このMountain Range……正式名称はBoundary Mountain Rangeと言うらしい。Amid EmpireとOrbaum Elective Kingdomの境界ではなく、Humanとmonstersのworldの境界という意味なのだとか。その由来通り、このMountain Rangeはほぼ未踏の地でそこかしこにDevil Nestsが存在する。そのため、この規模で通りかかるとmonstersが獲物だと思って襲い掛かってくるのだ。
ただ、Devil Nestsを避けて道を作りながら進んでいるため、襲い掛かってくるmonstersはDevil Nestsの外周部に生息している、そのDevil Nestsでもweak部類のmonstersとなる。
「hedgehogのような狼を倒したぞ!」
「初めて見るmonstersね。美味しいのかしら?」
「うまそう、うまそう」
その上、何百人ものGhoulに襲い掛かる危険が理解できない程知能の低いmonstersなので、襲い掛かってくる端から返り討ちにされ、新鮮なflesh and bloodを食料として、furを防寒具の材料として提供していた。
最近Orc肉も減って来たので、実に助かっている。
ただ、やはり大物が襲撃してくることも時々ある。
「Wyvernの群れだ!」
この日は、上空からWyvernの襲撃を受けた。前足が翼に成った、竜種の中で最も下位のmonstersで他のDragonと比べて知能が低いため、亜竜と呼ぶべきではないかと学者たちが論争しているmonstersだ。
Breathを吐いたりmagicを使ったりはしないがFlight Abilityに優れ、鋭いfangsと爪を見た目通りのAttack Powerで振り回すRank5のmonstersだ。
翼さえ封じればRank4相当だと言われているが、ここは標高二千meter以上(推定)のMountain Rangeだ。どう考えても地の利は向こうにある。
更に知能が低いとは言え動物としては頭が良い部類なので、-chanと襲撃前に仲間を集めて群れでやって来て、狙うのも行列の最後尾や、守りの薄い所なので中々厄介だ。
今回の群れは五頭。中々難儀な数である。
「ガアアアアア!」
Ghoul独自の戦闘言語による号令で、Warrior達が一斉に矢を放ち、女達がそれぞれ攻撃magicを放つ。
しかし生活していたのが密林で、しかも獲物がこちらを餌にしようと接近して来るmonstersばかりだったGhoul達は、実は遠距離Attack Powerが、比較的低い。
バスティアを含めて【Archery】skillを持っているGhoulも少なくないが、あまりlevelが高くないのだ。
「グエエエエエエエ!」
「ギャオオオオオオオン!」
そんな時頼りになるのが、Rank4のSpecter BirdにRank upしたBone Birdだ。
Rank4に成長し、【Strengthen Follower】skillでEnhanced (1)されたBone Birdは、Wyvernでも油断できる相手ではない。それをInstinct的に察したのか、五頭の内二頭がBone Birdに向かって行った。一頭で抑えるよりも、二頭で手早く倒す事にしたのだろう。
動きを止めたら機動力という最大の強みを無くしてしまうので、それで正解だ。
しかし……。
『シャアアアアアアアアアア』
獲物やBone Birdに気を取られたWyvern達に近づいた、透明な使い魔『Lemure』が消滅と共に強烈なbloodthirstを放った。
「ギャオ!?」
「ギュギイイ!?」
野生の生存Instinctを刺激するbloodthirstに、Wyvernは混乱した。五頭中三頭は即座に身を翻して逃げ出そうとし、二頭は動きを鈍らせた。
「あの二匹だ!」
「ニクウウウウウウ!」
動きが鈍った二頭に、矢とmagicが殺到する。機動力を奪われたWyvernはただの的に過ぎず、scaleもGhoul達のMysterious Strengthで放たれた矢やmagicを防ぐほど強固ではない。
更に逃げる事を優先し無防備な後姿を見せたWyvernに、Bone BirdがSpirit Formの翼をProjectile Fireしclawsで首を切り刻む。
「ギャオオオオオオオオォォ……」
山肌に三頭目が墜落し、残り二頭は更に焦って逃げて行く。それに向かってVandalieuは手を向けたが、結局何もせずに手を降ろした。
「VanはManaを節約しなければならないから、Lemureを使ってくれるだけで十分だ」
『この大移動は、Bocchanが倒れると詰みますからな。御自愛ください』
「うん、分かってる」
