SamとKnochenのRank upを祝って、Knochenが操るSkeleton達と輪に成って盆danceを踊っていたVandalieuは、飛んできたCemetery Beeの群れに掴まれて運ばれていた。
「そろそろ朝lunch食べたいのですけどー」
ヴヴヴヴヴヴヴヴ。
何やら急ぐ事情があるらしく、Cemetery Beeは空腹を訴えてみても止まらない。
Tamerした蟲の意思をある程度理解できるVandalieuだが、流石に完全な意思疎通が出来る訳ではない。Spirit Formを使って同化すればそれも可能だが――。
『Queen、呼んでいる』
『呼んでいる、Queen』
Queen蜂に呼ばれている事しか分からない。
蜂のmonstersだけに、働き蜂一匹一匹の思考は単純すぎて会話に向かないのである。
因みに、SamとKnochenは「行ってらっしゃい~」と手を振って見送ってくれた。
お腹が空いたので【Plant Binding Technique】skillで腕から生やした葉物野菜を食べていると、また一回り大きくなったらしいCemetery Beeの巣に着いた。
ヴヴヴヴヴヴヴ。
途端、働き蜂の三倍近い大きさのCemetery Bee Soldier……兵隊蜂が飛んでくる。
Cemetery Beeは通常の蜂や蟻のような生態をしているのだが、Experience Pointやlevelは群れ全体で共有できるものではない。だから敵を狩っても、Experience Pointが上がるのはその蜂一匹だけ。
そしてRank upして働き蜂から兵隊蜂に成ったCemetery Beeは、折を見てVandalieuから離れて巣の防衛に就くのだ。Instinct的な欲求なので、仕方ないらしい。
蜂にとって巣とQueenの防衛が最上位優先事項なのは理解できるので、Vandalieuも【Insect Binding Technique】で体内に装備するのは働き蜂のみにしている。
問題は――。
「だから、流石に生は勘弁してください」
兵隊蜂達が芋虫の団子を、前足に抱えている事だ。
虫食も躊躇わないVandalieuだが、やはり生は嫌なようだ。
巣の中で火を使うのは躊躇われるので、結局芋虫団子は食べずに受け取るだけにした。
「髪をdreadlock hairーにするのはどうでしょうか?」
ふと思いついた事をそのまま口にすると、Darciaは目を瞬かせた。
『Vandalieu、どれっどへあーって物をkaa-san達は知らないから、どんな顔をすれば良いのか分からないわ』
「こういう髪型です」
Tortureの末火炙りの刑で殺され、僅かなbone片に宿る霊と化した今生の母Darciaに、Vandalieuは【Thread-reeling】で自分の髪型をdreadlock hairーにして見せる。originally髪の量が多いので、dreadlock hairーにすると似合っていた。
髪も纏まって項や尖った耳の周りが心地良い。秋が近くなるまでこの髪型にしようかなと、Vandalieuは思った。
『わぁ、本当に白い芋虫がくっ付いているみたいだわ。ドレッドって、Earthの言葉で芋虫って意味なの?』
「……maybe違う意味です」
洒落に成らない誤解が広まりそうな予感がしたので、Vandalieuはすぐに髪を戻した。
そうこうしていると、兵隊蜂よりも更に大きいCemetery BeeのQueen蜂が周囲に蜂を引き連れてやって来た。
その-sama子は急いでVandalieuを呼ぶ必要がある程、切feather詰っているようには見えない。
ヴヴヴヴーヴヴヴーヴヴヴ。
「キリギチヂギヂ」
featherを振るわせ、chinやexoskeletonを鳴らしながらクルクル踊るように回るQueen蜂。
「なるほど。それで?」
頷き、続きを促すVandalieu。
そんなやり取りが何回か繰り返されるのを見ていたDarciaは、戦慄を滲ませて呟いた。
『わ、訳が分からない。ええっと、こんな時母親の私はどうすれば!?』
息子とその友達が何を話しているのか分かりません。どうすれば良いでしょうか?
