厄介なGufadgarnを無力化する事に成功し、これで状況が少しは好転するはずだと思ったら、なんとGufadgarn main bodyが現れてしまった。
Aldaとしては本来なら直接Vandalieuに『Pile of Law』を打ち込みたかったが、Gufadgarnが常に彼の背後を守っていた。その為に、傷つくのも厭わずに自らに杭を打ちLarpanによってspaceの狭間に潜んでいたAldaも、Vandalieuを直接不意打ちする事が出来なかったのだ。
だというのに、結局振り出しになってしまった。
「Gufadgarn、とりあえず適当なDemon King FamiliarをYorishiroにして宿って下さい」
『感謝します。偉大なるVandalieuよ』
そして、蜘蛛に似たDemon King Familiarの中にGufadgarnは宿ると、再びspaceの狭間に姿を消した。もう同じ手は通用しないだろう。
『く……』
これで一気にAldaは追い込まれた。GufadgarnのYorishiroには杭が刺さっており、封じたままだが、所詮はYorishiro。main bodyがこうして現れた以上、封じる意味は全く無い訳ではないが大きくはない。対して、自分達の陣営からは『God of the Reflexions』Larpanが戦力から脱落してしまった。
もっとも、実際にはGufadgarnを封じる事に成功しようとしまいと、Aldaが追い込まれている事に変わりはないのだが。
こうして地上に自らAdventしている時点で、彼は崖の淵に立たされている。それを今自覚したというだけだ。
『Heinzよ、Vandalieuに勝てるかもしれない手が一つある』
だからこそ、Aldaは本当に最後の手段を切り出した。
「本当ですか!?」
『だが、危険性は高い。Vandalieuに勝てたとしても、汝は最悪の場合廃人と化すかもしれん』
あまりに危険な為、Guduranisとの決戦に臨む前のBellwoodも実行しなかった手段だ。
「構いません。その手とは?」
sealedされていたGuduranisのsoul fragmentを埋め込んだGodsを、囮として利用したらしいAldaに言いたい事はあるが、今はそれを言っている場合ではないとHeinzは先を促した。
『それがどんな手だったとしても、俺が黙ってみているとでも?』
【horn】や【crystal】をProjectile Fireさせながら、VandalieuはDemon King Familiarを何匹か破裂させ、飛び散ったbloodを【Blood Infection】に変えてHeinz達に向かって投じた。
その姿は頭部が肥大化した脳によって形を変え、手足の数が増え、人型から逸脱しつつあった。GufadgarnのYorishiroを傷つけられたことに、激怒しているからだ。
Gufadgarnが自らの意思で、main bodyごと『Evil God of Demon Castles』と同化して不完全revived Guduranisをsealedするのは構わない。怒りを覚えるどころか、凄いなと感心するしかない。
しかし、敵によって傷つけられるのを見せつけられるのは不愉快だ。覚悟のあるなしに関係なく、怒りを覚える。
『【blood塊弾】』
けれども、激怒するのと冷静さを失うのはVandalieuの場合は別の問題だ。彼の魂には、Aldaの『Pile of Law』に対する警戒心が変わらず存在した。
Alda's Factionが聖戦と評するこの戦いで、Alda本人がAdventしてくる可能性は十分あった、その為、Vandalieuは前もってVida達に『Pile of Law』について話を聞いていた。
……自分をHumanであると定義するVandalieuに、このworldの神にしか効果を発揮できない『Pile of Law』が効くのか。本音では「Humanである俺に効くはずがないじゃないですか」と言いたいVandalieuだったが、それで彼にもし刺さった時に『Pile of Law』が効果を発揮したら、そしてそのせいでloseしまったら、あまりにもidiotらしい。
その為、彼はVida達に助言を求めて対策を練ったのだ。
『くっ、近付けん!』
「私の後ろに!」
その結果、Vandalieuは怒りに任せて一気に間合いを詰める-samaなことはせず、遠距離攻撃を続けながらじりじりと間合いを詰めていく事を選んだ。
Aldaの『Pile of Law』は、当たれば神なら抵抗不能、解除不能のDivine Authority。God of LawとしてのAldaの権能を形にしたものだ。
しかし、本来はWeapon Equipmentではない。罪人を裁き、罰を与える司法の働きを象徴するDivine Authorityであって、戦争で敵に振り下ろす剣でもなければ、敵を射る矢でもない。ただ、AldaがWeapon Equipmentとして無理やり使っているだけだ。