death attributeのManaで揚力は消せるのか否か試してみようかと思ったようだが、道を作るVandalieuがMana切れで倒れると回復するまで進めないし、そのconditionで崖崩れでも起きたら大変だ。なのでこのMountain Range越えの間、Vandalieuは普段よりもずっとManaの量を気にしなければならない。
大自然の前には、一億と一千万少々のManaでも足りないのだ。
「それに、お肉はもう十分だと思うわ」
馬車のcarriageから若い女Ghoulが顔を出して言った通り、三頭のWyvernはGhoul達の今日の疲れと飢えを癒す、十分な糧に成ってくれる。最下Classとはいえ竜種なので肉は美味くて滋養があり、内臓はAlchemyの素材にもなるがそのまま食べれば精が付く。
更にscaleやbone、epidermisはDefense Equipment、fangsや爪はWeapon Equipmentの材料に成る。
「でも五頭の内三頭も倒しちゃうなんて……Adventurer’s Guildに持って行ったら暫く遊んで暮らせるわよ」
「Katia -sanなら出来ますか?」
「無理。一頭でも御免だわ」
そう言って首を振るKatiaは、Bubobioに捕まり彼の所有物にされた女adventurerだったGhoulだ。Noble Orcは個体としての力が強い分Orc程Breeding力が高くないので、幸いな事に妊娠せずにBasdia達に助けられ、Ghoul化の儀式を受けた。
「どうせguildではあたし達は死人扱いだろうし、monstersに慰み者にされた女扱いを受けるよりもいっそ、Ghoulに成った方がマシよ。どうせfamilyもいないし」
当時はEmotionalに壊れていたが、最近はそう言えるほどには回復していた。ただ、それでも軽度のmale horror症があるらしく、それで彼女はSamのcarriageに乗っている。
Vandalieuはchildで、SamはUndeadだから大丈夫らしい。
WyvernをDismantlingするために足を止め、上空をBone BirdとLemureに見張らせる。
こういう厄介な襲撃が一日一回はあるのが、このMountain Range越えの過酷さを表している。並のadventurerなら数日と持たないだろう。
Vandalieuだって莫大なManaと高山 Diseaseを防ぐ【Abnormal Condition Resistance】skillが無ければ、とても持たなかったはずだ。
だが、monstersの襲撃は新鮮な食料を得る機会でもある。
しかし次の問題は複雑だ。
「ぎゃっ、……ぎゃぁあああ!」
「うー、キャウゥンッ!」
足を止めた馬車から、ヨチヨチ歩きの黒いGoblinのchildが降りようとして転んで泣きだし、それに驚いた黒いKoboldのchildも泣きだす。
「あ、コラっ、ダメでしょ、馬車から出ちゃ」
「何? お腹すいたの? 食いしん坊だねぇ」
GoblinとKoboldのchildをそれぞれ別の女Ghoulが抱き上げると、授乳を始めた。そう、彼女達はあのGoblinとKoboldの母親だ。
Vandalieu達がNoble Orcの集落を襲撃し、助け出したGhoulの女達の多くは妊娠していた。まあ、そのために彼女達は囚われていたので、当然といえば当然だ。
そのためVandalieuはそれとなく、Death-Attribute Magicで体が受けるimpactを最低限に抑えた堕胎が可能だと伝えたのだが、何と彼女達はその申し出を拒否したのだ。
「産まれた時から儂らが世話をすれば、儂らに従うようになるからの」
そう言う事らしい。平時は態々自分の胎を使ってまでGoblinやOrcのchildを手に入れるような真似はしないが、このような非常時では失った群れの数を間に合わせるため堕胎しないらしい。
囚われていた女Ghoulの群れは男が全滅しているので、その分の労働力を補おうというのだろう。
因みに、産まれたGoblinやKobold、Orcのchild達は全員肌やfurが黒かった。通常ならGoblinの肌は緑で、Orcの肌は薄いpink。Koboldのfurは黒の場合もあるが、それでも全て黒なのは妙だ。
その原因は、conjectureだがVandalieuのManaだろう。
Devil Nestsを出た事で折角産むと決めた胎児にimpactがあってはいけないと、Vandalieuは妊婦達がDevil Nestsと同じ環境で休めるようにと、濃密なManaを彼女達と胎児に【Mana Transfer】で与えていた。
その結果、胎児はDevil Nestsと同じpaceですくすくと成長し、元気に産まれて来た。何故か黒くなって。
別にそれが悪い訳じゃないし、不吉だ何だと文句を付けるつもりも無い。しかし念のために【Appraisal】で調べてみると――
