窓から美しい月明かりが差し込む一室に、【Evil God of Joyful Life】Hihiryushukakaを奉じるPure-breed Vampire達が集まっていた。
ただ、三脚ある椅子の内一つは空席となっている。
「やれやれ、ここ最近騒がし過ぎる。そうは思わないか、Gubamon?」
「儂はお主に呼び出された事が最も気に喰わんがの、Birkyneよ」
本来なら三人が着くはずのtableで向かい合う、青年Noble然としたBirkyneと悪の老Mage然としたGubamon。
「そう気を悪くしないでくれ。-kunが大好きなcollectionは、少しばかり-kunが離れても気にしないさ。それよりも例の件について対処した方が良い。うかうかしていると、私達の足元も危うくなる」
Birkyneの言う例の件とは、NinelandのMage guildのGuild Master、Kinarp達による情報漏洩だ。
彼らが持っていた情報によって、Kinarpと取引していたTernecia派はcertainlyだが、BirkyneやGubamonの配下や、その協力者にも無視できない被害が出ている。
Amid Empireにも深く根を張っている彼らだが、同程度にOrbaum Elective Kingdomにもその毒fangsをthrust立てている。
Birkyne達は十万年前から存在し続けている。一つの国だけに勢力を纏めていると、その国が滅亡した時に受ける煽りで大火傷しかねない事を経験している。二つの大国が存在する時代にはどちらの大国の裏にも手を伸ばす。
だからこそ、Orbaum Elective Kingdomに潜り込ませた者達が狩り出されるのは痛い。
「儂らの足元が? クキキッ、気弱に成ったか、Birkyne? 手下共や、更にその下の協力者が幾らか狩られたところで、儂らの身が危うくなる事等あり得ん事じゃ。
狩り出されるに任せておけば、何れHuman共も満足するわい。儂等まで辿りつく者などおらぬし、居たとしても殺せばよいだけの事じゃ」
皺だらけの顔で嗤うGubamonの言う事も一理ある。幾ら手下を始末されても、彼らが纏う闇は深い。余程のFortuneにでも恵まれなければHuman達はtailと戯れるのが精々で、頭である彼らには到底辿りつけない。
そしてもし辿りついた者達の中にHeroの中のHeroが居たとしても、返り討ちにしてしまえば良いだけの事だ。
一人だけならAClass adventurerのpartyか、SClass adventurerが挑めば、若しくはSClass adventurerとそれを援護する複数のAClass adventurerのpartyが来れば、Pure-breed Vampireでも負ける可能性はそれなりに高い。
だが、彼らは一人ではない。
普段は徒に競い合うBirkyne達だが、外部の共通した脅威には協力して立ち向かう事を盟約で結んでいた。
そのお蔭で九万年前にHeroic Godと成ったBellwoodやNineroad 's Divine Protectionを受けたHero達に攻め込まれた時も逃げ切れたし、その五千年後の他のEvil God (M)に従うPure-breed Vampireとの抗争も勝ち残ったし、それ以後の危機も乗り越えて来られた。
そして【Evil God of Joyful Life】派がバラバラに成らず、今も三人のPure-breed Vampireの合議制で運営されているのも、その経験のお蔭だ。
……ここ五万年は、その共通した脅威は出現していないが。
だからGubamonの言い分も正しい。彼等三人が協力すれば、Orbaum Elective Kingdomの全軍を相手取っても負ける事は無いだろう。そこに【Five-colored blades】が加わっていても、多少手強くなる程度で結果はそう変わるまい。
手下達は減るだろうが、それはまた幾らでも増やせば良いだけの事だ。Noble-born Vampireでも、Birkyne達には替えの効く駒でしかない。
生き残って新しい闇の中で、また勢力を築けばいい。三人のPure-breed Vampireが生き残っている限り、organizationはまた作り直せる。
「確かにそうだ。どんなに悪くても、私達の身に危険は及ばない。でも、あまり配下や協力者が減ると困るだろう? 長く生きる私達には、日々の潤いが不可欠。そうだろう、Gubamon」
「ふむ……」
そう言われてはGubamonも動く事を考えなければならない。確かに彼は強大な存在だが、彼の趣味である『Heroの死体を使ったUndead collection』を充実させるためには、彼個人だけでは足りない。
情報を集める多くの目と耳、そして動く手足が必要だ。
「しかし、具体的にはどうするつもりじゃ? 既に情報は渡っておるし、知った者を消すには手遅れ。手下共を雲隠れさせるにしても……そうじゃ、Terneciaの所のChipurasの奴が討ち獲られたの。あれを今回の件の黒幕にでも仕立てるか。
Birkyneよ、それでTerneciaは何時来る?」
「ああ、Terneciaは来ないよ」
「何じゃとっ!? あの小娘がっ、儂が出て来たというのにすっぽかしおったのか!」
「いいや、Gubamon。Terneciaは、originally呼んでいない。私が呼んだのはね、最初から-kun一人だよ」
「何? 何のつもりじゃ、Birkyne。まさか……」
BirkyneはGubamonに、優しげな表情を浮かべたまま言った。
「今回の件はTerneciaの不始末だ」
Birkyneは、TerneciaをHuman達にくれてやろうとGubamonに持ちかけたのか? 十万年来の盟友を?