その証拠として、『Pile of Law』のリーチは短い。杭の形状をある程度変えられるので、槍のように伸ばして補っている。しかし、槍の穂先のような鋭さや、Weapon Equipmentの丈夫さが備わっていない。
Vandalieuが放った【Death Bullet】や【Demon King Fragment】の弾丸が命中すると、容易く欠けて砕けてしまう。magicや投擲物は神ではないので、『Pile of Law』の効果が発揮されないのだ。
『くっ! 時間を与えず、近付けもさせないつもりか! ならば受けてみるがいい!』
だが、形状が杭であるため投げ槍のように投擲する事自体は可能だ。
『当たる訳がないでしょう、そんな攻撃』
しかし、可能である事と速く鋭い事はイコールではない。そして、やはり当たらなければ意味が無い。Aldaが投擲した杭は、midairで撃ち落とされてしまった。
AldaにもしWar Godとしての権能があれば、武術の神としての側面があれば、こうはいかなかっただろう。たとえ杭でも、槍や短剣や投擲Weapon Equipmentとして優れた技で巧みに操り、Vandalieuに命中させたに違いない。
だが、Aldaは『God of Law and Life』であり、Demon King Guduranisを打倒したのも『Heroic God』Bellwoodを始めとしたChampion達とされているため、戦いに関する権能と側面は無い。つまり、戦い自体は不得手。Aldaは力とVitalityに溢れた裁判官であってWarriorでもSoldierでもない。
『Pile of Law』はVandalieuにとって、接近されなければ……そして接近されても不意を突かれなければ、そして何より当たらなければ脅威ではないのだ。
Mythの時代に色々と悪さをし、やり過ぎたZuruwarnやRicklentは、罰として『Pile of Law』を何度か受けている。だが、それは二柱が『Pile of Law』による罰を望んで受け入れたからだ。Great GodであるZuruwarnとRicklentは、Lambda worldから逃げる訳にはいかないし、悪さをしたら罰を受けるのは当然だと示す必要があった。
だからZuruwarnとRicklentは、another worldや時の彼方に逃げる-samaなことは最初からせず、罰を受け入れたのだった。
『Goddess of Life and Love』Vidaと『Evil God of Sinful Chains』Jyarodeeps等が『Pile of Law』を受けていたのは、Vidaは既にBellwoodに傷つけられて動けないconditionだった事と、彼女もまたWarriorとしての権能や側面を持たないGoddessだったから。JyarodeepsはBellwoodをChain of Sinsで眠らせていた事で、動きが取れなかったからだ。
certainly、そう言えるのはVandalieuだからこそだ。Great GodであるAldaの力は絶大で、技は無くてもHumanにとっては圧倒的な存在だ。
weak Evil God (M) Evil God (P)や、並みのSClass adventurerでは「脅威にならない」なんて言っている余裕はないだろう。
Vandalieuが撃ち込んだbloodの塊はHeinzに切り払われても、【Blood Infection】に戻って彼等のflesh and bloodを魂と共に食い尽くそうとする。Delizahも間に合わず、このままではAldaがこれから提案する最後の手段が実行に移される前に、Heinz達は敗北する事になるだろう。
『そもそも、何故俺を『Pile of Law』で攻撃しようとするのです? 俺はお前にとってDemon Kingであって神ではないのでしょう? お前の認識通りなら、当たっても意味はないはずです』
『Shut Upっ! そう思うなら受けて見せろ!』
『……断ります』
Vandalieuとしては遺憾だが、『Pile of Law』は彼に効果を発揮するようだ。そうでなければ、【Danger Sense: Death】に反応しない。
そして、Aldaは何らかの方法かconjectureに則って、Vandalieuに『Pile of Law』が効くと確信しているようだ。ただ、神とは認めていない。
Vandalieuは新たなDemon Kingであり倒さなければならない存在であるとし、神とは認めていないAldaが神にしか効果のない自らのDivine Authorityで彼を狙い、自らを神ではなくHumanであると主張するVandalieuは『Pile of Law』を受けまいとする。
見ようによっては滑稽な攻防だと言えるだろう。
『致し方ない……! 任せるぞ!』
Heinzの後ろで、Aldaはそう言いながら懐にendureばせた何かから杭を引き抜いた。
『がっ! ……お任せ下さい!』
『Vandalieu……貴-samaのせいで我はぁぁぁ!』