【Black Goblinの赤子】
【Anubisの赤子】
【Orcusの赤子】
っと、GoblinとKoboldとOrcの赤ん坊は表示された。
何故か新種だった。
「これはどういう事だろう? 教えてダーウィンsensei」
「それは誰だ、Van? Originというworldにいた酷い科学者か?」
「いえ、another worldのとても偉い昔の人です」
新種のmonstersをうっかり作り出してしまったVandalieuは遠い眼差しで天を仰いだが、幾らなんでも聞く相手を間違っているだろう。
「まあ、いいんじゃないかの? 普通のGoblinより賢そうじゃし、普通のKoboldより力が強そうじゃし、普通のOrcより大人しそうじゃ」
「気にするな、男は女達が産んだ子を鍛えさえすればいい。我はそうだった」
「ああ、私もVigaroから鍛えられた事しかないぞ」
Zadirisは新種が産まれた事も深く気にしてはおらず、VigaroとBasdiaはGhoulの男とchildの関係を教えて、気にしない方がいいぞと助言する。
まあ、実際気にしても今更どうにもならない問題なのだが。もう、妊婦全員にManaは譲渡してしまったし。
『思い出すわぁ、Vandalieuにもああやってお乳をあげたのよね。最初は少し遠慮して、でもすぐ夢中になって飲んでたっけ……』
「あ、あのっ? この子急に悶え始めたんだけど!?」
『大丈夫ですよ、Darcia -samaがBocchanに母乳を上げていた頃の事を思い出して、それを聞いたBocchanが耐えきれずに悶えているだけですから』
『Bocchan、Bocchanはまだchildなんだから照れなくていいんですよ、自信を持ってください』
Darciaが見えないKatiaが突然声も無く悶え始めたVandalieuに驚くが、姿が見えるRitaとSalireにとってはもう日常の一風景である。
Katiaと同じようにDarciaが見えないはずのZadiris達も、もう驚きもしない。
そう、ベビーラッシュの問題とは、Darciaが当時の事を思い出す事でVandalieuの羞恥心が刺激されて耐えられず、苦しむ事だったのだ!
ただそのベビーラッシュももうすぐ終わる。流石monstersのBreeding力と言うべきか、もうすぐ囚われていた女Ghoul達の出産は終わる。それから一月もすれば、成長の速いmonstersのchild達は乳離れを迎える事だろう。
「Vandalieu、お腹の子が男の子だったら本当にname貰ってもいい? 濁点が二つで、丁度縁起がいいのよね」
妊娠約七か月の大きなお腹のBildeを見れば分かる通り、その後Bilde達Ghoulの子を妊娠した女Ghoul十人のお産が待っているのだが。
因みに、Ghoulの成長paceはHumanと同じらしい。
「これ、少子化問題が解決したら年単位で続くのか……」
霊のDarciaはMemory力が壊れているので、切っ掛けがあれば同じ話を何度でも繰り返してしまう。もう、自分が慣れるしかないのかと、Vandalieuの目は益々遠くなった。
そして最後の問題の介護とは、Devil Nestsを出た事で体調を崩したGhoul達の世話だ。diseaseに成らない-samaにして、気を配っている。特に弱っているのはTareaだ。
「うう、申し訳ありませんわ、Van -sama」
思わず「それは言わない約束でしょ、おとっつぁん」と返したくなるくらい、Tareaは老け込んでいた。
Devil Nestsに居る間はとても元気だったのだ。住処を移すのにも乗り気だったのだが、Devil Nestsを出ると急に体も心も弱ってしまった。
「情けないのぉ、元気を出-sanか」
「くぅっ、私よりも老齢の筈のあなたが元気いっぱいなのが不自然なのですわっ」
やはり寄る年波に原因があるらしい。しかし、ZadirisはVandalieuによって十代半ばの、見た目通りのageに【Youth Transformation】されている。Ghoulのrace的な特性で、見た目は変わらないため誰も気がつかないが。
「けほけほっ、折角 Wyvernの素材が手に入りましたのに。Humanだった頃少し触っただけの、憧れの素材でしたのにぃ」
「新しいDevil Nestsに着いたら、すぐ元気に成って武具を作れるようになるよ」
そう慰めながら背中を摩り、Tareaに死相が見えないかどうか確かめるVandalieuは、いよいよと成ったら彼女にも【Youth Transformation】を使うつもりだった。
変な噂が流れるぐらいでTareaが元気に成るなら安い物だ。
「ありがとうございます、Van -sama。でも私だけではなく、あの子も見てあげないと」