子育てをしている親なら珍しくない悩みなのだろうが、友達がGiant昆虫の場合はどんな答えがあるのだろうか。
「彼女はより進化するために今から産む新しい卵に生まれ変わりたいと言っています」
答え、息子に通訳を頼む。
『そうだったの。でも、Rank upじゃダメなの? まだ寿命は在るのよね?』
Lambdaに存在する全てのmonstersは、Experience Pointを得てlevelが百に到達し、条件を満たせばRank upする事が可能だ。
だから当然Cemetery Bee Queenも、Rank upする事が可能なはずだ。それなのに、残りの寿命を放棄してまでVandalieuにPseudo- reincarnationを依頼する理由があるのだろうか?
「それは俺も聞いたのですが、【Guidance】を得たのだそうです」
『それって、もしかして【Guider】の?』
驚くDarciaに、Vandalieuは「そんな覚えないんですけどね」と言いつつも、頷いた。
SamとKnochenが早速impactを受けたのだから、Cemetery Beeがimpactを受けていても不思議はない。
ただ、彼らを導いたはずの張本人であるVandalieuに、全く自覚が無いのが不思議だが。
legendやHero譚では、【Guider】Jobに就いたChampionが技を伝授したり、人の道を説いたり、友情や絆を確かめ合ったり、共に死線を乗り越えたり、そんなeventを経験した者達が急成長を遂げるのが【Guidance】skillの効果だとされているのだが。
Vandalieuの場合、初日に皆で宴会をしただけである。
「こんな事で皆がRank upするなら、暫く毎日宴会を催しても良いのですけどね」
ヴヴヴヴヴ
「え、夢? そう言えば珍しく見ましたね」
『あら、何時も夢は見ないって言っていたのに。どんな夢を見たの?』
「暗い場所で一人歩いていて、寂しいので誰か来ないかなーと思っていたら皆が集まって来てくれて、遊ぶ夢ですね」
Vandalieuを乗せて星の無いnight空を一緒に走り回り、頼もしい城塞に案内してくれて、他にも色々と。
改めて思い出すと、あれがSamやKnochenだったのかもしれない。
『ふふ、良い夢を見られて良かったわね』
息子に微笑むDarciaだが、その結果がNightmare CarriageやBone Fortの誕生である。Undeadを敵視するAlda templeや討伐依頼で駆り出される事に成るAdventurer’s Guildからすると、微笑ましいどころか悪夢だろう。
「とりあえず俺が導いたのなら、応えた者を止める訳にもいかないでしょう。希望通りにします」
「ギヂィ!」
Queen蜂は嬉しそうに大きくchinを鳴らすと、Vandalieuが差し出す両掌に卵を一個産み落とした。
「では、また会いましょう」
そしてQueen蜂の魂を抜く。生きているbody partから魂を抜くのは難しいかと思ったが、Queen蜂が同意していたからか、それともこれも【Guidance: Demon Path】の効果か、するりと抜く事が出来た。
白い半透明な米粒に似た形をした、既に大きさが人の赤ん坊ほどもある卵にQueen蜂の魂が宿り、それまで生きていたQueen蜂のbody partが地面に落ちる。
『ところでVandalieu、その卵の世話は誰がするの?』
「それはCemetery Beeが……あれ?」
ふと気がつくと、他のCemetery Beeは日常業務に戻っていた。
【Preservation】でQueen蜂のbody partのDecompositionを止めた後、Vandalieuは卵を抱えて育てる事に成ったのだった。
「まさか二度目の子育てをこんなに早くする事に成るとは」
因みに一度目はPauvinaである。
しかしそのPauvinaや、JadalやVahbi、Rapiéçageは不満があるようだ。
「あたし、そんな風にしてもらって無いもんっ」
「あたしもーっ」
「して欲しいのにっ」
『う゛っう゛ぅっ』
今年五ageに成るPauvinaは、既に身長が人の大人並に大きくなっている。大きさを無視しても、人の八age児程度に見える。女の子は成長が早い……という事ではなく、Humanに比べて成長が早く成体になると三meterに達するNoble Orcのbloodのimpactだろう。
Bildeの娘であるVahbiとBasdiaの娘であるJadalは、それぞれ五ageと四ageらしい可愛さで、Rapiéçageは……変わらない。Patchwork Zombieだから当然だが。