その途端、強大なsignと強いManaを発するDeath Scytheを構えた神と、穂先が氷で出来た槍を振るう神が現れる。
『氷の方は、Yupeonでしょうか? 態々俺の前に現れるとは思いませんでした』
『Death Scytheを構えている神は『God of Judgement』Niltarkです、偉大なるVandalieuよ』
なんと、Aldaはもしもの時の予備戦力としてNiltarkとYupeonに、自らと同じ-samaに杭を打って封じたconditionで連れて来ていたのだ。
『Pile of Law』はもはや罪を犯した神に下す罰としての権威は無くなり、完全に戦いの為の道具になってしまったようだ。
NiltarkはVandalieuが以前喰い滅ぼした『God of Records』Curatosと同じく、Subordinate Godの中でもAldaの腹心的存在であり、若い神や並のSubordinate Godよりも格段に大きな力を持っている。また、今は亡きEdgarが信仰していた神でもある。
『God of Ice』Yupeonも、『Goddess of Water and Knowledge』Periaが眠りにつき『God of the Seas』TristanがVida's Factionに加わってからはAlda's FactionのWater-Attributeの神の代表として、Semi Great Godに近い存在と目されてきた。また、結局本人はあまり使わなかったが、Champion Bellwoodに自らのSpirit Cloneを宿らせた槍を授けた。そして現代から約二百年前にはMirg Shield NationのHero Mikhailがその槍を愛用するなど、God of Warriorsとしての逸話も持っている。
二柱とも全体的な力の大きさではAldaよりずっと下だが、戦闘技術ではAldaを上回る。
「Adventっ!」
そして、GhostとDemon King Familiar相手に立ち回っているDelizahもここが切り札の切り時だと判断したのだろう。盾に宿っていたNineroadを自らの体にAdventさせた。
やっている事はHeinzと同じで、やはりHeroic spiritとSemi Great GodのNineroadでは体にかかる負荷の大きさが段違いであり、寿命を縮めてでもしばらくはAdvent conditionを維持するだろう。
『Gufadgarn……予定通りに』
大幅に戦力をAugmented (2)するHeinz達に対して、Vandalieuはそう言い残すと正面からPierceした。
『■■■■■―!!』
【Hell Scream】skillで聞く者のMentalを苛む絶叫を轟かせながら、Heinzに向かって突っ込むVandalieu。それをさせまいと、NiltarkとYupeonが立ちはだかる。
『行かせはせぬ! その罪を我が鎌で贖うがいいい!』
Niltarkは、Vandalieuが罪人である事を疑っていない。何故なら、AldaがVandalieuの行いを罪だと裁定したからだ。彼は善悪を量る神ではなく、罪を裁く神。あまりにもそうであろうとする故に、罪の判断基準をAldaに任せ過ぎている。
『God of Judgement』として以外の自分の在り方を全て、自ら否定するあまり、『God of Judgement』としての存在から外れただのAldaの走狗となっていることに、彼は気が付いていない。
『では、裁判官と執行人を皆殺しにして無罪放免を勝ち取るとしましょう。【Spiral抜き手】、【Whip Tongue】、【blood刃】』
ただ、Vandalieuにはそれを指摘して諭してやる義理も、悪法に従う理由もないので、暴力で押し通る。VandalieuはNiltarkが振るうDeath Scytheを、腕を蟹に似た鋏に変化させた手をHigh-Speed回転させて弾き、鑢のようなtongueで彼のSpirit Formと魂を削り、【blood vessel】を操作して刃状に変化させたbloodで切り刻もうとする。
『凍れえ!』
だが、Niltarkに届く前にtongueとbloodがYupeonに凍らされてしまった。
『貴-samaのせいで、我が寄る辺は最早ここのみ! 貴-samaさえ存在しなければ、Peria -samaもVida's Factionに与しなかった! 貴-samaがPeria -samaを狂わせたのだ!』
怒りと焦燥で歪み神とは思えない-sama相でYupeonが叫んだのは、責任転嫁も甚だしい主張だった。
PeriaはVida's Factionに付いた事を明らかにした後、己のSubordinate God達にAlda's Factionから離れて自らの元に来るよう促していた。それで、表向きはAlda's Factionに属していた『Goddess of Streams』Pargutalta以外にも、幾柱かのWater-Attributeの神がVida's Factionに集まっていた。