そうTareaが指すのは、すぐ近くで横に成っているLife-deadだ。Lucilianoが放棄したLife-deadは、鼓動と呼吸以外の行動を一切しない、まさに生ける屍のconditionであるため他人が世話をする必要がある。
Life-deadは魂が無いという意味でUndeadの一種だが、body partは生きているので食事を取らなければ餓死するし、不衛生にしていればdiseaseにかかるし、寝かせたまま放置しておくと床擦れを起こす。
いくら魂が無くてもそんな扱いをするのは見ている側の心によくないし、そのLife-deadの体内に宿る胎児に悪impactを与えかねない。
Life-deadの中にはNoble Orc Bugoganが孕ませ、その後Vandalieuがmonstersの因子を薄くし、Life-deadにされた死体の霊を宿らせた胎児が今も育っている。
確か妊娠二か月程だが、既に若干お腹が膨らんでいるように見えるのは残ったNoble Orcの因子が原因か。
「……まあ、WyvernのDismantlingにはしばらくかかるだろうし」
よっこいせと、VandalieuはLife-deadを敷物ごとTareaの隣に運んだ。細い手足の何処にこんな力がとKatiaが声も無く驚いているが、彼も【Mysterious Strength】のskillを持っている。既にMuscular Strengthは平均的な成人maleを上回っているため、これくらいはmagicを使うまでもない。
周りにいるのが生まれつき【Mysterious Strength】skillを持っているGhoulと、Undeadばかりだったためつい二か月前までHumanだったKatiaぐらいしか驚かないだけだ。
「今日は何を話そう……そうだ、これから行くDevil Nestsで何をするのかにしよう」
そしてKatiaが驚いている事に気がつかないまま、VandalieuはLife-deadに、accurateにはお腹の胎児に話しかけた。
Earthのtelevision番組で、胎児に話しかけると胎教に良いとやっていたからだ。確か、Geniusはいかにして産まれたかという、海外のドキュメンタリーだったと思う。
EarthでVandalieuに異常なほどluxuryを禁止した伯父だが、彼の基準でluxuryではない事に妙な事に寛容だった。お蔭で常にではないがtelevisionも見られたし、netもする事が出来た。……その基準も日々変動したので当時から油断できなかったので、感謝の念はfragmentも湧かないが。
Devil Nestsに着いたら廃墟に成っている町の一部を修理して、肉が美味い魔獣を探して、後Public bathhouseの跡があったら修理して湯船に浸かりたいとか、今度こそ胡桃やドングリを発酵させて味噌っぽい物を作りたいとか、そんな前世以前の恨みは出さずに明るい将来の展望を語り始める。語り過ぎてanother worldの知識が洩れていて、Katiaが「み、ミソ?」と小首を傾げているが、やはり気がつかなかった。
「なんだかこうしていると、私達まるでfamilyのようですわね」
「……どんなfamily構成なのよ」
微笑みながらそう言うTareaにKatiaが突っ込みを入れる。パッと見て三人ともraceが異なるのが分かるが、それを無視すれば、『身重の母(Life-dead)を見守る姉(Tarea)とageの離れた弟(Vandalieu)』だろうか。
「む、Tareaめ、私に先んじてVanとfamilyとは」
「はっはっは、気にするな。きっと坊や's ancestor母にでもなったつもりなのじゃろう」
「聞こえていますわよっ! うう、Van -sama、私より三十以上も上のZadirisが苛めますの~」
「はいはい、皆familyですよー」
こうしてVandalieu達のMountain Range越えは、彼のMana管理をしっかりしたお蔭で順調に進んでいた。
《【Engineering】skillを獲得しました!》
五月の半ばを過ぎ、Earthなら人々がゴールデンウィークを楽しく過ごし終わって、その余韻も抜けて来た頃Vandalieu達はMountain Rangeを越え目的の廃墟Devil Nestsの前に辿り着いた。
廃墟Devil NestsがあるMountain RangeとMountain Rangeの間は盆地に成っていて、横断するのに歩きだと三日くらいかかりそうだ。きっと、廃墟に人がいた時はここに田畑が広がっていたのだろう。
「ここまで来るのに約三か月。Orbaum Elective Kingdomに行くには、もう一度超えなければならないから更に三ヶ月かかるとして……Mirg Shield Nationが討伐隊を派遣してこなくても、途中で一年ぐらいは過ごしたかも」
「いや、VandalieuとSam達だけなら、もっと早かったと思うぞ」
