『Scale King』のsecondary nameを獲得し、広大なMarshlandsにReignする彼はその日も自分を崇める下僕からの奉仕を受けていた。

　百年以上も昔、彼はただのEARTH Dragonだった。

　竜種の一種であり、土attributeのDragonとして恐れられる存在だが、竜種の中ではやはり下等な部類だ。

　しかも、彼はMarshlandsに出現したDungeonで生まれたmonstersだった。ボスでも中ボスでもなく、ただ階層に生息しているだけのmonstersだ。

　周りに生息するのは自分と同格のmonstersばかりで苦労したが、ある日発生した大runawayで彼はDungeonから解放された。

　他のmonstersと共に外に出ると、そこには自分よりweak monstersが数え切れないほど生息していた。

　彼はそれを食った。襲って喰い、戦い、襲われて戦って、夢中で喰った。

　気が付けば、彼はRank upしていた。

　そして暫くすると、『Raging Evil Dragon God』Luvezfolの声を聞いた。

『貴-samaには素質がある。我を奉じるならばblessingsを与えてやろう』

　彼はLuvezfolの言葉に従い、blessingsを獲得した。そして更に暴れて喰らい、Rank７だった彼はRank１０のGreat Mud Dragonに至っていた。

　手足がヒレ状になり、頭と胴体はcrocodileに似たappearanceに成ったが彼は気にしなかった。monstersにとってRank upは喜びであり、それでformが大きく変わったとしても嘆く事ではないからだ。

　そして何時しか従うようになったLizardman達を従え目ぼしい強敵を喰い尽くした後は、『Scale King』としてReignする甘美な日々を過ごしている。

　食事はLizardman共が運んでくるし、それが少なければLizardmanを喰えば良い。

　自分では手が届かない背中のscaleをLizardmanに磨かせながら、集めた宝物を眺めながら微睡む。最高だ。

　自ら戦う事は無くなったが、LuvezfolもLizardman共に祈らせるようにしたら叱責するどころか、よりblessingsを強めてくれた。

　このまま何時までも時間が過ぎていくだけだと思っていたが、最近僕のLizardman共が騒がしい。従えていた群の内幾つかが言う事を聞かなくなったらしい。

　面倒だったので、『Scale King』は何もせずにそのまま眠りについた。

　次に目覚めた時、彼にもたらされたのは襲撃を受けているという知らせだった。

　この『Scale King』に逆らうとは身の程知らず共め！　喰ってやる！

　報告してきたLizardmanを朝飯代わりに喰い殺し、『Scale King』のsecondary nameを持つGreat Mud Dragonは巣穴から久しぶりに出たのだった。

　広大なMarshlandsで、大勢のLizardmanと、LizardmanとGhoulやUndeadまで含まれた連合軍が戦っていた。

　押しているのは連合軍側である。

『圧倒的ですね、我が軍は』

　久しぶりにGeneralらしい仕事をしているChezareに、「それはフラグだ」と突っ込む必要も感じない程、圧倒的である。

「圧倒的に成るようにしましたからねー」

　じっとりと暑い夏の日差しの下でも、相変わらず蠟の-samaに白い肌のVandalieuは応えた。

　二百年前Talosheimと不可侵条約を結んだLizardmanの群れを、当時交渉の時に使われていたのと同じ色の旗を持って探す事から始めたが、見つけてみると当時MarshlandsにReignしていたその群は、現在では全員で三十匹も居ない中小の群れへと転落していた。

　Humanの言葉を理解し文字が書けるような頭の良いLizardmanも居なかったため、Vandalieuが探索の過程で倒した敵対的なLizardmanをZombieにして、通訳を任せた。

　すると、何でもずっと前からこのMarshlandsには強いDragonがReignし、そのDragonにblessingsを与えた『Raging Evil Dragon God』Luvezfolを信仰するLizardmanの群れが、支配しているらしい。

　Lizardman達の話を聞いても、霊の話を聞いても、そのDragonが何処から来たどんな個体なのか要領を得なかったが、Marshlandsに適応した個体で、複数のEARTH DragonやRock Dragonを従えているらしい事は分かった。