そんな彼女達が言う「そんな風」とは何かと言うと……tongueを伸ばしてペロペロとQueen蜂の卵を舐める事だった。
「……これは卵にカビが生えないようにしているだけなんですよ」
蟲が卵の世話をする時にしている事を、とりあえず真似ているVandalieuはPauvina達の訴えにとても困惑していた。
「じゃあ、カビが生えないようにあたしも舐めてっ!」
「いや、お風呂入ってるでしょ。舐めなくても生えません」
「えー、舐めてよー」
「ペロペロ面白そうっ」
【Body Stretching】skillで約四meterまで伸びるVandalieuのtongueがうねうね動く-sama子は、彼女達にとって見ていて面白いらしい。猫が猫じゃらしを好むのと同じかもしれない。
childらしいと微笑ましく思うべきか、悩むところである。
『あ゛う゛ぅ?』
「いや、Rapiéçageは本当に必要無いでしょう」
それにやったら周りから誤解されそうだしと、Rapiéçageを見上げるVandalieu。
背中には翼竜の翼、腰には先端にCemetery Beeの"poisonous needle"が生えた蛇のtailを生やし、それぞれ肘と膝から先がOgreの物に置き換わっているRapiéçageだが、胴体は肉感的なfemaleの物で顔は幼さを残した美女の物だ。
その彼女を舐め回すのを躊躇うのは、当然だろう。
Undeadだとか、体中に縫い目があるとか、そんな事は言い訳にはならないのがこのTalosheimである。
「お話の最中に申し訳ありませんが、宜しいでしょうか旦那-sama」
王城地下のVandalieuの個人工房に来るようにと言われていたBellmondは、何故か年少組に囲まれてGiantな蟲の卵の世話をしているmasterを見ても、動揺せずに話しかけた。
Bellmondにとってこれくらいなら許容範囲内らしい。いや、もっと気になる物がすぐ近くにあるからかもしれないが。
「あ、Bellmond、ご苦労-samaです。今日はあなたのSurgeryプランを見てもらおうと思いまして」
「Bellmondだー」
「こんにちわっ!」
「こんにちわ、お嬢-sama方。
それで旦那-sama、そのSurgeryプランと言うのは……まさかあれでしょうか?」
Bellmondが視線で指す「あれ」とは、Life-dead化したかつてのmaster Terneciaが謎の液体に浸かっているカプセルの横に置かれている物だ。
それは白い石製のfemale型マネキンに似ていた。精巧な作りで、顔は無いが今にも手足が動きそうに見える。
Bellmondと同じ背丈で、同じ手足の長さをしていて、胸の膨らみや腰回りはTerneciaのLife-deadと同じくらいに見える。
「はい」
特に後ろめたい所など何も無いとnod Vandalieuに、Bellmondは胸を抑えた。
「……旦那-sama、私をあのような色気過剰なbody partにしてどうなさるおつもりですか?」
「いえ、胸なんかは単に細かい成形作業は難しいので、そのままくっつけようとしているだけですが」
「私は旦那-samaの僕。面白半分にbody partを弄られ、弄ばれようとそれがDestinyと受け入れる覚悟でございますが――」
「人聞きが悪い。福利厚生の充実度では自信があるのですが」
「分りました。どうか旦那-samaの意のままに」
最終的に納得してくれたらしいが、これはtailを付ける時にも色々言われそうだなとVandalieuは思った。
尤も、本気で嫌がっている-sama子は無いようだが。寧ろ、嬉しそうである。
「Van、VampireってEleonoraみたいな人しかいないの?」
「……ノーコメント」
かなり真剣な目でPauvinaに問われたが、答えを拒否した。違うとは思うが、もしかしたら……そんな風に考えてしまう自分を否定しきれなかったのである。
『Vandalieu、嫁入り前の女の子のbody partに傷をつけるのだから、責任を取らないとダメよ』
『あの、Darcia -sama、その理屈だと陛下は女の人をSurgeryできなくなってしまうのでは?』
「いえ、流石に責任までは……」
少し悪ノリが過ぎたかと、Princess LeviaとDarciaを諌めるBellmond。実際、彼女はVandalieuからSurgeryを受けるのが楽しみだった。
躊躇いを覚えない訳ではなかったが、それ以上にVandalieuから受け取る何もかもが喜びであったからだ。
あの夢のように。
「ただあまり下品にならない程度にして下さると、幸いです」