それに応じなかったのはYupeon自身だ。それまでの行いや、勢力内での立場によってPeriaの元に赴く事を選択できなかったとしても、それはYupeon自身の責任によるものだ。
何より、PeriaがVida's Factionを選んだのはPeriaの選択によるものであり、Vandalieuのせいだと糾弾されるいわれは彼にはない。
『お前との問答はSpirit Cloneで済ませました。お前は、敵です』
そして、凍り付いたtongueを自ら砕いたVandalieuは、Yupeonと話をするつもりもなかった。敵同士なのだから、殺し合いの最中に相手をProvocationする為の言葉を投げかけるのは珍しくないが、それ以上のcommunicationを取るつもりはない。
YupeonにしてもNiltarkにしても、降伏するなら話は別だが……手っ取り早い事に、二柱にはそのつもりは毛頭ないらしい。
『だから、お前達は俺が!』
そう語気も荒く叫びながら、猪武者の如く殴りかかろうとして――。
『――滅ぼさなくても別にいい相手です』
音もなく、魂を他の……少し前にHeinzに向かってProjectile Fireして砕かれたbloodの塊から変化させたDemon King Familiarに移動させる。
二柱の前に残されたのは、中型犬程の大きさの蟲型のDemon King Familiarだけ。
『【Death Flame Prison】』
『『なっ!?』』
そのDemon King Familiarも、二柱の神を巻き込んで自爆する事で掻き消えた。
『お、おのれっ!』
『逃が-sanっ!』
しかし、腐っても神。小さなDemon King Familiar一匹の自爆では、軽い火傷程度のDamageしか負わなかった。爆発の名残である煙を引き裂くようにして散らし、すぐにVandalieuを追おうとする。
「逃が-san? それはこっちのセリフよ!」
『おおおおおおおん!』
『死ねえええええ!』
だが、煙から出た二柱の神の前に、先程までここにはいなかったはずの強敵が立ちはだかった。
『なんだと!? 貴-samaらは、Aldaの策によって各地に散っていたのではなかったのか!?』
EleonoraがNiltarkに、KnochenとBone ManがYupeonにそれぞれfangsを剥く、彼らにとってEleonora達が増援として現れるのは想定外だった。
何故なら、『Five-colored blades』と戦い始めた後もVandalieuは自身とGhostとGufadgarn以外の戦力を呼ばなかったからだ。
だから増援を呼べない理由があるか、呼ぶ意思がないのだと思った。
しかし、VandalieuがEleonora達を最初から呼ばなかったのは、Heinz達を極度に警戒していたからに過ぎなかった。
戦う前から圧倒的な戦力を揃えたら、またNineroadの力で逃げ出して、Boundary Mountain Rangeの内側で追いかけっこをするfeather目になるかもしれない。
Bellwoodの力を全力で振るって、想定を超える被害が出るかもしれない。
また、Bellwoodの元に戦力を集中させた後で、Aldaや彼に従うGodsがOrbaumの各地にAdventして暴れ回るという自爆テロを行う事も考えられた。
しかし、その心配は既にほぼ無いと判断したので、念の為の戦力を残してここに援軍を呼んだのだ。
「散っていたけど、ここにAldaがいるじゃない? ならもう手下の神に命令するのは無理だから、警戒する意味が無いとVan -samaは判断されたのよ!」
『Vampire風情がっ! 我らのLoyalty心を愚弄するか!』
NiltarkはDeath Scytheを振り回し、Eleonoraはそれをbarelyで回避する。【Familiar Spirit Demonic Advent】でVandalieuのCloneを宿していなければ、四肢や胴体を何度か切断されていたかもしれない。
それぐらいEleonoraとNiltarkの力に差があるが、Emotionalに追い詰められているのはNiltarkの方だった。
「あら? だったら主神とそのHeroの危機にもっとGodsが馳せ参じたり、各地にAdventしたりしてあたし達を各地に釘付けにしようとしないのは何故かしら?」
『きっ……貴-samaぁぁぁ!』
怒りでNiltarkの攻撃の激しさは増すばかりだが、その分動きが大振りになり隙が大きくなる。そして何より、視野が狭まる。
EleonoraはNiltarkの怒りに満ちた瞳に映っているのが自分だけである事に、満足げな笑みを浮かべた。
『うおおおおっ!?』
『おおおおおおおん!』
一方、YupeonはKnochenとBone Manの激しい攻勢に翻弄されていた。
『同胞の、Knochenの仇! ヂュオオオオ!』
『ぬううう! 訳が分からんことを! 凍りつくがいい!』