もうすぐ三ageに成るVandalieuは、まだ遠いOrbaum Elective Kingdomへの道のりを想ってまだまだ大変だなと息を吐いた。
そしてこれからが本番だと気合を入れ直す。
これからこの廃墟Devil Nestsに入り、Ghoul達が暮らせるように皆と協力して頑張らなければならないのだ。
そうしてVandalieuが見上げた廃墟Devil Nestsは、見ただけで新人adventurerなら怖気づきそうな異-samaを晒していた。
高く堅牢だった石作りの城壁は所々崩れ、若しくは樹木に浸食されている。その向こうに見えるかつての町には幾つもの廃墟がその無残な姿を晒していた。
そして未だに高くそびえる白い城は、何処か白bone死体を連想させた。
しかしそれ以上に不気味なのは、人のいない廃墟でありながら濃密なsignが漂っている事か。風も無いのに木々のざわめきが聞こえ、耳障りな鳴き声が響く。
それらの音を出している存在が、生物であるとは限らない事を考えれば背筋も凍る。
この廃墟Devil Nestsには確実にZadirisやDarciaにとっても未知のmonstersが何種類も存在する。そしてその中のいくつかは高Rankのmonstersかもしれない。
Undeadが多いのは確認したが、それが全てとは限らない。もしかしたら、Dragonが生息しているかもしれないし、危険なDungeonが発生しているかもしれない。
そんな場所でこれからGhoul達が暮らせるように、集落を作り食料や物資の供給源を見つけなければならない。
一応虫Undeadを使って偵察はしてあるが、やはり虫のcompound eyesを通して見たのでは分からない事も多いし、monstersに潰されたのか突然反応が無くなる虫Undeadも居た。
これから自分の目と耳で、危険な未知のworldに挑まなければならないのだ。
「Super Excitingしてきた」
未知へのAdventureは、Vandalieuを怖気づかせるどころか胸を高鳴らせた。
Earth、Originと狭いworldを生きていた彼は、未知の土地を訪れる度に楽しみを見出してきた。討伐隊から逃げる為というここに辿り着いた経緯は気に入らないが、それでも目の前に広がる新しいworldが色褪せる訳ではない。
「では……今日は廃墟からやや離れて野営という事で」
「皆よ、野営の準備にかかるぞ!」
「見張りを立てろ! Devil Nestsの近くだ、油断するな!」
っと、野営の準備に取り掛かる一行。
未知のAdventureが待っているからこそ、体調とManaは万全にしておくに限るのだ。
因みに、ベビーラッシュを終えた一行は六百人に迫る数に成っていた。
Orcは一回の出産で基本的に一人しか産まれないが、GoblinやKoboldは一回の出産で三つ子が産まれるのが基本で、それは他raceの女の胎を借りても同じだったからだ。
そして産まれたBlack Goblinは約五十匹、Anubisは約百匹、Orcusは約六十匹。
既に全体の数だけならBugoganの集落を超える勢力に成りつつある。
「きんぐ、べんきょうおしえろ」
「きんぐ、きんぐ、ヘンなホネひろった! やるっ!」
「ふご? きんぐ、ちぢんだ?」
そして生まれたchild達はdeath attributeのManaを胎児の頃から受けていたimpactか、それとも単に親に倣っているのか、Vandalieuに懐いていた。
それはVandalieuも嬉しいのだが……
「NobleとGhoul Kingの兼業って出来るかな」
生後二か月ほどなのに既に自分より大きく成長したOrcusを見上げて、そう呟くVandalieuだった。
・Name: Vandalieu
・Race: Dhampir(Dark Elf)
・Age: 二age十一か月
・Title: 【Ghoul King】
・Job: none
・Level: 100
・Job History: none
・Ability Values
Vitality: 48
Mana: 113,807,904
Strength: 42
Agility :17
Endurance :47
Intelligence :89
・Passive skills
Mysterious Strength:1Lv
Rapid Healing:2Lv
Death-Attribute Magic:3Lv
Abnormal Condition Resistance:4Lv
Magic Resistance:1Lv
Dark Vision
Mental Corruption:10Lv
Death-Attribute Charm:3Lv
Chant Revocation:1Lv
Strengthen Follower:4Lv(UP!)