　そして『Scale King』傘下のLizardmanの数は、何と三千匹を超えるらしい。

　敵側の群れはDragonの威を借りて幾つもの群れを傘下に収め、他のmonstersや魚を獲って生計を立て、Marshlandsに発生した二つのDungeonの内一つでWarriorを鍛えてその数を維持しているようだ。

　Lizardmanは素のconditionのRankは３だが、亜人型のmonstersの中では、Noble Orc等の上位種を除けば最も知能が高い。LizardmanのWarrior達は下手なmountain banditよりもpatience強く、冷静で、高い判断力を持つ。

　二百年前のTalosheimと不可侵条約を結んだ事も、彼らの知能の高さを表している。

　『Scale King』の群れにはRankの高いLizardmanも数多く居るそうなので、戦場になるのが足場の悪い Marshlandsである事を考えると、そのまま力尽くで征服するのは得策ではないだろう。

　特に、雑兵代わりの岩や木のGolemはすぐに沼地に沈んでしまう。

　では、頭が良く【Death-Attribute Charm】が効かないLizardmanを従える『Scale King』の群れをどうやって切り崩し、逆に自軍の戦力にする事が出来たのか。

　それは、圧倒的な力を見せつけた結果である。

『lizard共！　俺達に従うかこのまま死ぬか、どっちか選びやがれ！』

『オオオォォォォォン！！』

「早く選べっ！　我達は気が短いぞ！」

　Rank１０のZombie HeroのBorkusやRank８のUnion of BonesのKnochen、Rank７のGhoul TyrantのVigaroがbloodthirstと怒気をばら撒きながら恫喝する横で、通訳のLizardman Zombieが説得したり。

「ふふふ、手足を切断されるのは随分と苦しそうですね。殺して欲しい？　いえいえそんな、私共が欲しいのは皆-samaの命ではなく絶対的な服従のみ。

　どうか御一考を。頷いていただければ、あなた方の手足を元通り繋ぎ直して差し上げますので」

　Rank１０のBellmondが営業スマイルを崩さず、Lizardman Zombieの通訳と一緒に説得したり。

「俺達に、従え！」

「分からない連中ね！　Vandalieu -samaに降れと言っているのよ！」

「【Charming Magic Eyes】は使わないのか？」

「あれは視線を外した瞬間解けるから意味が無いのよ！」

　BragaやEleonoraやBasdiaが、群全員を半殺しにして実力の差を分からせたりした。

　monstersは基本的に自分達より強い存在にしか従わないので、引き抜き工作に使えるのは暴力的なBody言語のみだ。

「――――♪」

　中には平和的に、群全体に麻痺毒をばら撒いたVandalieuが延々歌を歌っただけの時もあったが。certainly【Scream】と【Mind Encroachment】を付けて。

　麻痺毒が解けた時、その集落のLizardman達は自分達がずっと以前から『Scale King』ではなくVandalieuの傘下にあると信じて疑わなかった。

　以上の工作をMarshlandsの外側に在った中小の群れに、二ヶ月程行った結果、千匹のLizardmanがallyに成った。……その過程で何故か、最初からallyに着いてくれたTalosheimに友好的だった群のLoyalty度まで急increaseしたが。

『これほどまでに一方的ですと、最初から力尽くで征服しても良かったような気もしますな』

「Chezare、それは流石に調子に乗り過ぎです。それにShashujaが哀しそうな顔をするから、止めて」

　冗談交じりに怖い事を言うChezareに、Vandalieuは現在Lizardman達の纏め役をしているLizardman GeronimoのShashujaを目で指す。

　Talosheimと条約を結んでいた群の子孫である彼は、捨てられた子犬のようにVandalieuを見つめている。爬虫類の冷たい瞳で、よくそこまでemotionsを表現できるものだ。

　実際、Vida's New Racesでもない、ただのmonstersであるLizardmanにVandalieu達が配慮する理由は無い。

　だがShashujaの哀愁を誘う泣き落としにVandalieuが屈した事もあって、『Scale King』を倒した後はLizardmanを併合する形に成ったのだった。