Gubamonは目玉が零れ落ちそうな程驚き……だがBirkyneの真意をすぐに悟り、口の端を歪めて笑った。
「なるほどのぉ、TerneciaにHuman共をぶつけて弱らせ『降す』つもりじゃな?」
純粋な戦闘Abilityでは、Terneciaが最も高い。しかし、Birkyneにはとっておきの切り札があった。他者を強制的に支配下に置ける切り札が。
それは強力だが、Human相手ならともかくRegenerative Powerの高い上位のNoble-bornやPure-breed Vampire相手に使うには破られる危険性がある。そして使う際にはBirkyneもその作業に集中する必要があるため、隙だらけになってしまう。
もし同格以上の存在に仕掛けて失敗すれば、逆に自分が窮地に立たされる。そんな切り札だ。
だが、もし自分と同格の存在が抵抗できない程弱っていたら……それは多大なriskを支払っても、使用してGiantなreturnを得るべきtimingではないだろうか。
「今回の件はTerneciaに責任がある。彼女が責任を取って然るべきじゃないか」
「そう言う考え方もあるか。情報を漏らしたのはTerneciaの手下が使っていたHumanじゃからな」
「ああ、それにTalosheimとHartner Duchyを繋ぐtunnelに何か細工をした」
「なんじゃと? それは初耳じゃが、どういう事じゃ?」
彼等Evil God (M)派のPure-breed Vampire達は、新たなAmid Empireとの国境に接するHartner Duchyに食い込むため、複数の手下を送り込んでいた。特に力を入れていたのはTerneciaだったが、BirkyneやGubamonも幾人かの配下を派遣していた。
「実は、主にTerneciaの配下を狩り出している『Five-colored blades』というadventurer達が面白い事をしていてね。なんと、彼らはEleonoraを探しているんだ」
その配下を通じて、Heinz達の動向がBirkyneに伝わっていた。
「Eleonora、じゃと? BAKANA、何故Boundary Mountain Rangeの向こうにいるはずの裏切り者をElective Kingdomで探しているのじゃ?
まさか……居たのか? 城が傾き、Demon Kingのsealedが解かれた時に! では、まさかDemon King Fragmentはその小娘の手に在るのか!?」
興奮するGubamonにBirkyneは「いや、それは無い」ときっぱり否定した。
「一応元飼い主だからね。彼女の力量は解っているつもりだ。この一年でどう成長しても、彼女ではDemon King Fragmentにすぐ取り込まれてしまうよ。もしEleonoraがsealedを解いたのだったら、Ninelandで獣の如く暴れ回っただろう。
sealedを解いたのは……Eleonoraの今のmasterだ」
「今のmasterと言うの……あのDhampirか。既に出てきておったとは……っと、するとKinarpの件も?」
「だろうね。Eleonoraの【Charming Magic Eyes】は視線を合わせている時しか効果が無いから、他の手段を使ったのだろうが」
他にもNiarkiの町でDungeonが発生し、Slave鉱山がSkeletonの巣窟と化し鉱山自体も更地にされている大事件が存在したが、Birkyne達はそれ等もVandalieuが関与しているのではないかと疑っていた。
ただ、それらがどんな意図で行われたのかについてはconjectureできずにいたが。
人は己の物差しで他人を測る。その意味ではBirkyne達はとても人らしい。
まさかVandalieuがadventurer登録する事を望んでいて、自分達にとって駒やcollectionする物品でしかないUndeadの生前の親族の-sama子を調べに行き、結果として一連の事件を引き起こしたのだなんて想像もできない。
Pure-breed Vampire達の中ではVandalieuの狙いはDemon King Fragmentで、そのために一連の事件を引き起こしたのだとconjectureされていた。
きっと、Continent南部で他のDemon King Fragmentを解放するなり、Hihiryushukaka以外の他の邪悪な神を仰ぐ成りなんなりして情報を手に入れたのだろう。もしかしたら、Slave鉱山の近くにも自分達が知らないsealedが在ったのかもしれない。