・Active skills
Bloodsucking:3Lv
-Surpass Limits-:3Lv
Golem Transmutation:3Lv
No-Attribute Magic:1Lv
Mana Control:1Lv
Spirit Form:1Lv
Carpentry:1Lv(NEW!)
Engineering:1Lv(NEW!)
・Curse
Experience gained in previous life not carried over
Cannot learn existing jobs
Unable to gain experience independently
・Monster explanation: Black Goblin
death attributeのManaに胎児の頃から浸り続けたために誕生した、新種のGoblin。基礎的なRankは2。
Ability的にはGoblinの上位互換で、全てのAbility ValuesでGoblinを上回る。生まれつき【Dark Vision】や【Abnormal Condition Resistance】【Enhanced Agility】のskillを持つため、完全な暗闇でも昼間のように行動でき毒やdiseaseにも強く、更に素早い。
また通常のGoblinよりも頭が良く、Kobold並みの知能を持ち教えられれば全ての個体が武術系のskillを習得し、Martial Artsを使う事が可能。
更に寿命も通常のGoblinが二十年ほどで寿命を迎えるのに対して、倍以上生きる可能性がある。
ただしBreeding力とlibidoだけはGoblinより劣っており、Goblinよりも【Breeding】や【Peerless Vigor】のskill levelが低い、若しくは持っていない場合もある。childが成長するために必要な時間も長い。
通常のGoblinはDevil Nestsで生息している場合生後一か月で大人になるのに対して、Black Goblinは半年が必要だ。
姿は通常のGoblinより一回り以上大柄で、nameの通り黒い肌をしている。尖った耳と吊りあがり気味の目等Goblinと共通する特徴も多いが、若干Humanに近い容姿をしている。
raceとして生まれたばかりなので、どのような上位種が存在するのかは不明。
Adventurer’s Guildに証拠と共にBlack Goblinの存在を報告した場合、未知のmonstersの報告であるため多少の報奨金を手に入れる事が出来るが、現状は困難である。
・Skill explanation: Abnormal Condition Resistance
毒やdisease、CurseだけではなくFatigue、stress、睡魔、飢餓、窒息、痛覚等、conditionがベストコンディションではないと判断される全ての原因に対するresistance skill。ただし、Manaの消費やDamageを受けた事による傷にはNullification。
このskillを高levelで習得している者は、どんな悪条件であっても常に完全なconditionを保つ事が出来る。ただし、Nullificationに成る訳ではないので、限界は存在する。
このskillを持っているのはDark ElfやGiant race、RyuujinやMajin等のVida's New Races、若しくはmonstersで、殆どの所有者は生まれつき習得している。
習得後は何らかのStatus Effectを経験すれば、skillのlevelを上げる事が出来る。
ただし、生まれつきskillを習得していない者が後天的に習得するのは困難を極める。複数のStatus Effectに一定期間耐えた経験が必要だからだ。
Adventurer’s Guildのrecordによると、その方法は二種類。毒やdisease等のStatus Effectを一度に受け、そのまま耐える難行を行うか、それぞれのStatus Effectに対して個別にresistance skillを習得し、Abnormal Condition Resistanceにskillがintegrationされるのを待つかである。
recordでは前者の方法に耐えきれた者は存在せず、後者の場合は習得に十年より短い期間で至った者はいないとある。
尚、【Mental Corruption】skillのimpactはこのskillでは緩和できない。Mentalが汚染されているconditionが、その人物にとって正常だと認識されるためだ。