りない)ので、Vandalieu以外がこのJobに就くのは彼から直接教わらない限り、現状困難である。