第六から第二cultivation villageの人々にとって、冬のこの日は忘れられない一日に成った。
「皆-sanに重要なお話があります」
村の恩人がそう言いながら、第七cultivation villageと廃村に成ったはずのFirst cultivation villageの村人達と共に、鎧姿のまま縛られた数人のKnight達を引っ立てながら訪ねて来たからだ。
「皆、聞いてくれ。私達はHartner Duke 家に騙されていたんだっ! 私達First cultivation villageの村人は、村が維持できないとなったら別の開拓地に送ると言われ、ついて行ったらSlave鉱山に放り込まれた!
罪も犯さず借金もしていないのにSlaveにされた! 鉱山の過酷な労働で、村長だった父は……っ!」
「あたしの小さなImoutoや弟も……っ! Hartner Duke 家はAmid Empireの連中と何も変わらないっ!」
「俺の姉-sanは、慰み者にされて……奴らは悪魔だ!」
口々にSlave鉱山で味わった悲哀を訴えるのは、First cultivation villageの村長の息子セバスを含めた、村は違っても同じ開拓地の仲間だった者達。各cultivation villageには彼らの顔を知っている者が少なくない。少し瞳の色が変わっている気がするが、それぐらいなら誤差の範囲だ。
そんな彼らが訴える内容なので、どんなに信じ難くても頭から否定する事は出来ない。
「それにHartner Duchyをこれから継ぐLucas公子は……いやっ、Lucasはこの開拓事業を潰そうとしていたんだっ! さぁっ、吐け!」
第七cultivation villageの村長に言われ、生け捕りにされたPabloは「うぅっ」と呻いた後、Karcanが送り込んだ偽ClericのFrotoの事以外、知り得る全てを話した。
(body partがっ、口まで勝手に動くっ。い、一体何故っ!?)
Pablo達Red Wolf Knight団の生き残りのbody partには、Vandalieuの【Spirit Form Transformation】で糸程にまで細分化された爪の一部が食い込み、体内で【Materialization】している。
そこからリアルタイムで-sama々な薬剤が分泌され、黙秘できないconditionにされていた。
ただこのLambdaでは-sama々なresistance skillによる効果によって、科学的には不可能な抵抗を可能にする場合がある。
「諦めた方が良いですよ。貴方達も、Kinarpの-samaには成りたくないでしょう?」
そのため、VandalieuはPablo達が気力やEnduranceを取り戻さない-samaにそう囁き、【Mind Encroachment】skillでEmotional Damageを与えたり、じわじわと効いてくる毒を少量ずつ注入したりし続けていた。
「わ、私は……Red Wolf Knight団Delegation LeaderのPablo Marton。私は、Lucas -samaにDuke 家を継いでいただくために、Belton公子の開拓事業を、頓挫させるために、部下に命じて、裏工作を……」
Pabloの自供と彼らが身に着けている鎧にあるKnight団の紋章等を見て、cultivation villageの面々のHartner Duke 家に対する信頼は地に堕ちた。
このLambdaでは人権という意識が未発達で、Royal Nobilityと庶民は上位raceと下位raceの-samaに違う生き物だと、何処かで認識している。
だが、だからと言って理不尽に踏み躙られれば怒りもするし、不満も覚える。
しかし、怒りや不満を覚えてもどうにもならない力の差がある。貧しい開拓民と、実質一国の支配者であるHartner Duke 家では反抗する事すら無意味に思える。
だが、このまま黙っていても暮らしていける保証は無い。次期DukeがKnight団を派遣して到底支払えない重税をdemandし、納められなければSlaveにするから縄に付けとdemandしてきたのだ。
Knight団を撃退されたDuke 家が黙っているとは思えないし、考えを改めてくれると期待も出来ない。このままSlaveにされるくらいならいっそ、逃げ出してmountain banditにでもなるしかないのか?