Talosheimの王城の地下でかつて戦ったOrichalcum Dragon Golem。それに刺さっていたYupeonのSpirit Cloneが宿っていたArtifact、Ice Age。そのせいでBone Monkey、Bone Wolf、Bone Bearは倒れ、Bone BirdとFusionする事でKnochenとなったという過去がある。
その為、Yupeonは彼らにとって仇なのだが、YupeonはIce Ageに宿らせたSpirit Cloneの言動を把握していなかったので、その辺りの事情を知らない。
しかし、いくら凍らせても、そして砕いても一向にDamageを受けた-sama子の無いKnochenの圧倒的な物量攻撃。そして、それに紛れて繰り出されるBone ManのBone Bladesによる斬撃に劣勢を強いられている彼に、悠長に事情を聴き出す事や、背後のHeinzとAldaの援護に力を割く余裕は無かった。
『【All Devouring Death Omen Disaster Capital】』
その隙に、逆転の手を打つ為に集中しているHeinzに攻撃を仕掛けるVandalieuだったが、その前にDelizahが立ちはだかった。
『【Bright Divine Shield Wall】! 【輝Divine Steel体】! 【真・Super Provocation】! ここは通さないぃぃぃ!』
まだDaianaがかけた付与magicが効いているのもあるだろうが、Semi Great GodのNineroadをその身にAdventさせて得た力は大きく、Vandalieuの敵意をMartial Artsで捻じ曲げて攻撃の目標を自分にし、その上で渦となって迫るBlood Infectionに耐えている。
『あのDwarf、なんてタフさだ!』
「陛下、私達も攻撃に加わるのでManaをお願いします!」
「でも、陛下-kunも実は余裕が無かったりするんじゃない!?」
「ああ、しまった!? 大丈夫ですか、陛下!?」
OrbiaとPrincess Leviaが言う-samaに、いつものVandalieuならそろそろManaの余裕が無くなってくる頃だ。彼がどれほど強大なManaの持ち主でも、回復する以上に大量のManaを消費し続ければいずれ枯渇する。
『いえ、Manaの余裕はあります。自分でも妙だと思う程に』
しかし、この時VandalieuのManaはまだまだ残っていた。Guduranisを更に喰らった事で一千億増えたが、それ以上にManaが溢れてくるのだ。
だから、彼女達にManaを分け与えてDelizahに一斉攻撃をする事も可能だ。
『でも、その必要はもうありません』
「かはっ!」
Vandalieuがそう言い終わると同時に、Delizahが短く咳き込んだと思ったら、吐bloodすると同時に顔中の全ての穴からbloodを吹き出させて膝を突いた。その体から、急速に輝きと覇気が消えていく。
Heroic spiritをAdventさせる事を可能にした彼女だったが、Semi Great GodのNineroadを長時間その身にAdventさせられるまでには至っていなかったのだ。
だが、彼女が稼いだ時間は無駄ではなかった。
『【God of Law and Life Advent】!』
なんと、HeinzがBellwoodをその身にAdventさせたまま、更にAldaをAdventさせたのだ。
生前のBellwoodすら実行しなかった危険な手。それは、Great Godのx2 Advent。AldaだけではなくVidaもその身にAdventさせ、強大な力を得るという方法だった。
今はVidaではなくHeroic GodとなったそのBellwoodとAldaで行っているが、BodyとMentalにかかる負担は凄まじい。Heinzが【Heroic spirit士】となり、神のFollowersをAdventさせるのに適したBodyとMentalになるJob効果を得ていなければ、一瞬で廃人になっていただろう。
『おおっ!』
『これこそ、真のChampionの姿!』
Heinzがwhole bodyから発する強大な神のsignとLight AttributeのManaに、YupeonとNiltarkが思わず振り返り動きを止める。
強大なManaと異-samaな存在感にはVandalieuで日頃から慣れ親しんでいるEleonoraやKnochenも、思わずたじろいでしまい二柱の隙を突く事が出来なかった。
「ありがとう、Delizah。もう十分だ、下がって――」
そしてHeinzは立つ事も出来ない-sama子の仲間を労い、前に出ようとする。
「【World Breaker Hollow Cannon】」
「っ!?」
そして、Delizahだった存在の手から撃たれたManaの奔流に飲まれて吹っ飛んだ。
『Delizah!?』
ボロボロになった盾に戻ったNineroadが驚いて名を呼ぶが、それに応じるのはDelizahではない。
「違います。俺は、Vandalieuです」
bloodに塗れた女Dwarfの瞳には光が無くなっていた。