かつてのBellmondのmaster、Terneciaは彼女の目から見ても美しい女だった。だが、その美しさは上品な性質のものではなかった。
当人の言動と普段の格好が殆どの原因だろうが、どうしてもProstituteのように見えてしまう。……他人に媚びるどころか顧みる事すら無いので、その印象も長続きしなかったが。
「善処しますけど、maybe大丈夫だと思いますよ」
実際にTerneciaと顔を合わせて数分程度のVandalieuには上記の印象すら薄いが、Bellmondの首から下がそっくりそのまま彼女と入れ替わったとしても、下品にはならないだろうと思った。
「Bellmond、MUCHI MUCHIになるの?」
「Kingが好きなキンニクはー?」
「MUCHI MUCHIにはなると思いますけど、muscleは移植しない予定です。既に十分ありますし」
「あまりbody partが重くなるのは……両手足の指とtongueが自由に動けば、私の場合問題はありませんが」
『どう、る゛い゛ぃ?』
「まあ、継接ぎのご同類にはなるでしょうけれど……」
無evilに自分とSurgery後の模型を見比べるVahbi達や、「仲間?」と首を傾げるRapiéçageに苦笑いを浮かべたBellmondは、ふと先程からずっと黙ったままblood走った眼で蠢く何かを観察している人物に気がついた。
「ところで、彼は一体何をしているのですか?」
「Lucilianoですか? 彼はchunk of meat -chanの研究中です」
不完全ながら動くようになったResurrection DeviceでDarciaを蘇生させようとした結果出来た、boneも内臓も無いビクビクと痙攣する謎のchunk of meat。
同じように出来たchunk of meat同士をくっつけると、Fusionして一回り大きなchunk of meatに成る等変化はしたが、何時まで経っても何をしてもchunk of meatのままだった。
Vandalieuが試しに【Demon King's Blood】を与えてみても、特に変化は無かった。
しかし、今朝からその動きが大きくなり、変化し始めているらしい。
「もしかしたら、新たな生命の誕生かもしれないと言っていまして」
「新たな生命、ですか」
VandalieuとBellmondの視線の先では、Lucilianoの前に設置されたGiantな鍋に似た装置の中で激しく蠢くchunk of meatが在った。
ドロドロの肉色のsoupのように変化したchunk of meatは、まるで煮えたぎるようにボコボコと膨らみ泡立ち、その表面から人の手や蛇の頭に似た肉の突起が生え、そしてある程度伸びると崩れてchunk of meatに戻る。
これを繰り返していた。
「私にはHELLの窯に煮られて苦しむ亡者に見えますが」
「奇遇ですね、俺もです」
『時々人の頭っぽい物が出てくるのだけど……なんだか輪郭が私に似ている気がするのよね。私の頭がいっぱい生えてきたらどうしましょう』
どう見ても『新しい生命の誕生』ではなく、HELLから這い出ようとする亡者の図である事に異論は無いようだった。
今はまだVandalieuもStatusを見られないし、【Appraisal】のmagicを使ってみても「謎の蠢くchunk of meat」としか出ないので、まだ生物かどうか微妙だが。
『そもそも陛下、あれは何故生き続けられるのでしょうか? boneはまだしも、内臓が一つも無いのに』
「あたし達時々ご飯上げてたよー」
「お肉上げると喜んで食べてくれるの♪」
PauvinaやJadalが餌付けしていたらしい。
「食べるんだ」
Vandalieuがbloodを与えるまで肉しかない、口もstomachも無いのに、chunk of meat -chanはご飯を食べるらしい。恐らく、仕組みとしては単細胞生物が食事をするのと同じだろう。
触れた物を見境なく取り込む習性でもあるのなら、極めて危険だ。間違ってchild達が落ちないように、周りに囲いを作るべきだろう。
「でもね、野菜は食べてくれないの」
「カエルも生きたままだと、ぺっするの。好き嫌いすると大きくなれないよって叱っても、聞いてくれないんだよ」
「なるほど、生き物は食べないみたいですね」
お説教を聞く耳と頭は無いが、意外と安全な存在なのかもしれない。単純にカエルを嫌がっただけかもしれないので、後で生きている鼠や魚、Undeadを食べないかどうか確認してみよう。
『私って、child達に餌付けされてるのね。しかも、カエル……』
自分の失敗作であるchunk of meat -chanが餌付けされていた事実に、Darciaはちょっとよろめいていたが。