そう悲嘆する村人達にVandalieuは、こう囁くのだ。
「もうHartner Duchyでは暮らせないでしょう。良ければ、セバス達の-samaに皆で俺の所に来ませんか?」
そしてセバスが続ける。
「私達First cultivation villageの生き残りは、今は全員彼の下で暮らしている。Hartner Duke 家も手出しできない場所で、豊かに生活しているんだ。毎日腹いっぱい食えるし、仕事もある!」
その言葉に、村人達がざわめき希望に瞳を輝かせる。
「村長っ、俺とfamilyはこの子に着いて行くぞ!」
そして第五cultivation villageのHunter、Cainの-samaにVandalieuに直接助けられた者達がここで声を上げ、思案していた村の代表格の者達も決断する。
「分かった。皆、支度をするのじゃ。ここは儂等の第二の故郷ではなかった。また一からやり直すのはしんどいじゃろうが、儂等には【Guardian of the Cultivation Villages】がついておる! どこででもまた始められる! そうじゃろう!?」
Vandalieu達はこれを第六から第二cultivation villageで繰り返したのだ。
こうして千人以上の村人がTalosheimに移住する事に成ったのだった。
【Strengthen Follower】skillの恩恵を受ける-samaになった村人達がせっせと移住の準備をしている。
Red Wolf Knight団にはLucas公子と連絡を取るために伝書鳩等が居たが、それも確保している。
「じゃあ、『順調』と書いてください。あ、こっそり暗号等を仕込んで非常事態を知らせるというのはお勧めしませんよ。どうせ間に合わないでしょうし……万が一間に合った時、皆を守るために俺が手段を選ばなくなったら、困るでしょう?」
そうdemandするVandalieuに、Pabloは抵抗する素振りを見せなかった。Hartner Duchyの事を考えるなら、彼らにこのまま何処かへ行ってもらった方がまだ被害が少なくて済むと、彼も解っていたからだ。
【Five-colored blades】が来てくれれば別かもしれないが、彼らはあくまでもadventurerだ。Lucas公子の都合に合わせて動いてはくれないだろう。
それに、目の前の首謀者はDhampir。その上明らかに理不尽な事をしているのは自分達の方だ。事態を知ったとしても、Adventurer’s Guildに不正までさせた自分達のallyに成るとは思えない。
流石にDuchyと直接事を構える事は無いだろうが。……目の前のMonstrosityとは違って。
「お前は、何を考えているのだ? 何故、こんな事を?」
PabloはVandalieuに、childの姿をした恐ろしいMonstrosityに問うた。
今回Vandalieuがしでかした事は、mountain banditに扮していたKarcanを撃退したのとはdimensionが異なる。
Pablo達はKarcanとは違い、誰から見てもはっきりRed Wolf Knight団だと解る姿で来て、自分達はHartner Duke代理のLucas公子の正規の命令で来ていると告げた。それを分かった上で村人達を扇動し、武力を持って反抗し、僅かな生き残り以外は皆殺しにしたのだから。
事が露見すれば民衆はVandalieuを称えるかもしれないが、反逆罪を犯した賞金首として国中に手配され、捕まれば犯罪Slaveどころか処刑を免れない。
それほどの大罪だ。
そんなriskを犯してまで、何故cultivation villageの人々を助けようとするのか。あまりにも収支が合わない。義憤に駆られたようにも、手段の汚さを考えると思えない。
一体何故?