　因みに、彼のShashujaという名はLizardmanの言語で本来発音される彼のnameを、人が発音できる言葉に直したものだ。

『……陛下、女childにweakならまだしも、何故Lizardmanの泣き落としに落ちるのですか？』

「俺、originally動物は好きですから。Earthに居た頃はPet飼えなかったし、Originでは俺が実験動物だったし」

　それに結局、多少時間がかかっただけで特に皆が危険だった訳でもないので構わないだろう。

　それに、広大なMarshlandsを管理するにはやはりMarshlandsに適応しているLizardmanを使うのが便利なのは事実だ。

「それより敵が切り札を出してきましたよ」

『おお、あれはLizardman Royale Guard！　本来Lizardman Kingが存在しなければ発生しないmonstersですぞ、陛下』

　他のLizardmanよりも体格と装備の良い、勇ましいLizardmanが洞穴からバラバラと出てくる。Chezareが言うには相当珍しいraceらしい。

　そして前線に加わるが、傾いた戦況をひっくり返すには至らない。

　何せ『Scale King』側はまだ約二千匹のLizardmanが居るが、Vandalieu率いる『Eclipse King』側には約千匹のLizardmanに加えて、千人以上のGhoulとUndeadとmonstersの混成軍が居る。

　しかも、LizardmanはまだVandalieuの【Strengthen Follower】の範囲外だが【Strengthen Subordinates】は効いている。

　精鋭が数十匹前線に出て来ただけでどうにかなるはずがない。

　それで焦ったのか、恐らく『Scale King』にとって四天王的な立場の側近だろうDragonも出てきた。EARTH DragonとRock Dragonが六頭。自軍の筈のLizardmanを蹴散らしながら前線に突っ込んでくるので、逆に戦線を混乱させている。

　だが『Scale King』側のLizardmanはシャーシャーと歓声を上げ、士気を上げる。

　そして『Eclipse King』軍も歓声を上げて士気を上げる。

「旨そうな肉だ！」

『殺せっ！　殺せ！』

　最近Talosheim周辺ではDragonが出なくなったので、皆大張り切りである。ＢClass Dungeonの『Barigen減命山』でもWyvernならin any case、EARTH Dragon以上の竜種の出現率は低いので、久々に竜の肉を食べるchanceなのだ。

　実際、Rank７やRank８程度では精鋭が含まれている『Eclipse King』軍の敵ではない。

「【大割斧】！」

『おおおおおおぉんっ！』

　Vigaroの【Demon King's Horn】製斧がEARTH Dragonの首を叩きSlash、隣ではGiantなboneの山にしか見えないKnochenがEARTH Dragonを飲み込んで、生きたままboneを抉り取る。

『新生Black Bull Knight団の勇姿を見せる時だ！』

『走れ、我が愛馬よ！』

　逞しくも何処か禍々しい馬にMountした、元Mirg Shield Nation軍のBlack Bull Knight団のZombie Knight達がRock Dragonを集団で攻めたてる。

　岩がそのまま動き出したような巨体とMysterious Strength、そして何よりも頑丈さを誇るRank８の竜種を翻弄し、黒いDeath Iron製HalberdやClayモアで外殻を叩き割る。

　因みに彼らが乗っている馬は、Hartner DuchyでKarcanやRed Wolf Knight団から奪った軍馬がmonsters化した物だ。

　Rank３のDemon Horseで、戦場でcountlessのbloodと死者の断末魔の叫びを浴びた軍馬が稀に変化すると恐れられる存在らしい。

　見た目は怖いがZombieが近付いても怯えない、雑食性でweak monstersなら踏み潰して喰らう便利なMount動物である。

　他のDragonもBellmondの移植したMagic Eyeによって石化され、動きを封じられたところを金属糸で輪切りにされたり、BasdiaとEleonoraにslaughterされたり、悲惨な一頭はBreathを吐けない-sama Braga達に喉を潰された後、immatureなBlack GoblinやAnubis達の生きたSand Backにされていた。