「まあまあkaa-san、カエルは美味しいですよ」
しかし夢中で研究するLucilianoの期待をよそに、chunk of meat -chanが新しい生物に成る事はまだなかった。
「どうやら、monstersであれ人であれ、生物に成るのに必要な物がまだ足りないようだ」
Lucilianoはそう結論付けると、chunk of meat -chanの研究を元の経過観察に戻した。
そろそろ涼しくなる九月の終わり、南の大MarshlandsとTalosheimを結ぶ道が完成した。将来乳製品や魚、レンコン等をtransportationする際に必要であるため、人海戦術で間にあるGiantシダ植物の森を切り開き、地面を押し固め、【Golem Transmutation】で作った石畳を敷いて道を作った。
有事の際には石畳が立ち上がって危険に対処し、その際多少壊れても破片をAbsorptionしてSelf-Regenerationするmaintenanceフリーの街道である。
mountain banditの心配は無いが、mountain banditよりも危険なmonstersが出現するDevil Nestsを突っ切る街道なのでそれぐらいの設備が必要なのだ。
尤も、早くも南の森のmonstersは大幅に数を減らしているので十数年後には普通の街道でも十分になるかもしれない。
そんなCream遠征の後処理と将来のdevelopmentのために必要な仕事を終えたVandalieuが取り組んだ事。それは……。
「ではこれから国民皆兵キャンペーンを始めます」
Talosheimの非戦闘民を集めての訓練だった。
「前もって説明した通り、このキャンペーンの意味は『国民皆に並のSoldier一人ぐらいなら殺せるだけの戦闘力を持ってもらいたい』というものです」
「あたしの知ってる国民皆兵と意味が違う」
元Adventurer’s Guild出張所の非正規職員にして現Place of Exchangeの受付嬢、そしてFesterのloverのリナの呟きが聞こえるが、Vandalieuは気にせず続ける。
「ご存知の通りTalosheimはDevil Nestsに囲まれていますし、またMirg Shield NationやAmid Empireが攻めてくるかもしれません。その時に備えて少し訓練して欲しいのです」
「それは聞いたが……俺達はlevelを上げてもあまり強くならないぞ」
familyが一人増えて、再び元気にStonemasonとして働いているIvanの言うように、Production relatedのJobに就いている一般人はlevelを上げてもAbility Valuesはあまり上がらない。Production related Jobは、Production related skillの補正に大部分が割かれているためだ。
それにProduction related Jobに就いている者は、戦闘訓練やmonsters退治で手に入るExperience Point自体も【Warrior】や【Mage】のような戦闘系Jobに就いている者よりも少なくなる。WarriorがStonemasonとしての修行でlevel upするのがおかしいように、Stonemasonだってmonsters退治ではあまりlevel upしないのだ。
「はい、分っています。なので、皆-sanにはskillを獲得して貰います」
だからVandalieuが注目したのはAbility Valuesでは無くskillだ。このLambdaにはEarthと違って便利な事に、skill systemが実装されている。
そしてskillは一度獲得すると、失う事は基本的には無い。あまりに長期間使わなければ勘が鈍り、body partが鈍る事はあるが、定期的にこうして訓練すればある程度使えるconditionを保てるだろう。
「なるほど、とりあえず1levelはskillを取らせようって事か」
元第五cultivation villageの村人、Vandalieuの背に乗って空を飛んだ事があるHunterのCainは【Archery】skillを3levelで持っているため、訓練を受ける側ではなく監督する側である。
彼が言ったように、一般人に粗末な槍や弓矢を持たせて、とりあえず1levelだけskillを持たせる程度の訓練を施す為政者は、Vandalieu以外にも数多くいる。
一般人でも戦闘系skillを1level持っていれば、mountain banditに襲われた時にもある程度は自衛できる。それに村にmonstersが入って来た時も、総出で当たればRank3のmonsters一体ぐらいなら追い返す事も出来る。