そうPabloが問うのは、交渉や駆け引きの一端でも、情報収集の為でも何でもない。彼は眼の前のMonstrosityが理解不能過ぎて、問わずにはいられなかったのだ。
「俺自身の幸福の為です」
だが、得られた答えもPabloの理解力を超えていた。
「貴-samaの幸福の為? 何故彼等を助ける事が、お前の幸福に繋がる?」
とてもVandalieuが得をしている-samaにはPabloには思えない。後ろ盾も無い貧しい開拓民を集めて一体何が出来る? 全員をVampireにするにしても、Elective Kingdomと敵対するriskに釣り合うとは思えない。
「皆を助ける事が俺の幸福に繋がる事を、何故疑問視するのですか?」
しかし VandalieuもPabloが何故疑問に思うのか、理解できないようだ。
「ただ通りすがりに困っている人達が居たので、『ちょっと』助けました。するとその人達はとても喜んでくれて、俺も嬉しくなりました。そして『ちょっと』助けている内に仲良くなって、友達も出来ました。
その友達を殺そうとする奴等や、汚い真似をして全てを奪おうとする奴らが来たので、また『ちょっと』助けようとするのはそんなに不思議な事ですか?」
cultivation villageにVandalieuがallyをする理由は、単純に言えばこれだけだ。結果的に【Guardian of the Cultivation Villages】のsecondary name等が獲得できたが、それは全て後からついて来た結果に過ぎない。
袖振り合うも多生の縁、情けは他人の為ならず。確かに多少の打算はあるが、「喜んでもらいたい」と思う事を下心だと嫌悪するぐらいなら、元から他人と関わろうなんて思わない。
Vandalieuの場合は、その『ちょっと』の割合が大きいだけだ。軽い気持ちでGoblin BarbarianやOrc、mountain banditを始末できる戦闘力を持ち、軽い気持ちでinjure人やsickを癒し、村を汚染する毒を消し、井戸を掘る事が出来るmagicとそれを行使できるManaがある。
「力持つ者の義務」と言う考え方をVandalieuは嫌悪するが、だからと言って親切心で『ちょっと』手助けする事を厭うつもりも無い。
つまりは普通なのだ。
「そ、そんなBAKANA言い分があるかっ、そんな、些細な理由で、我々を、Hartner Duchyを敵に回すのか!? 下手をすれば、Elective Kingdom全体を敵に回しかねないのだぞ!?」
「そんな些細な理由で、貴方達は全滅しましたが」
「っ!?」
納得できない-sama子のPabloだったが、Vandalieuに言い返されると更に目を見開いて押し黙った。
その内この人のeyeballが飛び出すのではないだろうか? そんな益体も無い事を考えながらVandalieuは更に言った。
「勘違いしないでほしいのは、俺は別に最初からHartner Duke 家を敵に回すつもりではなかったと言う事です。あなた方が色々やるから、やり返しただけで」
「色々、だと?」
KarcanのrunawayかとPabloは思ったが、違った。
「あなた方の先祖がTalosheimのPrincess Levia達を謀殺して、他の避難民をSlaveにして鉱山送りにした。そしてあなた方は二百年経っても、それを止めなかった。だから俺はPrincess Levia達の霊を解放して、Slave鉱山に避難民を助けに行った。
あなた方がPure-breed Vampireと通じているから、俺はそれを明らかにした。
あなた方がcultivation villageを潰そうとするから、俺はそれを防いだ。
全て、あなた方が原因で、俺はそれに対応しただけです」
「何だとっ!? では、今までの事件は全て……っ!」
「はい、俺が主犯です」
とても簡単には信じられる事ではなかったが、Pabloの目の前に居るMonstrosityは信じられない事を山ほど行っている。
Pabloは二百年前の陰謀について知らなかったが、当時のHartner Dukeが何かしたのだろう事は察する事が出来た。
実際、自分達も同じような事を開拓民にしようとしていたのだから、昔のDuke 家がしていないと考える方がおかしい。
「あ、悪魔め……」
「悪魔、ですか?」
何故そう言われるのか分からないと首を傾げるVandalieuに、Pabloは「そうだ、貴-samaは悪魔だ」と言った。
「そうでなければおかしい。お前は守ると言った連中に何をした、とても正気とは思えんぞ。解放したSlaveをVampireにして、body partの中から次々に蟲や植物のmonstersを出して見せ、我々Hartner Duchyへの怒りと不満を煽り、そして耳触りの良い言葉を並べて扇動した。
特にっ! cultivation villageの連中が、貴-samaが従えるcountlessのmonstersやVampireと化した者共を見た奴らが、何故それを易々と受け入れた!?」
「皆が寛容だからでは?」
「そんな訳があるかっ、貴-samaが操っているのだ! そうだろうっ!?」
「いえ、心当たりがありません。俺も皆寛容だなーって、思わなくもないのですが」
セバス達EleonoraのSubordinate Vampireと化した知人や、Vandalieuが蟲や植物のmonstersを使う事に、cultivation villageの面々は拒否感を示さなかった。第七cultivation villageの面々は、特に。
【Death-Attribute Charm】が効いている訳でもないのに妙だなとはVandalieuも思っていたのだが、Gopher達をTalosheimに迎えた時の-samaに、Vidaのbelieverだからだろうと深くは考えなかった。
実際には、【Strengthen Follower】のskill効果である。
cultivation villageの人々はVandalieuに着いて行く事を選んだ瞬間、VandalieuのFollowersと成った。そして同じFollowersであるセバス達Vampireや、Pete達monstersに親近感や連帯感を覚える-samaになったのだ。
これは【Strengthen Follower】skillが本来他raceには効果が無いはずのskillであるため、誰も、Vandalieu自身も知らない事だ。
しかし、気が付いたとしてもVandalieuはそれを悪い事だとは思わないだろう。
「まあ、煽って扇動した事は認めますけど、それは悪い事ですか?