　絶対的な上位者だったDragonが次々に倒されていく光景に、Lizardman達は敵もallyも思わず呆然とする。Vandalieuと本陣に居るShashujaもだ。

「Rank７や８ぐらいならうちに在るDungeonで出ますから。今更苦戦なんてしないのですよ」

　Dragonその物が出てくる事は少ないがDragon相当のmonstersは出て来るので、これぐらいは普通なのである。

『陛下、そろそろ』

「はい。じゃあ、後はよろしく」

　促されたVandalieuが【Spirit Form Transformation】で伸ばした翼を使って飛び立ってから数秒後、洞穴から一際GiantなDragonが咆哮を響かせながら現れた。

『ＧＹＡＯＯＯＯＯＮ！！』

　四肢がヒレ状になったGiantなcrocodileのようなappearanceの『Scale King』の異-samaには、Lizardmanだけではなく『Eclipse King』軍の者も少なからず動揺した。

　Rank１０となれば、一国を滅ぼしかねない強大なmonstersだ。普通のmonstersや並のadventurerならpanicを起こし、逃げ出してもおかしくない。

『ようやく戦い甲斐のある奴が出て来たぜ！』

　だからBorkusが嬉々としてGiantな剣を振り上げながら飛びかかって来たのは、『Scale King』にとって意外な展開だったのだろう。

　Magic Swordの剣先で鼻面を切り裂かれるまで、『Scale King』は動きらしい物を何も見せなかった。bloodが飛沫を上げてから、ようやく怒りの叫びを上げる。

『ぼさっとしやがって！　寝ぼけてんじゃネェ！　さっさと目を覚ませ！』

　寝ぼけさせたままで良いのにとVandalieuは思うが、どうやらRank１０にincreaseした事でＢClass Dungeonのボスでも物足りなくなってしまったBorkusは、本気の『Scale King』と戦いたいようだ。

　その望みは叶ったようで、闘争Instinctを目覚めさせた『Scale King』が呪文の代わりらしい吠え声を上げ、土attributeやWater-Attributeのmagicを放ち、鞭のように撓るtailを振るい、ヒレを振り回す。

　その-samaは暴力を越えて災害と言うしかなく、巻き込まれればどんな生物も翻弄され、磨り潰されるしかないだろう。

『ガハハハ！　その調子だぜっ！』

　しかしそれをBorkusは物ともしない。同じRank１０で、しかし竜種とUndeadなら大体竜種の方が強いのが普通だが、Borkusは生前のＡClass adventurerだった頃の力を完全に取り戻したZombieだ。その上、装備もＡClass adventurer並かそれ以上に充実している。

　しかも、【Strengthen Follower】や【Strengthen Subordinates】でAbility ValuesがEnhanced (1)されている。流石にRankが高くなると、【Strengthen Follower】１０levelでもそれだけで上のRankの存在を圧倒する事は難しいが。

　Rank１のGoblinの腕力が五百キロ上がったら劇的なEnhanced (1)だが、岩を軽々と持ち上げるDragonの腕力が五百キロ上がっても、凄いは凄いが劇的なEnhanced (1)ではないのと同じだ。

　だがBorkusと『Scale King』は同Rank。片方だけがEnhanced (1)されているのだから、その差は大きい。

『ハァハッー！　坊主で出来た剣は切れ味が違うぜぇぇ！』

　その上、Borkusが今振るっている刃渡り三meterのGiant剣は、Vandalieuが生やした【Demon King's Horn】を【Demon King's Blood】で磨き、Death Ironを合わせて鍛えた一品だ。

　『Scale King』のscaleは一流のSwordsmanでも歯が立たない程強固なのだろうが、Adamantiteも切り裂く素材で作られたMagic Swordを振るう、超一流のSwordsman Zombieの前に切り裂かれていく。

「そろそろか」

　追い詰められる『Scale King』を上空から見下ろし、頃合いだと判断したVandalieuはclawsで自分の手首を切り、【Demon King's Blood】をActivateした。