そして、実はTerneciaは全てを知っていたのではないか? 特にBirkyneは、既にVandalieuと通じているのではないかと疑ってさえいる。被害は彼女の配下に最も多いのだが、それも偽装に思えて仕方ない。
完全に自分がVandalieuと取引しallyに引き入れる事を企んでいるからこその邪推だが、bloodを分けたfamily同然の絆で結ばれた十万年前ならin any case、現在の利害関係だけで結ばれた関係のPure-breed Vampire達の信頼関係は脆い。一度罅が入れば、後は広がるだけで止まらない。
「なるほど……tunnelを潰したのはTerneciaじゃからな。奴らが暗躍しているなら、Terneciaに責を負わせるのが理に適っておる」
「そう言う事さ……じゃあ、本題に入ろうか、Gubamon」
Hartner Duchyでは、Sauron DuchyがAmid Empireに占領された事で起きた不景気に苦しめられていたが、最近『事故』で城が物理的に傾いた事で、莫大な修繕費か城の建て替え費用が税金に上乗せされるのではないかと人々は心配していた。
certainly城の修繕及び建て替えは公共事業なので、商売のchanceでもある。しかし、Farmingや酪農を本業としている人々にはその恩恵には中々与れない。
小さな田畑で何とか生計を立てていた夫婦が一人息子の眠ったmidnight、悲壮な顔付きで話し合っていた。
「これ以上税金が上がったら、トムを売るしか……」
「あんた、待っておくれよ。あの子はまだ五つだ、売ったら鉱山送りにされちまうよ」
Body労働に向かないageなら、男の子でも鉱山のような使い潰す事前提の場所に送られる事が圧倒的に多い。
腹を痛めて産んだ息子がそんな事に成るのはと夫を止める妻だが、夫も進んで我が子を売りたい訳ではない。顔を皺くちゃにして言った。
「だが、このままじゃ種籾を食っても山羊を残らず絞めても冬を越えられねぇ……familyそろって餓死するよりは、少しでも希望がある方に賭けなけりゃ……何、トムはあれで頭が良い。きっと、何処かの旦那が買って働かせてくれるはずだ」
「ううっ、稲がdiseaseにさえならなけりゃぁねぇ……」
満足できる量の米を収穫できなかった貧農の夫婦は、仕方なく息子を売る事にしたようだ。しかし、そこに奇跡が起きる。
『待つんだ……アザン……あの子を売っちゃならねぇ……』
突然聞き覚えのある声が夫婦の耳に届いた。だが、その声は二度と聞けないと思っていた声だった。
「そんな、母-chan!?」
アザンと呼ばれた夫が目を見開いて驚く。そこには今年の夏、山菜を取りに行った翌日遺体で発見された彼の母の姿があった。
向こうの壁が透けて見える、不確かな姿で。
「お、お義kaa-san!?」
「ひぃぃぃっ、成仏してくれぇっ!」
死んだ母がGhostと化し出て来たかと抱き合って震え上がる息子夫婦に、母親の霊は告げた。
『トムを売っちゃならないよ……それよりも、家の山羊を納屋の扉の外に繋ぐんだ。そして朝日が顔を出すまで窓を閉めて、家から一歩も出ちゃいけないよ』
「山羊を?」
『アザン、母-chanの言う事を聞いておくれ。いいかい、それと種籾も納屋の扉の外に置くんだ。そして朝日が顔を出すまで家から出ないで待つんだ。そうしたら、良い事が……Goddess Vidaの御恵みがあるからね』
「ヴィ、Vidaって……母-chan、Alda -samaに改宗したんじゃなかったっけ?」
そう尋ねる息子に答えず、アザンの母親の霊はすぅっと何も残さず消えてしまった。暫し呆然と霊が現れた場所を見つめていた夫婦だったが、顔を見合わせて頷き合った。
「お義kaa-san、トムの事を可愛がっていたものね」
「そうだな……どうせageでもうすぐ乳も搾れなくなる山羊だ、母-chanを信じてみよう」
そしてアザン夫婦は言われた通り種籾の袋を置き、山羊を納屋の扉の前に繋いで朝を待った。
すると、驚くべき事が起きていた。
「これは……っ!」
何と、種籾の袋が在った場所に、粘土で出来た等身大の人形が立っていたのだ。もしJapanの歴史を知っていたら、「土偶?」と首を傾げただろうが、アザンにはそれよりも気に成る事があった。
土偶の足元に見覚えの無い木の棍棒が置かれていた。これで叩いて割れと言う事かと、アザンは棍棒で土偶を叩き割った。