だって貴方達はcultivation villageを皆殺しにしようとした次は、無理難題を吹っかけて皆Slaveにしようとして、逆らったら殺す、でしょう?」
「そ、それは、Karcanがっ……貴-sama等がっ……」
「Karcanは貴方方の管理責任で、俺達はやり返しただけです」
そう言い返すVandalieuの姿が、Pabloには滲んで見えた。汗が、冷や汗が目に入ったのだ。
やはりMonstrosityだとPabloは眼の前のDhampirを断じた。
言っている事は理路整然としていて口調も丁寧、寧ろ理は相手の方に在るとすら感じる。
だが、目を見ているPabloには解る。目の前に居るのは、Monstrosityだと。自分達が絶対視する既存の権威に逆らう事に微塵の躊躇いも見せない。正義のallyでもなければ、難民のHeroでもなんでもない。
人々を誘う悪魔だ。
お伽噺の悪魔は、さも優しそうに人々を誘う。そして魔性に人々をGuidingのだ!
「ところで、そろそろ終わりですか?」
そう言われて、Pabloはハッとした。この悪魔にとって、さっきまでのやり取りは一体何だったのかと。
交渉でもなければ、情報収集でもない。ただの雑談? そんなはずが無い、そんな和やかなものではない。自分が口を開く度、目の前のMonstrosityは興味深そうに見つめていたじゃないか!
腰かけていた丸太から立ち上がったMonstrosityのclawsが、Pabloに迫って来る。
「何故か狂っていると言われるので、一度俺とは正反対の立場の正常とされる人の話を聞いてみたかったのですよ。
理解しかねる点が多々あったし、結局俺の方が話していた気がしますが、とても有意義な時間でした」
「な、何をするつもりだっ、私はっ、私はこれからどうなるっ?」
「これからは俺のpupilsに有意義な時間を提供してあげてください。……モルモットとして。大丈夫、俺がそうだった時間よりも、ずっと短くて済みますから」
どろりとした液体が顔に滴るのを感じたと思った瞬間、Pabloの意識は暗転した。
《【Grotesque Mind】skillのlevelが上がりました!》
伝書鳩で「異常none、順調」と言う連絡を寄越したきり、Red Wolf Knight団は連絡を絶った。
調査に送り込まれたSpy達が見つける事が出来たのは無人となったcultivation villageと、大勢のHumanが南に去った痕跡だけだった。
Lucas公子は詳細を調べようと更にSpyを送り込んだが、確かな事は何一つ分からなかった。Niarkiの町に居るという腕利きのSpiritualistを雇おうともしたが、彼女は既に店を畳んで他のDuchyか故郷のElfの集落に向かったようだった。
分かったのは、cultivation villageからやや離れた場所に在る二百年前放棄された……放棄させた町に、一階層だけの小規模なDungeonが発生していた事と、崩落して通る事が出来ないはずのTalosheimがあるContinent南部に続くBoundary Mountain Rangeのtunnelの入り口の岩が、動いた形跡があるという事だけだった。
「まさか、一連の事件は全てContinent南部から、Talosheimから這い出てきた何者かが起こしたのか!?」
春、その報告を見たLucasは戦慄した。Hartner Duke 家を正式に継ぎ、Dukeと成った彼は当然二百年前先祖が行った不条理な裏切りについて知っていた。
Royal Nobilityは-sama々な事で-sama々な敵やallyを作る。だが、代替わりすると「親の代はin any case、我々は仲良くやろう」と関係を修復する事が多い。「あの一族は末代まで許すな」と先祖からの遺言がある場合もあるが、それでも曾孫の代に成れば「そろそろ和解しませんか」と成る事も少なくない。
だが他raceの、特に寿命の長いraceからの恨みは別だ。こちらの代が変わっても、異race側からするとまだ当事者が健在である事が多いからだ。
Giant raceの寿命は三百年。そしてHartner Duke 家がAmid Empire側に送り込んだSpyは、やや遅かったがEmpireとMirg Shield NationがContinent南部に送り込んだ六千人の遠征軍が、数千匹のUndeadと化して戻ってきた事件についての情報をLucasに届けていた。