　赤黒いbloodが傷口から噴き出し、見る見るうちに筒状の形に凝blood。そのまま【Demon King's Horn】をActivateし、指先ほど小さな流線型の角を生やす。

『ＧＵＯＯＯＯＯＯＯＮ！！　ＧＯＧＹＡＡＡＡＡＡ！』

　すると、『Scale King』が一際大きく長い咆哮を上げた。すると、空から濃い紫色の光の柱が『Scale King』に降りてくる。

　以前Gordan High Priestが使った、Godsに仕えるFamiliar Spiritを自らのBodyに降ろしてAbility ValuesをEnhanced (1)する【Familiar Spirit Advent】skillだ。

『Scale King』はmonstersだが、『Raging Evil Dragon God』LuvezfolのbelieverでもあるためFamiliar Spiritをその身に降ろす事が出来るのである。

　ただでさえ強力なDragonが、【Familiar Spirit Advent】で更にEnhanced (1)されたらBorkusでも危ないかもしれない。

「ファイエル」

　その【Familiar Spirit Advent】で発生した邪悪な光の柱を、Vandalieuの【Soul Break】が乗った【Telekinesis】砲の銃弾が貫いた。

　何かの名状しがたい絶叫が響き渡り、光の柱が砕ける-samaに消える。

　唖然とした-sama子のまま硬直している『Scale King』の上空でfeatherばたきながら、一仕事終えたとVandalieuは息を吐いた後、首を傾げた。

「凝固した【Demon King's Blood】で作った銃身で撃ち出す、【Demon King's Horn】弾で【Familiar Spirit Advent】を妨害するのは成功したようだけど、あの絶叫は何かな？　まさかFamiliar Spiritその者に当たったとか？」

　『Scale King』が『Raging Evil Dragon God』Luvezfolの【Familiar Spirit Advent】を使えるのではないかというconjectureは、早い段階でEleonoraやBellmondがしていた。

　邪悪なGodsもそれぞれFamiliar Spiritを従えており、それをbelieverは【Familiar Spirit Advent】skillで降ろす事が出来る。それはbelieverがmonstersでも同じだ。

　なら当然対策を考えようという話になるのだが、Vandalieu's DiscipleであるUndead研究者の元adventurer Lucilianoが「師Artisanがあの銃とやらで打ち抜けば良いだけの話だろう」と、言い出した。

　Kami-samaのFamiliar Spiritが銃なんかでAdventを妨害されるのだろうかと、最初Vandalieuは懐疑的だったのだが、皆「それだ！」とLucilianoに同調。

『大丈夫っ、Vandalieuなら出来るわ！　悪い Kami-samaのFamiliar Spiritなんてイチコロよ』

「そうじゃ、自信を持て坊や」

「Vandalieu -samaはもう実質HihiryushukakaのSubordinate GodだったTerneciaを滅ぼしているのよ。Familiar Spiritなんてザコよ、ザコ」

　Darcia達にそう盛り上げられたVandalieuも「じゃあ、やってみようかな」とその気に成った。

　凝固するとOrichalcum程ではないがAdamantiteより硬くなる【Demon King's Blood】で銃身を作り、小さく生やした【Demon King's Horn】をそのまま銃弾にして打ち出した。

　結果、本当に【Familiar Spirit Advent】を防ぐ事が出来た。もしかしたら、念のために乗せた【Soul Break】skillの効果で、Familiar Spirit main bodyもDamageを受けたのかもしれない。

「じゃあ、後はよろしく」

『おうよ！　さて……じゃあ続きをしようぜ』

　改めてMagic Swordを構えるBorkus。切り札を妨害された『Scale King』の縦長の瞳が、初めてhorrorの色を宿した。

《【No-Attribute Magic】、【Mana Control】、【Artillery Technique】、【God Slayer】、【Commanding】、【Strengthen Subordinates】skillのlevelが上がりました！》