すると、パカンとあっさり割れた土偶の中から、食料や財宝が入った袋や箱が次々に出て来たのだ。
「塩だっ、塩がこんなに……! 一年分はあるぞ! それにこっちは麦だ! この瓶は……油に酢まであるぞ!」
「あんたっ、これは銀貨じゃないかい!? 金貨も混じってるよっ! こっちのキラキラしてるのは、もしかして宝石……!」
土偶に入っていた食料や財宝の価値は、アザン夫婦が一人息子を売って手に入る金の何十倍程もあった。トムを売らずに済むどころか、冬を楽に越して新しい若い山羊を買っても余る。
「ああ、kaa-sanありがとう! Vidaの女Kami-sama、ありがとうございますっ!」
村から少し離れた丈の長い草が繁茂している草原で、Human大の土偶型Golemに囲まれたVandalieuは成果にほくほくとしていた。
「山羊に兎に南部米の種籾に、Talosheimには無い品種の豆が数種類、痛みやすくて町には出回らない果物の種と苗木……上々ですね」
アザン夫婦を含めた複数の農家が喜んでいる-sama子を見ると、もう少し代金を抑えた方が良かったかなと思わなくもないが、大した問題ではないし別に良いだろう。
VandalieuはKanataに殺されたHanna達Flame Ghostから、Hartner Duchyの貧しい農村の場所を幾つか聞き、そして飛んで行って周辺の霊を集めて交渉要員を確保。そして貧しい夫婦に【Visualization】で常人にも見える-samaになった霊を通して取引を持ちかけたのだった。
取引を無視した一家も幾つかあるが、信心深い農村の人々の多くは霊の言葉を信じて取引に乗ってくれた。
お蔭でこの成果である。
流石に農作業を手伝わせられる農耕馬や牛等は居なかったが、山羊や兎等、雑草を食べさせておけば育ち糞が肥料に成る家畜は何頭か居た。取引で手に入ったのはその中でも年老いた部類だったが、それくらい【Youth Transformation】すれば問題無い。
取引に支払った代金も、Dungeonで手に入れた物や通りがかりに始末したmountain banditの宝ばかりなのでVandalieuの主観では損ではない。
「俺、普通に家畜や作物の種籾を買える身分じゃないですからねー」
農場や牧場の持ち主でもないのに、生きた家畜や種籾を買おうとすると、とても目立つ。だからVandalieuはこんな手段を取っていた。
「キチキチキチキチィ」
「Pete、今はまだ食べちゃいけません」
頭からbody partを半分出して兎を狙うPeteを止めて、Vandalieuは言った。
「-chanと増やしてからです……兎肉のトマト煮込み……山羊のcheeseを添えて……」
Peteではなくappetiteを隠そうともしないVandalieuの方にhorrorして動けない兎を、土偶Golem達が体内の空洞に収納する。
「さて、じゃあ昨日作ったDungeonに移動しましょう。後何頭か山羊が欲しいですね」
荷物運びに便利な土偶Golemを引き連れて、Vandalieuは草原を後にしたのだった。
そして幾つかの村で同じ事を繰り返した。これによってTalosheimに-sama々な家畜が導入されたのだった。
尚、Hartner Duchyの農村を中心にGoddess Vidaの信仰が盛んに成り、収穫祭ではbeliever達は土の人形にその年取れた作物を供え、翌日に皆で人形を壊し破片をお守りとして家に持ち帰る風習が広がったという。
上手くいかない調査に、Heinz達【Five-colored blades】は溜め息をついていた。
「やはり、中々上手くいかないな」
「全くだ。一体どこに消えたのやら……Vampireは霧に成れるってのは迷信だよな?」
「ほぼ迷信ですね。過去には、そんなUnique skillを持つVampireが存在したらしいですが」
Eleonoraを追いながら、彼女の情報を知っているだろうVampireを倒して尋問するHeinz達だったが、結果は全く伴っていなかった。
Ninelandで目撃されて以降、Eleonoraの痕跡は何処にも無かった。Heinz達がKinarpの流した情報を頼りに狩り出したVampire達も、Eleonoraが裏切り者である事は知っていても、現在何処で何をしているかは知らなかったのだ。
寧ろ、何故Heinz達がEleonoraを探しているのかと驚かれたぐらいだ。