Talosheimには、何かが居る。そして、その何かはHartner Duke 家に深い悪意を持っている。それは疑いようがない。
その何かがcultivation villageとどうして結びついたのか、単に場所が近かったからなのかまではLucasには知りようがないが。
「極小規模のDungeonも、農村で広がるVidaの信仰もその何者かの仕業か……恨むぞ、先祖よ。お蔭でHartner Duke 家は、Monstrosityの恨みを買ったぞ!」
Lucas公子は、Red Wolf Knight団はSlave鉱山跡に住みついた災害指定種のmonstersを討伐に向かい、Delegation LeaderのPablo以下全員が相打ちとなった。cultivation villageの村人達は力及ばず助けられなかったと発表した。
そしてNiarkiの町に砦を作る事を決定した。Continent南部に潜む、Monstrosityに備えるために。
因みに、その頃Heinz達【Five-colored blades】は極小規模のDungeonを調査している時に、同じく何かを調べに来たらしいVampire達と鉢合わせして倒し、そして手に入れた情報を元にPure-breed Vampire Terneciaの足跡を追ってHartner Duchyを出ていた。
《Vandalieuは【Monstrosity】のsecondary nameを獲得しました!》
焼き餃子に水餃子、焼売、蒸しbread、焼きソバ、たこ焼、お好み焼き、たい焼き、焼き鳥、ホットDog、frank fullト、ケバブ、キューバsandwich、生春巻き、肉や魚や野菜を挟んだチャパティ、waffle、クレープ、シャーベット、fruits juice、芋虫の串焼き……EarthやOriginのFood Stallで食べられる-sama々なCookingが並んでいる。
それを前にした者達は、高Class Cookingの数々を見たかのように瞳を輝かせ、歓声を上げた。
「素晴らしい……っ! ほとんど見た事の無いCookingばかりだっ!」
「enduranceできないっ! 頂きます!」
そして猛烈な勢いで食べていく。この場に居るのは、Talosheimの何時ものmemberにLucilianoやKasimやリナを加えた者達だ。
cultivation villageから移住した職人が焼いた皿にCookingを次々にとって、急かされている訳でもないのに猛烈な勢いで食べ始める。
「このギョーザっ、中に肉と野菜を包んでいるのか! 何とジューシーなbreadなんだ! そうか、具材をこの薄いbreadで包んでいるからこんなに美味いのか!」
『Lambdaだと餃子もbreadなんですねー』
「髭のオッサンっ、こっちのソバってbreadと野菜と海産物の炒め物も美味いぞっ! breadを具材と一緒に炒めるなんて、チキューって国の連中は良く思い付いたな!」
「Kasim -kun、私はまだ二十代だ! そしてそれはbreadではなく、麺と言うのだ!」
「メン? これ綿で出来てるのかっ!? 綿って食べられたんだなー」
「Fester、良いから食べなさいよ。じゃないと聞かれた時答えられないでしょっ」
「こっちのroundのには……はふっ!? 熱っ、でもウマっ……えーっと、何かコリッとした物が入ってるな。こっちの魚のbreadは……熱っ! 甘っ!? 何で魚のbreadが甘いんだ!?」
「Zeno、何時もの落ち着きは何処にいったのっ!」
Luciliano達新規組には好評らしい。既にこれらのCookingを食べた事があるBragaやEleonora、Zadirisも、美味しそうに食べている。
「何時もと違う味だけど美味しいわ」
「うむ、鯛焼きの中身はジャムじゃし、焼きソバのsauceも醤油やmayonnaiseではなく果物と香辛料のタレを使っている-samaじゃな」
作り方と材料を集められれば再現する事はそれ程難しくないCookingが多い。そして必要なCooking器具も、金属や木材の形を【Golem Transmutation】skillで自由に変えられるVandalieuなら、幾らでも作る事が出来る。