　特に奇跡などが起こる事も無く、Borkusは『ちょっと物足りネェな』と言いながらそれなりの激戦を繰り広げ、『Scale King』の額を貫いた。

　久しぶりの同格の相手を倒した事で、やっと纏まったExperience Pointが入ったと喜んでいる。

　そしてBorkus達が得たExperience Pointの約一割を得るVandalieuも、level upを喜んでいた。

「これでやっと【Tree Caster】のlevelが百になりました」

『今度はどんなJobが増えるのか楽しみですね、Bocchan』

『次のJobはやっぱり【Demon Guider】ですか？』

「その予定です」

　magic High-leg Armorとmagic Bikini ArmorのSalireとRitaに、そう答える。

　一度は普通そうなのが逆に怪しいと避けた【Demon Guider】だが、春頃に魂を砕いて滅ぼしたPure-breed Vampire Terneciaから絞った情報によると、Championの条件に【Guider】Jobに就くというのがあるらしい。

　【Guider】Jobとは自分だけではなく仲間を強くする事が出来るJobらしい。具体的な事はTerneciaも知らなかったが、人に有効な【Strengthen Follower】skillの-samaなものを獲得できるのかもしれない。

　そう考えると既にsecondary nameの『Eclipse King』の効果でTalosheimの民ならrace問わず【Strengthen Follower】skillの効果範囲内に成るVandalieuが就く利点は無いように思える。

　しかし、一般的にはそれ程知られていないらしいがChampionの条件に上げられる-samaなJobだ。就けばそれだけで上流階ClassやAdventurer’s GuildのGuild Master等からの信用が得られるに違いない。

　名称に魔の字がつくのがやや不吉な気がするが、【Guider】Jobには幾つかの種類があるらしい。Champion Bellwoodはそのまま【Guider】だったが、Zakkartは【Friendship Guider】だったとか。

　それを考えると、魔がついてもそうおかしくないだろうとVandalieuは考え直した。

　【Mage】や【Magic Warrior】、【Magic Sword User】や【Demon User】等にも魔はつくが、どれも普通のJobだ。【Demon Guider】の魔もどうせmonstersが仲間に多いとか、その程度の意味だろうと。

『【Guider】Jobに成ったら、父-sanも飛べるようにして上げてくださいね！』

　二人の父親、馬車に憑りついたUndeadのSamはまだ空を飛ぶことを目指していた。助走をつけて高い所から飛び降りては、【Impact Resistance】skillのlevelを上げていた。

　どうも生前長く馬車のCouch Drivingをしていた経験が、固定概念と成って空を飛ぶ馬車型Undeadに進化する事を妨げているらしい。

　【Mind Encroachment】skillを使って固定概念を取り除くような事をすると、SamのMentalにどんなimpactを与えるか分からないので、Vandalieuも手助けできないでいた。

「うーん、頑張ってみます。

　ではそろそろ俺も戦後処理を手伝いましょうか」

　『Scale King』討伐後、既に敵方のLizardmanで生き残っている者はShashuja達に降伏と恭順を迫られ、Weapon Equipmentを手放し、両手を上に上げて腹をthrustだしている。

　……別にふんぞり返っている訳ではなく、これが柔らかい腹を晒す事で降伏を表すポーズなのだ。獣が腹を見せるのと同じである。

　地面に横に成らないのは、主な生息地がMarshlandsなのでそれをすると呼吸できなくなる場合があるからだ。

　半分ぐらいは抵抗や逃亡を試みるかと思ったが、そんな事は無かったようだ。

「随分切り替えの早い。この『Scale King』、実は人望が無かったのかな？」

『そうじゃなくて、maybe逆らったら命が無いと思ったからですよ。きっと』

　Ritaの言葉にそれも尤もかとVandalieuはnod。

「Borkus達の活躍のお蔭ですね」

　それまで頂点にReignしてきた『Scale King』相手に始終優位に立って倒したBorkusに、四天王の-samaな立場のDragonをザコ同然に倒したBellmondやEleonora、Vigaro達。