それにDevil Nestsではない通常の野山に入って自然の恵みを採集し獣を狩って食料にし、furを鞣して現金収入を得たり出来る。
それによって為政者は常駐させるSoldierの数を減らせるなど、-sama々な利益を得るのだ。
certainly、反乱を起こされたり、村人が貧しさからmountain banditにでもなったりしたら問題だが、それを起こさせない自信が無いなら元から訓練を実施しない。
Vandalieuの場合は、どうやら純粋に国民の防衛力向上が目的だが。
「いえ、1levelだと心許ないので2levelぐらい。当然Martial Artsも使えるようになってもらえると助かります」
「ちょっと求める水準が高くないか!?」
因みに戦闘系skill2levelとは、Vandalieuと初めて会った当時のFesterの【Sword Technique】skill levelである。
Apprenticeとは言え、その道で食って行こうと決めた少年が、一年程Adventurer's School校で学び、日々Goblin等を相手に経験を積んだconditionでのlevelだ。
「でもskill levelが2でMartial Artsを使えるぐらいじゃないと、この辺りのDevil Nestsのmonsters相手には時間稼ぎも出来ませんよ」
しかし、Vandalieuの言う事も尤もである。Cainには過剰なまでに並び立つTalosheimの城壁を抜けてmonstersが入って来るとは思えなかったが、「何事にも予想外の事態はあり得ます」と言われると反論できない。
「でも2levelって、これからあたし達、HELLのスパルタ訓練をしなくちゃいけないの?」
「大丈夫です、腕利きの教官を用意しましたから」
数日でskill補正も無いのに2levelは無理だと顔を強張らせるリナ達の前に、Vandalieuは用意した教官を整列させる。
ガシャリガシャリと音を立てて現れた教官達は、リナやIvanも見覚えのある鎧だった。
そう、鎧だけ。
「元Red Wolf Knight団の連中を使ったLiving Armorです。皆-sanにはこのLiving Armorを着てもらい、戦闘系skillを体感しながら学んでもらいます」
鎧に霊が宿ったUndeadを着て訓練する。
今までにない訓練法を実施しようとするVandalieuに、リナ達は硬直した。
「さあ、早く訓練を始めますわよっ! 私、早くskillを2levelまで獲得して、Van -samaの角を加工する仕事に戻らなければなりませんの」
リナ達と一緒に訓練を受ける事になったTareaは、硬直する皆を尻目にさっさと自分が着る教官を選びにかかった。
・Skill explanation:、【Guidance: Demon Path】
人が望んで歩まぬ道、道無き道、そうした道を歩む者が同じ道を歩む者をGuiding skill。
このskillの恩恵を受ける者は変異やRank up、成長を促される代わりに正道から遠ざかって行く。
邪悪ではないが、善悪以前にただ「異なる」存在になっていくのだ。
正常な常人から見れば、このskillの所有者と、所有者のGuidanceを受ける存在達は恐ろしい存在に感じ、忌避感を覚え、それらの歩む姿は百鬼night行の如くに見えるだろう。
【Strengthen Follower】skillが【Demon Guider】のJobに就いた事で変化したskillで、【Strengthen Follower】の効果はそのままよりEnhanced (1)されている。
・Skill explanation:、【Demon Path Enticement】
既にDemon Pathを歩んでいる者、足を踏み入れている者を惹き付ける。正道を歩む者であっても、Demon Pathに誘うskill。
所謂魔性であり、魅入られてしまった存在はaddictionに陥ったようにこのskillの持ち主に耽溺する事になる。
【Death-Attribute Charm】skillが【Demon Guider】Jobに就いた事で変化したskillで、よりskillの効果範囲が広がり、一度効果を受けてしまうとレジストする事が難しくなる。
・Skill explanation:、【Abyss】
覗き込む側ではなく、覗き込まれる側である事を表す固有skill。
このskillの所有者はMonstrosityと戦う時、自らもMonstrosityになってしまう事を案じなくて良い。何故なら、それはこのskillの所有者と戦う存在がするべき心配だから。