具材を挟んだバンズを挟んで上下から焼くキューバsandwichや、棒に肉を巻きつけて焼くケバブを作るための器具は、ちょっと苦労したが。
『それで、どう思います? これをFood Stallで三か月くらい売り続けたとして、商業guildに認められるでしょうか?』
Vandalieuは、adventurerに成る事をまだ諦めていなかった。
ただ、そのためにはやや迂遠な手段を取る必要があるとは思っていた。それが商業guildへの登録だ。
Adventurer’s Guildでは登録時にStatusを確認されるが、されない方法がある事を何とKasim達が知っていた。それは、他のguildの登録証を呈示する事だ。
商業guildでもMage guildでも、職能guildでも、guildなら何処でも良い。既に他のguildの登録証を持っていれば、その身分は保証されている事に成る。
それでguild職員にStatusを見られる事無くguild Cardを作ってもらえるのだ。
因みに、この方法をDarciaやKatia、Borkus達は知らなかった。何故なら、Adventurer’s Guildが最も簡単に登録できるguildなので、そんな迂遠な方法が必要に成る場合がほぼ無いからだ。
Kasim達が知っていたのも、adventurer養成学校で知り合った一人がpeddlerの一人息子で、彼が「商業guildの登録証を見せたから、bloodを取られずに済んだ」と話していたのを覚えていたからだ。
因みに、そのpeddlerの一人息子も真面目にadventurerに成ろうとした訳ではなく、最も安く護身のための技術を身に付けられるのがadventurer Preparatory Schoolだったから登録したらしい。
そしてVandalieuはAdventurer’s Guildに登録するために、先に登録するguildとして商業guildを選んだ。
この試食会は、商業guildに登録するために必要な「商売をしている」と言う実態を示す為に使えるかどうかの意見をLuciliano達から聞くための催しだった。
『そりゃあ売れるだろ、こんなに美味くて売れないはずはねぇっ!』
「親父、反対側からボロボロ食べかすが落ちてるよ」
『私達も同感です!』
『絶対売れますよ、Bocchan!』
「目立たない-samaに味噌や醤油を使っていないが、我は問題無いと思うぞ。こっちの方が好きと言う奴も居るかもしれん」
味噌や醤油、mayonnaise等を使わず作ったのは、もしAlda templeにそれらがどんな調味料なのか伝わっていたら面倒だからだ。
Orbaum Elective Kingdomならそう深刻な事態にはならないだろうが、何処にでも極端な考え方をする者が居る。
社会的地位が手に入る前に、そんな連中に絡まれるのは面倒なのだ。
『あ゛ま゛ぁ……ぃ……』
「美味しいよ、絶対皆買ってくれるよっ!」
それでも中々好評のようで一安心だが。
しかし、複数のNobleや大商人から特殊な指名依頼を受けた経験を持つLucilianoは、「確かに、感動的なほど美味い」と認めつつも、微妙な顔をした。
「しかし Food Stallで売るのは問題があるぞ、師Artisan」
「何でだ? こんなに美味いんだ。俺だったら絶対買うぜ!」
Vandalieuより先にLucilianoに喰ってかかるFesterに、彼は「幾らで買うつもりかね?」と聞き返した。
「幾らでって、そりゃあ――」
「そう、問題は値段だ。例えばこのギョーザ、spyスを利かせた具材の値段は当然高い。焼売や肉まんも、同-samaだ。焼きソバもluxuryにたっぷりの具材とsauceを使っているし、ケバブやホットDogも……キューバsandwichにはButterまで塗られている。たこ焼にはたっぷり油が使われているし、お好み焼きには新鮮な海産物、たい焼きにはジャムや蜂蜜……高価な甘味がふんだんに使われている訳だ」
「いや、別に値段は安くしても構わないんじゃないか? Vandalieuの目的はguild登録で、儲ける事じゃないんだし。それで生活に困るって事も無いし」
値段を問題視するLucilianoに、Kasimはそう指摘した。確かにVandalieuはFood Stallの売り上げで生活する訳ではないので、別に儲けなくても良い。それどころか、欲しいのは商売をしていると言う実態なので赤字でも一向に構わない。