しかも、Chipurasのような上位のVampireを生け捕りにするのは、彼等をもってしても至難の業であるため、結果尋問できるのは下っ端だけ。【Spiritualist】Jobの持ち主を探して、霊から話を聞こうともしたが何故か大物Vampireの霊はどのSpiritualistもSpirit Communicationする事が出来なかった。
限られた情報から分かったのは、Vampire達はEleonoraを探しているというより、見かけたら報告しろと言う命令を受けていた事と、彼女本人よりも彼女のmasterが重要視されている事だった。
Ternecia達が下っ端に情報を制限したからだが、その結果Heinz達はEleonoraの情報をVampireから得るどころか、逆にBirkyneにHartner DuchyにEleonoraが現れた事を教える事に成ってしまっていた。
それに気がつかないまま探し続けたが、手掛かりは全く手に入らない。
「全く、おかしい話だ。幾らNoble-born Vampireが空を飛べても、一日中飛んでいられる訳じゃない。なのに、何で手掛かりが無いんだ?」
Jenniferがそう言うが、EleonoraもVandalieuも王都とNiarkiの町以外に彼女達の捜索範囲に降りなかったので、手掛かりが見つからなくても当然だ。
Heinz達が南のcultivation villageに訪れていればVandalieuの事を知り、Eleonoraと結びつける事が出来たかもしれないが、Slave鉱山の事件が知られた時には彼らはNineland周辺にいたので訪れる機会に恵まれなかった。
「まあ、肝心なChampionのsealedを解いてDemon King Fragmentを自由にした犯人の手掛かりは掴めませんでしたけど、無駄ではありません。adventurerとしても、Selenを守る意味でも」
『Five-colored blades』によって討伐されたVampireの数は、Subordinate-bornも含めれば百を優に超える。お蔭でAlda templeから聖人認定されたくらいだ。
Adventurer’s Guildから手に入れた討伐報酬や、Vampireから手に入れた戦利品で懐はかなり温かい。特にHeinzはSClass昇格が現実味を帯びてきている。
それにVampireが減れば減るだけHeinz達が保護しているDhampirのShoujo、Selenの安全が確保される。
だから完全な無駄と言う訳でも無いのだが……。
「捜査方法を変えるべきだな。ここまで手がかりが無いと言う事は、私達は何か大きな見落としをしていると思う」
そしてAdventurer’s Guildで今後の捜査について話し合う中で、既に鎮圧され現地を調査した報告書にも目を通したが、Slave鉱山の跡地を自分の目で調べに行く案、既に確認されている他のChampionのsealedを調べに行く案等が出された。
しかし、彼らの後ろでこんな会話がされている事は気が付かなかった。気が付いて興味を覚えても、自分達が調べている事とはあまり関係無いだろうと考えただろうが。
「聞いたか? ヨウダの村でもあったらしいぞ、Goddessの土人形-sama」
「土人形-samaって、あれか? 死んだ親やbrothersの霊が出てきて、nightの内に外にageを取った家畜や種籾を供えると、朝には代わりに土の人形が立っていて、中に食料や金が入っているっていう?」
「そう、それ。まったく、あやかりたいもんだよな。俺達の所にも来ないもんかね?」
「……お前、親brothersは?」
「あ、皆生きてた。爺-chanも婆-chanもピンピンしてる」
「なら来る訳ないだろ。そもそもお前の所、靴職人じゃないか。何を供えるんだよ」
「それもそうか」
「は~、また空振りだ。mountain bandit退治に行ったら、mountain banditが皆monstersに殺されていて、しかもお宝まで無くなってるし」
「この前は仲間割れでもしたのか、誰かに復讐されたのか、全員喉を掻っ切られていたな。あれは凄腕のプロの仕業だぜ」
「そっちもか? 俺達も空振りだったよ。まあ、獲物はmountain banditじゃなくてGhoulだけど」
「爪の毒が薬に成るし、雄の鬣が最近良い素材に成るって買い取り価格が上がってるのに……何故か最近見つからないのよね」
「Slave商人に雇われた奴等でも居るのかな? 雌はTrainingすれば高く売れるらしいけど」