　Lizardmanが降伏するのも無理はない。

『いや、俺より坊主だろ』

　しかし、whole bodyを『Scale King』のbloodで赤く染めたBorkusはVandalieuの方が活躍したと言う。

「えー？」

『えーって、心底意外そうに首を傾げやがって』

「だって俺が今回したのって、ただ【Demon King's Blood】と【Demon King's Horn】を組み合わせて作った【Telekinesis】砲を、大きな的に撃っただけですよ。

　確かに『Scale King』の【Familiar Spirit Advent】を防いだのは大きいと思いますが、Manaもさほど使ってないし危険もほぼ無い、楽なお仕事です」

　戦功としては小さくないが、それでも敵のGeneralを討ち取ったBorkusよりも注目される程ではない。そうVandalieuは自分のした事を認識していた。

　しかし、現実はちょっと違うらしい。

『あのな、あの『Scale King』って呼ばれていた奴はLizardmanが信仰してた『Raging Evil Dragon God』Luvezfolって奴の、Priestでもあったんだぜ？

　坊主がそのPriestが呼んだFamiliar Spiritを撃ち殺したとなりゃぁ、震え上がって当然だろう』

「いや、撃ち殺したとは限らないと思いますけど」

「それはそうですが旦那-sama、【Familiar Spirit Advent】をskill使用者ではなくFamiliar Spiritの方を攻撃して妨害したと言う話は私も聞いた事が無いので……旦那-samaなら出来ると確信してはいましたが」

　VandalieuのSurgeryを受けて火傷で失明していた目にTerneciaの【Petrifying Magic Eye】を移植したBellmondが、苦笑いをしながらそう言う。

「つまり、Vandalieu -samaは敵の心を圧し折ったのよ」

「うむ、Lizardmanにとっては信仰対象を倒されたに等しい訳じゃからな。それに奴らはGoblinやOrcと違い生息する場所が水辺に限られる。ここを奪われた以上、勝者に恭順するしかないのじゃろう」

　Lizardmanにとっても世の中は世知辛いようだ。

「まあ、恭順する数が多いのは良い事だし……とりあえず生き残りで主だったLizardmanを集めて、後Shashujaを呼んできてください」

　こうしてVandalieuは、『Scale King』がReignしていた大Marshlandsを手に入れたのだった。

　因みに、この大Marshlandsの総面積はHartner Duchyを優に超える。

　Vandalieu、八age。未だHuman社会では只の一般人だが、既にDukeの領地よりも広い国土にReignし、その戦力は中小の国では足元にも及ばない程に成っていた。

・Monster explanation:　Lizardman

　亜人型のmonstersの一種で、その中でも最も知能が高いとされるmonsters。実際にはGillmanとそう変わらないのだが、Lizardmanの方がまだHumanが理解しやすいMental構造をしているので、そう認識されている。

　

　基本的なRankは３。姿は直立した蜥蜴その物で、角などは生えていない。大型の個体でも二meterを超えない程度で、Orcよりも純粋な力は劣る。しかし Orcには無い素早さと、更に戦術を考える知能とProvocationや誘いに乗らない冷静さを持つ。

　集団に成るとさらに強力に成り、まるで訓練された軍隊を相手にするような錯覚を覚える事だろう。

　高い知能を活かして武具を自作し、最下Classの者でも死んだ仲間のscaleから作った槍や鎧、小盾で武装を整えている。

　同じRank３でも明らかにOrcよりも強力なmonstersだが、生息地が水場に限られており、そこから離れていればHumanの村や町に被害を及ぼす事は殆ど無い。

　またOrcと違い生殖にHumanのfemaleを求める事が無く、そのBreeding力自体も低いので総じてOrcよりも脅威にはならない。

　さらにLizardmanは大きな群れに成ると大抵Evil God (M)やEvil God (P)を祀って集団を纏めるので、その信仰対象の性質によっては、不可侵の約束をHumanと結ぶ事もある。ただLizardmanはHumanの言葉を話せないため、交渉は筆談かボディlanguageに限られる。

　scaleがDefense Equipmentや装飾品の材料に成り、肉も食用に適する。味は油が少なく、鳥に似ている。

　尚、RyuujinをLizardmanや蜥蜴男と呼ぶことは侮辱に当たるので避けるべきである。