だがLucilianoはKasimに「考えが甘い」と告げた。
「相場よりも明らかに安い値段で、庶民にも手が出る価格でこのCookingを売ったら……師Artisan以外のFood Stallの店主達はどう思うかね?」
「……どう考えてもtroubleの予感がする」
「そうだろう」
『……Human関係って面倒ですね。じゃあ、他のFood Stallが無い町や村で営業するというのは?』
「師Artisan、そんな辺鄙な場所には商業guildも無いと思うがね」
「えーっと、別に大盛況に成る必要も無いんだし、他のFood Stallと同じ物を作って売ったら良いんじゃない?」
『うーん、でも態々不味い物を作ってお金を取るのは良心が痛みますし』
リナが中々無難な提案をするが、Vandalieuとしては抵抗があった。LambdaのFood Stall食は、基本的に不味い。certainly、Vandalieuの肥えたtongueからしたらだが。
基本的に味よりも量や安さ優先で、限られたspaceで手早く作れる物が中心に成るので、あまり美味くないのだ。
「いっそ、Food Stallではなく常設の店舗でも構えたらどうかね? 師Artisanが用意したCookingは、Royal Nobilityが食べてもおかしくない物ばかりなのだし」
『……俺の中のRoyal Nobilityのimageがまた崩れました』
着飾った紳士Ladyが立食partyで焼きソバやたこ焼を食べながら、優雅に「フフフ」「オホホ」と談笑する光景を思い浮かべて、Vandalieuは眩暈を覚えた。
『とりあえず、商売する場所の目星が付いたら、そこで売っている物と価格を見て決めましょうか。
どの道、Pure-breed Vampire共を減らさないと一定期間商売する事もできませんから、先の話ですしね』
「ところでVan、何故Bodyの方は横に成ったまま動かないんだ?」
roomの片隅でうつ伏せになったまま動かない、BodyのVandalieuに気がついたBasdiaにSpirit FormのVandalieuは答えた。
『……あれは落ち込み担当の思考です』
(誰だ、人を【Monstrosity】呼ばわりした奴は。見つけたら耳の穴からclawsを突っ込んで、奥歯をガタガタ言わせてやる)
・Name: Kasim
・Race: Human
・Age: 16
・Title: none
・Job: Warrior
・Level: 70
・Job History: Apprentice Warrior
・Passive skills
Augmented Stamina:2Lv(NEW!)
Augmented Vitality:2Lv(NEW!)
・Active skills
Farming:1Lv
Club Technique:2Lv(UP!)
Shield Technique:3Lv(UP!)
Armor Technique:3Lv(UP!)
・Name: Zeno
・Race: Human
・Age: 16
・Title: none
・Job: Thief
・Level: 67
・Job History: Apprentice Thief
・Passive skills
Detect Presence:2Lv(UP!)
Intuition:1Lv(NEW!)
・Active skills
Dagger Technique:2Lv(UP!)
Archery:2Lv
Trap:2Lv(UP!)
Silent Steps:2Lv(NEW!)
Dismantling:1Lv(NEW!)
Lockpicking:1Lv(NEW!)
・Name: Fester
・Race: Human
・Age: 16
・Title: none
・Job: Warrior
・Level: 72
・Job History: Apprentice Warrior
・Passive skills
Enhanced Muscular Strength:3Lv(UP!)
・Active skills
Fishing:1Lv
Sword Technique:3Lv(UP!)
Dismantling:1Lv
Armor Technique:1Lv(NEW!)
-Surpass Limits-:1Lv(NEW!)