「どうかな? そういう奴等なら雄は殺してMagic Stoneを取るぐらいだろ。だけど、あの集落跡には雄の死体も残ってなかったぞ」
「……なぁ、何か臭わないか? 陰謀の臭いがさ。きっと、最近起きてる数々の事件は裏で繋がっている。俺には分かるんだ」
「ロジャー、お前もう酒が入ってるのか? 陰謀上戸も程々にしてくれよ」
実はロジャーというadventurerの言う通り、全てVandalieu達の仕業である。
女Kami-samaの土人形事件は当然だが、数々のmountain bandit壊滅事件はVandalieuが土人形事件のついでに、そして取引材料のBaum硬貨を手に入れるために、自分で【Unarmed Fighting Technique】skillの練習台にするか、Pete達のExperience Point稼ぎの獲物にしている。
霊から話を聞けば殺人を多く犯した凶悪なmountain bandit程頻繁に見つかるので、Adventurer’s Guildが討伐に乗り出すようなmountain bandit団は次々に消滅している。
そしてHartner DuchyのDevil NestsからGhoulが次々に姿を消しているのは、Kanataに焼き殺されたguildの受付嬢だったAriaや、adventurerとして活動していたLucilianoからGhoulが生息しているDevil Nestsの場所を聞いたVandalieuが、「うちの国に来ませんかー?」と勧誘して回っているのである。
Hartner Duchyのadventurer達にGhoulが狩られるのが癪だったので始めた事だが、Ghoul達はVandalieuの姿を見ただけで膝をthrust、平伏した。
どうやらGhoul達はVandalieuを見ると、神がAdventしたかの如く感じるらしい。
level upしている【Death-Attribute Charm】に、【Ghoul King】と【Vida's Miko】のsecondary nameが効いているらしい。
後はDevil Nests内に作った極小Dungeonから裏技を使ってTalosheimに連れて行くだけだ。その群の長とVigaroが殴り合いをするか、Zadirisとmagic比べをして、どちらが上位者か決めた後はVandalieuだけではなく彼らにも従うようになるので、移住後も順調だ。
Ghoul達の中には自らのraceがVida's New Racesだと知らない者も少なくなく、真実を知った後は始終驚いていたが。
やはりDevil Nests毎に分断されているconditionで、外部から孤立しているのが問題のようだ。
因みに、Hartner Duchyに他のVida's New Racesの集落は無いそうだ。旧Sauron領にはあるそうだが、現在は国境の警備が厳しいらしいので、それが緩んだ頃に米の種籾を手に入れる為にも旧Sauron領に潜入しようとVandalieuは企んでいた。
こうしてVandalieuはKasim達に語ったように、「生活必需品」である家畜や農作物を手に入れ、「母の遠縁」であるVida's New RacesのGhoul達を訪ね歩いたのだった。
因みに、Heinz達は相談の途中でHartner Duchyに最近妙にDungeonが、それも小規模なEClassとも言い難い小物ばかり発見が相次いでいる事を知り、それを追う事にしたらしい。
外れではないが、それらのDungeonは全てVandalieuが移動手段として【Labyrinth Creation】skillで作った物で、発見された物は全て使用された後放置されているので、ほぼ空振りが決まっている。
VandalieuしかDungeonから他のDungeonにTeleportationする事は出来ないのだから。
そして冬に成った頃、Vandalieuは-chanと冬を越せそうか-sama子を見るためにcultivation villageに向かったのだった。
「装備は積んであるな?」
「問題ありません!」
「よし、行くぞっ!」
馬にMountしたKarcanは、彼がCommandingする一隊とFroto、そして馬車を二台引きつれてNiarkiの町を出た。
まず北に向かい、そして街道から間道を使って南に回り込む。
そうして行先を偽装して南のcultivation villageに向かい、mountain banditに扮して襲うために。